特許第6676957号(P6676957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676957
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20200330BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20200330BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   H02M3/00 C
   H02M3/155 W
   H02M3/28 W
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-250044(P2015-250044)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-118646(P2017-118646A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 章孝
(72)【発明者】
【氏名】藤本 剛生
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−151715(JP,A)
【文献】 実開昭60−093443(JP,U)
【文献】 特開2013−059228(JP,A)
【文献】 特開2014−050166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 3/155
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、前記制御装置によって制御される負荷機器と、前記制御装置及び前記負荷機器に直流電力を供給する電源装置と、を備えた給湯装置であって、
前記電源装置は、
外部電源を供給源として与えられる電圧を平滑して直流電圧を生成する平滑コンデンサと、
各々前記平滑コンデンサに接続された2個のスイッチング素子を有する単一の降圧型チョッパ回路を有し、前記2個のスイッチング素子を交互にオンさせる制御を行うことにより前記直流電圧を断続的に取り込んで前記直流電圧を降圧した電圧を生成し前記負荷機器へ供給する負荷用電源部と、
前記平滑コンデンサに接続され、前記直流電圧を降圧した電圧を生成して前記制御装置へ供給する制御用電源部と、
前記外部電源から交流電圧が供給され、この交流電圧を整流して前記平滑コンデンサへ供給する整流部と、
前記整流部に供給される交流電圧の零点の通過を検出するゼロクロス検出回路と、を有し、
前記制御装置は、
前記ゼロクロス検出回路の出力信号に基づいて前記交流電圧の電圧低下の有無を判定し、前記交流電圧の電圧低下があったときに前記負荷用電源部へ電圧低下検出信号を出力するよう構成され、
前記負荷用電源部は、
前記2個のスイッチング素子を交互にオンさせるようにオンオフ動作させるプッシュプル方式による動作制御を行う制御回路を有し、前記制御回路によって前記プッシュプル方式による動作制御が行われているときに、前記制御装置から出力される前記電圧低下検出信号が入力されている間は、前記2個のスイッチング素子のうちの一方の前記スイッチング素子のオフ状態が維持されて、他方の前記スイッチング素子のみがオンオフ動作するシングル方式の動作状態となるよう構成された、
湯装置。
【請求項2】
制御装置と、前記制御装置によって制御される負荷機器と、前記制御装置及び前記負荷機器に直流電力を供給する電源装置と、を備えた給湯装置であって、
前記電源装置は、
外部電源を供給源として与えられる電圧を平滑して直流電圧を生成する平滑コンデンサと、
各々前記平滑コンデンサに接続された2個のスイッチング素子を有する単一の降圧型チョッパ回路を有し、前記2個のスイッチング素子を交互にオンさせる制御を行うことにより前記直流電圧を断続的に取り込んで前記直流電圧を降圧した電圧を生成し前記負荷機器へ供給する負荷用電源部と、
前記平滑コンデンサに接続され、前記直流電圧を降圧した電圧を生成して前記制御装置へ供給する制御用電源部と、を有し、
前記制御用電源部は、
前記直流電圧が断続的に印加される一次巻線と、前記制御装置へ供給する電圧が出力される二次巻線と、前記一次巻線に印加される電圧に応じた電圧を発生する補助巻線とを有するスイッチングトランスと、
前記一次巻線に印加される前記直流電圧に応じて前記補助巻線に発生する電圧が所定電圧未満であるときに前記負荷用電源部へ電圧低下検出信号を出力する電圧低下検出回路とを有し、
前記負荷用電源部は、
前記2個のスイッチング素子を交互にオンさせるようにオンオフ動作させるプッシュプル方式による動作制御を行う制御回路を有し、前記制御回路によって前記プッシュプル方式による動作制御が行われているときに、前記電圧低下検出回路から出力される前記電圧低下検出信号が入力されている間は、前記2個のスイッチング素子のうちの一方の前記スイッチング素子のオフ状態が維持されて、他方の前記スイッチング素子のみがオンオフ動作するシングル方式の動作状態となるよう構成された、
湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置を備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置では、それに備えられる電源装置が、例えば商用電源等の交流電源から供給される交流電圧を、ダイオードブリッジ及び平滑コンデンサ等によって整流平滑し、さらに平滑コンデンサに接続された制御用電源部において平滑コンデンサで平滑された電圧を降圧して、給湯装置内の負荷機器を制御する制御装置の電源電圧として供給するよう構成されている。さらに、上記平滑コンデンサに負荷用電源部が接続され、この負荷用電源部において平滑コンデンサで平滑された電圧を降圧して、給湯装置内の負荷機器の駆動電圧として供給するよう構成されている。すなわち、平滑コンデンサの端子電圧が制御用電源部と負荷用電源部の両方へ供給され、それぞれがDC−DCコンバータとして機能している。
【0003】
一方、特許文献1,2には、交流入力電圧が100V系と200V系共用の電源装置が記載されている。この電源装置は、コンバータトランスを備えるとともに、交流入力電圧を整流平滑した直流入力電圧を断続してコンバータトランスの一次巻線に出力する2つのスイッチング素子を備えている。そして、交流入力電圧の大きさに応じて、2つのスイッチング素子を動作させるプッシュプル動作と、一方のスイッチング素子のみ動作させるシングルエンド動作とを切り替えることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−184708号公報
【特許文献2】特開2001−136744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の給湯装置において、商用電源等の元電源に瞬時停電や瞬時電圧低下が発生した場合には、平滑コンデンサの蓄積エネルギーが制御用電源部と負荷用電源部の両方で消費されて、平滑コンデンサの電圧は低下する。特に、負荷用電源部に2つのスイッチング素子を用いたプッシュプル方式のDC−DCコンバータを採用している場合には、1つのスイッチング素子を用いたシングル方式のものを採用している場合に比べて、平滑コンデンサの蓄積エネルギーの消費速度が大きく、平滑コンデンサの電圧の低下速度が速い。さらに、プッシュプル方式の場合、平滑コンデンサの電圧がかなり低い電圧となるまで動作してしまうため、平滑コンデンサの電圧の低下速度をより速めてしまう。
【0006】
このように瞬時停電や瞬時電圧低下が発生して平滑コンデンサの電圧が低下すると、負荷用電源部及び制御用電源部において生成される電圧も低下する。そして、制御用電源部から制御装置へ供給される電圧の低下が著しくなると、制御装置が停止することにより給湯装置の運転が停止される。給湯装置が給湯運転中にその運転を一旦停止すると、瞬時停電や瞬時電圧低下が終了しても、すぐに運転を再開できないという問題がある。例えば、給湯運転を行っているときに、給湯装置に備えられている燃焼装置の燃焼を停止させると、燃焼を再開するために時間がかかる。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、瞬時停電や瞬時電圧低下が発生しても運転を継続することが可能になる給湯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係る給湯装置は、制御装置と、前記制御装置によって制御される負荷機器と、前記制御装置及び前記負荷機器に直流電力を供給する電源装置と、を備えた給湯装置であって、前記電源装置は、外部電源を供給源として与えられる電圧を平滑して直流電圧を生成する平滑コンデンサと、各々前記平滑コンデンサに接続された2個のスイッチング素子を有し、前記2個のスイッチング素子を交互に導通させる制御を行うことにより前記直流電圧を断続的に取り込んで前記直流電圧を降圧した電圧を生成し前記負荷機器へ供給する負荷用電源部と、前記平滑コンデンサに接続され、前記直流電圧を降圧した電圧を生成して前記制御装置へ供給する制御用電源部とを有し、前記負荷用電源部は、前記2個のスイッチング素子を交互に導通させる制御を行っているときに、前記外部電源の供給電圧の低下が検出されているときには前記2個のスイッチング素子のうちのいずれか一方を導通させないように構成されている。
【0009】
この構成によれば、負荷用電源部において、2個のスイッチング素子を交互に導通させる制御を行っているときに、瞬時停電等による外部電源の供給電圧の低下が検出されているときには2個のスイッチング素子のうちのいずれか一方を導通させないように構成されている。そのため、平滑コンデンサの蓄積エネルギーの消費が抑えられて、平滑コンデンサの電圧の低下速度を小さくすることができる。これにより、制御用電源部から制御装置へ与える出力電圧の保持時間を延ばして、制御装置の動作可能時間を延ばすことができる。よって、瞬時停電等があっても給湯装置の運転を継続することが可能になる。
【0010】
前記電源装置は、前記外部電源から交流電圧が供給され、この交流電圧を整流して前記平滑コンデンサへ供給する整流部と、前記整流部に供給される交流電圧の零点の通過を検出するゼロクロス検出回路とをさらに有し、前記制御装置は、前記ゼロクロス検出回路の出力信号に基づいて前記交流電圧の電圧低下の有無を判定し、前記交流電圧の電圧低下があったときに前記負荷用電源部へ電圧低下検出信号を出力するよう構成され、前記負荷用電源部は、前記電圧低下検出信号が入力されている間、前記2個のスイッチング素子のうちのいずれか一方を導通させないよう構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、外部電源に瞬時停電が発生したときでも給湯装置の運転を継続することが可能になる。
【0012】
前記制御用電源部は、前記直流電圧が断続的に印加される一次巻線と、前記制御装置へ供給する電圧が出力される二次巻線と、前記一次巻線に印加される電圧に応じた電圧を発生する補助巻線とを有するスイッチングトランスと、前記一次巻線に印加される前記直流電圧に応じて前記補助巻線に発生する電圧が所定電圧未満であるときに前記負荷用電源部へ電圧低下検出信号を出力する電圧低下検出回路とを有し、前記負荷用電源部は、前記電圧低下検出信号が入力されている間、前記2個のスイッチング素子のうちのいずれか一方を導通させないよう構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、外部電源に瞬時停電や瞬時電圧低下が発生したときでも給湯装置の運転を継続することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上に説明した構成を有し、瞬時停電や瞬時電圧低下が発生しても運転を継続することが可能になる給湯装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1,第2実施形態に係る給湯装置の概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態におけるコントローラユニットの構成例を示すブロック図である。
図3図3(a)は、ゼロクロス検出回路の入力電圧の一例を示す図であり、図3(b)は、ゼロクロス検出回路の出力信号の一例を示す図であり、図3(c)は、ゼロクロス検出回路の出力信号の他の例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態における負荷用電源部の概略構成の一例を示す図である。
図5図5は、負荷用電源部における2つのスイッチング素子のオンオフ動作及び平滑コンデンサの端子電圧の経時変化の一例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態におけるコントローラユニットの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第2実施形態における負荷用電源部の概略構成の一例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態における制御用電源部の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0017】
〔第1実施形態〕
(給湯装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る給湯装置の要部構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る給湯装置の概略構成の一例を示す図である。この給湯装置1は、台所や浴槽等に湯水を供給する給湯機能と風呂の追い焚き機能とを備えた多機能型給湯装置である。なお、給湯装置1は、床暖房等の温水暖房機能を備えていてもよいし、給湯機能のみを備えたものでもよい。
【0018】
給湯装置1は、図1に示すように、燃料ガスを燃焼する燃焼装置2と、燃焼装置2へ燃料ガスを供給する燃料ガス供給路21と、燃焼装置2に空気を供給する送風機22と、給湯流路3と、追い焚き流路4と、追い焚き流路4に設けられた風呂水ポンプ41と、コントローラユニット5とを備えている。送風機22及び風呂水ポンプ41は、各々駆動部としてDCモータを備えている。
【0019】
燃焼装置2にはバーナ部24が設けられており、このバーナ部24に燃料ガス供給路21から燃料ガスが供給される。燃料ガス供給路21には、燃料ガスの供給と遮断を切り替える元ガス電磁弁25と、燃料ガスの供給量を調整するガス比例弁26が設けられている。また、バーナ部24には、風呂ガス電磁弁30、複数の給湯能力切替ガス電磁弁28、および給湯ガス電磁弁29が設けられている。
【0020】
給湯流路3は、水道等から送給された水を給水入口31から後述する給湯側熱交換部33へ送る往路部32と、水を燃焼装置2で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱する給湯側熱交換部33と、湯を給湯側熱交換部33から給湯出口34へ送る復路部35とを形成する配管から構成されている。復路部35には、給湯の水量と温度とを調整するために、給湯水量を調整する給湯水量調整弁36と、水と湯との混合比率を調整する混合弁37とが設けられている。図1に示すように、往路部32には、給湯側熱交換部33に至るまでの途中で分岐し、混合弁37に接続されるバイパス路が設けられており、このバイパス路を通じて給水入口31から流入した水の一部を混合弁37に導くことができるように構成されている。
【0021】
追い焚き流路4は、風呂水を戻り口42から後述する追い焚き側熱交換部44へ送る戻り部43と、風呂水を燃焼装置2で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱する追い焚き側熱交換部44と、加熱された風呂水を追い焚き側熱交換部44から往き口45へ送る往き部46とを形成する配管から構成されている。風呂水ポンプ41は、追い焚き流路4のうち戻り部43に設けられる。
なお、図1においては、給湯流路3における、入水温度センサや出湯温度センサ等の各種センサ類の図示を省略している。また、図1においては、給湯流路3から分岐され、追い焚き流路4へ接続される、浴槽注湯路、およびその浴槽注湯路に備えられる注湯開閉弁等の図示を省略している。
【0022】
コントローラユニット5は、制御装置51および電源装置6を備えてなる構成である。制御装置51は、CPU、ROM、およびRAM等から構成されており、例えば、マイクロコントローラ等の集積回路によって実現できる。制御装置51には、送風機22および風呂水ポンプ41などの各電装品などを制御するための信号経路が接続されている。制御装置51では、例えば、CPUがROMに記憶された制御プログラムをRAMに読み出し、実行することで給湯装置1の各種制御を実行することができる。なお、制御プログラムには、例えば、各電装品の運転制御に関する各種プログラムが含まれている。
【0023】
コントローラユニット5には、商用電源等の交流電源11(図2図6)から電力が供給され、電源装置6によって、給湯装置1で用いられる電力が生成される。電源装置6により、必要に応じた電圧に変換されて、制御装置51、燃焼装置2、送風機22、風呂水ポンプ41、各種電磁弁、および各種センサ等の各電装品へと供給される。
【0024】
(コントローラユニットの構成)
次に第1実施形態に係る給湯装置が備えるコントローラユニットの構成について説明する。図2は、第1実施形態におけるコントローラユニット5の構成例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すコントローラユニット5は、前述のように、制御装置51および電源装置6を備えている。電源装置6は、ノイズフィルタ61、ダイオードブリッジからなる整流部62、平滑コンデンサC1、負荷用電源部63、制御用電源部64及びゼロクロス検出回路65を備えている。
【0026】
ノイズフィルタ61の入力端子は、例えばAC100Vの交流電源11に接続されて、ノイズフィルタ61でノイズが除去された交流電圧が整流部62に入力されて整流される。整流部62は、例えばダイオードブリッジなどにより構成される全波整流回路である。整流部62の出力電圧は平滑コンデンサC1で平滑されて直流電圧V1として出力される。この直流電圧V1は、負荷用電源部63及び制御用電源部64に入力される。なお、ノイズフィルタ61は、電源装置6で発生したノイズを、交流電源11側へ流出させることをも防止する。
【0027】
負荷用電源部63では、直流電圧V1(例えば140V)を降圧して、負荷駆動用の直流電圧(例えば47V)を生成し、送風機22のモータ22Mへ供給する。
【0028】
制御用電源部64では、直流電圧V1を降圧して、制御装置用の直流電源となる電圧(例えば15V)を生成し、制御装置51へ供給する。
【0029】
また、ゼロクロス検出回路65は、ノイズフィルタ61から出力される交流電圧を入力し、この交流電圧の零点の通過(零点の横切り)を検出する回路であり、コンパレータ等を用いた公知の回路で構成することができる。このゼロクロス検出回路65は、例えば、入力される交流電圧(Vin)が零点を通過する時点及びその直前直後においてLレベル(ローレベル)を出力し、それ以外はHレベル(ハイレベル)を出力するように構成されている。この場合、ゼロクロス検出回路65へ入力される交流電圧(Vin)は、例えばVtを所定の正のしきい値電圧としたときに、−Vt≦Vin≦VtのときにLレベルを出力し、それ以外はHレベルを出力するように構成されている。
【0030】
図3(a)は、ゼロクロス検出回路65の入力電圧Vinの一例を示す図であり、図3(b)は、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1の一例を示す図であり、図3(c)は、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1の他の例を示す図である。この図3では、時刻t1で交流電源11に停電が発生した場合を示している。
【0031】
図3(b)の出力信号S1となる場合、ゼロクロス検出回路65は、前述のように入力電圧Vinが零点を通過する時点及びその直前直後においてLレベルを出力するように構成されている。この場合、出力信号S1がHレベルからLレベルへ、さらにHレベルへ変化することにより、入力電圧Vinの零点の通過が検出されている。
【0032】
一方、図3(c)の出力信号S1となるようにゼロクロス検出回路65が構成されていてもよい。この場合、ゼロクロス検出回路65は、入力電圧Vinが正電圧であるときにLレベルを出力し、負電圧であるときにHレベルを出力するように構成されている。この場合、出力信号S1がHレベルからLレベルへ変化すること、及び、LレベルからHレベルへ変化することにより、入力電圧Vinの零点の通過が検出されている。
【0033】
ゼロクロス検出回路65の出力信号S1は、制御装置51へ入力される。制御装置51では、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1に基づき、交流電源11からの交流電圧の入力の有無(停電の発生の有無)を判断し、停電が発生していないと判断した場合には負荷用電源部63へHレベルの切替え信号S2を出力し、停電が発生していると判断した場合には切替え信号S2をLレベルにする。このLレベルの切替え信号S2が電圧低下検出信号である。なお、切替え信号S2のLレベルには、無信号状態の場合も含むものとする。
【0034】
図3(b)の出力信号S1の場合、停電が発生せずに、交流電源11から正常に交流電圧が入力されている場合には、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1のHレベルとLレベルの各々の繰り返し周期は、入力電圧Vinの周期Tの1/2となる。この場合、制御装置51は、所定時間(例えば、T/2の時間)の間、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1のレベルが固定された状態となったときに、停電が発生したと判断し、負荷用電源部63への切替え信号S2をHレベルからLレベルに切り替える。
【0035】
一方、図3(c)の出力信号S1の場合、停電が発生せずに、交流電源11から正常に交流電圧が入力されている場合には、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1のHレベルとLレベルの各々の期間が、入力電圧Vinの周期Tの1/2となる。この場合、制御装置51は、T/2より長い所定時間(例えば、T/2より長く、かつTより短い時間)の間、出力信号S1のレベルが固定された状態となったときに、停電が発生したと判断し、負荷用電源部63への切替え信号S2をHレベルからLレベルに切り替える。
【0036】
図4は、第1実施形態における負荷用電源部63の概略構成の一例を示す図である。
負荷用電源部63は、平滑コンデンサC1が接続された端子TV1に、2つのスイッチング素子Q1,Q2のドレインが接続され、2つのスイッチング素子Q1,Q2のソースにコイルL1の一端が接続され、コイルL1の他端が負荷用電源部63の出力端子TV21に接続されている。また、コイルL1の一端にはダイオードD1のカソードが接続され、ダイオードD1のアノードはグランドGNDに接続されるとともにコンデンサC2の負極に接続されている。コンデンサC2の正極はコイルL1の他端及び出力端子TV21に接続されている。これらのスイッチング素子Q1,Q2、コイルL1(インダクタ)、ダイオードD1(還流ダイオード)及びコンデンサC2によって降圧型チョッパ回路が構成されている。また、ここでは、2つのスイッチング素子Q1,Q2を交互にオン(導通)させるプッシュプル方式を用いており、2つのスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンさせることにより、平滑コンデンサC1の端子電圧V1が断続的に取り込まれる。
【0037】
スイッチング素子Q1,Q2は、ここでは、nチャネルMOSFETで構成され、そのオンオフ動作は、制御回路71によって制御される。ここでは、スイッチング素子Q1,Q2は、絶縁トランスIT1,IT2を介して制御回路71の制御信号S11,S12がLレベルのときにオンし、Hレベルのときにオフするよう構成されている(但し、後述のスイッチング素子Q3がオン状態の場合)。
【0038】
そのために、スイッチング素子Q1のソースが絶縁トランスIT1の二次巻線P12の一端に接続され、スイッチング素子Q1のゲートが抵抗r2を介して二次巻線P12の他端に接続され、スイッチング素子Q1のゲート・ソース間に抵抗r1が接続されている。同様に、スイッチング素子Q2のソースが絶縁トランスIT2の二次巻線P22の一端に接続され、スイッチング素子Q2のゲートが抵抗r4を介して二次巻線P22の他端に接続され、スイッチング素子Q2のゲート・ソース間に抵抗r3が接続されている。
【0039】
また、絶縁トランスIT2の一次巻線P21の一端が、制御回路71の制御信号S12の出力端子に接続され、一次巻線P21の他端はダイオードD3を介してグランドに接続されている。また、一次巻線P21の中間点とダイオードD3のアノードとの間にコンデンサC4が接続され、一次巻線P21の中間点と接続されたコンデンサC4の電極に電源端子TV22が接続されている。
【0040】
制御信号S12がHレベルのときには、電源端子TV22に印加される直流電圧V22(例えば12V)によってコンデンサC4が充電され、制御信号S12がLレベルになると、コンデンサC4から放電される電流が一次巻線P21の中間点から一端へ向かって流れ、さらに制御信号S12の配線を通じて制御回路71へ流れこむ。このとき、一次巻線P21に電流が流れることにより、二次巻線P22に接続されたスイッチング素子Q2のゲートにHレベルの電圧が印加されてスイッチング素子Q2がオンする。一方、制御信号S12がHレベルのときには一次巻線P21に電流が流れないので、スイッチング素子Q2はオフになる。
【0041】
また、絶縁トランスIT1の一次巻線P11の一端が、制御回路71の制御信号S11の出力端子に接続され、一次巻線P11の他端はダイオードD2を介してグランドに接続されている。また、一次巻線P11の中間点とダイオードD2のアノードとの間には、スイッチング素子Q3とコンデンサC3とが直列に接続され、スイッチング素子Q3のソースと接続されたコンデンサC3の電極に電源端子TV22が接続されている。
【0042】
スイッチング素子Q3は、pチャネルMOSFETで構成され、そのソースとゲートが抵抗r6を介して接続されるとともに、ゲートが抵抗r5を介してフォトカプラPC1のフォトトランジスタに接続されている。フォトカプラPC1の発光ダイオードは、その両端が抵抗r7を介して接続され、発光ダイオードのカソードはグランドに接続され、アノードに制御装置51からの切替え信号S2が入力される。なお、抵抗r7が接続されるグランドは、低電圧側の回路グランドである。
【0043】
ここで、切替え信号S2がHレベルのときには、フォトカプラPC1のフォトトランジスタがオンしてスイッチング素子Q3がオンになる。このスイッチング素子Q3がオンの場合には、制御信号S11がHレベルのときに、電源端子TV22に印加される直流電圧V22によってコンデンサC3が充電され、制御信号S11がLレベルになると、コンデンサC3から放電される電流経路が一次巻線P11の中間点から一端へ向かって流れ、さらに制御信号S11の配線を通じて制御回路71へ流れこむ。このとき、一次巻線P11に電流が流れることにより、二次巻線P12に接続されたスイッチング素子Q1のゲートにHレベルの電圧が印加されてスイッチング素子Q1がオンする。一方、制御信号S11がHレベルのときには一次巻線P11に電流が流れないので、スイッチング素子Q1はオフになる。
【0044】
また、切替え信号S2がLレベルのときには、フォトカプラPC1のフォトトランジスタはオフであり、スイッチング素子Q3もオフである。この場合、直流電圧V22によってコンデンサC3は充電されるが、制御信号S11がLレベルになっても、コンデンサC3から放電される電流経路がオフ状態のスイッチング素子Q3で遮断されているので、一次巻線P11に電流が流れず、スイッチング素子Q1はオフ状態が維持される。すなわち、制御装置51からの切替え信号S2がLレベルのときには、制御回路71の制御にかかわらず、スイッチング素子Q1はオフされる。
【0045】
なお、電源端子TV22は、制御回路71の電源入力端子に接続されるとともに、コンデンサC5を介して制御回路71のグランド端子とともにグランドに接続されている。電源端子TV22に印加される直流電圧V22は、例えば制御用電源部64内の図示しない回路により生成される。
【0046】
この負荷用電源部63の出力端子TV21の電圧V21は送風機22のモータ22Mへ供給される。
【0047】
なお、図示してないが、送風機のモータ22Mには、モータ22Mの回転数を検出する回転数検出センサが取り付けられており、回転数検出センサの検出信号が制御装置51に入力される。そして制御装置51では、回転数検出センサの検出信号に基づき、モータ22Mの回転数を所定値に維持するための制御信号を制御回路71へ出力し、制御回路71では、上記制御信号に基づき出力端子TV21の電圧V21が所望の直流電圧(例えば、47V)となるように、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフ制御を行うようになっている。
【0048】
図5は、負荷用電源部63における2つのスイッチング素子Q1,Q2のオンオフ動作及び平滑コンデンサC1の端子電圧V1の経時変化の一例を示す図である。この図5では、時刻t11で交流電源11に停電が発生した場合を示している。
【0049】
時刻t11以前の停電が発生していないときには、切替え信号S2がHレベルで、スイッチング素子Q3はオン状態が維持されており、制御回路71の制御信号S11,S12によって、2つのスイッチング素子Q1,Q2を交互にオン(導通)させるプッシュプル方式による動作が行われる。
【0050】
そして、例えば、時刻t11において停電が発生し、制御装置51が、ゼロクロス検出回路65の出力信号S1に基づいて停電が発生していると判断すると、切替え信号S2をHレベルからLレベルに切替える。切替え信号S2がLレベルになると、スイッチング素子Q3がオフ状態となり、スイッチング素子Q1はオフ状態となる。すなわち、制御回路71は、プッシュプル方式による動作を行わせるための制御信号S11,S12を出力するが、スイッチング素子Q1はオフ状態が維持されて、1つのスイッチング素子Q2のみがオンオフ動作するシングル方式の動作状態となる。
【0051】
停電発生後は、平滑コンデンサC1の蓄積エネルギーが消費されるので、図5に示すように、平滑コンデンサC1の電圧V1(端子TV1の電圧)は、低下していき、平滑コンデンサC1の蓄積エネルギーが無くなると0になる。
【0052】
一方、スイッチング素子Q1は切替え信号S2によりオフにしない場合には、2つのスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンするプッシュプル方式による動作が継続されるので、本実施形態のようにシングル方式に切り替えた場合と比べて、平滑コンデンサC1の蓄積エネルギーの消費速度が大きく、平滑コンデンサC1の電圧V1の低下速度が大きくなる。
【0053】
本実施形態では、停電が発生したときに、プッシュプル方式からシングル方式に切り替えることにより、平滑コンデンサC1の電圧V1の低下速度を小さくすることができる。これにより、平滑コンデンサC1の蓄積エネルギーを消費して制御用電源部64から制御装置51へ与える出力電圧の保持時間を延ばすことができ、制御装置51の動作可能時間も延ばすことができる。
【0054】
例えば、給湯運転を行っているときに、100msの瞬時停電があった場合において、プッシュプル方式による動作を継続した場合に、停電発生時から、制御用電源部64の出力電圧の保持時間(制御装置51が動作停止するまでの時間)が90msであったのが、プッシュプル方式からシングル方式に切り替えることにより、制御用電源部64の出力電圧の保持時間が110msまで延びると、100msの瞬時停電の終了時においても制御装置51は動作している。このように、瞬時停電があってもマイコン等の制御装置51は継続して動作が可能となり、給湯装置1の運転を継続することが可能になる。
【0055】
また、制御装置51には、前述のように、送風機22のモータ22Mの回転数検出センサ(図示せず)の検出信号が入力されている。給湯運転を行っているときに、負荷用電源部63から供給されるモータ22Mの駆動電圧が著しく低下し、モータ22Mの回転数が所定の値未満になると、制御装置51が異常処理(例えば燃焼装置2の燃焼の停止)を行って給湯装置の動作を停止させるよう構成されている場合において、前述のように瞬時停電が発生した場合には、プッシュプル方式からシングル方式に切り替えることにより、平滑コンデンサC1の電圧V1の低下速度を小さくし、負荷用電源部63の出力電圧(モータ22Mの駆動電圧)の低下速度も小さくすることができるので、制御装置51が異常処理を行って給湯装置1の動作を停止させることなく、給湯装置1の運転を継続することが可能になる。
【0056】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る給湯装置の構成例は、第1実施形態の場合と同様であり、例えば、図1のように示される。本実施形態は、コントローラユニット5の内部構成が第1実施形態とは異なる。
【0057】
(コントローラユニットの構成)
次に第2実施形態に係る給湯装置が備えるコントローラユニットの構成について説明する。図6は、第2実施形態におけるコントローラユニット5の構成例を示すブロック図である。
【0058】
コントローラユニット5は、前述のように、制御装置51および電源装置6を備えている。電源装置6は、ノイズフィルタ61、ダイオードブリッジからなる整流部62、平滑コンデンサC1、負荷用電源部63及び制御用電源部64を備えており、第1実施形態におけるゼロクロス検出回路65を備えていない。
【0059】
図7は、第2実施形態における負荷用電源部63の概略構成の一例を示す図である。図7に示される負荷用電源部63は、図4におけるフォトカプラPC1に代えて、トランジスタTr1を設けている。他の構成は、図4の場合と同様である。トランジスタTr1のベースには、制御用電源部64から切替え信号S3が入力される。
【0060】
図8は、第2実施形態における制御用電源部64の概略構成の一例を示す図である。この第2実施形態における制御用電源部64には、切替え信号生成回路(電圧低下検出回路)73が設けられている。なお、前述の第1実施形態における制御用電源部64の場合には、図8に示す制御用電源部64から、切替え信号生成回路73を無くした構成とすることができる。
【0061】
図8に示す制御用電源部64は、整流部62及び平滑コンデンサC1において整流および平滑された直流電圧V1を、制御装置51の電源電圧となる所定の直流電圧V23(例えば15V)に降圧する回路であり、スイッチングトランスST1を用いたDC−DCコンバータを備えている。制御用電源部64では、スイッチングトランスST1により、1次側の高い電圧V1と、制御装置51に供給する2次側の電圧V23とを電気的に絶縁分離している。スイッチングトランスST1は、一次巻線P1、二次巻線P2及び補助巻線Sを有している。
【0062】
一次巻線P1は、一端が平滑コンデンサC1に接続され、他端が並列接続されたスイッチング素子Q11及びコンデンサC11に接続され、さらに抵抗r11を介してグランドGNDに接続されている。スイッチング素子Q11は、そのゲートがコイルL11、抵抗r13、r14及びダイオードD11を介して制御回路72に接続されており、制御回路72からの制御パルスによってオンオフ制御される。すなわち、制御回路72は、スイッチング素子Q11をオンまたはオフさせる制御パルスのデューティ比を設定するようになっている。スイッチング素子Q11は、ここでは、nチャネルMOSFETで構成されている。
【0063】
そして、この制御回路72は、スイッチングトランスST1の出力側から与えられる帰還電圧(このフィードバック回路は図示せず)に基づいて制御パルスのデューティ比を変化させることによって、スイッチングトランスST1の出力側の電圧(二次巻線P2および補助巻線Sの電圧)が所望の電圧となるようにフィードバック制御を行うようになっている。また、図示していないが、制御回路72は、ノイズフィルタ61の一方の出力線に抵抗及びダイオードを介して接続されており、ノイズフィルタ61の一方の出力電位の立ち上がりによって、交流電源11から電力供給が開始される電源投入時点において起動されるようになっている。
【0064】
二次巻線P2は、一端がダイオードD14および平滑リアクトルL12を介して出力端子TV23に接続され、他端がグランドに接続されている。また、平滑リアクトルL12の両端とグランド間に平滑用のコンデンサC15、C16が接続されている。このコンデンサC15、C16が接続されるグランドは、低電圧側の回路グランドである。
【0065】
この制御用電源部64では、入力電圧V1をスイッチングトランスST1の一次巻線P1および二次巻線P2等を通じて、所定の電圧(例えば、15V)まで降圧させた直流電圧V23を出力端子TV23へ出力し、出力端子TV23から制御装置51へ入力する。
【0066】
また、補助巻線Sの一端は、抵抗r15及びダイオードD12を介して制御電源端子TVccと接続されている。そして、制御電源端子TVccは、制御回路72の電源入力端子に接続されるとともに、並列接続されたコンデンサC12,C13を介して制御回路72のグランド端子とともにグランドGNDに接続されている。制御電源端子TVccには、一次巻線P1および補助巻線S等を通じて、入力電圧V1が降圧された所定の直流電圧Vcc(例えば、20V)が与えられ、この電圧Vccは制御回路72の電源電圧となる。
【0067】
さらに、補助巻線Sには、切替え信号生成回路73が接続されている。ここで、補助巻線Sの一端が、ダイオードD13を介して分圧抵抗r16、r17に接続され、補助巻線Sの一端と他端との間に分圧抵抗r16、r17と並列にコンデンサC14が接続され、補助巻線Sの他端がグランドに接続されている。
【0068】
そして、制御電源端子TVccと補助巻線Sの他端との間に、抵抗r18とツェナーダイオード75とが直列に接続され、ツェナーダイオード75のカソードがオペアンプ74の反転入力端子に接続され、分圧抵抗r16、r17の接続点がオペアンプ74の非反転入力端子に接続されている。オペアンプ74の出力端子は抵抗r19を介して負荷用電源部63のトランジスタTr1のベースに接続されている。
【0069】
この切替え信号生成回路73では、分圧抵抗r16、r17により分圧された電圧Vrが基準電圧(オペアンプ74の反転入力端子の入力電圧)Vsより大きい場合には、トランジスタTr1をオンさせるHレベルの切替え信号S3を出力し、分圧電圧Vrが基準電圧Vsより小さい場合には、トランジスタTr1をオフさせるLレベルの切替え信号S3を出力する。このLレベルの切替え信号S3が電圧低下検出信号である。
【0070】
補助巻線Sの電圧は、一次巻線P1に印加される入力電圧V1の変動に応じて変動するので、補助巻線Sの電圧を分圧した電圧Vrも入力電圧V1の変動に応じて変動する。よって、交流電源11から正常な交流電圧が供給され、入力電圧V1が正常な範囲内の電圧である場合には分圧電圧Vrが基準電圧Vsより大きくなり、交流電源11が停電したり、交流電源11から供給される交流電圧が異常に低下して、入力電圧V1が正常な範囲の下限値(所定電圧)未満の異常な低電圧となった場合には分圧電圧Vrが基準電圧Vsより低くなるように分圧抵抗r16、r17の抵抗値が設定されている。
【0071】
交流電源11に停電や瞬時電圧低下が発生した場合には、切替え信号S3がHレベルからLレベルに切り替わり、負荷用電源部63のトランジスタTr1をオフにする。
【0072】
図7に示す負荷用電源部63では、トランジスタTr1がオフになると、スイッチング素子Q3がオフとなり、第1実施形態で説明したように、プッシュプル方式の動作からシングル方式の動作に切り替わる。
【0073】
この第2実施形態でも、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。第2の実施形態の場合には、瞬時停電の場合だけでなく、瞬時電圧低下の場合にも、プッシュプル方式の動作からシングル方式の動作に切り替えて、給湯装置1の運転を継続することが可能になる。
【0074】
なお、第2実施形態において、交流電源11に代えて、太陽光発電システム等を用いた直流電源から平滑コンデンサC1へ直流電圧が供給される構成であってもよい。この場合、ノイズフィルタ61及び整流部62は不要である。
【0075】
なお、第1、第2実施形態において、負荷用電源部63のスイッチング素子Q3(図4図7)に代えて、リレー等のオン(導通)とオフ(遮断)を切替え可能な素子を用いてもよい。
【0076】
本発明を適用できる給湯装置としては、ガス燃焼加熱式の給湯装置の他、石油燃焼加熱式のもの、ヒートポンプ加熱式のもの、太陽熱を利用するもの、電気ヒータを利用するもの、および、発電装置(燃料電池、あるいは、ガスエンジン等)の排熱を利用するコージェネレーションシステムのもの等、種々の給湯装置がある。
【0077】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。例えば、プッシュプル方式とシングル方式とを相互に切り替えるための回路構成や制御方法は、上記実施形態のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、瞬時停電や瞬時電圧低下が発生しても運転を継続することが可能になる給湯装置等として有用である。
【符号の説明】
【0079】
C1 平滑コンデンサ
Q1,Q2 スイッチング素子
ST1 スイッチングトランス
P1 一次巻線
P2 二次巻線
S 補助巻線
6 電源装置
11 交流電源
22 送風機(負荷機器の一例)
51 制御装置
63 負荷用電源部
64 制御用電源部
65 ゼロクロス検出回路
73 切替え信号生成回路(電圧低下検出回路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8