特許第6677066号(P6677066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677066
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ドアロックシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20200330BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20200330BHJP
   B60R 25/31 20130101ALI20200330BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   B60R25/24
   B60R25/31
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-89255(P2016-89255)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-197964(P2017-197964A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信太郎
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−206237(JP,A)
【文献】 特開2008−25307(JP,A)
【文献】 特開2009−62679(JP,A)
【文献】 特開平9−53353(JP,A)
【文献】 特開2001−98809(JP,A)
【文献】 特開2008−50869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0267239(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0280791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
E05B 77/14−77/20
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアのロックとアンロックとを切り替えるドアロックシステムにおいて、
前記車両ドアの開閉状態を検出する開閉検出部と、
ユーザが車内に乗り込んだか否かを検出する乗車検出部と、
前記開閉検出部を通じて検出される前記車両ドアが閉状態から開状態に移行したことをトリガとして前記車両ドアをアンロックからロックに切り替えるとともに、前記車両ドアが開状態から閉状態に移行したことをトリガとして前記乗車検出部を通じてユーザが車両に乗り込んだか否かを判断し、ユーザが車両に乗り込んだと判断される場合には前記車両ドアのロックを維持し、ユーザが車両に乗り込んでいないと判断される場合には前記車両ドアをロックからアンロックに切り替える制御部とを備えるドアロックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドアロックシステムは、電子キーと車載機との間で無線通信が成立する場合に車両ドアのロックとアンロックとを切り替えるシステムであって、
前記乗車検出部は、
前記電子キーとの間の車内通信を行う車内通信部と、
車両シートへの着座を検出する着座センサとを有し、
前記制御部は、前記車内通信が成立し且つ前記車両シートへの着座が検出されたと判断される場合には前記車両ドアのロックを維持し、前記車内通信が成立しないこと及び前記車両シートへの着座が検出されないことのうち少なくとも一方が判断される場合には、前記車両ドアをロックからアンロックへ切り替えるドアロックシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドアロックシステムにおいて、
前記制御部は、前記車両ドアが閉状態から開状態に移行したことをトリガとして前記車両ドアをアンロックからロックに切り替える制御を実施する自動施錠モードがオンとされている状態と、前記自動施錠モードがオフとされている状態とを有し、
前記制御部における前記自動施錠モードのオンオフを切り替える切替部を備えるドアロックシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のドアロックシステムにおいて、
前記制御部は、車両ドアを開けることが困難となる状況か否かを判断し、車両ドアを開けることが困難となる状況と判断される場合には、前記車両ドアをロックからアンロックに切り替えるドアロックシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のドアロックシステムにおいて、
車両ドアを開けることが困難となる状況を検出する検出部として、車両に衝撃が入力されることを事前に検出するプリクラッシュセンサを備えるドアロックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載装置と電子キーとの間の無線通信を通じて、車両ドアのロックとアンロックとを切り替えるドアロックシステムが周知である(例えば特許文献1参照)。
特許文献1のドアロックシステムでは、ユーザが車両に乗り込んでいることが検出される場合に車両ドアをアンロックからロックに切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−206237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のドアロックシステムでは、ユーザが車両に乗り込んでいることが検出されることが車両ドアをアンロックからロックに切り替える条件の一つとされている。車両ドアを閉めてから車両ドアをロックするか否かを判断していたため、車両ドアをロックするまでに時間を要していた。このように、特許文献1のドアロックシステムは、防犯性の観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、より防犯性の高いドアロックシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、車両ドアのロックとアンロックとを切り替えるドアロックシステムは、前記車両ドアの開閉状態を検出する開閉検出部と、ユーザが車内に乗り込んだか否かを検出する乗車検出部と、前記開閉検出部を通じて検出される前記車両ドアが閉状態から開状態に移行したことをトリガとして前記車両ドアをアンロックからロックに切り替えるとともに、前記車両ドアが開状態から閉状態に移行したことをトリガとして前記乗車検出部を通じてユーザが車両に乗り込んだか否かを判断し、ユーザが車両に乗り込んだと判断される場合には前記車両ドアのロックを維持し、ユーザが車両に乗り込んでいない判断される場合には前記車両ドアをロックからアンロックに切り替える制御部とを備えることを要旨とする。
【0007】
このシステムによれば、ユーザが車両ドアを閉めれば、車両ドアはロックされる。したがって、車外から車両ドアを開けられない状態となる。従来と比較して、車外から車両ドアを開けられる状態から開けられない状態への移行が早いので、より防犯性が高い。また、車両ドアをロックした時点で、ユーザが車両に乗り込んでいない場合には、車両ドアはロックからアンロックに移行するので、車両のユーザの利便性が損なわれることもない。
【0008】
上記システムは、電子キーと車載機との間で無線通信が成立する場合に車両ドアのロックとアンロックとを切り替えるシステムであって、前記乗車検出部は、前記電子キーとの間の車内通信を行う車内通信部と、車両シートへの着座を検出する着座センサとを有し、前記制御部は、前記車内通信が成立し且つ前記車両シートへの着座が検出されたと判断される場合には前記車両ドアのロックを維持し、前記車内通信が成立しないこと及び前記車両シートへの着座が検出されないことのうち少なくとも一方が判断される場合には、前記車両ドアをロックからアンロックへ切り替えることが好ましい。
【0009】
このシステムによれば、車外から車両ドアを開けられるので、電子キーの車内閉じこみを抑制できるので利便性が良い。
上記システムにおいて、前記制御部は、前記車両ドアが閉状態から開状態に移行したことをトリガとして前記車両ドアをアンロックからロックに切り替える制御を実施する自動施錠モードがオンとされている状態と、前記自動施錠モードがオフとされている状態とを有し、前記制御部における前記自動施錠モードのオンオフを切り替える切替部を備えることが好ましい。
【0010】
このシステムによれば、他人数が乗車する場合など自動施錠されると利便性が悪くなることが想定される場合に、自動施錠モードをオフにすることにより、利便性の悪化を抑制することができる。
【0011】
上記システムにおいて、前記制御部は、車両ドアを開けることが困難となる状況か否かを判断し、車両ドアを開けることが困難となる状況と判断される場合には、前記車両ドアをロックからアンロックに切り替えることが好ましい。
【0012】
このシステムによれば、車両の事故時など、車両ドアが開けやすいので、外部から車両ドアを開けて乗客を救出しやすい。
上記システムにおいて、車両ドアを開けることが困難となる状況を検出する検出部として、車両に衝撃が入力されることを事前に検出するプリクラッシュセンサを備えることが好ましい。
【0013】
このシステムによれば、車両に衝撃が入力されることを事前に検出できるので、車両が正常に機能する状態のときに、制御部は、車両ドアをロックからアンロックに切り替えることができる。すなわち、車両に衝撃が入力された時点で、車両ドアはアンロックとされているので、外部から車両ドアを開けやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドアロックシステムは、防犯性が高いという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ドアロックシステムの概略構成を示すブロック図。
図2】ECUの処理手順を示すフローチャート。
図3】ECUの処理手順を示すフローチャート。
図4】ECUの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ドアロックシステムの一実施形態について図面にしたがって説明する。
図1に示すように、ドアロックシステム1は、電子キー2と、車載機3とを備える。
電子キー2は、LF(Low Frequency)帯の無線信号の受信、及びUHF(Ultra Hi Frequency)帯の無線信号の送信が可能とされるとともに、キー固有のIDコードが記憶されたメモリを有する。電子キー2は、IDコードの送信を要求する情報が含まれるリクエスト信号を受信すると、これに対する応答としてIDコードを含ませたレスポンス信号を生成し無線送信する。
【0017】
図1に示すように、車載機3は、ECU11、LF送信部12、UHF受信部13、エアバッグセンサ14、着座センサ15、モード切替SW16、ドアカーテシSW17、及びドアロックASSY20を有する。ECU11を除く各構成は、ECU11と電気的に接続されており、当該ECU11により統括的に制御される。
【0018】
LF送信部12は、車外アンテナ12a及び車内アンテナ12bに接続されている。LF送信部12は、ECU11が生成するリクエスト信号をLF帯に変調する。変調されたリクエスト信号は、車外アンテナ12aを通じて車外エリアに向けて、又は車内アンテナ12bを通じて車内エリアに向けて、それぞれ無線送信される。なお、車内アンテナ12bが車内通信部及び乗車検出部に相当する。
【0019】
UHF受信部13は、受信アンテナ13aに接続されている。UHF受信部13は、受信アンテナ13aにおいて受信されたUHF帯の無線信号を復調する。復調された信号は、ECU11に送られる。
【0020】
エアバッグセンサ14は、車両が設定以上の衝撃を受けた場合に作動する図示しないエアバッグが作動したことを検出する。なお、エアバッグセンサ14は、車両ドアを開けることが困難となる状況を検出する検出部に相当する。
【0021】
着座センサ15は、運転席における着座状態を検出する。なお、着座センサ15は、乗車検出部に相当する。
モード切替SW16は、車内に設けられてユーザに操作されるスイッチである。モード切替SW16が操作されることにより、ECU11の制御状態、すなわち、自動施錠モードのオンオフが切り替えられる。
【0022】
ドアカーテシSW17は、図示しない車両ドアの開閉状態を検出する。なお、ドアカーテシSW17は、開閉検出部に相当する。
ドアロックASSY20は、ラッチ機構21及びロッキング機構22を有する。ドアロックASSY20は、車両ドアに設けられている。
【0023】
ラッチ機構21は、車両のドア開口部に設けられる図示しないストライカと係合する図示しないラッチを含む。ラッチ機構21は、後述するロッキング機構22と機械的に接続されている。ラッチ機構21は、ロッキング機構22を介して車両ドアに設けられるアウトサイドハンドル18及びインサイドハンドル19の操作が伝達される場合、ストライカとラッチとの係合の解消を許容する。この状態で車両ドアを外側に向かって操作すれば、車両ドアを閉状態から開状態へ移行させることができる。なお、ラッチ機構21は、常時、ストライカとラッチとの新規係合が許容されている。すなわち、車両ドアは、常時、開状態から閉状態へ移行させることができる。
【0024】
ロッキング機構22は、ECU11と電気的に接続されているアクチュエータ23を含み、車両ドアに設けられるアウトサイドハンドル18及びインサイドハンドル19と機械的に接続されている。ロッキング機構22は、アクチュエータ23が駆動することにより、アウトサイドハンドル18の操作をラッチ機構21に伝達しないロック状態と、アウトサイドハンドル18の操作をラッチ機構21に伝達するアンロック状態とが切り替えられる。
【0025】
ECU11のメモリ11aには、電子キー2のメモリに記憶されるIDコードと共通のIDコードが記憶されている。また、メモリ11aには、自動施錠モードがオンとされている場合のECU11における処理フローが記憶されている。
【0026】
ECU11は、IDコードの送信を要求する情報を含ませたリクエスト信号を定期的に生成する。当該リクエスト信号は、LF送信部12によりLF帯に変調され、ECU11によって指定されたアンテナ、すなわち、車外アンテナ12a又は車内アンテナ12bを通じて無線送信される。
【0027】
また、ECU11は、UHF受信部13を通じてリクエスト信号に対する応答としてのレスポンス信号を受信すると、このレスポンス信号に含まれるIDコードとメモリ11aに記憶されているIDコードとを照合する。ECU11は、IDコードの照合が成立する場合、車両ドアのロックとアンロックとの切り替えや、エンジンの始動を許可する。
【0028】
ECU11は、自動施錠モードがオンに設定されている状態において、メモリ11aに記憶されている処理フローにしたがって各部の処理を実施する。なお、ECU11は、制御部に相当する。
【0029】
次に、自動施錠モードがオンとされているECU11の処理について、図2及び図3に示すフローチャートを参照して説明する。また、ECU11の処理が実施されることによるドアロックシステム1の効果についても合わせて説明する。なお、説明の簡素化及び処理手順の理解を容易にする観点から、ここでは、運転席ドア(以降D席ドア)以外の車両ドアは全て閉まっているものとして説明する。
【0030】
まず、ドアカーテシSW17を通じてD席ドアが閉状態から開状態に移行したことを検出した場合のECU11の処理について説明する。
図2に示すように、ECU11は、D席ドアが閉状態から開状態へ移行したことをトリガとして、アクチュエータ23を駆動させて、ロッキング機構22をアンロック状態からロック状態に切り替える(ステップS1)。これにより、ロッキング機構22は、アウトサイドハンドル18の操作によるストライカとラッチとの係合解消が不能となる。なお、アンロック状態からロック状態に切り替えは、D席ドアに限らず、全ての車両ドアを対象に行われる。
【0031】
次に、ECU11は、D席ドアが開状態から閉状態に移行したか否かを判断する(ステップS2)。ステップS2でNO、すなわち、D席ドアが開状態のままである場合には、当該ステップS2における処理を繰り返す。
【0032】
ステップS2でYES、すなわち、D席ドアが開状態から閉状態に移行したと判断される場合、ECU11は、車内通信によるIDコードの照合が成立するか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3でYES、すなわち、車内通信によるIDコードの照合が成立する場合、ECU11は、D席への着座が検出されるか否かを判断する(ステップS4)。ステップS4でYES、すなわち、D席への着座が検出された場合、ECU11は、一連の処理を終了する。
【0033】
なお、ステップS3でNO、すなわち、車内通信によるIDコードの照合が成立しない場合、ECU11は、アクチュエータ23を駆動させて、ロッキング機構22をロック状態からアンロック状態に切り替え(ステップS5)、一連の処理を終了する。また、ステップS4でNO、すなわち、D席への着座が検出されない場合、ECU11は、ステップS5に処理を移行した後、一連の処理を終了する。
【0034】
上記一連の処理では、ステップS2でYES、すなわち、D席ドアが開状態から閉状態に移行したとき、ロッキング機構22がロック状態である。ロッキング機構22は、ロック状態であるとき、アウトサイドハンドル18の操作をラッチ機構に伝達しない。したがって、車外にいる者がD席ドアを開けることができない。言い換えると、D席ドアを閉めた瞬間、車外からD席ドアを開けることができなくなる。また、アンロック状態からロック状態に切り替えは、D席ドアに限らず、全ての車両ドアを対象に行われるので、D席ドアを閉めた瞬間、車外から車両ドアを開けることができなくなる。従来よりもD席ドアを閉めてから当該D席ドアを含む車両ドアの車外からの開け操作が不能になるまでの時間が短いため防犯性がよい。
【0035】
なお、ステップS5の処理を経ない場合、すなわち、電子キー2を所持した車両ユーザがD席に着座した場合、ロッキング機構22のロック状態が維持される。
一方、ステップS5の処理を経る場合、すなわち、電子キー2を車内に置き忘れた場合や電子キー2不携帯のまま車両ユーザが車内に乗り込んだ場合には、車外からD席ドアを開けることができる。電子キー2の車内への閉じこみ等が発生しない。
【0036】
次に、エアバッグセンサ14がエアバッグの作動を検出した場合について説明する。
図3に示すように、ECU11は、エアバッグセンサ14がエアバッグの作動を検出したことをトリガとして、ロッキング機構22がアンロック状態であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0037】
ステップS11でYES、すなわち、ロッキング機構22がアンロック状態である場合、ECU11は、一連の処理を終了する。一方、ステップS11でNO、すなわち、ロッキング機構22がロック状態である場合、ECU11は、アクチュエータ23を駆動させて、ロッキング機構22をロック状態からアンロック状態に切り替えて(ステップS12)、一連の処理を終了する。
【0038】
上記一連の処理では、エアバッグが作動するほど衝撃を車両が受けた場合、車外からD席ドアを開けることができる。このため、車両ユーザを車外から救出しやすくなる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0039】
・上記実施形態において、D席ドア以外のドアを処理フローに組み込む場合、ECU11は、図4に示すフローチャートにしたがって処理を行う。
すなわち、図4に示すように、ECU11は、D席ドアが閉状態から開状態へ移行したことをトリガとして、D席ドア以外のドアは閉状態か否かを判断する(ステップS21)。ステップS21でYES、すなわち、D席ドアが閉まった時点でD席ドア以外のドアも閉状態である場合には、ステップS1に処理を移行する。
【0040】
一方、ステップS21でNO、すなわち、D席ドアが閉まった時点でD席ドア以外のドアが開状態である場合には、開状態にあるドアが閉状態に移行したか否かを判断する(ステップS22)。ステップS22でNO、すなわち、閉状態にあるドアが閉状態に移行していない場合には、当該ステップS22における処理を繰り返し、ステップS22でYES、すなわち、開状態にあるドアが閉状態に移行した場合には、ステップS1に処理を移行する。なお、ステップS1以降の処理は、上記実施形態と同様であるため割愛する。
【0041】
このように構成すれば、他人数乗車時においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態において、エアバッグセンサ14に代えて、図1に破線で示すように、プリクラッシュセンサ30を採用してもよい。すなわち、プリクラッシュセンサ30は、車両ドアを開けることが困難となる状況を検出する検出部に相当する。プリクラッシュセンサ30では、車両が衝突する前に当該車両が衝突するか否かを検出することができる。したがって、ECU11は、プリクラッシュセンサ30を使用して、車両が衝突する前に当該車両が衝突する可能性を判断し、衝突する可能性が高いと判断される場合、図3に示す処理をスタートさせることができる。車両が衝突する前は、車両の機能が正常に作動するので、ECU11は、ロッキング機構22をロック状態からアンロック状態に切り替えることができる。このため、衝突後にロッキング機構22をロック状態からアンロック状態に切り替える上記実施形態と比較して、より高い確率でロッキング機構22がアンロック状態であることから、より車両ユーザを車外から救出しやすい。
【0042】
・上記実施形態において、図3に示す処理フローは、ECU11が自動施錠モードとされていることが前提であったが、自動施錠モードでない場合でも適用できる。すなわち、自動施錠モードのオンオフにかかわらず、ロッキング機構22がロック状態であれば、ECU11は、図3に示す処理フローを実施してもよい。
【0043】
・上記実施形態において、ECU11は、必ずしも図3に示す処理フローを実施しなくてもよい。
・上記実施形態において、モード切替SW16は省略してもよい。すなわち、常時、自動施錠モードが機能する状態であってもよい。
【0044】
・上記実施形態において、モード切替SW16を電子キー2に設け、車外にいても自動施錠モードのオンオフを切り替えてもよい。このように構成すれば、車両に向かっている最中に、防犯性を高めたいと感じたときなどに自動施錠モードをオフからオンに切り替えることができるので、防犯性及び利便性の向上が期待できる。
【0045】
・上記実施形態において、ドアカーテシSW17は、車両ドアの開閉検出部の一例であって、各種近接センサやホールセンサ等に代替できる。
・上記実施形態において、車両ユーザが乗車したか否かを着座センサ15によって検出したが、カメラ等他の検出手段に代替してもよい。
【0046】
・上記実施形態において、図2に示すステップS3及びステップS4の判断で、車両ユーザが車両に乗り込んだか否かを判断したが、どちらか一方の判断だけで、車両ユーザが車両に乗り込んだか否かを判断してもよい。
【0047】
・上記実施形態において、図2に示すステップS3,S4の判断は、複数回実施したり所定の時間の間だけ実施したりしてもよい。ノイズ等により電子キー2と車載機3との無線通信が好適に行われなかったり、着座するまでの時間を要して着座センサ15がD席ドアを閉めた直後に着座を検出しなかったりすることが想定される。そこで、ステップS3,S4の判断が複数回実施されるようにすれば、車両ユーザが車内に乗り込んだにもかかわらず、ロッキング機構22がアンロック状態に切り替わることが抑制される。
【0048】
・上記実施形態において、ドアロックASSY20は、ラッチ機構21とロッキング機構22とが分離されている構成とされたが、これらが一体構成とされていてもよい。
・上記実施形態では、D席ドアが開閉される場合について説明したが、他の車両ドアについても適用できる。
【0049】
・上記実施形態は、電子キー2を採用するドアロックシステムに限らず、メカニカルキーを採用するドアロックシステムにも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1…ドアロックシステム、2…電子キー、3…車載機、11…ECU(制御部)、12…LF送信部、12a…車外アンテナ、12b…車内アンテナ、13…UHF受信部、13a…受信アンテナ、14…エアバッグセンサ、15…着座センサ、16…モード切替SW、17…ドアカーテシSW、18…アウトサイドハンドル、19…インサイドハンドル、20…ドアロックASSY、21…ラッチ機構、22…ロッキング機構、23…アクチュエータ、30…プリクラッシュセンサ。
図1
図2
図3
図4