(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、部品を等間隔に整列させた状態で安定的に搬送することができる部品搬送装置および部品搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る部品搬送装置は、
搬送路を振動させて部品を搬送する部品搬送装置であって、
前記搬送路の複数の加振位置にそれぞれ独立して振動を印加する複数の振動発生手段と、
前記振動発生手段のそれぞれに対応して設けられ、前記搬送路の複数の検知位置の振動パラメータをそれぞれ独立して検知する複数の振動検知手段と、
前記複数の振動発生手段のそれぞれを、これらにそれぞれ対応する前記振動検知手段により検知された振動パラメータに基づいてフィードバック制御する制御手段と、を有する。
【0008】
本発明に係る部品搬送装置では、搬送路の複数の検知位置で検知された振動パラメータに基づいて、それぞれ対応する複数の加振位置に印加する振動を制御する。そのため、搬送路上の複数位置における振動をそれぞれ局所的に制御することができ、搬送路の重心位置が変動した場合等であっても、これに、より細かく対応して、全体として最適となるように制御することができる。このため、搬送路上の位置による振動のバラツキやその変動を小さくすることが可能であり、先行する部品に後続の部品が追いついて衝突することがなくなり、部品の整列が乱されなくなり、部品を等間隔で整列させた状態で安定的に搬送することができる。
【0009】
前記複数の振動発生手段は、前記搬送路に略均等となるように分散配置してもよく、前記振動発生手段の1つを前記搬送路の終端部近傍に設置してもよい。また、前記複数の振動検知手段は、前記振動検知手段の1つは、前記搬送路の終端部近傍に設置してもよい。このように構成することで、より効果的に振動のバラツキを低減することが可能となり、安定した搬送を可能とすることができる。
【0010】
前記振動発生手段による加振位置と対応する前記振動検知手段による検知位置とは、近接して配置することが好ましい。加振位置に近接した位置で振動を検知することで、誤差の少ない制御が可能となる
【0011】
前記振動パラメータとして、振幅、周波数および位相のうちの1つ以上を用いることができるが、特に、振幅を用いることが好ましい。この場合において、前記振動発生手段として圧電素子を有するものを用い、前記制御手段は該圧電素子に印加するパルス電圧(パルス幅)を制御してもよい。このように構成することで、より効果的に振幅のバラツキを低減することが可能となり、安定した搬送を可能とすることができる。
【0012】
前記制御手段は、前記複数の振動検知手段のうちの1つをマスター振動検知手段とし、他の振動検知手段が該マスター振動検知手段に追従するように制御してもよい。また、前記制御手段は、予め設定された条件値(目標値)をマスターデータとし、前記複数の振動検知手段がそれぞれ該条件値に近づくように制御してもよい。このように制御することで、より効果的に振動のバラツキを低減することが可能となり、安定した搬送を可能とすることができる。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る部品搬送方法は、
搬送路を振動させて部品を搬送する部品搬送方法であって、
前記搬送路の複数の加振位置にそれぞれ独立して振動を印加し、
前記複数の加振位置にそれぞれ近接する複数の検知位置で振動パラメータをそれぞれ検知し、
前記複数の加振位置に印加する振動のそれぞれを、これらにそれぞれ対応する前記検知位置について検知された振動パラメータに基づいて制御する。
【0014】
本発明に係る部品搬送方法では、搬送路の複数の検知位置で検知された振動パラメータに基づいて、それぞれ対応する複数の加振位置に印加する振動を制御する。このため、搬送路上の複数位置における振動をそれぞれ局所的に制御することができ、搬送路の重心位置が変動した場合等であっても、これに、より細かく対応して、全体として最適となるように制御することができる。このため、搬送路上の位置による振動のバラツキやその変動を小さくすることが可能であり、先行する部品に後続の部品が追いついて衝突することが可なくなり、部品の整列が乱されなくなり、部品を等間隔で整列させた状態で安定的に搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態として、本発明に係る部品搬送装置または部品搬送方法が適用された電子部品の検査・パッケージング装置について、図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、この電子部品の検査・パッケージング装置1は、供給ユニット2、整列ユニット3、搬送ユニット4、検査ユニット5、およびパッケージングユニット6を概略備えて構成されている。整列ユニット3おより搬送ユニット4には、本発明に係る部品搬送装置または部品搬送方法が適用されている。
【0017】
電子部品の検査・パッケージング装置1の各ユニット2〜6の説明に先立ち、
図3および
図4を参照して、検査・パッケージングの対象部品である電子部品について説明する。本実施形態では、電子部品7として、積層セラミックコンデンサ(チップコンデンサ)を対象部品としている。積層セラミックコンデンサは、セラミックからなる誘電体基体(素子本体)71の内部に、複数の内部電極74,75が埋設されて構成されている。誘電体基体71は後述するように複数のセラミックグリーンシートを積層することによって構成されている。
【0018】
誘電体基体71の両端部の外表面には、外部電極としての端子電極72,73が設けられている。内部電極74は、端子電極72に導通されており、内部電極75は端子電極73に導通されている。
【0019】
積層セラミックコンデンサは次のようにして製造される。すなわち、誘電体ペーストからセラミックグリーンシートを形成し、その上に内部電極74,75を形成するための誘電体ペーストを塗布する。そして、それらのセラミックグリーンシートを積層してグリーンシート積層体を作り、グリーンシート積層体をプレスして切断し、そのグリーンシート積層体から複数の直方体状のグリーンチップを得る。そして、グリーンチップに対して、研磨処理や、焼成処理を施し、端子電極72,73を形成する。
【0020】
端子電極72,73は、たとえば、その内側から銅(Cu)、ニッケル(Ni)および錫(Sn)の順に積層された三層構造を有しており、スパッタリング法やメッキ法等を用いて形成することができる。端子電極72,73の厚みは、10〜50μm程度であり、最外層の錫層の厚みは、3〜5μm程度である。このようにして、
図3および
図4に示す電子部品7としての積層セラミックコンデンサが得られる。
【0021】
積層セラミックコンデンサの形状やサイズは、目的や用途に応じて様々であるが、その形状が直方体形状の場合は、縦(0.2〜5.7mm)×横(0.1〜5.0mm)×厚み(0.1〜3.2mm)程度である。
【0022】
なお、上述したような積層セラミックコンデンサは電子部品7の一例であり、電子部品7としては、チップインダクタなどのコイル素子、チップサーミスタなどのセンサ、圧電素子、チップバリスタ、巻線インダクタなどであってもよい。また、端子電極72,73の構成および材質は、特に限定されず、たとえば、最外層として、金(Au)が用いられる場合がある。さらに、本発明の装置と方法は、電子部品の搬送に適用して好適であるが、対象部品は電子部品に限られず、電子部品以外の機械部品やその他のワークの搬送に適用することができる。
【0023】
電子部品7の表面のうち、搬送路(後に説明する底面31a、搬送路34a、搬送路41a)に接触可能な部分(本実施形態では、端子電極72,73の表面)の表面粗さRa1は、算術平均粗さ(Ra)で、0.5〜1.0μm程度である。
【0024】
次に、
図1および
図2を参照して、検査・パッケージング装置1の各ユニット2〜6について説明する。まず、供給ユニット2は、次工程を実施する整列ユニット3の搬送路(本実施形態では、底面31a)に電子部品7を供給する供給工程を実施するユニットであり、ホッパー21およびガイド部材22を備えている。
【0025】
ホッパー21は、多数の電子部品7を貯留可能になっている。ホッパー21の一部には、内部の電子部品7を排出するための排出口21aが形成されており、この排出口21aの近傍に、該排出口21aから排出された電子部品7を、整列ユニット3の搬送路(底面31a)上の所定の位置(供給位置)に導くガイド部材22が設けられている。ガイド部材22は、ガイド底面22aおよびその両側部にガイド側面22b,22bを有している。また、ガイド底面22aはガイド側面22bが形成されていない先端部22cを有している。ガイド底面22aは、先端側が低くなるように、水平方向に対して0度〜10度だけ傾いて設置されている。
【0026】
ホッパー21は、水平方向に対して傾きを変更可能になっており、後述する整列ユニット3のセンサ33からの出力信号に基づいて、ホッパー21の傾きが調整されることにより、しかるべき量の電子部品7を、ガイド部材22を介して、その先端部22cから、整列ユニット3の搬送路(底面31a)上へ供給可能になっている。
【0027】
すなわち、センサ33が、整列ユニット3の搬送路34a上に電子部品7が連続して来ないことを検出した場合には、新しい電子部品7の供給を行うように、ホッパー21による電子部品供給量を制御する。また、センサ33が、整列ユニット3の搬送路34a上に電子部品7が連続して来ていることを検出した場合には、新しい電子部品7の供給を止めるように、ホッパー21による電子部品供給量を制御する。なお、本実施形態では、ホッパー21からの電子部品7を、整列ユニット3の底面31aに供給するように、ガイド部材22が構成されているが、電子部品7の一部を搬送路34aにも供給するように、ガイド部材22が構成されていてもよい。
【0028】
整列ユニット3は、供給ユニット2により供給された電子部品7を、その搬送路(底面31a、搬送路34a)を振動させて搬送しつつ整列させる工程(整列・搬送工程)を実施するユニットである。本実施形態では、整列ユニット3は、振動式ボウルフィーダであり、ボウル31、加振装置(振動動力源)32、およびセンサ33を備えている。
【0029】
ボウル31は、直径80〜200mm程度の有底円筒状をしており、上部に開口を有し、下部に形成してある底面31aと、底面31aから連続して形成される円筒側板31bとによって構成されている。ボウル31は、非磁性材で構成されることが好ましく、たとえばアルミニウムで構成されることが好ましく、少なくとも搬送路(底面31a、搬送路34a)の表面は、耐摩耗性や汚染防止の観点からDLCコーティング、ダイヤモンドコーティング、またはカナック処理等が成されていることが好ましい。
【0030】
ボウル31の内面には、搬送路形成部材34が設けられている。搬送路形成部材34は、底面31aの表面の一部から連続して形成され、円筒側板31bの内周壁に概略沿って、らせん状に傾斜を有して上部開口側に上昇してくるように形成されている。搬送路形成部材34は、上部開口側を向く連続面が、電子部品7の搬送を行う搬送路34aになっている。搬送路形成部材34は、ボウル31と同じ材料で一体に成形されることが好ましいが、別体に形成されて、ボウル31に一体化されてもよい。
【0031】
搬送路34aは、ボウル31の円筒側板31bの内周壁に沿って、底面31aに接する搬送路入口T1から次工程を実施する搬送ユニット4に接続される搬送路出口T2まで連続して形成されている。搬送路34aの全長(搬送路入口T1から搬送路出口T2までの距離)は、搬送路34aとの摩擦による電子部品7へのダメージを少なくするため、2周以下であることが好ましく、本実施形態では、略1周分に相当する全長としている。なお、搬送路34aの全長L、横幅Wおよび周回数は、電子部品の形状・材質や選別の目的に応じて、適宜変更される。搬送路34aは、水平面に対して所定角度θ1で登り傾斜(勾配)になっている。所定角度θ1は、ブレーキ効果を少なくする観点から小さいことが好ましく、5°未満の角度に設定することが好ましいが、小さすぎると全長が長くなる傾向にあり、好ましくは、2〜5°程度に設定される。
【0032】
搬送路(底面31a、搬送路34a)の表面粗さRa2は、電子部品7の表面のうち、該搬送路(底面31a、搬送路34a)に当接可能な部分である端子電極72,73の表面粗さ(本実施形態では、最外層である錫層の表面粗さ)Ra1よりも小さい値に設定されている。搬送路(底面31a、搬送路34a)の表面粗さRa2は、算術平均粗さ(Ra)で、0.1〜0.4μm程度に設定されることが好ましい。搬送路(底面31a、搬送路34a)の表面粗さは、電子部品7の端子電極72,73の表面粗さRa1よりも小さい所望の値となるように、研磨加工することにより、調整することができる。なお、研磨加工後に、DLCコーティング、ダイヤモンドコーティング、またはカナック処理等を施す場合でも、これらの処理後の表面粗さは、加工後の下地の表面粗さに対応した表面粗さとなる。なお、これらの処理後に、表面粗さを調整するために、研磨処理を行ってもよい。
【0033】
搬送路(底面31a、搬送路34a)の表面粗さRa2は、0.1未満では研磨加工のためのコストが高くなるため、これ以上であることが好ましく、0.4μmを越える場合には、電子部品7の搬送路(底面31a、搬送路34a)との摩擦によるダメージが大きくなるおそれがあるため、これ以下であることが好ましい。ただし、電子部品7の表面粗さRa1よりも小さい値であれば、0.4μmを越える値に設定してもよい。なお、本実施形態では、後述する搬送ユニット4の搬送路41aの表面粗さRa2も、搬送路(底面31a、搬送路34a)と同様に設定されている。
【0034】
搬送路34aの搬送路出口T2の上流側の近傍には、選別部Sが設けられている。選別部Sは、図示は省略しているが、たとえば、切欠き、段差、突起、ガイド等の一つまたは複数を有しており、電子部品7の姿勢を所望の向きに誘導(矯正)し、または所望の向きになっていない電子部品7を搬送路34aから底面31aに落下させ、結果的に、搬送路34aの搬送路出口T2において、電子部品7を所定の姿勢で一定間隔で整列させる。なお、底面31aへ落下した電子部品7は、搬送路34a上を再度登っていくことにより、整列される。
【0035】
ボウル31の底面31aは、供給ユニット2により供給された電子部品7が外側に誘導されるように、中央部が高く、周囲に行くに従って低くなるような形状とされている。ボウル31は、底面31aの裏面側が不図示の支持用の板バネ等を介して加振装置32に対して弾性的に支持・固定されている。
【0036】
加振装置32は、
図6に示すように、それぞれ独立してボウル31に振動を印加する4つの加振アクチュエータ(第1〜第4加振アクチュエータAC1〜AC4)を備えている。なお、加振アクチュエータの数は複数であればよく、2つ、3つ、または4つ以上でもよい。各加振アクチュエータAC1〜AC4は、それぞれ圧電(ピエゾ)素子(第1〜第4圧電素子PE1〜PE4)と、加振用の板バネ(第1〜第4板バネLS1〜LS4)とを備えている。
【0037】
各板バネLS1〜LS4の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、短冊状の板材の上端部および下端部を折り曲げて略Z字状に構成されている。各板バネLS1〜LS4の上端部はボウル31の底面31aの裏面側に不図示のボルト等により固定されており、各板バネLS1〜LS4の下端部は加振装置32の筐体の内部の底面に同じく不図示のボルト等により固定されている。各圧電素子PE1〜PE4は対応する板バネLS1〜LS4の中間部分にそれぞれ一体的に取り付けられている。
【0038】
各加振アクチュエータAC1〜AC4は、それぞれの板バネLS1〜LS4がボウル31の外周の接線に略平行な方向に弾性変形可能なように、その板面(圧電素子PE1〜PE4が取り付けられた面)の短手方向がボウル31の半径方向に沿うように放射状に配置されている。
【0039】
また、各加振アクチュエータAC1〜AC4は、互いに不等間隔に設けられてもよいが、好ましくは略等角度間隔(本実施形態では、4つ設けられるため、略90度間隔)となるように分散配置されている。また、4つの加振アクチュエータAC1〜AC4のうちの1つ(本実施形態では、加振アクチュエータAC4)は、搬送路34aの搬送路出口T2(
図1参照)の近傍に設けられている。
【0040】
また、
図5および
図6に示すように、ボウル31の円筒側面31bの外面には、各加振アクチュエータAC1〜AC4のそれぞれに対応して、振動検知センサ(第1〜第4振動検知センサVS1〜VS4)が取り付けられている。これらの振動検知センサVS1〜VS4は、ボウル31の当該センサVS1〜VS4が取り付けられた位置(検知位置)における振動パラメータ(振幅、周波数および位相)を、それぞれ独立して検出することができるセンサである。
【0041】
振動検知センサVS1〜VS4としては、特に限定されないが、たとえば加速度センサを用いることができ、この場合の加速度センサとしては、半導体方式のものを用いることができる。振動検知センサVS1〜VS4として、加速度センサを用いる場合には、検出された加速度に基づいて、制御に用いる振動パラメータ(振幅、周波数および位相のうちの1つまたは複数)を算出して用いることになる。なお、本実施形態においては、制御に用いる振動パラメータは、振幅であるものとする。
【0042】
これらの振動検知センサVS1〜VS4も、加振アクチュエータAC1〜AC4と同様に、互いに略等角度間隔(本実施形態では、4つ設けられるため、略90度間隔)となるように分散配置されている。4つの振動検知センサVS1〜VS4のうちの1つ(本実施形態では、振動検知センサVS4とする)は、搬送路34aの搬送路出口T2(
図1参照)の近傍に設けられている。
【0043】
各振動検知センサVS1〜VS4は、それぞれ対応する加振アクチュエータAC1〜AC4による加振位置(板バネLS1〜LS4の上端部が取り付けられた位置の中心)になるべく近い位置における振動を検出できるように、それぞれ対応する加振アクチュエータAC1〜AC4による当該加振位置の近傍に設けられることが好ましい。本実施形態では、各振動検知センサVS1〜VS4は、ボウル31の中心と対応する加振アクチュエータAC1〜AC4による加振位置を結ぶ仮想線の延長線上に配置されている。なお、各振動検知センサVS1〜VS4は、ボウル31の底面31aの裏面において、対応する加振アクチュエータAC1〜AC4に隣接して設けるようにしてもよい。
【0044】
ボウル31が各振動アクチュエータAC1〜AC4によって加振されることによって、ボウル31の底面31aおよび搬送路34a上の電子部品7は、
図1に示すように、底面31aの外周に誘導されるとともに、搬送路34aの搬送路入口T1に向けて搬送され、搬送路34aの搬送路入口T1から搬送路出口T2へ向けて搬送される。
【0045】
図1に示すセンサ33は、選別部Sによる選別開始位置と供給ユニット2による電子部品7の供給位置との間に配置されている。センサ33は、電子部品7の供給位置の近くに配置されることが好ましい。センサ33は、たとえば、光電センサで構成され、搬送路34a上の検出位置に電子部品7が存在しているか否かを検出する。
【0046】
次に、整列ユニット3における制御系について説明する。整列ユニット3の制御系は、
図7に示すように、各圧電素子もしくは電磁コイルPE1〜PE4および各振動検知センサVS1〜VS4について、それぞれ制御部(第1〜第4制御部SC1〜SC4)および駆動部(第1〜第4駆動部DC1〜DC4)を備えているとともに、各制御部SC1〜SC4の上位でこれらを統括的に制御する主制御部MC1を備えている。
【0047】
各振動検知センサVS1〜VS4による検出値(振動パラメータ)は、これらにそれぞれ対応する制御部SC1〜SC4に入力され、該制御部SC1〜SC4により該検出値が予め設定された目標値(条件値)となるように、対応する駆動部DC1〜DC4を介して、対応する加振アクチュエータAC1〜AC4の圧電素子もしくは電磁コイルPE1〜PE4に印加される電圧(または供給される電流)がフィードバック制御(PID制御)される。なお、本実施形態では、振幅、周波数および位相の3つの振動パラメータのうち、振幅を用いてフィードバック制御するようにしている。ただし、振幅に加えて、他の振動パラメータ(周波数および/または位相)をも用いてフィードバック制御するようにしてもよい。
【0048】
本実施形態では、各制御部SC1〜SC4でフィードバック制御に用いる条件値または目標値(本実施形態では振幅に係る条件値または目標値)は、設計的にまたは実験的に予め求められた値であって、互いに同じ値を固定的に用いるものとするが、それぞれについての最適値を固定的に用いる、すなわち互いに異なる値(結果的に同じ値になる場合がある)を用いてもよい。
【0049】
また、各振動検知センサVS1〜VS4のうちの一つ(本実施形態では、搬送路出口T2付近に設けられる振動検知センサVS4とする)をマスターセンサとして、他の振動検知センサ(振動検知センサVS2〜VS4)が該マスターセンサVS4に追従するように制御するようにしてもよい。すなわち、予め設定された周波数および振幅(電圧および電流値)にて加振させ、マスターとなる振動検知センサVS4による検出値を基に他の振動検知センサVS1〜VS3に対応する加振アクチュエータAC1〜AC3および制御する各制御部SC1〜SC3へフィードバックを行い、全体が均一な振動を得られる様に制御する。
【0050】
図1および
図2において、搬送ユニット4は、整列ユニット3により所定の姿勢に整列された電子部品7を、次工程を実施する検査ユニット5まで直線的に搬送するユニットであり、本実施形態では、振動式リニアフィーダを用いている。搬送ユニット4は、整列ユニット3の搬送路34aの搬送路出口T2から検査ユニット5まで直線的に伸びる搬送トラフ41および搬送トラフ41に振動を付与する加振装置(振動動力源)42を備えている。搬送トラフ41は、直線状の搬送路41aおよびその両側部に立設された側壁41b,41bを有している。
【0051】
搬送トラフ41は、非磁性材で構成されることが好ましく、たとえばアルミニウムで構成されることが好ましく、少なくとも搬送路41aの表面は、耐摩耗性や汚染防止の観点から、DLCコーティング、ダイヤモンドコーティング、またはカナック処理等が成されていることが好ましい。上述した整列ユニット2のボウル31の場合と同様である。また、搬送路41aの表面粗さRa2は、算術平均粗さ(Ra)で、0.1〜0.4μm程度に設定することができる。しかも、搬送路41aの表面粗さRa2は、上述した整列ユニット2の搬送路(底面31a、搬送路34a)の表面粗さと同様に、電子部品7の該搬送路41aに当接可能な部分である端子電極72,73の表面粗さRa1よりも小さい値に設定されている。
【0052】
搬送トラフ41は、搬送路41aの裏面側が不図示の支持用の板バネ等を介して加振装置42に対して弾性的に支持・固定されている。
【0053】
加振装置42は、
図8に示すように、それぞれ独立して搬送トラフ41に振動を印加する2つの加振アクチュエータ(第5、第6加振アクチュエータAC5,AC6)を備えている。なお、加振アクチュエータの数は複数であればよく、3つ以上でもよい。各加振アクチュエータAC5,AC6は、それぞれ圧電(ピエゾ)素子(第5、第6圧電素子PE5,PE6)と、加振用の板バネ(第5、第6板バネLS5,LS6)とを備えている。
【0054】
各板バネLS5,LS6の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、短冊状の板材の上端部および下端部を折り曲げて略Z字状に構成されている。各板バネLS5,LS6の上端部は搬送トラフ41の底面41aの裏面側に不図示のボルト等により固定されており、各板バネLSの下端部は加振装置42の筐体の底面に同じく不図示のボルト等により固定されている。各圧電素子PE5,PE6は対応する板バネLS5,LS6の中間部分に一体的に取り付けられている。
【0055】
各加振アクチュエータAC5,AC6は、それぞれの板バネLS5,LS6が搬送トラフ41の延在方向に略平行な方向に弾性変形可能なように、その板面(圧電素子PE5,PE6が取り付けられた面)の短手方向が搬送路41aの短手方向に略一致するように配置されている。また、各加振アクチュエータAC5,AC6は、その一方AC5が搬送トラフ41の搬送路入口(整列ユニット2側)の近傍に設けられ、その他方AC6が搬送トラフ41の搬送路出口(検査ユニット5側)の近傍に設けられている。加振アクチュエータを3つ以上設ける場合には、互いに略等間隔となるように分散配置されることが好ましい。
【0056】
また、
図5および
図8に示すように、搬送トラフ41の側壁41bの一方の外面には、各加振アクチュエータAC5,AC6のそれぞれに対応して、振動検知センサ(第5、第6振動検知センサVS5,VS6)が取り付けられている。これらの振動検知センサVS5,VS6は、搬送トラフ41の当該センサVS5,VS6が取り付けられた位置(検知位置)における振動パラメータ(振幅、周波数および位相)をそれぞれ独立して検出するセンサである。
【0057】
振動検知センサVS5,VS6としては、たとえば加速度センサを用いることができ、この場合の加速度センサとしては、半導体方式のものを用いることができる。振動検知センサVS5,VS6として、加速度センサを用いる場合には、検出された加速度に基づいて、制御に用いる振動パラメータ(振幅、周波数、位相)を算出して用いることになる。なお、本実施形態においては、制御に用いる振動パラメータは、振幅であるものとする。
【0058】
各振動検知センサVS5,VS6は、それぞれ対応する加振アクチュエータAC5,AC6による加振位置(板バネLSの上端部が取り付けられた位置の中心)になるべく近い位置における振動を検出できるように、それぞれ対応する加振アクチュエータAC5,AC6の近傍に設けられることが好ましい。なお、各振動検知センサVS5,VS6は、搬送トラフ41の搬送路41aの裏面において、対応する加振アクチュエータAC5,AC6に隣接して設けるようにしてもよい。
【0059】
搬送トラフ41が各振動アクチュエータAC5,AC6により加振されることによって、搬送トラフ41の搬送路41a上の電子部品7は、
図1に示すように、搬送路41aに沿って搬送路41aの搬送路入口から搬送路出口に向けて搬送される。
【0060】
次に、搬送ユニット4における制御系について説明する。搬送ユニット4の制御系は、
図9に示すように、各圧電素子PE5,PE6および各振動検知センサVS5,VS6について、それぞれ制御部(第5、第6制御部SC5,SC6)および駆動部(第5、第6駆動部DC5,DC6)を備えているとともに、各制御部SC5,SC6の上位でこれらを統括的に制御する主制御部MC2を備えている。
【0061】
各振動検知センサVS5,VS6による検出値は、これらにそれぞれ対応する制御部SC5,SC6に入力され、該制御部SC5,SC6により該検出値が予め設定された目標値(条件値)となるように、対応する駆動部DC5,DC6を介して、対応する加振アクチュエータAC5,AC6の圧電素子PE5,PE6に印加される電圧(または供給される電流)がフィードバック制御(PID制御)される。なお、本実施形態では、振幅、周波数および位相の3つの振動パラメータのうち、振幅を用いてフィードバック制御するようにしている。ただし、振幅に加えて、他の振動パラメータ(周波数および/または位相)をも用いてフィードバック制御するようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、各制御部SC5,SC6でフィードバック制御に用いる目標値(振幅の目標値)は、互いに同じ値を固定的に用いるものとするが、それぞれについての最適値を固定的に用いる、すなわち互いに異なる値(結果的に同じ値になる場合がある)を用いてもよい。
【0063】
また、各振動検知センサVS5,VS6のうちの一つ(本実施形態では、搬送路出口付近に設けられる振動検知センサVS6とする)をマスターセンサとして、他の振動検知センサ(振動検知センサVS5)が該マスターセンサVS6に追従するように制御するようにしてもよいのは、上述した整列ユニット3の制御の場合と同様である。
【0064】
図1に示すように、加振装置42による振動を受けて、搬送トラフ41の搬送路41a上の電子部品7は、搬送路41aに沿って、整列ユニット3(ボウル31)の搬送路出口T2に接続された搬送路入口から、検査ユニット5側の搬送路出口に向かう方向に一定間隔で整列した状態で搬送される。
【0065】
なお、本実施形態では、搬送ユニット4として、単一のリニアフィーダを用いるものとしたが、2組のリニアフィーダを互いに逆方向に給送するように組み合わせ、部品を循環させるようにした循環式リニアフィーダであってもよい。
【0066】
図1および
図2において、検査ユニット5は、搬送ユニット4により搬送された電子部品7の外観を検査する検査工程を実施するためのユニットであり、搬送ユニット4の搬送路41a上を搬送される電子部品7の外観を撮像する撮像素子51および電子部品排除装置(不図示)を備えている。撮像素子51により撮像された画像は、フィルタリング等の画像処理が行われ、端子電極72,73の表面に欠陥(最外層の錫層の剥がれ)が有るか否かが判定される。
【0067】
欠陥(最外層の錫層の剥がれ)の有無は、電子部品7を撮像した場合に、端子電極72,73の表面に黒ずみとして現れる部分があるか否かを画像処理することなどにより判定される。検査ユニット5において、欠陥がある(不良)と判定された電子部品7は電子部品排除装置により搬送路41aから排除され、欠陥がない(良品)と判定された電子部品7は、そのまま次工程を実施するパッケージングユニット6に送られる。
【0068】
パッケージングユニット6は、検査ユニット5により良品と判定された電子部品7をパッケージング(包装)するパッケージング工程を実施するためのユニットである。パッケージングユニット6は、図示は省略しているが、キャリアテープ送り装置、トップテープ(カバーテープ)送り装置、電子部品投入装置、アイロン装置等を備えている。
【0069】
キャリアテープ送り装置により送られるキャリアテープは、長尺で薄い帯状の部材であり、キャリアテープには、電子部品7を収容するための複数の凹部(電子部品収納室)がその長手方向に等間隔で配列形成されている。該凹部は、電子部品7を収納できる大きさの形状を有し、本実施形態では電子部品7が直方体状であるため、それに応じて直方体状の凹部として構成されている。トップテープ送り装置により送られるトップテープは、キャリアテープの上面(凹部の開口側の面)に分離可能に貼り付けられる帯状の部材であり、キャリアテープと略同幅で同様に長尺の部材である。
【0070】
キャリアテープは凹部の開口側を上に向けた状態で、キャリアテープ送り装置により該キャリアテープが巻回されたリールから引き出されて、コマ送り的に搬送される。キャリアテープの各凹部には、検査ユニット5で良品と判定された電子部品7が、電子部品投入装置により該キャリアテープのコマ送りと同期して順次に投入される。トップテープは、トップテープ送り装置により該トップテープが巻回されたリールから引き出されて、キャリアテープの電子部品7が収納された凹部の開口側を閉塞するように配置された状態で、キャリアテープと同様にコマ送り的に搬送される。この状態で、アイロン装置により、キャリアテープとトップテープとが凹部の開口の外側部分の一部または全部が加熱および加圧されることにより、互いに熱圧着される。凹部に電子部品7が収納された状態で、トップテープが熱圧着されたキャリアテープは、巻取リールに巻き取られるようになっている。
【0071】
上述した実施形態によれば、本発明が適用された部品搬送装置としての整列ユニット3において、複数の振動検知センサVS1〜VS4によるそれぞれの検知位置で検知された振動パラメータ(本実施形態では、振幅)に基づいて、それぞれ対応する複数の加振アクチュエータAC1〜AC4による加振位置に印加する振動を、制御部SC1〜SC4がそれぞれフィードバック制御するようにしている。
【0072】
したがって、搬送路34a上の複数位置における振動をそれぞれ局所的に制御することができ、供給ユニット2による電子部品7のボウル31内への供給(投入)等により、ボウル31の重心位置が変動した場合であっても、これに、より細かく対応して、全体として最適となるように制御することができる。
【0073】
このため、搬送路34a上の位置による振幅のバラツキやその変動を小さくすることが可能であり、先行する電子部品7に後続の電子部品7が追いついて衝突することがなく、電子部品7の姿勢が乱れず、電子部品7の整列が阻害されなくなる。そのため、電子部品7を等間隔で所望の姿勢で整列させた状態で、次工程(搬送ユニット4による部品搬送工程)に渡すことができる。
【0074】
特に、本実施形態の整列ユニット3では、加振アクチュエータAC1〜AC4および振動検知センサVS1〜VS4を、略等角度間隔で分散配置しているため、搬送路34aの全体に渡ってバラツキの少ない略均一な振幅を得ることができる。
【0075】
また、本実施形態の整列ユニット3では、加振アクチュエータAC1〜AC4および振動検知センサVS1〜VS4の一組を、搬送路34aの終端部(搬送路出口T2)近傍に設置しているため、搬送路34aの少なくとも該終端部近傍において、最適な振幅を得ることが可能であり、電子部品7を等間隔で整列させた状態で、次工程(搬送ユニット4による部品搬送工程)に渡すことができる。
【0076】
さらに、本実施形態の整列ユニット3では、加振アクチュエータAC1〜AC4による加振位置と対応する振動検知センサVS1〜VS4による検知位置とを近接して配置しているため、加振位置に近接した位置の振動を検知することができ、誤差の少ない制御が可能となる。
【0077】
また、上述した実施形態によれば、本発明が適用された部品搬送装置としての搬送ユニット4において、複数の振動検知センサVS5,VS6によるそれぞれの検知位置で検知された振動パラメータ(本実施形態では、振幅)に基づいて、それぞれ対応する複数の加振アクチュエータAC5,AC6による加振位置に印加する振動を、制御部SC5,SC6がそれぞれフィードバック制御するようにしている。
【0078】
したがって、搬送路41a上の複数位置における振動をそれぞれ局所的に制御することができ、全体として最適となるように制御することができる。このため、搬送路41a上の位置による振幅のバラツキやその変動を小さくすることが可能であり、先行する電子部品7に後続の電子部品7が追いついて衝突せず、電子部品7の姿勢が乱れない。そのため、電子部品7の整列が阻害されず、電子部品7を等間隔で所望の姿勢で整列させた状態で、次工程(検査ユニット5による部品検査工程)に渡すことができる。
【0079】
特に、本実施形態の搬送ユニット4では、加振アクチュエータAC5,AC6および振動検知センサVS5,VS6の一組を、搬送路41aの終端部(搬送路出口)近傍に設置しているため、搬送路41aの少なくとも該終端部近傍において、最適な振幅を得ることが可能である。そのため、電子部品7を等間隔で整列させた状態で、次工程(検査ユニット5による部品搬送工程)に渡すことができる。
【0080】
また、本実施形態の搬送ユニット4では、加振アクチュエータAC5,AC6による加振位置と対応する振動検知センサVS5,VS6による検知位置とを近接して配置しているため、加振位置に近接した位置の振動を検知することができ、誤差の少ない制御が可能となる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、搬送路(底面31a、搬送路34a、搬送路41a)の表面粗さRa2が、電子部品7の該搬送路(底面31a、搬送路34a、搬送路41a)に当接可能な部分(端子電極72,73)の表面粗さRa1よりも小さい値に設定されている。このため、電子部品7の搬送中に、電子部品7の表面(端子電極72,73の表面)の一部が搬送路(底面31a、搬送路34a、搬送路41a)との摩擦により削れてしまうことが少なくなる。これにより、電子部品7の搬送に伴う欠陥(端子電極72,73の最外層である錫層の削れ(内層であるニッケル層の露出)など)の発生を少なくすることができる。
【0082】
また、電子部品7の表面が搬送路(底面31a、搬送路34a、搬送路41a)との摩擦により削れてしまうことが少なくなるので、削れカスが搬送路(底面31a、搬送路34a、搬送路41a)の表面に付着して、安定した搬送を阻害することも抑制され、経時的に安定した搬送を行うことができる。
【0083】
さらに、端子電極72,73の最外層である錫層が削れて内層であるニッケル層の露出には至らないまでも、端子電極72,73の最外層の表面の一部が削れてしまった場合であっても、当該削れた部分の表面粗さは、削れない部分の表面粗さ(Ra1)よりも小さい。このため、削れた部分が外観検査において、光の乱反射により、黒ずみとして検出されるおそれが少なくなる。そのため、検査時において、不良品ではない製品に対して、端子電極72,73の最外層である錫層の剥がれ(内層であるニッケル層の露出)に基づく黒ずみとして観察されることが少なくなる。その結果、本来的に欠陥とする必要のないものを欠陥と判定してしまうことを少なくでき、この点でも、製造歩留まりの向上を図ることもできる。
【0084】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。