(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、板状の防滴板を設ける場合には、防滴板を設けるためのスペースが必要になり、電気機器の大型化を招いてしまう。そこで、電気機器の小型化の要求が強い場合には電気機器の大型化を抑制できる防滴構造が必要になるが、このような防滴構造としては、例えば防滴板の固定端にヒンジを設けて防滴しなければならない時だけ防滴板で庇をつくる構造が考えられる。ところが、ヒンジなどの機構を防滴構造に組み込むと、防滴構造が高価なものとなる。
【0004】
本発明の課題は、電気機器の大型化を抑制しつつ低コストで良好な防滴機能を電気機器に付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る電気機器は、水から保護すべき電気接点と、固定端が第1方向に配置されるとともに自由端が第1方向に対して反対方向の第2方向に配置されて電気接点を覆い、遮水性及び可撓性を有するフィルム状の第1シートカバーと、固定端が第1方向に配置されるとともに自由端が第2方向に配置されて第1シートカバーの上からさらに電気接点を覆い、遮水性及び可撓性を有するフィルム状の第2シートカバーとを備え、第1シートカバー及び第2シートカバーを撓ませて第1シートカバーの自由端及び第2シートカバーの自由端を第1方向に向って捲り上げることができ、第1シートカバーの自由端及び第2シートカバーの自由端を解放すると弾性力によって元に戻るように構成されている。
【0006】
第1観点に係る電気機器によれば、第1シートカバー及び第2シートカバーは可撓性があることから、フィルム状の第1シートカバー及び第2シートカバーを極めて狭いスペースに収納できる。第1シートカバー及び第2シートカバーを撓ませて第1シートカバーの自由端及び第2シートカバーの自由端を第1方向に向って捲り上げることができ、第1シートカバーの自由端及び第2シートカバーの自由端を解放すると第1シートカバー及び第2シートカバーの弾性力によって元に戻るように構成されていることから、例えばヒンジなどの器具を用いなくても防滴構造を構成できる。また、第1シートカバーの上にさらに電気接点を覆う第2シートカバーが設けられていることから、例えば第1シートカバーを作業者が変形させて水を防ぎ切れない状態になっても第2シートカバーで防ぐことができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る電気機器は、第1観点に係る電気機器において、第1シートカバーの自由端が、第2シートカバーの自由端よりも第2方向において第1シートカバーの固定端から遠くにある、ものである。
【0008】
第2観点に係る電気機器によれば、第1シートカバーの自由端が第2シートカバーの自由端よりも第2方向において遠くにあることから、もし第1シートカバーの自由端が引っ掛かっても第1シートカバーと同時に第2シートカバーの自由端が引っ掛かる可能性が小さくなる。
【0009】
本発明の第3観点に係る電気機器は、第2観点に係る電気機器において、第1方向が上方であり、第2方向が下方であり、第1シートカバーの自由端が第1シートカバーの下端であり、第2シートカバーの自由端が第2シートカバーの下端であり、第1シートカバーの下端が第2シートカバーの下端よりも下にある、ものである。
【0010】
第3観点に係る電気機器によれば、自由端である第1シートカバーの下端が第2シートカバーの下端よりも下にあることから、もし第1シートカバーの下端が引っ掛かっても第1シートカバーの下端と同時に第2シートカバーの下端が引っ掛かる可能性が小さくなるので、第1シートカバーの下端が引っ掛かっても第2シートカバーが庇のようになって上から降り掛かる水に対して良好な防滴機能を確保することができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る電気機器は、第3観点に係る電気機器において、第2シートカバーは、第1シートカバーよりも水平方向の長さが長い、ものである。
【0012】
第4観点に係る電気機器によれば、第2シートカバーが第1シートカバーよりも水平方向の長さが長いことから、第1シートカバーが引っ掛かっても、第1シートカバーが凸状に撓んで第2シートカバーを持ち上げて第1シートカバーよりも水平方向に長い領域を第2シートカバーが覆うことができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る電気機器は、第1観点から第4観点のいずれかに係る電気機器において、第1シートカバー及び第2シートカバーは、いずれも透明のプラスチックフィルムからなる、ものである。
【0014】
第5観点に係る電気機器によれば、第1シートカバー及び第2シートカバーがプラスチックフィルムからなることからコストを下げやすくなり、また、第1シートカバー及び第2シートカバーが透明のプラスチックフィルムからなることから第1シートカバー及び第2シートカバーを透して電気接点の周辺を確認できる。
【0015】
本発明の第6観点に係る電気機器は、第5観点に係る電気機器において、電気接点は、着脱自在の電気ユニットに接続されるコネクタ付きワイヤハーネスのコネクタに含まれる、ものである。
【0016】
第6観点に係る電気機器によれば、電気接点が着脱自在の電気ユニットに接続されるワイヤハーネスのコネクタに含まれることから、コネクタ付きワイヤハーネスが第1シートカバーに引っ掛かったとしても第2シートカバーがコネクタの上を覆うことができる。
【0017】
本発明の第7観点に係る電気機器は、第6観点に係る電気機器において、電気ユニットは、放電によって活性種を発生させる放電ユニットを含む、ものである。
【0018】
第7観点に係る電気機器によれば、電気接点が活性種を発生する放電ユニットに接続されることから、高い電圧が印加される電気接点に対して第1シートカバー及び第2シートカバーが防滴機能を発揮することになる。
【0019】
本発明の第8観点に係る電気機器は、第1観点から第7観点のいずれかに係る電気機器において、電気接点は、外部から吸い込まれて機器内部を通って外部に向って空気を吹き出すための気流の通路に配置され、第1シートカバー及び第2シートカバーは、通路に通じる通気口に配置されている。
【0020】
第8観点に係る電気機器によれば、気流の通路に電気接点が配置されていることから、通気口を通って通路に入り込む水を第1シートカバー及び第2シートカバーで防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点に係る電気機器では、電気機器の大型化を抑制しつつ低コストで良好な防滴機能を電気機器に付与することができる。
【0022】
本発明の第2観点または第3観点に係る電気機器では、良好な防滴機能を確保し易くなる。
【0023】
本発明の第4観点に係る電気機器では、上から降り掛かる水を防ぐ範囲を広げることができる。
【0024】
本発明の第5観点に係る電気機器では、電気接点に係る作業の作業性が向上する。
【0025】
本発明の第6観点に係る電気機器では、電気接点が第1シートカバーに引っ掛かり易いコネクタ付きワイヤハーネスに含まれる場合でも、良好な防滴機能を維持することができる。
【0026】
本発明の第7観点に係る電気機器では、電気機器の安全性を向上させることができる。
【0027】
本発明の第8観点に係る電気機器では、通気口を有する構造を持つ電気機器の小型化が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(1)全体構成
以下、本発明の実施形態に係る電気機器の一例として空気清浄機について図を用いて説明する。
図1には、前方左斜めから見た空気清浄機1の外観が示されている。
図2には、空気清浄機1の下部の内部構造が示されている。
【0030】
空気清浄機1は、前面パネル11、側面パネル12、天面パネル13及び外部吸込グリル15を備えている。吸込口21は、格子を並べて構成された外部吸込グリル15によって通気可能に覆われている。また、吸込口21には、比較的大きな塵埃を取り除くためのプレフィルタ22が取り付けられている。プレフィルタ22は、例えばポリプロピレン製の糸を張り巡らせたネットとネットを支持するフレームとを有している。矢印AR1の向きに、吸込口21から空気清浄機1の中に室内空気が吸い込まれる。側面パネル12には、外部吸込グリル15、樹脂ケース組立体31及び上部フレーム32が嵌め込まれている。図示を省略しているが、空気清浄機1の天面には吹出口が設けられている。天面パネル13には、格子を並べて構成された吹出グリル(図示せず)が取り付けられている。吹出口は、吹出グリルによって通気可能に覆われている。吹出口から吹き出される気流は、矢印AR2に示されているように、空気清浄機1の真上の方向に向って吹き出される。
【0031】
また、空気清浄機1は、
図2に示されているように、その内部に、HEPAフィルタ25と脱臭フィルタ26とシロッコファン90とを備えている。シロッコファン90は、空気清浄機1の底部に設置されている。このシロッコファン90によって矢印AR1,AR2で示された向きの気流が発生する。HEPAフィルタ25及び脱臭フィルタ26は、シロッコファン90の上方に設けられている。シロッコファン90によって吸込口21から吸い込まれ、プレフィルタ22を通過して上方に吹き上げられる気流は、全てHEPAフィルタ25及び脱臭フィルタ26を順に通過する。これらHEPAフィルタ25及び脱臭フィルタ26を通過して清浄化された気流が空気清浄機1の上部の吹出口から吹き出される。
【0032】
HEPAフィルタ25の上流には、ストリーマ放電ユニット5が設置されている。ストリーマ放電ユニット5は、ストリーマ放電を発生させることができ、ストリーマ放電によって活性種を生成することができる。ストリーマ放電ユニット5で生成された活性種は、HEPAフィルタ25に吸い込まれる空気に供給される。
【0033】
HEPAフィルタ25は、プリーツフィルタであり、プレフィルタ22で集塵できない非常に細かい塵埃を取り除くことができる。例えば、いわゆるPM2.5のような微小粒子状物質を捕らえることができる。
【0034】
脱臭フィルタ26は、例えば活性炭などを含むように構成されており、HEPAフィルタ25を通過した空気中から例えば臭気成分、排ガス、及びホルムアルデヒドなどの室内空気汚染物質を吸着することができるように構成されている。脱臭フィルタ26に吸着された例えば臭気成分、排気ガス及び室内空気汚染物質には、自然に分解され難いものがある。ストリーマ放電ユニット5から供給される活性種は、脱臭フィルタ26に吸着された臭気成分などを分解する機能を有している。なお、脱臭フィルタ26には、活性種による分解機能を高めるための触媒が担持されてもよい。このような触媒としては、例えば、マンガン系の触媒及び貴金属系の触媒がある。
【0035】
脱臭フィルタ26は、樹脂ケース組立体31の中の枠体に支持されている。この樹脂ケース組立体31を引き出すことにより、脱臭フィルタ26を取り出して、脱臭フィルタ26のメンテナンスができる。また、空気清浄機1は、樹脂ケース組立体31を取り外すことにより、脱臭フィルタ26の下に配置されているHEPAフィルタ25を取り出すことができるように構成されている。
【0036】
(2)詳細構成
(2−1)ストリーマ放電ユニット5
外部吸込グリル15及びプレフィルタ22を取り外し、さらに、保護蓋17(
図6参照)を取り外すと、
図3に示されている略直方体状の形状を持つストリーマ放電ユニット5が露出する。
図3に示されている手が捲り上げているのは、ストリーマ放電ユニット5の外側を覆う第1シートカバー61及び第2シートカバー62である。
【0037】
ストリーマ放電ユニット5の周囲には、
図4に示されているように、内部吸込グリル16と、第1シートカバー61と、第2シートカバー62と、コネクタ付きワイヤハーネス70が配置されている。ストリーマ放電ユニット5は、内部吸込グリル16の上部に設けられているユニット収納部18に取り付けられる。この内部吸込グリル16は、空気清浄機1の本体10に固定されている。
【0038】
まず、ストリーマ放電ユニット5について説明するために、内部吸込グリル16のユニット収納部18にストリーマ放電ユニット5を取り付けて、コネクタ付きワイヤハーネス70が接続された状態を
図5に示し、外部吸込グリル15及びプレフィルタ22を取り外し、第1シートカバー61及び第2シートカバー62を取り除いた状態の空気清浄機1の本体10を
図6、
図7、
図8及び
図9に示す。これら
図5から
図9に示されている状態は、説明のための状態であって、実際の製品としての空気清浄機1がこれらの状態を取ることはない。
【0039】
図5に示されているように、内部吸込グリル16に取り付けられた状態のストリーマ放電ユニット5には、内部吸込グリル16に吸い込まれる気流の向きに、ワイヤハーネス70のコネクタ71が差し込まれる。ストリーマ放電ユニット5は、その内部で、プラズマ放電の一種であるストリーマ放電を発生させる放電装置である。このワイヤハーネス70を通して、ストリーマ放電を発生させるための高電圧が供給される。ストリーマ放電ユニット5は、ストリーマ放電によって活性種(フリーラジカルまたは遊離基)を発生させて、活性種をHEPAフィルタ25及び脱臭フィルタ26の上流に供給する。
【0040】
ストリーマ放電ユニット5には高電圧が印加されるため、安全性を高める目的で、
図6に示されているように、ストリーマ放電ユニット5が外部に露出しないように保護蓋17が取り付けられる。この保護蓋17の外側には、さらにプレフィルタ22及び外部吸込グリル15が取り付けられ、空気清浄機1を運転している状態で、保護蓋17が外れてストリーマ放電ユニット5が外部に露出することが防がれている。
【0041】
ストリーマ放電ユニット5のユニット交換またはメンテナンスなどを行う際に、保護蓋17を外すと、
図7に示されているように、ワイヤハーネス70が接続されたストリーマ放電ユニット5を露出させることができる。空気清浄機1は、安全性を確保するため、ストリーマ放電ユニット5が
図7のように露出した状態では高電圧が供給されないように構成されている。このワイヤハーネス70のコネクタ71の中に、水から保護すべき電気接点がある。極めて稀なケースで発生することは無いとは思われるが、万が一、この状態で水が掛かって、電気接点が濡れた状態で運転が開始されると、電気の漏洩の可能性が考えられなくはない。
【0042】
図7の状態からストリーマ放電ユニット5を取り外すときは、
図8に示されているようにワイヤハーネス70のコネクタ71をストリーマ放電ユニット5から引き抜く。ストリーマ放電ユニット5には、ワイヤハーネス70のコネクタ71と対になっているコネクタピン6が設けられている。ワイヤハーネス70は、内部吸込グリル16の内部側に固定されている。従って、ユーザなどの作業者は、通常のユニット交換またはメンテナンスなどの作業では、ワイヤハーネス70をストリーマ放電ユニット5と一緒に取り外すことはできない。ストリーマ放電ユニット5を取り外した状態は
図9に示されている。ユニット収納部18には、開口部18aが設けられている。この開口部18aは、吸込口21からHEPAフィルタ25に向う気流の通路に面している。ストリーマ放電ユニット5には、開口部18aに対応する部分に2つの通気口(図示せず)が設けられており、ストリーマ放電ユニット5は、内部で発生した活性種を通気口及び開口部18aを通してHEPAフィルタ25の上流に放出することができる。
【0043】
(2−2)第1シートカバー61及び第2シートカバー62
第1シートカバー61及び第2シートカバー62は、フィルム状であって、例えばプラスチックフィルムからなる。プラスチックフィルムとしては、例えばPETフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムを用いることができる。第1シートカバー61及び第2シートカバー62を構成するプラスチックフィルムは、穴などは開いておらず、水を表から裏には通さない材質であって遮水性を備えている。プラスチックフィルムは、作業者が簡単に手で曲げることのできる可撓性を有している。第1シートカバー61及び第2シートカバー62は、手を離すと、プラスチックフィルムの弾性力によって元の状態に戻る。また、作業者が作業対象を視認するのを容易にするために、ここで第1シートカバー61及び第2シートカバー62に用いられているプラスチックフィルムは透明である。
【0044】
第1シートカバー61は、
図10に示されているように、内部吸込グリル16の上端部16aに接着剤または粘着剤で貼り付けられる。内部吸込グリル16の上端部16aは、ユニット収納部18の上に位置している。第1シートカバー61は、例えば、両面に接着剤または粘着剤を塗布したテープなどで貼り付けることができる。第1シートカバー61の中で貼り付けられる貼付領域61aは、破線で区切られた領域のうちの上の部分である。この破線で示された貼付領域61aの境界線が固定端61bである。
【0045】
第1シートカバー61においては、固定端61bが上方に配置されるとともに自由端61cが下方に配置されている。下方に配置されている自由端61cは、言い換えると下端ということになる。この第1シートカバー61は、空気清浄機1の外部から見ると
図10と
図7及び
図8とを比較すれば分かるが、電気接点を含むストリーマ放電ユニット5のコネクタピン6及びワイヤハーネス70のコネクタ71を覆っている。第1シートカバー61の固定端61bから自由端61cまでの距離はK1である。また、第1シートカバー61の水平方向の長さはL1である。
【0046】
第2シートカバー62は、
図11に示されているように、内部吸込グリル16の上端部16aに接着剤または粘着剤で貼り付けられる。第2シートカバー62は、第1シートカバー61の上に重ねて貼り付けられる(
図14参照)。第2シートカバー62も、例えば、両面に接着剤または粘着剤を塗布したテープなどで貼り付けることができる。内部吸込グリル16が本体10に固定された状態では、
図14に示されているように、内部吸込グリル16と本体10の間に、第1シートカバー61及び第2シートカバー62が挟まれる。このような構造を採ることで、第1シートカバー61と第2シートカバー62が剥がれ難くなっている。
【0047】
第2シートカバー62の中で貼り付けられる貼付領域62aは、破線で区切られた領域のうちの上の部分である。この破線で示された貼付領域62aの境界線が固定端62bである。正面視(内部吸込グリル16に空気が吸い込まれる方向に見る場合)において、この第2シートカバー62の固定端62bは、第1シートカバー61の固定端61bと重なる。つまり、
図10の二点鎖線と
図11の二点鎖線が重なる。
【0048】
第2シートカバー62においては、固定端62bが上方に配置されるとともに自由端62cが下方に配置されている。下方に配置されている自由端62cは、言い換えると下端ということになる。この第2シートカバー62は、空気清浄機1の外部から見ると、
図11と
図7及び
図8とを比較すれば分かるが、電気接点を含むストリーマ放電ユニット5のコネクタピン6及びワイヤハーネス70のコネクタ71を覆っている。
【0049】
第2シートカバー62の固定端62bから自由端62cまでの距離はK2である。第2シートカバー62の固定端62bと自由端62cの間の距離K2は、第1シートカバー61の固定端61bと自由端61cの間の距離K1よりも短い。ここでは、上方(第1方向)にある第1シートカバー61の固定端61bと第2シートカバー62の固定端62bが同じ位置にあるから、第1シートカバー61の自由端61cが、第2シートカバー62の自由端62cよりも下方(第2方向)において第1シートカバー61の固定端61bから遠くにある。見方を変えると、第1シートカバー61の下端(自由端61c)が、第2シートカバー62の下端(自由端62c)よりも下にある。
【0050】
また、第2シートカバー62の水平方向の長さはL2である。水平方向において、第2シートカバー62の長さL2は、第1シートカバー61の長さL1よりも長い。第1シートカバー61では、ストリーマ放電ユニット5の全体を覆うことはできないが、第2シートカバー62は、ストリーマ放電ユニット5の全体も覆うことができる。第2シートカバー62の長さL2が長いことによって、第1シートカバー61だけの場合よりも防滴範囲を広げることができる。
【0051】
第2シートカバー62には、
図12に示されているように、電気接点を有する部材(ここでは、ストリーマ放電ユニット5及びコネクタ付きワイヤハーネス70)に関する取り扱い説明が印刷されている。ユーザなどの作業者は、第2シートカバー62に印刷された説明書きで作業方法を確認しながら、ストリーマ放電ユニット5及びコネクタ付きワイヤハーネス70などの電気接点を有する部材を取り扱うことができる。
【0052】
(2−3)カバー引っ掛かり状況
図13及び
図14を用いて、第1シートカバー61及び第2シートカバー62に、ワイヤハーネス70のコネクタ71が引っ掛かる状況の一例について説明する。
図13及び
図14に示されている状況においては、第1シートカバー61の下端である自由端61cが、ワイヤハーネス70のコネクタ71に引っ掛かっている。そして、コネクタ71に引っ掛かることによって第1シートカバー61が湾曲している。しかしながら、この湾曲した第1シートカバー61によって第2シートカバー62が持ち上げられるので、第1シートカバー61の自由端61cよりも固定端61b,62bから近くに(上方に)ある第2シートカバー62の自由端62cがコネクタ71に引っ掛かることが防がれている。そして、第2シートカバー62が庇になって、コネクタ71に水滴が掛かることが防止される。ここでは、コネクタ71に第1シートカバー61が引っ掛かるケースを想定したが、例えば内部吸込グリル16に突起があって第1シートカバー61が内部吸込グリル16に引っ掛かる場合にも同様の状況になる場合も考えられ、そのような場合でも第1シートカバー61によって第2シートカバー62が内部吸込グリル16に引っ掛かることを防止することができる。
【0053】
(3)変形例
(3−1)変形例1A
上記実施形態では、電気機器の例として空気清浄機1を例に挙げて説明したが、本発明は空調機器に適しており、空気清浄機以外の空気調和機などの他の空調機器にも本発明を適用することができる。
【0054】
(3−2)変形例1B
第1シートカバー61は、第2シートカバー62に向って凸状に撓み易くなるように癖付されていてもよい。第2シートカバー62に向って凸状に第1シートカバー61が撓み易くなるように癖付けとしては、例えば第2シートカバー62に向って凸状に第1シートカバー61を湾曲させる成形を行うことができる。このような癖付けがされていると、第1シートカバー61が凸状に撓んで第2シートカバー62を持ち上げる可能性を高くすることができる。
【0055】
(4)特徴
(4−1)
実施形態で説明したように、プラスチックフィルムからなる第1シートカバー61及び第2シートカバー62は可撓性及び遮水性があることから、フィルム状のこれら第1シートカバー61及び第2シートカバー62は、極めて狭いスペースに収納することができる。空気清浄機1においては、外部吸込グリル15と内部吸込グリル16の隙間に第1シートカバー61及び第2シートカバー62が収納されている。その結果、電気機器である空気清浄機1の大型化が抑制される。
【0056】
図3に示されているように、例えば手で第1シートカバー61及び第2シートカバー62を撓ませて第1シートカバー61の自由端61c及び第2シートカバー62の自由端62cを上方(第1方向の例)に向って捲り上げることができる。そして、
図3に示された状態から手を離して第1シートカバー61の自由端61c及び第2シートカバー62の自由端62cを解放すると、プラスチックフィルムからなる第1シートカバー61及び第2シートカバー62は、自身の有する弾性力によって元に戻る。従って、例えばヒンジなどの器具を用いなくても、2枚のプラスチックフィルムを貼り付けるという簡単な構成で防滴構造の構成が行え、低コストで防滴機能を空気清浄機1に付与することができる。
【0057】
さらに、第1シートカバーの上にさらに電気接点を覆う第2シートカバーが設けられていることから、例えば第1シートカバーを作業者が変形させて水を防ぎ切れない状態になっても第2シートカバーで防ぐことができる。その結果、空気清浄機1は、高電圧を扱うストリーマ放電ユニット5の周辺に良好な防滴機能を備えることができている。
【0058】
(4−2)
上記実施形態では、第1シートカバー61の自由端61cが第2シートカバー62の自由端62cよりも第2方向である下方において遠くにあることから、
図13及び
図14を用いて説明したような場合には、第1シートカバー61の自由端61cが引っ掛かっても第1シートカバー61と同時に第2シートカバー62の自由端62cが引っ掛かることはない。その結果、空気清浄機1は、良好な防滴機能を確保することができる。
【0059】
第1方向が上方、第2方向が下方の場合が
図13及び
図14に示されているが、本発明を適用できる第1方向及び第2方向は上記実施形態の方向に限られるものではなく、例えば第1方向が右方向に設定されるとともに第2方向が左方向に設定されてもよい。
【0060】
(4−3)
第1シートカバー61の下端である自由端61cが第2シートカバー62の下端である自由端62cよりも下にあることから、上記(4−2)でも説明したように第1シートカバー61の自由端61cが引っ掛かっても第2シートカバー62の自由端62cが同時に引っ掛かることが防がれ、引っ掛かった第1シートカバー61に持ち上げられる第2シートカバー62が庇のようになって上から降り掛かる水に対して良好な防滴機能を確保する。
【0061】
(4−4)
図10及び
図11に示されているように、第2シートカバー62の水平方向の長さL2が第1シートカバー61の水平方向の長さL1よりも長いことから、第1シートカバー61が引っ掛かっても、第1シートカバー61よりも水平方向に長い領域を第2シートカバー62で覆うことができる。その結果、水平方向において、上から降り掛かる水を防ぐ範囲を広げることができる。
【0062】
(4−5)
上記実施形態の第1シートカバー61及び第2シートカバー62がプラスチックフィルムからなることからコストを下げやすくなり、また、第1シートカバー61及び第2シートカバー62が透明のプラスチックフィルムからなることから、第1シートカバー61及び第2シートカバー62を透して電気接点を含むストリーマ放電ユニット5のコネクタピン6及びワイヤハーネス70のコネクタ71の周辺を視認できる。その結果、電気接点に係る作業、例えばストリーマ放電ユニット5の交換作業などの作業性が向上する。
【0063】
(4−6)
上記実施形態では、着脱自在の電気ユニットであるストリーマ放電ユニット5に接続されるコネクタ付きワイヤハーネス70に電気接点が含まれることから、コネクタ付きワイヤハーネス70が第1シートカバー61に引っ掛かったとしても第2シートカバー62がコネクタ71の上を覆うことができている。このように、電気接点が第1シートカバー61に引っ掛かり易いコネクタ付きワイヤハーネス70に含まれる場合でも、良好な防滴機能を維持することができる。
【0064】
(4−7)
電気接点が活性種を発生するストリーマ放電ユニット5に接続されることから、高い電圧が印加される電気接点に対して第1シートカバー61及び第2シートカバー62が防滴機能を発揮することになる。その結果、空気清浄機1の安全性を向上させることができる。
【0065】
(4−8)
気流の通路に電気接点が配置されていることから、通気口である吸込口21を通って通路に入り込む水を第1シートカバー61及び第2シートカバー62で防ぐことができる。その結果、防滴機能が必要で且つこのような吸込口21を有する空気清浄機1の小型化が容易に実現される。