特許第6677235号(P6677235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677235
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】室内状況監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20200330BHJP
   G08B 21/04 20060101ALI20200330BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20200330BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/04
   H04M11/00 301
   H04Q9/00 311K
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-216651(P2017-216651)
(22)【出願日】2017年11月9日
(65)【公開番号】特開2019-87158(P2019-87158A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】宮西 昭次
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−068612(JP,A)
【文献】 特開2014−175968(JP,A)
【文献】 特開2004−259097(JP,A)
【文献】 特開2015−131608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00−31/00
H03J 9/00− 9/06
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室内に配置され、居室内の室内状況を観測するセンサーを有し、センサーが観測した観測情報とID情報を含むRF信号を発信する発信器と、
ID情報で特定される発信器が発信したRF信号を受信し、該RF信号に含まれる観測情報を、ネットワークを介して前記居室外の遠隔監視装置へ送信する情報処理端末装置とを備えた室内状況監視システムであって、
前記情報処理端末装置は、
前記発信器と同一居室内に配置され、前記ID情報で特定される発信器が発信したRF信号の受信レベルをRF信号毎に検出するレベル検出部と、
所定時間が経過する毎にその所定時間に前記レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを表す期間受信レベルを求め、所定時間毎に求めた期間受信レベルを時系列で比較し、前記居室内の人物の生活行動により所定時間毎に変化する期間受信レベルから、前記居室内の人物の生活行動を判定する行動判定部と、
前記行動判定部で判定した人物の行動情報を、前記センサーが観測した観測情報とともに、前記ネットワークを介してネットワークに接続する遠隔監視装置へ送信するネットワーク送信部とを、
更に備えたことを特徴とする室内状況監視システム。
【請求項2】
前記行動判定部は、居室内で生活行動を行う人物の個々の行動時間より長い時間を前記所定時間とし、所定時間内に前記レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値から期間受信レベルを求め、
所定時間が経過する毎に、当該所定時間の期間受信レベルとその直前の所定時間の期間受信レベルとの差分を受信レベル差として算定し、受信レベル差が所定のレベル変化閾値を超えた場合に、当該所定時間とその直前の所定時間にかけて、前記居室内で人物の生活行動があったと判定することを特徴とする請求項1に記載の室内状況監視システム。
【請求項3】
前記受信レベル差が所定監視時間を経過してもレベル変化閾値を超えない場合に、前記ネットワーク送信部から前記遠隔監視装置へ警報を送信することを特徴とする請求項2に記載の室内状況監視システム。
【請求項4】
居室内に配置され、居室内の室内状況を観測するセンサーを有し、センサーが観測した観測情報とID情報を含むRF信号を発信する発信器と、
ID情報で特定される発信器が発信したRF信号を受信し、該RF信号に含まれる観測情報を、ネットワークを介して前記居室外の遠隔監視装置へ送信する情報処理端末装置とを備えた室内状況監視システムであって、
前記情報処理端末装置は、
前記発信器と同一居室内に配置され、前記ID情報で特定される発信器が発信したRF信号の受信レベルをRF信号毎に検出するレベル検出部と、
所定時間が経過する毎にその所定時間に前記レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを表す期間受信レベルを求め、所定時間毎に求めた期間受信レベルを時系列で比較し、前記居室内の人物の生活行動により所定時間毎に変化する期間受信レベルから、前記居室内の人物の生活行動を判定する行動判定部と、
行動判定部で判定した人物の行動情報を、前記ネットワークを介してネットワークに接続する遠隔監視装置へ送信するネットワーク送信部とを更に備え、
前記発信器は、RF信号を発信する毎に、RF信号の発信電界強度を変化させるとともに、発信電界強度を暗号化してそのRF信号に含めて発信し、
前記レベル検出部は、RF信号に含まれる暗号化した発信電界強度を復号した発信電界強度をもとに補正した受信レベルを、レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルとすることを特徴とする室内状況監視システム。
【請求項5】
前記行動判定部は、居室内で生活行動を行う人物の個々の行動時間より長い時間を前記所定時間とし、所定時間内に前記レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値から期間受信レベルを求め、
所定時間が経過する毎に、当該所定時間の期間受信レベルとその直前の所定時間の期間受信レベルとの差分を受信レベル差として算定し、受信レベル差が所定のレベル変化閾値を超えた場合に、当該所定時間とその直前の所定時間にかけて、前記居室内で人物の生活行動があったと判定することを特徴とする請求項4に記載の室内状況監視システム。
【請求項6】
前記受信レベル差が所定監視時間を経過してもレベル変化閾値を超えない場合に、前記ネットワーク送信部から前記遠隔監視装置へ警報を送信することを特徴とする請求項5に記載の室内状況監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室内の室内状況をネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信する室内状況監視システムに関し、更に詳しくは、居室内の人物の行動情報を遠隔監視装置へ送信する室内状況監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサーが観測した観測情報を、ネットワークを介して別の場所に設置された遠隔監視装置へ送信する遠隔監視システムが特許文献1や特許文献2で知られている。このうち、特許文献1により開示された遠隔監視システム100は、図5に示す様に、共通するネットワークに複数の遠隔監視通報端末102、102・・と管理サーバー103と、複数のユーザ端末104、104・・が接続されている。遠隔監視通報端末102には、タンク内の水面や温度、湿度などを計測するセンサー105、105が接続され、ネットワーク101を介して管理サーバ103から出力されるコマンドにより指定されるセンサー105の計測結果をセンサー105から遠隔監視通報端末102へ出力する。遠隔監視通報端末102は、指定された計測結果をネットワーク101を介して管理サーバー103へ送信し、管理サーバ−103は、受信した計測結果をHTML形式でネットワーク101に接続するユーザー端末104が閲覧可能となるように記憶する。従って、ユーザー端末104のユーザーは、タンクから離れた位置からタンク内の各種状況を確認できる。
【0003】
また、特許文献2に記載の遠隔監視システムは、居室内の温度と湿度を測定する温湿度センサー、在/不在設定装置、電流計測装置、電気錠等が接続された制御部と、制御部をインターネットに接続する共用部通信装置と、居室から離れた位置でインターネットに接続する遠隔監視センター装置とを備えている。このうち、制御部に接続する在/不在設定部は、居室の居住者が自ら入力操作して居室内の在/不在を制御部へ通知し、電流計測装置は、居室内の電気機器が消費する消費電流を計測して制御部へ出力し、電気錠は、居室のドアの施錠情報を制御部へ出力する。
【0004】
制御部は、温湿度センサーが計測した居室内の温度と湿度から熱中症発症の室内環境にあると判断すると、共用通信装置からインターネットを介して熱中症警報を遠隔監視センター装置へ送信する。熱中症警報を受け付けた遠隔監視センター装置は、インターネットを介して制御部と双方向の通信を行い、制御部から入力される在/不在設定装置の設定状況、電流計測装置で計測する消費電流と電気錠による居室のドアの施錠情報などから総合的に居住者の居室内に在室しているかどうかを推定し、在室と推定される場合には、共用部通信装置に接続する見守りセンターへその居室への訪問を促す通知を発信する。
【0005】
また、居室内に人物が生活行動を行っているか否かを判別する行動判定装置として、特許文献3に記載の物体移動感知装置は、居室内に一組のスペクトル拡散信号を送信する送信手段とスペクトル拡散信号を受信する受信手段を設置し、受信手段は、スペクトル拡散信号を受信する毎にその受信強度に応じた相関ピーク信号を出力する。居室空間内で人物が移動すると、スペクトル拡散信号の伝搬経路が変化するので、相関ピーク信号の出力状態の変化から人物の行動と判別する。
【0006】
この相関ピーク信号は、降雨などによる壁面の反射率の変化によっても変化するので、特許文献4に記載の侵入物検知装置は、受信装置の相関器から出力される受信信号の振幅と位相の変化から更に精度よく、居室内の人物の行動を判別している。
【0007】
更に、特許文献5に記載の給湯装置は、特定の識別符号を含むRF信号を送信する無線端末を入浴者に携行させるとともに、識別符号で特定されるRF信号を受信する毎にその受信信号の電波強度を測定する通信手段を備えた浴室リモコンを浴室内に設置する。この給湯装置では、無線端末を携行した入浴者が浴室から退出すると、浴室の壁や扉によりRF信号の電波が減衰するため、通信手段で測定する受信信号の電波強度が閾値以下となり、これにより浴室内の入浴者の在/不在を判定する。また、浴室内で入浴者が行動すれば、通信手段で測定する受信信号の電波強度が閾値以上で変化するので、電波強度が閾値を超える状態で一定時間以上変化しない場合には、浴室内の入浴者の体動がない恐れがあると判定し通報を発信する。
【0008】
また、特許文献6に記載の人物在圏検知システム110は、発信器を人物に携行させたり、用意することなく、居室内の人物の所在と行動を判定可能とするもので、屋外から居室内に入ってきた送信局から送信された電波を受信する受信部111と、受信した放送局の電波の受信レベルの変動を常時検知するレベル変動検出部を備えている。図6に示す様に、居室に在室する人物が移動すると、電波経路を形成するマルチパス環境が変化し、受信機の受信部で受信する放送局の電波の受信レベルも変動するので、人物が通常の挙動を繰り返す限り、受信レベルが変動する。一方、人物が居室から退室すると、マルチパス環境が変化せず、受信レベルは変化しないので、受信レベルが所定時間以上一定の変動幅以内で変化しない場合に不在と、変化した場合には在室と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−216162号公報
【特許文献2】特開2017−21496号公報
【特許文献3】特開平9−274077号公報
【特許文献4】特開2004−286567号公報
【特許文献5】特開2006−343057号公報
【特許文献6】特許第4572305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の遠隔監視システムでは、センサーで観測可能な温度、湿度などの観測情報を、ネットワークを介して別の場所に設置されたユーザー端末において監視できるが、居室内の人物の所在や行動情報を判定する手段がなく、室内の温度や湿度と併せて居室内の人物の所在情報をユーザー端末で把握できないので、特許文献2に記載の遠隔監視システムでは、センサーで居室の温度や湿度などを監視するとともに、居室の居住者が自ら入力操作する在/不在設定装置の設定状況、居室内の電気機器の消費電流、居室のドアの施錠情報などから間接的に居住者の所在情報を推定している。
【0011】
しかしながら、いずれも居住者の所在情報を間接的に示すものであり、居住者が生活行動を行っているかどうかまでは判定することができず、また、居室の居住者による入力操作や、ドアの施錠情報は、健常者の行動を前提とするものなので、これらの行動をとることができない人物の所在や行動情報は判定できない。
【0012】
特許文献3乃至特許文献5の発明によれば、発信器が発信するRF信号について、受信装置が受信したRF信号の受信レベル、位相等の受信状況から居室内の人物の行動情報を判定しているが、受信機側で判別可能なRF信号を送信する発信器を用意しなければならず、特に特許文献5に記載の給湯装置では、RF信号を送信する無線端末を入浴者が携行しなければならないという煩わしさがある。
【0013】
そこで、RF信号を送信する発信器を用いずに居室内の人物の行動情報を判定可能とする発明が、特許文献6により提案されたが、放送局の電波を居室内で受信可能な地域に限られ、また、放送局の電波の送信電力が変化すると、受信レベルも変化するので、同文献の請求項2に記載のように、放送局から送信される電波は定送信電力にて送信されていることが前提となる。更に、定送信電力で送信されている場合であっても、気象状況の変化や車、電車などが通過して居室外の電波の伝搬状況が変化すると、受信部が受信する電波の受信レベルも変動し、人物の行動情報を誤判定する恐れがある。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、居室内の人物の行動情報を判定するために、新たに受信機側で判別可能なRF信号を送信する発信器を用意することなく、センサーが検出する居室の温度、湿度などの観測情報とともに若しくは別に正確に判定した居室内の人物の行動情報を、居室から離れた遠隔監視装置へ送信する室内状況監視システムを提供することを目的とする。
【0015】
また、RF信号を発信する発信器が配置される居室の外に配置されるRF信号の受信装置に対して居室内の人物の所在や行動情報を秘匿する室内状況監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、請求項1の室内状況監視システムは、居室内に配置され、居室内の室内状況を観測するセンサーを有し、センサーが観測した観測情報とID情報を含むRF信号を発信する発信器と、ID情報で特定される発信器が発信したRF信号を受信し、該RF信号に含まれる観測情報を、ネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信する情報処理端末装置とを備えた室内状況監視システムであって、
情報処理端末装置は、発信器と同一居室内に配置され、ID情報で特定される発信器が発信したRF信号の受信レベルをRF信号毎に検出するレベル検出部と、所定時間が経過する毎にその所定時間にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを表す期間受信レベルを求め、所定時間毎に求めた期間受信レベルを時系列で比較し、居室内の人物の生活行動により所定時間毎に変化する期間受信レベルから、居室内の人物の生活行動を判定する行動判定部と、行動判定部で判定した人物の行動情報を、センサーが観測した観測情報とともに、ネットワークを介してネットワークに接続する遠隔監視装置へ送信するネットワーク送信部とを、更に備えたことを特徴とする。
【0017】
情報処理端末装置のレベル検出部は、観測情報をネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信するために発信器から発信されるRF信号の受信レベルをRF信号毎に検出し、行動判定部は、所定時間が経過する毎に、所定時間の単位でレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを表す期間受信レベルを求めて、所定時間毎に求めた期間受信レベルを時系列で比較して、居室内の人物の生活行動の有無を判定する。
【0018】
時系列で連続する所定時間毎に求めた期間受信レベルは、居室内の人物の生活行動により一定以上のレベルで変化するので、行動判定部は、所定時間毎の期間受信レベルを時系列で比較し、一定のレベルで変化した場合に居室内の人物の生活行動があったと、変化しない場合に人物の生活行動がないとの人物の行動情報を判定し、ネットワーク送信部は、行動判定部が判定した人物の行動情報をネットワークを介して遠隔監視装置へ送信する。
【0019】
行動判定部は、レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを、所定時間の単位で求めた期間受信レベルで比較するので、個々のRF信号に瞬間ノイズが重畳して受信レベルが変化しても、所定時間毎の期間受信レベルへの影響が少ない。
【0020】
遠隔監視装置は、人物の行動情報とセンサーが観測した観測情報とから、より正確に居室内の状況を把握できる。
【0021】
請求項2の室内状況監視システムは、行動判定部が、居室内で生活行動を行う人物の個々の行動時間より長い時間を所定時間とし、所定時間内に前記レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値から期間受信レベルを求め、所定時間が経過する毎に、当該所定時間の期間受信レベルとその直前の所定時間の期間受信レベルとの差分を受信レベル差として算定し、受信レベル差が所定のレベル変化閾値を超えた場合に、当該所定時間とその直前の所定時間にかけて、居室内で人物の生活行動があったと判定することを特徴とする。
【0022】
所定時間内にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値を、その所定時間に求めた期間受信レベルとするので、発信器からRF信号が不定期に発信されても、所定時間毎の期間受信レベルを時系列で比較できる。
【0023】
所定時間は、居室内で生活行動を行う人物の個々の行動時間より長い時間であるので、人物の個々の生活行動やその行動時間に相当する短時間のノイズや環境変化の影響を受けない。
【0024】
また、所定時間内にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値と、その直前の所定時間内にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値との差分を受信レベル差とするので、所定時間とその直前の所定時間に跨がる長期ノイズや、発信器と情報処理端末装置間の距離など、所定時間とその直前の所定時間に共通するRF信号の送受信環境変化は、受信レベル差に表れず、所定時間とその直前の所定時間にかけての居室内で人物の生活行動を正確に判定できる。
【0025】
請求項3の室内状況監視システムは、受信レベル差が所定監視時間を経過してもレベル変化閾値を超えない場合に、ネットワーク送信部から遠隔監視装置へ警報を送信することを特徴とする。
【0026】
受信レベル差が所定監視時間を経過してもレベル変化閾値を超えない場合には、所定監視時間を経過しても居室内の人物の生活行動がないと推定されるので、遠隔監視装置へ警報を送信し、監視者へ居室内の人物に異常が発生した可能性があることを伝える。
【0027】
請求項4の室内状況監視システムは、居室内に配置され、居室内の室内状況を観測するセンサーを有し、センサーが観測した観測情報とID情報を含むRF信号を発信する発信器と、ID情報で特定される発信器が発信したRF信号を受信し、該RF信号に含まれる観測情報を、ネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信する情報処理端末装置とを備えた室内状況監視システムであって、
情報処理端末装置は、発信器と同一居室内に配置され、ID情報で特定される発信器が発信したRF信号の受信レベルをRF信号毎に検出するレベル検出部と、所定時間が経過する毎にその所定時間にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを表す期間受信レベルを求め、所定時間毎に求めた期間受信レベルを時系列で比較し、居室内の人物の生活行動により所定時間毎に変化する期間受信レベルから、居室内の人物の生活行動を判定する行動判定部と、行動判定部で判定した人物の行動情報を、ネットワークを介してネットワークに接続する遠隔監視装置へ送信するネットワーク送信部とを更に備え、発信器は、RF信号を発信する毎に、RF信号の発信電界強度を変化させるとともに、発信電界強度を暗号化してそのRF信号に含めて発信し、
レベル検出部は、RF信号に含まれる暗号化した発信電界強度を復号した発信電界強度をもとに補正した受信レベルを、レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルとすることを特徴とする。
【0028】
情報処理端末装置のレベル検出部は、観測情報をネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信するために発信器から発信されるRF信号の受信レベルをRF信号毎に検出し、行動判定部は、所定時間が経過する毎に、所定時間の単位でレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルを表す期間受信レベルを求めて、所定時間毎に求めた期間受信レベルを時系列で比較して、居室内の人物の生活行動の有無を判定する。
【0029】
時系列で連続する所定時間毎に求めた期間受信レベルは、居室内の人物の生活行動により一定以上のレベルで変化するので、行動判定部は、所定時間毎の期間受信レベルを時系列で比較し、一定のレベルで変化した場合に居室内の人物の生活行動があったと、変化しない場合に人物の生活行動がないとの人物の行動情報を判定し、ネットワーク送信部は、行動判定部が判定した人物の行動情報をネットワークを介して遠隔監視装置へ送信する。
【0030】
情報処理端末装置のレベル検出部は、RF信号に含まれる暗号化した発信電界強度を復号した発信電界強度をもとに受信レベルを補正するので、補正した受信レベルは、同一の発信電界強度で発信器が発信したRF信号の受信レベルに相当し、行動判定部は、補正した受信レベルから居室内の人物の生活行動を判定できる。一方、復号手段をもたない居室外に配置された受信機等のレベル検出部が検出するRF信号の受信レベルは、発信器から発信電界強度を変化させて発信されたRF信号の受信レベルであるので、その変化からは居室内の人物の生活行動を判定できない。
【0031】
請求項5の室内状況監視システムは、行動判定部が、居室内で生活行動を行う人物の個々の行動時間より長い時間を所定時間とし、所定時間内に前記レベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値から期間受信レベルを求め、所定時間が経過する毎に、当該所定時間の期間受信レベルとその直前の所定時間の期間受信レベルとの差分を受信レベル差として算定し、受信レベル差が所定のレベル変化閾値を超えた場合に、当該所定時間とその直前の所定時間にかけて、居室内で人物の生活行動があったと判定することを特徴とする。
【0032】
所定時間内にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値を、その所定時間に求めた期間受信レベルとするので、発信器からRF信号が不定期に発信されても、所定時間毎の期間受信レベルを時系列で比較できる。
【0033】
所定時間は、居室内で生活行動を行う人物の個々の行動時間より長い時間であるので、人物の個々の生活行動やその行動時間に相当する短時間のノイズや環境変化の影響を受けない。
【0034】
また、所定時間内にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値と、その直前の所定時間内にレベル検出部が検出したRF信号の受信レベルの平均値との差分を受信レベル差とするので、所定時間とその直前の所定時間に跨がる長期ノイズや、発信器と情報処理端末装置間の距離など、所定時間とその直前の所定時間に共通するRF信号の送受信環境変化は、受信レベル差に表れず、所定時間とその直前の所定時間にかけての居室内で人物の生活行動を正確に判定できる。
【0035】
請求項6の室内状況監視システムは、受信レベル差が所定監視時間を経過してもレベル変化閾値を超えない場合に、ネットワーク送信部から遠隔監視装置へ警報を送信することを特徴とする。
【0036】
受信レベル差が所定監視時間を経過してもレベル変化閾値を超えない場合には、所定監視時間を経過しても居室内の人物の生活行動がないと推定されるので、遠隔監視装置へ警報を送信し、監視者へ居室内の人物に異常が発生した可能性があることを伝える。
【発明の効果】
【0037】
請求項1の発明によれば、観測情報をネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信するために発信器から発信されるRF信号を利用して、居室内の人物の行動情報を判定するので、人物の行動情報を得るためにRF信号を発信する別の発信器を用意したり、発信器を人物に携帯させる必要がない。
【0038】
また、遠隔監視装置で監視する監視人は、人物の行動情報とセンサーが観測した観測情報とから、例えば、照度の観測情報と行動情報で居室内の人物の所在の無をより正確に判定したり、温度、湿度の観測情報と行動情報で、居室内の人物の熱中症の発症の可能性などを推測できる。
【0039】
請求項2と請求項5の発明によれば、発信器から不定期に発信されるRF信号であっても、居室内の人物の生活行動を判定に利用できる。
【0040】
また、居室内の人物の個々の行動時間に相当する短時間若しくは所定時間とその直前の所定時間に跨がる長周期ノイズが発生したり、RF信号の送受信環境が変化しても、所定時間とその直前の所定時間にかけての居室内で人物の生活行動を正確に判定できる。
【0041】
請求項3と請求項6の発明によれば、居住者に異常が発生した可能性がある場合に、遠隔監視装置で居住者を監視する監視人へ直ちに警報で通報できる。
【0042】
請求項4の発明によれば、観測情報をネットワークを介して居室外の遠隔監視装置へ送信するために発信器から発信されるRF信号を利用して、居室内の人物の行動情報を判定するので、人物の行動情報を得るためにRF信号を発信する別の発信器を用意したり、発信器を人物に携帯させる必要がない。
【0043】
また、センサーが観測した居室内の照度、温度、湿度などの観測情報とともに人物の行動情報が得られるので、居室内の状況をより正確に把握できる。
【0044】
また、居室外に設置された受信機から発信器が発信するRF信号の受信レベルを検出しても、受信レベルからは居室内の人物の行動情報を判定できないので、居室内の人物の行動情報が第三者に知られることがない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本願発明の一実施の形態に室内状況監視システム1のブロック図である。
図2】室内状況監視システム1の主要構成を示すブロック図である。
図3】RF信号の受信レベルRと所定時間毎の受信レベル差DAV(n)との関係を示す説明図である。
図4】所定時間毎の受信レベル差DAV(n)を経過時間とともに表したグラフである。
図5】従来の遠隔監視システム100を示すブロック図である。
図6】従来の人物在圏検知システム110を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の一実施の形態に係る室内状況監視システム1を、図1乃至図4を用いて説明する。図1に示す様に、室内状況監視システム1は、照光センサー4と温湿度センサー5で観測した観測情報を発信する発信器であるピンガー2と、ピンガー2から発信された観測情報をインターネット10へ送信するゲートウェイとして機能する情報処理端末装置3と、インターネット10に接続する見守り監視サーバー6、PCやスマートフォンで構成される複数の遠隔監視装置7、7とを備えている。
【0047】
このうち、ピンガー2と情報処理端末装置3とは、室内状況監視システム1により室内状況を監視する居室内に一定距離を隔てて配置されている。ここで、インターネット10に接続する情報処理端末装置3に対して、照光センサー4と温湿度センサー5を居室内の観測に適した所望の位置に配置可能とするため、情報処理端末装置3とピンガー2とは、遮蔽物が介在していても送受信可能で、設置位置が制約がないRF(Radio Frequency)通信により接続され、ピンガー2から発信するRF信号に観測情報を含めて情報処理端末装置3へ送信している。居室内の距離でのRF通信には、無線PAN規格のBluetooth(登録商標)、ZigBee、無線LAN規格のWi-Fiの通信方式を利用できるが、本実施の形態では、BLE(Bluetooth Low Energy)においてサポートするアドバタイジング通信方式で、ネットワーク接続せずにピンガー2から周辺に観測情報を含むパケットをブロードキャストし、スキャナとなる情報処理端末装置3へ観測情報を送信する。
【0048】
アドバタイジング通信方式でアドバタイザーとなるピンガー2は、インターフェース21を介して照光センサー4と温湿度センサー5から居室の照度情報と温度及び湿度情報の観測情報が入力される制御部22と、制御部22から制御される発信電界強度でBLEのRF信号を発信するRF通信部23とを備えている。制御部22は、照光センサー4と温湿度センサー5から入力される観測情報と、特定のRF信号の発信電界強度を強度が異なる発信電界強度とする発信制御情報を暗号化した暗号情報をRF通信部23へ出力し、RF通信部23は、センサー4、5の観測情報と暗号情報に、ピンガー2を特定するID情報を加えたアドバタイズパケットを生成し、アドバタイズパケットによりGFSK変調した2.4GHz帯のRF信号を、RF信号毎に制御部22からの発信制御情報で制御される異なる強度の発信電界強度で発信する。
【0049】
RF通信部23は、RF信号を非連続で短期間発信するもので、例えばおおよそ1秒の周期で500μsec間RF信号を発信する。このように、アドバタイジング・ブロードキャスト通信では、アドバタイザー側での時刻同期機構や受信確認手順を使用しないので、ピンガー2の消費電力を低下させることができる。
【0050】
ピンガー2と同一居室内に配置され、ピンガー2が発信するRF信号を受信可能な受信領域に設置された情報処理端末装置3は、2.4GHz帯のバンドパスフィルターとGFSK復調部を有するRF通信部31を備えている。RF通信部31は、ピンガー2が発信するRF信号の通信帯域である2.4GHz帯のRF信号を連続受信し、GFSK復調した先頭のプリアンブルとアクセスアドレスの系列との相関が高いフレームをアドバタイザーが発信したRF信号として、RF通信部31に接続する受信電力計測部33において、そのRF信号の受信レベルを検出するとともに、そのRF信号からアドバタイズパケットを復調し、アドバタイズパケットに含まれるID情報がピンガー2のID情報に一致する場合に、ピンガー2が発信したRF信号と特定する。
【0051】
RF通信部31の出力側は、制御部32と行動判定部34に接続し、復調したアドバタイズパケットに含まれるID情報が一致した場合には、そのアドバタイズパケットに含まれるセンサー4、5の観測情報が制御部32に出力され、アドバタイズパケットに含まれる発信電界強度を暗号化した暗号情報は、受信電力計測部33が検出したRF信号の受信レベルとともに行動判定部34に出力される。
【0052】
後述するように、ピンガー2の制御部22が暗号化した暗号情報を復号する復号方法がインターネットに接続する見守り監視サーバー6から行動判定部34に予め通知されているので、行動判定部34は、RF通信部31から入力される暗号情報から発信制御情報を復号し、その発信制御情報をもとに受信電力計測部33が検出したRF信号の受信レベルを補正する。つまり、行動判定部34は、ピンガー2の制御部22が発信電界強度を制御する前の特定の発信電界強度でRF通信部23がRF信号を発信したものとして、情報処理端末装置3のRF通信部31がそのRF信号を受信した受信レベルに補正する。これにより、行動判定部34は、補正した受信レベルを、同一発信条件のもとにピンガー2が発信したRF信号を情報処理端末装置3が受信した受信レベルとみなすことができる。
【0053】
行動判定部34は、RF通信部31がピンガー2が発信したRF信号と特定したRF信号毎に、補正したRF信号の受信レベル(以下の説明では単に受信レベルRという)をレベル記憶部35へ記憶し、所定時間T(n)毎に、その間にピンガー2が発信したものと特定したRF信号の受信レベルRをレベル記憶部35から読み出し、その間の全てのRF信号の受信レベルRの平均値を算定し、図3に示す様に、所定時間T(n)の期間受信レベルRAV(n)とする。ここで、所定時間T(n)と期間受信レベルRAV(n)のnは、所定時間Tの経過時間の単位で区切られるいずれかの所定時間Tを表す1から始まる自然数であり、時系列で現在から過去に遡って1から増加する。所定時間T(n)は、生活行動を判定する人物の個々の行動(例えば、居室内の移動、姿勢変化など)時間より長い時間とし、本実施の形態では1分とする。
【0054】
ピンガー2と情報処理端末装置3が配置された居室内の人物が居室内で何らかの生活行動を行っていると、その行動によって、図3に示す様に、情報処理端末装置3が検出する各RF信号の受信レベルRが変化するとともに、個々の行動時間より長い時間に設定した所定時間T(n)毎に情報処理端末装置3が検出した全てのRF信号の受信レベルRの平均値である期間受信レベルRAV(n)も変化する。これは、居室内のマルチパス空間内でピンガー2からRF信号を発信する電波経路が居室内の人物の生活行動により変化し、行動中の各受信レベルRが変化するとともに、生活行動の前後においても受信レベルRが変化するためである。そこで、行動判定部34では、所定時間T(n)毎に算出した期間受信レベルRAV(n)を時系列で比較し、経過時間で隣り合う期間受信レベルRAV(n+1)と期間受信レベルRAV(n)との受信レベル差である差分DAV(n)を|RAV(n+1)−RAV(n)|から求め、図3図4に示す様に、差分DAV(n)が、所定のレベル変化閾値DTHを越えた場合に、居室内の人物の生活行動があったと判定する。
【0055】
一方、居室内に人物が不在の場合と、在室している人物が意識を失う等の理由で生活行動を行っていない場合には、ピンガー2からRF信号を発信する電波経路はほぼ一定であるので、各RF信号の受信レベルRや所定時間T(n)毎の期間受信レベルRAV(n)は、ノイズなどの影響でわずかに変化するのみとなる。その結果、経過時間で隣り合う期間受信レベルRAV(n+1)と期間受信レベルRAV(n)との差分DAV(n)は、レベル変化閾値DTH未満となり、行動判定部34は、図3図4に示すように、差分DAV(n)がレベル変化閾値DTHを越えない期間は、居室内の人物の生活行動がないと判定する。
【0056】
情報処理端末装置3が受信した個々のRF信号の受信レベルRの変化から生活行動の有無を判定するとすると、不定期にピンガー2から発信されるRF信号が人物の生活行動中に発信されないとその生活行動を判定できず、また、短期間のノイズが特定のRF信号に重畳した場合にも、生活行動の有無を誤判定する恐れがある。上述のように、本実施の形態では、不定期にピンガー2から発信されるRF信号の受信レベルRを、所定時間の単位で求め、人物の個々の生活行動時間より長い所定時間T(n)毎の期間受信レベルRAV(n)を時系列で比較するので、不定期に発信されるRF信号の受信レベルRから生活行動を判定でき、また、その判定に短時間のノイズの影響も受けない。
【0057】
更に、行動判定部34は、経過時間で隣り合う期間受信レベルRAV(n+1)と期間受信レベルRAV(n)との差分DAV(n)の大きさから、生活行動の有無を判定するので、所定時間T(n+1)と所定時間T(n)に跨がる長周期ノイズや、ピンガー2と情報処理端末装置3間の距離など、期間受信レベルRAV(n+1)と期間受信レベルRAV(n)に共通に表れる影響は、その差分DAV(n)に表れず、差分DAV(n)をレベル変化閾値DTHを比較して正確に生活行動の有無を判定できる。
【0058】
しかしながら、居室内の人物が生活行動を行うことにより生じる差分DAV(n)自体の大きさは、ピンガー2の発信電界強度、ピンガー2と情報処理端末装置3との距離、居室内でのRF信号のマルチパス環境により異なるので、生活行動を行った場合と行わない場合についてそれぞれ隣り合う期間受信レベルRAV(n+1)と期間受信レベルRAV(n)との差分DAV(n)を求め、両者から人物の生活行動の有無を判定可能なレベル変化閾値DTHに設定する。本実施の形態では、図4に示す様に、例えば、レベル変化閾値DTHを0.2dBmに設定している。
【0059】
行動判定部34は、所定時間T(1)が経過する毎に、所定時間T(1)の期間受信レベルRAV(1)とその直前の所定時間T(2)の期間受信レベルRAV(2)との差分DAV(1)を求め、差分DAV(1)がレベル変化閾値DTH以上であれば、居室内の人物の生活行動があったとの人物の行動情報を、差分DAV(1)がレベル変化閾値DTH未満であれば、居室内の人物の生活行動がないとの人物の行動情報を、その出力側に接続する制御部32へ出力する。
【0060】
上述の様に、制御部32には、RF通信部31がピンガー2が発信したRF信号と特定する毎に、復調したアドバタイズパケットに含まれるセンサー4、5の観測情報が入力され、また、所定時間T(1)が経過する毎に、行動判定部34から人物の行動情報が入力されるので、制御部32は、これらの入力されたセンサー4、5の観測情報と人物の行動情報を、インターネット10に接続する見守り監視サーバー6や遠隔監視装置7から読み出し可能とするように室内状況記憶部39へ記憶する。
【0061】
また、制御部32は、行動判定部34から入力される人物の行動情報を監視し、人物の生活行動があったとの人物の行動情報が人物の生活行動がないとの人物の行動情報に変化してから、所定の監視時間TMONが経過しても人物の生活行動があったとの人物の行動情報に変化しない場合には、ネットワーク通信部36からインターネット10に接続する遠隔監視装置7へ警報を発信したり、警報のメールを送信する。監視時間TMONは、人物の生活行動を監視する目的や監視する時刻により異なるので、これらの状況に応じて見守り監視サーバー6から送信される設定情報をもとに設定され、ここでは、図4に示す様に、例えば監視時間TMONを5時間としている。
【0062】
警報を発信した後、人物の生活行動があったとの人物の行動情報が入力された場合には、警報の発信と同様の方法で、インターネット10に接続する遠隔監視装置7へ警報解除を発信したり、警報が解除されたことを表すメールを送信する。
【0063】
インターネット10に接続する見守り監視サーバー6は、特定の遠隔監視装置7からの初期設定制御命令を受けて、ピンガー2と情報処理端末装置3の初期設定を行う。見守り監視サーバー6から実行するピンガー2の初期設定は、情報処理端末装置3を介したRF信号で行う必要があるので、情報処理端末装置3をマスターと、ピンガー2をスレイブとするBLE接続で双方向通信を行い、情報処理端末装置3を介してピンガー2の設定情報を送信する。
【0064】
ピンガー2と情報処理端末装置3の初期設定では、見守り監視サーバー6から両者に、ピンガー2のID情報、ピンガー2の制御部22が発信制御情報を暗号化する暗号化方法と復号方法を通知し、ピンガー2には、センサー4、5の感度、観測時期などの動作条件、情報処理端末装置3には、監視時間TMON、レベル変化閾値DTH、警報及び警報解除の発信条件、警報及び警報解除を送信する見守り監視サーバー6、遠隔監視装置6及び室内状況記憶部3に記憶された観測情報と人物の行動情報を読み出して閲覧を許可する遠隔監視装置6のIPアドレス等の設定情報を通知する。
【0065】
従って、閲覧を許可する遠隔監視装置6は、いつでも所在場所から離れた遠隔監視装置6の位置で、居室の照光センサー4と温湿度センサー5が観測した居室の照度情報と温度及び湿度情報や居室内の人物の行動情報を情報処理端末装置3の室内状況記憶部3から読み出して確認できる。
【0066】
本実施の形態によれば、ピンガー2が発信するRF信号の発信電界強度は、制御部22からの発信制御情報でRF信号毎に異なる強度となっているので、単にRF信号の受信レベルを監視しても、受信レベルから居室内の人物の行動情報を把握することができず、行動情報を外部に対して秘匿できる。
【0067】
上述の実施の形態では、期間受信レベルRAV(n)を求める所定時間T(n)を人物の生活行動時間より長い1分としているので、ピンガー2からBLEのRF信号が不定期に発信されても各所定時間T(n)に複数のRF信号を受信するが、いずれかの所定時間T(n)にピンガー2が発信するRF信号を特定できない場合には、その直前の期間受信レベルRAV(n+1)を所定時間T(n)の期間受信レベルRAV(n)として援用する。その結果、所定時間T(n)で求められる差分DAV(n)は、「0」として扱う。他の方法として、ピンガー2が発信するRF信号を特定できない所定時間Tを無視し、その直前に少なくとも1つのピンガー2が発信するRF信号を特定した所定時間T(n+1)とその後にピンガー2が発信するRF信号を特定した所定時間T(n)を時系列で連続させてその差分DAV(n)から行動情報を判定してもよい。
【0068】
また、所定時間T(n)の期間受信レベルRAV(n)は、その間の全てのRF信号の受信レベルRの平均値から算定しているが、その間の全てのRF信号の受信レベルRの標準偏差を期間受信レベルRAV(n)としてもよい。
【0069】
更に、所定時間T(n)の期間受信レベルRAV(n)とその直前の所定時間T(n+1)の期間受信レベルRAV(n+1)の差分DAV(n)の大きさから人物の行動情報を判定しているが、nの増加に伴って減少する重み付けを遡った複数の期間受信レベルRAV(n)にそれぞれ乗じ、所定時間T(n)毎に変化する差分の大きさから人物の行動情報を判定することもできる。
【0070】
また、上述の実施の形態では、一対の遠隔監視装置6とピンガー2がRF通信方式で接続されているが、一台の遠隔監視装置6に複数台のピンガー2がRF通信方式で接続されていてもよい。
【0071】
また、遠隔監視装置6のRF通信部31と受信電力計測部33は、ピンガー2と同一居室内に配置されている必要があるが、その他の遠隔監視装置6の部分は、有線若しくは無線で居室外に配置されていてもよい。
【0072】
また、遠隔監視装置6では、警報の発信条件を予め定めた一定の監視時間TMONから設定しているが、RF通信部31から入力される観測情報をもとに監視時間TMONを変更したり、入力される観測情報と人物の行動情報とから他の警報の発信条件を設定してもよい。
【0073】
例えば、照光センサー4が観測した居室の照度情報から居室の照明を点灯させていると推定される場合に、監視時間TMONを短縮させれば、在室中の人物の異常をより早期に発見して警報を送信することができ、また、温湿度センサー5の観測情報が居室内が高温、多湿であることを表し、生活行動があるとの人物の行動情報が入力されている場合には、監視時間TMONの経過にかかわらず、直ちに熱中症の発症可能性があることを、遠隔監視装置6へ送信してもよい。更にこれらの警報は、見守り監視サーバー6が室内状況記憶部39から読み出した観測情報及び/又は人物の行動情報をもとに、見守り監視サーバー6から遠隔監視装置7へ送信してもよい。
【0074】
また、所温度、湿度などの観測情報及び/又は人物の行動情報は、情報処理端末装置3から見守り監視サーバー6や遠隔監視装置7へ送信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、居室内の人物の行動情報を居室外の離れた位置から監視する室内状況監視システムに適している。
【符号の説明】
【0076】
1 室内状況監視システム
2 ピンガー(発信器)
3 情報処理端末装置
4 照光センサー
5 温湿度センサー
6 見守り監視サーバー
7 遠隔監視装置
10 インターネット(ネットワーク)
33 受信電力計測部(レベル検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6