特許第6677427号(P6677427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677427
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】通信装置用の二重逆巻きアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20200330BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20200330BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   H01Q7/00
   H01Q1/24 Z
   H01Q1/52
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-560201(P2018-560201)
(86)(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公表番号】特表2019-515605(P2019-515605A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】MY2016000027
(87)【国際公開番号】WO2017200371
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2018年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009597
【氏名又は名称】モトローラ ソリューションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Motorola Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゴー、ポー イム
(72)【発明者】
【氏名】ゴー、テイク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ソー テン
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−298410(JP,A)
【文献】 特開2004−304499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00− 1/52
H01Q 5/00− 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
1次ヘリカルコイルと、
前記1次ヘリカルコイルに対して逆巻きとされた2次ヘリカルコイルと、
前記2次ヘリカルコイルを前記1次ヘリカルコイルに対して切り替え可能に結合するためのスイッチと、を備え、前記2次ヘリカルコイルは、前記スイッチにより非接続とされたときに前記1次ヘリカルコイルに対して電磁的に結合される、アンテナ。
【請求項2】
前記1次ヘリカルコイルと前記2次ヘリカルコイルとがオーバーラップしていない、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記スイッチは無線周波数(RF)スイッチであり、前記1次ヘリカルコイルと前記2次ヘリカルコイルとがオーバーラップしていない、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記スイッチは単極単投(SPST)スイッチであり、前記1次ヘリカルコイルと前記2次ヘリカルコイルとがオーバーラップしていない、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記スイッチは単極単投(SPST)スイッチであり、前記1次ヘリカルコイルと前記2次ヘリカルコイルとがオーバーラップしている、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
アンテナであって、
1次ヘリカルコイルと、
前記1次ヘリカルコイルに対して逆巻きとされた2次ヘリカルコイルと、
前記2次ヘリカルコイルを前記1次ヘリカルコイルに対して切り替え可能に結合するためのスイッチと、を備え、前記アンテナは、狭帯域通過帯域のアップリンク帯域と所定のデュプレクス間隔を有する所定のダウンリンク帯域とにわたって動作する、アンテナ。
【請求項7】
アンテナであって、
1次ヘリカルコイルと、
前記1次ヘリカルコイルに対して逆巻きとされた2次ヘリカルコイルと、
前記2次ヘリカルコイルを前記1次ヘリカルコイルに対して切り替え可能に結合するためのスイッチと、を備え、前記アンテナは、
前記スイッチがオンの場合に、F1を中心周波数とし、F2において除去する狭帯域アップリンク通過帯域と、
前記スイッチがオフの場合に、F2を中心周波数とし、F1において除去する狭帯域ダウンリンク通過帯域と、を含む通過帯域にわたって動作し、
前記スイッチがオフされたときの除去率は、前記スイッチがオンされたときよりも大きい、アンテナ。
【請求項8】
前記アンテナは、
前記スイッチがオンされたときに、前記1次ヘリカルコイルが前記2次ヘリカルコイルに結合することにより、F1を第1の中心周波数とし、F2において除去する第1の所定の周波数通過帯域で動作可能なアンテナが提供され、
前記スイッチがオフされたときに、前記1次ヘリカルコイルと前記2次ヘリカルコイルとの接続が遮断されることにより、F2を第2の中心周波数とし、F1において除去する第2の所定の周波数通過帯域で動作可能なアンテナが提供される、ように所定の通過帯域で動作可能であり、
前記第1の所定の周波数通過帯域と前記第2の所定の周波数通過帯域は、互いに同じデュプレクスチャネル間隔内にある、請求項に記載のアンテナ。
【請求項9】
ポータブル電子装置であって、
コントローラと、
トランシーバと、
前記コントローラおよび前記トランシーバに動作可能に結合されたプッシュツートーク(PTT)ボタンと、
無線周波数通信を提供する切り替え可能に結合された二重逆巻きヘリカルアンテナと、を備えるポータブル電子装置。
【請求項10】
前記切り替え可能に結合された二重逆巻きヘリカルアンテナは、第1の所定の狭帯域周波数通過帯域と第2の所定の狭帯域周波数通過帯域とにわたる動作を提供する非オーバーラップコイルを備える、請求項に記載のポータブル電子装置。
【請求項11】
前記切り替え可能に結合された二重逆巻きヘリカルアンテナは、同一の動作帯域内で2つの狭帯域応答を生じさせる所定の周波数通過帯域内の独立した共振周波数で動作する、請求項10に記載のポータブル電子装置。
【請求項12】
前記切り替え可能に結合された二重逆巻きヘリカルアンテナは、オーバーラップしており、所定の広帯域動作モードと狭帯域動作モードとにわたる切り替え可能な動作を提供する、請求項に記載のポータブル電子装置。
【請求項13】
前記切り替え可能に結合された二重逆巻きヘリカルアンテナは、
第1のヘリカルコイルと、第2のヘリカルコイルと、スイッチとを備え、
前記第1のヘリカルコイルは、狭帯域動作モードと広帯域動作モードの双方でアンテナとして動作し、
前記広帯域動作モードの間、前記スイッチは、前記第1のヘリカルコイルを前記第2のヘリカルコイルに接続して、逆巻きコイルによる前記アンテナの電気的長さを増加させ、
前記狭帯域動作モードの間、前記スイッチは、前記第1のヘリカルコイルと前記第2のヘリカルコイルとの接続を解除し、前記第2のヘリカルコイルが前記第1のヘリカルコイルに結合された寄生素子として動作する、請求項10に記載のポータブル電子装置。
【請求項14】
前記第1のヘリカルコイルは高周波アンテナとして動作し、前記スイッチは、前記第1のヘリカルコイルを前記第2のヘリカルコイルに接続して逆巻きコイルによる前記アンテナの電気的長さを増加させるとき、前記第1のヘリカルコイルを低周波アンテナとして動作させる、請求項13に記載のポータブル電子装置。
【請求項15】
前記第1のヘリカルコイルと前記第2のヘリカルコイルとは前記スイッチを介して接続され、各ヘリカルコイルは、前記広帯域動作モードの間、所定の周波数帯域内の独立した共振周波数で動作する、請求項13に記載のポータブル電子装置。
【請求項16】
前記ポータブル電子装置は、TETRA通信帯域で動作するポータブル無線機である、請求項12に記載のポータブル電子装置。
【請求項17】
前記ポータブル電子装置は、モバイル(GSM)帯域で動作するポータブル無線機である、請求項12に記載のポータブル電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナに関し、詳しくは、通信装置に用いられるヘリカルコイルアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブル双方向無線機などのバッテリ駆動型のポータブル通信装置は、しばしば外部アンテナを利用して動作する。そのようなデバイスに組み込まれたアンテナの設計においてサイズの制約や動作の効率は主要な関心事項である。極めて大きな構造物は、アンテナが非常に堅く破損しやすいだけでなく、空港、鉄道駅、バスターミナル、および出荷港のセキュリティなどの特定の作業環境では視覚的に目立つこともある。したがって、新しいアンテナ構造は、無線装置の物理的なユーザーインターフェースに対する影響やサイズを最小限に抑える必要がある。また、全体的な複雑さもコストや製造容易性に影響を与えるので、新しいアンテナ構造を開発する際に考慮する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
無線アンテナ設計の課題は、外部放射される送信の干渉が生じやすく無線受信機の感度を潜在的に低下させる環境で生じ得る。同様に、アンテナで発生した広帯域エミッションの放射も、そのエリア内の他の無線と干渉しないように最小限に抑える必要がある。設計課題の関心領域は、デュプレックスおよび/またはスプリット周波数動作に関連付けられた間隔の狭い送受信周波数帯域で動作するシステムに関係する。例えば、全二重無線動作は、送信周波数と受信周波数が異なり、時分割多元接続(TDMA)を異なるスロットで使用して「デュプレクス間隔」の周波数間隔により送信周波数と受信周波数とが分離されるトランスヨーロッパトランク無線(Trans-European Trunked Radio(TETRA))で得ることができるが、干渉の可能性は依然として大きいままである。混雑した無線環境の周辺カバレッジエリアにおけるそのようなデバイスの動作は、受信モード、特にデュプレクス間隔を有するシステムに対する干渉を容易に生じさせ得る。周辺カバレッジエリアの送信無線機がある会話で基地局に送信する場合、周辺カバレッジエリア内の近くの受信無線機が別の会話にあるかまたはスタンバイモードにある場合でも、近くの送信無線機からのトランクモード無線送信干渉が受信無線機に呼を落とさせるのに十分な電力で伝わり得るかまたはスタンバイ無線機が着信呼を受信するのを妨げる(妨害する)ものとなり得る。このため、干渉を排除することによってアンテナ性能を改善できることが非常に望ましい。また、送信モードでは、エリア内の他の無線と干渉しないように、アンテナから発生する広帯域エミッションの放射を最小限に抑える必要がある。帯域幅、効率、サイズ、および製造容易性などの無線機パラメータはすべて、アンテナの設計で考慮すべき要素である。
【0004】
したがって、干渉を受けやすい環境で動作する特にポータブル無線機などのポータブル通信装置のための新しいアンテナを有することが有益となる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】いくつかの実施形態に従って形成され動作する切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナを組み込んだポータブル通信装置の断面図。
図2】いくつかの実施形態による二重逆巻きアンテナを制御するスイッチの一例を示す図。
図3】いくつかの実施形態に従って形成され動作する切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナを組み込んだポータブル通信装置のブロック図。
図4】いくつかの実施形態に従って形成され動作する切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナを組み込んだポータブル通信装置の動作の一例のグラフを示す図。
図5】いくつかの実施形態による二重逆巻きアンテナの1次ヘリカルコイルの内側ヘリカルアセンブリ部分の分解図。
図6】いくつかの実施形態による二重逆巻きアンテナの2次ヘリカルコイルの外側ヘリカルアセンブリ部分の分解図。
図7】いくつかの実施形態によるポータブル通信装置に組み込まれた、切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナの代替実施形態を示す図。
図8】代替実施形態に従って切り替え可能に結合された代替実施形態の二重逆巻きアンテナを示す図。
図9A図8の代替実施形態に従って形成されたオーバーラップアンテナの使用可能帯域幅の一例のグラフを示す図。
図9B図8の代替実施形態に従って形成されたオーバーラップアンテナの干渉除去の一例のグラフを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面において、同様な参照番号は、図面全体を通じて同一の要素または機能的に同様な要素を示す。添付の図面は、以下の詳細な説明とともに本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成し、特許請求の範囲に記載された発明を含む概念の実施形態を例示するとともに、それらの実施形態の種々の原理および利点を説明する。
【0007】
図中の要素は簡潔化および明瞭化を目的として示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを当業者は理解し得る。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解の向上を助けるべく、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0008】
図面において構成要素が従来の符号で表される場合もあるが、これは本発明の実施形態を理解することに関連する具体的な詳細のみを示すためのものであり、詳細により開示を不明瞭にしないためのものであることが、本明細書の記載の利益を有する当業者には容易に理解し得る。
【0009】
本発明による実施形態を詳細に説明する前に、これらの実施形態は、種々の実施形態によるポータブル双方向無線機などのポータブル通信装置用のアンテナに主として存在することに留意されたい。ポータブル無線機において、TETRA、TDMAを用いて全二重で動作することが可能な狭い送受信周波数間隔条件を有するもの、および/または同一のまたは同様の間隔条件を有する半二重動作を提供するものなどは、本明細書において提供されるアンテナによるすべての利益を得ることができる。種々の実施形態によって提供されるアンテナは、通過帯域の選択性および干渉除去の調整を選択的に提供することができる、より短くてより小型のアンテナが望まれる他のポータブル通信装置の用途に適している。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナは、同一の周波数帯域内で、第1の低応答動作モードと第2の高応答動作モードとを切り替える。切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナは、例えば、空港や鉄道駅などの輸送ステーションなどにおける混雑した無線トラフィック環境において、ポータブル無線機が干渉を受け難くすることを可能にする。送信動作モードでは、第1および第2の非オーバーラップヘリカルコイルがスイッチを介して互いに接続されることにより、低い広帯域ノイズ放射エミッションを可能とする放射アンテナ素子が形成される。受信(RX)動作モードでは、アンテナコイルが非接続とされることで、一方のヘリカルコイルが1次放射素子として動作し、他方の2次ヘリカルコイルが寄生素子として動作して、近くの無線機により生成され得る既知の干渉周波数での干渉をノッチアウトする。したがって、切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナは、混雑した無線トラフィック環境に適したものとなる。
【0010】
いくつかの他の実施形態では、帯域外干渉の除去性能を達成しつつアンテナ長を低減するために使用可能な広帯域用途での非オーバーラップヘリカルコイルからなる、切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナが提供される。
【0011】
図1は、いくつかの実施形態に従って形成されたアンテナを組み込んだポータブル通信装置の部分断面図である。ポータブル通信装置100は、ハンドヘルド型の双方向無線機または他のポータブル電子装置などのバッテリ駆動型のポータブル無線機とすることができ、内部に1つまたは複数のプリント回路基板(PCB)122が実装されたハウジング120を含む。PCB122上には無線回路およびハードウェアが実装されている。無線回路およびハードウェアは、これらに限定されないが、オーディオ回路130、コントローラ140、およびトランシーバ150を含み、それらは無線通信のために相互動作可能に結合されている。プッシュツートーク(PTT)ボタン128は、ハウジング120の側面に位置し、無線送信機能を可能とするべくコントローラ140を介して相互動作可能に結合されている。本出願の目的のために、ポータブル通信装置100は単に無線機とも呼ばれ得る。
【0012】
無線回路の動作は、送信用のPTTボタン128の制御の下で双方向の無線通信を提供し、ユーザはPTTボタンを押して送信を行い、ボタンから手を離して送信を停止することにより、無線機をスタンバイモードにして無線通信を受信可能とする。いくつかの実施形態によれば、無線機100は、例えばTETRAシステムで動作する。このTETRAシステムでは、送信周波数と受信周波数とがデュプレクスチャネル間隔に関連付けられた狭い間隔の周波数帯域によって分離されるが、それに付随した問題がある。プッシュツートーク(PTT)ボタン128を用いて送信モードが有効にされることで基地局への送信が行われ、PTTボタンを解除して送信モードが無効にされることによりユーザの観点から見れば半二重の通信動作モードの動作であるが、全二重に関連付けられた狭いチャネル間隔を使用した動作となる。しかしながら、無線機100の動作は、その無線機100がいくつかの実施形態に従って形成され動作するアンテナ106を使用して、混雑した環境の周辺カバレッジエリアで動作している場合であっても(送信モードでのエミッションを最小限に抑えることができるとともに)受信モードでの所定の干渉を回避できることが有利である。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、アンテナ106は、1次ヘリカルコイル102と、1次ヘリカルコイル102に対して逆巻きにされた2次ヘリカルコイル104とを含む。この実施形態によれば、1次ヘリカルコイル102および2次ヘリカルコイル104は重なり合っていない。この実施形態では、2次ヘリカルコイル104は無線機ハウジング120の外部に位置してキャップまたはカバー124により覆われる一方、1次ヘリカルコイルは無線機ハウジングの内部に位置し、これにより無線機の全体的な物理的長さを最小化している。断面図は逆巻きを強調するために提供されており、この断面図は、コイルが完全に分離されて重なり合っていないときの1次ヘリカルコイル102と2次ヘリカルコイル104との間の非損失誘電体/空気を示している。
【0014】
アンテナ構成は、1次ヘリカルコイル102に対して2次ヘリカルコイル104を切り替え可能に結合するためのスイッチ110を介して制御される。1次ヘリカルコイル102はメインRFアンテナとして常時動作したままである一方、2次ヘリカルコイル104は、着信呼を待っている間の受信またはスタンバイ中の高周波狭帯域動作モードにおける干渉をノッチアウトまたはブロックする寄生素子として(サックアウトトラップ(suckout trap)としても知られる)干渉除去の改善をもたらす。アンテナ106は、低周波狭帯域動作モードにおける送信モードの間、放射エミッションの改善をもたらす。
【0015】
アンテナ106の1次および2次ヘリカルコイル102,104によって狭い周波数帯域幅が制御される一方、相互接続スプリング114は、さらなる調整のために1次ヘリカルコイル102をRF放射器ストリップ116に結合する。RF放射器トレース116はPCB122内にエッチング形成され、適切な層を介してトランシーバ150に接続される。トランシーバ150付近のマッチング構成要素(図示略)とあわせたRF放射器トレース116の電気的長さ、スイッチ110のタイプ、非オーバーラップの逆巻きヘリカルコイル102,104の長さは、所定の間隔条件に対する特定の周波数用途に適合するように調整され得る。
【0016】
二重逆巻きアンテナ106を組み込むことにより、無線機100は、所望の関心周波数帯域内にて最適化されたアンテナ特性で動作するように選択された所定の関心周波数帯域で動作することができる。例えば、無線機100は、TETRAにおいて44.5MHzのデュプレクス間隔を有するように415.5〜420MHzのアップリンク帯域と460〜464.5MHzのダウンリンク帯域で動作するように設計され得る。コイル材料およびチューニング構成要素を調整することにより、他の関心周波数帯域および他のチャネル間隔についても構成することができる。
【0017】
図2は、いくつかの実施形態に従って1次ヘリカルコイル102と2次ヘリカルコイル104で形成された二重逆巻きアンテナ106を制御するためのスイッチ200の一例である。コイル間の切り替えは、当該技術分野における周知の方法で、抵抗性、容量性、および誘導性の構成要素208を用いてバイアスされるPINダイオード204を介して行われる。コンデンサ212,214はコイルへの直流電流を阻止する。ピンダイオード204は、PTTの起動(制御トリガ)時に1次ヘリカルコイル102を2次ヘリカルコイル104に接続するRFスイッチとして動作する。ピンダイオード204は、図1のコントローラ140のスイッチ制御アルゴリズムに基づいてコントローラ140から受信した入力に応答して1次ヘリカルコイル102と2次ヘリカルコイル104との接続を遮断する。
【0018】
スイッチ200は無線周波数(RF)スイッチとして図示され説明されているが、他の構成、回路、さらには既知のまたはまだ開発されていない他のスイッチも想定され得る。動作スイッチ200は単極単投動作を提供する。例えば、2つのヘリカルコイルが接続され、相互に結合されて導通し、切断/再接続されることを保証する方法でヘリカルコイルを介してRF周波数を伝達するのに適したMEMs技術または他のスイッチ技術を用いて形成されるスイッチが想定され得る。
【0019】
図3は、いくつかの実施形態に従って形成され動作する切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナ106を組み込んだポータブル通信装置100のブロック図である。このアンテナ106は、1次ヘリカルコイル102と2次ヘリカルコイル104とで形成された非オーバーラップ型の二重逆巻きアンテナ106である。スイッチ110は、単極単投スイッチとしてその動作形態で示されており、基本的には第1および第2のコイルを並列に結合しつつ、中央に装入された2次ヘリカルコイル104を切り替え可能に結合(接続/切断)する。
【0020】
表1は、スイッチ110がオンの場合とオフの場合とにおける無線機100の動作特性を示す。中央に装入された2次ヘリカルコイル104のスイッチ110は、同じ超高周波(UHF)帯域内で低周波側(スイッチ110がオン)から高周波側(スイッチ110がオフ)にアンテナ応答性を切り替え可能とする。同じ物理的長さのアンテナの帯域幅は、最大でその帯域幅の2倍まで増加させることができ、帯域幅が固定の場合には、アンテナの長さを短くすることができる。高周波数帯域において、1次ヘリカルコイル102と2次ヘリカルコイル104との接続が遮断されると、1次コイルは干渉ノッチ素子、すなわち上記した「サックアウトトラップ」として動作して、近くの無線機からの不要信号の干渉除去を改善する。例えば、セルラーグローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))の帯域などの既知のデュプレクス周波数間隔によって分離された周波数で送信している近くの無線をブロックすることができる。
【0021】
表2は、アンテナ106の動作の概要を示す。
【0022】
【表1】
したがって、いくつかの実施形態に従って形成されたアンテナ106は、スイッチがオンの場合に、F1を中心周波数とし、F2において除去する狭帯域アップリンク通過帯域と、スイッチがオフの場合に、F2を中心周波数とし、F1において除去する狭帯域ダウンリンク通過帯域とを含む通過帯域にわたって動作可能である。アンテナ106によって得られる同調性の利点は、スイッチがオンされたときよりもスイッチがオフされたときの干渉除去率を向上できることにある。この干渉除去率は設計パラメータに基づいて変化し得るが、同調性および2つの非オーバーラップ型ヘリカルコイル102,104を微調整する能力、特に、寄生素子としての2次ヘリカルコイル104は、アンテナ設計段階で、ポータブル無線機のRF用途に非常に望ましいアンテナ106を構成する。
【0023】
より詳しくは、スイッチがオンされたとき、1次ヘリカルコイルが2次ヘリカルコイルに結合することにより、F1を第1の中心周波数とし、F2において除去する第1の所定の周波数通過帯域で動作可能なアンテナが提供される。スイッチがオフされたとき、1次ヘリカルコイルと2次ヘリカルコイルとの接続が遮断されることにより、F2を第2の中心周波数とし、F1において除去する第2の所定の周波数通過帯域で動作可能なアンテナが提供される。第1の所定の周波数通過帯域と第2の所定の周波数通過帯域は、互いに同じデュプレクスチャネル間隔内にある。
【0024】
図4は、いくつかの実施形態に従って形成された二重逆巻きアンテナ106を組み込んだ無線機100であって、TETRAにおいて44.5MHzのデュプレクス間隔を有するように415.5〜420MHzのアップリンク帯域と460〜464.5MHzのダウンリンク帯域で動作するように割り当てられた無線機100の一例を提示したグラフ400を示す。グラフ400は、縦軸に全効率(dB)を示し、横軸410に沿って周波数(MHz)を示しており、二組の狭帯域通過帯域サンプルを示している。RFスイッチ110がオンにされた状態での通過帯域402,412は低通過帯域F1で示され、F2において除去する。RFスイッチ110がオフにされた状態での通過帯域404,414はより高い通過帯域F2に移動し、F1において除去する。
【0025】
したがって、グラフ400は、無線機100がRXモード(スイッチ110がオフ)で動作しており下位側の狭帯域通過帯域へ移行するとき、アンテナ106は、8dBを超える除去率で外部送信干渉を「サックアウト」できることを示している。また、グラフ400は、無線機がTXモード(スイッチがオン)にあり、上位側の狭通過帯域へと移行するとき、アンテナ106は「送信エミッションを最小化」できることを示している。
【0026】
したがって、二重逆巻きアンテナ106を使用することで、干渉除去率を改善しつつ、送信エミッションの最小化を改善するシステム性能が達成される。このように、二重逆巻きアンテナは、スイッチが開状態とされて2次ヘリカルコイル104が干渉に対する「サックアウトトラップ」をもたらす寄生素子として動作する第2の動作モードで有益に動作可能である。
【0027】
逆巻きアンテナを使用することにより、表2およびグラフ400に示される使用の場合においてRX帯域でさらなる(8dBを越える)除去を達成することができる。表2は、干渉源がアンテナ106に近づくことができ、周囲の無線機へのアンテナ106の影響を低減するという観点でアンテナ106がどのように実行されるかについての概要を提示する。グラフ400を引き続き参照すると、逆巻きアンテナについてのスイッチオンモードからスイッチオフモードへの動作切り替えのための使用の場合の例が以下に概説されている。
【0028】
【表2】
表2およびグラフ400は、逆巻きアンテナ106を使用することによって、RX帯域でさらなる(8dBを越える)除去を達成できるとともに、アンテナ106からの送信中に送信広帯域ノイズを10dBよりも大きな値で低減できることを示している。これは、空港やその他の輸送環境など、多くの無線機ユーザがいる混雑した場所では特に便利となる。10MHzを超える値での送信広帯域ノイズに関するETSI要件EN300−394−1は、−100dBc未満であることが必要とされる。逆巻きアンテナ106を使用することにより、RX帯域でさらなる(8dBを越える)除去を達成することができる。
【0029】
TX広帯域ノイズに関して、無線機100は、近くの無線機に影響を及ぼし得ることが考えられる。無線機100が標準的な通常のアンテナを有する場合、13メートル離れた別の同様の無線機とノイズフロアからの干渉を起こし得るが、無線機100がアンテナ106を組み込んでいる場合は、広帯域ノイズがサックアウトされることで、干渉を起こすことなく無線機100を他の無線機に約4メートル近づけることが可能となる。
【0030】
感度を抑えたRX除去の場合、RX無線機で動作する通常のアンテナを有する無線機100は、自由空間経路損失計算に基づいて、その範囲に影響を及ぼすことなく、入来する干渉源を引き起こす近くの全電力送信無線機から少なくとも45メートル離して配置される必要がある。しかしながら、アンテナ106を無線機100に組み込むことによって、RX無線機を干渉源に18メートル近づけることができる。
【0031】
範囲領域の観点で見ると、範囲は、半径A=PIR^2でカバーできる領域に基づいて計算される。この場合、範囲を530.93平方メートルから50.27平方メートルに減らすことができる。これは、アンテナ106のノイズフロアからのノイズが他の無線機に大きな影響を与えないことを意味する。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、システム要件に基づいて所定の周波数間隔を有する他の所定の狭帯域通過帯域で動作するようにヘリカル巻線の導電トレース116を介してアンテナ106を調整することができる。例えば、システム要件に基づいて所定のデュプレクス間隔を有する他の所定の狭帯域通過帯域のアップリンク帯域および所定のダウンリンク帯域で動作するようにヘリカル巻線の導電トレース116を介してアンテナ106を調整することができる。例えば、地上基盤無線(TETRA:Terrestrial Trunked Radio)システムおよびセルラーグローバル移動体通信システム(GSM)の帯域で動作する無線機は、種々の実施形態によって説明されるアンテナの利点を得ることができる。
【0033】
図5は、いくつかの実施形態に従って形成された二重逆巻きアンテナ106の1次ヘリカルコイル102の内部ヘリカルアセンブリ部分500の分解図である。外部シールドが除去された状態で内部導体および誘電体を提供する内部同軸ケーブル502は2つの内部接点板504,506の間に結合され、好ましくは第1および第2のプラスチック部分508,510から形成されたハウジング内に収容される。バネ接点504およびプレート接点506は、ハウジングの外部からアクセス可能である。電気的フレックス部512もしくは適切な導体、またはヘリカルコイルの形成に適した他の適切な導体は、バネ接点504に結合され、ヘリカルコイルの形式でハウジング周囲に巻き付けられる。ハウジングは、フレックス部の巻き付けを容易にするために、予め位置決めされたアライメントタブまたは他のアライメント手段を有し得る。接点板506がハウジングの外部に延在することによって、回路基板との相互接続のための図1の相互接続スプリング114が提供される。完成したアセンブリは、図1のヘリカルコイル102として示される。他のアセンブリ方法も可能であるが、アセンブリ方法500は、良好な性能を有した小型で目立たないアンテナが非常に望まれるビジネス双方向無線市場に適したポータブル無線機内への1次ヘリカルコイルの取り付けを容易にする。
【0034】
図6は、いくつかの実施形態による二重逆巻きアンテナ106の2次ヘリカルコイル104の外側ヘリカルアセンブリ部分600の分解図である。放射素子602は、フレックス部、ワイヤ、またはヘリカルコイルへと形成可能な他の適切な放射導体で形成することができる。この実施形態によれば、回転方向は、1次コイル512に対して逆巻きにされる必要がある。フレックス部612は、例えば、ヘリカルコイルアンテナを支持するのに適した非導電性で非損失性の誘電体材料で形成されたフレックス化粧管(dressing tube)などのチューブに巻き付けられ得る。オーバーモールド606は、金属接点608および金属スタッドコネクタ610の取り付けを可能にする追加の支持および剛性を提供する。このアセンブリはカバー614(図1のカバー124)によりキャップまたはオーバーモールドされるが、スタッドコネクタは無線機100の無線機ハウジング120に取り付けるために露出させたままとされる。他の構成を使用することもできるが、長さ107mmの無線機の場合は、全長約20mmが適切である。この場合も、アセンブリ方法の全体の目標は、二次ヘリカルコイルがポータブル無線機の外部にあるため、二次ヘリカルコイルがユーザにとって目立たないものとしつつ、1次ヘリカルコイルと協働して良好な性能を示す二次ヘリカルコイルを提供することに向けられている。
【0035】
図7は、いくつかの代替の実施形態に従って形成され動作するアンテナ706を組み込んだポータブル通信装置700のブロック図である。このポータブル通信装置700は、コントローラ、オーディオ回路、およびトランシーバを有したポータブルなPTT双方向無線タイプの装置であり、狭通過帯域の動作周波数である狭帯域周波数で適切なサポート回路が動作するという点で上記説明したものと同様であるが、この実施形態での無線機のサイズはそれほど制限されておらず、上記実施形態で説明したものと性能は同様であるが、サイズの制約はない。
【0036】
上記実施形態と同様に、ポータブル通信装置700は、1次ヘリカルコイル702と2次ヘリカルコイル704とを備えるアンテナ706を動作させる。2次ヘリカルコイルは1次ヘリカルコイルに対して逆巻にされている。しかしながら、この実施形態では、双方のコイルはポータブル通信装置700の外部に位置している。ポータブル通信装置700の内部には、RFスイッチ、MEMsスイッチ、またはRF周波数を伝達するための他の適切なスイッチなどのスイッチ710が位置し、スイッチ710は2つのヘリカルコイルの間に切り替え可能に装入されている。受信/スタンバイモードでスイッチ710が開くと、コイル間の電磁結合のみが許容され、送信モードでスイッチ710が閉じると、2つのコイルが短絡される。PTT728を押すとスイッチ710が閉制御され、PTT728が解除されるとスイッチが開く。スタンバイ中および受信中にスイッチは開状態のままとなる。
【0037】
この実施形態では、ポータブル通信700は図1〜3の無線機100と同じサイズ制約を受けないのでアンテナ706を装置の外部に配置することができる。サイズ制約に対する制限が少ないので、1次および2次ヘリカルコイル702,704は無線機ハウジングの外側に位置し、無線機の制御トップによって許容される空間に応じて適切に取り付けられてスリーブ受けされる。適切な周波数帯域は、PCB722内にエッチング形成された放射器ストリップ716、または給電点718およびトランシーバに関連付けられたPCB722上の他のマッチング構成要素(図示略)を用いて設計および調整され得る。
【0038】
図8は、いくつかの実施形態による切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナ800の代替の実施形態である。アンテナ800は、1次ヘリカルコイル802と、2次ヘリカルコイル804と、それらの間に結合されたスイッチ810とで形成されたオーバーラップコイルを含み、オーバーラップコイル間には適切な非損失誘電体材料が配置されている。このようなアンテナ800はサイズ制約が制限されていないポータブル無線機の外部に配置され得る。この場合、無線機モックアップは105×65mmであり、アンテナの長さは105mmである。この無線機は、上記と同様に、トランシーバと、マイクロプロセッサの制御で動作可能でありスイッチ810を介して切り替え可能に結合されてPTTの作動に応答して2次ヘリカルコイル804のスイッチングを制御するコントローラとを備える。
【0039】
広帯域動作モードの間、スイッチ810は、1次ヘリカルコイル802を2次ヘリカルコイル804に接続し、これによって、逆巻きコイルを備えたアンテナの電気的な長さを増加させる。
【0040】
狭帯域動作モードの間、スイッチ810は、1次ヘリカルコイル804と2次ヘリカルコイル804との接続を遮断し、2次ヘリカルコイルは、1次ヘリカルコイルに結合された寄生素子として動作する。
【0041】
スイッチ810がオンされると、2つの共振周波数が近接した広帯域通過帯域が得られる。スイッチ810がオフされると、帯域外周波数において追加の干渉除去を伴う狭帯域通過帯域が得られる。したがって、狭帯域通過帯域と広帯域通過帯域の双方を有する1つの独立した周波数がアンテナ800によって達成される。
【0042】
図9Aは、図8の代替実施形態に従って形成されたオーバーラップアンテナの使用可能帯域幅902の一例のグラフ900を示す。グラフ900は、縦軸910の周波数(MHz)に対する横軸920のゲイン(dB)を示す。スイッチ810がオンされると、共振周波数(72MHzおよび20MHz)の2つが接近して92MHzの使用可能帯域幅が得られる。
【0043】
図9Bは、図8の代替実施形態に従って形成されたオーバーラップアンテナの干渉除去の一例のグラフ950を示す。グラフ950は、縦軸930に全効率を示し、横軸に周波数(MHz)940を示している。除去性を有さず400MHz〜470MHzの帯域にわたって広帯域応答を有する2つの基準アンテナ応答(標準的なスタビー(stubby)アンテナ942とホイップアンテナ944)が示されている。グラフ950は、2次コイル804が1次ヘリカルコイルに対して切り替え可能に非接続とされたときにアンテナ800から得られる広帯域応答952であって、干渉除去を有さない広帯域応答をもたらすことを示している。グラフ950は、1次コイル802が2次コイル804に切り替え可能に接続されたときに得られる狭帯域応答954であって、大きな除去をもたらす狭帯域応答を示している。
【0044】
表3は、アンテナ800の特性をまとめたものである。
【0045】
【表3】
このようにオーバーラップ型二重逆巻きスイッチアンテナの方法は、標準的なホイップアンテナやスタビーアンテナに対して、追加の干渉除去をもたらす広帯域アンテナを提供できるため有利である。1次および2次ヘリカルコイルの各々の影響がアンテナ内で十分に規定されるため、表3に示されるようなアンテナ応答やアンテナ干渉の細かな調整は、各ヘリカルコイル(および他の無線機構成要素)を介して容易に調整可能である。
【0046】
したがって、アンテナ800は、1次および2次の逆巻きヘリカルコイルがオーバーラップして所定の広帯域動作モードと狭帯域動作モードとをスイッチで切り替え可能に動作する、切り替え可能に結合された二重逆巻きアンテナを提供する。このようなオーバーラップ型の逆巻き切り替え構造は、さらなる干渉保護と同調性の改善をもたらす追加の利点を有するオーバーラップ型の逆巻き切り替え方式を用いることによって、アンテナの設計をより短い物理的長さに再設計することを可能にする。
【0047】
したがって、いくつかの実施形態によれば、切り替え可能な二重逆巻きアンテナが提供される。いくつかの実施形態は、非オーバーラップ型の切り替え可能な二重逆巻きアンテナを提供する。他の実施形態は、オーバーラップ型の切り替え可能な二重逆巻きアンテナを提供する。
【0048】
非オーバーラップ型の切り替え可能な二重逆巻きアンテナは、受信機の感度低下と放射送信広帯域ノイズ性能を向上させることができる。非オーバーラップ型の切り替え可能な二重逆巻きアンテナを使用することで、ポータブル通信装置の全体的な内部体積を減少させるとともに外部長を低減させることができる。
【0049】
オーバーラップ型の切り替え可能な二重逆巻きアンテナを使用することで、無線機アンテナの設計長さを短縮し、ポータブル通信装置の干渉除去のさらなる利点を提供することができる。このようなオーバーラップコイルを有した切り替え可能な二重逆巻きアンテナは、1つの独立した周波数の広帯域応答および狭帯域応答を提供する。
【0050】
種々の実施形態によって提供されるアンテナは、通過帯域選択性および干渉除去の調整を選択的に提供可能としたより短くてより小型のアンテナが望まれるポータブル通信装置の用途に適している。
【0051】
以上、特定の実施形態について説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく種々の変形や変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書および図面は限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、そのような変更のすべては本教示の範囲内に含まれることが意図される。
【0052】
利益、利点、課題解決策、さらには、利益、利点、解決策をもたらし得るすべての要素は、いずれかまたはすべての請求項の重要な、必須の、または不可欠な機能もしくは要素と解釈されるべきではない。本発明は、本出願の係属中になされる補正を含む請求項およびそれら請求項の均等物によってのみ定義される。
【0053】
本明細書において、第1、第2、上部、下部などの関係性用語は、あるエンティティまたは動作を別のエンティティまたは動作と区別するためにのみ使用され得るものであり、そのようなエンティティ間または動作間における実際の関係性または順序を必要としたり示唆したりするものではない。「備える」、「有する」、「含む」、「含有する」、またはそれらを変形させた用語は非排他的な包含を意図しており、要素のリストを備える、有する、含む、含有する処理、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを含むわけではなく、明示的には列挙されていないがそのような処理、方法、物品、または装置に内在する他の要素も含み得る。「〜を備える」、「〜を有する」、「〜を含む」、「〜を含有する」の後に続く要素は、その要素を備える、有する、含む、含有する処理、方法、物品、または装置に含まれる追加の特定の要素を排除しない。「1つ」という用語は、本明細書で明示的に述べられていない限り、1つまたは複数のものとして定義される。「実質的に」、「本質的に」、「およそ」、「約」、またはその変形などの用語は、当業者によって理解されるものに近いものと定義され、この用語は、非限定的な実施形態において10%以内、別の実施形態では5%以内、別の実施形態では1%以内、別の実施形態では0.5%以内であると定義される。本明細書で使用する「結合される」という用語は、接続されるものとして定義されるが、必ずしも直接的であることや機械的であることを必要としない。特定の方法で「構成される」装置または構造は、少なくともそのように構成されるものであり、列挙されていない方法でも構成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、専用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたは複数の汎用または専用プロセッサ(または「処理装置」)と、その1つまたは複数のプロセッサを制御して、本明細書に記載の方法および/または装置の機能のいくつか、大部分、またはすべてを特定の非プロセッサ回路と協働して実行するための固有の格納プログラム命令(ソフトウェアおよびファームウェアの両方を含む)とからなる。あるいは、機能のいくつかまたはすべては、プログラム命令を格納していないステートマシンによって実行されてもよいし、または各機能もしくは特定の機能の組み合わせがカスタムロジックとして実装された1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)によって実行されてもよい。もちろん、これらの2つのアプローチを組み合わせて使用してもよい。
【0055】
また、一実施形態は、本明細書および特許請求の範囲に記載の方法を実行するコンピュータ(例えば、プロセッサを含む)をプログラミングするためのコンピュータ可読コードを格納したコンピュータ可読記憶媒体として実施され得る。このようなコンピュータ可読記憶媒体の例は、これらに限定されるものではないが、ハードディスク、CD−ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能かつプログラム可能な読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能かつプログラム可能な読み出し専用メモリ)、およびフラッシュメモリを含む。また、多大な努力を要するかどうか、さらには、例えば利用可能な時間、現在の技術、および経済的考慮によって動機付けられる多くの設計選択があるかどうかによらず、当業者は、本明細書に開示された概念および原理によって導かれることにより、最小限の実験でこのようなソフトウェア命令やプログラムおよびICを容易に生成可能となり得ることが期待される。
【0056】
本開示の要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に確認できるようにするために提供され、請求項の範囲または意味を解釈または制限するために使用されるべきものではない。また、上述した詳細な説明は、本開示を合理化する目的で種々の実施形態において種々の特徴をまとめている。本開示の方法は、請求項に記載された実施形態が各請求項に明示的に記載されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、請求項に記載されるように、発明の主題は、開示された一つの実施形態のすべての特徴よりも少ない。したがって、請求項は発明の詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別々に請求される主題として独立している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B