【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、医療分野研究成果展開事業 産学連携医療イノベーション創出プログラム ユニバーサル肺炎球菌ワクチンの創出研究 委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【文献】
KLEIN, J., et al.,Analysis of Aluminum Hydroxyphosphate Vaccine Adjuvants by 27Al MAS NMR,Journal of Pharmaceutical Sciences,2000年 3月,Vol.89, No.3,pp.311-321,特にp.313 Batch Precipitations
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無細胞系により合成したタンパク質、並びに/若しくは、細菌、酵母、藻類、昆虫細胞、哺乳類細胞、及び動物培養細胞からなる群より選択される宿主において発現させたタンパク質の精製に用いられるものである、請求項6〜10のいずれか一項に記載のリン酸アルミニウム化合物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.リン酸アルミニウム化合物の製造方法]
本発明のリン酸アルミニウム化合物の製造方法は、リン酸イオンを含む水溶液A、及び、アルミニウムイオン及び硫酸イオンと、カリウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくともいずれかとを含む水溶液B、の混合を行い、リン酸アルミニウム化合物を含む混合液を得る工程を含むことを特徴とする。以下、本発明のリン酸アルミニウム化合物の製造方法について詳述する。
【0011】
[1−1.水溶液A]
水溶液Aは、リン酸イオンを含む。水溶液Aは、リン酸含有化合物が溶解された水性溶液として調製することができる。リン酸含有化合物としては、リン酸、リン酸無水素塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩等が挙げられる。
【0012】
リン酸は、オルトリン酸である。リン酸無水素塩は、水素塩ではないリン酸塩であり、リン酸アンモニウム((NH
4)
3PO
4)、リン酸三ナトリウム(Na
3PO
4)、リン酸三カリウム(K
3PO
4)、リン酸アンモニウムマグネシウム(MgNH
4PO
4)、ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)等が挙げられる。リン酸一水素塩は、一水素塩のリン酸塩であり、リン酸水素二アンモニウム((NH
4)
2HPO
4)、リン酸水素二ナトリウム(Na
2HPO
4)、リン酸水素二カリウム(K
2HPO
4)、リン酸一水素マグネシウム(MgHPO
4)、リン酸一水素カルシウム(CaHPO
4)等が挙げられる。リン酸二水素塩は、二水素塩のリン酸塩であり、リン酸二水素アンモニウム(NH
4H
2PO
4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH
2PO
4)、リン酸二水素カリウム(KH
2PO
4)等が挙げられる。
【0013】
リン酸含有化合物は、無水和物であってもよいし、水和物であってもよい。また、水和物の水和数は特に限定されない。これらリン酸含有化合物は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
上述のリン酸含有化合物の中でも、本発明においては、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、好ましくはリン酸一水素塩が挙げられ、より好ましくはリン酸水素二ナトリウム(Na
2HPO
4)が挙げられる。
【0015】
水溶液Aにおけるリン酸イオンの濃度としては特に限定されないが、水溶液Bと反応させて効率的にリン酸アルミニウム化合物を得る等の観点から、水溶液Aの調製に用いた上述のリン酸含有化合物を構成するリン酸イオンの総量として、例えば0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上が、より好ましくは0.1mol/L以上、さらに好ましくは0.2mol/L以上が挙げられ、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、例えば0.6mol/L以下、好ましくは0.45mol/L以下、より好ましくは0.3mol/L以下が挙げられる。水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオンの総量の具体的な範囲としては、0.01〜0.6mol/L、0.01〜0.45mol/L、0.01〜0.3mol/L、0.05〜0.6mol/L、0.05〜0.45mol/L、0.05〜0.3mol/L、0.1〜0.6mol/L、0.1〜0.45mol/L、0.1〜0.3mol/L、0.2〜0.6mol/L、0.2〜0.45mol/L、0.2〜0.3mol/Lが挙げられる。
【0016】
水溶液Aの液性としては特に限定されないが、例えば塩基性溶液として調製することができる。塩基性溶液としての水溶液Aは、上述のリン酸含有化合物を水に溶解させることで調製してもよいし、上述のリン酸化合物を水に溶解させるとともに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物の1種又は複数種を用いてpHを調整することにより調製してもよいし、あらかじめ調製した上記金属水酸化物の塩基性水溶液に上述のリン酸化合物を溶解させることで調製してもよい。水溶液Aの具体的なpH(23℃、以下において同様)としては、好ましくは、後述の水溶液Bと混合して得られる混合物のpHが3〜4となるように、水溶液BのpHを考慮して決定することができる。具体的には、水溶液AのpHの下限としては、7.0以上、好ましくは7.5以上が挙げられ、上限としては、14.0以下、好ましくは9.5以下が挙げられる。水溶液AのpHの具体的な範囲としては、7.0〜14.0、7.0〜9.5、7.5〜14.0、7.5〜9.5が挙げられる。
【0017】
リン酸含有化合物を溶解させる方法としては、特に限定されず、例えば、撹拌、振とう、超音波溶解等が挙げられる。また、リン酸含有化合物を溶解させるときの温度及び圧力の条件も特に限定されず、例えば、常温常圧下及び加温常圧下等の条件が挙げられる。
【0018】
水溶液Aは、室温で調製することができる、また、水溶液Aは、調製された溶液をフィルターろ過したものであることが好ましい。用いるフィルターの孔径としては、例えば0.2〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.5μm、より好ましくは0.2〜0.4μmが挙げられる。
【0019】
[1−2.水溶液B]
水溶液Bは、アルミニウムイオン及び硫酸イオンと、カリウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくともいずれかとを含む。このように、本発明では、敢えてリン酸アルミニウムの構成元素でない特定のイオンを含む水溶液を用いることによって、得られるリン酸アルミニウム化合物を、タンパク質に対する優れた吸着作用を有する、タンパク質精製の担体として有用な物質として得ることができる。リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点からは、水溶液Bは、アルミニウムイオン、硫酸イオン、カリウムイオン及びマグネシウムイオンを含むことが好ましい。
【0020】
水溶液Bは、アルミニウムイオン及び硫酸イオンと、カリウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくともいずれかとを含む1種または2種以上の塩が溶解された水溶液として調製することができる。当該塩としては、単塩であってもよいし複塩であってもよい。
【0021】
水溶液Bを調製するための塩としては、アルミニウムイオン及び硫酸イオンと、カリウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくともいずれかとをそれぞれ単独で含む塩が複数種組み合わされてもよいし、複数種のイオンを含む塩が単独又は複数種組み合わされてもよい。水溶液Bを調製するための塩を2種以上用いる場合、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、いずれの塩も、硫酸イオンをアニオンとして有するものであることが好ましい。
【0022】
アルミニウムイオンを含む塩としては、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)、塩化アルミニウム(AlCl
3)、硝酸アルミニウム(Al(NO
3)
3)、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)、硫酸マグネシウムアルミニウム(AlMgSO
4)等が挙げられ、好ましくは、硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)、硫酸マグネシウムアルミニウム(AlMgSO
4)が挙げられ、より好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)、硫酸マグネシウムアルミニウム(AlMgSO
4)が挙げられ、特に好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)が挙げられる。
【0023】
硫酸イオンを含む塩としては、例えば、上述の硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)、硫酸マグネシウムアルミニウム(AlMgSO
4)に加え、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられ、より好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)及び硫酸マグネシウムが挙げられる。
【0024】
カリウムイオンを含む塩としては、上述の硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)、硫酸カリウムに加え、水酸化カリウム(KOH)、塩化カリウム(KCl)、硝酸カリウム(KNO
3)等が挙げられ、好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)、硫酸カリウムが挙げられ、より好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)が挙げられる。
【0025】
マグネシウムイオンを含む塩としては、上述の硫酸マグネシウムアルミニウム(AlMgSO
4)、硫酸マグネシウムに加え、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)、塩化マグネシウム(MgCl
2)、硝酸マグネシウム(Mg(NO
3)
2)が挙げられ、好ましくは、硫酸マグネシウムアルミニウム(AlMgSO
4)、硫酸マグネシウムが挙げられ、より好ましくは、硫酸マグネシウムが挙げられる。
【0026】
上述の塩は、無水和物であってもよいし、水和物であってもよい。また、水和物の水和数は特に限定されない。
【0027】
上述の塩の中でも、本発明においては、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO
4)
2)と硫酸マグネシウム(MgSO
4)との組み合わせが挙げられる。
【0028】
水溶液Bにおけるアルミニウムイオンの濃度としては特に限定されないが、水溶液Aと反応させて効率的にリン酸アルミニウム化合物を得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するアルミニウムイオンの総量として、例えば0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上が挙げられ、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、例えば0.3mol/L以下、好ましくは0.2mol/L以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた塩を構成するアルミニウムイオンの総量の具体的な範囲としては、0.01〜0.3mol/L、0.01〜0.2mol/L、0.05〜0.3mol/L、0.05〜0.2mol/Lが挙げられる。
【0029】
また、水溶液Bにおけるアルミニウムイオンの量としては、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するアルミニウムイオンの総量の下限として、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.1mol以上、好ましくは0.2mol以上が挙げられ、上限として、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.5mol以下、好ましくは0.3mol以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するアルミニウムイオンの総量の具体的な範囲としては、溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.1〜0.5mol、0.1〜0.3mol、0.2〜0.5mol、0.2〜0.3molが挙げられる。
【0030】
水溶液Bにおける硫酸イオンの濃度としては特に限定されないが、水溶液Aと反応させて効率的にリン酸アルミニウム化合物を得る、及び/又はリン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成する硫酸イオンの総量の下限として、例えば0.1mol/L以上、好ましくは0.15mol/L以が挙げられ、上限として、例えば1mol/L以下、好ましくは0.5mol/L以下、より好ましくは0.3mol/L以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成する硫酸イオンの総量の具体的な範囲としては、0.1〜1mol/L以下、0.1〜0.5mol/L、0.1〜0.3mol/L、0.15〜1mol/L、0.15〜0.5mol/L、0.15〜0.3mol/Lが挙げられる。
【0031】
また、水溶液Bにおける硫酸イオンの量としては、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成する硫酸イオンの総量の下限としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.5mol以上、好ましくは0.7mol以上が挙げられ、上限としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、2mol以下、好ましくは1mol以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成する硫酸イオンの総量の具体的な範囲としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.5〜2mol、0.5〜1mol、0.7〜2mol、0.7〜1molが挙げられる。
【0032】
水溶液B中にカリウムイオンを含む場合、水溶液Bにおけるカリウムイオンの濃度としては特に限定されないが、水溶液Aと反応させて効率的にリン酸アルミニウム化合物を得る、及び/又はリン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するカリウムイオンの総量の下限としては、例えば0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上が挙げられ、上限としては、0.2mol/L以下、好ましくは0.1mol/Lが挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するカリウムイオンの総量の具体的な範囲としては、0.01〜0.2mol/L、0.01〜0.1mol/L、0.05〜0.2mol/L、0.05〜0.1mol/Lが挙げられる。
【0033】
また、水溶液B中にカリウムイオンを含む場合、水溶液Bにおけるカリウムイオンの量としては、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するカリウムイオンの総量の下限としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.1mol以上、好ましくは0.2mol以上が挙げられ、上限としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、2.0mol以下、好ましくは1.2mol以下、より好ましくは0.8mol以下、さらに好ましくは0.4mol以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するカリウムイオンの総量の具体的な範囲としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.1〜2.0mol、0.1〜1.2mol、0.1〜0.8mol、0.1〜0.4mol、0.2〜2.0mol、0.2〜1.2mol、0.2〜0.8mol、0.2〜0.4molが挙げられる。
【0034】
水溶液B中にマグネシウムイオンを含む場合、水溶液Bにおけるマグネシウムイオンの濃度としては特に限定されないが、水溶液Aと反応させて効率的にリン酸アルミニウム化合物を得る、及び/又はリン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するマグネシウムイオンの総量の下限としては、例えば0.05mol/L以上、好ましくは0.07mol/L以上が挙げられ、上限としては、例えば0.2mol/L以下、好ましくは0.1mol/L以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するマグネシウムイオンの総量の具体的な範囲としては、0.05〜0.2mol/L、0.05〜0.1mol/L、0.07〜0.2mol/L、0.07〜0.1mol/Lが挙げられる。
【0035】
また、水溶液B中にマグネシウムイオンを含む場合、水溶液Bにおけるマグネシウムイオンの量としては、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するマグネシウムイオンの総量の下限としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、0.1mol以上、好ましくは0.2mol以上が挙げられ、上限としては、水溶液Aの調製に用いたリン酸含有化合物を構成するリン酸イオン1mol当たり、2.0mol以下、好ましくは1.2mol以下、より好ましくは0.5mol以下が挙げられる。水溶液Bの調製に用いた上述の塩を構成するマグネシウムイオンの総量の具体的な範囲としては、0.1〜2.0mol、0.1〜1.2mol、0.1〜0.5mol、0.2〜2.0mol、0.2〜1.2mol、0.2〜0.5molが挙げられる。
【0036】
水溶液Bの液性としては特に限定されないが、例えば酸性溶液として調製することができる。酸性溶液としての水溶液Bは、上述の塩を水に溶解させることで調製してもよいし、上述の塩を水に溶解させるとともに、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の鉱酸の1種又は複数種を用いてpHを調整することにより調製してもよいし、あらかじめ調製した上記鉱酸の酸性水溶液に上述の塩を溶解させることで調製してもよい。水溶液Bの具体的なpHとしては、好ましくは、前述の水溶液Aと混合して得られる混合物のpHが3〜4となるように、水溶液AのpHを考慮して決定することができる。具体的には、水溶液BのpHの下限としては、1.0以上、好ましくは2.5以上が挙げられ、上限としては、7.0以下、好ましくは3.5以下が挙げられる。水溶液BのpHの具体的な範囲としては、1.0〜7.0、1.0〜3.5、2.5〜7.0、2.5〜3.5が挙げられる。
【0037】
上述の塩を溶解させる方法としては、特に限定されず、例えば、撹拌、振とう、超音波溶解等が挙げられる。また、上述の塩を溶解させるときの温度及び圧力の条件も特に限定されず、例えば、常温常圧下及び加温常圧下等の条件が挙げられる。
【0038】
水溶液Bは、室温で調製することができる、また、水溶液Bは、調製された溶液をフィルターろ過したものであることが好ましい。用いるフィルターの孔径としては、例えば0.2〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.5μm、より好ましくは0.2〜0.4μmが挙げられる。
【0039】
[1−3.混合]
水溶液A及び水溶液Bは、混合することで、リン酸アルミニウム化合物を生じる。リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、好ましくは、水溶液Aに対して水溶液Bを添加することで混合することができる。添加方法としては特に限定されず、一括添加、滴下添加、分割添加、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、好ましくは、滴下添加、分割添加、及びそれらの組み合わせが挙げられ、より好ましくは滴下添加が挙げられる。同様の観点から、水溶液Aに対する水溶液Bの添加速度を、2体積%/分以下とすることがさらに好ましい。なお、添加速度2体積%/分とは、1分当たりに添加する水溶液Bの量が、添加前の水溶液Aの体積の2体積%となる量で添加する速度をいう。また、水溶液Aと水溶液Bとを反応させて効率的にリン酸アルミニウム化合物を得る等の観点から、水溶液Aに対する水溶液Bの添加速度を、0.1体積%/分以上とすることができる。これらの効果をより好ましく得る観点から、水溶液Aに対する水溶液Bの滴下速度の下限としては、1体積%/分以上、好ましくは1.6体積%/分以上が挙げられ、好ましい上限としては、1.8体積%/分が挙げられる。水溶液Aに対する水溶液Bの滴下速度の具体的な範囲としては、1〜2体積%/分、1〜1.8体積%/分、1.6〜2体積%/分、1.6〜1.8体積%/分が挙げられる。
【0040】
得られた水溶液Aと水溶液Bとの混合物のpHは特に限定されないが、リン酸アルミニウム化合物のタンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、好ましくは3〜4が挙げられる。水溶液Aと水溶液Bとの混合によって、リン酸アルミニウム化合物は、沈殿物またはゲルとして得ることができる。
【0041】
[1−4.後処理]
生成したリン酸アルミニウム化合物は、混合物からの回収、洗浄、乾燥等の後処理に供される。混合物からの回収、洗浄、乾燥の方法としては特に限定されない。混合物からの回収の方法としては、例えば、ろ過や遠心分離が挙げられ、好ましくは遠心分離が挙げられる。回収されたリン酸アルミニウム化合物は、沈殿物またはゲルの状態で得ることができる。洗浄の方法としては、水溶液への懸濁および遠心分離が挙げられる。好ましくは、回収したリン酸アルミニウム化合物を生理食塩水に懸濁して撹拌し、その後、遠心分離を行う方法が挙げられる。このような洗浄操作は、1回又は複数回行うことができる。洗浄されたリン酸アルミニウム化合物は、沈殿物またはゲルの状態で得ることができる。乾燥の条件としては特に限定されず、製造スケールにもよるが、例えば、55〜65℃で1〜2時間が挙げられる。
【0042】
[2.リン酸アルミニウム化合物]
本発明のリン酸アルミニウム化合物はリン酸アルミニウムとともに、硫黄と、0.5重量%以上のカリウム及び0.01重量%以上のマグネシウムの少なくともいずれかとを含むことを特徴とする。このように、本発明のリン酸アルミニウム化合物は、リン酸アルミニウム以外の不純物を含んで構成されることで、優れたタンパク質吸着性が奏され、タンパク質精製用担体として有用な物質となる。以下、本発明のリン酸アルミニウム化合物について詳述する。
【0043】
[2−1.組成]
本発明のリン酸アルミニウム化合物は、リン酸アルミニウムだけでなく、硫黄と、0.5重量%以上のカリウム及び0.01重量%以上のマグネシウムの少なくともいずれかを含む。タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、本発明のリン酸アルミニウム化合物は、リン酸アルミニウム、硫黄、0.5重量%以上のカリウム及び0.01重量%以上のマグネシウムを含むことが好ましい。
【0044】
リン酸アルミニウム化合物中の硫黄(硫黄原子)の含有量は特に限定されないが、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、下限として、0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは1.3重量%以上が挙げられ、上限として、5.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中の硫黄(硫黄原子)の含有量の具体的な範囲としては、0.5〜5.0重量%、0.5〜3.0重量%、0.5〜2.0重量%、1.0〜5.0重量%、1.0〜3.0重量%、1.0〜2.0重量%、1.3〜5.0重量%、1.3〜3.0重量%、1.3〜2.0重量%が挙げられる。
【0045】
リン酸アルミニウム化合物中のカリウム(カリウム原子)の含有量は、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、下限としては、0.5重量%以上であり、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは1.3重量%以上が挙げられ、上限としては5.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中のカリウム(カリウム原子)の含有量の具体的な範囲としては、0.5〜5.0重量%、0.5〜3.0重量%、0.5〜2.0重量%、1.0〜5.0重量%、1.0〜3.0重量%、1.0〜2.0重量%、1.3〜5.0重量%、1.3〜3.0重量%、1.3〜2.0重量%が挙げられる。
【0046】
リン酸アルミニウム化合物中のマグネシウム(マグネシウム原子)の含有量は、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、下限としては、0.01重量%以上であり、好ましくは0.10重量%以上、より好ましくは0.14重量%以上が挙げられ、上限としては1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中のマグネシウム(マグネシウム原子)の含有量の具体的な範囲としては、0.01〜1.0重量%、0.01〜0.5重量%、0.01〜0.2重量%、0.10〜1.0重量%、0.10〜0.5重量%、0.10〜0.2重量%、0.14〜1.0重量%、0.14〜0.5重量%、0.14〜0.2重量%が挙げられる。
【0047】
リン酸アルミニウム化合物中においては、上記の不純物以外に、他の不純物を含んでいてもよい。他の不純物としては、水分およびカルシウム等が挙げられる。
【0048】
リン酸アルミニウム化合物中における水分量としては、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、下限としては、好ましくは15重量%以上、より好ましくは17重量%以上が挙げられ、上限としては、40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中における水分量の具体的な範囲としては、15〜40重量%、15〜30重量%、15〜20重量%、17〜40重量%、17〜30重量%、17〜20重量%が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物における水分量は、後述実施例のように、熱重量−質量分析装置(TG−MS)を用いて測定することができる。
【0049】
リン酸アルミニウム化合物中におけるカルシウム(カルシウム原子)の含有量としては、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、下限としては、0.001重量%以上、好ましくは0.003重量%以上が挙げられ、上限としては、0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.006重量%以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中におけるカルシウム(カルシウム原子)の含有量の具体的な範囲としては、0.001〜0.1重量%、0.001〜0.01重量%、0.001〜0.006重量%、0.003〜0.1重量%、0.003〜0.01重量%、0.003〜0.006重量%が挙げられる。
【0050】
リン酸アルミニウム化合物中のアルミニウムの含有量は、上述の不純物を含むことを限度として特に限定されないが、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、下限としては、好ましくは10重量%以上、より好ましくは12重量%以上が挙げられ、上限としては、35重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは28重量%以下、一層好ましくは16重量%以下、特に好ましくは15重量%以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中のアルミニウムの含有量の具体的な範囲としては、10〜35重量%、10〜30重量%、10〜28重量%、10〜16重量%、10〜15重量%、12〜35重量%、12〜30重量%、12〜28重量%、12〜16重量%、12〜15重量%、10〜35重量%、10〜30重量%、10〜28重量%、10〜16重量%、10〜15重量%が挙げられる。
【0051】
リン酸アルミニウム化合物中のリンに対するアルミニウムのモル比(Al(mol)/P(mol))としては、下限としては、例えば0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、一層好ましくは0.9以上が挙げられ、上限としては2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下が挙げられる。リン酸アルミニウム化合物中のリンに対するアルミニウムのモル比の具体的な範囲としては、0.1〜2.0、0.1〜1.5、0.1〜1.0、0.5〜2.0、0.5〜1.5、0.5〜1.0、0.7〜2.0、0.7〜1.5、0.7〜1.0、0.9〜2.0、0.9〜1.5、0.9〜1.0が挙げられる。
【0052】
[2−2.物理的特性]
本発明のリン酸アルミニウム化合物は、非晶質であり、表面に微細な凹凸を有する。微細な凹凸は、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察において、5000倍視野において確認することができる。具体的には、リン酸アルミニウム化合物は、タンパク質吸着性をより良好に得る等の観点から、累積細孔容積として、好ましくは1.0〜1.5mL/g、より好ましくは1.0〜1.2mL/gが挙げられ;平均細孔直径として、好ましくは0.01〜0.1μm、より好ましくは0.01〜0.04μmが挙げられ;かさ密度として、好ましくは0.5〜1.0g/mL、より好ましくは0.63〜1.0g/mLが挙げられ;見掛け密度として、好ましくは2.0〜2.5g/mL、より好ましくは2.1〜2.4g/mLが挙げられ;気孔率としては、好ましくは60〜80%、より好ましくは60〜70%が挙げられる。累積細孔容積、平均細孔直径、かさ密度、見掛け密度、及び気孔率は、後述の実施例に記載のように水銀圧入法によって測定することができる。水銀圧入法は、細孔に水銀圧入する際の圧力と圧入量とから細孔分布を求めることができるとともに、セルの容積、セル内の水銀の重量から求めた水銀の体積、細孔容積から、かさ密度、見掛け密度、気孔率も求めることができる方法として公知の方法である。
【0053】
[2−3.製造]
本発明のリン酸アルミニウム化合物の製造方法としては、上述の組成でリン酸アルミニウム化合物を得ることができる方法であれば特に限定されないが、好ましくは、上述の「1.リン酸アルミニウム化合物の製造方法」で述べた方法によって製造される。なお、カルシウムを上述の含有量で含ませるために、リン酸アルミニウム化合物の製造方法においてカルシウムを含む塩を原料に用いても構わないが、好ましくは、カルシウムを含む塩を原料に用いず、上述の水分量で保持される水に由来する成分としてカルシウムを包含させることができる。
【0054】
[2−4.用途]
本発明のリン酸アルミニウム化合物は、タンパク質の吸着性に優れているため、タンパク質精製用の担体として有用である。これまでの精製用担体では十分な精製が不可能であったタンパク質、特にワクチンに対する精製用の担体として好適に用いられる。ワクチンの種類としては特に限定されないが、例えば、インフルエンザHAワクチン、ポリオワクチン、日本脳炎ワクチン、百日咳ワクチン、ムンプスワクチン、破傷風ワクチン、ジフテリアワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザb型ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン、ロタウイルスワクチン等が挙げられる。
【0055】
本発明のリン酸アルミニウム化合物は、無細胞系により合成したタンパク質、並びに/若しくは、細菌、酵母、藻類、昆虫細胞、哺乳類細胞、及び動物培養細胞等を宿主として発現させたタンパク質の精製用担体として用いることができる。
【0056】
また、本発明のリン酸アルミニウム化合物は、医薬品の品質管理にとって大きな問題となる大腸菌由来のエンドトキシンも効果的に除去することができる。従って、本発明のリン酸アルミニウム化合物は、大腸菌を宿主として発現させたタンパク質の精製に特に好適である。
【0057】
さらに、本発明のリン酸アルミニウム化合物は、ヒスチジンタグとの親和性に優れていることから、ヒスチジンタグが付された状態で合成又は発現させたタンパク質の精製にも好適である。なお、本発明のリン酸アルミニウム化合物は、ヒスチジンタグが付加されていないタンパク質に対しても優れた特異性を示すため、ヒスチジンタグ付加の有無にかかわらず、広範なタンパク質の精製に好適である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
[試験例1:リン酸アルミニウム化合物の製造]
以下の組成の水溶液A及び水溶液Bを、それぞれ、常温(室温23℃)、常圧下で調製し、孔径0.22μmのフィルターでろ過した。
・水溶液A
リン酸水素二ナトリウム12水和物35.9gに水を加えて撹拌して溶解し、全体で1000mLの水溶液(リン酸イオン濃度:0.25mol/L、pH(23℃):9.0〜9.5)を調製した。
・水溶液B
硫酸カリウムアルミニウム12水和物28.4g及び硫酸マグネシウム七水和物9.86gに水を加えて撹拌して溶解し、全体で1000mLの水溶液(アルミニウムイオン濃度:0.06mol/L、硫酸イオン濃度:0.2mol/L、カリウムイオン濃度:0.06mol/L、マグネシウムイオン濃度:0.08mol/L、pH(23℃):3.0〜3.5)を調製した。
【0060】
水溶液Aと水溶液Bを体積比1:1で混合した。具体的には、水溶液Aを表1に記載の撹拌速度で撹拌しながら、表1に記載の添加速度速度で水溶液Bを滴下添加して得られた混合物(pH(23℃):3.0〜3.5)を5,000×gで15分間遠心分離し、ゲル状の沈殿物を回収した。回収したゲル状物を0.9w/v%生理食塩水に投入し、ホモジナイザーを用いて懸濁させて洗浄し、その後、5,000×gで15分間遠心分離を行って、ゲル状物を回収した。ゲル状物の生理食塩水への懸濁及び遠心分離を同じ条件でもう1回行った。得られたゲル状物をトレーに広げて1〜2時間、60℃で乾燥させた。これによって、白色結晶である乾燥ゲルを得た。乾燥ゲルを、手作業で破砕・粉末化し、リン酸アルミニウム化合物を得た。
【0061】
【表1】
【0062】
[試験例2:リン酸アルミニウム化合物の分析]
実施例1及び実施例2のリン酸アルミニウム化合物について、以下の分析を行った。
【0063】
(1)元素分析(Al、K、P、S、Ca、Mg、Na)の測定
・測定方法:酸分解/ICP−AES法
・測定装置:Agilent5110(アジレント・テクノロジー社製)
・結果:元素分析の結果を下記表2及び表3に示す。下記表に示すように、Al及びPが主成分として検出されており、そのほかにNa及びCl(表中に示ず)が検出された。Na及びClについては、後述のXRDでも検出確認されており、NaCl由来であると推測できる。主成分であるAl及びPを含む化合物は、後述のXRDから非晶質と判断された。検出元素より、非晶質の組成は、無水リン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム水和物、及びリン酸水素アルミニウムが挙げられる。後述の熱重量−質量分析によって水分が含まれていることから、無水リン酸アルミニウムではないと考えられる。また、リン酸水素アルミニウムであれば潮解性を認める筈であるところ、各測定時に潮解の挙動が認められなかったため、リン酸水素アルミニウムではないと考えられる。したがって、得られた非晶質はリン酸アルミニウム水和物と考えられる。水分量とAlの定量値とから、水和数としては、1.5〜2と考えられる。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
(2)累積細孔容積、平均細孔直径、かさ密度、見掛け密度、及び気孔率の測定
・測定法:水銀圧入法
・前処理及び測定条件:
試料を室温一昼夜、真空乾燥させた。水銀圧入法により細孔直径約0.0036〜200μmの細孔分布を求めた。細孔径はWashburnの式を用いて算出した。
【数1】
・測定装置:オートポアIV9520(micromeritics社製)
・結果:測定結果を下記表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
(3)X線回折
・前処理及び測定条件:
試料をメノウ乳鉢で粉砕した後、試料セル(Al製)に充填した。
X線管球 :CuKα
光学系 :集中法
管電圧・管電流 :45kV−200mA
スキャン範囲 :5−80deg
スキャンステップ:0.02deg
スキャンスピード:10deg/分
検出器 :一次元半導体検出器
・測定装置:X線回折分析装置 SmartLab(Rigaku製)
・結果:測定結果を下記表5に示す。なお、測定結果は、同定された化合物のみで試料が構成されると仮定し、ライブラリパターンとのマッチングから算出した。
【0069】
【表5】
【0070】
(4)熱重量−質量分析
・前処理及び測定条件:
(TG−DTA)
パン :Pt(開放式)
測定範囲 :RT〜1000℃
昇温速度 :10℃/分
雰囲気 :N
2200mL/分
(MS)
イオン化 :EI
走査範囲 :m/z=2〜200
・測定装置:熱重量質量分析同時測定装置 TG−DTA2020SA/MS9610(BrukerAXS製)
・結果:m/z=18のイオン強度から算出した脱水量評価は、実施例1で18重量%、実施例2で17重量%であった。
【0071】
(5)電子顕微鏡観察
・測定方法:電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)法
・前処理及び測定条件:
試料を採取し、白金蒸着後、試料の表面500倍及び5000倍視野をFE−SEMにて観察及び撮影した。
・測定装置:FE−SEM/EDX JSM−7500FA(JEOL製)
観察結果を
図1に示す。
図1に示すように、実施例1及び実施例2のリン酸アルミニウム化合物の表面に微細凹凸が確認された。なお、表面に所々存在する粒子は、NaClであることを確認した。
【0072】
[試験例3:ヒスチジンタグを有するタンパク質の精製]
大腸菌(E.coli BL21(DE3):メルク社製)に、His−Flag−蛍光タンパク質(mCherry:クロンテック社製)を発現させた後、10mMリン酸緩衝液(pH7.3)に懸濁して、超音波破砕した。これによって、粗タンパク質液を得た。この粗タンパク質液のうち、タンパク質の量として10mgを含む粗タンパク質液を10mMリン酸緩衝液(pH7.3)に懸濁し、担体として、実施例1で作製したリン酸アルミニウム化合物300mg又は市販のリン酸アルミニウム(Alfa Aesar社製CAS:7784−30−7 Cat#:11109)300mgを混合してタンパク質を吸着させた。
【0073】
【表6】
【0074】
タンパク質を吸着させた担体を回収し、溶出液(120mM EDTA−3NAを添加したリン酸緩衝液)を加え、担体に吸着していたタンパク質を溶出液に遊離させ、溶出液を回収した。得られた溶出液を
図2に示す。
図2に示すように、本発明のリン酸アルミニウム化合物を担体として用いた実施例3では、比較例1に比べて明らかに強い蛍光を示しており、比較例1に比べて多量のタンパク質を吸着していることが認められる。
【0075】
回収した溶出液を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法(SDS−PAGE)で分離した。ゲルとしては、アクリルアミドの濃度勾配をつけたゲル(5〜20重量%グラジエントゲル)を用い、溶出液のアプライ量は17μLとした。電気泳動結果を
図3に示す。
図3中、レーン(i)は担体に吸着させる前の粗タンパク質液の結果、レーン(ii)は実施例3の結果、レーン(iii)は比較例1の結果を示す。また、矢印で示されたバンドが、His−Flag−蛍光タンパク質に相当する。
図3のレーン(ii)(実施例3)とレーン(iii)(比較例1)との比較からわかるように、市販のリン酸アルミニウムはタンパク質精製の担体として十分な機能を果たすものではなかった一方で、本発明のリン酸アルミニウム化合物はタンパク質精製の担体として好適であることが示された。
【0076】
[試験例4:ヒスチジンタグを有しないタンパク質の精製]
大腸菌(E.coli BL21(DE3):メルク社製)に肺炎球菌表面タンパク質を発現させた後、10mMリン酸緩衝液(pH7.3)に懸濁して、圧力式ホモジナイザーを用いて破砕した。これによって、粗タンパク質液を得た。この粗タンパク質液のうち、タンパク質の量として4mgを含む粗タンパク質液を、界面活性剤および塩化ナトリウムを含む30mMリン酸緩衝液(pH6.75)に懸濁し、担体として、実施例1および2で作製したリン酸アルミニウム化合物120mgを混合して、タンパク質を吸着させた。
【0077】
【表7】
【0078】
タンパク質を吸着させた担体を回収し、溶出液(120mM EDTA−3NAを添加したリン酸緩衝液)を加え、担体に吸着していたタンパク質を溶出液に遊離させ、溶出液を回収した。さらに、回収した溶出液を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法(SDS−PAGE)で分離した。ゲルとしては、アクリルアミドの濃度が均一なゲル(12.5%ゲル)を用い、溶出液のアプライ量は17μLとした。電気泳動結果を
図4に示す。図中、レーン(i)は実施例4(実施例1のリン酸アルミニウム化合部を担体として使用)、レーン(ii)は実施例5(実施例2のリン酸アルミニウム化合部を担体として使用)の結果を示す。また、矢印で示されたバンドが、肺炎球菌表面タンパク質に相当する。
図4のレーン(i)とレーン2(ii)との比較からわかるように、実施例1のリン酸アルミニウム化合部を担体として使用した方が、より一層タンパク質の精製効率が良いことが示された。
【0079】
なお、大腸菌由来のエンドトキシンは医薬品の品質管理にとって大きな問題となるが、本試験例においては、回収した溶出液から大腸菌由来のエンドトキシンは検出されなかった。つまり、本発明のリン酸アルミニウム化合物によって、大腸菌由来のエンドトキシンも効果的に除去できることが分かった。
本発明は、タンパク質精製用担体として有用な物質を提供する。リン酸イオンを含む水溶液A、及び、アルミニウムイオン及び硫酸イオンと、カリウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくともいずれかとを含む水溶液B、の混合を行い、リン酸アルミニウム化合物を含む混合物を得る工程を含む、リン酸アルミニウム化合物の製造方法によって得られるリン酸アルミニウム化合物は、タンパク質吸着性に優れているため、タンパク質精製用担体として有用である。