(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記海洋深層水が原水又は逆浸透膜法で淡水化し、前記淡水と海洋深層水の原水を混合した混合水であることを特徴とする請求項1に記載のβ−クリプトキサンチン又はアスタキサンチン高吸収用の経口組成物。
請求項1又は2に記載のβ−クリプトキサンチン又はアスタキサンチン高吸収用の経口組成物を含むことを特徴とする、β−クリプトキサンチン又はアスタキサンチン高吸収用の食品用添加剤。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における海洋深層水は、深度200メートル以深の深海に分布する、表層に分布する海水とは異なった特徴を持つ海水のことであり、清浄性を有し、無機栄養塩類が豊富であり、低温安定性がある。すなわち、海洋深層水は、人や他の生物が生きるために不可欠なミネラル分を陸水よりもバランス良く含むだけでなく、陸水のように残留性有機汚染物質(POPS)に汚染されていないという特性を持っている。
【0015】
海洋深層水とは、一般に、太陽の光の届かない200m以深の海水で、富栄養性、清浄性、低水温性、水質安定性などの優れた資源性を有している。海洋深層水は、資源利用の観点から、「光合成による有機物生産よりも有機物分解が卓越し、かつ、鉛直混合や人為の影響が少ない、補償深度以深の資源性の高い海水」と定義される。すなわち、海洋深層水は硝酸塩やリン酸塩などの無機塩類が豊富な富栄養性、細菌や微生物以外にも残留性有機化合物の少ない清浄性、太陽光の輻射による温度上昇の無い低水温性、年間を通じて水質の変動の小さい水質安定性によって特徴を持つ。
【0016】
中でも、伊豆赤沢で得られる海洋深層水は、他の取水地で得られる海洋深層水にくらべ、上述の無機塩栄養塩が豊富に含まれているため、カロテノイド吸収性がいっそう高いものである。特に伊豆赤沢海洋深層水の中でも、伊豆赤沢沖の水深800mから汲み上げられた海洋深層水がカロテノイドの吸収性が特に高いものである。
【0017】
本発明におけるカロテノイドは、特に限定されないが、αークリプトキサンチン、β−クリプトキサンチン、イソクリプトキサンチン、アクチノエリスロール、アスタキサンチン、アスタシン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、β−アポ−8´−カロテナール、β−アポ−8´−カロテノール、アロキサンチン、アンテラキサンチン、イソアゲラキサンチン、イソゼアサキンチン、イソレニエラテン、β−イソレニエラテン、イドキサンチン、エキネノン、3´−エピルテイン、エリスロキサンチン硫酸、オケノン、オシラキサンチン、カプサンチン、カブソルビン、カロキサンチン、α−カロテン、β−カロテン、β−カロテノン、δ−カロテン、ε−カロテン、ε,ε−カロテン−3.3´−ジオール、η−カロテン、ζ−カロテン、カンタキサンチン、ギロキサンチン、グアラキサンチン、クリスタキサンチン、クロコキサンチン、クロセチン、クロロキサンチン、クロロバクテン、ケトミクソコキサンチン、ケトミクソール・フコシド、ゲリオデスキサンチン、ザイノキサンチン、サーモゼアキサンチン、ジアジノキサンチン、ジアトキサンチン、ジアポニューロスポレン、ジアポフィトエン、4.4´−ジアポリコペンジアール、2,2´−ジケトスピリロキサンチン、3,4−デヒドロロドピン、デヒドロリコペン、シトラナキサンチン、シトラナキサンチン、シフォナキサンチン、スタフィロキサンチン、スピロキサンチン、スフェロイデノン、スフェノイデン、ゼアキサンチン、タラキサンチン、ツナキサンチン、デオキシフレキシキサンチン、デカプレノキサンチン、テチアテン、デメチルスフェロイデン、パピリオエリトリン、トリケントリオロジン、トルラロジン、トルレン、ニューロスポラキサンチン、ニューロスポレン、ネオキサンチン、ノストキサンチン、バクテリオルビキサンチン、バクテリオルベリン、バスタキサンチン、パピリオエリトリノン、パピリオエリトリン、パラシロキサンチン、ハラシンチアキサンチン、ビオラキサンチン、フィザリエン、フィトエン、フィトフルエン、フィリプシアキサンチン、フェニコキサンチン、フコキサンチン、プラシノキサンチン、フラブキサンチン、フリチュラキサンチン、プレクタニアキサンチン、ヘテロキサンチン、ペリジニン、ヘレニエン、ボーケリアキサンチン、ミクソキサンチン、ミチロキサンチン、ムタトキサンチン、ムタトクローム、メソ・ゼアキサンチン、モナドキサンチン、ラクツーカキサンチン、リコペン、ルテイン、ルビキサンチン、ロドキサンチン、ロドピナール、ロドピノール、ロドビブリン、ロドピン、ロロキサンチンなどが挙げられる。
【0018】
本発明におけるカロテノイドとしては、特に限定されないが、前記カロテノイドの脂肪酸エステル体、硫酸エステル体、水酸基付加体、脱水酸基体、配糖体なども含まれる。
【0019】
前記脂肪酸エステル体としては、特に限定されないが、その脂肪酸がラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)などの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0020】
上記カロテノイドのなかでも、よりいっそうの吸収促進性の観点から、α−クリプトキサンチン、β−クリプトキサンチン、α−カロテン、β−カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンが好ましく、中でもβ−クリプトキサンチンが特に好ましい。本発明においては、β−クリプトキサンチンは、前述のカロテノイド同様、β−クリプトキサンチン及びその脂肪酸等のエステル体、水酸基付加体、脱水酸基体、配糖体をいう。
【0021】
本発明におけるカロテノイド高吸収用組成物中のカロテノイドと海洋深層水の割合は、よりいっそうの吸収促進性の観点から、カロテノイド(乾物換算):海洋深層水(乾物換算)の質量比が、1:10〜1:2000が好ましく、1:20〜1:1000がより好ましく、1:50〜1:1000がよりいっそう好ましく、1:50〜1:700が特に好ましい。
【0022】
カロテノイド高吸収用組成物の含有量、適用量
本発明のカロテノイド高吸収用組成物の適用量については、使用される製品の種類、用途、期待される効果、適用形態等に応じて適宜設定すればよい。例えば、カロテノイドとして成人1日あたりの摂取量が0.001〜100gとなるように摂取することが好ましく、さらに0.01〜50gが好ましく、0.01〜30gが一層好ましい。
【0023】
カロテノイド高吸収用組成物の使用形態
本発明のカロテノイド高吸収用組成物の適用形態については、特に制限されないが、例えば、経口、経皮、経腸、経粘膜、経静脈、経動脈、皮下、筋肉内等の任意の適用形態で使用できるが、カロテノイド高吸収作用をより一層有効に発揮させるという観点から、好ましくは、経口適用又は経皮適用、経静脈適用が挙げられる。
【0024】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物は、任意の適用形態で使用してカロテノイド高吸収作用を発揮できるので、食品用添加剤、飲食品、医薬品、化粧品、飼料、ペットフード等の各種製品に配合して使用することができる。
【0025】
また、本発明のカロテノイド高吸収用組成物が配合される製品の剤型は、固形状、半固形状、液状等のいずれであってもよく、当該製品の種類や用途に応じて適宜設定される。なお、該組成物を飲食品に添加する原料とする場合は、カロテノイド高吸収用の食品用添加剤と称することがある。本発明のカロテノイド高吸収用組成物が配合される製品には、その形態等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、植物抽出エキス類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール、多価アルコール、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等の添加剤を含有しても良い。また、本発明のカロテノイド高吸収用組成物が配合される製品には、その形態や用途等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他のカロテノイド高吸収用組成物を配合しても良い。例えば、ビタミンC、スクワラン、ナイアシン、ナイアシンアミド、システイン、アリイン等の含硫分子、カロテノイド類やプラセンタエキス、ソルビトール、キチン、キトサン、各種植物抽出物等が挙げられる。これらの配合量については、本発明の効果を損なわない限り限定されない。
【0026】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を飲食品に使用する場合、他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調整して、前記所望の効果を奏する飲食品として提供される。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的にはパン類、麺類等の主菜;チーズ、ハム、ウインナー、魚介加工品等の副菜;果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;クッキー、ケーキ、ゼリー、アイス、プリン、キャンディー、ヨーグルト等の嗜好品;錠剤、顆粒、粉剤、カプセル、ソフトカプセル、栄養ドリンク等のサプリメント等が例示される。これらの飲食品は、前述する用途に供することが出来る。また、前記病者用食品は、カロテノイド吸収促進作用により症状の改善が見込まれる疾患の患者用の食事として使用することができる。
【0027】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を飲食品に使用する場合、飲食品に対する該剤の配合割合については、飲食品の形態等に応じて異なるが、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜20質量%、更に好ましくは0.35〜10質量%が挙げられる。
【0028】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を化粧品に使用する場合、香粧学的に許容される基材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製して、カロテノイド吸収促進用の化粧品として提供される。このような化粧品の形態としては、特に制限されないが、具体的には、乳液、クリーム、化粧水(ローション)、パック、美容液、洗浄剤、メーキャップ化粧料、頭髪用化粧料等が挙げられる。
【0029】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を化粧品に使用する場合、化粧品に対する該剤の配合割合については、化粧品の形態等に応じて異なるが、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜20質量%、更に好ましくは0.35〜10質量%が挙げられる。
【0030】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を医薬品に使用する場合、本発明の組成物を単独で、又は他の薬理活性成分、薬学的に許容される基材や添加成分等と組み合わせて所望の形態に調製して、カロテノイド吸収促進用の医薬品として提供される。このような医薬品の形態としては、特に制限されないが、具体的には、錠剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤等の経口投与製剤;外用剤、吸入剤、坐剤等の経皮又は経粘膜投与製剤;注射剤等が挙げられる。
【0031】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を医薬品として使用する場合、医薬品に対する該剤の配合割合については、医薬品の形態等に応じて異なるが、例えば、0.003〜50質量%、好ましくは0.03〜30質量%、更に好ましくは0.35〜30質量%が挙げられる。
【0032】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を飼料又はペットフードに使用する場合、本発明のカロテノイド吸収促進剤と他の飼料成分等を組み合わせて所望の形態に調製して、カロテノイド高吸収用の飼料又はペットフードとして提供される。該飼料又はペットフードに使用される飼料成分としては、特に限定されないが、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、米ぬか等のぬか類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム類;ビタミン類;油脂類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。
【0033】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を飼料又はペットフードに使用する場合、飼料又はペットフードに対する該組成物の配合割合については、飼料又はペットフードの形態等に応じて異なるが、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜20質量%、更に好ましくは0.35〜10質量%が挙げられる。
【0034】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物を化粧品、飲食品、医薬品、飼料およびペットフードとして使用する場合の組成物の投与又は摂取量については、該剤の投与形態、投与対象者の年齢、期待される効果等に応じて、カロテノイドの吸収に有効な量を適宜設定すればよい。例えば、カロテノイドとして成人1日あたりの投与又は摂取量を、通常0.001〜100g程度、好ましくは0.002〜50g程度、更に好ましくは0.005〜50g程度に設定すればよい。このような投与又は摂取量を充足することにより、生体内でカロテノイド高吸収作用を有効に奏させることができる。
【0035】
本発明のカロテノイド高吸収用組成物、カロテノイド高吸収用の食品用添加剤、及び該組成物等を配合した化粧品、飲食物、医薬品、飼料およびペットフードには、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、種々の機能性成分を配合することが出来る。機能性成分としては、特に限定されないが、例えば、他のカロテノイド類の吸収を促進する組成物でも良いし、ビタミンC、コラーゲン、スクワラン、ナイアシン、ナイアシンアミド、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、ソルビトール、キチン、キトサンや、その他にも種々の植物抽出物等が挙げられる。これらの配合量については、本発明の効果を損なわない限り限定されない。
【0036】
本発明の組成物の製造方法について、以下に例を挙げて説明する。
【0037】
本発明のカロテノイドは、動植物又は細菌から、溶媒などを用いて抽出する方法により得ることができる。さらに、上記カロテノイド抽出物は、常法により濃縮乾固させて濃縮することが好ましい。
【0038】
動植物由来のカロテノイドを得る場合に、用いる動植物は特に限定されないが、玄米、とうもろこし等の穀類、さつまいも、さといも、やまいも等のいも類とその加工物、あずき、いんげんまめ、えんどうまめ、ささげ、そらまめ、だいず、ひよこまめ、べにばないんげん、らいまめ、りょくとう、レンズまめ等の豆類、アーモンド、あさ、えごま、カシューナッツ、かや、銀杏、栗、くるみ、ココナッツ、ゴマ、しい、すいか、とち、はす、ひし、ピスタチオ、ひまわり、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、まつ、落花生等の種実類、アーティチョーク、あさつき、明日葉、アスパラガス、うど、おおさかしろな、丘ひじき、おくら、カブ、かぼちゃ、からしな、カリフラワー、かんぴょう、菊、キャベツ、きゅうり、ぎょうじゃにんにく、京菜、キノコ類、キンサイ、クレソン、くわい、ケール、コールラビ、こごみ、ごぼう、小松菜、ザーサイ、さんとうさい、ししとうがらし、しそ、じゅうろくささげ、春菊、じゅんさい、しょうが、しろうり、ずいき、すぐきな、ズッキーニ、せり、セロリー、ぜんまい、タアサイ、だいこん類、たいさい、高菜、タケノコ、たまねぎ類、たらのめ、チコリー、チンゲンサイ、つうし、つるな、つるむらさき、つわぶき、唐辛子、冬瓜、トマト類、トレビス、とんぶり、ながさきはくさい、なす類、なずな、にがうり、にら、ニンジン、にんにく、ねぎ、野沢菜、のびる、白菜類、パクチョイ、バジル、パセリ、はつかだいこん、はやとうり、ビート、ピーマン類、ひのな、ひろしまな、ふき類、ふだんそう、ブロッコリー、ほうれん草、ホースラディッシュ、まこも、みずかけな、三つ葉、みょうが、むかご、めたで、もやし類、モロヘイヤ、やまごぼう、ゆりね、ようさい、よめな、よもぎ、落花生、らっきょう、リーキ、ルバーブ、レタス類、れんこん、わけぎ、わさび、わらび等の野菜類、アセロラ、アボカド、杏、イチゴ、イチジク、いよかん、梅、温州みかん、オリーブ、オレンジ、オロブランコ、柿、かぼす、かりん、キウイフルーツ、キワノ、キンカン、グァバ、グズベリー、ぐみ、グレープフルーツ、ごれんし、サクランボ、さんぼうかん、シイクワシャ―、すいか、すだち、すもも、だいだい、タンゴール、ダンゼロ、チェリモヤ、ドリアン、夏みかん、なつめ、なつめやし、パインアップル、ハスカップ、はっさく、パッションフルーツ、バナナ、パパイア、ひゅうがなつ、びわ、ぶどう、ブルーベリー、ぶんたん、ホワイトサポテ、ポンカン、まくわうり、マルメロ、マンゴー、メロン、もも、やまもも、ゆず、ラズベリー、りんご、レモン等の果実類、あおさ、あおのり、あまのり、あらめ、いわのり、えごのり、おごのり、かわのり、くびれつた、昆布類、すいぜんじのり、天草、とさかのり、ひじき、ひとえぐさ、ふのり、まつも、むかでのり、もずく類、わかめ類等の海藻類、いかなご、いわな、うなぎ、キャビア、こち、さけ・ます類、ししゃも、たら類、どじょう、はぜ、ぼら、まぐろ、わかさぎ等の魚類、あげまき、あさり、あわび、いあたやがい、牡蠣、さざえ、しじみ、たにし、つぶ、とこぶし、トップシェル、ばいがい、ばかがい、ハマグリ類、帆立貝、ほっきがい、もがい等の貝類、えび類やかに類のような甲殻類、いか類やたこ類のような頭足類、その他うに、おきあみ、くらげ、しゃこ、なまこ、ほや等、いのしし、いのぶた、うさぎ、牛、馬、鯨、鹿、豚、めんよう、ヤギ、あいがも、鳥肉類等の肉類、うこっけい卵、うずら卵、鶏卵、ピータン等の卵類、牛乳などの乳類や加工品などが挙げられる。
【0039】
上記動植物の中でも、かんきつ類由来のものが好ましい。本発明におけるかんきつ類とは、ミカン科などに属する植物を挙げることができる。より具体的には、温州みかん、イヨカン、夏みかん、オレンジ、カボス、カワバタ、キシュウミカン、清見、キンカン、グレープフルーツ、ゲッキツ、三宝柑、シイクワサー、ジャバラ、スウィーティー、スダチ、ダイダイ、タチバナ、デコポン、ナツダイダイ、ハッサク、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、晩白柚、ヒュウガナツ、ブンタン、ポンカン、マンダリンオレンジ、ヤツシロ、ユズ、ライム、レモン、カラタチ(これらと同等又は類似の品種のものも含む)などが挙げられる。その中でも温州みかんがクリプトキサンチンの含有率が高く望ましい。
【0040】
微生物由来のカロテノイドを得る場合に、本発明の効果を損なわない範囲で、用いる微生物は特に限定されないが、カロテノイド産生能力を有するデュナリエラ、ヘマトコッカス等の藻類、ファフィア属、ロドトルーラ属等の酵母等から選択される微生物が挙げられる。これらの中でも、カロテノイド産生能力の観点から、Paracoccus属、Sphingomonas属、Brevundimonas属またはErythrobacter属に属する細菌が好ましく、Paracoccus属に属する細菌がより好ましい。
【0041】
Paracoccus属に属する細菌の中では、Paracoccus carotinifaciens、Paracoccus marcusii、ParacoccushaeundaensisおよびParacoccus zeaxanthinifaciensが好ましく、特にParacoccus carotinifaciensが好ましい。Paracoccus属に属する細菌の具体的な菌株の例として、Paracoccus carotinifaciens E−396株(FERM BP−4283)およびParacoccus属細菌A−581−1株(FERM BP−4671)が挙げられ、これらの変異株も本発明に好ましく用いられる。
【0042】
動植物及び/又は微生物から溶媒にて抽出の際には、水などの極性溶媒や有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類、ピリジン類等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
本発明の組成物を特に食品に含有する場合には、安全性の観点から、上記の有機溶媒の中でも、エタノール、ヘキサンを使用することが好ましい。また、抽出効率を上げるために、水、酵素、各種界面活性剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することも可能である。
【0044】
溶媒による抽出においては、抽出を複数回行うこともできる。また、超臨界抽出法を使用することも可能である。
【0045】
このようにして得られた抽出液は、濃縮操作により濃縮物とすることが好ましい。濃縮操作としては、例えば、エバポレーターのような減圧濃縮装置を用いたり、加熱したりして、溶媒を除去することが挙げられる。次いで、濃縮物を公知の精製手段により精製することで、純度の高いカロテノイド類を得ることができる。具体的には、例えば、該抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで数回精製したり、アルカリ処理や溶媒分画等により不純物を除去した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製したりすることにより、カロテノイドを得ることができる。
【0046】
本発明の海洋深層水は、前述の伊豆赤沢沖から汲み上げられた海洋深層水がより好ましい。海洋深層水の製造方法に関して以下に詳述する。
【0047】
取水地より得られた海洋深層水は本発明の効果や安全性を損なうものでなければ、そのまま用いても良いし、逆浸透膜法による淡水化、陽イオン、陰イオン交換膜、電気透析、フィルター濾過、煮沸等の殺菌処理などを行った加工水を用いても良い。
【0048】
逆浸透膜法による淡水化は、従来知られている方法によって実施することができる。例えば、中空糸膜モジュールを用いた逆浸透膜装置(RO装置)による逆浸透膜法を採用することが出来る。このような中空糸膜モジュールは、中空糸を実質上同一方向にそろえて束ねた中空糸型選択透過膜エレメントを容器内に中空糸の長手方向に並べて配置している。
【0049】
このような逆浸透膜装置を用い、海洋深層水を中空糸内に流入させ中空糸を透過したものを淡水として回収することによって、淡水化を行うことができる。逆浸透膜装置を用いる方法は、エネルギー消費量が比較的少なく、かつ、ほぼ完全に溶存イオンを除去できるという利点がある。
【0050】
海洋深層水から得られた希釈用淡水に、海洋深層水の原水を好適には0.01〜5.0体積%(乾物換算として0.00035〜0.175質量%)、より好適には0.1〜0.9体積%(乾物換算として0.0035〜0.0315質量%)の割合で添加することができる。海洋深層水から得られた希釈用淡水は、海洋深層水が、水の最大密度を示す温度域(約4℃)において、長年にわたり高圧条件下(特に、800mの場合(伊豆赤沢深層水)、81気圧)で保存された水であるため、海洋深層水の希釈には、他の陸由来の淡水よりも好ましい。
【0051】
以上のように製造された飲料水は、含有するミネラル絶対量は希釈される。しかしミネラルバランスは、同一に維持される。例えば、伊豆赤沢沖の水深800mから汲み上げられた伊豆赤沢海洋深層水の含有ミネラル比は、カリウム:カルシウム:マグネシウム:ナトリウム=1:1:3:24である。この比は希釈によっても維持されている。
【0052】
また本発明に用いられる海洋深層水は、水分を除去した塩(乾物)の状態の物を用いても良い。乾燥方法は本発明の効果を得られる範囲で、特に限定されないが、例えば熱風乾燥、凍結乾燥やスプレードライなどの方法が挙げられる。
【0053】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に使用した海洋深層水は、伊豆赤沢沖の水深800mから汲み上げられたものを用いた。
【0054】
<Caco−2細胞を用いたβ-クリプトキサンチンの海洋深層水による吸収促進実験>
試験例1
(腸管吸収性の確認)
カロテノイド高吸収用組成物の腸管吸収性を調べるために、ヒト結腸がん由来細胞であるCaco−2を用いて検討を行った。コラーゲン(新田ゼラチン社製)コート処理をした、6ウェルプレート(旭テクノグラス社製)にCaco−2細胞を2.0×10
5細胞/ウェルの濃度で播種し、コンフルエントまで2日に一度培地(DMEM(和光純薬社製)+10%FBS(GIBCO社製)+1%NEAA(和光純薬社製)+0.5%PSA(和光純薬社製))交換を行いながら培養を継続した。コンフルエント後を0日目として、2日に一度同様の培地で交換しながら、14日間培養を継続した。この間、海洋深層水(以下、「DSW」と称する場合がある。)添加サンプルには8日目から培地に0.5質量%、2.0質量%(β‐クリプトキサンチン(以下、「β−CX」と称する場合がある。))又は2.0質量%(アスタキサンチン)の終濃度となるように添加して培養を行った。14日経過後にCaco−2細胞を本培養の30分前より、ハンクス緩衝液(以下HBSS、Sigma Aldrich社製)に交換し、培養を行うことで残留FBSを除去した。30分後、Caco−2細胞にβ-クリプトキサンチン(四国八洲薬品製)、アスタキサンチン(和光純薬製)を含むHBSS混合液を作用させた。HBSS混合液は基本組成に添加物を加えたため、組成を以下に示す。
【0055】
(HBSS混合液)
基本組成:
HBSS、50μM タウロコール酸Na(東京化成社製)、0.01質量%M−10D(三菱化学フーズ社製)
添加物:
(β‐クリプトキサンチン)
コントロール(DSW−):β-クリプトキサンチン2μM又は6μM
0.5%DSW :β-クリプトキサンチン2μM又は6μM +終濃度0.5質量%DSW
2.0%DSW :β-クリプトキサンチン2μM又は6μM +終濃度2.0質量%DSW
(アスタキサンチン)
コントロール(DSW−) :アスタキサンチン試薬6μM
2.0%(DSW+) :アスタキサンチン試薬6μM + 終濃度2.0質量%DSW
【0056】
2時間細胞に上述のHBSS混合液を作用させたのちに、混合液を除去し、細胞を1mMタウロコール酸Na/PBSで2回、氷冷PBSで1回洗浄し、細胞表面に付着したβ‐クリプトキサンチン又はアスタキサンチンを除去後、細胞を回収し、ヘキサンにて3回抽出することによって細胞内部に蓄積したβ‐クリプトキサンチン又はアスタキサンチンのみを回収し、遠心エバポレーターで濃縮後、HPLCのサンプルに供した。
【0057】
試験例1のβ‐クリプトキサンチンの結果を
図1に示す。β-クリプトキサンチンとして2μM又は6μMのみを含むコントロールに比べ、DSWを添加した細胞ではβ-クリプトキサンチンの取り込み作用が有意に上昇することが分かった。このことによりDSWを作用させることよって、β-クリプトキサンチンを高吸収することが分かった。
【0058】
試験例1のアスタキサンチンの結果を
図2に示す。アスタキサンチン試薬を6μMのみ含むコントロールに比べ、DSWを添加した細胞ではアスタキサンチンの取り込み作用が有意に上昇することが分かった。このことからDSWを作用させることによってアスタキサンチンを高吸収することが分かった。
【0059】
配合例1〜3
以下に本発明の配合組成例を示すが、本発明はその組成によって限定されるものではない。
<配合例1>
・海洋深層水(原水)による組成
海洋深層水 ・・・95質量%(乾物換算として3.325質量%)
温州みかん由来乳化液(β−CX 0.04%)・・・ 5質量%
<配合例2>
・海洋深層水由来淡水を用いる組成
海洋深層水由来淡水 ・・・60質量%
海洋深層水 ・・・20質量%(乾物換算として0.7質量%)
温州みかん由来乳化液(β−CX 0.04%)・・・ 20質量%
<配合例3>
・海洋深層水由来の塩を用いる組成
海洋深層水由来の塩 ・・・ 5質量%
温州みかん由来酵素処理粉末(β−CX 0.2質量%) ・・・95質量%
【0060】
配合例4〜11
以下に配合例1記載の海洋深層水(原水)による組成物(以下組成物1と記載)、配合例2記載の海洋深層水由来(淡水・原水)による組成物(以下組成物2と記載)、配合例3記載の海洋深層水の塩による組成物(以下組成物3と記載)を用いた、食品・化粧品へ適用した場合の配合例を示すが、本発明はその組成によって限定を受けるものではない。
【0061】
<配合例4>
以下に100gのゼリーの配合組成を示す。
組成物1 350mg
ブドウ糖果糖 15g
クエン酸 100mg
カラギーナン 50mg
ローカストビーンガム 50mg
香料 微量
水 残余
【0062】
<配合例5>
以下に100mlの美容ドリンクの配合組成を示す。
組成物2 500mg
ブドウ糖果糖液糖 500mg
ニコチン酸アミド 20mg
ビタミンB1硝酸酸 5mg
ビタミンB2リン酸エステル 5mg
ビタミンB6 5mg
無水カフェイン 50mg
α―グルコシルヘスペリジン 5mg
水 残余
【0063】
<配合例6>
以下に化粧品の配合例を示す。
(化粧水)
組成物2 2.50質量%
クエン酸三ナトリウム 3.00質量%
濃グリセリン 4.00質量%
1,3−ブチレングリコール 5.00質量%
キサンタンガム 0.05質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01質量%
防腐剤 適量
精製水 残余
【0064】
<配合例7>
以下に化粧品の配合例を示す。
(保湿クリーム)
組成物2 2.50質量%
ベヘニルアルコール 2.00質量%
トリオクタン酸グリセリル 3.00質量%
ホホバ油 1.00質量%
オリーブ油 1.00質量%
メチルポリシロキサン 0.10質量%
天然ビタミンE 0.10質量%
POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.50質量%
POE(80)硬化ヒマシ油 0.50質量%
L−セリン 0.50質量%
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.10質量%
カルボキシビニルポリマー 0.05質量%
水酸化カリウム 0.01質量%
防腐剤 適量
精製水 残余
【0065】
<配合例8>
以下に化粧品の配合例を示す。
(乳液)
組成物2 2.50質量%
トリオクタン酸グリセリル 3.00質量%
ホホバ油 1.00質量%
オリーブ油 1.00質量%
メチルポリシロキサン 0.10質量%
天然ビタミンE 0.10質量%
POE(20)ソルビタンモノオレエート 1.50質量%
ソルビタンモノオレエート 0.50質量%
L−セリン 0.50質量%
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.10質量%
ポリビニルピロリドン 0.05質量%
防腐剤 適量
精製水 残余
【0066】
<配合例9>
以下に化粧品の配合例を示す。
(パック)
組成物2 2.50質量%
ヒドロキシエトキシセルロース 3.00質量%
カルボキシビニルポリマー 1.00質量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(15EO) 1.00質量%
エタノール 5.00質量%
防腐剤 適量
精製水 残余
【0067】
<配合例10>
以下に化粧品の配合例を示す。
(頭髪用化粧料)
組成物2 0.35質量%
硬化ヒマシ油(50EO) 0.70質量%
1,3−ブチレングリコール 5.00質量%
グリセリン 1.00質量%
エタノール 25.00質量%
精製水 残余
【0068】
<配合例11>
以下にサプリメントの配合例を示す。
(ソフトカプセル)
組成物3 30mg
サフラワー油 240mg
蜜蝋 30mg
ビタミンC 0.1mg
以上の組成を混合し、ゼラチンなどで形成された食品用ソフトカプセル内に充填する。