特許第6677476号(P6677476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677476
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20200330BHJP
   D06F 33/30 20200101ALI20200330BHJP
【FI】
   D06F39/00 Z
   D06F33/02 G
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-197670(P2015-197670)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-70351(P2017-70351A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 彩未
【審査官】 岩谷 一臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−087608(JP,A)
【文献】 特開2006−247367(JP,A)
【文献】 特開2007−061175(JP,A)
【文献】 特開2007−089663(JP,A)
【文献】 特開2011−062551(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0088061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F1/00−51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される回転槽と、
前記回転槽を収容する水槽と、
前記回転槽の底部に設けたパルセータと、
前記パルセータを回転駆動させるモータと、
前記水槽内の水を循環させる循環ポンプを備え、前記水槽を含む循環経路と、
前記循環経路内の水を加熱する加熱手段と、
前記循環経路あって前記循環経路内を通る水に接触可能に設けられた抗菌剤供給部と、を少なくとも備え、
少なくとも、洗い行程とすすぎ行程とを備える洗濯コースを実行可能であり、
前記循環経路は、前記水槽内の水を汲み上げ、前記水槽の上部から散布する手段を有し、
前記すすぎ行程のうち、最後に実施する最終すすぎ行程を備え、
前記最終すすぎ行程において、前記水槽内の水の一部を排水した後に前記水槽内の水を加熱し、当該水を前記循環経路を通じ前記水槽上方から前記水槽内に散布する制御を行う、
洗濯機。
【請求項2】
前記加熱手段は前記水槽内に配置されたヒータである請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記加熱手段は前記水槽を除く前記循環経路に配置されたヒータである請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
衣類が収容される回転槽と、
前記回転槽を収容する水槽と、
前記回転槽の底部に設けたパルセータと、
前記パルセータを回転駆動させるモータと、
前記水槽内の水を循環させる循環ポンプを備え、前記水槽を含む循環経路と、
前記循環経路内の水を加熱する加熱手段と、
前記循環経路にあって前記循環経路内を通る水に接触可能に設けられた抗菌剤供給部と、を少なくとも備え、
少なくとも、洗い行程とすすぎ行程とを備える洗濯コースを実行可能であり、
前記循環経路は、前記水槽内の水を汲み上げ、前記水槽の上部から散布する手段を有し、
前記加熱手段は前記水槽内の洗濯物を加熱可能に配置された温風供給部である、
洗濯機。
【請求項5】
衣類が収容される回転槽と、
前記回転槽を収容する水槽と、
前記回転槽の底部に設けたパルセータと、
前記パルセータを回転駆動させるモータと、
前記水槽内の水を循環させる循環ポンプを備え、前記水槽を含む循環経路と、
前記循環経路内の水を加熱する加熱手段と、
前記循環経路にあって前記循環経路内を通る水に接触可能に設けられた抗菌剤供給部と、
を少なくとも備え、
少なくとも、洗い行程とすすぎ行程とを備える洗濯コースを実行可能であり、
前記循環経路は、前記水槽内の水を汲み上げ、前記水槽の上部から散布する手段を有し、
前記加熱手段は前記水槽を除く前記循環経路に配置されたヒータであり、
前記抗菌剤供給部は、前記循環経路内において前記水槽の底部に連通する吸入側端部と前記水槽内に上方から臨む吐出側端部との間であって、前記加熱手段の下流側に設けられている、
洗濯機。
【請求項6】
前記抗菌剤供給部は、前記水槽に水を貯水する際の最低水位より上方の位置に設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記抗菌剤供給部は、前記水槽に水を貯水する際の最高水位より上方の位置に設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記循環ポンプの駆動時間は、洗い行程における駆動時間より、すすぎ行程における駆動時間の方が長い請求項1から7の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記循環ポンプによる循環流量は、洗い行程における循環流量より、すすぎ行程における循環流量の方が多い請求項1から7の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記すすぎ行程において、前記加熱手段で前記循環経路内の水を加熱することにより、前記抗菌剤供給部からの抗菌剤成分の水への溶出量を増大させ、前記水槽の上部から水を散布する手段により前記水槽内に前記抗菌剤成分を含んだ水を散布する請求項1から9の何れか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、洗い行程、すすぎ行程、及び脱水までを自動で行う全自動洗濯機において、高い節水性能が求められていると同時に、衣類への抗菌剤を含有した抗菌水の十分な撒布による除菌、消臭作用の向上という要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−279056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
節水性能を維持しつつ、衣類に十分に抗菌水を撒布することにより除菌、消臭効果を向上させることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、衣類が収容される回転槽と、前記回転槽を収容する水槽と、前記水槽内の水を循環させる循環ポンプを備え、前記水槽を含む循環経路と、前記循環経路内の水を加熱する加熱手段と、前記循環経路あって前記循環経路内を通る水に接触可能に設けられた抗菌剤供給部と、を少なくとも備える。また、少なくとも、洗い行程とすすぎ行程とを備える洗濯コースを実行可能であり、前記循環経路は、前記水槽内の水を汲み上げ、前記水槽の上部から散布する手段を備える。前記洗濯機は、前記すすぎ行程のうち、最後に実施する最終すすぎ行程を備え、前記最終すすぎ行程において、前記水槽内の水の一部を排水した後に前記水槽内の水を加熱し、当該水を前記循環経路を通じ前記水槽上方から前記水槽内に散布する制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る洗濯機の概略構成を示す一部破断側面図
図2】電気的構成を示すブロック図
図3】洗い行程のタイムチャート
図4】すすぎ行程のタイムチャート
図5】最終すすぎ行程のタイムチャート
図6】循環ポンプの流量例
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係る洗濯機について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の説明において実質的に共通する部位には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、説明において、実施形態に係る洗濯機として、縦軸型の全自動洗濯機を例示して説明する。
【0008】
図1は洗濯機1の全体構成の概要を示す縦断側面図である。図1において、洗濯機1の外箱2の内部には、上面が開口した水槽3が、弾性吊持機構4を介して弾性的に支持されている。水槽3内には、上面が開口した回転槽5が回転可能に配設されている。この回転槽5は、洗濯物の洗い、すすぎ及び脱水の運転時に用いられるもので、周壁部の複数個所に通水が可能な脱水孔6が形成されている。回転槽5の上端部周縁部には、バランスリング7が装着され、回転槽5の内底部にはパルセータ8が回動可能に配設されている。
【0009】
水槽3の外底部には、モータ9及び機構部10が設けられている。機構部10は、図示はしないがクラッチを有していて、モータ9の回転をパルセータ8のみに伝達して当該パルセータ8のみを回転させる場合と、パルセータ8と回転槽5とを同時に回転させる場合とを切替える機能を備えている。
【0010】
水槽3の底部から上部にかけて循環経路15が設けられている。循環経路15の一方の端部(吸入側端部)15aは、水槽3の底部において当該水槽3内に連通しており、他方の端部(吐出側端部)15bは、水槽3の上部に設けられた水槽カバー3aを通して回転槽5内に上方から臨んでいる。循環経路15は、回転槽5内に供給された水を、一度回転槽5外に排出して再度回転槽5内に戻すように構成されている。
【0011】
循環経路15中には、端部15a側に位置させて、循環経路15を通る糸屑等を除去するためのリントフィルタ16が設けられている。循環経路15中のリントフィルタ16の下流側(端部15b側)には、循環ポンプ17が設けられている。循環ポンプ17は、回転槽5内の水を循環経路15に循環供給するためのものである。
【0012】
循環経路15中の循環ポンプ17の下流側には、循環経路15を通る水を加熱する加熱手段としてのヒータ18が設けられている。ヒータ18は、例えば軸方向に長い円筒状をなすセラミックヒータにより構成されている。そして、軸方向の両端部18a,18bが夫々循環経路15に接続されて、水がこのヒータ18の内部を通るときに加熱される構成になっている。
【0013】
循環経路15中のリントフィルタ16と循環ポンプ17の間の経路には、ここから分岐して排水路19が接続されていて、排水路19の他方の端部(図示せず)が外箱2外に配設されている。この排水路19中には、排水弁20が設けられている。
【0014】
循環経路15の循環ポンプ17の下流側であって、ヒータ18の下流側には、抗菌剤供給部40が設けられている。抗菌剤供給部40には例えばAg抗菌剤が用いられる。循環経路15内を通過する水が抗菌剤供給部40に接触することによりAgイオンが水に溶出し、これにより抗菌作用を発揮するAg抗菌剤を含有する抗菌水(Ag抗菌剤水)が生成される。また、循環経路15内を通過する水はヒータ18により加熱されている。これにより、Agイオンの溶出量が増加するため、抗菌水の抗菌作用がより向上する。
【0015】
また、抗菌剤供給部40は、少なくとも水槽3内の水の最低水位L1よりも上方となる位置に設けられている。更に水槽3内の水の最高水位L2よりも上方となる位置に設けられていてもよい。これにより、抗菌剤供給部40が水に接触する期間が短縮され、抗菌剤供給部40のAg抗菌剤が無駄に減少することを抑制することができるため、抗菌剤供給部40を長持ちさせることができる。
【0016】
外箱2の上部にはトップカバー25が設けられている。このトップカバー25には、回転槽5の上方に位置させて洗濯物出入口(図示せず)が形成されているとともに、この洗濯物出入口を開閉する、2つ折りタイプの洗濯蓋26が設けられている。
【0017】
この洗濯蓋26の後方には、外部(外箱2外)から回転槽5内に水を供給するための給水手段を構成する給水ホース27及び給水弁28が設けられている。給水弁28の一方の端部は水道水の蛇口に連結され、給水弁28の他方の端部は、排水ホース27に連結されて、その排水ホース27の端部27aは水槽3の水槽カバー3aを通して回転槽5内を上方から臨んでいる。
【0018】
給水ホース27の途中にはヒータ41が設けられている。給水ホース27内を通過する水を、ヒータ41により加熱することができる。また、回転槽5上方には、回転槽5内に温風を供給する温風供給部42が設けられている。温風供給部42から供給される温風は水槽3及び回転槽5内に供給され、回転槽5内の洗濯物や水を加熱することができる。温風供給部42には図示しない風路から温風が供給される。温風供給部42の風路は抗菌剤供給部40に隣接するように、あるいは、抗菌剤供給部40の外周部に接触するように設けられていてもよい。風路には温風が通過するため、これによって抗菌剤供給部40が加熱され、Agイオン(抗菌成分)の溶出量が増加し、抗菌水の除菌・抗菌作用を向上させることができる。
【0019】
水槽3内には、後述する図2に示すように、水の水位を検出する水位センサ31と、水の温度を検出するためのサーミスタ等の温度センサ32とが設けられている。又、図示はしないが、トップカバー25の前部には、操作パネルが設けられている。
【0020】
図2は、洗濯機の電気的構成のうち本発明の要旨に関係する部分の電気的構成のブロック図を示している。この図2において、制御手段を構成する制御装置35は、マイクロコンピュータを主体に構成されたもので、上記操作パネルの裏側に設けられている。この制御装置35は、洗濯物の洗い、すすぎ及び脱水の洗濯運転等を制御する機能を有している。制御装置35には、前記水位センサ31、温度センサ32及び操作パネルに設けられた操作部36等からの信号が入力される。
【0021】
制御装置35は、これらの入力信号と、予め備えた制御プログラムに基づいて、給水弁28、排水弁20、循環ポンプ17、ヒータ18、モータ9及び操作パネルに設けられた表示器37等を、駆動回路38を介して制御する機能を有している。表示器37は、運転状態等を表示するためのものである。
【0022】
次に上記構成の作用について図3図5を参照して説明する。図3図5は、洗濯機1の洗い行程、すすぎ行程、最終すすぎ行程における、水槽3内の水位、給水弁28、パルセータ8、循環ポンプ17、及びヒータ18の動作のタイムチャートを示している。図においてONは駆動又は開放を、OFFは停止又は閉鎖を示している。
【0023】
洗い行程において、図3に示すように、制御装置35は、給水時には、まず排水弁20をOFF(閉鎖)した状態で、給水手段の給水弁28をON(開放)することで給水を開始する制御を行う(時刻t0)。給水弁28を駆動させることで、図示しない水(水道水)が、給水ホース27を通って回転槽5内、ひいては水槽3内に供給されて洗濯物に浸み込んでいく。このとき、予め投入された洗剤は、供給された水によって徐々に溶けていく。制御装置35は、パルセータ8が所定の駆動パターンで回転と停止を繰り返す制御を行う。
【0024】
制御装置35は、給水弁28を、時刻t0、時刻t2、及び時刻t4においてON(開放)することにより給水を開始する制御を行う。水槽3内の水位は水位A1、水位A2、水位A3、水位A4と順に上昇する。水位A2は、例えば、水が循環経路15のうちの循環ポンプ17及び排水弁20の上流側を満たし、且つ、パルセータ8が浸かる程度の水位である。水位は、水位センサ31が検出する。
【0025】
制御装置35は、循環ポンプ17を駆動させる。制御装置35は、回転槽5内の水を循環経路15に送り、循環経路15内を通る水の加熱を行って、再度回転槽5内に戻す制御を行う。回転槽5内に戻された水は、洗濯物に浸み込みつつ、再度循環経路15に送られる。
【0026】
循環ポンプ17は、駆動時にはONとOFFを繰り返している。循環ポンプ17は例えば10秒ON/10秒OFFの駆動パターンにより駆動している。循環ポンプ17は、時刻t1及びt3から始まる駆動においては、例えば時刻t1からt2まで3回のON/OFF動作を行い、その後は、時刻t3まで駆動を停止している。時刻t3からt4までは、3回のON/OFF動作を行い、その後は、時刻t5まで駆動を停止している。
【0027】
水位がA4に達した後は、制御装置35は循環ポンプ17の駆動を開始する(t5)。すなわち、制御装置35は、時刻t5から洗い行程が終了する時刻t6まで、循環ポンプ17の10秒ON/10秒OFFの駆動パターンを繰り返し継続する制御を行う。なお、洗い行程では、ヒータ18はONされている。ヒータ18がONされて水槽3内の水が加熱されると、洗濯物の洗浄効果が向上する。
【0028】
洗い行程が終了すると、制御装置35は、排水を行い、次に、すすぎ行程を実施する。
すすぎ行程において、図4に示すように、制御装置35は、給水時には、給水弁28を駆動(開放)、すなわちONすることで給水を開始する制御を行う(時刻u0)。給水弁28を駆動させることで、図示しない水道水が、給水ホース27を通って回転槽5内、ひいては水槽3内に供給されて洗濯物に浸み込んでいく。制御装置35は、パルセータ8が所定の駆動パターンで回転と停止を繰り返す制御を行う。
【0029】
給水弁28のONにより、時刻u0、時刻u3、及び時刻u5から開始される給水により、水槽3内の水位は水位B1、水位B2、水位B3、水位B4というように上昇する。水位は、水位センサ31が検出する。
【0030】
制御装置35は、給水が開始された後所定時間が経過した時刻u1から、循環ポンプ17を駆動させる。制御装置35は、回転槽5内の水を循環経路15に送り、循環経路15内を通る水の加熱を行って、再度回転槽5内に戻す制御を行う。回転槽5内に戻された水は、洗濯物に浸み込みつつ、再度循環経路15に送られる。
【0031】
制御装置35は、循環ポンプ17が、時刻u1からすすぎ行程が終了する時刻u7まで、ONとOFFを繰り返す制御を実施している。制御装置35、循環ポンプ17が例えば20秒ON/10秒OFFの駆動パターンにより駆動するように制御している。制御装置35は、循環ポンプ17を、洗い行程時よりも、すすぎ行程時の方を、より多くの駆動時間となるように駆動制御している。すなわち、すすぎ行程の方が循環ポンプ17のトータル駆動時間が多くなるように制御されている。
【0032】
循環ポンプ17の駆動時間を制御することで、例えば、図6に示すように、すすぎ行程での循環ポンプ17による流量又はトータル流量が、洗い行程での循環ポンプ17による流量又はトータル流量よりも多くなるように制御されている。
【0033】
なお、この駆動制御において、すすぎ行程中の所定の期間において、洗い行程よりも駆動時間が多くなるように制御を行ってもよい。これにより、洗い行程よりも、すすぎ行程の方が、循環ポンプ17による水の循環流量が多くなる。あるいは、洗い行程よりもすすぎ行程の方が、駆動時の回転数が高くなるように制御してもよい。これにより、当該所定期間において、洗い行程よりも、すすぎ行程の方が、循環ポンプ17による水の循環流量が多くなる。
【0034】
循環経路15には抗菌剤供給部40が設けられている。従って、循環ポンプ17による駆動時間、すなわち循環ポンプ17による循環流量が多くなると、回転槽5内の洗濯物により多くの抗菌水が撒布されるため、抗菌作用が大きくなる。また、抗菌作用は洗剤が少ない環境の方がその効果が大きくなる。従って、洗剤が多い洗い行程よりも、洗剤が少ないすすぎ行程において循環ポンプ17による循環流量を多くすれば、抗菌水の抗菌作用をより効果的に向上させることが可能となる。
【0035】
最終すすぎ行程は、図5に示すように、最終すすぎステップ(時刻v0〜v5)と、最終すすぎの排水ステップ(時刻v5〜v9)を備えている。最終すすぎ行程は、複数回実施されるすすぎ行程のうち、最後に実施されるすすぎ行程であり、初めて実施されるすすぎ行程が最終すすぎ行程となることもある。最終すすぎ行程は、最終の脱水行程の直前に設けられる。
【0036】
最終すすぎステップにおいて、制御装置35は、給水時には、給水弁28を駆動(開放)、すなわちONすることで給水を開始する制御を行う(時刻v0)。給水弁28を駆動させることで、図示しない水道水が、給水ホース27を通って回転槽5内、ひいては水槽3内に供給されて洗濯物に浸み込んでいく。
【0037】
また、制御装置35はヒータ18をONする(時刻v0)。これにより循環経路15内の水が加熱され、水槽3内の水が加熱される。制御装置35は、パルセータ8が所定の駆動パターンで回転と停止を繰り返す制御を行う。
【0038】
制御装置35は、給水が開始された後所定時間が経過した時刻v1から、循環ポンプ17を所定パターンで駆動させる。制御装置35は、回転槽5内の水を循環経路15に送り、循環経路15内を通る水の加熱を行って、再度回転槽5内に戻す制御を行う。回転槽5内に戻された水は、洗濯物に浸み込みつつ、再度循環経路15に送られる。
【0039】
制御装置35は、循環ポンプ17が、時刻v1から最終すすぎステップが終了する時刻v5まで、所定の駆動パターンでONとOFFを繰り返す制御を実施している。
最終すすぎの排水ステップでは、図5に示すように、制御装置35は排水弁20を所定期間ON、すなわち開放する(時刻v5〜v6)。この排水弁20の開放により、水槽3内の水が減少し、所定の水量が残存する。この時の水の残存量は例えば洗濯物が水に浸り、水面と洗濯物の上部が面一程度となる量である。
【0040】
その後、制御装置35は、時刻v6において排水弁20をOFF、すなわち閉鎖した後に、ヒータ18をONする制御を行う。次に、時刻v6から所定時間経過後の時刻v7から循環ポンプ17を駆動開始し、水槽3内の水を循環させる。これにより、水槽3内の水が加熱される。また、抗菌剤供給部40によるAg抗菌水が生成され、回転槽5内の洗濯物にAg抗菌水が散布される。この時、水槽3内の水の残存量は、洗い行程時又はすすぎ行程時よりも少なくなっているため、抗菌剤供給部40により生成されたAg抗菌水のAgイオンの濃度は高くなっている。従って、これにより水槽3内の洗濯物に対する除菌・抗菌作用をより向上することができる。
【0041】
また、水槽3内の水の残存量は少なくなっているため、ヒータ18により水槽3内の水は加熱されやすい。従って短時間で水槽3内の水が加熱されるため、抗菌剤供給部40の抗菌剤の溶出量が多くなる。これによっても水槽3内の洗濯物に対する抗菌作用をより向上することができる。
【0042】
所定時間、ヒータ18による加熱、及び、循環ポンプ17による水の循環が行われた後、制御装置35は、ヒータ18及び循環ポンプ17をOFFする制御を行う(時刻v8)。次に、制御装置35は排水弁20をON(開放)し、水槽3内の水をすべて排水し、すすぎ行程を終了させる(時刻v9)。
【0043】
すすぎ行程が終了すると、制御装置35は、回転槽5を回転駆動させて脱水運転を行い、所定時間経過後に、回転槽5及び排水弁20を停止させて、脱水運転を終了させ、洗濯コースの全行程を終了する。脱水運転の後、回転槽5内の洗濯物のほぐし運転を行ってもよい。また、脱水運転の後、乾燥行程に移行してもよい。
【0044】
以上に説明した洗濯機1によれば以下の効果を奏する。
実施形態に係る洗濯機1において、抗菌剤供給部40を循環経路15に、循環経路15内の水に接触可能に設けることにより抗菌水を生成し、循環ポンプ17によって水槽3上部から撒布するようにした。これにより、少ない水量で洗い行程を実施しつつ、衣類にまんべんなく抗菌水を撒布することができるため、洗浄効果を維持しつつ、除菌・抗菌効果を向上させることができる。
【0045】
また、実施形態に係る洗濯機1によれば、抗菌剤供給部40が、少なくとも水槽3内の水の最低水位L1よりも上方となる位置に設けられている。更に水槽3内の水の最高水位L2よりも上方となる位置に設けられていてもよい。また、抗菌剤供給部40は循環ポンプ17の下流に配置されている。これにより、抗菌剤供給部40が水に接触する期間が短縮され、抗菌剤供給部40が無駄に減少することを抑制することができるため、抗菌剤供給部40を長持ちさせることができる。
【0046】
また、実施形態に係る洗濯機1によれば、循環ポンプ17を、洗い行程時よりも、すすぎ行程時の方を、より多くの駆動時間となるように駆動制御している。すなわち、すすぎ行程の方が循環ポンプ17のトータル駆動時間が多くなるように制御されている。これにより、洗い行程よりも、すすぎ行程の方が、循環ポンプ17による水の循環流量が多くなる。従って、洗剤のないすすぎ行程において、抗菌水を有効に作用させることができるため、除菌・抗菌効果を向上させることができる。
【0047】
また、実施形態の洗濯機1によれば、すすぎ行程において、ヒータ18、ヒータ41、温風供給部42等の加熱手段を用いて水槽3内の水を加熱している。これにより、抗菌剤供給部40に接触する水の温度を高めることができるため、抗菌成分の水への溶出量を増加させることができる。従って、抗菌水による除菌・抗菌効果を向上させることができる。なお、加熱手段は上記に限られず、例えば水槽3内に設けられ、水槽3内に貯水された水を加熱する図示しないヒータを用いてもよい。
【0048】
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は洗濯機、3は水槽、5は回転槽、8はパルセータ、9はモータ、15は循環経路、17は循環ポンプ、18はヒータ、40は抗菌剤供給部、41はヒータ、42は温風供給部、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6