(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標管内圧算出部は、前記総必要空気量が増加した場合に前記目標管内圧を高くし、前記総必要空気量が減少した場合に前記目標管内圧を低くする、請求項1に記載の廃水処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る廃水処理システムの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
(廃水処理システムの構成)
図1は、本実施形態に係る廃水処理システムの模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る廃水処理システム1は、反応槽10A、10B、10C、送風ユニット20、送風管30、及び空気供給量制御部40を有する。廃水処理システム1は、空気供給量制御部40で反応槽10内に供給する空気量を制御しつつ、送風ユニット20からの空気を送風管30で反応槽10内に供給し、反応槽10内の活性汚泥により、内部の廃水Wの生物処理を行う。
【0021】
反応槽10A、10B、10Cは、内部に散気部12を有し、活性汚泥が貯留される槽である。反応槽10A、10B、10Cは、図示しない沈殿池から廃水Wが流入する。廃水Wは、図示しない沈殿池によって原水から一部の固形物が分離された後の水である。ここでいう原水とは、家庭や工場などから排出された排水及び下水である。散気部12は、送風ユニット20から供給された空気で、貯留した活性汚泥を曝気する。反応槽10A、10B、10Cは、曝気された活性汚泥によって廃水Wに生物処理を行い、生物処理を行った後の廃水Wである処理水を、図示しない固液分離槽に排出する。この図示しない固液分離槽では、処理水についてさらに固液分離処理を行い、その固液分離処理後の水を、例えば消毒処理後に外部環境に排出する。
【0022】
反応槽10A、10B、10Cは、それぞれ並列に設けられている。すなわち、反応槽10A、10B、10Cには、沈殿池からそれぞれ並列に廃水Wが供給される。ただし、反応槽10A、10B、10Cは、互いに直列に配置されていてもよい。すなわち、反応槽10Aに反応槽10Bが接続され、反応槽10Aで生物処理した後の廃水Wを反応槽10Bに導入し、反応槽10B内で再度生物処理を行ってもよい。また、反応槽10A、10B、10Cは、合計3つの好気槽であるが、その数も任意である。また、反応槽10A、10B、10Cには、嫌気槽や無酸素槽が直列に接続されていてもよい。以下、反応槽10A、10B、10Cを互いに区別しない場合は、反応槽10と記載する。
【0023】
図1に示すように、送風ユニット20は、複数の送風機である送風機22A、22B、22C、22Dを有する。送風機22A、22B、22C、22Dは、互いに同様の機能を有するブロアである。送風機22A、22B、22C、22Dは、インレットベーンを介して外部から空気を導入し、回転する羽根部によって導入した空気を排気する。送風機22A、22B、22C、22Dは、インレットベーンの開度が調整可能になっており、羽根部の回転数も調整可能になっている。送風機22A、22B、22C、22Dは、羽根部から空気を吐出する側が、互いに並列に送風管30に接続されており、それぞれが吐出した空気を送風管30に吐出する。以下、送風機22A、22B、22C、22Dを互いに区別しない場合は、送風機22と記載する。なお、送風ユニット20が有する送風機22の数は、任意である。
【0024】
送風管30は、内部に空気を導通する管である。送風管30は、導入管31と、母管32と、支管34A、34B、34Cと、導入弁36とを有する。導入管31は、一方の端部が分岐してそれぞれ送風機22に接続されており、送風機22から空気が供給される。導入管31は、他方の端部が母管32に接続されており、各送風機22からの空気を合流させて、合流させた空気Aを母管32に導通する。母管32は、一本の管である。母管32は、空気Aの流れの上流側、すなわち送風機22側から、支管34C、34B、34Aがこの順で接続されている。
【0025】
支管34Aは、母管32の接続部と反対側が反応槽10Aの散気部12に接続されており、母管32からの空気Aの一部を反応槽10Aに供給する。支管34Bは、母管32の接続部と反対側が反応槽10Bの散気部12に接続されており、母管32からの空気Aの一部を反応槽10Bに供給する。支管34Cは、母管32の接続部と反対側が反応槽10Cの散気部12に接続されており、母管32からの空気Aの一部を反応槽10Cに供給する。導入弁36は、支管34A、34B、34Cに取り付けられている。導入弁36は、空気供給量制御部40によって開閉操作される弁であり、その開度調整によって、各反応槽10への空気供給量を調整する。以下、支管34A、34B、34Cを互いに区別しない場合は、支管34と記載する。
【0026】
空気供給量制御装置としての空気供給量制御部40は、制御部42と、水質測定部としての硝酸計43及びアンモニア計44と、吸気測定部46と、母管内圧測定部47と、支管空気量測定部48とを有する。制御部42は、硝酸計43、アンモニア計44、吸気測定部46、母管内圧測定部47、及び支管空気量測定部48の測定結果に基づき、各反応槽10内への空気供給量を制御する制御装置である。制御部42の詳細は後述する。なお、空気供給量制御部40は、複数の反応槽10への空気供給量を制御するものであるが、1つの反応槽10毎にそれぞれ1つずつ設けられて、1つの反応槽10への空気供給量を制御してもよい。
【0027】
硝酸計43は、各反応槽10内に設けられており、反応槽10内の廃水Wの硝酸濃度を測定するセンサである。廃水Wの硝酸とは、本実施形態においては、硝酸(HNO
3)、亜硝酸(HNO
2)、硝酸性窒素(NO
3−N)、亜硝酸性窒素(NO
2−N)、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素との集合、および硝酸と亜硝酸とをともに示すNO
xを含む概念である。すなわち、本実施形態における硝酸濃度は、硝酸、亜硝酸、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素との集合、および硝酸と亜硝酸とをともに示すNO
xの、いずれの濃度であってもよい。
【0028】
アンモニア計44は、各反応槽10内に設けられており、反応槽10内の廃水Wのアンモニア濃度を測定するセンサである。廃水Wのアンモニア濃度とは、本実施形態においては、アンモニアおよびアンモニア性窒素を含む概念である。すなわち、本実施形態におけるアンモニア濃度は、アンモニア(NH
3)およびアンモニア性窒素(NH
4−N)のいずれの濃度であってもよい。すなわち、硝酸計43及びアンモニア計44は、反応槽10内の廃水Wの状態を計測するといえる。なお、水質測定部、すなわち硝酸計43及びアンモニア計44は、反応槽10毎に1つずつ設けられているが、複数の反応槽10に1つの水質測定部が設けられている構成であってもよい。
【0029】
吸気測定部46は、各送風機22の吸気側に設けられており、送風機22が吸気する空気量を測定する。母管内圧測定部47は、母管32に取付けられ、母管32内の圧力、すなわち各送風機22が供給した空気の圧力を測定する。より詳しくは、母管内圧測定部47は、支管34Cよりも空気Aの流れの上流側、すなわち全ての支管34との接続部よりも空気Aの流れの上流側に設けられている。支管空気量測定部48は、各支管34に設けられ、各支管34に供給される空気量を測定する。より詳しくは、支管空気量測定部48は、導入弁36よりも空気の流れの上流側に設けられて、導入弁36に向かって供給される空気量を測定する。
【0030】
(反応槽内での水処理)
次に、反応槽10内での廃水Wの生物処理について説明する。反応槽10内では、好気性条件下で活性汚泥中の好気性微生物である硝化菌により、硝化反応、すなわち、被処理水中のアンモニア性窒素(NH
4−N)が、下記の反応式(1)〜(3)のように、亜硝酸性窒素(NO
2−N)や硝酸性窒素(NO
3−N)に硝化される。
【0031】
NH
3+O
2+2e
-+2H
+→NH
2OH+H
2O …(1)
NH
2OH+H
2O→NO
2-+5H
++4e
− …(2)
NO
2-+0.5O
2→NO
3- …(3)
【0032】
一方、反応槽10における被処理水中の酸素量が少ない領域においては、酸素量が少ないことから脱窒菌による脱窒反応(嫌気反応)が発生する。この脱窒反応を生じる領域(脱窒反応領域)に充分な炭素源を供給すれば、脱窒反応も充分に進行させることができる。その結果、反応槽10において部分的に、脱窒反応が行われる領域が発生する。これにより、下記の反応式(4)〜(10)のように、硝化が不充分であることによって発生した亜酸化窒素(N
2O)ガスを分解したり、亜酸化窒素を発生させることなく亜硝酸を還元したりして、窒素と二酸化炭素とに分解させて、窒素除去を行うことができる。
【0033】
NO
2−+3H
++2e
− → 0.5N
2O+1.5H
2O …(4)
NO
2−+H
++2(H) → 0.5N
2O+1.5H
2O …(5)
NO
3−+H
++5(H) → 0.5N
2+3H
2O …(6)
NO
3−+2H → NO
2−+H
2O …(7)
NO
2−+H
++(H) → NO+H
2O …(8)
NO+(H) → 0.5N
2O+0.5H
2O …(9)
N
2O+2(H) → N
2+H
2O …(10)
【0034】
硝酸計43は、反応槽10内の廃水Wの硝酸濃度を測定することで、脱窒反応の進行度、すなわち硝酸の分解度合いを検出する。アンモニア計44は、反応槽10内の廃水Wのアンモニア濃度を測定することで、硝化反応の進行度、すなわちアンモニアの分解度合いを検出する。空気供給量制御部40は、この硝酸計43とアンモニア計44との測定結果に基づき、反応槽10に供給する空気量を制御する。例えば、空気供給量制御部40は、硝酸濃度が所定の数値範囲内より高い場合、脱窒反応が不足しているとして、反応槽10に供給する空気量を低下させ、硝酸濃度が所定の数値範囲内より低い場合、脱窒反応が進み過ぎて硝化反応が不足しているとして、反応槽10に供給する空気量を増加させる。同様に、空気供給量制御部40は、アンモニア濃度が所定の数値範囲内より高い場合、硝化反応が不足しているとして、反応槽10に供給する空気量を増加させ、アンモニア濃度が所定の数値範囲内より低い場合、硝化反応が進み過ぎて脱窒反応が不足しているとして、反応槽10に供給する空気量を低下させる。
【0035】
硝酸計43は、アンモニア計44よりも、反応槽10内における廃水Wの上流側、すなわち廃水が供給される側(図示しない沈殿池側)に配置される。反応槽10内は、廃水Wの上流側から下流側に向かって、すなわち廃水Wが供給される側(図示しない沈殿池側)から生物処理後の処理水が排出される側(図示しない固形分離槽側)に向かって、上流側処理領域と下流側処理領域とに区分される。上流側領域と下流側領域は、硝化処理及び脱窒処理との進行度合いが互いに異なる領域である。上流側領域は、廃水Wの上流側の領域であり、硝化処理と脱窒処理とが、例えばほぼ同一の所定比率で進行する領域である。下流側領域は、上流側領域よりも廃水Wの下流側の領域であり、上流側領域と同様に硝化処理と脱窒処理とが行われている。ただし、下流側領域の硝化処理の進行速度は、上流側領域の硝化処理の進行速度、及び下流側領域の脱窒処理の進行速度より高い。硝酸計43は、この上流側領域と下流側領域との間(例えば廃水Wの上流側から下流側に沿った場合の中央位置)に設けられ、アンモニア計44は、硝酸計43より下流側の下流側領域に配置される。
【0036】
以上のように、空気供給量制御部40は、硝酸計43とアンモニア計44との検出結果に基づき、反応槽10内での空気量を制御して、反応槽10内で硝化処理と脱窒処理との両方の生物処理を含む同時硝化脱窒制御を実行する。ただし、空気供給量制御部40は、反応槽10内で同時硝化脱窒処理を行わなくてもよい。例えば、空気供給量制御部40は、硝酸計43及びアンモニア計44のいずれか一方を有していてもよく、その測定結果に基づき反応槽10内での空気量を制御してもよい。また、例えば、空気供給量制御部40は、硝酸計43及びアンモニア計44の代わりに、水質測定部として、反応槽10内の廃水Wの溶存酸素量を測定する溶存酸素濃度計を有していてもよい。この場合、空気供給量制御部40は、溶存酸素計が測定した廃水W中の溶存酸素量に基づき、溶存酸素量が一定の値となるように反応槽10に供給する空気量を制御する(溶存酸素量制御)。この溶存酸素量制御の場合、反応槽10に対し直列に嫌気槽や無酸素槽を接続し、反応槽10で硝化処理した後の廃水Wを脱窒処理してもよい。
【0037】
また、空気供給量制御部40は、硝酸計43及びアンモニア計44の代わりに、水質測定部として、反応槽10内の廃水Wの流入量を計測する流量計を有していてもよい。この場合、空気供給量制御部40は、流量計が測定した反応槽10内への廃水W中の流入量に基づき、その量の廃水Wを目標濃度とするために反応槽10に供給する空気量を制御する(流入水量制御)。この流入量制御の場合、反応槽10に対し直列に嫌気槽や無酸素槽を接続し、反応槽10で硝化処理した後の廃水Wを脱窒処理してもよい。このように、廃水処理システム1は、水質測定部の測定結果に基づき反応槽10に供給する空気量を制御するものであれば、以上説明した同時硝化脱窒制御、溶存酸素量制御、流入水量制御以外の任意の空気量制御を行ってもよい。また、廃水処理システム1は、異なる処理を行う系列(例えば、同時硝化脱窒制御を行う系列と溶存酸素量制御を行う系列)を区分して、反応槽10毎に各処理のいずれか(例えば、同時硝化脱窒制御をと溶存酸素量制御を行う系列とのいずれか)を行わせてもよい。
【0038】
(制御部の構成)
次に、空気供給量制御部40が有する制御部42について説明する。
図2は、本実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。制御部42は、例えばコンピュータなどの演算装置である。
図2に示すように、制御部42は、水質測定結果取得部70と、必要空気量取得部72と、目標管内圧算出部74と、送風制御部76と、導入空気制御部78とを有する。
【0039】
水質測定結果取得部70は、硝酸計43及びアンモニア計44から、反応槽10内の廃水Wの状態、すなわち廃水Wの硝酸濃度及びアンモニア濃度の測定結果を取得する。なお、水質計測部が溶存酸素計である場合、水質測定結果取得部70は、廃水Wの状態として、反応槽10内の溶存酸素量を取得する。また、水質計測部が流量計である場合、水質測定結果取得部70は、廃水Wの状態として、反応槽10内に流入した廃水Wの量を取得する。すなわち、反応槽10内の廃水Wの状態とは、水質計測部が計測した計測対象である。言い換えれば、水質計測部は、廃水Wの状態として、反応槽10内の廃水Wの硝酸濃度、アンモニア濃度、溶存酸素量、及び流入量の少なくともいずれか一つを計測するということができる。
【0040】
必要空気量取得部72は、水質測定結果取得部70が取得した廃水Wの状態の測定結果に基づき、反応槽10内の廃水Wの水質を所定の目標水質にするための必要空気量の、全反応槽10における総量である総必要空気量を取得する。具体的には、必要空気量取得部72は、関係記憶部82と、必要空気量算出部84とを有する。なお、ここでいう水質とは、廃水Wに含まれる所定の成分の濃度、又は量のことをいい、本実施形態の例では廃水Wの硝酸濃度及びアンモニア濃度である。また、水質は、例えば廃水Wの溶存酸素量であってもよい。
【0041】
関係記憶部82は、水質空気量関係を記憶する。水質空気量関係とは、反応槽10に供給される空気量と、その量の空気が供給された場合の反応槽10内の水質の変化量との関係である。関係記憶部82は、反応槽10内の水質の変化が、反応槽10に供給される空気量の変化に対して遅れる一次遅れ系として、水質空気量関係を記憶している。以下、具体的に説明する。
【0042】
図3は、水質空気量関係を説明するためのグラフである。
図3は、反応槽10に空気を供給した場合における、アンモニア濃度の変化量の一例を示すグラフである。
図3の横軸は時間を示し、縦軸の左側は反応槽10に供給する供給空気量を示し、縦軸の右側は反応槽10内の廃水Wのアンモニア濃度を示す。
図3の線分L1は、時間毎の供給空気量を示す。線分L2は、線分L1のように供給空気量が変化した場合に、水質空気量関係に従ってアンモニア濃度が変化した場合の時間毎のアンモニア濃度を示している。
【0043】
線分L1に示すように、
図3の例では、時刻t
1において、供給空気量をM
1からM
2に増加させている。線分L2に示すように、水質空気量関係に従った場合、アンモニア濃度は、時刻t
1から遅れた時刻t
2までは濃度P
1のままであり、時刻t
2からアンモニア濃度が低下し始め、時刻t
3まで一定の速度でアンモニア濃度が低下し、時刻t
3からアンモニア濃度の低下速度が低下し、時刻t
4において濃度P
2に達して、濃度P
2のまま収束する。ここで、供給空気量をM
1からM
2に変化させた場合の供給空気量の変化値を、単位あたりの供給空気の変化量(例えば空気の変化量が1m
3)とする。そして、この場合におけるアンモニア濃度P
1からP
2への濃度の変化量、すなわち供給空気量を単位量だけ変化させた場合の収束後の水質の変化量を、Kとする。そして、時刻t
1からt
2までの間の時間、すなわちむだ時間をLsとする。そして、時刻t
2からt
3までの間の時間、すなわち一次遅れ時間をTsとする。そして、アンモニア濃度の、供給空気量と時間とに関する伝達関数をyとすると、水質空気量関係は、次の式(11)に示すものとなる。
【0044】
y=(K・e
−Ls)/(1+Ts) ・・・(11)
【0045】
関係記憶部82は、予め計測されたK、Ls、Tsの値を上記式(11)に当てはめた水質空気量関係を記憶している。関係記憶部82は、例えば、時刻t
2からt
4までの間の時間の検出結果に基づき、その検出した時間の所定の割合(ここでは63%)を、時刻t
2からt
3までの間の時間であるTsとして記憶する。この例ではアンモニア濃度と供給空気量との関係について説明したが、それぞれK、Ls、Tsの値を予め計測していれば、水質空気量関係は、硝酸濃度と供給空気量との関係、溶存酸素量と供給空気量との関係など、各水質と供給空気量との関係に対しても適用できる。本実施形態における関係記憶部82は、アンモニア濃度と供給空気量との関係、及び硝酸濃度と供給空気量との関係のそれぞれについて、異なる水質空気量関係を記憶している。
【0046】
図2に示す必要空気量算出部84は、関係記憶部82から、水質空気量関係を読み出す。そして、必要空気量算出部84は、予め定められた反応槽10内の廃水Wの目標水質、ここでは目標のアンモニア濃度と目標の硝酸濃度との値である目標濃度を取得する。この目標濃度は、予め設定された一定の数値範囲である。例えば、硝酸濃度における目標濃度は、5.0mg以下の予め定められた数値範囲である。また、例えば、アンモニア濃度における目標濃度は、1.0mg/L以上5.0mg/L以下、より好適には1.0mg/L以上2.0mg/L以下である。必要空気量算出部84は、水質空気量関係と、目標濃度と、水質測定結果取得部70が取得した現在の廃水Wの硝酸濃度及びアンモニア濃度とに基づき、反応槽10の必要空気量を算出する。必要空気量算出部84は、廃水Wの硝酸濃度がその目標濃度となり、かつ、廃水Wのアンモニア濃度がその目標濃度となるように、反応槽10の必要空気量を算出する。必要空気量とは、反応槽の水質を所定の目標水質にするために、すなわち反応槽内の廃水Wのアンモニア濃度と硝酸濃度との双方を、目標濃度とするために必要な空気量であり、絶対値として算出されるものである。
【0047】
具体的には、必要空気量算出部84は、目標濃度と水質測定結果取得部70が算出した濃度との差分である差分濃度を算出し、廃水Wのアンモニア濃度がその目標濃度側に差分濃度だけ変化し、かつ、廃水Wの硝酸濃度がその目標濃度側に差分濃度だけ変化するように、必要空気量を算出する。従って、必要空気量は、差分濃度の値に従って変化するということができる。例えば、アンモニア濃度を考慮した場合、必要空気量算出部84は、算出したアンモニア濃度が目標濃度より低い場合、差分濃度が大きくなるほど、すなわち現在のアンモニア濃度が小さくなるほど、硝化処理が進みすぎているとして、必要空気量を低くする。必要空気量算出部84は、算出したアンモニア濃度が目標濃度より高い場合、差分濃度が大きくなるほど、すなわち現在のアンモニア濃度が高くなるほど、硝化処理が十分でないとして、必要空気量を高くする。また、硝酸濃度を考慮した場合、必要空気量算出部84は、算出した硝酸濃度が目標濃度より低い場合、差分濃度が大きくなるほど、すなわち現在の硝酸濃度が小さくなるほど、硝化処理が十分でないとして、必要空気量を高くする。必要空気量算出部84は、算出した硝酸濃度が目標濃度より高い場合、差分濃度が大きくなるほど、すなわち現在の硝酸濃度が高くなるほど、脱窒処理が十分でないとして、必要空気量を低くする。
【0048】
必要空気量算出部84は、反応槽10の全てについて、必要空気量を算出し、その合計値を総必要空気量として算出する。必要空気量は、現在の反応槽10内の廃水Wの状態、すなわち硝酸濃度及びアンモニア濃度に基づき変化するため、総必要空気量も、同様に現在の反応槽10内の廃水Wの状態に基づき変化する。
【0049】
なお、上述の溶存酸素量制御を行う場合、必要空気量算出部84は、溶存酸素量と供給空気量との関係を示す水質空気量関係を読み出し、水質測定結果取得部70が取得した現在の廃水Wの溶存酸素量に基づき、廃水Wが所定の目標水質(目標溶存酸素量)となるように、反応槽10の必要空気量を算出する。また、上述の流入水量制御を行う場合、必要空気量算出部84は、目標水質とするための必要空気量を、反応槽10への廃水Wの流入量に応じて算出する。必要空気量算出部84は、目標水質とするための必要空気量が、反応槽10への廃水Wの流入量に応じた関係を有するとして、その関係を記憶しておき、水質測定結果取得部70が取得した廃水Wの流入量に基づき、必要空気量を算出する。
【0050】
図2に示す目標管内圧算出部74は、総必要空気量の値に基づき、目標管内圧を算出する。目標管内圧は、総必要空気量を供給するために必要な送風管内における空気の圧力である。圧力Pと流量Qとは、以下の式(12)のような関係式が成り立つ。
【0051】
Q=C・A・(2・P/ρ)
0.5 ・・・(12)
【0052】
式(12)中のCは係数であり、Aは流路面積であり、ρは流体密度である。
【0053】
目標管内圧算出部74は、式(12)に基づき、流量Qを総必要空気量とした場合の目標管内圧(圧力P)を算出する。
【0054】
図4は、総必要空気量と目標管内圧との関係の一例を示すグラフである。
図4の横軸は総必要空気量で、縦軸は目標管内圧である。
図4に示すように、目標管内圧は、総必要空気量が減少するほど低くなり、総必要空気量が増加するほど大きくなる。このように、目標管内圧は、総必要空気量の変化、すなわち現在の反応槽10内の廃水Wの状態に応じて変化する。すなわち、目標管内圧は、例えば負荷が小さかったり、硝化処理が進み過ぎていたりするなど総必要空気量が少ない場合に、低くなる。さらに言えば、
図4に示すように、目標管内圧の減少率は、総必要空気量が高い場合ほど大きくなる。
【0055】
図2に示す送風制御部76は、送風管内における圧力が目標管内圧となるように、送風ユニット20からの空気供給を制御する。具体的には、送風制御部76は、母管内圧測定部47が測定した母管32内の空気圧の値を取得しつつ、母管32内の空気圧が目標管内圧となるように、送風ユニット20からの空気供給量を制御する。
【0056】
送風制御部76は、送風機22の運転する台数、送風機22のインレットベーンの開度、及び羽根部の回転数を制御することで送風機22から吐き出す空気量を調整して、母管32内の空気圧を目標管内圧とする。送風制御部76は、目標管内圧が現在の管内圧よりも高い場合は、インレットベーンの開度を高くするか、羽根部の回転数を高くするか、運転台数を増加させて、吐出空気量を増加させる。送風制御部76は、目標管内圧が現在の管内圧よりも低い場合は、インレットベーンの開度を低くするか、羽根部の回転数を低くするか、運転台数を減少させて、吐出空気量を減少させる。なお、送風制御部76は、送風機22の運転する台数、送風機22のインレットベーンの開度、及び羽根部の回転数の少なくともいずれか一つを制御すればよい。
【0057】
導入空気制御部78は、各支管空気量測定部48が測定した各支管34に供給される空気量の値を取得する。導入空気制御部78は、必要空気量と取得した支管34での空気量とに基づき、支管34から反応槽10への空気供給量が必要空気量となるように、導入弁36の開度を調整する。導入空気制御部78は、支管34での空気量が必要空気量より大きい場合、導入弁36の開度を低くし(開口面積を小さくし)、反応槽10へ流入する空気量が大きくなり過ぎないようにする。また、導入空気制御部78は、必要空気量が変動して必要空気量が増加した場合、導入弁36の開度を高くし(開口面積を大きくし)、必要空気量が減少した場合、導入弁の開度を低くする。なお、本実施形態においては、送風制御部76が送風管30内の管内圧を必要空気量に応じて変化させ、必要空気量に追従した空気量となるように空気を供給している。従って、導入空気制御部78は、目標管内圧を一定にした場合よりも、導入弁36の開度の調整量が低くなる。言い換えれば、送風管30には、常に必要最低限に近い分だけの空気量が供給されているため、導入空気制御部78は、導入弁36の開度が低くなりすぎない範囲内で、導入弁36の開度を制御することができる。
【0058】
(空気供給量制御部の制御処理)
次に、空気供給量制御部40の制御処理についてフローチャートを用いて説明する。
図5は、空気供給量制御部による反応槽への空気供給量の制御を説明するフローチャートである。
図5に示すように、空気供給量制御部40は、最初に、硝酸計43及びアンモニア計44により、各反応槽10内の廃水Wの硝酸濃度及びアンモニア濃度を計測する(ステップS10)。
【0059】
硝酸濃度及びアンモニア濃度を計測した後、空気供給量制御部40は、必要空気量算出部84により、水質空気量関係と計測した濃度と目標濃度とに基づき、各反応槽10の必要空気量を算出し(ステップS12)、各反応槽10の必要空気量を合計して、総必要空気量を算出する(ステップS14)。具体的には、必要空気量算出部84は、関係記憶部82からアンモニア濃度と供給空気量との関係、及び硝酸濃度と供給空気量との関係のそれぞれについて、水質空気量関係を読み出す。必要空気量算出部84は、アンモニア濃度と硝酸濃度とのそれぞれについての目標濃度の値を取得する。廃水Wの硝酸濃度がその目標濃度となり、かつ、廃水Wのアンモニア濃度がその目標濃度となるように、反応槽10の必要空気量を算出する。必要空気量算出部84は、全ての反応槽10について、必要空気量を算出し、その必要空気量を合計して総必要空気量を算出する。
【0060】
必要空気量を算出した後、空気供給量制御部40は、目標管内圧算出部74により、総必要空気量から目標管内圧を算出し(ステップS16)、送風制御部76により、その目標管内圧となるように、送風機22の空気供給を制御する(ステップS18)。目標管内圧は、総必要空気量を供給するために必要な送風管内における空気の圧力である。送風制御部76は、送風機22の運転する台数、送風機22のインレットベーンの開度、及び羽根部の回転数を制御して、送風機22から吐き出す空気量を調整して、母管32内の空気圧を目標管内圧とする。具体的な送風制御部76の制御フローは後述する。
【0061】
また、必要空気量を算出した後、空気供給量制御部40は、導入空気制御部78により、各反応槽10に必要空気量分の空気が供給されるように、導入弁36の開度を調整する(ステップS20)。ステップS18及びステップS20の後、ステップS22に移り、処理を終了しない場合(ステップS22:No)、ステップS10に戻り、同様の処理を繰り返す。すなわち、空気供給量制御部40は、所定の時間毎に各反応槽10内の廃水Wの硝酸濃度及びアンモニア濃度を計測し、その計測結果に基づき必要空気量及び目標管内圧を更新して、その更新した目標管内圧になるように、送風機22から吐出される空気量を逐次制御する。また、空気供給量制御部40は、更新された必要空気量分の空気が反応槽10に供給されるように、導入弁36の開度を逐次制御する。また、ステップS22で処理を終了する場合(ステップS22;Yes)、この処理を終了する。
【0062】
なお、上述の溶存酸素量制御の場合、ステップS10で反応槽10内の溶存酸素量を算出し、ステップS12で溶存酸素量が目標量(目標水質)となるように必要空気量を算出する。その他の処理は、上記説明と同様である。
【0063】
次に、送風制御部76による送風機22の制御について説明する。
図6は、送風機制御部による送風機の制御を説明するフローチャートである。
図7は、送風機による送風機の制御を説明するグラフである。
図6に示すように、送風制御部76は、最初に、目標管内圧算出部74から目標管内圧の値を取得する(ステップS30)。
【0064】
送風制御部76は、送風機22の最大出力における管内圧が、目標管内圧以上であるかを判断する(ステップS32)。送風機22の最大出力とは、現在の送風機22の運転台数において、全ての送風機22の出力を最大とした場合の出力である。さらに言えば、送風機22のインレットベーンの開度を最大にし、かつ、羽根部の回転数を最大にした場合の出力が、最大出力となる。
図7の横軸は、送風機22の出力値であり、縦軸は送風管30の管内圧である。
図7に示すように、送風機22が一台稼働している場合の管内圧は、最大出力において管内圧Pr
1になる。送風機22が二台稼働している場合の管内圧は、例えば定格出力において管内圧Pr
2まで上昇し、さらに最大出力に上げるに従って、管内圧Pr
3まで上昇する。送風機22が三台稼働している場合の管内圧は、例えば定格出力において管内圧Pr
4まで上昇し、さらに最大出力に上げるに従って、管内圧Pr
5まで上昇する。送風機22が四台稼働している場合の管内圧は、例えば定格出力において管内圧Pr
6まで上昇し、最大出力に上げるに従ってさらに上昇する。
図7の例では、目標管内圧が、管内圧Pr
3と管内圧Pr
4との間の値であった場合を説明している。また、余裕管内圧は、目標管内圧より大きい値であり、
図7の例では、管内圧Pr
5と管内圧Pr
6との間の値であった場合を説明している。
【0065】
最大出力における管内圧が、目標管内圧以上でない(ステップS32;No)、すなわち目標管内圧より低い場合、送風制御部76は、送風機22の稼働台数を増加させる(ステップS34)。
図7の例では、送風機22を二台稼働している場合の最大出力における管内圧は、目標管内圧より低くなり、この場合、送風制御部76は、稼働台数を三台にする。稼働台数を増加させたら、ステップS32に戻り、増加した稼働台数における送風機22の最大出力が、目標管内圧以上であるかを判断する。
【0066】
最大出力における管内圧が、目標管内圧以上である場合(ステップS32;Yes)、送風制御部76は、送風機22の最大出力における管内圧が、余裕管内圧以下であるかを判断する(ステップS36)。最大出力における管内圧が余裕管内圧以下である場合(ステップS36;Yes)、送風制御部76は、稼働台数をそのままにして、目標管内圧となるように、稼働している送風機22の出力を制御する(ステップS38)。
図7の例では、送風機22を三台稼働している場合の最大出力における管内圧は、目標管内圧以上であり、余裕管内圧以下である。
図7の例では、送風機22を三台稼働している場合、インレットベーンの開度と羽根部の回転数を制御することで出力を定格出力より小さくして、管内圧が目標管内圧となるようにする。
【0067】
最大出力における管内圧が余裕管内圧以下でない(ステップS36;No)、すなわち管内圧が余裕管内圧より高い場合、送風機22の稼働台数を減少させる(ステップS40)。
図7の例では、送風機22を四台稼働している場合の最大出力における管内圧は、余裕管内圧より低くなり、この場合、送風制御部76は、稼働台数を三台にする。稼働台数を減少させたら、ステップS38に移り、目標管内圧となるように、稼働している送風機22の出力を制御する。ステップS38の後はステップS42に進み、処理を終了しない場合(ステップS42;No)、ステップS30に戻り、更新された目標管内圧の情報を取得し、その目標管内圧になるように、同様の処理を繰り返す。また、処理を終了する場合(ステップS42;Yes)、この処理を終了する。
【0068】
以上説明した廃水処理システム1は、廃水Wに生物処理を行う複数の反応槽10と、複数の反応槽10に接続される管である送風管30と、送風管30を介して、複数の反応槽10に生物処理を行うための空気を供給する送風ユニット20と、反応槽10への空気供給量を制御する空気供給量制御部40と、を有する。空気供給量制御部40は、水質測定部(本実施形態では硝酸計43及びアンモニア計44)、必要空気量取得部72、目標管内圧算出部74、及び送風制御部76を有する。硝酸計43及びアンモニア計44は、反応槽10に設けられて、反応槽10内の廃水Wの状態(本実施形態では廃水Wの硝酸濃度及びアンモニア濃度)を測定する。必要空気量取得部72は、硝酸計43及びアンモニア計44の測定結果に基づき、反応槽10内の廃水Wを所定の目標水質(本実施形態では目標濃度)にするための必要空気量の、全反応槽10における総量である総必要空気量を取得する。目標管内圧算出部74は、総必要空気量を供給するために必要な送風管30内における空気の圧力である目標管内圧を算出する。送風制御部76は、送風管30内における圧力が目標管内圧となるように、送風ユニット20からの空気供給を制御する。この目標管内圧は、反応槽10内の廃水Wの状態に応じて変化する。
【0069】
この廃水処理システム1は、現在の廃水Wの状態を測定し、廃水Wを目標水質にするために必要な総必要空気量を算出し、その必要空気量を供給するために必要な目標管内圧となるように、送風ユニット20を制御している。すなわち、廃水処理システム1は、現在の水質に基づき、送風ユニット20に対し、生物処理のために必要最小限の空気を供給するように制御している。従って、廃水処理システム1は、生物処理に不要な空気を供給することを抑制して、送風に要するエネルギー消費を抑制することができる。廃水処理システム1においては、送風ユニット20によって送風を行うことが消費電力の多くを占めているため、この送風量を抑制することで、消費電力の削減を効果的に行うことができる。
【0070】
また、目標管内圧算出部74は、総必要空気量が増加した場合に目標管内圧を高くし、総必要空気量が減少した場合に目標管内圧を低くする。この廃水処理システム1は、総必要空気量が増加した場合、例えば負荷が上昇した場合に目標管内圧を高くして確実に必要な量の空気を供給しつつ、総必要空気量が減少した場合、例えば負荷が低下した場合に目標管内圧を低くすることで、確実にエネルギー消費を抑制することが可能となる。
【0071】
また、送風管30は、送風ユニット20に接続される母管32と、母管32から分岐して複数の反応槽10にそれぞれ接続される複数の支管34と、支管34に設けられた導入弁36と、を有する。そして、空気供給量制御部40は、必要空気量と支管34への空気供給量とに基づき、反応槽10への空気供給量が必要空気量となるように、導入弁36の開度を調整する導入空気制御部78を有する。この廃水処理システム1は、送風制御部76によって生物処理に不要な空気を供給することを抑制しつつ、導入空気制御部78によって必要な量の空気を反応槽10に適切に供給することができる。
【0072】
送風制御部76は、送風機22の稼働台数、インレットベーンの開度、及び羽根部の回転数の少なくともいずれか一つを制御する。従って、この廃水処理システム1は、送風管30の管内圧を適切に目標管内圧とすることができる。
【0073】
また、水質測定部は、反応槽10内の廃水Wの状態として、反応槽10内の廃水Wの硝酸性窒素濃度、アンモニア性窒素濃度、溶存酸素量、及び前記反応槽内への廃水の流入量の少なくともいずれか一つを測定する。従って、この廃水処理システム1は、適切に必要空気量を算出することができる。
【0074】
また、水質測定部は、反応槽10内の廃水Wの水質として、廃水Wの硝酸性窒素濃度、アンモニア性窒素濃度及び溶存酸素量の少なくともいずれか一つを測定し、必要空気量取得部72は、廃水Wの水質が目標水質となるように、必要空気量を算出する。この廃水処理システム1は、水質を測定し、その水質が目標の値となるように必要空気量を算出するため、必要空気量をより正確に算出することができる。なお、廃水処理システム1は、同時硝化脱窒処理を行ってもよい。同時硝化脱窒処理は、好気処理である硝化処理及び嫌気処理である脱窒処理を同じ槽内で行うため、消費酸素量の変動が大きく、必要空気量の変動も大きくなる。必要空気量の変動が大きくなるということは、必要空気量が低くなることが多くなるため、エネルギー消費の抑制をより大きく行うことができる。
【0075】
また、必要空気量取得部72は、関係記憶部82と必要空気量算出部84とを有する。関係記憶部82は、反応槽10に供給される空気量とその量の空気が供給された場合の廃水Wの水質(ここでは硝酸濃度及びアンモニア濃度)の変化量との関係である水質空気量関係を記憶する。必要空気量算出部84は、水質空気量関係と、水質測定部による水質測定結果と目標水質(ここでは目標濃度)とに基づき、廃水Wの水質を目標水質に変化させるために必要な空気量を、必要空気量として算出する。必要空気量算出部84は、水質空気量関係に基づき必要空気量を算出するため、より正確に必要空気量を算出することができる。
【0076】
また、関係記憶部82は、廃水Wの水質の変化が反応槽10内に供給される空気量の変化に対して遅れる一次遅れ系として、水質空気量関係を記憶する。必要空気量算出部84は、所定の時間の経過毎の水質測定結果に基づき、必要空気量を更新する。この廃水処理システム1は、一次遅れ系として必要空気量を算出しているため、時間毎の水質変化量を予測することができる。さらに、廃水処理システム1は、必要空気量の算出を繰り返して、算出結果を更新するため、最新の測定結果に基づき、空気供給量の制御をより正確に行うことができる。すなわち、廃水処理システム1は、フィードフォワード制御を行うことで、空気供給量の制御をより正確に行うことができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。