特許第6677543号(P6677543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677543
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】格納式ルーフ付き自動車の車体構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/40 20160101AFI20200330BHJP
   B60J 10/90 20160101ALI20200330BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20200330BHJP
   B60J 7/12 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   B60J10/40
   B60J10/90
   B60J10/84
   B60J7/12 G
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-54767(P2016-54767)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-165357(P2017-165357A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】篠原 三和
(72)【発明者】
【氏名】西浦 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】小田 廣
(72)【発明者】
【氏名】岡山 彰夫
【審査官】 高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−302149(JP,A)
【文献】 実開平02−078418(JP,U)
【文献】 特開平10−119586(JP,A)
【文献】 実開昭64−007018(JP,U)
【文献】 特開2002−2403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納式ルーフ付き自動車の車体構造であって、
ルーフと別体で車体側に取付けられるピラーを設け、
上記ピラーにピラー側ウエザストリップが設けられると共に、ピラー下部の車体側に車体側ウエザストリップが設けられ、
上記ピラー側ウエザストリップの下端部に、上記車体側ウエザストリップの車幅方向内側から係合する係合部が設けられ、
上記車体側ウエザストリップには、上記ピラー側ウエザストリップの上記係合部を車幅方向内側かつ下側に案内するガイド部と、該ガイド部の下部に位置する被係合部と、上記ピラー側ウエザストリップの下端部に設けた垂下片に車幅方向外側から当接する壁部と、が設けられたことを特徴とする
格納式ルーフ付き自動車の車体構造。
【請求項2】
上記ピラーは、該ピラーに沿って上下方向に延びるウエザストリップ嵌合溝を備えた略同一断面とされ、
上記ピラー側ウエザストリップは上記ウエザストリップ嵌合溝に嵌合する上下方向中間部と、
上記ピラーを上方から覆いルーフ側のウエザストリップと嵌合される上部と、を備えた
請求項1に記載の格納式ルーフ付き自動車の車体構造。
【請求項3】
上記ピラーが格納ルーフモジュールの車体取付け部材に取付けられた
請求項1または2に記載の格納式ルーフ付き自動車の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくともフロントルーフとリヤルーフとを有し、これら各ルーフで車室上部を覆うルーフ全閉位置と、これら各ルーフがシート後部の格納空間に格納される格納位置(ルーフ全開位置)とに開閉するような格納式ルーフ付き自動車の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の格納式ルーフ付き自動車の車体構造において、フロントルーフとリヤルーフとで車室上部を覆った場合、特にリヤルーフを支持する目的でピラーが必要となる。
【0003】
このピラーをルーフと別体としつつ、当該ピラーをルーフ側ユニットとして形成した場合、ルーフを吊下げて車体に組付ける時、上述のピラーが内寄りして、該ピラーの組付けが煩雑となるので、この点において改善の余地があった。
【0004】
ところで、特許文献1には、車両前部から車両後部にかけて高さが漸次低くなる左右両側部を上面部で連結したリヤウインドと、このリヤウインドの前端部に設けられた正面視で門形状のフレーム部材と、を備えたデッキカバー構造が開示されているが、該特許文献1には、デッキカバーと別体のピラーについては、全く開示されておらず、その示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5612737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、ルーフと別体のピラーの組付け性を確保すると共に、シール性を確保することができる格納式ルーフ付き自動車の車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による格納式ルーフ付き自動車の車体構造は、ルーフと別体で車体側に取付けられるピラーを設け、上記ピラーにピラー側ウエザストリップが設けられると共に、ピラー下部の車体側に車体側ウエザストリップが設けられ、上記ピラー側ウエザストリップの下端部に、上記車体側ウエザストリップの車幅方向内側から係合する係合部が設けられ、上記車体側ウエザストリップには、上記ピラー側ウエザストリップの上記係合部を車幅方向内側かつ下側に案内するガイド部と、該ガイド部の下部に位置する被係合部と、上記ピラー側ウエザストリップの下端部に設けた垂下片に車幅方向外側から当接する壁部と、が設けられたものである。
【0008】
上記構成によれば、ルーフと別体の上記ピラーは車体側に取付けられるので、その組付け性を確保することができる。
またピラー側ウエザストリップの係合部は、車体側ウエザストリップのガイド部で、車幅方向内側かつ下側に案内された後に、車体側ウエザストリップの被係合部に係合して位置決めされると共に、ピラー側ウエザストリップの下端部に設けた垂下片には、上記壁部が車幅方向外側から当接するので、シール性を確保することができる。
つまり、ルーフと別体のピラーのシール性確保と、組付け性確保との両立を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記ピラーは、該ピラーに沿って上下方向に延びるウエザストリップ嵌合溝を備えた略同一断面とされ、上記ピラー側ウエザストリップは上記ウエザストリップ嵌合溝に嵌合する上下方向中間部と、上記ピラーを上方から覆いルーフ側のウエザストリップと嵌合される上部と、を備えたものである。
【0010】
上記構成によれば、ピラー側ウエザストリップの上部は、上記ピラーと上述のルーフ側のウエザストリップとの両者で挟持されるので、該ピラー側ウエザストリップによるシール性を確保することができる。
また、上述のピラーは略同一断面とされているので、該ピラーを押出し成形品またはロール成形品にて構成することができ、ピラー成形性をも確保することができる。
つまり、上記構成によれば、シール性の確保とピラー成形性の確保との両立を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記ピラーが格納ルーフモジュールの車体取付け部材に取付けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、ルーフを吊下げて車体に組付ける時、ピラーが若干内寄りあるいは外寄りしても、車体側ウエザストリップにて案内することができ、格納ルーフモジュールの不安定さを補償できる。この結果、ピラーの格納ルーフとのモジュール化と組付け性とを向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ルーフと別体のピラーの組付け性を確保することができると共に、シール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の車体構造を備えた格納式ルーフ付き自動車の外観側面図
図2図1の要部拡大側面図
図3】格納式ルーフのリンク支持構造を示す側面図
図4】複数のルーフ部材のシール構造を示す側面図
図5】自動車のシール構造を示す側面図
図6】シール構造のみを抽出して示す平面図
図7】ピラーの取付け構造を示す図3の要部拡大図
図8図2のS−S線矢視断面図
図9】一部を断面して示す車体側ウエザストリップの正面図
図10】(a)は図2のA−A線矢視断面図、(b)は図2のB−B線矢視断面図、(c)は図2のC−C線矢視断面図、(d)は図2のD−D線矢視断面図
図11】(a)は図2のE−E線矢視断面図、(b)は図2のO−O線矢視断面図、(c)は図2のP−P線矢視断面図、(d)は図2のQ−Q線矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
ルーフと別体のピラーの組付け性を確保すると共に、シール性を確保するという目的を、格納式ルーフ付き自動車の車体構造において、ルーフと別体で車体側に取付けられるピラーを設け、上記ピラーにピラー側ウエザストリップが設けられると共に、ピラー下部の車体側に車体側ウエザストリップが設けられ、上記ピラー側ウエザストリップの下端に、上記車体側ウエザストリップの車幅方向内側から係合する係合部が設けられ、上記車体側ウエザストリップには、上記ピラー側ウエザストリップの上記係合部を車幅方向内側かつ下側に案内するガイド部と、該ガイド部の下部に位置する被係合部と、上記ピラー側ウエザストリップの下端部に設けた垂下片に車幅方向外側から当接する壁部と、が設けられるという構成にて実現した。
【実施例】
【0016】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は格納式ルーフ付き自動車の車体構造を示し、図1は当該車体構造を備えた格納式ルーフ付き自動車の外観側面図、図2図1の要部拡大側面図である。なお、本実施例のシール構造および車体構造は、左右対称または左右略対称であるから、図面では車両右側の構造のみを示している。
【0017】
図1図2において、左右一対のフロントピラー1,1を設け、これら左右一対のフロントピラー1,1上端相互間を車幅方向に連結するフロントヘッダ2を設けている。そして、上述の左右一対のフロントピラー1,1とフロントヘッダ2とで囲繞された部位には、フロントウインドガラス3を取付けている。
【0018】
上述のフロントピラー1および図示しないヒンジピラーの後部には、乗員乗降用のドア開口部4と連続するように車室5を形成しており、上述のドア開口部4を、ドアウインドガラス6を備えたサイドドア7で開閉すべく構成している。
【0019】
また、上述の車室5の上方は、フロントルーフ8と、リヤルーフ9と、リヤウインドガラス10(図3参照)を有するガラスユニット11と、ガラスユニット11の開口を有するデッキカバー12とで開閉可能に覆っている。
【0020】
上述のデッキカバー12のサイド部には、クオータウインドパネル配設部13を設け、このクオータウインドパネル配設部13の車幅方向外側にはクオータウインドパネル14を一体的に取付けている。
また、上述の車室5に設けられるドライバーズシートおよびパッセンジャーズシート(図示せず)の直後における車体内部には、フロントルーフ8、リヤルーフ9およびガラスユニット11を格納するルーフ格納部15が形成されている。
図1図2において、16はサイドシル、17はリヤフェンダである。
【0021】
図3は格納式ルーフのリンク支持構造を車幅方向内側から見た状態で示す側面図である。
上述のフロントルーフ8はルーフアウタパネル8aとルーフインナパネル8bとを備えており、リヤルーフ9もルーフアウタパネル9aとルーフインナパネル9bとを備えている。同様に、ガラスユニット11はフロントパネル11aとリヤパネル11bとを備えており、デッキカバー12はアウタパネル12aとインナパネル12bとを備えている。
【0022】
また、上述のフロントルーフ8は、各リンクF1,F2,F3から成るフロントルーフ支持リンク機構F0で開閉可能に支持されており、上述のリヤルーフ9は各リンクR1,R2を側面視で略T字状に一体連結したリヤルーフ支持リンクR0で開閉可能に支持されており、ガラスユニット11は各リンクU1,U2とブラケット18とから成るガラスユニット支持リンク機構U0で開閉可能に支持されており、デッキカバー12は、一対のリンクD1,D2と車体側に固定された固定ブラケット19とインナパネル12b下部に固定された可動ブラケット20とから成るデッキカバー支持リンク機構D0で開閉可能に支持されている。
さらに、フロントルーフ支持リンク機構F0のリンクF2と、ガラスユニット支持リンク機構U0のリンクU1とは、連結リンクC1で連結されている。
【0023】
また、図3に示すように、車体側壁には複数の取付け部材21…を用いてベースブラケット22を取付けており、このベースブラケット22の前上部22aには、複数の取付け部材23,23を用いて車体側ピラー部であるピラー24を取付けている。このピラー24はルーフ(フロントルーフ8、リヤルーフ9、ガラスユニット11、デッキカバー12参照)と別体で車体側に取付けられたものである。
【0024】
ここで、上述のフロントルーフ8、リヤルーフ9、ガラスユニット11、リンクR0および各リンク機構F0,U0で格納ルーフモジュールM0が形成されており、上述のピラー24は格納ルーフモジュールM0の車体取付け部材であるベースブラケット22に取付けられている。
【0025】
図4は複数のルーフ部材のシール構造を示す側面図である。
【0026】
図4に示すように、第1ルーフ部材としてのフロントルーフ8の後端と、第2ルーフ部材としてのリヤルーフ9の前端との間には隙間g1が形成されている。また、第2ルーフ部材としてのリヤルーフ9の後端と、第3ルーフ部材としてのデッキカバー12との間には隙間g2が形成されている。さらに、デッキカバー12とガラスユニット11との間にも隙間g3が形成されている。
上述の隙間g1は前部ルーフ間ウエザストリップ30でシールされ、隙間g2は後部ルーフ間ウエザストリップ31でシールされ、隙間g3は環状ウエザストリップ32(図6参照)でシールされる。
【0027】
図4に示すように、前部ルーフ間ウエザストリップ30は、リヤルーフ9のパネル接合部を把持する基部30aと、中空に形成された前後のルーフ間シール部30b,30cとを一体形成して、ルーフ間シール部30b,30c間に凹溝30dを形成したものである。
同様に、後部ルーフ間ウエザストリップ31は、リヤルーフ9のパネル接合部を把持する基部31aと、中空に形成された前後のルーフ間シール部31b,31cとを一体形成して、ルーフ間シール部31b,31c間に凹溝31dを形成したものである。
【0028】
環状ウエザストリップ32は、ガラスユニット11のパネル接合部を把持する基部32aと、中空に形成された内外周の部材間シール部32b,32cとを一体形成して、内外周の部材間シール部32b,32c間に凹溝32dを形成したものである。
【0029】
図5は自動車のシール構造を示す側面図、図6はシール構造のみを抽出して示す平面図である。
【0030】
図4図6に示すように、前部ルーフ間ウエザストリップ30は、フロントルーフ8とリヤルーフ9との間の隙間g1に対応して車幅方向に延びており、同様に、後部ルーフ間ウエザストリップ31も、リヤルーフ9とデッキカバー12との間の隙間g2に対応して車幅方向に延びている。環状ウエザストリップ32は、デッキカバー12とガラスユニット11との間の環状の隙間g3に対応してループ状に形成されている。
【0031】
図5図6に示すように、第2ルーフ部材としてのリヤルーフ9のルーフサイド部には、ルーフサイドウエザストリップ33を設けている。この実施例では、該ルーフサイドウエザストリップ33は、前部ルーフ間ウエザストリップ30および後部ルーフ間ウエザストリップ31と一体形成または一体的に形成されている。
【0032】
一方で、図5図6に示すように、第1ルーフ部材としてのフロントルーフ8のルーフサイド部には、ルーフサイドウエザストリップ34が設けられている。そして、フロントルーフ8側のルーフサイドウエザストリップ34と、リヤルーフ9側のルーフサイドウエザストリップ33とが、ルーフ全閉時において、車両前後方向に連続するよう構成されている。
【0033】
図7はピラー24の取付け構造を示す図3の要部拡大図、図8図2のS−S線矢視断面図である。
図2図5図8に示すように、上述のピラー24には縦方向ウエザストリップとしてのピラー側ウエザストリップ41を設け、図5に示すように、ピラー24下部の車体側であるドア開口部後辺形成部材4aのベルトライン直下には車体側ウエザストリップ42を取付けている。
【0034】
図7に示すように、ピラー側ウエザストリップ41は上下方向中間部41Aと、ピラー24を上方から覆いルーフ側のウエザストリップであるルーフサイドウエザストリップ33の後部が上方から嵌合される上部41Bとを備えている。
【0035】
図9は一部を断面して示す車体側ウエザストリップ42の正面図である。
図8に示すように、ピラー側ウエザストリップ41の下端部には、車体側ウエザストリップ42の車幅方向内側から係合する係合部41aと、垂下片41bとが一体形成されており、図8図9に示すように、車体側ウエザストリップ42には、上述のピラー側ウエザストリップ41の係合部41aを車幅方向内側かつ下側に案内する傾斜状のガイド部42aと、このガイド部42aの下部に位置する被係合部としての凹部42bと、ピラー側ウエザストリップ41の上記垂下片41bに車幅方向外側から当接する壁部42cとが設けられている。
【0036】
これにより、ピラー側ウエザストリップ41の係合部41aは、車体側ウエザストリップ42のガイド部42aで、車幅方向内側かつ下側に案内された後に、車体側ウエザストリップ42の凹部42bに係合して位置決めされると共に、ピラー側ウエザストリップ41下端部の垂下片41bには、上述の壁部42cが車幅方向外側から当接するので、シール性を確保することができ、ルーフと別体のピラー24のシール性確保と、組付け性確保との両立を図ることができる。特に、格納ルーフモジュールM0を吊下げて車体に組付ける際、有効である。
【0037】
なお、図8において、7aはドアアウタパネル、7bはドアインナパネル、25はドアベルトラインウエザストリップ、26はピラーアウタパネル、27はピラーインナパネルであり、これらピラーアウタパネル26およびピラーインナパネル27は上述のピラー24とは別部材である。
【0038】
また、図5図9に示すように、上述の車体側ウエザストリップ42は互いに離間した複数の取付け孔42d,42dを備えており、これらの取付け孔42d,42dを利用して当該車体側ウエザストリップ42がドア開口部後辺形成部材4aに取付けられる。
【0039】
図10の(a)は図2のA−A線矢視断面図、図10の(b)は図2のB−B線矢視断面図、図10の(c)は図2のC−C線矢視断面図、図10の(d)は図2のD−D線矢視断面図である。
【0040】
また、図11の(a)は図2のE−E線矢視断面図、図11の(b)は図2のO−O線矢視断面図、図11の(c)は図2のP−P線矢視断面図、図11の(d)は図2のQ−Q線矢視断面図である。なお、図10図11においては、デッキカバー12のアウタパネル12aを省略した状態で図示している。
【0041】
ここで、図10において同図(b)はルーフサイドウエザストリップ33前部の断面図であり、同図(c)はルーフサイドウエザストリップ33の前後方向中間部の断面図であり、同図(d)はルーフサイドウエザストリップ33後部の断面図である。
【0042】
図10の(b)において、凹溝30dと連通して車両前後方向に延びる上部凹溝33aを形成すると共に、該凹溝33aの下方において、フロントルーフ側のルーフサイドウエザストリップ34の凹溝(図示せず)と連通する下部凹溝33bを形成している。また、上部凹溝33aの直下には中空形状の上部水路33cを形成し、下部凹溝33bの直下には中空形状の下部水路33dを形成している。
【0043】
これら上下の各水路33c,33dは、上部水路33cが上部凹溝33aの後部と連通され、下部水路33dが下部凹溝33bの後部と連通され、両凹溝33a,33bよりも後方の図10の(c)に示す断面位置では近接し、上下の水路33c,33d間には仕切部33eが形成されている。
【0044】
下部水路33dは図10の(a)に示す孔33fで後述するピラー側ウエザストリップ41の前側の縦流路41gと連通しており、図10の(a)に示す凹溝33mは、結露等のルーフパネル下面側の水を受け止めるもので、孔33gで下部水路33dおよび縦流路41gと連通している。
【0045】
図10の(d)に示すルーフサイドウエザストリップ33の後部位置においては、仕切部33eがなくなり、上部水路33cと下部水路33dとが合流する中空形状の合流水路33hが形成されている。
【0046】
図10の(d)に示すように、合流水路33hの下部には流下孔33iが形成されると共に、図10の(a),(d)に示すように、合流水路33hの車幅方向内側には、凹溝31dと連通し、下端が後述するピラー側ウエザストリップ41の前側の縦流路41gに開放された縦水路33jが形成されている。上述の流下孔33iは、孔33fよりも細く、該孔33fの後方に延びており、流量に対応して有効開口面積が変化するものである。
なお、合流水路33hは、図10の(a)に示すように、その後部が下方に切り欠かれており、後述するピラー側ウエザストリップ41の後側の縦流路41i,41jに連通し、その開口面積は、孔33fおよび流下孔33iよりも大きくされている。
【0047】
図10の(b)(c)(d)に示すように、ルーフサイドウエザストリップ33とピラー側ウエザストリップ41とが対応する位置においては、ピラー側ウエザストリップ41の上端凹部41cにルーフサイドウエザストリップ33の下部が楔状に嵌合されており、ルーフサイドウエザストリップ33の嵌合継目には、他部材としてのドアウインドガラス6とピラー側ウエザストリップ41の外面とに挟まれる位置に設けられることでドアウインドガラス6でピラー側ウエザストリップ41外面に押圧される所定前後幅のリップ33kが形成されている。
これにより、該リップ33kにはドアウインドガラス6が外側から当接して、上記両者33,41の嵌合継目のシール性を高めるよう構成している。
【0048】
図11において、同図(a)はルーフサイドウエザストリップ33とピラー側ウエザストリップ41との嵌合継目部の断面図であり、同図(b)は図11の(a)より若干下部の断面図であり、同図(c)は図11の(b)よりもさらに若干下部におけるピラー24上部位置に相当する断面図であり、同図(d)はピラー24下部位置に相当する断面図である。
【0049】
図11の(c)(d)に示すように、上述のピラー24は当該ピラー24に沿って上下方向に延びる前後のウエザストリップ嵌合溝24a,24bを備えた略同一断面とされている。この実施例では、ピラー24はアルミニウムまたはアルミニウム合金の押出し成形品またはロール成形品にて形成している。
【0050】
図7図8図11の(c)(d)に示すように、ピラー側ウエザストリップ41の上下方向中間部41Aは、上述のウエザストリップ嵌合溝24a,24bに嵌合されている。
【0051】
一方で、図11の(a)〜(c)に示すように、デッキカバー12におけるインナパネル12bにはデッキカバー12側のシール部50がクリップ51を用いて取付けられている。
【0052】
図11の(c)(d)に示すように、ピラー側ウエザストリップ41は車体側ピラー部であるピラー24に支持されており、このピラー側ウエザストリップ41にはデッキカバー12とのシールを行なう中空構造のシール部41dと、サイドドア7のドアウインドガラス6とのシールを行なう中空構造のシール部41eとが形成されており、これらの各シール部41d,41eの内部に縦流路41f,41gが形成されている。ここで、上述のシール部41d,41eは複数の縦流路41f,41gを形成する複数の隔壁でもある。
【0053】
図11の(a)(b)に示すように、上述の縦流路41f,41gはピラー側ウエザストリップ41の上端部において合流し、合流部41hが形成されている。
【0054】
また、図11の(c)(d)に示すように、上述の前後のシール部41d,41e間にはデッキカバー12のシール部50またはクオータウインドパネル配設部13に当接して流路41i,41jを形成する縦リブ41k,41kが設けられている。
この実施例では、上下方向に延びる2条の縦リブ41kを例示したが、この縦リブ41kは1条でもよく、3条以上でもよい。
【0055】
さらに、図10の(a)、図11の(a)に示すように、ルーフサイドウエザストリップ33の後部車幅方向内側には、デッキカバー12側のシール部50の前部車幅方向内側との間をシールする内部中空構造のシール部33lが一体形成されている。
上述のデッキカバー12側のシール部50は、図10図11に示すように、ルーフサイドウエザストリップ33からピラー側ウエザストリップ41の上端部にかけて圧接されている。
【0056】
図5に示すように、上述の前部ルーフ間ウエザストリップ30の水をルーフサイドウエザストリップ33を介して縦方向ウエザストリップであるピラー側ウエザストリップ41の複数の流路41i,41jおよび縦流路41gに分配する第1流路Xと、後部ルーフ間ウエザストリップ31の水をピラー側ウエザストリップ41の複数の縦流路41gに分配する第2流路Yと、ルーフサイドウエザストリップ33に形成されて、フロントルーフ側のルーフサイドウエザストリップ34との接続部等における当該ルーフサイドウエザストリップ33とサイドドア7のドアウインドガラス6との間の浸水および/またはルーフ内面の結露等の水を排水する第3流路Zと、を設けている。
【0057】
ここで、上述の第1流路Xは、図10図11で示した各要素30d,33a,33f,33c,33h,33i,41hを含み、上述の第2流路Yは、同図で示した各要素31d,33j,41hを含み、上述の第3流路Zは、図5で示したフロントルーフ側のルーフサイドウエザストリップ34に形成された流路(図示せず)と図10図11で示した各要素33b,33g,33d,33h,33i,33m,41hを含む。
【0058】
上述の第1、第2、第3の各流路X,Y,Zのうち、特に、第1流路Xからの水はピラー側ウエザストリップ41の複数の流路41i,41jおよび縦流路41gに分配され、また第2流路Yからの水はピラー側ウエザストリップ41の複数の縦流路41gに分配され、これにより、複数の隙間g1,g2(図4参照)からの浸水を干渉なく円滑に流すよう構成したものである。
【0059】
特に、第1、第2の流路X,Yは、独立して複数のピラー側流路入口に対面して連通されており、逆流が起こりにくくされている。
また第3の流路Zは、前方へ延設され、図示しないフロントピラー側の排水路に連結されており、更に水を分散して逆流や漏れを抑制するようにされている。
【0060】
なお、車体側ウエザストリップ42の下方には流下水を受ける樋部材を設け、この樋部材の内底部と連通するホースを設け、該ホースをホイールハウスの下部車外側またはフロアパネルの下部車外側に開口し、流下水を車外に排出するよう構成されている。
【0061】
また、図5において、52はリヤフェンダ側ウエザストリップである。さらに、図中、矢印Frは車両前方を示し、矢印Reは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0062】
このように、上記実施例の格納式ルーフ付き自動車の車体構造は、ルーフ(フロントルーフ8、リヤルーフ9参照)と別体で車体側に取付けられるピラー24を設け、上記ピラー24にピラー側ウエザストリップ41が設けられると共に、ピラー24下部の車体側に車体側ウエザストリップ42が設けられ、上記ピラー側ウエザストリップ41の下端部に、上記車体側ウエザストリップ42の車幅方向内側から係合する係合部41aが設けられ、上記車体側ウエザストリップ42には、上記ピラー側ウエザストリップ41の上記係合部41aを車幅方向内側かつ下側に案内するガイド部42aと、該ガイド部42aの下部に位置する被係合部(凹部42b参照)と、上記ピラー側ウエザストリップ41の下端部に設けた垂下片41bに車幅方向外側から当接する壁部42cと、が設けられたものである(図8図9参照)。
【0063】
この構成によれば、ルーフと別体の上記ピラー24は車体側に取付けられるので、その組付け性を確保することができる。
またピラー側ウエザストリップ41の係合部41aは、車体側ウエザストリップ42のガイド部42aで、車幅方向内側かつ下側に案内された後に、車体側ウエザストリップ42の被係合部(凹部42b)に係合して位置決めされると共に、ピラー側ウエザストリップ41の下端部の垂下片41bには、上記壁部42cが車幅方向外側から当接するので、シール性を確保することができる。
つまり、ルーフと別体のピラー24のシール性確保と、組付け性確保との両立を図ることができる。
【0064】
この発明の一実施形態においては、上記ピラー24は、該ピラー24に沿って上下方向に延びるウエザストリップ嵌合溝24a,24bを備えた略同一断面とされ、上記ピラー側ウエザストリップ41は上記ウエザストリップ嵌合溝24a,24bに嵌合する上下方向中間部41Aと、上記ピラー24を上方から覆いルーフ側のウエザストリップ(ルーフサイドウエザストリップ33参照)と嵌合される上部41Bと、を備えたものである(図7図11参照)。
【0065】
この構成によれば、ピラー側ウエザストリップ41の上部41Bは、上記ピラー24と上述のルーフ側のウエザストリップ(ルーフサイドウエザストリップ33)との両者で挟持されるので、該ピラー側ウエザストリップ41によるシール性を確保することができる。
また、上述のピラー24は略同一断面とされているので、該ピラー24を押出し成形品またはロール成形品にて構成することができ、ピラー成形性をも確保することができる。
つまり、この構成によれば、シール性の確保とピラー成形性の確保との両立を図ることができる。
【0066】
この発明の一実施形態においては、上記ピラー24が格納ルーフモジュールM0の車体取付け部材(ベースブラケット22参照)に取付けられたものである(図3図7参照)。
【0067】
この構成によれば、ルーフを吊下げて車体に組付ける時、ピラー24が若干内寄りあるいは外寄りしても、車体側ウエザストリップ42にて案内することができる。この結果、ピラー24の格納ルーフとのモジュール化と組付け性とを向上させることができる。
【0068】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の被係合部は、実施例の凹部42bに対応し、
以下同様に、
ルーフ側のウエザストリップは、ルーフサイドウエザストリップ33に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明は、少なくともフロントルーフとリヤルーフとを有し、これら各ルーフで車室上部を覆うルーフ全閉位置と、これら各ルーフがシート後部の格納空間に格納される格納位置(ルーフ全開位置)とに開閉するような格納式ルーフ付き自動車の車体構造について有用である。
【符号の説明】
【0070】
8…フロントルーフ(ルーフ)
9…リヤルーフ(ルーフ)
22…ベースブラケット(車体取付け部材)
24…ピラー
24a,24b…ウエザストリップ嵌合溝
33…ルーフサイドウエザストリップ(ルーフ側のウエザストリップ)
41…ピラー側ウエザストリップ
41A…上下方向中間部
41B…上部
41a…係合部
42…車体側ウエザストリップ
42a…ガイド部
42b…凹部(被係合部)
42c…壁部
M0…格納ルーフモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11