(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る両面バーニッシング機の一実施の形態を
図1〜
図7によって詳細に説明する。
図1に示す両面バーニッシング機1は、
図1において最も右側に位置するフィーダーユニット2から最も左側に位置するデリバリーユニット3までシート4を送り、搬送途中でシート4に複数の処理を施す装置である。フィーダーユニット2から送られるシート4は、例えば紙幣となるような、ポリマーを素材とするシートである。このシート4の表裏両面には、絵柄や文字、番号等の画像が予め印刷されている。この実施の形態において、フィーダーユニット2が「シート供給装置」に相当する。
【0015】
このシート4に施す複数の処理とは、詳細は後述するが、フィーダーユニット2と隣接する付加処理部5において実施される処理と、この付加処理部5とデリバリーユニット3との間に位置するバーニッシング部6において実施されるバーニッシングである。ここでいうバーニッシングとは、シート4にニスを塗布する塗布処理である。
【0016】
この両面バーニッシング機1のフィーダーユニット2は、多数のシート4が積み重ねられたフィーダーパイル7と、最も上に位置するシート4を1枚ずつフィーダーボード8上に送り出すサッカー9などを備えている。フィーダーボード8は、シート4をフィーダーユニット2から付加処理部5側に送る。フィーダーボード8
に送られたシート4は、スイング装置11によって第1渡胴12に送られる。第1渡胴12は、付加処理部5の第1圧胴13に対接している。このため、シート4は、この第1渡胴12を介して第1圧胴13に送られる。
【0017】
第1圧胴13は、第2圧胴14に対接している。第2圧胴14は、第3圧胴15に対接している。第3圧胴15は、スケルトン胴16に対接している。スケルトン胴16は、乾燥胴17に対接している。乾燥胴17は、第4圧胴18に対接している。第4圧胴18は、後述するデリバリーユニット3にシート4を送る。
【0018】
このため、シート4は、第1圧胴13から付加処理部5の第2圧胴14と、バーニッシング部6の第3圧胴15、スケルトン胴16、乾燥胴17、第4圧胴18などを介してデリバリーユニット3に搬送される。シート4を搬送する機能を有するこれらの胴は、
図2に示すように、シート4の先端であるくわえ側端部(搬送方向下流側の端部)を選択的にくわえるくわえ爪装置21を有している。
【0019】
これらの胴のうち、スケルトン胴16を除く他の全ての胴(第1渡胴12、第1圧胴13、第2圧胴14、第3圧胴15、乾燥胴17、第4圧胴18)は、シート4が重ねられ当該シート4が支持される有効面22を有している。第1渡胴12は、くわえ爪装置21と有効面22とが1組設けられている。第1圧胴13と、第2圧胴14と、第3圧胴15と、乾燥胴17および第4圧胴18は、それぞれくわえ爪装置21と有効面22とを2組ずつ有しており、いわゆる2倍胴である。
スケルトン胴16は、
図2に示すように、2組のくわえ爪装置21が両端部に設けられた扁平の柱状に形成されている。このスケルトン胴16の回転軌跡16aの内側には、くわえ爪装置21に保持されたシート4とスケルトン胴16との接触を防ぐために空間Sが形成されている。
【0020】
この両面バーニッシング機1のデリバリーユニット3は、シート4を搬送するためのデリバリーチェーン23と、シート4が排出される第1〜第3のデリバリーパイル24〜26とを有している。デリバリーチェーン23は、一対のスプロケット27,28に巻き掛けられており、これらのスプロケット27,28によって駆動されて回転する。デリバリーチェーン23は、スプロケット27,28の軸線方向に離間した位置にそれぞれ設けられている。これら2本のデリバリーチェーン23には、図示してはいないが、複数の爪竿が所定の間隔をあけて支持されている。これらの爪竿には、シート4のくわえ側端部をくわえるグリッパー(図示せず)が設けられている。
【0021】
第1〜第3のデリバリーパイル24〜26のうち、シート搬送方向の上流側に位置する第1および第2のデリバリーパイル24,25には良品が排出され、第3のデリバリーパイル26には不良品が排出される。この良否判定の説明は後述する。
第1〜第3のデリバリーパイル24〜26の上方には、シート4を第1〜第3のデリバリーパイル24〜26に振り分けて排出するための振り分け機構29が設けられている。この振り分け機構29は、シート4がグリッパーに保持されている状態からこのシート4がグリッパーから解放される状態に当該グリッパーを切り替える。この振り分け機構29の動作は、後述する制御装置31(
図7)によって制御される。
【0022】
付加処理部5は、
図1に示すように、後述するバーニッシング部6よりもシート搬送方向の上流側に設けられており、第1圧胴13を含む特殊ユニット32と、第2圧胴14を含むエンボスユニット33とを備えている。
特殊ユニット32は、エンボスユニット33よりシート搬送方向の上流側に設けられており、付加処理部5の骨格をなすフレーム34Aと、第1圧胴13と、この第1圧胴13に対向する処理胴35とを備えている。ここで、フレーム34Aと、第1圧胴13と、処理胴35とにより特殊ユニット32の本体34が構成される。
【0023】
第1圧胴13は、フレーム34Aに回転自在に支持されており、駆動装置36(
図7参照)によって駆動されて回転する。この実施の形態においては、第1圧胴13が「シートを搬送する圧胴」に相当する。この駆動装置36は、この両面バーニッシング機1の他の胴や、フィーダーユニット2およびデリバリーユニット3に設けられている回転体を駆動する本機モータである。駆動装置36の動作は、制御装置31(
図7参照)によって制御される。
【0024】
処理胴35は、特殊ユニット32による処理内容に対応したものによって構成されている。この実施の形態による特殊ユニット32は、シート4の一方の面に後述する3種類の処理のうちいずれか1つの処理を施すことが可能である。3種類の処理とは、オフセット印刷と、フレキソ印刷と、エンボス加工である。
特殊ユニット32でオフセット印刷が行われる場合は、
図3に示すように、処理胴35がオフセット印刷用のゴム胴35Aによって構成されるとともに、本体34にオフセット印刷モジュール41が取付けられる。この場合の特殊ユニット32は、オフセット印刷ユニット32Aになる。
【0025】
ゴム胴35Aは、詳細には図示してはいないが、本体34のフレーム34Aに着脱可能かつ回転可能に取付けられた胴本体37と、この胴本体37の外周面に巻き付けられたブランケット38とを備えている。
オフセット印刷モジュール41は、ゴム胴35Aに対接する版胴42と、この版胴42にインキを供給するためのインキ装置43とを有している。このオフセット印刷モジュール41は、本体34に対して着脱可能である。
【0026】
特殊ユニット32でフレキソ印刷が行われる場合は、
図4に示すように、処理胴35がフレキソ版胴35Bによって構成されるとともに、本体34にフレキソ印刷モジュール44が取付けられる。この場合の特殊ユニット32は、フレキソ印刷ユニット32Bになる。
フレキソ版胴35Bは、本体34のフレーム34Aに着脱可能かつ回転可能に取付けられた胴本体45と、この胴本体45の外周面に巻き付けられたフレキソ印刷用の版46とを備えている。
フレキソ印刷モジュール44は、フレキソ版胴35Bに対接するアニロックスローラ47と、このアニロックスローラ47にインキを供給するためのチャンバー装置48とを有している。このフレキソ印刷モジュール44は、本体34に対して着脱可能である。
【0027】
特殊ユニット32でエンボス加工が行われる場合は、
図5に示すように、処理胴35がエンボス胴35Cによって構成される。この場合の特殊ユニット32は、エンボスユニット32Cになる。
エンボス胴35Cは、本体34のフレーム34Aに着脱可能かつ回転可能に取付けられた胴本体51と、この胴本体51の外周面に巻き付けられたエンボス加工用の版52とを備えている。この版52には、図示してはいないが、シート4の一方の面に押し付けられてシート4を塑性変形させ、シート4の他方の面に凸部を形成する突起が設けられている。このエンボスユニット32Cによってシート4に形成される凸部は、例えば、目が不自由な人でも触感で理解できる認識マークとすることができる。
【0028】
このように、この実施の形態による特殊ユニット32は、オフセット印刷ユニット32Aと、フレキソ印刷ユニット32Bと、エンボスユニット32Cとのうちいずれか1つである。これらのオフセット印刷ユニット32Aと、フレキソ印刷ユニット32Bと、エンボスユニット32Cは、相互に交換可能である。
【0029】
オフセット印刷モジュール41とフレキソ印刷モジュール44で使用するインキは、紫外線硬化型インキである。これらのモジュール41,44によってシート4に転写あるいは塗布されたインキは、シート4が第1圧胴13によって搬送されている途中で第1乾燥装置53(
図1参照)によって硬化される。
【0030】
第1乾燥装置53は、第1圧胴13の周面に対向して配設され、第1圧胴13に向けて紫外線を照射する。なお、オフセット印刷モジュール41とフレキソ印刷モジュール44において、例えば溶剤が蒸発して固化する種類のインキが用いられる場合は、第1乾燥装置53はシート4に例えば赤外線を照射してインキを乾燥させるものが用いられる。第1乾燥装置53は、インキを硬化または乾燥させる、言い換えるとインキを固化させる装置である。
【0031】
第1乾燥装置53の上方には、第1撮像装置54が配置されている。この第1撮像装置54は、第1圧胴13の周面に対向して配設されており、第1圧胴13によって搬送されているシート4の一方の面を撮像し、画像データとして後述する制御装置31に送る。第1撮像装置54によって撮像された画像データには、フィーダーユニット2に装填される以前にシート4に印刷された画像と、オフセット印刷モジュール41またはフレキソ印刷モジュール44による印刷または塗布の結果が含まれている。第1撮像装置54による撮像箇所は、処理胴35よりもシート搬送方向の下流側で第1乾燥装置53による乾燥または硬化箇所よりもシート搬送方向の上流側である。
【0032】
特殊ユニット32よりシート搬送方向の下流側に設けられたエンボスユニット33は、
図6に示すように、第2圧胴14と、この第2圧胴14に対接するエンボス胴55とを備えている。第2圧胴14は、本体34に回転自在に支持されている。この第2圧胴14の有効面22には、ブランケット56が巻き付けられている。
エンボス胴55は、本体34のフレーム34Aに回転可能に取付けられた胴本体57と、この胴本体57の外周面に巻き付けられたエンボス加工用の版58とを備えている。この版58には、図示してはいないが、シート4の他方の面に押し付けられてシート4を塑性変形させ、シート4の一方の面に凸部を形成する突起が設けられている。
このエンボスユニット33によってシート4に形成される凸部は、例えば、目が不自由な人でも触感で理解できる認識マークとすることができる。
【0033】
このエンボス胴55は、第2圧胴14に対接する位置と、第2圧胴14から離間する位置との間で移動可能に支持されている。特殊ユニット32でエンボス加工が施される場合には、このエンボス胴55を第2圧胴14から離すことができる。ここで、エンボスユニット33は、特殊ユニット32でオフセット印刷またはフレキソ印刷が施される場合に、エンボス胴55を第2圧胴14に対接させてシート4に対してエンボス加工を施すことができる。すなわち、特殊ユニット32によるオフセット或いはフレキソ印刷と両面バーニッシングに加えてエンボス加工を施すことができ、シート4に対して高い付加価値を付けることができるのである。
【0034】
エンボス胴55よりシート搬送方向の下流側に送られたシート4は、第2圧胴14によって搬送されている途中で第2撮像装置61によって撮像される。第2撮像装置61は、第3圧胴15の下方に位置付けられ、第2圧胴14の周面に対向して配設されている。この第2撮像装置61は、第2圧胴14によって搬送されているシート4の他方の面を撮像し、画像データとして後述する制御装置31に送る。第2撮像装置61によって撮像された画像データには、フィーダーユニット2に装填される以前に印刷された画像と、オフセット印刷モジュール41またはフレキソ印刷モジュール44による印刷または塗布の結果と、エンボスユニット33によるエンボス加工の結果とが含まれている。
【0035】
バーニッシング部6は、上述した第2圧胴14に対接する第3圧胴15を有する第1バーニッシングユニット62と、この第1バーニッシングユニット62よりシート搬送方向の下流側に配設された第2バーニッシングユニット63とを備えている。第1バーニッシングユニット62と第2バーニッシングユニット63とは、スケルトン胴16と乾燥胴17とを介して接続されている。
【0036】
第1バーニッシングユニット62は、第3圧胴15と、この第3圧胴15に対接する第1バーニッシング版胴64と、この第1バーニッシング版胴64に対接するアニロックスローラ65と、このアニロックスローラ65にニスを供給するチャンバー装置66などを備えている。この第1バーニッシングユニット62は、シート4の一方の面にニスを塗布するとともに、エンボスユニット32Cによって形成されたシート4の一方の面の凹部にニスを充填する。凹部にニスが充填されるとエンボス加工部分の強度が増す。このニスは、紫外線硬化型ニスである。
【0037】
第1バーニッシングユニット62によって一方の面にバーニッシングが施されたシート4は、第3圧胴15からスケルトン胴16に渡され、一方の面に接触するものが何もない状態でスケルトン胴16から乾燥胴17に送られる。一方の面に塗布されたニスは、シート4が乾燥胴17によって搬送されているときに第2乾燥装置67によって固化される。第2乾燥装置67は、第1バーニッシングユニット62と第2バーニッシングユニット63との間であって、乾燥胴17と対向する位置に配設されている。
この第2乾燥装置67は、紫外線を乾燥胴17の周面に向けて照射する。
【0038】
第2バーニッシングユニット63は、乾燥胴17からシート4を受け取る第4圧胴18と、この第4圧胴18に対接する第2バーニッシング版胴68と、この第2バーニッシング版胴68に対接するアニロックスローラ69と、このアニロックスローラ69にニスを供給するチャンバー装置70などを備えている。
この第2バーニッシングユニット63は、シート4の他方の面にニスを塗布するとともに、エンボスユニット33によって形成されたシート4の他方の面の凹部にニスを充填する。凹部にニスが充填されるとエンボス加工部分の強度が増す。このニスも紫外線硬化型ニスである。
【0039】
第2バーニッシングユニット63によって他方の面にバーニッシングが施されたシート4は、第4圧胴18からデリバリーユニット3のグリッパに受け渡され、デリバリーチェーン23によって搬送される。この搬送は、シート4の他方の面に接触するものが何もない状態で行われる。シート4の他方の面に塗布されたニスは、シート4がデリバリーチェーン23によって搬送されているときに第3乾燥装置71によって硬化される。第3乾燥装置71は、第2バーニッシングユニット63よりシート搬送方向の下流側であって、デリバリーユニット3内に形成されたシート搬送路の下方に配設されている。この第3乾燥装置71は、紫外線を上方のシート4に向けて照射する。
なお、第1および第2バーニッシングユニット62,63において、例えば溶剤が蒸発して固化する種類のニスが用いられる場合は、第2および第3乾燥装置67,71はシート4に赤外線を照射してニスを乾燥させるものが用いられる。第2および第3乾燥装置67,71はニスを硬化または乾燥させる、言い換えるとニスを固化させる装置である。
【0040】
他方の面のニスが固化したシート4は、デリバリーユニット3の搬送方向下流側に位置するスプロケット28をデリバリーチェーン23が越えることによって、他方の面が上方を指向する状態になる。そして、このシート4は、制御装置31によって動作が制御された振り分け機構29によって第1〜第3のデリバリーパイル24〜26のうちのいずれか一つのデリバリーパイルに振り分けられて排出される。
【0041】
制御装置31は、
図7に示すように、バーニッシング制御部72と、第1および第2検査部73,74とを有している。
バーニッシング制御部72は、この両面バーニッシング機1がシート4に印刷やバーニッシングを施すために必要な各種のアクチュエータの動作を制御する。
【0042】
第1検査部73は、第1撮像装置54と協働して第1検査装置75を構成するもので、第1撮像装置54から送られた画像データに基づいてシート4の一方の面の画像の良否判定を行う。
第2検査部74は、第2撮像装置61と協働して第2検査装置76を構成するもので、第2撮像装置61から送られた画像データに基づいてシート4の他方の面の画像の良否判定を行う。
この第1検査部73と第2検査部74が行う良否判定は、この両面バーニッシング機1に搬入される以前の工程でシート4に印刷された画像のみが対象になる場合と、この前工程による印刷に加えて、付加処理部5で行われた処理を含めた総合的な画像が対象になる場合とがある。
【0043】
第1検査部73および第2検査部74は、良否判定の結果が良であると判定されたシート4のみが第1または第2デリバリーパイル24,25に排出されるように、振り分け機構29の動作を制御する。このため、不良と判定されたシート4は、第3デリバリーパイル26に排出される。
【0044】
このように構成された両面バーニッシング機1においては、特殊ユニット32による処理と、エンボスユニット33によるエンボス加工とがバーニッシング部6よりシート搬送方向の上流側でシート4に施される。このため、シート4に付加処理部5によって付加価値が付けられる。
特殊ユニット32は、オフセット印刷と、フレキソ印刷と、エンボス加工とのうちいずれか一つの処理を選択的に行うことができ、シート4に対する多様な要求に応えることができて、付加価値を付与するにあたって自由度が高いものである。
したがって、この実施の形態によれば、大きな付加価値を有するシートを得ることが可能な両面バーニッシング機を提供できる。
【0045】
特殊ユニット32でフレキソ印刷を行う場合は、例えば透明なインキを使うことができる。この透明なインキによる印刷と、バーニッシング部6によるバーニッシングとが重なると、特殊な視覚効果が得られ、大きな付加価値となる。
特殊ユニット32でオフセット印刷を行う場合にも透明なインキを使うことができる。オフセット印刷で使用するインキの濃度は、ニスの濃度とは異なる。このため、濃度が異なる二種類の塗膜がシート4の一方の面に形成されるから、視覚と触感とが他方の面と異なって大きな付加価値となる。
特殊ユニット32で行われるフレキソ印刷あるいはオフセット印刷は、エンボスユニット33でシート4の一方の面に設けられる凸部と関連付けて行うことができる。
【0046】
この実施の形態において特殊ユニット32よりシート搬送方向の下流側に位置するエンボスユニット33は、第2圧胴14とエンボス胴55とを備えている。第2圧胴14は、実質的に、付加処理部5からバーニッシング部6にシート4を送るための渡胴として機能するものである。このため、この実施の形態によれば、エンボスユニット33を装備するにあたって、専用の胴を追加する必要はないから、コンパクトな両面バーニッシング機を提供できる。
【0047】
この実施の形態による特殊ユニット32は、フレーム34Aと、このフレーム34Aに回転可能に支持され、シート4を搬送する第1圧胴13と、フレーム34Aに回転可能に支持され、第1圧胴13に対向する処理胴35とを有する本体34を備えている。オフセット印刷ユニット32Aは、版胴42とインキ装置43とを有しかつ本体34に対して着脱可能に支持されたオフセット印刷モジュール41を含む。フレキソ印刷ユニット32Bは、アニロックスローラ47とチャンバー装置48とを有しかつ本体34に対して着脱可能に支持されたフレキソ印刷モジュール44を含む。
【0048】
特殊ユニット32でオフセット印刷が行われる場合は、処理胴35がゴム胴35Aによって構成されるとともに、本体34に前記オフセット印刷モジュール41が取付けられる。特殊ユニット32でフレキソ印刷が行われる場合は、処理胴35がフレキソ版胴35Bによって構成されるとともに、本体34にフレキソ印刷モジュール44が取付けられる。特殊ユニット32でエンボス加工が行われる場合は、処理胴35がエンボス胴35Cによって構成される。
このため、この実施の形態によれば、オフセット印刷と、フレキソ印刷と、エンボス加工の切換えを簡単に行うことが可能な両面バーニッシング機を提供できる。
【0049】
この実施の形態による両面バーニッシング機1は、第1〜第3乾燥装置53,67,71を備えている。第1乾燥装置53は、特殊ユニット32の第1圧胴13の周面に対向して配設され、オフセット印刷ユニット32Aあるいはフレキソ印刷ユニット32Bでシート4に印刷されたインキを固化させる。第2乾燥装置67は、第1バーニッシングユニット62と第2バーニッシングユニット63との間に設けられ、第1バーニッシングユニット62で塗布されたニスを固化させる。第3乾燥装置71は、第2バーニッシングユニット63よりシート搬送方向の下流側に設けられ、第2バーニッシングユニット63で塗布されたニスを固化させる。
このため、シート4に塗布されたニスやインキが塗布直後に固化するから、品質が高く、付加価値がより一層大きいシートを得ることが可能な両面バーニッシング機を提供できる。
【0050】
この実施の形態においては、特殊ユニット32に印刷済シート4を供給するフィーダーユニット2と、第1検査装置75および第2検査装置76を有している。第1検査装置75は、特殊ユニット32の第1圧胴13の周面に対向する第1撮像装置54を有し、印刷済シート4の一方の面の画像を検査する。第2検査装置75は、特殊ユニット32よりシート搬送方向の下流側に位置するエンボスユニット33の第2圧胴14の周面に対向する第2撮像装置61を有し、印刷済シート4の他方の面の画像を検査する。
このため、シート供給装置から送られる印刷済シート4の両面の画像を検査することができるから、シート4を良品と不良品とを分けることが可能になる。したがって、不良品が排除されて良品のみを得ることが可能な両面バーニッシング機を提供できる。