特許第6677550号(P6677550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677550
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置の室外機の保護部材
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/56 20110101AFI20200330BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   F24F1/56
   F24F13/20 202
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-62028(P2016-62028)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-172928(P2017-172928A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂基
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−096269(JP,U)
【文献】 特開平10−267318(JP,A)
【文献】 実開昭60−002194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06− 1/68
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置の室外機の外表面に取り付けられる保護部材であって、
金属製のワイヤーを主体に構成された縦方向に延びる複数の縦条部材及び横方向に延びる複数の横条部材を格子状に配置して形成され、
複数の前記縦条部材のうち一部は、当該縦条部材の下端部を前記室外機の外側へ曲げて形成された外側曲げ部を有し、
複数の前記縦条部材のうち一部は、当該縦条部材の下端部を前記室外機の内側へ曲げて形成された内側曲げ部を有し、
前記外側曲げ部及び前記内側曲げ部は、前記外側曲げ部と前記内側曲げ部とで前記室外機の立上り部の両面を押圧することで前記立上り部を前記外側曲げ部と前記内側曲げ部との間に挟持する構成である、
冷凍サイクル装置の室外機の保護部材。
【請求項2】
前記外側曲げ部は、横方向に並んで配置された前記縦条部材のうち、横方向における両側の2本の前記縦条部材と中央の前記縦条部材との下端部に設けられ、
前記内側曲げ部は、前記外側曲げ部を備えた前記縦条部材の間に設けられた前記縦条部材の下端部に設けられている、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置の室外機の保護部材。
【請求項3】
前記保護部材は、
前記縦条部材の上端部に設けられて締結部材が通されて前記室外機に固定される取り付け部、
を更に備えている請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置の室外機の保護部材。
【請求項4】
前記内側曲げ部は、
前記室外機の内側へ向かって突出するように湾曲し前記立上り部の厚み方向へ弾性変形可能な第1湾曲部と、
前記第1湾曲部の下側に設けられて前記室外機の外側へ向かって突出するように湾曲した第2湾曲部と、を有し、
前記第2湾曲部と前記外側曲げ部とは、前記立上り部の厚み方向において少なくとも一部が重なっている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置の室外機の保護部材。
【請求項5】
前記第2湾曲部は、前記立上り部に形成された係止穴に係止可能である、
請求項4に記載の冷凍サイクル装置の室外機の保護部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷凍サイクル装置の室外機の保護部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば冷凍サイクル装置の一種である空気調和機の室外機の内部には、熱交換器が設けられており、この熱交換器の一部は、室外機から外部に露出している。従来、この熱交換器の露出部分を保護するための保護部材が知られている。例えば特許文献1には、金網で構成された保護部材が開示されている。この保護部材は、室外機とは別体に構成されており、室外機の外表面つまり熱交換器の外周面側に取り付けられる。
【0003】
この特許文献1の保護部材は、当該保護部材の下端部を、熱交換器と立上り部との間に圧入するように構成されている。ここで、一般的には、熱交換器と立上り部との間の距離寸法は、それほど高い精度で管理されておらずバラツキが比較的大きい。そのため、特許文献1の構成では、熱交換器と立上り部の間の寸法が大きいと、熱交換器と立上り部との間に保護部材がしっかりと保持されない。逆に、熱交換器と立上り部との間の寸法が小さいと、熱交換器と立上り部との間に保護部材の下端部が入っていかず、保護部材を取り付けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−96269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、熱交換器と筐体の立上り部との間の寸法に寄らず、室外機に容易に取り付けることができる冷凍サイクル装置の室外機の保護部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
冷凍サイクル装置の室外機の保護部材は、冷凍サイクル装置の室外機の外表面に取り付けられる保護部材である。保護部材は、金属製のワイヤーを主体に構成された縦方向に延びる複数の縦条部材及び横方向に延びる複数の横条部材を格子状に配置して形成されている。複数の前記縦条部材のうち一部は、当該縦条部材の下端部を前記室外機の外側へ曲げて形成された外側曲げ部を有している。複数の前記縦条部材のうち一部は、当該縦条部材の下端部を前記室外機の内側へ曲げて形成された内側曲げ部を有している。前記外側曲げ部及び前記内側曲げ部は、前記外側曲げ部と前記内側曲げ部とで前記室外機の立上り部の両面を押圧することで前記立上り部を前記外側曲げ部と前記内側曲げ部との間に挟持する構成である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による保護部材を室外機に取り付けた状態で示す斜視図
図2】一実施形態による保護部材について、図1のX2−X2線に沿った断面のうち上端部を拡大して示す図
図3】一実施形態による保護部材について、図1のX3−X3線に沿った断面のうち下端部を拡大して示す図
図4】一実施形態による保護部材が室外機に取り付けられている途中の状態を示す図3相当図
図5】一実施形態による保護部材について、図1のX5−X5線に沿った断面のうち下端部を拡大して示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、冷凍サイクル装置として空気調和機を例に説明する。なお、冷凍サイクル装置の室外機としては、空気調和機の室外機の他にヒートポンプ式給湯機の熱源機、冷凍機等がある。
[室外機の構成]
まず、図1に示す室外機50の構成について説明する。室外機50は、保護部材10の取り付け対象の一例であり、空気調和機の室外機である。室外機50は、熱交換器51や図示しないファン等を内蔵している。熱交換器51の一部は、室外機50の外部に露出している。また、室外機50は、熱交換器51の露出側とは反対側に、図示しないファンからの風を室外機50の外部に吐出するための吐出口を有している。なお、本実施形態では、熱交換器51が露出している面を室外機50の背面側又は後側とし、熱交換器51が露出している面とは反対側つまり図示しない吐出口が設けられている面を、室外機50の前面側又は前側とする。また、室外機50の設置状態における重力方向を、室外機50の上下方向とする。そして、前後方向及び上下方向に対する直角方向を、室外機50の横方向とする。
【0009】
室外機50は、筐体60を有している。筐体60は、室外機50の外殻を構成している。筐体60は、天板61、底板62、側板63、64、及び図示しない前板を組み合わせることで、矩形の箱状に形成されている。天板61、底板62、側板63、64、及び図示しない前板は、それぞれ金属製の板を曲げ加工等することにより形成されている。筐体60の背面側において側板63、64間は離間しており、これにより、筐体60の背面側の大部分は開放されている。筐体60内に設けられた熱交換器51は、この側板63、64間の開放部分から筐体60の外部に露出している。
【0010】
天板61は、図1及び図2に示すように、天井部611と、立下り部612と、を一体に有している。天井部611は、全体として設置面に対して略平行となるような平板状に形成されている。立下り部612は、天井部611の周囲を下方へ略直角に折り曲げたように形成されており、天井部611に対して略直角下方へ立ち下がっている。底板62は、図1及び図3に示すように、底部621と、立上り部622と、を一体に有している。底部621は、全体として設置面に対して略平行となるような平板状に形成されている。立上り部622は、底部621の後端部を上方へ略直角に折り曲げたように形成されており、底部621に対して略直角上方へ立ち上がっている。
【0011】
[保護部材の構成]
次に、保護部材10の構成について説明する。保護部材10は、図1に示すように、筐体60の熱交換器51側つまり背面側に着脱可能に取り付けられて、熱交換器51の外側を覆うことができる。保護部材10は、複数の条部材11、12を格子状に配置して構成されている。本実施形態の場合、保護部材10は、複数の縦条部材11と、複数の横条部材12と、をそれぞれ直交するように配置することで、格子網状に形成されている。条部材11、12は、例えば金属製のワイヤーや細長い棒状の部材を主体に構成されている。そして、条部材11、12は、金属製のワイヤー等をウレタン等の樹脂で被膜して構成されている。
【0012】
例えば、保護部材10は、次のように製造される。すなわち、まず、所定の長さに切り揃えた金属製のワイヤーを、格子状つまり縦方向及び横方向に等間隔に配置する。そして、縦方向に延びるワイヤーつまり縦条部材11と、横方向に延びるワイヤーつまり横条部材12との交差部分を溶接し、その後、縦条部材11及び横条部材12をウレタン等の樹脂で被膜する。なお、条部材11、12の材質は上記したものに限定されるものではなく、金属のみであっても良い。また、本実施形態の場合、縦条部材11及び横条部材12は、それぞれ同一外径のワイヤーで構成されているが、縦条部材11と横条部材12との外径は異なっていても良い。
【0013】
保護部材10は、取り付け部20と、圧接部30と、を有している。取り付け部20は、図1及び図2に示すように、複数の条部材11、12のうち縦方向に延びるように配置された縦条部材11の上端部つまり天板61側に設けられている。本実施形態の場合、取り付け部20は、図1に示すように、横方向に並んで配置された7本の縦条部材11のうち、両側の2本の縦条部材11と中央の縦条部材11との上端部に設けられている。なお、取り付け部20の数や配置は、保護部材10のサイズや取り付け対象となる室外機50のサイズ等に応じて適宜変更することができる。
【0014】
取り付け部20は、縦条部材11の上端部を、ネジ等の締結部材70が挿通可能となるように巻回して形成されている。この場合、立下り部612は、取り付け部20に対応する位置に、図示しない雌ネジ穴が形成されている。そして、締結部材70は、取り付け部20に通された後、立下り部612の図示しない雌ネジ穴にねじ込まれる。これにより、保護部材10の上端部は、締結部材70を介して、立下り部612に固定される。つまり、これにより、保護部材10の上端部は、筐体60に取り付けられる。
【0015】
圧接部30は、図1及び図3に示すように、複数の条部材11、12のうち縦方向に延びるように配置された縦条部材11の下端部つまり底板62側に設けられている。本実施形態の場合、圧接部30は、図1に示すように、横方向に並んで配置された7本の縦条部材11のうち両側の2本を除く5本の縦条部材11の下端部に設けられている。
【0016】
横方向に並んで配置された7本の縦条部材11のうち両側の2本を除く5本の縦条部材11は、圧接部30の構成要素として、それぞれ外側曲げ部31又は内側曲げ部32のいずれか一方を有している。すなわち、圧接部30は、外側曲げ部31と内側曲げ部32とから構成されている。そして、圧接部30は、外側曲げ部31と内側曲げ部32との相互作用によって、立上り部622を圧接可能に構成されている。なお、本実施形態において、「圧接」とは、溶接等による接合を意味するものではなく、立上り部622の両面を外側曲げ部31と内側曲げ部32とで押圧することで、立上り部622を外側曲げ部31と内側曲げ部32との間に挟持することを意味する。
【0017】
外側曲げ部31は、圧接部30を構成する5本の縦条部材11のうちの一部、この場合、横方向における両側の2本の縦条部材11と中央の縦条部材11との下端部に設けられている。外側曲げ部31は、この縦条部材11の下端部を室外機50の外側つまり筐体60の外側へ曲げるようにして形成されている。
【0018】
具体的には、外側曲げ部31は、図3図5に示すように、第1曲げ部311と、直線部312と、第2曲げ部313と、を一体に有している。第1曲げ部311は、縦条部材11の下端部を前方つまり筐体60の内方へ直線状にやや折り曲げるようにして形成されている。直線部312は、第1曲げ部311から連続する形態で第1曲げ部311の下側に設けられている。直線部312は、縦条部材11において第1曲げ部311、直線部312、及び第2曲げ部313を除く他の大部分と略平行となるように形成されている。
【0019】
第2曲げ部313は、直線部312から連続する形態で、直線部312の下側この場合縦条部材11の最下端部に設けられている。第2曲げ部313は、縦条部材11の最下端部を後方つまり筐体60の外側へ直線状にやや折り曲げるようにして形成されている。この場合、第2曲げ部313の先端部314つまり縦条部材11の下方の先端部314は、縦条部材11において第1曲げ部311、直線部312、及び第2曲げ部313を除く他の大部分よりも後方つまり筐体60に対してやや外側に位置している。この第2曲げ部313により、外側曲げ部31は、全体として筐体60の外側へ曲げるように構成されている。
【0020】
内側曲げ部32は、圧接部30を構成する5本の縦条部材11のうちの一部、この場合、外側曲げ部31を有していない縦条部材11の下端部に設けられている。内側曲げ部32は、この縦条部材11の下端部を縦条部材11の下端部を室外機50の内側つまり筐体60の内側へ曲げるようにして形成されている。
【0021】
具体的には、内側曲げ部32は、図3図5に示すように、第1湾曲部321と、第2湾曲部322と、を一体に有している。第1湾曲部321は、縦条部材11の下端部を前方つまり筐体60の内方へ向かって突出するように湾曲させて形成されている。第2湾曲部322は、第1湾曲部321から連続する形態で第1湾曲部321の下側に設けられている。第2湾曲部322は、縦条部材11の最下端部を後方つまり筐体60の外側へ向かって突出するように湾曲させて形成されている。
【0022】
この場合、図4に示すように、縦条部材11の径方向の中心を通る中心線Hを基準にした場合、保護部材10が筐体60に取り付けられていない状態において、縦条部材11のうち第1湾曲部321及び第2湾曲部322を除く他の大部分に対する第1湾曲部321の突出寸法L1は、第2湾曲部322の先端部323に対する第2湾曲部322の突出寸法L2よりも大きい。これにより、図3に示すように、第2湾曲部322が、立上り部622の厚み方向つまり筐体60の前後方向へ押圧された場合には、第1湾曲部321が弾性変形する。すなわち、内側曲げ部32は、外側曲げ部31よりも弾性変形し易くなっている。
【0023】
また、図4に示すように、保護部材10が筐体60に取り付けられていない状態において、第2湾曲部322は、外側曲げ部31の先端部314よりも後方つまり筐体60の内側に位置している。そして、保護部材10が筐体60に装着されていない状態では、外側曲げ部31の直線部312と、内側曲げ部32の第2湾曲部322とは、立上り部622の厚み方向つまり筐体60の前後方向において少なくとも一部が重なっている。すなわち、外側曲げ部31と内側曲げ部32とにおいて、立上り部622の厚み方向における重なり代は、0mm以上に設定されている。また、外側曲げ部31の先端部314と、内側曲げ部32の先端部323とは、立上り部622の厚み方向つまり筐体60の前後方向へ離間している。
【0024】
[保護部材の取付]
次に、筐体60に対する保護部材10の取付手順の一例について説明する。作業者は、図4に示すように、外側曲げ部31の先端部314と内側曲げ部32と先端部323との間に立上り部622の上端部分が位置するようにして、保護部材10を押し下げる。すると、図3に示すように、内側曲げ部32の第1湾曲部321が立上り部622に押されて弾性変形する。これにより、内側曲げ部32が後退し、外側曲げ部31と内側曲げ部32との間が押し広げられる。その結果、外側曲げ部31と内側曲げ部32との間に、立上り部622が圧接される。すなわち、圧接部30に、立上り部622が圧接される。
【0025】
この場合、図3に示すように、立上り部622が外側曲げ部31と内側曲げ部32との間に挿入されると、第1湾曲部321の復元力によって、内側曲げ部32の第2湾曲部322が、立上り部622を外側へ押圧する。そして、外側曲げ部31は、内側曲げ部32の押圧力を受ける。これにより、外側曲げ部31の直線部312と内側曲げ部32の第2湾曲部322との間に、立上り部622が挟持される。その後、作業者は、締結部材70を取り付け部20に通した後、立下り部612の図示しない雌ネジ穴にねじ込み、保護部材10の上端部を立下り部612に固定する。このようにして、保護部材10が、室外機50の筐体60に取り付けられる。
【0026】
この場合、外側曲げ部31と内側曲げ部32のうち、一方は線接触により立上り部622に接触し、他方は点接触により立上り部622に接触している。すなわち、本実施形態の場合、外側曲げ部31の直線部312は、立上り部622の外側面に対して線状に接触つまり線接触している。一方、内側曲げ部32の第2湾曲部322は、立上り部622の内側面に対して点状に接触つまり点接触している。これにより、第2湾曲部322によって立上り部622を押圧した状態であっても、第2湾曲部322と立上り部622との間に生じる摩擦を極力小さくすることができる。したがって、外側曲げ部31と内側曲げ部32との両方が立上り部622に対して線接触又は面接触している場合に比べて、外側曲げ部31と内側曲げ部32との間に立上り部622を挿入する際に生じる摩擦を低減させることができる。その結果、作業者は、円滑に外側曲げ部31と内側曲げ部32との間つまり圧接部30に、立上り部622を円滑に圧接することができる。
【0027】
また、筐体60は、図1及び図5に示すように、係止穴623を有している。係止穴623は、立上り部622を略矩形に貫いて形成された穴である。本実施形態の場合、係止穴623は、複数この場合2つの内側曲げ部32のうち1の内側曲げ部32の第2湾曲部322に対応して設けられている。圧接部30に立上り部622が圧接されると、係止穴623に対応する第2湾曲部322は、図5に示すように、筐体60の内側から外側へ向かって係止穴623に通される。これにより、第2湾曲部322は、係止穴623に係止される。これによれば、保護部材10が筐体60から外れることをより確実に防止することができる。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、保護部材10は、複数の条部材11、12を格子状に配置して形成されている。また、保護部材10は、圧接部30を備えている。圧接部30は、縦方向に延びる縦条部材11の下端部に設けられており、室外機50の筐体60の底部621から立ち上がった立上り部622を圧接可能に構成されている。
【0029】
これによれば、作業者は、保護部材10の下端部に設けられた圧接部30に、筐体60の立上り部622を圧接することで、保護部材10の下端部を筐体60に固定することができる。すなわち、この構成によれば、保護部材10の下端部は、圧接部30に立上り部622が圧接されることで、筐体60に取り付けられる。したがって、熱交換機51と立上り部622との隙間の寸法に関わらず、作業者は、保護部材10を室外機50の筐体60に容易に取り付けることができる。
【0030】
ここで、室外機50は、背面となる熱交換器51側の面つまり保護部材10が取り付けられる側の面が、家屋等の壁に面しかつ近接して設置されることが多い。そのため、保護部材10を取り付ける際の作業スペースの確保が難しい。そしてこの場合、作業者は、室外機50の上方から、熱交換器51側の面を覗き込むようにして、保護部材10を取り付けると考えられる。したがって、室外機50の背面下部の視認性は悪く、保護部材10の下端部の取り付け作業は困難となっている。
【0031】
これに対し、本実施形態において、圧接部30は、保護部材10の下端部に設けられている。そして、作業者は、保護部材10を押し下げて圧接部30に立上り部622を押し込むことで、保護部材10の下端部を筐体60に取り付けることができる。したがって、作業者は、保護部材10の下端部に対するネジの締結作業等を行うことなく、保護部材10の下端部を筐体60に取り付けることができるため、保護部材10の下端部の取り付け作業が容易になる。
【0032】
これに対し、室外機50の上部は作業スペースが確保し易く、したがって、保護部材10の上端部の取り付け作業は、比較的容易である。そこで、本実施形態において、保護部材10は、取り付け部20を備えている。取り付け部20は、複数の条部材11、12のうち縦方向に延びる縦条部材11の上端部に設けられており、締結部材70が通される。これにより保護部材10は、天井部611の立下り部612に固定される。これによれば、保護部材10の上端部を、より確実に筐体60に固定するこができる。その結果、取り付けの作業性の向上を図りつつ、保護部材10をより強固に筐体60に取り付けることができる。
【0033】
圧接部30は、外側曲げ部31と、内側曲げ部32と、を有している。外側曲げ部31は、縦方向に延びる縦条部材11の下端部を室外機50の外側へ曲げて形成されている。内側曲げ部32は、縦方向に延びる縦条部材11のうち外側曲げ部31を有していない縦条部材11の下端部を室外機50の内側へ曲げて形成されている。これによれば、保護部材10が本来有する縦条部材11の下端部を加工することで、新たな部品を追加することなく、圧接部30を構成することができる。したがって、圧接部30を設けたことによる部品点数の増加を低減することができ、ひいては製造工程や製造コストの増加を抑制することができる。
【0034】
また、作業者は、保護部材10を筐体60に取り付ける際、例えば外側に曲げられた外側曲げ部31と内側に曲げられた内側曲げ部32と間に、筐体60の立上り部622の上端部分を当てた後、保護部材10を押し下げることで、圧接部30に立上り部622を圧接することができる。これによれば、作業者は、外側曲げ部31と内側曲げ部32との間に立上り部622の上端部分が当たった感触を頼りに、保護部材10を筐体60に取り付けることができる。したがって、視認性の悪い室外機50の背面下部に対する保護部材10の取り付け作業性を、より向上させることができる。
【0035】
更に、これによれば、作業者は、保護部材10の取り付け及び取り外しの際に、保護部材10の下端部を熱交換器51の表面に沿わせて上下方向へ移動させる必要がない。したがって、保護部材10と熱交換器51とが擦れて、熱交換器51が損傷してしまうことを極力低減することができる。
【0036】
また、内側曲げ部32は、第1湾曲部321と、第2湾曲部322と、を有している。第1湾曲部321は、室外機50の内側へ向かって突出するように湾曲し、立上り部622の厚み方向へ弾性変形可能に構成されている。第2湾曲部322は、第1湾曲部321の下側に設けられており、室外機50の外側へ向かって突出するように湾曲している。そして、第2湾曲部322と外側曲げ部31の直線部312とは、保護部材10が室外機50に取り付けられていない状態において、立上り部622の厚み方向において少なくとも一部が重なっている。これによれば、立上り部622を、外側曲げ部31の直線部312と内側曲げ部32の第2湾曲部322との間により強固に保持することができる。したがって、保護部材10が筐体60から外れてしまうことを確実に防止することができる。
【0037】
また、複数の第2湾曲部322のうち少なくとも1つは、立上り部622に形成された係止穴623に係止可能に構成されている。これによれば、保護部材10が筐体60から外れてしまうことを更に確実に防止することができる。
【0038】
また、本実施形態において、弾性変形可能な第1湾曲部321は、外側曲げ部31ではなく、内側曲げ部32に設けられている。これによれば、保護部材10を筐体60に取り付けた状態において、立上り部622に対する外側曲げ部31の外方への突出量を抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、第1湾曲部321及び第2湾曲部322を内側曲げ部32に設ける構成としたが、この構成に限られない。例えば第1湾曲部321及び第2湾曲部322を外側曲げ部31に設けても良い。この場合、第1湾曲部321は前方へ突出し、第2湾曲部322は後方へ突出する。また、この場合、第1曲げ部311、直線部312、及び第2曲げ部313を、内側曲げ部32に設ければ良い。
【0040】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
図面中、10は保護部材、11は縦条部材(条部材)、12は横条部材(条部材)、20は取り付け部、30は圧接部、31は外側曲げ部、32は内側曲げ部、321は第1湾曲部、322は第2湾曲部、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5