(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から9のいずれかに記載のコイルユニットと、レンズおよび撮像素子を有し前記コイル保持部材に固定されるカメラモジュールと、前記コイルユニットを揺動可能に保持する支持体と、前記支持体に固定され前記コイルに対向配置される駆動用磁石とを備えることを特徴とする撮影用光学装置。
請求項8記載のコイルユニットと、レンズおよび撮像素子を有し前記コイル保持部材に固定されるカメラモジュールと、前記コイルユニットを揺動可能に保持する支持体と、前記支持体に固定され前記コイルに対向配置される駆動用磁石とを備え、
前記コイル保持部材は、前記コイルの前記第1方向側に配置され前記カメラモジュールの揺動範囲を規制する規制部を備えることを特徴とする撮影用光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコイルユニットにおいて、一方の側面対の凸部に巻回されるコイルを第1コイルとし、他方の側面対の凸部に巻回されるコイルを第2コイルとすると、このコイルユニットでは、たとえば、2個の第1コイルが凸部に直接、巻回された後に、2個の第2コイルが凸部に直接、巻回される。この場合、2個の第1コイルを直列に接続する渡り線が適切に処理されていないと、この渡り線と第2コイルとが重なって、第2コイルを整然と巻回することができないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、コイルを保持するコイル保持部材の外周面に互いに平行な一対の側面からなる側面対が複数形成されるとともに、側面対を構成する2個の側面のそれぞれに取り付けられる2個のコイルが1本の導線によって構成されているコイルユニットにおいて、コイルを整然と巻回することが可能なコイルユニットを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるコイルユニットを備える撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のコイルユニットは、偶数個のコイルと、偶数個のコイルを保持するコイル保持部材とを備え、コイル保持部材の外周面には、互いに平行な一対の側面からなる側面対が形成されるとともに、コイル保持部材の外周面は、2個以上の側面対によって構成され、側面には、1個のコイルが直接巻回される凸部がコイル保持部材の外周側に突出するように形成されるとともに、凸部に巻回されるコイルの一端面が当接する当接面が形成され、側面対を構成する2個の側面の凸部のそれぞれに巻回される2個のコイルは、1本の導線によって構成されており、少なくとも1個の側面には、側面対を構成する一方の側面の凸部に巻回されるコイルと他方の側面の凸部に巻回されるコイルとを直列に接続する渡り線を引き回すためのコイル誘導部が当接面から窪むように形成され、コイル誘導部の、当接面からの窪み量は、導線の外径以上となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明のコイルユニットでは、コイル保持部材の外周面を構成する側面の少なくとも1個に、渡り線を引き回すためのコイル誘導部がコイルの当接面から窪むように形成されており、コイル誘導部の、当接面からの窪み量は、導線の外径以上となっている。そのため、本発明では、コイル誘導部が形成される側面の凸部に巻回されるコイルと渡り線とが凸部の突出方向で重なるように配置されていても、コイル誘導部が形成される側面の凸部に巻回されるコイルが渡り線に乗り上げるのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、凸部にコイルを整然と巻回することが可能になる。
【0008】
本発明において、たとえば、コイル保持部材の外周面は、2個の側面対によって構成され、2個の側面対のうちの一方の側面対を構成する一対の側面のそれぞれを第1側面とし、他方の側面対を構成する一対の側面のそれぞれを第2側面とし、第1側面の凸部に巻回されるコイルを第1コイルとし、第2側面の凸部に巻回されるコイルを第2コイルとし、2個の第1コイルを直列に接続する渡り線を第1渡り線とし、2個の第2コイルを直列に接続する渡り線を第2渡り線とすると、一対の第2側面のうちの少なくとも一方の第2側面に、第1渡り線を引き回すためのコイル誘導部が形成されている。
【0009】
この場合には、たとえば、第1渡り線は、一対の第2側面のうちの一方の第2側面に形成されるコイル誘導部を通過するように引き回され、第2渡り線は、2個の第1コイルのうちの一方の第1コイルの外周面に沿って引き回されている。この場合には、第2コイルが巻回される凸部の突出方向において、2個の第2コイルのうちの一方の第2コイルと第1渡り線とが重なるように配置されていても、この第2コイルが第1渡り線に乗り上げるのを防止することが可能になり、その結果、第2側面の凸部に第2コイルを整然と巻回することが可能になる。
【0010】
本発明において、コイル誘導部は、第1渡り線の一部が配置されるコイル誘導溝を備え、コイル誘導溝は、一対の第2側面のうちの一方の第2側面の凸部に沿って形成されていることが好ましい。このように構成すると、凸部を利用して、第1渡り線をコイル誘導溝に誘導しやすくなる。
【0011】
本発明において、コイル保持部材は、筒状に形成され、一対の第1側面および一対の第2側面の、コイル保持部材の周方向における少なくとも一端側には、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向の一方側から他方側へ渡り線を案内するためのガイド部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、2個の第1側面のうちの一方の第1側面の凸部に巻回される第1コイルの巻回方向と、他方の第1側面の凸部に巻回される第1コイルの巻回方向とが逆方向になっており、また、2個の第2側面のうちの一方の第2側面の凸部に巻回される第2コイルの巻回方向と、他方の第2側面の凸部に巻回される第2コイルの巻回方向とが逆方向になっていても、ガイド部を利用して渡り線を適切に案内することが可能になる。
【0012】
本発明において、コイル保持部材は、筒状に形成され、コイル保持部材には、導線の端部が絡げられる4個の絡げ部が形成され、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向から見たときのコイル保持部材の外周面の形状は、略矩形状となっており、4個の絡げ部のそれぞれは、軸方向から見たときのコイル保持部材の外周面の四隅のそれぞれから軸方向に直交する方向へ突出していることが好ましい。このように構成すると、たとえば、導線の端部が絡げられる金属製の端子ピンがコイル保持部材に差し込まれて固定される場合と比較して、コイルユニットの部品点数を削減することが可能になるとともに、コイルユニットの組立工程を簡素化することが可能になる。また、このように構成すると、コイル保持部材の軸方向へ絡げ部が突出している場合と比較して、凸部にコイルを巻回する巻線機の構成を簡素化することが可能になる。
【0013】
本発明において、絡げ部の先端の外形は、絡げ部の基端の外形よりも大きくなっており、絡げ部の先端側は、絡げ部に絡げられた導線の端部の、絡げ部の先端側への抜けを防止する抜け防止部となっていることが好ましい。このように構成すると、絡げ部に絡げられた導線の端部の、絡げ部の先端側への抜けを防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、軸方向の一方を第1方向とすると、コイル保持部材の第1方向側の端面に固定されるとともに、絡げ部に絡げられた導線の端部が半田付けされて固定される回路基板を備え、絡げ部は、コイル保持部材の第1方向端側に形成されていることが好ましい。このように構成すると、絡げ部に絡げられた導線の端部を、回路基板に形成される半田ランドに直接、半田付けすることが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、1個の絡げ部は、第2渡り線を案内する機能を果たしている。この場合には、絡げ部を利用して第2渡り線を適切に案内することが可能になる。
【0016】
本発明のコイルユニットは、レンズおよび撮像素子を有しコイル保持部材に固定されるカメラモジュールと、コイルユニットを揺動可能に保持する支持体と、支持体に固定されコイルに対向配置される駆動用磁石とを備える撮影用光学装置に用いることができる。この撮影用光学装置では、コイル誘導部が形成される側面の凸部に巻回されるコイルと渡り線とが凸部の突出方向で重なるように配置されていても、コイル誘導部が形成される側面の凸部に巻回されるコイルが渡り線に乗り上げるのを防止して、凸部にコイルを整然と巻回することが可能になる。
【0017】
また、本発明のコイルユニットは、レンズおよび撮像素子を有しコイル保持部材に固定されるカメラモジュールと、コイルユニットを揺動可能に保持する支持体と、支持体に固定されコイルに対向配置される駆動用磁石とを備える撮影用光学装置であって、コイル保持部材が、コイルの第1方向側に配置されカメラモジュールの揺動範囲を規制する規制部を備えている撮影用光学装置に用いることができる。この撮影用光学装置では、コイル誘導部が形成される側面の凸部に巻回されるコイルと渡り線とが凸部の突出方向で重なるように配置されていても、コイル誘導部が形成される側面の凸部に巻回されるコイルが渡り線に乗り上げるのを防止して、凸部にコイルを整然と巻回することが可能になる。また、この撮影用光学装置では、カメラモジュールの揺動範囲を規制する規制部がコイルの第1方向側に配置されているため、4個の絡げ部がコイル保持部材の外周面の四隅から軸方向に直交する方向へ突出しており、コイル保持部材の四隅において、絡げ部に絡げられた導線の端部が回路基板に半田付けされる場合であっても、コイルの第1方向側に配置される規制部によってカメラモジュールの揺動範囲を規制することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、コイルを保持するコイル保持部材の外周面に互いに平行な一対の側面からなる側面対が複数形成されるとともに、側面対を構成する2個の側面のそれぞれに取り付けられる2個のコイルが1本の導線によって構成されているコイルユニットにおいて、コイルを整然と巻回することが可能になる。また、本発明の撮影用光学装置では、コイルを整然と巻回することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(撮影用光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、
図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダ、または、監視カメラシステム、あるいは、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、撮影時に振れが発生した場合の撮像画像に乱れが発生することを回避するための振れ補正機能を備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略直方体状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成されるZX平面または前後方向と上下方向とから構成されるYZ平面と略平行になっている。
【0023】
撮影用光学装置1は、撮影用のレンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュール3と、可動モジュール3を揺動可能に保持する支持体4と、可動モジュール3と支持体4とを繋ぐバネ部材5と、可動枠6とを備えている。また、撮影用光学装置1は、支持体4に対して可動モジュール3を揺動させて撮影時の振れ等の振れを補正するための振れ補正機構7を備えている(
図2参照)。本形態では、上下方向は、可動モジュール3が揺動していないときの可動モジュール3の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、可動モジュール3の下端側に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。
【0024】
可動モジュール3は、全体として、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる略四角柱状に形成されている。この可動モジュール3は、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール8と、カメラモジュール8が固定されるホルダ9とを備えている。カメラモジュール8は、たとえば、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体と、この可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体と、可動体と保持体とを繋ぐ板バネと、可動体を光軸方向へ駆動するレンズ駆動機構とを備えている。すなわち、カメラモジュール8は、オートフォーカス機構を備えている。カメラモジュール8の下端側からは、フレキシブルプリント基板10が引き出されている。なお、カメラモジュール8は、オートフォーカス機構を備えていなくても良い。
【0025】
ホルダ9は、耐熱性および絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。このホルダ9は、筒状に形成されており、筒状に形成されるホルダ9の軸方向と光軸方向とが一致するように配置されている。ホルダ9の軸方向(光軸方向)から見たときのホルダ9の外周面の形状は略矩形状となっている。具体的には、光軸方向から見たときのホルダ9の外周面の形状は略正方形状となっている。カメラモジュール8は、ホルダ9によってカメラモジュール8の外周側が覆われるように、ホルダ9の内周側に固定されている。ホルダ9の上端側には、可動モジュール3のバランスを調整するための錘16、17が固定されている。本形態のホルダ9は、振れ補正機構7を構成する後述の振れ補正用コイル25、26を保持するコイル保持部材である。
【0026】
支持体4は、支持体4の上端側部分の前後左右の4つの側面を構成するケース体12と、支持体4の下端側部分を構成する下ケース体13およびカバー部材14と、支持体4の上端面を構成するカバー部材15とを備えている。本形態では、ケース体12は、撮影用光学装置1の上端側部分の前後左右の4つの側面を構成し、下ケース体13およびカバー部材14は、撮影用光学装置1の下端側部分を構成し、カバー部材15は、撮影用光学装置1の上端面を構成している。
【0027】
ケース体12は、略四角筒状に形成されている。このケース体12は、可動モジュール3および振れ補正機構7を外周側から覆うように配置されている。カバー部材15は、ケース体12の上端面に固定されている。このカバー部材15は、略正方形の平板状に形成される上面部15aと、上面部15aの下面から下側へ突出する突出部15bとから構成されている。上面部15aの中心には、円形の貫通孔15cが形成されている。突出部15bは、略正方形の枠状に形成されており、貫通孔15cの縁から下側へ突出している。下ケース体13は、略四角筒状に形成されている。カバー部材14は、下ケース体13の下端を覆う底面部14aと、下ケース体13の外周側を覆う4つの側面部14bとから構成されている。ケース体12の下端と下ケース体13の上端との間には、可動モジュール3の揺動範囲を規制するストッパ18が固定されている。
【0028】
バネ部材5は、板バネであり、平板状に形成されている。このバネ部材5は、可動モジュール3の上端側(具体的には、ホルダ9の上端側)に固定される可動側固定部と、支持体4の上端側(具体的には、カバー部材15の突出部15b)に固定される支持側固定部と、可動側固定部と支持側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えている。バネ部材5は、振れ補正機構7を構成する後述の振れ補正用コイル25、26に電流が供給されていないときに、可動モジュール3の姿勢を維持する機能を果たしている。
【0029】
可動枠6は、弾性部材であり、全体として板状に形成されるとともに、略正方形の枠状に形成されている。この可動枠6は、その4辺が前後方向または左右方向と略平行になるように配置されている。略正方形の枠状に形成される可動枠6の各辺の中心部には、前後方向または左右方向に対して蛇行する蛇行部が形成されている。可動枠6の四隅のそれぞれの内側には、球状に形成される球体20が固定されている。球体20は、金属材料で形成されており、レーザ溶接によって可動枠6に接合されている。
【0030】
4個の球体20のうち、可動枠6の一方の対角線上に配置される2個の球体20は、球体20を回動可能に支持する支持部材22に支持され、残りの2個の球体20は、球体20を回動可能に支持する支持部材23に支持されている。支持部材22、23は、薄い金属板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。支持部材22は、カバー部材15の突出部15bの下端側に固定されている。支持部材23は、ホルダ9の上端側に固定されている。
【0031】
支持部材22、23には、球体20の一部が配置される半球状の凹部が形成されている。支持部材22、23は、可動枠6の内周側から球体20を保持している。本形態では、可動モジュール3と支持体4との間にジンバル機構が構成されており、可動モジュール3は、ジンバル機構に用いた可動枠6を介して、支持体4に対して支持部材22で支持された第1軸線周りに揺動可能に支持されるとともに、支持部材23で支持された第2軸線周りに揺動可能に支持されている。
【0032】
振れ補正機構7は、ホルダ9の4つの側面のそれぞれに取り付けられるコイルとしての振れ補正用コイル25、26と、ケース体12の4つの内側面のそれぞれに取り付けられる駆動用磁石としての振れ補正用磁石27とを備えている。すなわち、振れ補正機構7は、4個の振れ補正用コイル25、26と、4個の振れ補正用磁石27とを備えている。振れ補正用磁石27は、長方形の平板状に形成されており、振れ補正用コイル25、26に対向するようにケース体12の内側面に固定されている。
【0033】
振れ補正用コイル25、26は、略長方形状の枠状に導線が巻回されることで形成されている。すなわち、振れ補正用コイル25、26は、略長方形の枠状に形成されている。振れ補正用コイル25と振れ補正用コイル26とは同形状に形成されている。本形態では、ホルダ9と、4個の振れ補正用コイル25、26と、後述のフレキシブルプリント基板37とによってコイルユニット35(
図4参照)が構成されている。このコイルユニット35は、支持体4に揺動可能に保持されている。コイルユニット35の詳細な構成については後述する。
【0034】
以上のように構成された撮影用光学装置1では、可動モジュール3の下端面に取り付けられるジャイロスコープ28(
図2参照)によって可動モジュール3の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープ28での検出結果に基づいて、振れ補正用コイル25、26に電流が供給される。また、振れ補正用コイル25、26に電流が供給されると、可動モジュール3は、ジンバル機構に用いた可動枠6を介して、支持体4に対して支持部材22で支持された第1軸線周りに揺動したり、支持部材23で支持された第2軸線周りに揺動したりして、振れが補正される。
【0035】
(コイルユニットの構成)
図4は、本発明の実施の形態にかかるコイルユニット35の斜視図である。
図5は、
図4に示すコイルユニット35の平面図である。
図6は、
図4に示すコイルユニット35から振れ補正用コイル26を取り外した状態の斜視図である。
図7は、
図4に示すホルダ9の斜視図である。
【0036】
コイルユニット35は、ホルダ9と、2個の振れ補正用コイル25と、2個の振れ補正用コイル26とを備えている。また、コイルユニット35は、振れ補正用コイル25、26の端部が電気的に接続される回路基板としてのフレキシブルプリント基板37(
図3参照)とを備えている。上述のように、振れ補正用コイル25、26は、略長方形の枠状に形成されており、2個の長辺部と、長辺部よりも短い2個の短辺部とから構成されている。なお、
図4、
図5では、フレキシブルプリント基板37の図示を省略している。
【0037】
ホルダ9は、上述のように、筒状に形成されている。具体的には、ホルダ9は、略円筒状に形成される内筒部9aと、略四角筒状に形成され内筒部9aの外周側に配置される外筒部9bと、内筒部9aの下端と外筒部9bの下端とを繋ぐ底部9cとから構成される二重筒状に形成されている。内筒部9aの内周側にはカメラモジュール8が固定されている。上述のように、光軸方向から見たときのホルダ9の外周面(具体的には、外筒部9bの外周面)は、略正方形状となっており、ホルダ9の外周面には、左右方向に略直交するとともに互いに平行な2個の側面9dと、前後方向に略直交するとともに互いに平行な2個の側面9eとが形成されている。
【0038】
すなわち、ホルダ9の外周面には、互いに平行な一対の側面9dからなる側面対と、互いに平行な一対の側面9eからなる側面対とが形成されており、ホルダ9の外周面は、2個の側面対によって構成されている。2個の側面対は、互いに直交するように配置されている。本形態の側面9dは、2個の側面対のうちの一方の側面対を構成する第1側面であり、側面9eは、他方の側面対を構成する第2側面である。
【0039】
側面9dには、1個の振れ補正用コイル25が直接巻回される凸部9gがホルダ9の外周側へ突出するように形成され、側面9eには、同様に、振れ補正用コイル26が直接巻回される凸部9gがホルダ9の外周側へ突出するように形成されている。すなわち、側面9dには、左右方向の外側へ突出する凸部9gが形成され、側面9eには、前後方向の外側へ突出する凸部9gが形成されている。本形態の振れ補正用コイル25は、第1側面である側面9dの凸部9gに巻回される第1コイルであり、振れ補正用コイル26は、第2側面である側面9eの凸部9gに巻回される第2コイルである。
【0040】
側面9dに形成される凸部9gは、左右方向から見たときの形状が前後方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする略長方形状(具体的には、四隅の丸みを有する略長方形状)となるように形成されている。側面9eに形成される凸部9gは、前後方向から見たときの形状が左右方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする略長方形状(具体的には、四隅の丸みを有する略長方形状)となるように形成されている。凸部9gの厚さ(側面9d、9eからの凸部9gの突出量)は、振れ補正用コイル25、26の厚さと等しくなっている。なお、凸部9gの突出方向における凸部9gの先端側には、ホルダ9の外周側へさらに突出する凸部9hが形成されている。
【0041】
また、側面9dには、凸部9gに巻回される振れ補正用コイル25の一端面が当接する平面状の当接面9fが形成され、側面9eには、同様に、凸部9gに巻回される振れ補正用コイル26の一端面が当接する平面状の当接面9fが形成されている。具体的には、略長方形の枠状に形成される振れ補正用コイル25、26の長辺に平行な方向と振れ補正用コイル25、26の短辺に平行な方向とに直交する方向を振れ補正用コイル25、26の厚さ方向とすると、側面9d、9eのそれぞれには、振れ補正用コイル25、26の厚さ方向の一端面が当接する当接面9fが形成されている。
【0042】
当接面9fは、側面9d、9eのそれぞれにおいて5箇所に形成されている。具体的には、
図7に示すように、当接面9fは、側面9d、9eのそれぞれにおいて、凸部9gの上側の2箇所と、ホルダ9の周方向における凸部9gの両側の2箇所と、凸部9gの下側の1箇所との合計5箇所に形成されている。側面9dに形成される当接面9fは、左右方向に直交する平面状に形成され、側面9eに形成される当接面9fは、前後方向に直交する平面状に形成されている。本形態では、凸部9gに振れ補正用コイル25、26を直接巻回できるように、側面9d、9eにおいて、凸部9gのみが当接面9fよりもホルダ9の外周側へ突出している。以下の説明では、ホルダ9の周方向を「周方向」とする。
【0043】
振れ補正用コイル25は、側面9dの凸部9gの側面に巻回され、振れ補正用コイル26は、側面9eの凸部9gの側面に巻回されている。振れ補正用コイル25、26は、たとえば、整列巻によって凸部9gの側面に巻回されている。また、振れ補正用コイル25、26は、振れ補正用コイル25、26の短辺方向と上下方向とが一致するように凸部9gに巻回されている。振れ補正用コイル25、26の内周面は全周に亘って、凸部9gの側面に接触している。具体的には、振れ補正用コイル25、26の内周面は全周に亘って、凸部9gの側面に密着している。
【0044】
左右方向の一方側から見たときに、2個の側面9dのうちの一方の側面9dの凸部9gに巻回される振れ補正用コイル25の巻回方向と、他方の側面9dの凸部9gに巻回される振れ補正用コイル25の巻回方向とは同じ方向になっている。同様に、前後方向の一方側から見たときに、2個の側面9eのうちの一方の側面9eの凸部9gに巻回される振れ補正用コイル26の巻回方向と、他方の側面9eの凸部9gに巻回される振れ補正用コイル26の巻回方向とは同じ方向になっている。
【0045】
2個の側面9dのそれぞれの凸部9gに巻回される2個の振れ補正用コイル25は、1本の導線によって構成され、2個の側面9eのそれぞれの凸部9gに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、1本の導線によって構成されている。すなわち、2個の振れ補正用コイル25は、連続する1本の導線によって構成され、2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成されている。また、2個の振れ補正用コイル25は、渡り線25aによって直列に接続され、2個の振れ補正用コイル26は、渡り線26a(
図4参照)によって、直列に接続されている。本形態の渡り線25aは、第1渡り線であり、渡り線26aは、第2渡り線である。
【0046】
ホルダ9には、可動モジュール3の揺動範囲を規制する(すなわち、カメラモジュール8の揺動範囲を規制する)規制部9jが形成されている。規制部9jは、ホルダ9の4箇所に形成されている。また、規制部9jは、4個の凸部9gのそれぞれの下側に形成されており、振れ補正用コイル25、26の下側に配置されている。また、規制部9jは、前後方向における側面9dの中心位置と、左右方向における側面9eの中心位置とに形成されている。規制部9jは、ホルダ9の下側の端面よりも下側へ突出している。本形態では、規制部9jの下端がストッパ18に接触することで、可動モジュール3の揺動範囲が規制される。
【0047】
また、ホルダ9には、振れ補正用コイル25を構成する導線の端部が絡げられる2個の絡げ部9kと、振れ補正用コイル26を構成する導線の端部が絡げられる2個の絡げ部9kとの合計4個の絡げ部9kが形成されている。絡げ部9kは、突起状に形成されている。4個の絡げ部9kのそれぞれは、
図5に示すように、上下方向から見たときのホルダ9の四隅のそれぞれ(すなわち、外筒部9bの四隅のそれぞれ)から上下方向に直交する方向に(すなわち、ホルダ9の外周側に向かって)突出している。具体的には、絡げ部9kは、カメラモジュール8のレンズの径方向の外側に向かって、かつ、前後方向および左右方向に対して45°傾いた方向へ突出している。また、絡げ部9kは、ホルダ9の下端側に形成されている。本形態の下方向(Z2方向)は、筒状に形成されるホルダ9の軸方向の一方である第1方向となっている。
【0048】
本形態では、左後ろ側に配置される絡げ部9k(
図5の左上側に配置される絡げ部9k)に2個の振れ補正用コイル25を構成する1本の導線の巻始め側の端部が巻回されて絡げられており、右前側に配置される絡げ部(
図5の右下側に配置される絡げ部9k)にこの導線の巻終わり側の端部が巻回されて絡げられている。また、左前側に配置される絡げ部9k(
図5の左下側に配置される絡げ部9k)に2個の振れ補正用コイル26を構成する1本の導線の巻始め側の端部が巻回されて絡げられており、右後ろ側に配置される絡げ部(
図5の右上側に配置される絡げ部9k)にこの導線の巻終わり側の端部が巻回されて絡げられている。
【0049】
絡げ部9kの先端の外形は、絡げ部9kの基端の外形よりも大きくなっており、絡げ部9kの先端側は、絡げ部9kに絡げられた導線の端部の、絡げ部9kの先端側への抜けを防止する抜け防止部9nとなっている。抜け防止部9nには、絡げ部9kの先端から基端に向かうにしたがって外形がしだいに小さくなるテーパー状のテーパー部が形成されている。
【0050】
図7に示すように、側面9d、9eの、凸部9gの下側に形成される当接面9fと凸部9gとの間には、渡り線25a、26aの一部を配置するためのコイル誘導溝9pが形成されている。コイル誘導溝9pは、当接面9fから窪むように形成されている。また、コイル誘導溝9pは、凸部9gの下側の側面に沿って形成されている。すなわち、側面9dに形成されるコイル誘導溝9pは、左右方向の内側に窪むとともに前後方向に細長い溝であり、側面9eに形成されるコイル誘導溝9pは、前後方向の内側に窪むとともに左右方向に細長い溝である。また、凸部9gの下側の側面がコイル誘導溝9pの上側の側面となっている。
【0051】
コイル誘導溝9pの、当接面9fからの窪み量は、振れ補正用コイル25、26を構成する導線の外径以上となっている。本形態では、コイル誘導溝9pの、当接面9fからの窪み量は、導線の外径とほぼ等しくなっている。また、コイル誘導溝9pの幅(上下方向の幅)は、導線の外径以上となっている。本形態では、コイル誘導溝9pの幅は、導線の外径とほぼ等しくなっている。
【0052】
側面9d、9eの、周方向におけるコイル誘導溝9pの両側には、当接面9fから窪む窪み部9rが形成されている。すなわち、側面9dでは、コイル誘導溝9pの前後方向の両側に窪み部9rが形成され、側面9eでは、コイル誘導溝9pの左右方向の両側に窪み部9rが形成されている。また、窪み部9rは、凸部9gの下側に配置される当接面9fの周方向の両側に形成されるとともに、周方向における凸部9gの両側に配置される当接面9fの下側に形成されている。コイル誘導溝9pの両端は、窪み部9rに通じている。
【0053】
窪み部9rの、当接面9fからの窪み量は、振れ補正用コイル25、26を構成する導線の外径以上となっている。具体的には、窪み部9rの、当接面9fからの窪み量は、コイル誘導溝9pの、当接面9fからの窪み量と等しくなっている。窪み部9rの上側の側面(すなわち、周方向において凸部9gの両側に配置される当接面9fと窪み部9rとの間の段差面)は、周方向の外側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜する傾斜面9sとなっている。
【0054】
側面9d、9eの、凸部9gの周方向の両側に配置される当接面9fの上側には、当接面9fから窪む窪み部9tが形成されている。すなわち、側面9dの前後方向の両端側と側面9eの左右方向の両端側とには、当接面9fから窪む窪み部9tが形成されている。窪み部9tは、凸部9gの上側に配置される当接面9fの下側に形成されている。窪み部9tの、当接面9fからの窪み量は、窪み部9rの、当接面9fからの窪み量と等しくなっている。
【0055】
窪み部9tの下側の側面(すなわち、周方向において凸部9gの両側に配置される当接面9fと窪み部9tとの間の段差面)は、周方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面9uとなっている。傾斜面9uの傾斜角度は、傾斜面9sの傾斜角度とほぼ等しくなっている。また、側面9dに形成される傾斜面9uは、周方向において、側面9eに形成される傾斜面9sの略延長線上に配置され、側面9eに形成される傾斜面9uは、周方向において、側面9dに形成される傾斜面9sの略延長線上に配置されている。
【0056】
本形態では、1つの側面9dまたは側面9eに形成されるコイル誘導溝9pと2個の窪み部9rとによって、渡り線25a、26aを引き回すためのコイル誘導部9vが構成されている。すなわち、側面9d、9eには、渡り線25a、26aを引き回すためのコイル誘導部9vが当接面9fから窪むように形成されており、コイル誘導部9vの、当接面9fからの窪み量は、導線の外径以上となっている。
【0057】
また、本形態では、周方向において凸部9gの両側に配置される当接面9fの1つを上下方向で挟むように配置される傾斜面9sと傾斜面9uとによって、渡り線25a、26aを下側から上側へ(あるいは、上側から下側へ)案内するためのガイド部9wが構成されている。すなわち、周方向における側面9d、9eの両端側には、ガイド部9wが形成されている。
【0058】
フレキシブルプリント基板37は、ホルダ9の下側の端面に固定される固定部37aと、固定部37aから引き出される引き出し部37bとを備えている(
図3参照)。固定部37aは、たとえば、接着剤によってホルダ9の下側の端面に固定されている。固定部37aの上面には、絡げ部9kに絡げられた振れ補正用コイル25、26の導線の端部が半田付けされて固定される半田ランドが形成されている。この半田ランドは、4箇所に形成されており、4個の半田ランドのそれぞれには、振れ補正用コイル25の導線の巻始め側の端部、この導線の巻終わり側の端部、振れ補正用コイル26の導線の巻始め側の端部、および、この導線の巻終わり側の端部のそれぞれが直接、半田付けされる。本形態では、半田ランドに塗布される半田ペーストを用いて、絡げ部9kに絡げられた振れ補正用コイル25、26の導線の端部が半田ランドに半田付けされている。
【0059】
(振れ補正用コイルの巻回方法)
図8は、
図4に示すホルダ9に振れ補正用コイル25、26を巻回する巻線装置41の概略図である。以下の説明では、
図5の時計回りの回転方向を「時計方向」とし、
図5の反時計回りの回転方向を「反時計方向」とする。
【0060】
ホルダ9の凸部9gへの振れ補正用コイル25、26の巻線は、巻線装置41を用いて行われる。
図8に示すように、巻線装置41は、ホルダ9が固定される本体部42と、本体部42を回転させる回転機構(図示省略)と、導線を供給する供給ノズル43と、本体部42と一緒に回転する従属ヘッド44とを備えている。本体部42は、ホルダ9が搭載されるホルダ搭載部45と、ホルダ搭載部45との間にホルダ9を挟んでホルダ9を固定するためのクランプ部46と、
図8の上下方向を回動の軸方向とするホルダ搭載部45の回動が可能となるようにホルダ搭載部45を保持するとともに
図8の上下方向へのクランプ部46の移動が可能となるようにクランプ部46を保持するベース部47とを備えている。本体部42は、
図8の左右方向を回転の軸方向として回転可能となっている。
【0061】
従属ヘッド44は、
図8の左右方向へ直線的に移動可能となっている。また、従属ヘッド44は、
図8の左右方向を回転の軸方向として回転可能となっている。従属ヘッド44には、従属ヘッド44を回転させる回転機構が連結されており、本体部42と従属ヘッド44とが同期して回転する。また、従属ヘッド44には、ホルダ9の凸部9gの先端面に接触する平面状の接触面44aが形成されている。接触面44aには、凸部9hが入り込む凹部が形成されている。
【0062】
巻線装置41を用いて振れ補正用コイル25、26を凸部9gに巻回するときには、まず、ホルダ搭載部45にホルダ9を搭載し、ベース部47に対してホルダ搭載部45を所定方向へ所定の角度、回動させてからクランプ部46でホルダ9を固定する。その後、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42を回転させて、振れ補正用コイル25の導線の巻始め側の端部を絡げ部9kに絡げる。その後、ベース部47に対してホルダ搭載部45を時計方向へ45°回動させてから、従属ヘッド44の凹部の中に凸部9hが配置されるとともに接触面44aが凸部9gの先端面に押し当てられるように従属ヘッド44を移動させる。この状態で、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42と従属ヘッド44とを一緒に回転させて、2個の側面9dのうちの一方の側面9dの凸部9gに振れ補正用コイル25を巻回する。
【0063】
一方の側面9dの凸部9gに振れ補正用コイル25が巻回されると、接触面44aが凸部9gの先端面から離れるように従属ヘッド44を退避させてから、ベース部47に対してホルダ搭載部45を時計方向へ180°回動させる。このときには、2個の側面9eのうちの一方の側面9eに形成されるコイル誘導部9vを通過するように渡り線25aが引き回される。具体的には、一方の側面9dの凸部9gに巻回された振れ補正用コイル25の下端側から引き出された渡り線25aは、
図6に示すように、一方の側面9eの一方の窪み部9rを通過し、コイル誘導溝9pを通過した後、他方の窪み部9rの傾斜面9sに接触するように傾斜面9sに沿って引き回される。また、傾斜面9sを通過した渡り線25aは、他方の側面9dの一方の窪み部9tの傾斜面9uに接触するように傾斜面9uに沿って引き回される。
【0064】
その後、従属ヘッド44の凹部の中に他方の側面9dの凸部9hが配置されるとともに接触面44aが凸部9gの先端面に押し当てられるように従属ヘッド44を移動させる。この状態で、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42と従属ヘッド44とを一緒に回転させて、他方の側面9dの凸部9gに振れ補正用コイル25を巻回する。他方の側面9dの凸部9gに振れ補正用コイル25が巻回されると、接触面44aが凸部9gの先端面から離れるように従属ヘッド44を退避させてから、ベース部47に対してホルダ搭載部45を反時計方向へ45°回動させる。その後、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42を回転させて、振れ補正用コイル25の導線の終わり側の端部を絡げ部9kに絡げる。
【0065】
2個の振れ補正用コイル25の巻回が完了とすると、ベース部47に対してホルダ搭載部45を反時計方向へ90°回動させた後、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42を回転させて、振れ補正用コイル26の導線の巻始め側の端部を絡げ部9kに絡げる。その後、ベース部47に対してホルダ搭載部45を時計方向へ45°回動させてから、従属ヘッド44の凹部の中に凸部9hが配置されるとともに接触面44aが凸部9gの先端面に押し当てられるように従属ヘッド44を移動させる。この状態で、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42と従属ヘッド44とを一緒に回転させて、2個の側面9eのうちの一方の側面9eの凸部9gに振れ補正用コイル26を巻回する。
【0066】
一方の側面9eの凸部9gに振れ補正用コイル26が巻回されると、接触面44aが凸部9gの先端面から離れるように従属ヘッド44を退避させてから、ベース部47に対してホルダ搭載部45を時計方向へ180°回動させる。このときには、他方の側面9dの凸部9gに巻回される振れ補正用コイル25の外周面に沿って渡り線26aが引き回される。具体的には、一方の側面9eの凸部9gに巻回された振れ補正用コイル26の下端側から引き出された渡り線26aは、
図4に示すように、振れ補正用コイル25の導線の終わり側の端部が絡げられた絡げ部9kの上側を通過し、他方の側面9dの一方の窪み部9rを通過してから、他方の側面9dの凸部9gに巻回される振れ補正用コイル25の下面に接触するようにこの振れ補正用コイル25の下側を通過した後、他方の窪み部9rを通過するように引き回される。また、他方の窪み部9rを通過した渡り線26aは、他方の側面9eの一方の窪み部9tの傾斜面9uに接触するように傾斜面9uに沿って引き回される。
【0067】
その後、従属ヘッド44の凹部の中に他方の側面9eの凸部9hが配置されるとともに接触面44aが凸部9gの先端面に押し当てられるように従属ヘッド44を移動させる。この状態で、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42と従属ヘッド44とを一緒に回転させて、他方の側面9eの凸部9gに振れ補正用コイル26を巻回する。他方の側面9eの凸部9gに振れ補正用コイル26が巻回されると、接触面44aが凸部9gの先端面から離れるように従属ヘッド44を退避させてから、ベース部47に対してホルダ搭載部45を反時計方向へ45°回動させる。その後、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42を回転させて、振れ補正用コイル26の導線の終わり側の端部を絡げ部9kに絡げる。
【0068】
このように本形態では、2個の側面9dおよび2個の側面9eのそれぞれに、渡り線25a、26aを引き回すためのコイル誘導部9vが形成されているが、一方の側面9eのコイル誘導部9vのみが渡り線25aの引き回しに利用されている。また、本形態では、振れ補正用コイル25の導線の終わり側の端部が絡げられた絡げ部9kは、渡り線26aを案内する機能を果たしている。すなわち、本形態では、1個の絡げ部9kが渡り線26aを案内する機能を果たしている。
【0069】
なお、ホルダ9が搭載されたホルダ搭載部45を回動させるときには、ホルダ9が搭載されたホルダ搭載部45の回動が可能となるように、クランプ部46を退避させる。また、本形態では、振れ補正用コイル25、26を構成する導線は融着被膜を有する融着線であり、振れ補正用コイル25、26を凸部9gに巻回した後、ホルダ9と一緒に振れ補正用コイル25、26を加熱して、導線同士を融着させる。
【0070】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、側面9d、9eに渡り線25a、26aを引き回すためのコイル誘導部9vが当接面9fから窪むように形成されており、コイル誘導部9vの、当接面9fからの窪み量は、振れ補正用コイル25、26の導線の外径以上となっている。また、本形態では、一方の側面9eに形成されるコイル誘導部9vが渡り線25aの引き回しに利用されている。そのため、本形態では、一方の側面9eに巻回される振れ補正用コイル26と渡り線25aとが前後方向で重なるように配置されていても、一方の側面9eに巻回される振れ補正用コイル26が渡り線25aに乗り上げるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、一方の側面9eの凸部9gに振れ補正用コイル26を整然と巻回することが可能になる。
【0071】
本形態では、周方向における側面9d、9eの両端側に渡り線25a、26aを下側から上側へ案内するためのガイド部9wが形成されている。そのため、本形態では、左右方向の一方側から見たときに2個の振れ補正用コイル25の巻回方向が同じになっていても、また、前後方向の一方側から見たときに、2個の振れ補正用コイル26の巻回方向が同じになっていても、ガイド部9wを利用して渡り線25a、26aを適切に案内することが可能になる。また、本形態では、コイル誘導溝9pは、凸部9gの下側の側面に沿って形成されているため、凸部9gを利用して、渡り線25aをコイル誘導溝9pに誘導しやすくなる。
【0072】
本形態では、ホルダ9の四隅のそれぞれから外周側へ突出する絡げ部9kがホルダ9に形成されている。そのため、本形態では、たとえば、振れ補正用コイル25、26の導線の端部が絡げられる金属製の端子ピンがホルダ9に差し込まれて固定される場合と比較して、コイルユニット35の部品点数を削減することが可能になるとともに、コイルユニット35の組立工程を簡素化することが可能になる。また、本形態では、絡げ部9kが下側に突出している場合と比較して、巻線機41の構成を簡素化することが可能になる。すなわち、絡げ部9kが下側に突出している場合には、
図8の紙面垂直方向を回動の軸方向として本体部42を回動させる機構が必要になるが、本形態では、この機構が不要になるため、巻線機41の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、絡げ部9kが前後方向および左右方向に対して45°傾いた方向へ突出しているため、凸部9gに巻回される振れ補正用コイル25、26と絡げ部9kとの干渉を防止することが可能になる。
【0073】
本形態では、絡げ部9kがホルダ9の下端側に形成されており、フレキシブルプリント基板37の固定部37aがホルダ9の下側の端面に固定されている。また、本形態では、絡げ部9kに絡げられた導線の端部が、固定部37aに形成される半田ランドに直接、半田付けされている。そのため、本形態では、絡げ部9kに絡げられた導線の端部と半田ランドとの電気的な接続作業が容易になる。
【0074】
本形態では、ホルダ9に、可動モジュール3の揺動範囲を規制する規制部9jが形成されており、規制部9jは、振れ補正用コイル25、26の下側に配置されている。そのため、本形態では、ホルダ9の四隅のそれぞれにおいて、絡げ部9kに絡げられた導線の端部と固定部37aに形成される半田ランドとが半田付けされる場合であっても、振れ補正用コイル25、26の下側に配置される規制部9jを用いて可動モジュール3の揺動範囲を規制することが可能になる。
【0075】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0076】
上述した形態では、2個の側面9dおよび側面9eのそれぞれに、渡り線25a、26aを引き回すためのコイル誘導部9vが形成されているが、少なくとも、渡り線25aが引き回される一方の側面9eにコイル誘導部9vが形成されていれば良い。また、上述した形態では、2個の側面9dおよび側面9eのそれぞれの周方向における両端側にガイド部9wが形成されているが、2個の側面9d、9eのそれぞれの周方向における一端側であって渡り線25a、26aが通過する側のみにガイド部9wが形成されていても良い。この場合には、渡り線25a、26aが接触する傾斜面9sまたは傾斜面9uのみによってガイド部9wが構成されていても良い。
【0077】
ただし、上述した形態のように、2個の側面9d、9eのそれぞれにコイル誘導部9vが形成され、2個の側面9d、9eのそれぞれの周方向における両端側にガイド部9wが形成されていると、4個の凸部9gに対する振れ補正用コイル25、26の巻回順序や巻回方向を任意に選択することが可能になるため、ホルダ9の汎用性が高くなる。なお、ホルダ9にガイド部9wが形成されていなくても良い。
【0078】
上述した形態では、コイル誘導溝9pは、凸部9gの下側の側面に沿って形成されているが、コイル誘導溝9pは、凸部9gの下側の側面から離れた位置に形成されていても良い。また、上述した形態では、ホルダ9に絡げ部9kが形成されているが、絡げ部9kが形成されていなくても良い。この場合には、たとえば、金属製の端子ピンがホルダ9に差し込まれて固定される。
【0079】
上述した形態では、側面9d、9eに、1個の凸部9gが形成され、1個の凸部9gに1個の振れ補正用コイル25、26が巻回されているが、側面9d、9eに、1個の振れ補正用コイル25、26が巻回される2個以上の凸部が形成されても良い。この場合、側面9dには、前後方向で互いに間隔をあけた状態で2個以上の凸部が形成され、側面9eには、左右方向で互いに間隔をあけた状態で2個以上の凸部が形成される。
【0080】
上述した形態では、光軸方向から見たときのホルダ9の外周面の形状は、略矩形状となっているが、光軸方向から見たときのホルダ9の外周面の形状は、略正六角形状や略正八角形状等となっていても良い。また、上述した形態では、コイルユニット35は、撮影用光学装置1に搭載されているが、コイルユニット35は、撮影用光学装置1以外の装置に搭載されても良い。すなわち、本発明におけるコイルは、振れ補正用コイル25、26以外のコイルであっても良い。