(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記平面状コイルは、発生させる磁束のうち向きが同一方向の磁束だけが、前記収納部に収納された前記電子ペンの前記位置指示用コイルに対して鎖交する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
前記平面状コイルは、前記電子ペンが前記収納部に収納された場合において、当該平面状コイルの一部分を通る前記中心軸方向に、前記電子ペンの前記位置指示用コイルの一部が位置することになる位置に、あるいは、当該平面状コイルの一部に偏った位置に、前記電子ペンの前記位置指示用コイルが位置することになる位置に、配置されることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
第1の方向に配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向と交差する第2の方向に配設された複数の第2のループコイルを有し、前記電子ペンによって指示される位置を検出する位置検出センサと、
複数の前記第1のループコイルと複数の前記第2のループコイルの内、信号を送信するループコイルを特定して信号を供給するように制御し、信号を受信するループコイルを特定して信号を受信するように制御する第2の制御手段と、
信号を受信するコイルとして特定したコイルからの信号に基づいて、前記位置検出センサ上の前記電子ペンによる指示位置を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段により、前記電子ペンが前記収納部に収納されている状態であることが検出されている場合には、少なくとも前記第2の制御手段を制御して、前記位置検出センサを通じた前記電子ペンによって指示される位置の検出を行わないように制御する位置検出制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しながら、この発明の装置、方法の一実施の形態について説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
[電子機器の具体例]
この発明に係る位置検出装置と、当該位置検出装置に対して用いられる電子ペン(ペン型の位置指示器)とからなる入力装置が搭載されて構成された電子機器の一例を、
図1を参照して説明する。この例の電子機器は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置を備えるタブレットPCや高機能携帯電話端末であり、位置検出装置が搭載された電子機器本体1と、電子ペン2とからなる。
【0021】
電子機器本体1は、筐体1Aとフロントパネル1Fとの間にLCD、検出方式の異なる2つの位置検出センサ、マザーボードなどが積層(重畳配置)されて構成される。この実施形態において、検出方式の異なる2つの位置検出センサは、1つは電磁誘導方式の位置検出センサであり、もう1つは静電容量方式の位置検出センサである。
【0022】
フロントパネル1Fには開口部1FWが設けられている。当該開口部1FWは、LCDの表示画面の表示領域と、電子ペン2などを用いた使用者による入力を受け付ける操作領域と同じ大きさに設定されている。また、電子機器本体1の筐体1Aには、後述する電子ペン2を収納する収納部11が設けられており、電子ペン2を使用しない場合には、電子ペン2を当該収納部11に収納しておくようにされる。
【0023】
電子ペン2は、電磁誘導方式の位置検出センサを通じての情報の入力に用いられる。使用者は、必要に応じて、収納部11に収納されている電子ペン2を取り出して、操作領域1FW上で位置指示操作を行う。電子ペン2は、例えば、図や絵を入力するなど、細かな情報の入力を行う場合に用いて好適なものである。
【0024】
また、電子機器本体1は、静電容量方式の位置検出センサが搭載されており、使用者が手の指を操作領域1FW上に接触させることにより、描画や手書き文字の入力や、アイコンや表示ボタンの選択などの操作が行えるようになっている。
【0025】
そして、電子機器本体1の操作領域1FW上で、電子ペン2により操作がされたとする。この場合、電子機器本体1の内部に設けられた電磁誘導方式の位置検出センサにより、電子ペン2で操作された位置及び筆圧が検出され、これに応じて電子機器本体1の表示等制御回路(マイクロコンピュータ)は、LCDの表示画面への表示処理を制御する。
【0026】
同様に、当該電子機器において、電子機器本体1の操作領域1FW上で、使用者の手の指等により操作がされたとする。この場合、電子機器本体1の内部に設けられた静電容量方式の位置検出センサにより、指等による指示位置が検出され、これに応じて電子機器本体1の表示等制御回路は、LCDの表示画面への表示処理を制御する。
【0027】
電子ペン2は、上述したように、電磁誘導方式の位置検出センサに対して機能するものであり、詳しくは後述するが、共振回路を構成するコイル21とコンデンサ(キャパシタ素子)とが搭載されている。コイル21は、位置検出センサとの間で信号を送受信するものであり、位置指示用コイルである。そして、この実施の形態の電子機器本体1の場合、
図1に示すように、収納部11の下側であって、電子ペン2が収納されたときに、電子ペン2に内蔵されているコイル21の近傍に平面状コイル160が設けられている。
【0028】
この平面状コイル160と電子ペン2のコイル21との間で電磁誘導による信号の送受を行うようにし、電子ペン2のコイル21からの送信信号の有無に応じて、電子ペン2の収納部11での挿抜の状態が検知できる。すなわち、収納部11に電子ペンが収納されているのか、収納されていないのかを検知できる。そして、収納部11に電子ペン2が収納されている場合には、電磁誘導方式の位置検出センサを用いては、電子ペン2による指示位置の検出を行わないようにして、当該電子機器本体1における消費電力の省力化を実現できるようにしている。
【0029】
また、平面状コイル160を用いることで、収納部11への電子ペンの挿抜の状態を、メカニカルスイッチを設けて検知する場合に比べて、隙間を生じさせないようにすることが簡単にでき、容易に防水仕様にすることができる。また、収納部11への電子ペンの挿抜の状態を、収納部11の近傍に磁気センサを設け、電子ペンに磁石を搭載して行う場合と異なり、位置検出センサなどに磁石が影響を及ぼす心配もない。また、収納部11への電子ペンの挿抜の状態を、収納部11螺旋状のコイルを設けて行う場合に比べて、製造工程を簡単にすることができ、また、電子機器本体1の薄型化にも資することができる。
【0030】
[電子ペンの構成例]
次に、
図1に示した電子機器本体1に搭載された電磁誘導方式の位置検出センサに対して位置指示を行う電子ペン2の構成例について説明する。
図2は、この実施形態の電子ペン2の構成例を説明するための図であり、
図2(A)は電子ペン2の断面図を、
図2(B)は電子ペン2の等価回路を示している。
【0031】
図2に示すように、電子ペン2は、筐体23内に、電子ペン機能を実現するための種々の部材が搭載されて構成される。フェライトコア22は、例えば円柱状のフェライト材料に、例えば樹脂等により形成される棒状の芯体24を挿通するための所定の径(例えば径=1mm)の軸心方向の貫通孔が、軸心方向の中心線を含む位置に形成されたものである。
【0032】
フェライトコア22の貫通孔には、芯体24がフェライトコア22を貫通するように挿入される。すなわち、芯体24は、フェライトコア22の軸心方向の長さよりも長いものである。また、フェライトコア22の当該貫通孔に挿入される芯体24の部分は、当該貫通孔の径よりもやや短い径を有するものであり、当該貫通孔内を軸心方向に摺動移動することができるようにされる。なお、芯体24のペン先となる端部部分は、フェライトコア22の貫通孔の径よりも長い径を有すると共に、先端部が半球状に加工され、タッチパネルなどの操作面上において、スムーズに移動させることができるようにしたものである。
【0033】
そして、
図2(A)に示すように、フェライトコア22の軸心方向の中心を含む所定の長さの部分は、軸心方向に沿ってコイル21が巻回されたコイル巻回部となり、その両側の部分はコイルが巻回されていないコイル非巻回部となっている。すなわち、フェライトコア22をその軸心方向に見たとき、ペン先側の端部から、コイル巻回部のペン先側の端部までの部分は、コイルが巻回されない第1のコイル非巻回部とされ、また、コイル巻回部の他方の端から、フェライトコア22のペン先側とは反対の端部までの部分は、コイル21が巻回されない第2のコイル非巻回部とされる。
【0034】
フェライトコア22に巻回されたコイル21の両端からの延伸線(導体線)21a,21bは、筐体23の内側を、後述するプリント基板26まで延伸されて、プリント基板26に設けられているコンデンサCfに接続される。これにより、コイル21とプリント基板26上のコンデンサCfとによって共振回路を構成し、後述する電磁誘導方式の位置検出装置との間において、電磁誘導により相互に信号を送受することができる。
【0035】
そして、芯体24のペン先とは反対側には、モールド部25A、筆圧検出部25B、嵌合部25C、接続端子部25Dからなる接続部25が設けられる。この接続部25は、コイル21とフェライトコア22と芯体24とからなるペン先側の部分と、後述するプリント基板26及び基板保護パイプ27とを一体的に接続する部分である。モールド部25Aは、樹脂等により円筒状に構成された部分であり、モールド部25Aのフェライトコア22側の端面の外周は、フェライトコア22のコイル巻回部の外周よりもやや大きくなっている。そして、モールド部25Aのフェライトコア22と対向する端面側にはフェライトコア22の第2のコイル非巻回部が嵌合する凹部が設けられている。
【0036】
更に、モールド部25Aの内部には、
図2(A)に示すように、芯体保持部A1、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5が設けられている。これらの各部が、モールド部25Aと、後述する嵌合部25Cとによって挟み込まれ、筆圧を検出する筆圧検出部25Bとなる。
【0037】
具体的に、芯体保持部A1は、例えば硬質ゴム等によりカップ状に形成され、芯体24のペン先側とは反対側の端部部分が差し込まれて、これを保持する。芯体保持部A1の芯体24とは反対側の底面部は球面状に形成されている。そして、芯体保持部A1は、芯体24に加えられる筆圧に応じて導電ゴムA2を押圧する押圧部として機能する。
【0038】
導電ゴムA2は、所定の厚みを有すると共に、誘電体A4の対向する面と同じ形状、同じ大きさのものである。そして、導電ゴムA2のペン先側の面は、芯体保持部A1の球面状に形成された底面部と対向し、他方の面はリングスペーサA3を介して誘電体A4の一の面と対向する。
【0039】
リングスペーサA3は、リング状に形成された部材であり、導電ゴムA2と誘電体A4のペン先側の面との間に、リングスペーサA3の厚み分だけ空隙を設け両者を乖離させる(離れさせる)ものである。誘電体A4は、例えばセラミックなどの導電性よりも誘電性が優位な物質により形成され、直流電圧に対しては電気を通さない絶縁体としてふるまうものである。誘電体A4の他の面には、所定の面積を有する端子部材A5が貼付するようにして設けられている。このように、導電ゴム(第1の電極)A2と端子部材(第2の電極)A5とが、誘電体A4を挟み込むことにより、可変容量コンデンサを構成している。
【0040】
すなわち、芯体24のペン先に加えられる筆圧に応じて、芯体24は軸心方向に上げ下げするように摺動移動する。これに連動し、芯体保持部A1が導電ゴムA2を押し上げたり、下げたりする。導電ゴムA2と誘電体A4との間にはリングスペーサA3により空隙が設けられているので、導電ゴムA2は、芯体24に加えられる筆圧に応じて、誘電体A4に近づいて接触して、その接触面積を変化させる。これにより、誘電体A4を挟む導電ゴムA2と端子部材A5との間の静電容量が筆圧に応じて変化する。なお、筆圧が加えられていない時には、導電ゴムA2は、リングスペーサA3の存在により誘電体A4から離れる。
【0041】
そして、導電ゴムA2に接続された導電線と、端子部材A5に接続された導電線とが、例えば、モールド部25Aと嵌合部25Cの外側を通り、後述する接続端子部25Dの端子に接続され、接続端子部25Dの端子を通じて後述するプリント基板26の電子回路に接続される。これにより、プリント基板26の電子回路部において、芯体24に加えられる筆圧を、上述したように構成される可変容量コンデンサの静電容量の変化として検出できる。
【0042】
この例において、芯体保持部A1、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5により構成される筆圧検出部25Bは、例えば特許文献:特開平5−275283号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出手段と同様のものである。また、筆圧検出部25Bは、特開2011−186803号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出手段と同様に構成することもできる。また、例えば、特開2013−161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする半導体素子を用いた構成することもできる。
【0043】
嵌合部25Cは、後述する基板保護パイプ27と嵌合する部分である。嵌合部25Cは、樹脂や硬質ゴムなどにより例えば略円筒状に形成され、モールド部25Aと強固に嵌合して一体的になっている。これにより、上述もしたように、モールド部25Aと嵌合部25Cとによって、芯体保持部A1、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5が挟みこまれ、これらの部材から構成される筆圧検出部25Bが、筐体23内に安定に保持される。
【0044】
そして、嵌合部25Cの内側には、後述するプリント基板26の先端部が嵌合する凹部が設けられている。なお、嵌合部25Cの外径は、基板保護パイプ27の内径よりやや長くなっており、基板保護パイプ27と強固に嵌合できるようになっている。そして、嵌合部25Cに基板保護パイプ27を嵌合させた場合には、基板保護パイプ27の外周が、嵌合部25Cやモールド部25Aの外周と一致するようになっている。
【0045】
接続端子部25Dは、
図2(A)に示すように、嵌合部25Cに連結する上下に2枚の板部からなる部分である。この板部が後述するプリント基板26を挟み込むようになっている。この場合、上下に2枚の板部の間隔は、プリント基板26の厚みよりもやや狭くなっており、プリント基板26を挟持できるようになっている。
【0046】
そして、これら2枚の板部の一方、例えば、
図2(A)において上側の板部には、上述した導電ゴムA2と、端子部材A5からの導電線が接続された端子が、上側の面から回路基板側の端面を巻き込んで下側の面にまで至るように設けられている。これにより、接続端子部25Dにプリント基板26を差し込んだ時に、プリント基板26に設けられている電子回路の端子部と自動的に接続されるようになっている。
【0047】
プリント基板26は、長方形状の絶縁基板上に上述した電子回路への端子や当該電子回路を構成する種々の回路部品が搭載され、それらを接続する配線が設けられて形成される。種々の回路部品には、制御回路として機能するIC(Integrated Circuit)、複数のコンデンサCfなどが含まれる。プリント基板26は、
図2(A)に示すように、基板保護パイプ27の内部に収納されて保護される。
【0048】
基板保護パイプ27は、金属、カーボン素材、合成樹脂などが用いられて形成され、折れたり曲がったりしにくい硬質管状部材である。基板保護パイプ27は、その両端に、芯体側開口部と後端側開口部とを有している。これら芯体側開口部と後端側開口部とは、軸心方向と交差する方向の開口部である。そして、芯体側開口部から基板保護パイプ27の内側の所定範囲の部分に、接続部25の嵌合部25Cが差し込まれて両者が嵌合する。同様に、後端側開口部から基板保護パイプ27の内側の所定範囲の部分に、パイプ蓋28が差し込まれて両者が嵌合する。このパイプ蓋28にも、プリント基板26の端部が差し込まれる凹部が設けられている。
【0049】
これにより、コイル21が巻回されたフェライトコア22に芯体24が挿通されたペン先側の部分と、接続部25と、プリント基板26を収納した基板保護パイプ27と、パイプ蓋28とが一体的に接続されて、筐体23内に収納されて、電子ペン2が構成される。
【0050】
そして、この実施形態の電子ペン2の等価回路は、
図2(B)に示すものとなる。すなわち、コイル21と、可変容量コンデンサの構成とされた筆圧検出部25Bと、プリント基板26上のコンデンサCfとが並列に接続されて共振回路を構成する。これにより、後述する電磁誘導方式の位置検出センサを備えた位置検出装置との間で、信号の送受を行うことができるようにされる。
【0051】
さらに、この実施形態の電子ペン2は、電子機器本体1の電子ペン2が収納される収納部11の近傍に設けられる平面状コイル160との間で電磁誘導による信号の送受を行うことができる。これにより、電子機器本体1において、収納部11に電子ペン2が収納しされているか否かを適切に検知し、上述もしたように、電子ペン2が収納部11に収納されている場合には、電磁誘導方式の位置検出装置での指示位置の検出は行わないように制御できるようにしている。
【0052】
[電磁誘導授受方式の座標検出センサの概要]
次に、
図2を用いて説明した電磁誘導授受方式の電子ペン2を用いた指示位置および筆圧の検出(検知)を行う電磁誘導授受方式の位置検出装置100の実施形態の回路構成例について説明する。
図3は、電子ペン2の概略構成及び位置検出装置100の回路構成例を示すブロック図である。上述もしたように、電子機器本体1には、電磁誘導方式の位置検出装置と静電結合方式の位置検出装置とが搭載されるが、
図3に示す位置検出装置100が、電磁誘導方式の位置検出装置として電子機器本体1に搭載される。
【0053】
電子ペン2は、
図2(A)を用いて説明したように、コイル21が巻回されたフェライトコア22の軸心を含む位置に軸心に沿って設けられた貫通孔に芯体24を貫通させたペン先部を有する。そして、
図2(A)、(B)を用いて説明したように、電子ペン2のコイル21は、筆圧検出部25Bやプリント基板26のコンデンサCfと接続されて共振回路を構成している。
【0054】
一方、位置検出装置100は、電子ペン2による指示位置と電子ペン2にかけられている筆圧とを検出する位置検出回路部(メインセンサ部)と、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検出する挿抜センサ回路部(サブセンサ部)とからなる。まず、位置検出回路部の構成について説明する。
【0055】
位置検出回路部は、メインセンサである位置検出センサ110を備える。位置検出センサ110は、X軸方向ループコイル群111と、Y軸方向ループコイル群112とを積層させて設けることにより構成されている。各ループコイル群111,112は、例えば、それぞれ40本以上の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群111,112を構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
【0056】
ループコイル群111,112からなる位置検出センサ110には、選択回路113及びスイッチ回路SW1を介して受信アンプAP、発振回路部120、位置検出回路部130、筆圧検出回路部140、処理制御部150からなる回路部が接続されている。選択回路113には、X軸方向ループコイル群111及びY軸方向ループコイル群112が接続される。選択回路113は、後述する処理制御部150の制御により、2つのループコイル群111,112のうちの任意のループコイルを選択するようになっている。
【0057】
発振回路部120は、発振器121と電流ドライバ122とからなる。発振器121は、周波数f0の交流信号を発生し、電流ドライバ122と、後述する筆圧検出回路部140の同期検波器141に供給する。電流ドライバ122は、発振器121から供給された交流信号を電流に変換してスイッチ回路SW1へ送出する。スイッチ回路SW1は、後述する処理制御部150からの制御により、選択回路113によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ122が、受信側端子Rには受信アンプAPが、それぞれ接続されている。
【0058】
選択回路113により選択されたループコイルに発生する誘導電圧(電子ペン2からの受信信号)は、選択回路113及びスイッチ回路SW1を介して受信アンプAPに送出される。受信アンプAPは、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、位置検出回路部130の検波器131及び筆圧検出回路部140の同期検波器141へ送出する。
【0059】
位置検出回路部130の検波器131は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ132へ送出する。低域フィルタ132は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器131の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路133へ送出する。サンプルホールド回路133は、低域フィルタ132の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路134へ送出する。A/D変換回路134は、サンプルホールド回路133のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部150に送出する。
【0060】
一方、筆圧検出回路部140の同期検波器141は、受信アンプAPの出力信号を発振器121からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ142に送出する。この低域フィルタ142は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器141の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路143に送出する。このサンプルホールド回路143は、低域フィルタ142の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路144へ送出する。A/D変換回路144は、サンプルホールド回路143のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部150に送出する。
【0061】
処理制御部150は、位置検出回路部(メインセンサ回路部)および後述する挿抜センサ回路部(サブセンサ部)を構成する各部を制御する。すなわち、処理制御部150は、選択回路113におけるループコイルの選択、スイッチ回路SW1の切り替え、サンプルホールド回路133、143のタイミングを制御する。処理制御部150は、A/D変換回路134、144からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群111及びY軸方向ループコイル群112から一定の送信継続時間をもって信号(電磁誘導信号)を送信させる。
【0062】
X軸方向ループコイル群111及びY軸方向ループコイル群112の各ループコイルには、電子ペン2から送信される信号によって誘導電圧が発生する。処理制御部150は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値に基づいて電子ペン2のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部150は、送信した信号と受信した信号との位相差に基づいて筆圧を検出する。
【0063】
次に、挿抜センサ回路部(サブセンサ部)の構成について説明する。上述もしたように、電子ペン2の収納部11の近傍に設けられるサブセンサである平面状コイル160を備える。この平面状コイル160の一方の端部は、スイッチ回路SW2を通じて、発振回路部120またはグランドに接続される。また、平面状コイル160の他方の端部は、サンプルホールド回路170に接続され、サンプルホールド回路170からの出力が処理制御部150に供給されるようになっている。
【0064】
そして、スイッチ回路SW2とサンプルホールド回路170とは、処理制御部150からの制御信号により制御される。処理制御部150は、送信期間と受信期間とを交互に設けるようにする制御信号を形成する。ここで、送信期間は、平面状コイル160に発振回路部120からの電流を供給して電磁誘導により電子ペン2のコイル21に誘導電圧を生じさせるようにする期間であり、処理制御部150からの制御信号がオン(ハイレベル)になる期間である。また、受信期間は、電子ペン2のコイル21にコンデンサCfからの電流を供給して、電磁誘導により平面状コイル160に生じる誘導電圧(受信信号)を検出するようにする期間であり、処理制御部150からの制御信号がオフ(ローレベル)になる期間である。
【0065】
このように、処理制御部150は、送信期間においてオンとなり、受信期間においてオフとなる制御信号を形成し、これをスイッチ回路SW2と、反転回路IVを介してサンプルホールド回路170に供給する。したがって、スイッチ回路SW2にオンとなる制御信号が供給されている時には、サンプルホールド回路170には、オフとなる制御信号が供給される。逆に、スイッチ回路SW2にオフとなる制御信号が供給されている時には、サンプルホールド回路170には、オンとなる制御信号が供給される。
【0066】
これにより、スイッチ回路SW2は、処理制御部150からの制御信号がオンとなる送信期間では、端子Ta側に切り替えられ、発振回路部120からの電流が平面状コイル160に供給される。一方、サンプルホールド回路170は、処理制御部150からの制御信号がオンとなる送信期間では、反転回路IVの機能によりオフとなる制御信号が供給されるので、この期間においては動作せず、図示しないがグランドに接地するようにされる。
【0067】
したがって、送信期間では、平面状コイル160に電流が流れることにより磁束が発生するので、平面状コイル160の近傍に電子ペン2のコイル21が位置していれば、コイル21に電流が流れ、その両端に誘導電圧が発生する。すなわち、電磁誘導により、平面状コイル160から電子ペン2のコイル21への信号の送信が行われる。電子ペン2においては、コイル21とコンデンサCfとにより共振回路を構成しているので、コンデンサCfに誘導電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0068】
また、スイッチ回路SW2は、処理制御部150からの制御信号がオフとなる受信期間では、端子Ra側に切り替えられ、平面状コイル160の一方の端部はグランドに接地される。この場合、サンプルホールド回路170は、処理制御部150からの制御信号がオフとなる送信期間では、反転回路IVの機能によりオンとなる制御信号が供給され、この期間において動作する。
【0069】
上述したように、送信期間では、電子ペン2の共振回路を構成するコンデンサCfで電荷が蓄積されているので、受信期間ではコンデンサCfに蓄積された電荷が電子ペン2のコイル21に電流を流し、磁束を発生させる。このため、電子ペン2のコイル21が発生させる磁束が作用し、電子ペン2のコイル21の近傍にある平面状コイル160に電流が流れ、その両端に誘導電圧が発生する。すなわち、電磁誘導により、電子ペン2のコイル21から平面状コイル160への信号の送信が行われる。サンプルホールド回路170は、平面状コイル160の両端に発生した受信期間においてサンプリングして電圧値を保持し、処理制御部150に送信する。
【0070】
これにより、サンプルホールド回路170からの電圧値が一定値以上あれば、平面状コイル160と電子ペン2のコイル21との間で電磁誘導による信号の送受が行われたことが分かる。この場合には、処理制御部150は、電子ペン2が収納部11に収納されていると検知できる。逆に、サンプルホールド回路170からの電圧値が一定値未満であれば、平面状コイル160と電子ペン2のコイル21との間で電磁誘導による信号の送受は行われていないことが分かる。この場合には、処理制御部150は、電子ペン2が収納部11に収納されていないと検知できる。
【0071】
そして、処理制御部150は、電子ペン2が収納部11に収納されていることを検知した場合には、各部を制御して位置検出センサ110を通じた指示位置と筆圧の検出処理を行わないように制御する。逆に、処理制御部150は、電子ペン2が収納部11に収納されていないことを検知した場合には、各部を制御して位置検出センサ110を通じた指示位置と筆圧の検出処理を行うように制御する。これにより、不必要な場合に位置検出センサ110を駆動させないようにして、消費電力の省力化を図ることができる。
【0072】
[電子ペンのコイルと平面状コイルとの位置関係]
図4は、平面状コイル160と電子ペン2のコイル21との位置関係と平面状コイル160が発生させる磁界および磁束について説明するための図である。電子ペン2に内蔵されるコイル21は、上述もしたが、
図4(A)、(B)において電子ペン2上において点線で示した軸心方向に沿って巻回されたものである。また、電子ペン2を収納する収納部11の近傍に設けられる平面状コイル160は、収納部11に収納される電子ペン2のコイル21の近傍に、
図4(A)、(B)に示すように、電子ペン2の軸心とほぼ平行となるように設けられるものである。
【0073】
図4に示すように、平面状コイル160の短辺Ca側に位置する導線Ca1、Ca2に矢印方向に電流が流れることにより生じる磁界に対する磁束の集まりを、記号Mfaを付して示している。同様に、平面状コイル160の短辺Cb側に位置する導線Cb1、Cb2に矢印方向に電流が流れることにより生じる磁界に対する磁束の集まりを、記号Mfbを付して示している。
【0074】
そして、筐体1Aの収納部11に電子ペン2を収納すると、電子ペン2のコイル21の近傍に、平面状コイル160が位置するように配置される。この場合に、平面状コイル160が発生させる磁束Mfa、Mfbが、電子ペン2のコイル21を鎖交することにより、コイル21に電流を誘起し、これに接続されたコンデンサCfに電荷が蓄電される。ここで、鎖交は、コイル21を磁束Mfa、Mfbが、鎖のようにくぐり抜けていることを意味している。
【0075】
しかし、
図4(A)に示すように、電子ペン2が備えるコイル21の軸心方向(
図4(A)において点線で示した方向)の中心を基準にして、コイル21の右側の部分に鎖交する磁束Mfaの数と、コイル21の左側の部分に鎖交する磁束Mfbの数が等しかったとする。磁束Mfaと磁束Mfbとは、
図4(A)に示したように、電子ペン2のコイル21に対して関与する向き(磁束Mfa,Mfbがコイル21を鎖交して進む向き)が逆になる。
【0076】
すなわち、平面状コイル160が右側に発生させる磁束Mfaと左側に発生させる磁束Mfbとのそれぞれは、電子ペン2のコイル21において互いに逆向きとなる電流を生じさせるように作用する。このため、電子ペン2のコイル21に電磁誘導により発生する電流は打消し合ってしまい、コイル21に効率よく電流が流れず、コンデンサCfに充分な電荷が蓄電できない状態となる。
【0077】
したがって、この場合には、平面状コイル160に電流が供給されなくなっても、電子ペン2のコンデンサCfに電荷が蓄積されていないため、電子ペン2のコイル21に電流が流れず、コイル21に磁界(磁束)が発生しない。このため、電子ペン2のコイル21に発生する磁束に応じて平面状コイル160に電流は流れず、収納部11に電子ペン2が収納されてもこれを検知できない。
【0078】
そこで、この実施形態においては、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、平面状コイル160の右側部分に発生する磁束Mfaと左側部分に発生する磁束Mfbとの一方がより多く鎖交するようにする。例えば、
図4(B)に示すように、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、平面状コイル160を右側にずらすようにし、平面状コイル160の左側に生じる磁束Mfbがより多く電子ペン2のコイル21に鎖交するようにする。これにより、平面状コイル160の左側部分に発生する磁束Mfbに応じて、電磁誘導により電子ペン2のコイル21に効率よく電流を発生させることができ、コンデンサCfに対して電荷を十分に蓄電することができる。
【0079】
もちろん、
図4(B)の場合とは逆に、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、平面状コイル160を左側にずらすようにし、平面状コイル160の右側に生じる磁束Mfaがより多く電子ペン2のコイル21に鎖交するようにしてもよい。なお、この場合には、平面状コイル160の左側に発生する磁束Mfbが、電子ペン2の他の部分に関与してしまう可能性があるので、その点を考慮する必要がある。
【0080】
そして、この実施形態においては、
図4(C)に示すように、平面状コイル160は、FPD(Flexible printed circuits)の構成とされたものである。具体的に平面状コイル160は、例えば、ポリイミドなどの絶縁性を持った薄く柔らかいベースフィルム171上に、例えば銅などの導電性金属により平面上に形成したコイルを張り付けて形成したものである。これにより、コイルの各ターンが上下に(中心軸方向に)離れたり、平面上においてずれたりすることがないように同一平面上に固定できる。
【0081】
そして、平面状コイル160の中心軸方向の下側には、磁性金属板172と導電性金属シールド173が設けられる。磁性金属板172は、平面状コイル160が発生させる磁束を増強し、
図4に示した例の場合には、磁束を平面状コイル160の軸心方向の下側から上側に効率よく持ち上げるように作用する。導電性金属シールド173は、外側から到達する電磁波が平面状コイル160に影響を及ぼすことがないようにするためのものである。このようにして、この実施形態においては、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21と平面状コイル160との間において、効率よく電磁誘導による信号の送受を行うことができるようにしている。
【0082】
図5は、この実施形態において、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21と、平面状コイル160との位置関係をより詳細に説明するための図である。
図5に示すように、平面状コイル160が形成されるエリアの幅は、例えば6mm以上とし、電子ペン2のコイル21が平面状コイル160の内側に位置することができる程度の幅とされる。
【0083】
そして、電子ペン2が、平面状コイル160の長手方向に平面状コイル160上を通り、電子ペン2の芯体24の先端(ペン先)が、平面状コイル160の端部Tbに当たる位置に位置しているとする。この場合に、電子ペン2のコイル21の軸心方向の中心を基準にして、コイル21のペン先側の半分とペン先側とは反対側の半分とに、
図4(A)に示した場合と同様に、平面状コイル160が発生させる磁束Mfa、Mfbの数が等しく鎖交する場合について考える。
【0084】
この場合には、
図5に示すように、収納部11に収納された電子ペン2の位置が、平面状コイル160の端部Tbから他方の端部側に向かって少なくとも1mm以上離れた位置になるようにする。このよに、平面状コイル160の端部Tbから1mm以上ずらせば、電子ペン2のコイル21を、
図4(B)に示した例の場合と同様に、磁束Mfbがより多く鎖交するようにできる。これにより、平面状コイル160が発生させる磁束に応じて、電磁誘導により電子ペン2のコイル21に効率よく電流を発生させることができる。
【0085】
そして、
図5に示すように、平面状コイル160の端部Tbから電子ペン2の芯体24の先端が位置する点までの長さL1と、電子ペン2の芯体24の先端から電子ペン2の後端側に30mm以上離れた長さL2とを加算した長さを有し、縦方向の長さが6mm以上の矩形のエリア160Arを、磁性金属板や導電性金属シールドを設けるエリアとする。したがって、
図5に示した例の場合には、少なくとも、縦6mm以上、横31mm以上の矩形のエリア160Arが、平面状コイル160が設けられるエリアであって、磁性金属板や導電性金属シールドを設けるエリアとされる。
【0086】
そして、平面状コイル160と電子ペン2のコイル21との位置関係は、
図5に示したものとなるようにすれば、平面状コイル160と電子ペン2のコイル21との間で効率よく電磁誘導による信号の送受を行うことができる。なお、平面状コイル160の端部Tbから電子ペン2の芯体24の先端をどのくらい離すかは、例えば、実験により効率よく電磁誘導により信号の送受が可能な位置を求めて決めればよい。
【0087】
[位置検出装置100における制御の具体例]
次に、
図3を用いて説明した構成を有する位置検出装置100の処理制御部150による処理制御の具体例について説明する。
図6は、電子機器本体1のメイン電源が投入された後において、位置検出装置100の処理制御部150により実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図6に示すフローチャートの処理は、この出願にかかる発明の「位置検出センサの制御方法」が適用されたものである。
【0088】
処理制御部150は、まず、サブセンサである平面状コイル160を用いて、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを検出する収納検出処理を実行する(ステップS101)。具体的に、処理制御部150は、オン期間とオフ期間が交互に繰り返す制御信号を形成し、これをスイッチ回路SW2と、反転回路IVを介してサンプルホールド回路170とに供給する。これにより、スイッチ回路SW2とサンプルホールド回路170とのそれぞれには、互いに逆位相の制御信号が供給される。
【0089】
したがって、スイッチ回路SW2にオンとなる制御信号が供給されている場合には、サンプルホールド回路170にはオフとなる制御信号が供給される。この場合、スイッチ回路SW2は端子Ta側に切り替えられ、サンプルホールド回路170は、非動作とされてグランドに接地するようにされる。このため、発振回路部120からの電流が平面状コイル160に供給され、平面状コイル160に磁束が発生し、電磁誘導により電子ペン2のコイル21に電流が流れ、信号が送信するようにされる。
【0090】
逆に、スイッチ回路SW2にオフとなる制御信号が供給されている場合には、サンプルホールド回路170にはオンとなる制御信号が供給される。この場合、スイッチ回路SW2は端子Ra側に切り替えられて接地するようにされ、サンプルホールド回路170は、動作するようにされる。このため、電子ペン2のコイル21が発生させる磁束の影響を受けて、電磁誘導により平面状コイル160に電流が流れ、誘導電圧が発生し、これがサンプルホールド回路170によってサンプリングされて保持される。
【0091】
このようにして、平面状コイル160を通じた電磁誘導による信号の送信と受信とを繰り返し、予め決められた一定値以上の誘導電圧が検知された場合には、収納部11に電子ペン2が収納されていると検知できる。逆に、予め決められた一定値以上の誘導電圧が検知されない場合には、収納部11に電子ペン2は収納されていないと検知できる。
【0092】
そして、処理制御部150は、ステップS101の収納検出処理の結果に基づき、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを判別する(ステップS102)。ステップS102において、電子ペン2は収納部11に収納されていないと判別したとする。この場合には、電子ペン2は使用状態にあるので、処理制御部150は、メインセンサである位置検出センサ110を機能させ、位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置及び筆圧の検出処理を開始させる(ステップS103)。
【0093】
具体的に、ステップS103において処理制御部150は、選択回路113と、スイッチ回路SW1と、位置検出回路部130のサンプルホールド回路133と、筆圧検出回路部140のサンプルホールド回路143とに制御信号を供給して制御する。この場合、ループコイル群111、112から信号の送信、受信に用いるループコイルを順次に選択すると共に、選択したループコイルに発振回路部120からの電流を供給する送信期間と、選択したループコイルを通じて電子ペン2からの信号を受信する受信期間とを交互に切り替る処理を開始する。そして、受信期間において、位置検出回路部130、筆圧検出回路部140を通じて、位置検出センサ110上の電子ペン2による指示位置の検出と位置検出センサ110上に電子ペン2が接触することにより電子ペン2にかけられる筆圧の検出とが行われる。
【0094】
この後、処理制御部150は、適宜のタイミングで、ステップS101で実行した処理と同様に、サブセンサである平面状コイル160を用いて、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを検出する収納検出処理を実行する(ステップS104)。そして、処理制御部150は、ステップS102で実行した判別処理と同様に、ステップS104の収納検出処理の結果に基づき、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを判別する(ステップS105)。
【0095】
ステップS105の判別処理において、電子ペン2は収納部11に収納されていないと判別したときには、処理制御部150は、ステップS104からの処理を繰り返す。これにより、電子ペン2が収納部11に収納されるまでの間は、メインセンサである位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかけられている筆圧の検出とが継続して行われるようにされる。
【0096】
一方、ステップS105の判別処理において、電子ペン2は収納部11に収納されていると判別したとする。この場合には、電子ペン2は使用状態にはないので、処理制御部150は、メインセンサである位置検出センサ110を通じた指示位置及び筆圧の検出処理を終了させる(ステップS106)。
【0097】
具体的に、ステップS106において処理制御部150は、選択回路113と、スイッチ回路SW1と、位置検出回路部130のサンプルホールド回路133と、筆圧検出回路部140のサンプルホールド回路143とへの制御信号の供給を停止する。これにより各部の動作を停止させ、位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行う処理を終了させる。
【0098】
この後、処理制御部150は、電子機器本体1のメイン電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107の判別処理において、メイン電源がオフにされていないと判別した時には、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS107の判別処理において、メイン電源がオフにされたと判別した時には、処理制御部150への電源の供給を停止するなどの所定の終了処理を行って(ステップS108)、この
図6に示す処理を終了する。
【0099】
また、上述したステップS102の判別処理において、電子ペン2は収納部11に収納されていると判別したとする。この場合にも、電子ペン2は使用状態にないので、処理制御部150は、メインセンサである位置検出センサ110を通じた指示位置及び筆圧の検出は行わず、電子機器本体1のメイン電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS107)。
【0100】
ステップS107の判別処理において、メイン電源がオフにされていないと判別した時には、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS107の判別処理において、メイン電源がオフにされたと判別した時には、処理制御部150への電源の供給を停止させるなどの所定の終了処理を行おって(ステップS108)、この
図6に示す処理を終了する。
【0101】
このように、処理制御部150は、サブセンサである平面状コイル160を用いて、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを適切に検出できる。そして、電子ペン2が収納部11に収納されておらず、使用状態にある場合においてのみ、メインセンサである位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行うことができる。これにより、電子ペン2が収納部11に収納されている状態の時には、位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行うことはないので、消費電力の省力化に資することができる。
【0102】
また、サブセンサとして平面状コイル160を用いているため、例えば、レジスト技術を用い、樹脂などの防水シートで平面状コイル160を覆うことにより、隙間を完全に塞ぐことができ、防水仕様に容易にすることができる。また、平面状コイル160を用いているため、螺旋状に形成するコイルを持ちる場合に比べて、製造工程の複雑化も回避でき、また、薄型化にも資することができる。
【0103】
[第2の実施形態]
図7は、実施形態の電子ペンの概略構成及び第2の実施形態の位置検出装置100Aを説明するためのブロック図である。以下に説明する第2の実施形態の位置検出装置100Aもまた、第1の実施形態の位置検出装置100と同様に、電磁誘導方式のものであり、
図1に示した電子機器本体1内に静電結合方式の位置検出装置とともに搭載されて用いられる。したがって、この第2の実施形態の位置検出装置100Aも、
図1、
図2を用いて説明した電子ペン2により操作される。
【0104】
このため、この第2の実施形態の位置検出装置100Aもまた、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検知する機能を備える。しかし、この第2の実施形態の位置検出装置100Aは、
図7に示すように、第1の実施形態の位置検出装置100が備えていた、平面状コイル160、スイッチ回路SW2、サンプルホールド回路170、反転回路IVからなる挿抜センサ回路部を備えるものではない。
【0105】
この第2の実施形態の位置検出装置100Aは、サブセンサとしての平面状コイル160Aと位置検出回路部(メインセンサ部)とからなり、位置検出回路部が、挿抜センサ回路部としても機能する構成を有している。位置検出回路部は、基本的な構成は、上述した第1の実施形態の位置検出装置100と同様である。このため、この第2の実施形態の位置検出装置100Aのブロック図である
図7において、
図3に示した第1の実施形態の位置検出装置100と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については重複するので省略する。
【0106】
そして、この第2の実施形態の平面状コイル160Aもまた、第1の実施形態の平面状コイル160の場合と同様に、電子機器本体1に設けられる電子ペン2の収納部11の近傍に設けられるものである。この第2の実施形態の位置検出装置100Aにおいても、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、平面状コイル160Aが発生させる向きの異なる磁束が均一に作用することがないようにされている。すなわち、この第2の実施形態の位置検出装置100Aにおいても、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21と、収納部11の近傍に配置される平面状コイル160Aとの位置関係は、
図4(B)、
図5を用いて説明した関係となるようにされている。
【0107】
図7に示すように、この第2の実施形態の位置検出装置100Aの場合には、サブセンサとなる平面状コイル160Aの一端が選択回路113Aに接続され、他端が接地するようにされている。その他の構成は、
図3に示した第1の実施形態の位置検出装置100の場合と同様である。
【0108】
このため、この第2の実施形態の位置検出装置100Aでは、収納部11に電子ペン2が格納されているか否かを検知する場合、処理制御部150は、選択回路113Aが平面状コイル160Aを選択するように制御する。そして、処理制御部150は、スイッチ回路SW1を制御し、発振回路部120からの電流を平面状コイル160Aに供給する期間(送信期間)と、電磁誘導により平面状コイル160Aの両端に発生する電圧を検出する期間(受信期間)とを切り替える。この受信期間において、処理制御部150は、位置検出回路部130を機能させ、平面状コイル160Aが電磁誘導により電子ペン2のコイル21からの信号を受信しているか否かを検知することにより、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検知する。
【0109】
一方、電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかけられている筆圧の検出とは、上述した第1の実施形態の位置検出装置100の場合と全く同様にして行われる。すなわち、処理制御部150は、選択回路113と、スイッチ回路SW1と、位置検出回路部130のサンプルホールド回路133と、筆圧検出回路部140のサンプルホールド回路143とに制御信号を供給して制御する。
【0110】
この場合、ループコイル群111、112から信号の送信、受信に用いるループコイルを順次に選択すると共に、選択したループコイルに発振回路部120からの電流を供給する送信期間と、選択したループコイルを通じて電子ペン2からの信号を受信する受信期間とを交互に切り替る処理を行う。そして、受信期間において、位置検出回路部130、筆圧検出回路部140を通じて、位置検出センサ110上の電子ペン2による指示位置の検出と位置検出センサ110上に電子ペン2が接触することにより電子ペン2にかけられた筆圧の検出とを行う。
【0111】
このように、この第2の実施形態の位置検出装置100Aの場合にも、サブセンサとしての平面状コイル160Aを用いて収納部11に電子ペン2が収納されているか否かの検知を行うことができる。また、この第2の実施形態の位置検出装置100Aの場合にも、電子ペン2による位置検出センサ110上の指示位置の検出と電子ペン2にかけられている筆圧の検出とを行うことができる。
【0112】
[位置検出装置100Aにおける制御の具体例]
次に、
図7を用いて説明した構成を有する第2の実施形態の位置検出装置100Aの処理制御部150による処理制御の具体例について説明する。
図8は、電子機器本体1のメイン電源が投入された後において、第2の実施形態の位置検出装置100Aの処理制御部150により実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図8に示すフローチャートの処理は、この出願にかかる発明の「位置検出センサの制御方法」が適用されたものである。
【0113】
処理制御部150は、まず、サブセンサである平面状コイル160Aを用いて、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを検出する収納検出処理を実行する(ステップS201)。具体的に、処理制御部150は、選択回路113Aを制御して、平面状コイル160Aを選択して、これを維持する。そして、オン期間とオフ期間が交互に繰り返す制御信号を形成して、これをスイッチ回路SW1に供給する。また、オフ期間において、位置検出回路部130のサンプルホールド回路133を動作させるように制御する。
【0114】
このようにして、平面状コイル160Aを通じた電磁誘導による信号の送信と受信とを繰り返し、受信期間において位置検出回路部130を通じて予め決められた一定値以上の誘導電圧が検知された場合には、収納部11に電子ペン2が収納されていると検知できる。逆に、受信期間において位置検出回路部130を通じて予め決められた一定値以上の誘導電圧が検知されない場合には、収納部11に電子ペン2は収納されていないと検知できる。
【0115】
そして、処理制御部150は、ステップS201の収納検出処理の結果に基づき、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを判別する(ステップS202)。ステップS202において、電子ペン2は収納部11に収納されていないと判別したとする。この場合には、電子ペン2は使用状態にあるので、処理制御部150は、メインセンサである位置検出センサ110を機能させ、位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置及び筆圧の検出処理を開始させる(ステップS203)。このステップS203の処理は、
図6に示した第1の実施形態の位置検出装置100で行われるステップS103の処理と同様の処理である。
【0116】
この後、処理制御部150は、所定のタイミングで、選択回路113Aが平面状コイル160Aを選択するように切り替え、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを検出する収納検出処理を実行する(ステップS204)。すなわち、ステップS204の処理は、ステップS201で実行した処理と同様の処理である。また、所定のタイミングは、ステップS203で開始させた指示位置と筆圧の検出処理において、予め決められた1サイクルの検出処理が終了し、次のサイクルの検出処理を開始する前などのタイミングである。
【0117】
なお、予め決められた1サイクルの検出処理は、例えば、検出処理を開始して指示位置と筆圧が検出できるまで、あるいは、位置検出センサ110のすべてのループコイルを用いたスキャニング処理が終了するまで、といった1まとまりの検出処理を意味する。したがって、当該1サイクルの検出処理が終了すれば、新たな検出処理が開始されることになる。このため、直前の1サイクルの検出処理と次の1サイクルの検出処理との間において、電子ペン2の収納検知処理を行うことにより、電子ペン2の指示位置と筆圧の検出処理に影響を及ぼすことなく、電子ペン2の収納検出処理が行える。
【0118】
そして、処理制御部150は、ステップS202で実行した判別処理と同様に、ステップS204の収納検出処理の結果に基づき、電子ペン2が収納部11に収納されているか否かを判別する(ステップS205)。
【0119】
ステップS205の判別処理において、電子ペン2は収納部11に収納されていないと判別したときには、処理制御部150は、ステップS204からの処理を繰り返す。これにより、電子ペン2が収納部11に収納されるまでの間は、メインセンサである位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかけられている筆圧の検出とが継続して行われる。
【0120】
一方、ステップS205の判別処理において、電子ペン2は収納部11に収納されていると判別したとする。この場合には、電子ペン2は使用状態にはないので、処理制御部150は、メインセンサである位置検出センサ110を通じた指示位置及び筆圧の検出処理を終了させる(ステップS206)。
【0121】
具体的に、ステップS206において処理制御部150は、選択回路113Aを制御し、平面状コイル160Aを選択した状態を維持し、平面状コイル160Aを通じて、信号の送信と受信とを繰り返すようにする。したがって、ステップS206においては、X軸方向ループコイル群111を構成するループコイルとY軸方向ループコイル群112を構成するループコイルは選択しないようにする。これにより、メインセンサ110を用いた電子ペン2による指示位置の検出処理は行われないので、消費電力を大幅に軽減できる。
【0122】
また、この場合に、発振回路部120、位置検出回路部130および処理制御部150は動作状態が維持されるので、収納部11から電子ペン2が取り出された時には、これを検知することもできるようにされる。なお、収納部11に電子ペン2が収納された状態の時には、筆圧検出回路部140は動作させる必要はないので、筆圧検出回路部140の動作を停止させるようにしてもよい。
【0123】
この後、処理制御部150は、電子機器本体1のメイン電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS207)。ステップS207の判別処理において、メイン電源がオフにされていないと判別した時には、ステップS201からの処理を繰り返す。また、ステップS207の判別処理において、メイン電源がオフにされたと判別した時には、処理制御部150への電源の供給を停止するなどの所定の終了処理を行って(ステップS208)、この
図6に示す処理を終了する。
【0124】
また、上述したステップS202の判別処理において、電子ペン2は収納部11に収納されていると判別したとする。この場合にも、電子ペン2は使用状態にないので、処理制御部150は、メインセンサである位置検出センサ110を通じた指示位置及び筆圧の検出は行わず、電子機器本体1のメイン電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS207)。
【0125】
ステップS207の判別処理において、メイン電源がオフにされていないと判別した時には、ステップS201からの処理を繰り返す。また、ステップS207の判別処理において、メイン電源がオフにされたと判別した時には、処理制御部150への電源の供給を停止させるなどの所定の終了処理を行おって(ステップS208)、この
図8に示す処理を終了する。
【0126】
このように、この第2の実施形態の位置検出装置100Aの場合にも、処理制御部150は、サブセンサである平面状コイル160Aを用いて、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを適切に検出できる。そして、電子ペン2が収納部11に収納されておらず、使用状態にある場合においてのみ、メインセンサである位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行うことができる。これにより、電子ペン2が収納部11に収納されている状態の時には、位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行うことはないので、消費電力の省力化に資することができる。
【0127】
また、サブセンサとして平面状コイル160Aを用いているため、例えば、防水シートなどを用いることにより、隙間を完全に塞ぐことができ、防水仕様に容易にすることができる。また、平面状コイル160Aを用いているため、螺旋状に形成するコイルを持ちる場合に比べて、製造工程の複雑化も回避でき、また、薄型化にも資することができる。
【0128】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態の位置検出装置100Bを説明するためのブロック図である。以下に説明する第3の実施形態の位置検出装置100Bもまた、第1、第2の実施形態の位置検出装置100、100Aと同様に、電磁誘導方式のものであり、
図1に示した電子機器本体1内に静電結合方式の位置検出装置とともに搭載されて用いられる。したがって、この第3の実施形態の位置検出装置100Bも、
図1、
図2を用いて説明した電子ペン2により操作される。
【0129】
このため、この第3の実施形態の位置検出装置100Bもまた、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検知する機能を備える。しかし、この第3の実施形態の位置検出装置100Bは、上述した第1、第2の実施形態の位置検出装置100、100Aのように、サブセンサとして専用の平面状コイル160、160Aを備えるものではい。
【0130】
この第3の実施形態の位置検出装置100Bは、
図9に示すように、位置検出センサ110を構成するループコイル群111、112の中の1つのループコイルを、サブセンサとしての平面状コイルとしても用いるように構成したものである。
図9に示した例の場合には、X軸方向ループコイル群111のXa番目のループコイルを、サブセンサとしての平面状コイルとしても用いる場合として示している。すなわち、この第3の実施形態の位置検出装置100Bの場合には、X軸方向ループコイル群111のXa番目のループコイルを延伸して、収納部11の近傍にサブセンサとして機能する平面状コイル部分を形成する。
【0131】
したがって、この第3の実施形態の位置検出装置100Bの場合には、位置検出回路部130が、挿抜センサ回路部としても機能する構成を有している。そして、位置検出装置100Bは、X軸方向ループコイル群111のXa番目のループコイル以外の部分は、上述した第1の実施形態の位置検出装置100と同様に構成される。このため、この第3の実施形態の位置検出装置100Bのブロック図である
図9において、
図3に示した第1の実施形態の位置検出装置100と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については重複するので省略する。
【0132】
そして、この第3の実施形態において、Xa番目のループコイルを延伸して、収納部11の近傍にサブセンサとして機能する平面状コイル部分もまた、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21との間の位置関係は、第1の実施形態の場合と同様とされる。すなわち、この第3の実施形態の位置検出装置100Bにおいても、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21と、収納部11の近傍に配置されるXa番目のループコイルを延伸して形成される平面状コイル部分との位置関係は、
図4(B)、
図5を用いて説明した関係となるようにされている。これにより、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、当該平面状コイル部分が発生させる向きの異なる磁束Mfa、Mfbが均一に作用することがないようにされる。
【0133】
そして、この第3の実施形態の位置検出装置100Bの場合、処理制御部150は、
図8を用いて説明した第2の実施形態の位置検出装置100Aの処理制御部150が行う処理制御と同様の処理制御を行う。ただし、
図8に示したステップS201、ステップS204、ステップS206のそれぞれで行われる処理が、第2の実施形態の位置検出装置100Aで行われるものとは若干異なる。
【0134】
すなわち、この第3の実施形態の位置検出装置100Bにおいて、処理制御部150は、
図8に示したステップS201と、ステップS204においては、次のように処理を行う。まず、処理制御部150は、選択回路113を制御して、収納部11の近傍に平面状コイル部を形成しているXa番目のループコイルを選択して、これを維持する。そして、オン期間とオフ期間が交互に繰り返す制御信号を形成して、これをスイッチ回路SW1に供給する。また、オフ期間において、位置検出回路部130のサンプルホールド回路133を動作させるように制御する。
【0135】
このようにして、収納部11の近傍に平面状コイル部を形成しているXa番目のループコイルを通じた電磁誘導による信号の送信と受信とを繰り返し、受信期間において位置検出回路部130を通じて予め決められた一定値以上の誘導電圧が検知された場合には、収納部11に電子ペン2が収納されていると検知できる。逆に、受信期間において位置検出回路部130を通じて予め決められた一定値以上の誘導電圧が検知されない場合には、収納部11に電子ペン2は収納されていないと検知できる。
【0136】
また、この第3の実施形態の位置検出装置100Bにおいて、処理制御部150は、
図8に示したステップS206においては、次のように処理を行う。ステップS206において処理制御部150は、選択回路113Aを制御し、平面状コイル部を形成しているXa番目のループコイルを選択した状態を維持し、Xa番目のループコイルを通じて、信号の送信と受信とを繰り返すようにする。したがって、ステップS206においては、Xa番目のループコイルを除き、X軸方向ループコイル群111を構成するループコイルとY軸方向ループコイル群112を構成するループコイルは選択しないようにする。これにより、メインセンサ110を用いた電子ペン2による指示位置の検出処理は行われないので、消費電力を大幅に軽減できる。
【0137】
また、この場合に、発振回路部120、位置検出回路部130および処理制御部150は動作状態が維持されるので、収納部11から電子ペン2が取り出された時には、これを検知することもできるようにされる。なお、収納部11に電子ペン2が収納された状態の時には、筆圧検出回路部140は動作させる必要はないので、筆圧検出回路部140の動作を停止させるようにしてもよい。
【0138】
その他のステップS202、ステップS203、ステップS205、ステップS207、ステップS208の処理は、第2の実施形態の位置検出装置100Aが行う処理と同様の処理が行われる。
【0139】
このように、この第3の実施形態の位置検出装置100Bの場合には、位置検出センサ110を構成するループコイル群の中の1つのループコイルを延伸して、収納部11の近傍に平面状コイル部分を設けることにより、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検出する挿抜センサ回路部を構成することができる。
【0140】
そして、この第3の実施形態の位置検出装置100Bの場合には、処理制御部150は、位置検出センサ110のXa番目のループコイルを利用して、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを適切に検出できる。そして、電子ペン2が収納部11に収納されておらず、使用状態にある場合においてのみ、メインセンサである位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行うことができる。これにより、電子ペン2が収納部11に収納されている状態の時には、位置検出センサ110を通じた電子ペン2による指示位置の検出と電子ペン2にかかる筆圧の検出とを行うことはないので、消費電力の省力化に資することができる。
【0141】
また、サブセンサとして位置検出センサ110のXa番目のループコイルを延伸して形成する平面状コイル部を用いているため、例えば、防水シートなどを用いることにより、隙間を完全に塞ぐことができ、防水仕様に容易にすることができる。また、位置検出センサ110のXa番目のループコイルを延伸して形成する平面状コイル部を用いているため、螺旋状に形成するコイルを持ちる場合に比べて、製造工程の複雑化も回避でき、また、薄型化にも資することができる。
【0142】
[実施形態の効果]
上述した第1、第2、第3の実施形態の位置検出装置100、100A、100Bでは、防水仕様の実現、製造工程の複雑化の回避、携帯情報端末の薄型化に対応できると共に、消費電力の省力化をも実現できる。これにより、携帯情報端末に使用して好適な位置検出装置、位置検出センサの制御方法が実現できる。
【0143】
また、第1の実施形態の位置検出装置100の場合には、位置検出回路部とは別に、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検知する挿抜センサ回路部を構成できるので、それぞれの制御が容易な位置検出装置を実現できる。
【0144】
また、第2の実施形態の位置検出装置100Aの場合には、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検知するサブセンサとして、平面状コイル160Aを設けるだけで、位置検出回路部と挿抜センサ回路部との両方を構成でき、構成の簡単な位置検出装置100Aを構成できる。
【0145】
また、第3の実施形態の位置検出装置100Bの場合には、収納部11に電子ペン2が収納されているか否かを検知するサブセンサとして、位置検出センサ110を構成するループコイル群の内の1つのループコイルを用いる。これにより、さらに構成の簡単な位置検出装置100Bを構成できる。
【0146】
[変形例]
上述した実施形態では、電子機器本体1には、電磁誘導方式の位置検出装置と、静電結合方式の位置検出装置との両方が搭載されるものとして説明したが、これに限るものではない。電磁誘導方式の位置検出装置だけが搭載される場合にも、この発明を適用できることは言うまでもない。
【0147】
また、サブセンサとしての平面状コイル160、160Aや位置検出センサを構成するループコイルを用いて形成する平面状コイル部の巻き数、形状などは、適宜のものとすることができる。例えば、上述した実施形態では、平面状コイル160、160Aや位置検出センサを構成するループコイルを用いて形成する平面状コイル部は、矩形状に形成した場合を示したが、楕円形状にしたり、円形状にしたりすることもできる。
【0148】
また、平面状コイル160、160Aや位置検出センサを構成するループコイルを用いて形成する平面状コイル部を、電子ペンに内蔵されたコイルに近い部分の幅を広くし、離れた部分の幅は狭くするなどのことも可能である。すなわち、平面状コイル160、160Aや位置検出センサを構成するループコイルを用いて形成する平面状コイル部の形状は種々の形状とすることができる。
【0149】
また、平面状コイル160、160A、ループコイルXaは、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、発生させる磁束のうち、互いに逆方向となる磁束であってコイル21を鎖交する磁束の数が等しくならない位置に配置すればよい。
【0150】
より好ましくは、平面状コイル160、160A、ループコイルXaは、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21に対して、向きが同じ方向となる磁束だけが鎖交する位置に配置すればよい。この場合、
図4(B)に示したように、平面状コイル160、160A、ループコイルXaの一部分を跨ぐように、平面状コイル160、160A、ループコイルXaの一部分の中心軸方向に、収納部11に収納された電子ペン2のコイル21が位置するようにすればよい。
【0151】
もちろん、
図4(B)に示したように、電子ペン2のコイル21が、平面状コイル160、160A、ループコイルXaの一部分を跨ぐようにすることは必須の構成ではない。平面状コイル160、160A、ループコイルXaが発生させる磁束のうち、向きが同じ方向となる磁束だけが、電子ペンのコイル21を鎖交する位置に配置すればよい。