(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
面取り・バリ取り作業においては、同軸上の2つの貫通穴の面取りおよびバリ取りを行ないたい場合がある。特に同軸上に配置された2つの貫通穴の穴径が異なる場合があり、そのような場合にこれまでの穴の面取り・バリ取り工具において改善が求められる。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、同軸上に配置された2つの貫通穴の穴径が異なる場合でも面取り・バリ取り作業が可能な工具および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の工具は、工具本体と、少なくとも1つの第1カッターブレードと、第1移動体と、少なくとも1つの第2カッターブレードと、第2移動体と、移動体取付部とを備えている。工具本体は、内部空間を有する筒状部分を有している。少なくとも1つの第1カッターブレードは、工具本体の筒状部分の外周部から突き出した第1刃部と、その第1刃部に接続されかつ第1刃部が内部空間側へ移動するよう弾性変形可能な第1弾性部とを含んでいる。第1移動体は、第1弾性部を工具本体の内周側から支持している。少なくとも1つの第2カッターブレードは、工具本体の筒状部分の外周部から突き出した第2刃部と、その第2刃部に接続されかつ第2刃部が内部空間側へ移動するよう弾性変形可能な第2弾性部とを含んでいる。第2移動体は、第2弾性部を工具本体の内周側から支持している。移動体取付部は、筒状部分の軸方向に沿って工具本体に取付けられ、かつ第1移動体および第2移動体を軸方向に移動させる。第2刃部の外周径は第1刃部の外周径よりも小さい。
【0010】
本発明の工具によれば、第2刃部の外周径は第1刃部の外周径よりも小さい。このため、同軸に配された2つの貫通穴の穴径がそれぞれ異なる場合でも、大径の貫通穴の面取り・バリ取りを第1刃部で行い、かつ小径の貫通穴の面取り・バリ取りを第2刃部で行うことができる。このように同軸上に配置された2つの貫通穴の穴径が異なる場合でも面取り・バリ取り作業が可能となる。
【0011】
また移動体取付部が筒状部分の軸方向に沿って工具本体に取付けられており、この移動体取付部を工具本体に対して軸方向に移動させる作業だけで第1および第2移動体を軸方向に移動させることができる。そして第1および第2移動体の軸方向の移動により、第1および第2移動体のそれぞれが第1および第2弾性部を支持する箇所(つまり支点)を変更することができる。これにより、第1および第2カッターブレードの押し付け強さを変更することができる。このように移動体取付部を工具本体に対して軸方向に移動させるという簡易な作業で、第1および第2カッターブレードの各々の押し付け強さを変更することが可能となる。このため、同軸に配された2つの貫通穴の穴径がそれぞれ異なる場合においても、第1および第2カッターブレードの各々の押し付け強さを各穴径に最適な強さに設定することが容易となる。
【0012】
上記工具において、内部空間は、筒状部分の先端において開口している。第2刃部は、第1刃部よりも筒状部分の先端側に配置されている。これにより同軸に配された2つの貫通穴の穴径がそれぞれ異なる場合でも、手前側の大径の貫通穴の面取り・バリ取りを第1刃部で行い、かつ奥側の小径の貫通穴の面取り・バリ取りを第2刃部で行うことができる。
【0013】
上記工具において、少なくとも1つの第1カッターブレードは複数の第1カッターブレードである。これにより複数の第1刃部で貫通穴の面取り・バリ取りを行なうことができる。
【0014】
上記工具において、少なくとも1つの第2カッターブレードは複数の第2カッターブレードである。これにより複数の第2刃部で貫通穴の面取り・バリ取りを行なうことができる。
【0015】
上記工具において、移動体取付部は一方螺子部を有し、工具本体は一方螺子部と噛み合う他方螺子部を有している。一方螺子部と他方螺子部とを軸方向に互いにねじ込むことにより第1移動体が工具本体に対して軸方向に移動する。これにより、一方螺子部と他方螺子部とを軸方向に互いにねじ込むという簡易な作業で、第1カッターブレードの押し付け強さを変更することが可能となる。
【0016】
上記工具において、移動体取付部の外周部には雄螺子部が設けられている。第2移動体は、軸方向に延びる貫通穴を有し、その貫通穴の内面に雌螺子部を有している。雄螺子部を雌螺子部に軸方向にねじ込むことにより第2移動体が工具本体に対して軸方向に移動する。これにより、雄螺子部を雌螺子部に軸方向にねじ込むという簡易な作業で、第2カッターブレードの押し付け強さを変更することが可能となる。
【0017】
上記工具において、第1移動体は、軸方向の外周側に張り出した第1フランジ部を有し、第1フランジ部の外周端が第1弾性部を支持している。第2移動体は、軸方向の外周側に張り出した第2フランジ部を有し、その第2フランジ部の外周端が第2弾性部を支持している。このような第1および第2フランジ部を設けるという簡易な構成で、第1および第2弾性部を支持することが可能となる。
【0018】
上記工具において、第1フランジ部の一部を内周側から外周端にかけて切り取った第1傾斜面が設けられている。第1移動体は第1傾斜面の外周端において第1弾性部を支持している。このように第1フランジ部の一部を切り取った第1傾斜面とすることにより第1移動体と第1弾性部との接触箇所を減らして、第1弾性部の可動範囲を拡大することができる。
【0019】
上記工具において、第1フランジ部は、第2弾性部が弾性変形しても第2弾性部と当接しない形状を有している。これにより第1フランジ部が第2弾性部の弾性変形を阻害することが防止される。
【0020】
上記工具において、第2フランジ部の一部を内周側から外周端にかけて切り取った第2傾斜面が設けられている。第2移動体は第2傾斜面の外周端において第2弾性部を支持している。このように第2フランジ部の一部を切り取った第2傾斜面とすることにより第2移動体と第2弾性部との接触箇所を減らして、第2弾性部の可動範囲を拡大することができる。
【0021】
上記工具において、第2フランジ部は、第2弾性部が弾性変形しても第1弾性部と当接しない形状を有している。これにより第2フランジ部が第1弾性部の弾性変形を阻害することが防止される。
【0022】
上記工具において、第1弾性部および第2弾性部の少なくともいずれかは板ばねである。これにより板ばねという簡易な構成で、その板ばねを支持する箇所を変更することにより、第1および第2カッターブレードの押し付け強さを変更することが可能となる。
【0023】
本発明の装置は、上記のいずれかの工具と、その工具を軸方向を中心として回転させるとともに軸方向に沿って進退させる駆動部とを備えている。
【0024】
本発明の装置によれば、同軸上に配置された2つの貫通穴の穴径が異なる場合でも面取り・バリ取り作業が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、同軸上に配置された2つの貫通穴の穴径が異なる場合でも面取り・バリ取り作業が可能な工具および装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず本実施の形態の穴の面取り・バリ取り工具の構成について
図1〜
図4を用いて説明する。
【0028】
図1および
図2(A)、(B)に示されるように、本実施の形態の穴の面取り・バリ取り工具1は、工具本体2と、第1カッターブレード3と、第2カッターブレード4と、第1保持具8と、第2保持具9と、第1移動体6と、第2移動体5と、移動体取付部7とを主に有している。
【0029】
工具本体2は、筒状部分2aと、支持部2bと、装置取付部2cとを主に有している。筒状部分2aは、装置取付部2cに支持部2bを介在して取付けられている。筒状部分2aは支持部2bより大きな径を有しており、たとえば40mm以上の直径を有している。
【0030】
筒状部分2aは、たとえば円筒形状を有しており、内部空間2ahと、第1溝部2aa、2abと、第2溝部2ad、2aeとを有している。内部空間2ahは、筒状部分2aの内部に形成されており、かつ筒状部分2aの先端(支持部2bが取り付けられた側とは反対側)において筒状部分2aの外部に開口している。
【0031】
第1溝部2aa、2abは、第1部分2aaと、第2部分2abとを有している。第1部分2aaと第2部分2abとは、筒状部分2aの軸方向A(
図2(B))に沿って互いに繋がっている。
【0032】
第1部分2aaは、第2部分2abよりも筒状部分2aの先端側に位置している。第1部分2aaは、第2部分2abよりも小さい幅(筒状部分2aの円周方向の寸法)を有している。
【0033】
第1部分2aaは、筒状部分2aの外周面から内部空間2ahに達するように形成されている。第2部分2abは、底部を有し、その底部に螺子穴2acを有している。
【0034】
第2溝部2ad、2aeは、第1部分2adと、第2部分2aeとを有している。第1部分2adと第2部分2aeとは、筒状部分2aの軸方向A(
図2(B))に沿って互いに繋がっている。
【0035】
第1部分2adは、第2部分2aeよりも筒状部分2aの先端側に位置している。第1部分2adは、第2部分2aeよりも小さい幅(筒状部分2aの円周方向の寸法)を有している。
【0036】
第1部分2adは、筒状部分2aの外周面から内部空間2ahに達するように形成されている。第2部分2aeは、底部を有し、その底部に螺子穴2afを有している。
【0037】
第1溝部2aa、2abと第2溝部2ad、2aeとは、互いに同じ形状を有している。第1溝部2aa、2abと第2溝部2ad、2aeとは、互いに筒状部分2aの円周方向にずれて配置されている。第2溝部2ad、2aeは、第1溝部2aa、2abよりも筒状部分2aの先端側に位置している。
【0038】
筒状部分2aには、外周面から内周面に貫通するように螺子穴2agが形成されている。この螺子穴2agには、雄螺子部材33が螺合されている。雄螺子部材33の先端は、筒状部分2aの内部空間2ah内に突き出している。
【0039】
第1カッターブレード3は、第1刃部3aと、その第1刃部3aに接続された第1弾性部3bとを有している。この第1カッターブレード3は、筒状部分2aの外周側から第1溝部2aa、2ab内へ挿入されている。
【0040】
第1カッターブレード3が第1溝部2aa、2ab内に挿入された状態で、第1刃部3aは筒状部分2aの外周面から突き出している。また第1刃部3aは、第1弾性部3bよりも筒状部分2aの先端側に位置している。この第1刃部3aは上記先端側とその反対側とのそれぞれに傾斜面3aa、3abを有している。2つの傾斜面3aa、3abの各々には切刃が形成されている。
【0041】
第1カッターブレード3が第1溝部2aa、2ab内に挿入された状態で、第1弾性部3bは第1溝部2aa、2ab内に埋設されており、筒状部分2aの外周面から突き出していない。この第1弾性部3bはたとえば板ばねよりなっており、第1刃部3aと同じ幅を有している。
【0042】
第1刃部3a側とは反対側の第1弾性部3bの端部は、第1保持具8により筒状部分2aに固定されている。これにより第1刃部3aは、筒状部分2aの径方向に移動可能(弾性変形可能)な片持ち梁の構成を有している。
【0043】
第1保持具8は、螺子8aと、押さえ部材8bとを有している。押さえ部材8bは貫通穴を有しており、螺子8aはこの押さえ部材8bの貫通穴内に挿通されている。第1保持具8は、筒状部分2aの第1溝部の第2部分2ab内に配置されている。第1保持具8が第2部分2ab内に配置された状態で、押さえ部材8bが第1弾性部3bの端部を筒状部分2aの外周側から内周側へ押さえている。この状態で螺子8aが筒状部分2aの螺子穴2acに螺合されることにより、第1弾性部3bの端部が筒状部分2aに固定されている。
【0044】
第2カッターブレード4は、第2刃部4aと、その第2刃部4aに接続された第2弾性部4bとを有している。この第2カッターブレード4は、筒状部分2aの外周側から第2溝部2ad、2ae内へ挿入されている。
【0045】
第2カッターブレード4が第2溝部2ad、2ae内に挿入された状態で、第2刃部4aが筒状部分2aの外周面から突き出している。また第2刃部4aは、第2弾性部4bよりも筒状部分2aの先端側に位置している。この第2刃部4aは上記先端側とその反対側とのそれぞれに傾斜面4aa、4abを有している。2つの傾斜面4aa、4abの各々には切刃が形成されている。
【0046】
第2カッターブレード4が第2溝部2ad、2ae内に挿入された状態で、第2弾性部4bは第2溝部2ad、2ae内に埋設されており、筒状部分2aの外周面から突き出していない。この第2弾性部4bはたとえば板ばねよりなっており、第2刃部4aと同じ幅を有している。
【0047】
第2刃部4a側とは反対側の第2弾性部4bの端部は、第2保持具9により筒状部分2aに固定されている。これにより第2刃部4aは、筒状部分2aの径方向に移動可能(弾性変形可能)な片持ち梁の構成を有している。
【0048】
第2保持具9は、螺子9aと、押さえ部材9bとを有している。押さえ部材9bは貫通穴を有しており、螺子9aはこの押さえ部材9bの貫通穴内に挿通されている。第2保持具9は、筒状部分2aの第2溝部の第2部分2ae内に配置されている。第2保持具9が第2部分2ae内に配置された状態で、押さえ部材9bが第2弾性部4bの端部を筒状部分2aの外周側から内周側へ押さえている。この状態で螺子9aが筒状部分2aの螺子穴2afに螺合されることにより、第2弾性部4bの端部が筒状部分2aに固定されている。
【0049】
第1移動体6は、筒状部分2aの内部空間2ah内に配置されている。第1移動体6は、第1フランジ部6aと、本体部6cとを有している。第1フランジ部6aは、多角形(たとえば長方形)の角部がラウンド形状となった形状を有している。この第1フランジ部6aの角部のラウンド形状は、内部空間2ahを規定する筒状部分2aの内壁形状に沿っている。
【0050】
本体部6cは、たとえば円筒形状を有している。第1フランジ部6aは、本体部6cに一体的に接続されている。第1フランジ部6aは、本体部6cの外周面から軸方向Aを中心とする径方向外周側へ突き出している。
【0051】
第1フランジ部6aと本体部6cとには、貫通穴6d(
図2(B))が形成されている。貫通穴6dは、軸方向Aに沿って延びており、第1フランジ部6aおよび本体部6cの各々を貫通している。
【0052】
第1移動体6の第1フランジ部6aには、傾斜面6bが形成されている。この傾斜面6bは、第1フランジ部6aの一部を内周側から外周端にかけて切り取ることにより構成されている。この傾斜面6bが形成された部分において第1フランジ部6aは、内周側から外周端にかけて軸方向Aの厚みが薄くなっている。傾斜面6bは、本体部6cと反対側の第1フランジ部6aの面に形成されている。
【0053】
本体部6cの外周面から貫通穴6dに達するように螺子穴6fが形成されている。この螺子穴6fには、雄螺子部材32が螺合されている。雄螺子部材32の先端は、貫通穴6d内に突き出している。
【0054】
第1フランジ部6aの外周面から貫通穴6dに達するように螺子穴6eが形成されている。この螺子穴6eには、雄螺子部材31が螺合されている。雄螺子部材31の先端は、貫通穴6d内に突き出している。
【0055】
本体部6cの外周面には、移動規制溝6gが形成されている。この移動規制溝6gの長手方向は、軸方向Aに沿っている。この移動規制溝6gには、上記の雄螺子部材33の先端が挿入されている。
【0056】
第2移動体5は、筒状部分2aの内部空間2ah内に配置されている。第2移動体5は、第2フランジ部5aと、本体部5cとを有している。第2フランジ部5aは、多角形(たとえば長方形)の角部がラウンド形状となった形状を有している。この第2フランジ部5aの角部のラウンド形状は、内部空間2ahを規定する筒状部分2aの内壁形状に沿っている。
【0057】
本体部5cは、たとえば円筒形状を有している。第2フランジ部5aは、本体部5cに一体的に接続されている。第2フランジ部5aは、本体部5cの外周面から軸方向Aを中心とする径方向外周側へ突き出している。
【0058】
第2フランジ部5aと本体部5cとには、貫通穴5d(
図2(B))が形成されている。貫通穴5dは、軸方向Aに沿って延びており、第2フランジ部5aおよび本体部5cの各々を貫通している。貫通穴5dの内壁には、雌螺子部5f(
図2(B))が形成されている。
【0059】
第2移動体5の第2フランジ部5aには、傾斜面5bが形成されている。この傾斜面5bは、第2フランジ部5aの一部を内周側から外周端にかけて切り取ることにより構成されている。この傾斜面5bが形成された部分において第2フランジ部5aは、内周側から外周端にかけて軸方向Aの厚みが薄くなっている。傾斜面5bは、本体部5cと反対側の第2フランジ部5aの面に形成されている。
【0060】
本体部5cは、第1移動体6の貫通穴6dの内径よりも小さな外径を有している。この本体部5cの少なくとも一部は、第1移動体6の貫通穴6d内に挿入されている。
【0061】
本体部5cの外周面には、移動規制溝5eが形成されている。この移動規制溝5eの長手方向は、軸方向Aに沿っている。この移動規制溝5eには、上記の雄螺子部材31の先端が挿入されている。
【0062】
移動体取付部7は、筒状部分2aの内部空間2ah内に配置されている。また移動体取付部7は、第1移動体6の貫通穴6d内および第2移動体5の貫通穴5d内に挿入されている。
【0063】
移動体取付部7は、円筒雄螺子部材7aと、螺子部材7bと、雄螺子部材7cとを有している。円筒雄螺子部材7aは貫通穴を有する円筒形状を有している。円筒雄螺子部材7aの円筒形状の外周部には雄螺子部7aaが形成されている。この雄螺子部7aaは、第2移動体5の雌螺子部5fと螺合している。
【0064】
雄螺子部7aaの一方側には、螺子穴7abが形成されている。この螺子穴7abは、円筒雄螺子部材7aの外周面から円筒雄螺子部材7aの貫通穴に達している。この螺子穴7abには雄螺子部材7cが螺合されている。雄螺子部材7cの先端は、円筒雄螺子部材7aの貫通穴内に突き出している。
【0065】
この螺子穴7abに対して雄螺子部7aaとは反対側において、円筒雄螺子部材7aの外周面に環状溝7acが形成されている。この環状溝7acには、上記の雄螺子部材32の先端が挿入されている。
【0066】
雄螺子部7aaの他方側において、円筒雄螺子部材7aの円筒形状の外周部に六角ボルト部7adが形成されている。
【0067】
螺子部材7bは、軸部7ba(
図2(B))と、頭部7bbとを有している。軸部7baは、円筒雄螺子部材7aの貫通穴の内径よりも小さな外径を有している。この軸部7baの先端には雄螺子部7baaが形成されている。
【0068】
軸部7baの外周面には環状溝7bab(
図2(B))が設けられている。環状溝7babは、雄螺子部7acよりも頭部7bb側に配置されている。頭部7bbの外径は、軸部7baの外径よりも大きく、円筒雄螺子部材7aの貫通穴の内径よりも大きい。
【0069】
螺子部材7bの軸部7baは、円筒雄螺子部材7aの貫通穴内に挿入されている。この状態で頭部7bbは、円筒雄螺子部材7aの貫通穴の外に位置しており、雄螺子部7baaは円筒雄螺子部材7aの貫通穴内から突き出している。このため雄螺子部7baaは円筒雄螺子部材7aから露出している。
【0070】
この状態で、雄螺子部材7cの先端は、軸部7baの環状溝7bab内に挿入されている。
【0071】
図2(A)、(B)に示されるように、筒状部分2aの内部空間2ahは、大径空間部2aa
1と、小径空間部2aa
2と、雌螺子(雌螺子部)2dとを有している。内部空間2ahの大径空間部2aa
1は筒状部分2aの先端に位置しており、かつ筒状部分2aの外部空間に開口している。内部空間2ahの小径空間部2aa
2は、大径空間部2aa
1よりも支持部2b側に位置し、かつ大径空間部2aa
1に連通している。この小径空間部2aa
2は大径空間部2aa
1よりも小さな径を有している。雌螺子2dは、小径空間部2aa
2に連通し、かつ小径空間部2aa
2よりも支持部2b側に位置している。この雌螺子2dは筒状部分2aから軸方向Aに沿って支持部2b内にまで延びるように形成されている。
【0072】
第1移動体6、第2移動体5および移動体取付部7の各々は、筒状部分2aの内部空間2ah内に配置されている。第1移動体6の貫通穴6d内に、第2移動体5の本体部5cの少なくとも一部が挿入されている。この状態で、第1移動体6の第1フランジ部6aに取り付けられた雄螺子部材31の先端は、第2移動体5の移動規制溝5e内に挿入されている。これにより、第1移動体6に対する第2移動体5の軸方向Aに沿う移動範囲が規制されている。
【0073】
円筒雄螺子部材7aは、第1移動体6の貫通穴6d内および第2移動体5の貫通穴5d内の双方に挿入されている。この状態で、円筒雄螺子部材7aの雄螺子部7aaは、第2移動体5の雌螺子部5fと螺合している。このため、第2移動体5に対して円筒雄螺子部材7aを軸方向Aを中心として相対的に回転させることにより、円筒雄螺子部材7aは第2移動体5の対して軸方向Aに進退可能である。
【0074】
円筒雄螺子部材7aの環状溝7acには、上記の雄螺子部材32の先端が挿入されている。これにより、円筒雄螺子部材7aは、第1移動体6に対して回転可能で、かつ第1移動体6に対して軸方向Aに移動できないように第1移動体6に取り付けられている。
【0075】
円筒雄螺子部材7aの貫通穴内には、螺子部材7bの軸部7baが挿入されている。この状態で雄螺子部材7cの先端は、軸部7baの環状溝7bab内に挿入されている。これにより、螺子部材7bは、円筒雄螺子部材7aに対して回転可能で、かつ円筒雄螺子部材7aに対して軸方向Aに移動できないように円筒雄螺子部材7aに取り付けられている。
【0076】
移動体取付部7の雄螺子部7baaは軸方向Aに沿って延びて雌螺子2dにねじ込まれている。これにより、移動体取付部7は、軸方向Aに沿って工具本体2に取付けられている。螺子部材7bを軸方向Aを中心にして工具本体2に対して相対的に回転させることにより、螺子部材7bは工具本体2に対して軸方向Aに進退可能である。
【0077】
移動体取付部7が工具本体2に取付けられた状態において、第1移動体6の本体部6cの少なくとも一部は小径空間部2aa
2内に位置している。またこの状態において第1移動体6の第1フランジ部6aの全体は大径空間部2aa
1内に位置している。
【0078】
この状態において、第1移動体6の本体部6cに形成された溝6g内には、筒状部分2aの螺子穴2agに螺合された雄螺子部材33の先端が挿入されている。これにより第1移動体6の工具本体2に対する軸方向Aを中心とした回転が防止されている。このため、雄螺子部7baaを雌螺子2dにねじ込む際に、第1移動体6が移動体取付部7とともに軸方向Aを中心として回転することが防止されている。また溝6g内に雄螺子部材33の先端が挿入されることにより、工具本体2に対する第1移動体6の軸方向Aに沿う移動範囲が規制されている。
【0079】
第1フランジ部6aは、第1弾性部3bを工具本体2の内周側から支持できるように配置されている。第1フランジ部6aは、大径空間部2aa
1に挿入された状態で第1弾性部3bの内周側に接していてもよく、また挿入された状態では接していなくても第1刃部3aが径方向に移動するときに第1弾性部3bの内周側に接するように配置されていればよい。また第1フランジ部6aが第1弾性部3bを支持する箇所に第1傾斜面6bが配置されていてもよい。この場合、第1移動体6は第1傾斜面6bの外周端において第1弾性部3bを内周面側から支持している。
【0080】
第2フランジ部5aは、第2弾性部4bを工具本体2の内周側から支持できるように配置されている。第2フランジ部5aは、大径空間部2aa
1に挿入された状態で第2弾性部4bの内周側に接していてもよく、また挿入された状態では接していなくても第2刃部4aが径方向に移動するときに第2弾性部4bの内周側に接するように配置されていればよい。また第2フランジ部5aが第2弾性部4bを支持する箇所に第2傾斜面5bが配置されていてもよい。この場合、第2移動体5は第2傾斜面5bの外周端において第2弾性部4bを内周面側から支持している。
【0081】
移動体取付部7に対して、第1および第2移動体6、5を軸方向Aに移動させることができる。具体的には、
図2(B)に示す状態から、移動体取付部7に対して第2移動体5を軸方向Aに移動させることができる。この第2移動体5の移動は、第2移動体5に対して円筒雄螺子部材7aを相対的に回転させることにより可能である。
【0082】
この第2移動体5の軸方向Aの移動により、
図3に示されるように、第2移動体5が第2カッターブレード4の第2弾性部4bを支持する位置を変更することができる。これにより、第2カッターブレード4の第2刃部4aが、被加工材に設けられた貫通穴の縁部に押し付けられる強さを変更することができる。
【0083】
また
図2(B)に示す状態から、移動体取付部7の螺子部材7bを軸方向Aを中心にして回転させることにより、
図4に示されるように、螺子部材7bを工具本体2に対して軸方向Aに沿って筒状部分2aの先端側に移動させることができる。この螺子部材7bの移動に伴って、円筒雄螺子部材7aおよび第1移動体6を筒状部分2aの先端側に移動させることができる。
【0084】
この第1移動体6の軸方向Aの移動により、第1移動体6が第1カッターブレード3の第1弾性部3bを支持する位置を変更することができる。これにより、第1カッターブレード3の第1刃部3aが、被加工材に設けられた貫通穴の縁部に押し付けられる強さを変更することができる。
【0085】
またこの際、第2移動体5を円筒雄螺子部材7aに対して回転させることにより、第2移動体5を円筒雄螺子部材7aに対して相対的に軸方向Aに沿って移動させることができる。
【0086】
次に、本実施の形態の工具1を用いた穴の面取り・バリ取り装置の構成について
図5を用いて説明する。
【0087】
図5に示されるように、本実施の形態の穴の面取り・バリ取り装置10は、
図1〜
図4に示す工具1を軸方向Aを中心として回転させるとともに、少なくとも軸方向Aに沿って進退させる駆動部12〜16を有している。
【0088】
この穴の面取り・バリ取り装置10は、保持機構部11と、移動機構部12と、台部13と、載置部14と、回転駆動源15と、移動駆動源16とを主に有している。保持機構部11は、
図1〜
図4に示す工具1の装置取付部2cを回転可能に保持することができる。移動機構部12は、保持機構部11を矢印D方向(図中上下方向)に移動可能に支持している。台部13は、移動機構部12を矢印E方向(図中左右方向)と、図中奥行き方向(矢印D方向および矢印E方向の双方に直交する方向)とに移動可能なように支持している。載置部14は、被加工材101、102を載置するための部分であり、台部13の上に配置されている。
【0089】
回転駆動源15は、工具1を軸方向Aを中心として回転させるための駆動力を与えるものである。また移動駆動源16は、台部13に対して移動機構部12を移動させるための駆動力と、移動機構部12に対して保持機構部11を移動させるための駆動力とを与えるものである。回転駆動源15と移動駆動源16とは同じ駆動源であってもよい。また移動駆動源16は、移動機構部12に対して保持機構部11を移動させるための駆動力を与える駆動源と、台部13に対して移動機構部12を移動させるための駆動力を与える駆動源とに分かれていてもよい。
【0090】
上記の装置10に工具1を取付けることにより、工具1を回転させ、かつ矢印D方向(図中上下方向)、矢印E方向(図中左右方向)および図中奥行き方向に移動させることができる。
【0091】
次に、本実施の形態の穴の面取り・バリ取り装置を用いて、被加工材に同軸に設けられた互いに径の異なる2つの貫通穴の縁部を面取り、バリ取りする方法について
図6〜
図9を用いて説明する。
【0092】
図6に示されるように、被加工材101、102の各々には、貫通穴101a、102aがドリルなどにより形成されている。貫通穴101a、102aは互いに同軸に配置されており、互いに異なる径を有している。具体的には、貫通穴101aの径R1は貫通穴102aの径R2よりも大きい。
【0093】
面取り、バリ取りにおいては、工具1が回転されながら、その工具1の筒状部分2aの先端部が貫通穴101a内に挿入されていく。この時、第2刃部4aは被加工材101に当らずに貫通穴101a内を通過する。この後、第1刃部3aの傾斜面(切刃)3aaが貫通穴101aの一方表面側の縁部に押し当てられる。これにより、貫通穴101aの一方表面側の縁部の面取り、バリ取りが行なわれる。なお、貫通穴101a、102aの径の差が小さい場合には、第2刃部4aが貫通穴101aをこすりながら通過することもある。この場合、第1刃部3aが加工する前に貫通穴101aに小さな面取り加工や、軽いバリ取り加工を施すだけなので加工上何ら問題は生じない。
【0094】
この後、工具1の筒状部分2aが貫通穴101a内にさらに押し込まれる。この際の押し込み力により第1弾性部3bが弾性変形して、第1刃部3aが筒状部分2aの内周側に押し込まれる。これにより、筒状部分2aは貫通穴101aを容易に通過することができる。
【0095】
図7に示されるように、貫通穴101aを通過した第1刃部3aは、被加工材101の他方表面側に位置し、かつ筒状部分2aの外周面から突き出すように復帰する。この後、筒状部分2aを貫通穴101aから引き抜く力が工具1に加えられる。これにより、第1刃部3aの傾斜面(切刃)3abが貫通穴101aの他方表面側の縁部に押し当てられる。これにより、貫通穴101aの他方表面側の縁部の面取り、バリ取りが行なわれる。
【0096】
図8に示されるように、この後、工具1が回転されながら、工具1の筒状部分2aの先端部が貫通穴102a内に挿入されていく。この時、第2刃部4aの傾斜面(切刃)4aaが貫通穴102aの一方表面側の縁部に押し当てられる。これにより、貫通穴102aの一方表面側の縁部の面取り、バリ取りが行なわれる。
【0097】
この後、工具1の筒状部分2aが貫通穴102a内にさらに押し込まれる。この際の押し込み力により第2弾性部4bが弾性変形して、第2刃部4aが筒状部分2aの内周側に押し込まれる。これにより、筒状部分2aは貫通穴102aを容易に通過することができる。
【0098】
図9に示されるように、貫通穴102aを通過した第2刃部4aは、被加工材102の他方表面側に位置し、かつ筒状部分2aの外周面から突き出すように復帰する。この後、筒状部分2aを貫通穴102aから引き抜く力が工具1に加えられる。これにより、第2刃部4aの傾斜面(切刃)4abが貫通穴102aの他方表面側の縁部に押し当てられる。これにより、貫通穴102aの他方表面側の縁部の面取り、バリ取りが行なわれる。
【0099】
この後、工具1の筒状部分2aが貫通穴102a内から引き抜かれる。この際の引き抜き力により第2弾性部4bが弾性変形して、第2刃部4aが筒状部分2aの内周側に押し込まれる。これにより、筒状部分2aは貫通穴102aを容易に通過することができる。
【0100】
さらに、工具1の筒状部分2aが貫通穴101a内から引き抜かれる。この際の引き抜き力により第1弾性部3bが弾性変形して、第1刃部3aが筒状部分2aの内周側に押し込まれる。これにより、筒状部分2aは貫通穴101aを容易に通過することができる。
【0101】
以上により被加工材101、102の各々の貫通穴101a、102aの一方表面側および他方表面側の縁部の面取り、バリ取りが行なわれる。
【0102】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、
図2(A)に示されるように第2刃部4aの外周径(半径RB)は第1刃部3aの外周径(半径RA)よりも小さい。このため
図6〜
図9に示されるように同軸に配された2つの貫通穴101a、102aの穴径R1、R2がそれぞれ異なる場合でも、大径R1の貫通穴101aの面取り・バリ取りを第1刃部3aで行い、かつ小径R2の貫通穴102aの面取り・バリ取りを第2刃部4aで行うことができる。このように同軸上に配置された2つの貫通穴101a、102aの穴径R1、R2が異なる場合でも面取り・バリ取り作業が可能となる。
【0103】
また
図2(B)に示されるように、移動体取付部7が筒状部分2aの軸方向Aに沿って工具本体2に取付けられており、この移動体取付部7を工具本体2に対して軸方向Aに移動させる作業だけで第1および第2移動体6、5を軸方向Aに移動させることができる。そして第1および第2移動体6、5の軸方向Aの移動により、第1および第2移動体6、5のそれぞれが第1および第2弾性部3b、4bを支持する箇所(つまり支点)を変更することができ、第1および第2カッターブレード3、4の押し付け強さを変更することができる。このように移動体取付部7を工具本体2に対して軸方向Aに移動させるという簡易な作業で、第1および第2カッターブレード3、4の各々の押し付け強さを変更することが可能となる。これにより同軸に配された2つの貫通穴101a、102aの穴径R1、R2がそれぞれ異なる場合においても、第1および第2カッターブレード3、4の各々の押し付け強さを各貫通穴101a、102aに最適な強さに設定することが容易となる。
【0104】
また
図1に示されるように、第2刃部4aは、第1刃部3aよりも筒状部分2aの先端側に配置されている。これにより同軸に配された2つの貫通穴101a、102aの穴径R1、R2がそれぞれ異なる場合でも、手前側の大径R1の貫通穴101aの面取り・バリ取りを第1刃部3aで行い、かつ奥側の小径R2の貫通穴102aの面取り・バリ取りを第2刃部4aで行うことができる。
【0105】
また
図1に示されるように、1つの筒状部分2aに対して複数個の第1カッターブレード3が設けられている。これにより複数の第1刃部3aで貫通穴101aの面取り・バリ取りを行なうことができる。
【0106】
また
図1に示されるように、1つの筒状部分2aに対して複数個の第2カッターブレード4が設けられている。これにより複数の第2刃部4aで貫通穴102aの面取り・バリ取りを行なうことができる。
【0107】
また
図2(B)に示されるように、移動体取付部7は雄螺子部(一方螺子部)7baaを有し、工具本体2は雄螺子部7baaと噛み合う雌螺子(他方螺子部)2dを有している。雄螺子部7baaを雌螺子2dに軸方向Aにねじ込むことにより第1移動体6が工具本体2に対して軸方向Aに移動する。これにより、雄螺子部7baaと雌螺子2dとを軸方向Aに互いにねじ込むという簡易な作業で、第1カッターブレード3の押し付け強さを変更することが可能となる。
【0108】
また
図2(B)に示されるように、移動体取付部7の外周部には雄螺子部7aaが設けられている。第2移動体5は、軸方向Aに延びる貫通穴5dを有し、その貫通穴5dの内面に雌螺子部5fを有している。雄螺子部7aaを雌螺子部5fに軸方向Aにねじ込むことにより第2移動体5が工具本体2に対して軸方向Aに移動する。これにより、雄螺子部7aaを雌螺子部5fに軸方向Aにねじ込むという簡易な作業で、第2カッターブレード4の押し付け強さを変更することが可能となる。
【0109】
図2に示されるように、第1移動体6は、軸方向Aの外周側に張り出した第1フランジ部6aを有し、第1フランジ部6aの外周端が第1弾性部3bを支持している。第2移動体5は、軸方向Aの外周側に張り出した第2フランジ部5aを有し、その第2フランジ部5aの外周端が第2弾性部4bを支持している。このような第1および第2フランジ部6a、5aを設けるという簡易な構成で、第1および第2弾性部3b、4bを支持することが可能となる。
【0110】
図2(B)に示されるように、第1フランジ部6aの一部を内周側から外周端にかけて切り取った第1傾斜面6bが設けられている。第1移動体6は第1傾斜面6bの外周端において第1弾性部3bを支持している。このように第1フランジ部6aの一部を切り取った第1傾斜面6bとすることにより第1移動体6と第1弾性部3bとの接触箇所を減らして、第1弾性部3bの可動範囲を拡大することができる。
【0111】
図2(B)に示されるように、第1フランジ部6aは、第2弾性部4bが弾性変形しても第2弾性部4bと当接しない形状を有している。具体的には第1および第2カッターブレード3、4が筒状部分2aの円周方向に互いに90°ずらして配置されている場合であって、第1フランジ部6aと第2フランジ部5aの双方が略長方形状を有している場合、第1フランジ部6aの略長方形の長辺が第2フランジ部5aの略長方形の長辺と直交するように配置されている。これにより第1フランジ部6aが第2弾性部4bの弾性変形を阻害することが防止されている。
【0112】
図2(B)に示されるように、第2フランジ部5aの一部を内周側から外周端にかけて切り取った第2傾斜面5bが設けられている。第2移動体5は第2傾斜面5bの外周端において第2弾性部4bを支持している。このように第2フランジ部5aの一部を切り取った第2傾斜面5bとすることにより第2移動体5と第2弾性部4bとの接触箇所を減らして、第2弾性部4bの可動範囲を拡大することができる。
【0113】
図2(B)に示されるように、第2フランジ部5aは、第1弾性部3bが弾性変形しても第1弾性部3bと当接しない形状を有している。これにより第2フランジ部5aが第1弾性部3bの弾性変形を阻害することが防止されている。
【0114】
図1に示されるように、第1弾性部3bおよび第2弾性部4bの双方は板ばねである。これにより板ばねという簡易な構成で、その板ばねを支持する箇所を変更することにより、第1および第2カッターブレード3、4の各々の押し付け強さを変更することが可能となる。
【0115】
また
図5に示すように本実施の形態の穴の面取り・バリ取り装置10は、
図1〜
図4に示す本実施の形態の工具1を有しており、同軸上に配置された2つの貫通穴101a、102aの穴径R1、R2が異なる場合でも面取り・バリ取り作業が可能となる。
【0116】
なお上記においては移動体取付部7が雄螺子部7baaを有し、かつ工具本体2が雌螺子2dを有する場合について説明したが、移動体取付部7に雌螺子が形成されており、工具本体2にその雌螺子に螺合する雄螺子が形成されていてもよい。
【0117】
また上記においては移動体取付部7が雄螺子部7baaを有し、かつ工具本体2が雌螺子2dを有する場合について説明したが、移動体取付部7は軸方向Aに沿って工具本体2に取付けられ、かつ第1および第2移動体6、5を軸方向Aに移動させることができるものであればよく、たとえばラチェット(ratchet)機構を用いたものであってもよい。
【0118】
また上記においては第1および第2弾性部3b、4bとして板ばねについて説明したが、第1および第2弾性部3b、4bはこれに限定されるものではなく、第1および第2刃部3a、4aを筒状部分2aの径方向に移動可能なように工具本体2に支持できるものであればよい。
【0119】
また上記においては第1および第2カッターブレード3、4の各々が2個の場合について説明したが、それぞれ1個または3個以上の第1および第2カッターブレード3、4が筒状部分2aの周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されていてもよい。
【0120】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。