(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである筒状の収納部材と、前記収納部材内を一方の端部側から他方の端部側へ移動可能な挿入部材と、拡径状態から縮径可能な筒状弾性体と、を備え、
前記挿入部材は、一方の端部にケーブル当接部を有し、他方の端部が開口部である筒体であり、前記ケーブル当接部側が前記収納部材の内部に位置し、前記開口部が前記収納部材の外部に位置しており、
前記筒状弾性体は、前記収納部材の一方の端部の開口部側の外周面、および、前記収納部材から外側に突出している前記挿入部材の外周面を拡径状態で圧着していることを特徴とするケーブル終端部の収納用器具。
前記収納部材の一方の端部の開口部側の内壁面には中間筒体が固着されており、該中間筒体の一方の開口部は前記収納部材の内部に位置し、他方の開口部は前記収納部材の外部に位置しており、
前記挿入部材は、前記中間筒体内を出入可能であり、前記ケーブル当接部側が前記中間筒体の内部あるいは前記収納部材の内部に位置し、前記開口部が前記中間筒体の外部に位置しており、
前記筒状弾性体は、前記収納部材の一方の端部の開口部側の外周面、前記収納部材から外側に突出している前記中間筒体の外周面、および、前記中間筒体から外側に突出している前記挿入部材の外周面を拡径状態で圧着していることを特徴とする請求項1に記載のケーブル終端部の収納用器具。
一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである筒状の収納部材と、前記収納部材内を一方の端部側から他方の端部側へ移動可能な挿入部材と、を備え、
前記収納部材は、一方の端部の開口部側が小径筒部であり、他方の端部側が大径筒部であり、前記小径筒部と前記大径筒部が肩部を介して連続するように弾性材料により一体に構成されており、前記小径筒部は拡径状態から縮径可能であり、
前記挿入部材は、一方の端部にケーブル当接部を有し、他方の端部が開口部である筒体であり、前記ケーブル当接部側が前記収納部材の大径筒部に位置し、前記開口部が前記収納部材の一方の端部の開口部と一致し、あるいは、前記収納部材の外部に位置しており、
前記収納部材の前記小径筒部は、前記挿入部材の外周面を拡径状態で圧着していることを特徴とするケーブル終端部の収納用器具。
前記収納部材を構成する弾性部材は、1種の弾性部材、あるいは、前記小径筒部を構成する弾性部材と前記大径筒部を構成する弾性部材が異なる複数種の弾性部材からなることを特徴とする請求項5に記載のケーブル終端部の収納用器具。
前記収納部材の前記大径筒部の厚みTと、前記収納部材の前記小径筒部の厚みtとの比(T/t)は、0.1以上であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のケーブル終端部の収納用器具。
前記筒状弾性体と前記挿入部材との間に、折り返された易摺動フィルムが位置し、該易摺動フィルムの折り返し部は前記挿入部材の開口部側に位置し、前記易摺動フィルムの折り返しであって前記挿入部材側に位置する折り返しの端部は、前記挿入部材に係止されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のケーブル終端部の収納用器具。
前記筒状弾性体と前記挿入部材との間に、折り返された易摺動フィルムが位置し、該易摺動フィルムの折り返し部は前記挿入部材の開口部側に位置し、前記易摺動フィルムの折り返しであって前記挿入部材側に位置する折り返しの端部は、前記挿入部材に係止されており、
前記筒状弾性体と前記中間挿入部材との間に、折り返された易摺動フィルムが位置し、該易摺動フィルムの折り返し部は前記中間挿入部材の開口部側に位置し、前記易摺動フィルムの折り返しであって前記中間挿入部材側に位置する折り返しの端部は、前記中間挿入部材に係止されていることを特徴とする請求項4に記載のケーブル終端部の収納用器具。
前記収納部材の前記小径筒部と前記挿入部材との間に、折り返された易摺動フィルムが位置し、該易摺動フィルムの折り返し部は前記挿入部材の開口部側に位置し、前記易摺動フィルムの折り返しであって前記挿入部材側に位置する折り返しの端部は、前記挿入部材に係止されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のケーブル終端部の収納用器具。
前記収納部材の前記小径筒部と前記挿入部材との間に、折り返された易摺動フィルムが位置し、該易摺動フィルムの折り返し部は前記挿入部材の開口部側に位置し、前記易摺動フィルムの折り返しであって前記挿入部材側に位置する折り返しの端部は、前記挿入部材に係止されており、
前記収納部材の前記小径筒部と前記中間挿入部材との間に、折り返された易摺動フィルムが位置し、該易摺動フィルムの折り返し部は前記中間挿入部材の開口部側に位置し、前記易摺動フィルムの折り返しであって前記中間挿入部材側に位置する折り返しの端部は、前記中間挿入部材に係止されていることを特徴とする請求項8に記載のケーブル終端部の収納用器具。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明のケーブル終端部の収納用器具の一実施形態を示す断面図であり、
図2は、
図1に示される収納用器具の部分拡大断面図である。
図1および
図2において、収納用器具11は、筒状の収納部材13、収納部材13内を移動可能な挿入部材14、筒状弾性体16を備えている。また、筒状弾性体16と挿入部材14との間に、折り返された易摺動フィルム17を備えている。
筒状の収納部材13は、一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである。以下の本実施形態は、収納部材13が有底容器である場合について説明する。
【0024】
筒状の収納部材である有底容器13は、筒部13aの一方の端部に底部13bを有し、筒部13aの他方の端部が開口部13cとなっている。筒部13aは、断面形状が円形である円筒形状であってよく、また、断面形状が楕円、矩形、多角形等の筒形状であってもよい。有底容器13の内径D1は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法等を考慮して設定することがでる。また、有底容器13の筒部13aの厚み、底部13bの厚みは、後述するに筒状弾性体16の収縮力に抗して有底容器13が形状を維持可能なように、使用する材料、収納用器具11が置かれる環境下で作用する外力等を考慮して適宜設定することができる。このような有底容器13に使用する材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の樹脂材料、セラミックス等の電気絶縁性の公知の材料を挙げることができ、これらの材料を適宜選択して使用することができる。
【0025】
挿入部材14は、筒部14aの一方の端部にケーブル当接部14bを有し、筒部14aの他方の端部が開口部14cとなっている。筒部14aは、断面形状が円形である円筒形状であってよく、また、断面形状が楕円、矩形、多角形等の筒形状であってもよく、さらに、筒部14aの外周面の断面が複数の凸部を有する星形等であってもよい。
図示例では、ケーブル当接部14bは、筒部14aの一方の端部を閉塞する底部のように形成されているが、終端部を密封しようとするケーブルをケーブル当接部14bに当接させて押し付けることにより、後述するように、挿入部材14を有底容器13の底部13b方向に移動可能なものであればよい。したがって、例えば、ケーブル当接部14bは、その中央部、あるいは、所望の箇所に、ケーブルの直径よりも小さい径の孔部を有する環状であってもよい。この挿入部材14は、ケーブル当接部14b側が有底容器13の内部に位置し、開口部14cが有底容器13の外部に位置しており、有底容器13の外部に位置する部位は、拡径された筒状弾性体16で圧着された状態となっている。挿入部材14の長さは、挿入部材14を有底容器13内に挿入した際に、開口部14cが有底容器13の内部に位置可能なものであればよい。
【0026】
また、挿入部材14が有底容器13の開口部13cから外側に突出する長さL1は、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材14のケーブル当接部14bに押し付けて、挿入部材14を有底容器13の底部13b方向に挿入することにより縮径した筒状弾性体16の収縮力が、ケーブルを確実に圧着するように設定することができる。例えば、縮径した筒状弾性体16とケーブルとの接触長さが5〜100mm程度となるように、突出長さL1を設定することができる。突出長さL1が5mm未満であると、ケーブルに作用する筒状弾性体16の収縮力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。また、突出長さL1が100mmを超えると、挿入部材14を有底容器13の底部13b方向に挿入することが困難となる場合がある。
【0027】
このような挿入部材14の外径D2は、有底容器13の筒部13aの内径D1よりも小さく、これにより、挿入部材14は、有底容器13内を開口部13c側から底部13b側へ移動可能となっている。有底容器13の筒部13aの内径D1と挿入部材14の外径D2の差(D1−D2)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができる。差(D1−D2)が0.1mm未満であると、有底容器13内における挿入部材14の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、差(D1−D2)が60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、筒状弾性体16で圧着された挿入部材14のケーブル当接部14b側の変位が生じ、有底容器13内へ挿入部材14を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、有底容器13の筒部13aの内径D1が一定ではなく、例えば、底部13bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部13aの内径に径差が存在するような形状である場合、および/または、挿入部材14の外径D2が一定ではなく、例えば、底部14bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部14aの外径に径差が存在するような形状である場合、筒部13aの最も小さい内径D1と挿入部材14の最も大きい外径D2の差(D1−D2)が0.1mm以上であればよい。
【0028】
また、挿入部材14の内径D3は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができ、例えば、ケーブルの直径をd1とした場合、D3/d1が1〜3.5の範囲となるように挿入部材14の内径D3の内径寸法を設定することができる。また、挿入部材14の筒部14aの厚み、ケーブル当接部14bの厚みは、後述するに筒状弾性体16の収縮力に抗して挿入部材14が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような挿入部材14に使用する材料としては、上述の有底容器13に使用する材料と同じものを挙げることができる。挿入部材14に使用する材料と有底容器13に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
【0029】
筒状弾性体16は、常温で拡径状態から縮径可能なものであり、有底容器13の開口部13c側の筒部13aの外周面、および、有底容器13から外側に突出している挿入部材14の外周面を拡径状態で圧着している。したがって、筒状弾性体16のうち、有底容器13の開口部13c側の筒部13aの外周面に位置する部位は、有底容器13の筒部13aの内径D1に筒部13aの厚みを加えた寸法まで拡径されており、挿入部材14の外周面に位置する部位は、挿入部材14の筒部14aの外径D2まで拡径されている。
このような筒状弾性体16は、拡径されていない状態の内径d2(図示せず)が、終端部を密封しようとするケーブルの直径d1よりも小さいものである。そして、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材14のケーブル当接部14bに当接し押し付けて、挿入部材14を有底容器13の底部13b方向に挿入することにより、
図1に示される拡径状態から、常温下で略d2の内径まで縮径可能である。
また、筒状弾性体16の長さは、上記の挿入部材14が有底容器13の開口部13cから外側に突出する長さL1と、有底容器13の開口部13c側の筒部13aの外周面に拡径状態で存在する長さL2の合計となる。長さL2は、拡径状態の筒状弾性体16が安定して筒部13aの外周面に存在可能なように設定することができ、例えば、長さL2を5〜100mm程度となるように設定することができる。
【0030】
このような筒状弾性体16は、ゴム材料からなるものであってよい。ゴム材料としては、例えば、200%モジュラスが5MPa以下、好ましくは2MPa以下、切断時伸びが100%以上、好ましくは500%以上、永久伸びが標線間距離30mm以下、好ましくは標線間距離24mm以下のゴム材料を使用することができる。筒状弾性体16を構成するゴム材料の200%モジュラスが5MPaを超えると、有底容器13、挿入部材14の強度を高めるために肉厚を厚くする必要が生じることがあり、その場合、所望の内径D1、D3を確保するために有底容器13、挿入部材14の外径が大きくなり、その結果、筒状弾性体16への挿入部材14、有底容器13の配設において筒状弾性体16をより大きく拡径する必要があり、作業性が低下して好ましくない。切断時伸びが100%未満であると、筒状弾性体16への挿入部材14、有底容器13の配設時に、筒状弾性体16の破断が生じることあり、好ましくない。また、永久伸びが標線間距離30mmを超えると、筒状弾性体16の収縮が不足して、ケーブルに対する圧着力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。このようなゴム材料としては、例えば、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等を挙げることができ、これらのいずれかを単体として、あるいは、これらの任意の組み合わせからなる混合物として使用することができる。
【0031】
尚、上記の200%モジュラスは、JIS K 6251に準拠して測定する。この場合、ダンベル状3号形の試験片に線間20mmの標線を引き、この試験片に引張力を加え、線間60mmに達した時の引張力を測定する。測定装置は、(株)東洋精機製作所製 ストログラフRを使用する。また、上記の切断時伸びは、JIS K 6251に準拠して測定する。この場合、ダンベル状3号形の試験片に線間20mmの標線を引き、この試験片に引張力を加え、切断時の標線間距離を測定して伸び率を算出する。また、上記の永久伸びは、JIS K 6273に準拠して測定する。この場合、ダンベル状3号形の試験片に線間20mmの標線を引き、この試験片に引張力を加え、標線間距離60mmの状態にして70℃、24時間保持し、室温まで冷却した後解放し、30分後の標線間距離を測定する。
また、拡径されていない状態の筒状弾性体16の肉厚は、使用するゴム材料の上記の物性等を考慮して設定することができ、例えば、15mm以下、好ましくは3〜10mmの範囲とすることができる。筒状弾性体16の肉厚が15mmを超えると、使用するゴム材料の200%モジュラスの値にもよるが、有底容器13、挿入部材14の強度を高めるために肉厚を厚くする必要が生じ、また、後述する挿入部材14を有底容器13内に挿入する際に要する力が大きくなり、好ましくない場合がある。
【0032】
収納用器具11が備える易摺動フィルム17は、折り返し部17cが挿入部材14の開口部14cに位置している。また、易摺動フィルム17の折り返しの一方の端部17aは、有底容器13内に位置する挿入部材14の筒部14aの外周面に固着されている。図示例では、易摺動フィルム17の折り返しの他方の端部17bは、筒状弾性体16と挿入部材14との間に位置しているが、筒状弾性体16と有底容器13の間、あるいは、筒状弾性体16外側の有底容器13の筒部13aの外周面に位置していてもよい。
【0033】
収納用器具11への易摺動フィルム17の配設方法は、特に制限はなく、例えば、以下のように行うことができる。まず、
図3(A)に示されるように、シート状の易摺動フィルムを面17eが外側、面17fが内側となるように折り返し部17cで折り返し、これを
図3(B)に示されるように、折り返し部17cが一方の端部となるように筒状に折り曲げる。次いで、易摺動フィルム17の折り返しの一方の端部17aを、端部17aから所定の幅Wの範囲で挿入部材14の筒部14aの外周面に固着する。次に、挿入部材14のケーブル当接部14b側を有底容器13内に所定の深さまで挿入し、その後、拡径した筒状弾性体16を被覆し配設することにより収納用器具11を得ることができる。易摺動フィルム17の折り返しの一方の端部17a側を挿入部材14の筒部14aの外周面に固着する方法としては、例えば、接着剤、両面粘着テープ、片面粘着テープ等を用いて固着する方法、熱融着、超音波融着等で固着する方法等が挙げられる。
【0034】
また、
図3(B)に示されるように、折り返し部17cが一方の端部となるように筒状に折り曲げた後、
図4に示すように、易摺動フィルム17の折り返しの一方の端部17aの対向する部位を結ぶように帯状フィルム18を設けてもよい。この場合、
図4に示すように、帯状フィルム18が挿入部材14のケーブル当接部14b側に係合可能となり、これにより、易摺動フィルム17の折り返しの一方の端部17aが挿入部材14に係止される。図示例では、2本の帯状フィルム18が直交するように架け渡されているが、帯状フィルム18の数には特に制限はない。また、帯状フィルム18ではなく、挿入部材14のケーブル当接部14b側の形状に適合した袋状のフィルムを易摺動フィルム17の折り返しの一方の端部17aに設けてもよい。
【0035】
このような易摺動フィルム17は、少なくとも折り返し部17cで内側に折り返されて、相互に当接する面17fは、低摩擦状態であることが好適である。易摺動フィルム17としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂等の樹脂フィルムを使用することができ、また、これらの樹脂フィルムに離型処理を施したものを使用することができる。また、易摺動フィルム17の厚みは、下記のような易摺動フィルム17の動作を可能とするように、フィルム材料の強度等を考慮して設定することができ、例えば、4.5〜150μm程度とすることができる。
【0036】
このようなケーブル終端部の収納用器具11は、
図1に二点鎖線で示すように、ケーブル1の終端部を挿入部材14内に、矢印a方向に沿って挿入する。これにより、ケーブル1の終端部は挿入部材14のケーブル当接部14bに当接する。その後、
図5に示されるように、ケーブル1を更に矢印a方向に押し込むことにより、挿入部材14は矢印a方向に沿って有底容器13内に挿入され、筒状弾性体16の縮径が徐々に進行する。このようにケーブル1を更に矢印a方向に押し込んだ際に、易摺動フィルム17の当接面17fにおいて容易に摺動が生じ、挿入部材14の押し込みが容易なものとなる。そして、挿入部材14の開口部14cが、有底容器13の開口部13cよりも有底容器13の内側に挿入された段階で、縮径した筒状弾性体16によってケーブル1が圧着され、ケーブル1の終端部の密封が完了し、易摺動フィルム17は、筒状弾性体16によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。図示例では、挿入部材14は有底容器13の底部13bに到達しない位置まで挿入されているが、挿入部材14を有底容器13の底部13bに到達する位置まで挿入してもよい。尚、このように収納部材13が有底容器13である場合、挿入部材14が有底容器13の内側に挿入された状態では、
図5に示すように、挿入部材14および易摺動フィルム17は収納用器具11内に残存するので、廃棄物となることを防止することができる。
【0037】
本発明のケーブル終端部の収納用器具11では、ケーブル1を収納用器具11の内部方向に押し込むことによりケーブル1の終端部の保護が完了するので、従来のインナーコアを引き抜くためのスペースが不要である。したがって、ケーブル終端部の保護作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
尚、この実施形態は、収納部材13が有底容器である場合について説明しているが、収納部材13が筒体である場合には、有底容器13の底部13bが存在しない状態を筒状の収納部材13として、上記の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0038】
[第2の実施形態]
図6は、本発明のケーブル終端部の収納用器具の他の実施形態を示す断面図である。
図6において、収納用器具21は、筒状の収納部材23、中間筒体25、中間筒体25を出入可能であるとともに収納部材23内を移動可能な挿入部材24、筒状弾性体26を備えている。また、筒状弾性体26と挿入部材24との間に、折り返された易摺動フィルム27を備えている。
筒状の収納部材23は、一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである。以下の本実施形態は、収納部材23が有底容器である場合について説明する。
筒状の収納部材である有底容器23は、筒部23aの一方の端部に底部23bを有し、筒部23aの他方の端部が開口部23cとなっている。このような有底容器23の構成、使用する材料は、上述の実施形態における密封容器11を構成する有底容器13と基本的に同じものとすることができる。
【0039】
中間筒体25は、筒部25aの一方の端部に開口部25b、他方の端部に開口部25cを有している。この中間筒体25は、開口部25b側が有底容器23の内部に位置し、開口部25cが有底容器23の開口部23cから外側に突出するように、有底容器23の内壁面に固着されており、有底容器23の外部に位置する部位は、拡径された筒状弾性体26で圧着された状態となっている。このような中間筒体25は、断面形状が有底容器23の筒部23aの断面形状と相似形であることが好ましい。有底容器23の内壁面への中間筒体25の固着は、接着剤を使用した固着、あるいは、熱融着、超音波融着等の融着等により行うことができる。
中間筒体25が有底容器23の開口部23cから外側に突出する長さL3は、筒状弾性体26における有底容器23上の拡径状態と、ケーブルを圧着する縮径状態との形状変化を、中間筒体25の存在により緩和するように設定することができる。例えば、後述するように、中間筒体25の開口部25cから外側に突出する挿入部材24の長さL1を考慮して、長さL3を適宜設定することができる。
【0040】
中間筒体25の筒部25aの厚みは、後述するに筒状弾性体26の収縮力に抗して中間筒体25が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような中間筒体25に使用する材料としては、上述の有底容器23に使用する材料と同じものを挙げることができ、中間筒体25に使用する材料と有底容器23に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
挿入部材24は、筒部24aの一方の端部にケーブル当接部24bを有し、筒部24aの他方の端部が開口部24cとなっている。このような挿入部材24は、上述の実施形態における密封容器11を構成する挿入部材14と基本的に同じものとすることができる。この挿入部材24は、ケーブル当接部24b側が中間筒体25の内部、あるいは、有底容器23の内部に位置し、開口部24cが中間筒体25の外部に位置しており、中間筒体25の外部に位置する部位は、拡径された筒状弾性体26で圧着された状態となっている。挿入部材24の長さは、挿入部材24を有底容器23内に挿入した際に、開口部24cが中間筒体25の開口部25cよりも有底容器23の内部側に位置可能なものであればよい。
【0041】
挿入部材24が中間筒体25の開口部25cから外側に突出する長さL1は、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材24のケーブル当接部24bに当接し押し付けて、挿入部材24を有底容器23の底部23b方向に挿入することにより縮径した筒状弾性体26の収縮力がケーブルを確実に圧着するように設定することができる。例えば、縮径した筒状弾性体26とケーブルとの接触長さが5〜100mm程度となるように、突出長さL1を設定することができる。突出長さL1が5mm未満であると、ケーブルに作用する筒状弾性体26の収縮力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。また、突出長さL1が100mmを超えると、挿入部材24を有底容器23の底部23b方向に挿入することが困難となる場合がある。
【0042】
このような挿入部材24の外径D2は、中間筒体25の筒部25aの内径D4よりも小さく、これにより、挿入部材24は、中間筒体25内を移動し、有底容器23内を開口部23c側から底部23b側へ移動可能となっている。中間筒体25の筒部25aの内径D4と挿入部材24の外径D2の差(D4−D2)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D4−D2)が0.1mm未満であると、中間筒体25内における挿入部材24の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、筒状弾性体26で圧着された挿入部材24のケーブル当接部24b側の変位が生じ、有底容器23内へ挿入部材24を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、中間筒体25の筒部25aの内径D4が一定ではなく、例えば、開口部25bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部25aの内径に径差が存在するような形状である場合、および/または、挿入部材24の外径D2が一定ではなく、例えば、底部24bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部24aの外径に径差が存在するような形状である場合、筒部25aの最も小さい内径D4と挿入部材24の最も大きい外径D2の差(D4−D2)が0.1mm以上であればよい。
【0043】
また、挿入部材24の内径D3は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができ、例えば、ケーブルの直径をd1とした場合、D3/d1が1〜3.5の範囲となるように内径D3を設定することができる。また、挿入部材24の筒部24aの厚み、ケーブル当接部24bの厚みは、後述するに筒状弾性体26の収縮力に抗して挿入部材24が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような挿入部材24に使用する材料としては、上述の有底容器23、中間筒体25に使用する材料と同じものを挙げることができ、挿入部材24に使用する材料と有底容器23、中間筒体25に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
【0044】
筒状弾性体26は、常温において拡径状態から縮径可能なものであり、有底容器23の開口部23c側の筒部23aの外周面、中間筒体25の開口部25c側の筒部25aの外周面、および、中間筒体25から外側に突出している挿入部材24の外周面を拡径状態で圧着している。したがって、筒状弾性体26のうち、有底容器23の開口部23c側の筒部23aの外周面に位置する部位は、有底容器23の筒部23aの内径D1に筒部23aの厚みを加えた寸法まで拡径されており、中間筒体25の開口部25c側の筒部25aの外周面に位置する部位は、中間筒体25の筒部25aの外径D4まで拡径されており、挿入部材24の外周面に位置する部位は、挿入部材24の筒部24aの外径D2まで拡径されている。
【0045】
このような筒状弾性体26は、拡径されていない状態の内径d2(図示せず)が、終端部を密封しようとするケーブルの直径d1よりも小さいものである。そして、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材24のケーブル当接部24bに当接させて押し付け、挿入部材24を有底容器23の底部23b方向に挿入することにより、
図6に示される拡径状態から、常温下で略d2の内径まで縮径可能である。また、筒状弾性体26の長さは、上記の挿入部材24が中間筒体25の開口部25cから外側に突出する長さL1と、中間筒体25が有底容器23の開口部23cから外側に突出する長さL3と、有底容器23の開口部23c側の筒部23aの外周面に拡径状態で存在する長さL2の合計となる。長さL2は、拡径状態の筒状弾性体26が安定して筒部23aの外周面に存在可能なように設定することができる。上記のように、中間筒体25が有底容器23の開口部23cから外側に長さL3で突出しており、これにより筒状弾性体26において、有底容器23上の拡径状態と、ケーブルを圧着する縮径状態との形状変化が、中間筒体25の突出部位で緩和されるので、長さL2は、上述の実施形態の筒状弾性体16における長さL2よりも短くすることができ、例えば、長さL2を5〜80mm程度となるように設定することができる。
このような筒状弾性体26の材質は、上述の実施形態における筒状弾性体16の材質と同様とすることができる。
【0046】
収納用器具21が備える易摺動フィルム27は、折り返し部27cが挿入部材24の開口部24cに位置しており、また、易摺動フィルム27の折り返しの一方の端部27aは、有底容器23内に位置する挿入部材24の筒部24aの外周面に固着されている。図示例では、易摺動フィルム27の折り返しの他方の端部27bは、筒状弾性体26と挿入部材24との間に位置しているが、筒状弾性体26と中間筒体25aの間、あるいは、筒状弾性体26と有底容器23の間、あるいは、筒状弾性体26外側の有底容器23の筒部23aの外周面に位置していてもよい。
収納用器具21への易摺動フィルム27の配設は、上述の収納用器具11への易摺動フィルム17の配設と同様とすることができる。また、使用する易摺動フィルム27は、上述の易摺動フィルム17と同様とすることができる。
【0047】
このようなケーブル終端部の収納用器具21は、
図6に二点鎖線で示すように、ケーブル1の終端部を挿入部材24内に、矢印a方向に沿って挿入する。これにより、ケーブル1の終端部は挿入部材24のケーブル当接部24bに当接する。その後、
図7に示されるように、ケーブル1を更に矢印a方向に押し込むことにより、挿入部材24は矢印a方向に沿って中間筒体25内を移動し、有底容器23内に挿入され、筒状弾性体26の縮径が徐々に進行する。このようにケーブル1を更に矢印a方向に押し込んだ際に、易摺動フィルム27の折り返された当接面において容易に摺動が生じ、挿入部材24の押し込みが容易なものとなる。そして、挿入部材24の開口部24cが、中間筒体25の開口部25cよりも有底容器23の内側に挿入された段階で、縮径した筒状弾性体26によってケーブル1が圧着され、ケーブル1の終端部の密封が完了し、易摺動フィルム27は、筒状弾性体26によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。図示例では、挿入部材24は有底容器23の底部23bに到達しない位置まで挿入されているが、挿入部材24を有底容器23の底部23bに到達する位置まで挿入してもよい。尚、このように収納部材23が有底容器23である場合、挿入部材24が有底容器23の内側に挿入された状態では、
図7に示すように、挿入部材24および易摺動フィルム27は収納用器具21内に残存するので、廃棄物となることを防止することができる。
【0048】
この状態の筒状弾性体26は、有底容器23上の拡径状態と、中間筒体25上の小さめの拡径状態と、ケーブルを圧着する縮径状態との3段階となり、形状変化が有底容器23から突出している中間筒体25によって緩和されたものとなる。したがって、筒状弾性体26の経時安定性が向上し、ケーブルの密封状態を長期間に亘って維持することができる。
本発明のケーブル終端部の収納用器具21では、ケーブル1を収納用器具21の内部方向に押し込むことによりケーブル1の終端部の保護が完了するので、従来のインナーコアを引き抜くためのスペースが不要である。したがって、ケーブル終端部の保護作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
尚、この実施形態は、収納部材12が有底容器である場合について説明しているが、収納部材23が筒体である場合には、有底容器23の底部23bが存在しない状態を筒状の収納部材23として、上記の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0049】
[第3の実施形態]
図8は、本発明のケーブル終端部の収納用器具の他の実施形態を示す断面図である。
図8において、収納用器具31は、筒状の収納部材33、収納部材33内を移動可能な中間挿入部材35、中間挿入部材35内を移動可能な挿入部材34、筒状弾性体36を備えている。また、筒状弾性体36と挿入部材34との間に、折り返された易摺動フィルム37を備え、筒状弾性体36と中間挿入部材35との間に、折り返された易摺動フィルム37′を備えている。
筒状の収納部材33は、一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである。以下の本実施形態は、収納部材33が有底容器である場合について説明する。
筒状の収納部材である有底容器33は、筒部33aの一方の端部に底部33bを有し、筒部33aの他方の端部が開口部33cとなっている。このような有底容器33の構成、使用する材料は、上述の実施形態における密封容器11を構成する有底容器13と基本的に同じものとすることができる。
【0050】
中間挿入部材35は、有底容器33内を開口部33c側から底部33b側へ移動可能であり、筒部35aの一方の端部に底部35b、他方の端部に開口部35cを有している。中間挿入部材35の筒部35aは、断面形状が円形である円筒形状であってよく、また、断面形状が楕円、矩形、多角形等の筒形状であってもよく、さらに、筒部35aの外周面の断面が複数の凸部を有する星形等であってもよい。また、中間挿入部材35は、断面形状が有底容器33の筒部33aの断面形状と相似形であってもよく、また、異なる形状であってもよい。
この中間挿入部材35は、底部35b側が有底容器33の内部に位置し、開口部35cが有底容器33の開口部33cから外側に突出するように位置するとともに、有底容器33内を移動可能とされている。
【0051】
中間挿入部材35が有底容器33の開口部33cから外側に突出する長さL3は、挿入部材34が中間挿入部材35の開口部35cから外側に突出する長さL1とともに、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材34のケーブル当接部34bに当接し押し付けて、挿入部材34を中間挿入部材35の底部35bに当接させ、さらに押し付けて有底容器33の底部33b方向に挿入することにより縮径した筒状弾性体36の収縮力がケーブルを確実に圧着するように設定することができる。例えば、縮径した筒状弾性体36とケーブルとの接触長さが5〜100mm程度となるように、突出長さL3と突出長さL1の和(L3+L1)を設定することができる。突出長さの和(L3+L1)が5mm未満であると、ケーブルに作用する筒状弾性体36の収縮力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。また、突出長さの和(L3+L1)が100mmを超えると、挿入部材34と中間挿入部材35を有底容器33の底部33b方向に挿入することが困難となる場合がある。
【0052】
このような中間挿入部材35の外径D5は、有底容器33の筒部33aの内径D1よりも小さく、これにより、中間挿入部材35は、有底容器33内を開口部33c側から底部33b側へ移動可能となっている。有底容器33の筒部33aの内径D1と中間挿入部材35の外径D5の差(D1−D5)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D1−D5)が0.1mm未満であると、有底容器33内における中間挿入部材35の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、筒状弾性体36で圧着された中間挿入部材35の底部35b側の変位が生じ、有底容器33内へ中間挿入部材35を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、有底容器33の筒部33aの内径D1が一定ではなく、例えば、底部33bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部33aの内径に径差が存在するような形状である場合、および/または、中間挿入部材35の外径D5が一定ではなく、例えば、底部35bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部35aの外径に径差が存在するような形状である場合、筒部33aの最も小さい内径D1と中間挿入部材35の最も大きい外径D5の差(D1−D5)が0.1mm以上であればよい。
【0053】
中間挿入部材35の筒部35aの厚みは、後述するに筒状弾性体36の収縮力に抗して中間挿入部材35が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような中間挿入部材35に使用する材料としては、上述の有底容器33に使用する材料と同じものを挙げることができ、中間挿入部材35に使用する材料と有底容器33に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
挿入部材34は、筒部34aの一方の端部にケーブル当接部34bを有し、筒部34aの他方の端部が開口部34cとなっている。このような挿入部材34は、上述の実施形態における密封容器11を構成する挿入部材14と基本的に同じものとすることができる。この挿入部材34は、ケーブル当接部34b側が中間挿入部材35の内部に位置し、開口部34cが中間挿入部材35の外部に位置しており、中間挿入部材35の外部に位置する部位は、拡径された筒状弾性体36で圧着された状態となっている。挿入部材34の長さは特に制限はないが、例えば、挿入部材34を中間挿入部材35内に挿入した際に、開口部34cが中間挿入部材35の開口部35cと同じ位置となるように、あるいは、開口部34cが中間挿入部材35の内部に位置するように設定することができる。
挿入部材34が中間挿入部材35の開口部35cから外側に突出する長さL1は、上述のように、中間挿入部材35が有底容器33の開口部33cから外側に突出する長さL3とともに設定することができる。
【0054】
このような挿入部材34の外径D2は、中間挿入部材35の筒部35aの内径D4よりも小さく、これにより、挿入部材34は、中間挿入部材35内を移動可能となっている。中間挿入部材35の筒部35aの内径D4と挿入部材34の外径D2の差(D4−D2)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D4−D2)が0.1mm未満であると、中間挿入部材35内における挿入部材34の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、筒状弾性体36で圧着された挿入部材34のケーブル当接部34b側の変位が生じ、中間挿入部材35内へ挿入部材34を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、中間挿入部材35の筒部35aの内径D4が一定ではなく、例えば、底部35bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部35aの内径に径差が存在するような形状である場合、および/または、挿入部材34の外径D2が一定ではなく、例えば、底部34bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部34aの外径に径差が存在するような形状である場合、筒部35aの最も小さい内径D4と挿入部材34の最も大きい外径D2の差(D4−D2)が0.1mm以上であればよい。
【0055】
また、挿入部材34の内径D3は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができ、例えば、ケーブルの直径をd1とした場合、D3/d1が1〜3.5の範囲となるように内径D3を設定することができる。また、挿入部材34の筒部34aの厚み、ケーブル当接部34bの厚みは、後述するに筒状弾性体36の収縮力に抗して挿入部材34が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような挿入部材34に使用する材料としては、上述の有底容器33、中間挿入部材35に使用する材料と同じものを挙げることができ、挿入部材34に使用する材料と有底容器33、中間挿入部材35に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
【0056】
筒状弾性体36は、常温において拡径状態から縮径可能なものであり、有底容器33の開口部33c側の筒部33aの外周面、中間挿入部材35の開口部35c側の筒部35aの外周面、および、中間挿入部材35から外側に突出している挿入部材34の外周面を拡径状態で圧着している。このような筒状弾性体36は、拡径されていない状態の内径d2(図示せず)が、終端部を密封しようとするケーブルの直径d1よりも小さいものである。そして、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材34のケーブル当接部34bに当接し押し付けて、挿入部材34、中間挿入部材35を有底容器33の底部33b方向に挿入することにより、
図8に示される拡径状態から、常温下で略d2の内径まで縮径可能である。また、筒状弾性体36の長さは、上記の挿入部材34が中間挿入部材35の開口部35cから外側に突出する長さL1と、中間挿入部材35が有底容器33の開口部33cから外側に突出する長さL3と、有底容器33の開口部33c側の筒部33aの外周面に拡径状態で存在する長さL2の合計となる。長さL2は、拡径状態の筒状弾性体36が安定して筒部33aの外周面に存在可能なように設定することができる。
このような筒状弾性体36の材質は、上述の実施形態における筒状弾性体16の材質と同様とすることができる。
【0057】
収納用器具31が備える易摺動フィルム37は、折り返し部37cが挿入部材34の開口部34cに位置しており、易摺動フィルム37の折り返しの一方の端部37aは、挿入部材34の筒部34aの外周面に固着されている。また、易摺動フィルム37′は、折り返し部37′cが中間挿入部材35の開口部35cに位置しており、易摺動フィルム37′の折り返しの一方の端部37′aは、中間挿入部材35の筒部35aの外周面に固着されている。図示例では、易摺動フィルム37′の折り返しの他方の端部37′bは、筒状弾性体36と中間挿入部材35との間に位置しているが、筒状弾性体36と有底容器33の間、あるいは、筒状弾性体36外側の有底容器33の筒部33aの外周面に位置していてもよい。
収納用器具31への易摺動フィルム37,37′の配設は、上述の収納用器具11への易摺動フィルム17の配設と同様とすることができる。また、使用する易摺動フィルム37,37′は、上述の易摺動フィルム17と同様とすることができる。
【0058】
このようなケーブル終端部の収納用器具31は、
図8に二点鎖線で示すように、ケーブル1の終端部を挿入部材34内に、矢印a方向に沿って挿入する。これにより、ケーブル1の終端部は挿入部材34のケーブル当接部34bに当接する。その後、
図9に示されるように、ケーブル1を更に矢印a方向に押し込むことにより、挿入部材34は矢印a方向に沿って中間挿入部材35内を移動して底部35に当接し、中間挿入部材35とともに有底容器33内に挿入され、筒状弾性体36の縮径が徐々に進行する。このようにケーブル1を更に矢印a方向に押し込んだ際に、易摺動フィルム37の折り返された当接面、および、易摺動フィルム37′の折り返された当接面において容易に摺動が生じ、挿入部材34、中間挿入部材35の押し込みが容易となり、ケーブル1の密封作業性が容易なものとなる。そして、挿入部材34の開口部34cおよび中間挿入部材35の開口部35cが、有底容器33の内側に挿入された段階で、縮径した筒状弾性体36によってケーブル1が圧着され、ケーブル1の終端部の密封が完了し、易摺動フィルム37,37′は、筒状弾性体36によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。図示例では、中間挿入部材35は有底容器33の底部33bに到達しない位置まで挿入されているが、中間挿入部材35を有底容器33の底部33bに到達する位置まで挿入してもよい。尚、このように収納部材33が有底容器33である場合、挿入部材34、中間挿入部材35が有底容器33の内側に挿入された状態では、
図9に示すように、挿入部材34、中間挿入部材35および易摺動フィルム37,37′が廃棄物となることを防止することができる。
【0059】
本発明のケーブル終端部の収納用器具31では、ケーブル1を収納用器具31の内部方向に押し込むことによりケーブル1の終端部の保護が完了するので、従来のインナーコアを引き抜くためのスペースが不要である。したがって、ケーブル終端部の保護作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
尚、この実施形態は、収納部材33が有底容器である場合について説明しているが、収納部材33が筒体である場合には、有底容器33の底部33bが存在しない状態を筒状の収納部材33として、上記の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0060】
[第4の実施形態]
図10は、本発明のケーブル終端部の収納用器具の他の実施形態を示す断面図である。
図10において、収納用器具41は、筒状の収納部材43、収納部材43内を移動可能な挿入部材44、筒状弾性体46を備えている。また、筒状弾性体46と挿入部材44との間に、折り返された易摺動フィルム47を備えている。
筒状の収納部材43は、一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである。以下の本実施形態は、収納部材43が有底容器である場合について説明する。
筒状の収納部材である有底容器43は、大径筒部43aと小径筒部43a′が肩部43sで連続し、大径筒部43aの端部に底部43bを有し、小径筒部43a′の端部が開口部43cとなっている。大径筒部43aと小径筒部43a′は、断面形状が円形である円筒形状であってよく、また、断面形状が楕円、矩形、多角形等の筒形状であってもよい。このような有底容器43に使用する材料は、上述の実施形態における密封容器11を構成する有底容器13に使用する材料と同じものを挙げることができる。
【0061】
有底容器43の大径筒部43aの内径D1は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができる。また、大径筒部43aの厚み、底部43bの厚みは、後述するに筒状弾性体46の収縮力に抗して有底容器43が形状を維持可能なように、使用する材料、収納用器具41が置かれる環境下で作用する外力等を考慮して適宜設定することができる。
有底容器43の小径筒部43a′は、筒状弾性体46における有底容器43の大径筒部43a上の拡径状態と、ケーブルを圧着する縮径状態との形状変化を緩和するものである。このため、小径筒部43a′の長さL3、外径D1′は、これを考慮して設定することができる。例えば、後述するように、小径筒部43a′の開口部43cから外側に突出する挿入部材44の長さL1を考慮して、小径筒部43a′の長さL3を適宜設定することができる。また、有底容器43の小径筒部43a′の内径D1″は、小径筒部43a′に挿入部材44が移動可能に位置し、かつ、終端部を密封しようとするケーブルが挿入部材44内に挿入可能であるように設定する。有底容器43の小径筒部43a′の厚みは、後述するに筒状弾性体46の収縮力に抗して小径筒部43a′が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。
【0062】
挿入部材44は、筒部44aの一方の端部にケーブル当接部44bを有し、筒部44aの他方の端部が開口部44cとなっている。このような挿入部材44は、上述の実施形態における密封容器11を構成する挿入部材14と基本的に同じものとすることができる。この挿入部材44は、ケーブル当接部44b側が有底容器43の大径筒部43a内に位置し、開口部44cが小径筒部43a′の外部に位置しており、有底容器43の小径筒部43a′の外部に位置する部位は、拡径された筒状弾性体46で圧着された状態となっている。挿入部材44の長さは、挿入部材44を有底容器43内に挿入した際に、開口部44cが小径筒部43a′の開口部43cよりも有底容器43の内部側に位置可能なものであればよい。
この挿入部材44が有底容器43の小径筒部43a′の開口部43cから外側に突出する長さL1は、縮径した筒状弾性体46の収縮力がケーブルを確実に圧着するように設定することができる。例えば、縮径した筒状弾性体46とケーブルとの接触長さが5〜100mm程度となるように、突出長さL1を設定することができる。突出長さL1が5mm未満であると、ケーブルに作用する筒状弾性体46の収縮力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。また、突出長さL1が100mmを超えると、挿入部材44と筒状弾性体46との摩擦抵抗が大きくなり、挿入部材44を有底容器43の底部43b方向に挿入することが困難となる場合がある。但し、後述する易摺動フィルム47を使用する場合は、この限りではない。
【0063】
このような挿入部材44の外径D2は、有底容器43の小径筒部43a′の内径D1″よりも小さく、これにより、挿入部材44は、小径筒部43a′内を移動し、有底容器43内を開口部43c側から底部43b側へ移動可能となっている。有底容器43の小径筒部43a′の内径D1″と挿入部材44の外径D2の差(D1″−D2)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D1″−D2)が0.1mm未満であると、小径筒部43a′内における挿入部材44の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、筒状弾性体46で圧着された挿入部材44のケーブル当接部44b側の変位が生じ、有底容器43内へ挿入部材44を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、有底容器43の小径筒部43a′の内径D1″が一定ではなく、例えば、開口部43cへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、小径筒部43a′に径差が存在するような形状である場合、および/または、挿入部材44の外径D2が一定ではなく、例えば、底部44bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部44aの外径に径差が存在するような形状である場合、小径筒部43a′の最も小さい内径D1″と挿入部材44の最も大きい外径D2の差(D1″−D2)が0.1mm以上であればよい。
【0064】
また、挿入部材44の内径D3は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができ、例えば、ケーブルの直径をd1とした場合、D3/d1が1〜3.5の範囲となるように内径D3を設定することができる。また、挿入部材44の筒部44aの厚み、ケーブル当接部44bの厚みは、後述するに筒状弾性体46の収縮力に抗して挿入部材44が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような挿入部材44に使用する材料としては、上述の有底容器43に使用する材料と同じものを挙げることができ、挿入部材44に使用する材料と有底容器43に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
筒状弾性体46は、常温において拡径状態から縮径可能なものであり、有底容器43の小径筒部43a′の外周面、肩部43sの外周面、大径筒部43aの肩部43s側の外周面、および、有底容器43から外側に突出している挿入部材44の外周面を拡径状態で圧着している。したがって、筒状弾性体46のうち、有底容器43の大径筒部43aの外周面に位置する部位は、大径筒部43aの内径D1に大径筒部43aの厚みを加えた寸法まで拡径されており、肩部43sの外周面に位置する部位は、拡径状態が徐々に変化しており、小径筒部43a′の外周面に位置する部位は、小径筒部43a′の外径D1″まで拡径されており、挿入部材44の外周面に位置する部位は、挿入部材44の筒部44aの外径D2まで拡径されている。
【0065】
このような筒状弾性体46は、拡径されていない状態の内径d2(図示せず)が、終端部を密封しようとするケーブルの直径d1よりも小さいものである。そして、後述するように、終端部を密封しようとするケーブルを挿入部材44のケーブル当接部44bに当接し押し付けて、挿入部材44を有底容器43の底部43b方向に挿入することにより、
図10に示される拡径状態から、常温下で略d2の内径まで縮径可能である。また、筒状弾性体46の長さは、上記の挿入部材44が有底容器43から外側に突出する長さL1と、有底容器43の小径筒部43a′の長さL3と、有底容器43の肩部43sの外周面、大径筒部43aの外周面に拡径状態で存在する長さL2の合計となる。長さL2は、拡径状態の筒状弾性体46が安定して肩部43sの外周面、大径筒部43aの外周面に存在可能なように設定することができ、例えば、長さL2を5〜80mm程度となるように設定することができる。
このような筒状弾性体46の材質は、上述の実施形態における筒状弾性体16の材質と同様とすることができる。
【0066】
収納用器具41が備える易摺動フィルム47は、折り返し部47cが挿入部材44の開口部44cに位置しており、易摺動フィルム47の折り返しの一方の端部47aは、挿入部材44の筒部44aの外周面に固着されている。図示例では、易摺動フィルム47の折り返しの他方の端部47bは、筒状弾性体46と挿入部材44との間に位置しているが、筒状弾性体46と有底容器43の小径筒部43a′の外周面の間、あるいは、筒状弾性体46外側の有底容器43の大径筒部43aの外周面に位置していてもよい。
収納用器具41への易摺動フィルム47の配設は、上述の収納用器具11への易摺動フィルム17の配設と同様とすることができる。また、使用する易摺動フィルム47は、上述の易摺動フィルム17と同様とすることができる。
【0067】
このようなケーブル終端部の収納用器具41は、
図7に二点鎖線で示すように、ケーブル1の終端部を挿入部材44内に、矢印a方向に沿って挿入する。これにより、ケーブル1の終端部は挿入部材44のケーブル当接部44bに当接する。その後、
図11に示されるように、ケーブル1を更に矢印a方向に押し込むことにより、挿入部材44は矢印a方向に沿って小径筒部43a′内を移動し、有底容器43内に挿入され、筒状弾性体46の縮径が徐々に進行する。このようにケーブル1を更に矢印a方向に押し込んだ際に、易摺動フィルム47の折り返された当接面において容易に摺動が生じ、挿入部材44の押し込みが容易なものとなる。そして、挿入部材44の開口部44cが、小径筒部43a′の開口部43cよりも有底容器43の内側に挿入された段階で、縮径した筒状弾性体46によってケーブル1が圧着され、ケーブル1の終端部の密封が完了し、易摺動フィルム47は、筒状弾性体46によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。図示例では、挿入部材44は有底容器43の底部43bに到達しない位置まで挿入されているが、挿入部材44を有底容器43の底部43bに到達する位置まで挿入してもよい。尚、このように収納部材43が有底容器43である場合、挿入部材44が有底容器43の内側に挿入された状態では、
図11に示すように、挿入部材44および易摺動フィルム47は収納用器具41内に残存するので、廃棄物となることを防止することができる。
【0068】
この状態の筒状弾性体46は、有底容器43の大径筒部43a上の拡径状態と、小径筒部43a′上の小さめの拡径状態と、ケーブルを圧着する縮径状態との3段階となり、形状変化が小径筒部43a′および肩部43sで緩和されたものとなる。したがって、筒状弾性体46の経時安定性が向上し、ケーブルの密封状態を長期間に亘って維持することができる。
本発明のケーブル終端部の収納用器具41では、ケーブル1を収納用器具41の内部方向に押し込むことによりケーブル1の終端部の保護が完了するので、従来のインナーコアを引き抜くためのスペースが不要である。したがって、ケーブル終端部の保護作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
尚、この実施形態は、収納部材43が有底容器である場合について説明しているが、収納部材43が筒体である場合には、有底容器43の底部43bが存在しない状態を筒状の収納部材43として、上記の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0069】
[第5の実施形態]
図12は、本発明のケーブル終端部の収納用器具の他の実施形態を示す断面図である。
図12において、収納用器具51は、筒状の収納部材53、収納部材53内を移動可能な挿入部材54を備えている。また、収納部材53の後述する小径筒部53a′と挿入部材54との間に、折り返された易摺動フィルム57を備えている。
筒状の収納部材53は、一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである。以下の本実施形態は、収納部材53が有底容器である場合について説明する。
図13は、筒状の収納部材である有底容器53を説明するための断面図である。有底容器53は、大径筒部53aと小径筒部53a′が肩部53sで連続し、大径筒部53aの端部に底部53bを有し、小径筒部53a′の端部が開口部53cとなっている。大径筒部53aと小径筒部53a′は、断面形状が円形である円筒形状であってよく、また、断面形状が楕円、矩形、多角形等の筒形状であってもよい。このような有底容器53は、弾性材料により一体に構成されており、使用する弾性材料は、上述の実施形態における筒状弾性体16に使用する材料と同様とすることができる。この場合、有底容器53は1種の弾性部材により構成されたものであってよく、また、例えば、小径筒部53a′、肩部53sの弾性部材と、大径筒部53aの弾性部材が異なる複数種の弾性部材から構成されたものであってもよい。
【0070】
この有底容器53の大径筒部53aの内径D1は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができる。また、大径筒部53aの厚み、底部53bの厚みは、収納用器具51が、ケーブル終端部の密封前、および、密封後において、安定して機能できるように、使用する材料、収納用器具51が置かれる環境下で作用する外力等を考慮して適宜設定することができる。
有底容器53の小径筒部53a′は、常温において、拡径されていない状態の内径d2(
図13参照)から拡径可能であるとともに、拡径状態から縮径可能なものである。そして、小径筒部53a′の拡径されていない状態の内径d2は、終端部を密封しようとするケーブルの直径d1よりも小さいものである。また、小径筒部53a′の厚みtは、小径筒部53a′が内径d2から拡径可能であるとともに、拡径状態から略内径d2に縮径可能なように、使用する弾性材料、縮径状態と拡径状態の内径の変化幅等を考慮して設定することができる。例えば、大径筒部53aの厚みをTとした場合、小径筒部53a′の厚みtとの比(T/t)は、0.1以上、好ましくは0.1〜5.0の範囲内であることが好ましい。比(T/t)が0.1未満であると、ケーブルに対する十分な圧着力が得られず、5.0以上であると製造コストの増大や重量の増加を生じることがあり、好ましくない。
【0071】
この小径筒部53a′の長さL4は、縮径した小径筒部53a′の収縮力がケーブルを確実に圧着するように設定することができる。例えば、縮径した小径筒部53a′とケーブルとの接触長さが5〜100mm程度となるように、小径筒部53a′の長さL4を設定することができる。長さL4が5mm未満であると、ケーブルに作用する小径筒部53a′の収縮力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。また、長さL4が100mmを超えると、挿入部材54を有底容器53の底部53b方向に挿入することが困難となる場合がある。
【0072】
挿入部材54は、筒部54aの一方の端部にケーブル当接部54bを有し、筒部54aの他方の端部が開口部54cとなっている。このような挿入部材54は、上述の実施形態における密封容器11を構成する挿入部材14と基本的に同じものとすることができる。この挿入部材54は、ケーブル当接部54b側が有底容器53の大径筒部53a内に位置し、開口部54cが小径筒部53a′の開口部53cと一致する位置、あるいは、小径筒部53a′の開口部53cよりも外側に位置しており、拡径された小径筒部53a′で圧着された状態となっている。挿入部材54の開口部54cが小径筒部53a′の開口部53cよりも外側に位置している場合、小径筒部53a′の開口部53cから突出する長さは、有底容器53内への挿入部材54の挿入のし易さを考慮して設定することができ、例えば、5mm以下とすることができる。また、挿入部材54の長さは、挿入部材54を有底容器53内に挿入した際に、挿入部材54が大径筒部53a内に位置可能なものであればよい。
【0073】
このような挿入部材54の外径D2は、有底容器53の大径筒部53aの内径D1よりも小さく、これにより、挿入部材54は、小径筒部53a′内を移動し、有底容器53の大径筒部53a内へ移動可能となっている。有底容器53の大径筒部53aの内径D1と挿入部材54の外径D2の差(D1−D2)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D1−D2)が0.1mm未満であると、大径筒部53a内における挿入部材54の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、小径筒部53a′で圧着された挿入部材54のケーブル当接部54b側の変位が生じ、有底容器53内へ挿入部材54を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、有底容器53の大径筒部53aの内径D1が一定ではなく、例えば、底部53bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、大径筒部53aに径差が存在するような形状である場合、および/または、挿入部材54の外径D2が一定ではなく、例えば、底部54bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部54aの外径に径差が存在するような形状である場合、大径筒部53aの最も小さい内径D1と挿入部材54の最も大きい外径D2の差(D1−D2)が0.1mm以上であればよい。
【0074】
また、挿入部材54の内径D3は、終端部を密封しようとするケーブルの寸法を考慮して設定することができ、例えば、ケーブルの直径をd1とした場合、D3/d1が1〜3.5の範囲となるように内径D3を設定することができる。また、挿入部材54の筒部54aの厚み、ケーブル当接部54bの厚みは、拡径された小径筒部53a′の収縮力に抗して挿入部材54が形状を維持可能なように、使用する材料等を考慮して適宜設定することができる。このような挿入部材54に使用する材料としては、上述の実施形態の有底容器13を構成する挿入部材14に使用する材料と同じものを挙げることができる。
収納用器具51が備える易摺動フィルム57は、折り返し部57cが挿入部材54の開口部54cに位置している。また、易摺動フィルム57の折り返しの一方の端部57aは、有底容器53内に位置する挿入部材54の筒部54aの外周面に固着されている。
【0075】
収納用器具51への易摺動フィルム57の配設は、基本的に上述の収納用器具11への易摺動フィルム17の配設と同様とすることができ、筒状に折り曲げた易摺動フィルム57の折り返しの一方の端部57aを、挿入部材54の筒部54aの外周面に固着し、挿入部材54のケーブル当接部54b側を、小径筒部53a′を拡径した状態の有底容器53内に所定の深さまで挿入する。その後、拡径した小径筒部53a′を挿入部材54に被覆し配設することにより収納用器具51を得ることができる。また、易摺動フィルム57が、
図4に示す帯状フィルム18を有するようなものである場合も、上記と同様にして、易摺動フィルム57を配設することができる。使用する易摺動フィルム57は、上述の易摺動フィルム17と同様とすることができる。
このようなケーブル終端部の収納用器具51は、
図12に二点鎖線で示すように、ケーブル1の終端部を挿入部材54内に、矢印a方向に沿って挿入する。これにより、ケーブル1の終端部は挿入部材54のケーブル当接部54bに当接する。その後、
図14に示されるように、ケーブル1を更に矢印a方向に押し込むことにより、挿入部材54は矢印a方向に沿って小径筒部53a′内を移動し、小径筒部53a′の縮径が徐々に進行する。このようにケーブル1を更に矢印a方向に押し込んだ際に、易摺動フィルム57の折り返された当接面において容易に摺動が生じ、挿入部材54の押し込みが容易なものとなる。そして、挿入部材54が有底容器53の大径筒部53a内に挿入された段階で、縮径した小径筒部53a′によってケーブル1が圧着され、ケーブル1の終端部の密封が完了し、易摺動フィルム57は、小径筒部53a′によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。図示例では、挿入部材54は有底容器53の底部53bに到達しない位置まで挿入されているが、挿入部材54を有底容器53の底部53bに到達する位置まで挿入してもよい。尚、このように収納部材53が有底容器53である場合、挿入部材54が有底容器53の内側に挿入された状態では、
図14に示すように、挿入部材54および易摺動フィルム57は収納用器具51内に残存するので、廃棄物となることを防止することができる。
【0076】
本発明のケーブル終端部の収納用器具51では、ケーブル1を収納用器具51の内部方向に押し込むことによりケーブル1の終端部の保護が完了するので、従来のインナーコアを引き抜くためのスペースが不要である。したがって、ケーブル終端部の保護作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
尚、この実施形態は、収納部材53が有底容器である場合について説明しているが、収納部材53が筒体である場合には、有底容器53の底部53bが存在しない状態を筒状の収納部材53として、上記の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0077】
[第6の実施形態]
図15は、本発明のケーブル終端部の収納用器具の他の実施形態を示す断面図である。
図15において、収納用器具61は、筒状の収納部材63、収納部材63内を移動可能な中間挿入部材65、中間挿入部材65内を移動可能な挿入部材64を備えている。また、収納部材63の後述する小径筒部63a′と挿入部材64との間に、折り返された易摺動フィルム67を備え、小径筒部63a′と中間挿入部材65との間に、折り返された易摺動フィルム67′を備えている。
筒状の収納部材63は、一方の端部が開口部であり、他方の端部が開口部である筒体、あるいは、一方の端部が開口部であり、他方の端部に底部を有する有底容器のいずれかである。以下の本実施形態は、収納部材63が有底容器である場合について説明する。
【0078】
筒状の収納部材である有底容器63は、大径筒部63aと小径筒部63a′が肩部63sで連続し、大径筒部63aの端部に底部63bを有し、小径筒部63a′の端部が開口部63cとなっている。大径筒部63aと小径筒部63a′は、断面形状が円形である円筒形状であってよく、また、断面形状が楕円、矩形、多角形等の筒形状であってもよい。このような有底容器63は、上述の実施形態における有底容器53と同様に、弾性材料により一体に構成されており、使用する弾性材料は、上述の実施形態における筒状弾性体16に使用する材料と同様とすることができる。この場合も、有底容器63は1種の弾性部材により構成されたものであってよく、また、例えば、小径筒部63a′、肩部63sの弾性部材と、大径筒部63aの弾性部材とが異なる複数種の弾性部材から構成されたものであってもよい。
【0079】
この有底容器63の大径筒部63a、小径筒部63a′は、上述の実施形態における有底容器53の小径筒部53a′と同様とすることができ、大径筒部63aの厚みTと、小径筒部63a′の厚みtとの比(T/t)も、上述の実施形態における大径筒部53aの厚みTと、小径筒部53a′の厚みtとの比(T/t)と同様とすることができる。
また、小径筒部63a′の長さL4は、縮径した小径筒部63a′の収縮力がケーブルを確実に圧着するように設定することができる。例えば、縮径した小径筒部63a′とケーブルとの接触長さが5〜100mm程度となるように、小径筒部63a′の長さL4を設定することができる。長さL4が5mm未満であると、ケーブルに作用する小径筒部63a′の収縮力が不十分となり、良好な液密状態、気密状態が得られないことがある。また、長さL4が100mmを超えると、挿入部材64と中間挿入部材65を有底容器63の底部63b方向に挿入することが困難となる場合がある。
中間挿入部材65は、有底容器63内を開口部63c側から底部63b側へ移動可能であり、筒部65aの一方の端部に底部65b、他方の端部に開口部65cを有している。このような中間挿入部材65は、上述の実施形態における密封容器31を構成する中間挿入部材35と同様とすることができる。
【0080】
この中間挿入部材65は、底部65b側が有底容器63の大径筒部63aの内部に位置し、開口部65cが有底容器63の小径筒部63a′の内部に位置するとともに、有底容器63内を移動可能とされている。
このような中間挿入部材65の外径D5は、有底容器63の大径筒部63aの内径D1よりも小さく、これにより、中間挿入部材65は、有底容器63の大径筒部63a内を移動可能となっている。有底容器63の大径筒部63aの内径D1と中間挿入部材65の外径D5の差(D1−D5)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D1−D5)が0.1mm未満であると、有底容器63の大径筒部63a内における中間挿入部材65の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、小径筒部63a′で圧着された中間挿入部材65の底部65b側の変位が生じ、有底容器63の大径筒部63a内へ中間挿入部材65を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、有底容器63の大径筒部63aの内径D1が一定ではなく、例えば、底部63bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、大径筒部63aに径差が存在するような形状である場合、および/または、中間挿入部材65の外径D5が一定ではなく、例えば、底部65bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部65aの外径に径差が存在するような形状である場合、大径筒部63aの最も小さい内径D1と中間挿入部材65の最も大きい外径D5の差(D1−D5)が0.1mm以上であればよい。
【0081】
挿入部材64は、筒部64aの一方の端部にケーブル当接部64bを有し、筒部64aの他方の端部が開口部64cとなっている。このような挿入部材64は、上述の実施形態における密封容器31を構成する挿入部材34と基本的に同じものとすることができる。
この挿入部材64は、ケーブル当接部64b側が中間挿入部材65内に位置し、開口部64cが小径筒部63a′の開口部63cと一致する位置、あるいは、小径筒部63a′の開口部63cよりも外側に位置しており、拡径された小径筒部63a′で圧着された状態となっている。挿入部材64の開口部64cが小径筒部63a′の開口部63cよりも外側に位置している場合、小径筒部63a′の開口部63cから突出する長さは、有底容器63内への挿入部材64の挿入のし易さを考慮して設定することができ、例えば、5mm以下とすることができる。また、挿入部材64の長さは特に制限はないが、例えば、挿入部材64を中間挿入部材65内に挿入した際に、開口部64cが中間挿入部材65の開口部65cと同じ位置、あるいは、開口部65cよりも中間挿入部材65の内側となるものでよい。
【0082】
このような挿入部材64の外径D2は、中間挿入部材65の筒部65aの内径D4よりも小さく、これにより、挿入部材64は、中間挿入部材65内を移動可能となっている。中間挿入部材65の筒部65aの内径D4と挿入部材64の外径D2の差(D4−D2)は、例えば、0.1〜60mmの範囲となるように設定することができ、差(D4−D2)が0.1mm未満であると、中間挿入部材65内における挿入部材64の摺動性が悪くなったり、後述する易摺動フィルムを用いた場合に易摺動フィルムの動作が妨げられることがあり、好ましくない。また、60mmを超えると、ケーブル終端部を密封する前の収納用器具において、筒状弾性体66で圧着された挿入部材64のケーブル当接部64b側の変位が生じ、中間挿入部材65内へ挿入部材64を挿入し難い場合があり、好ましくない。尚、中間挿入部材65の筒部65aの内径D4が一定ではなく、例えば、底部65bへ向けて内径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部65aに径差が存在するような形状である場合、および/または、挿入部材64の外径D2が一定ではなく、例えば、底部64bへ向けて外径が徐々に小さくなるようなテーパ形状、あるいは、筒部64aの外径に径差が存在するような形状である場合、筒部65aの最も小さい内径D4と挿入部材64の最もおおきい外径D2の差(D4−D2)が0.1mm以上であればよい。
【0083】
このような挿入部材64に使用する材料としては、上述の中間挿入部材65に使用する材料と同じものを挙げることができ、挿入部材64に使用する材料と中間挿入部材65に使用する材料は、同じであってもよく、また、異なるものであってもよい。
収納用器具61が備える易摺動フィルム67は、折り返し部67cが挿入部材64の開口部64cに位置している。また、易摺動フィルム67の折り返しの一方の端部67aは、挿入部材64の筒部64aの外周面に固着されている。また、易摺動フィルム67′は、折り返し部67′cが中間挿入部材65の開口部65cに位置しており、易摺動フィルム67′の折り返しの一方の端部67′aは、中間挿入部材65の筒部65aの外周面に固着されている。
収納用器具61への易摺動フィルム67,67′の配設は、上述の収納用器具11への易摺動フィルム17の配設、収納用器具51への易摺動フィルム57,57′の配設と同様とすることができる。また、易摺動フィルム67,67′が、
図4に示す帯状フィルム18を有するようなものである場合も、上述の例と同様にして、易摺動フィルム67,67′を配設することができる。使用する易摺動フィルム67,67′は、上述の易摺動フィルム17と同様とすることができる。
【0084】
このようなケーブル終端部の収納用器具61は、
図15に二点鎖線で示すように、ケーブル1の終端部を挿入部材64内に、矢印a方向に沿って挿入する。これにより、ケーブル1の終端部は挿入部材64のケーブル当接部64bに当接する。その後、
図16に示されるように、ケーブル1を更に矢印a方向に押し込むことにより、挿入部材64は矢印a方向に沿って小径筒部63a′内を移動し、さらに、中間挿入部材65内を移動して底部65に当接し、中間挿入部材65とともに有底容器63の大径筒部63a内へ挿入され、小径筒部63a′の縮径が徐々に進行する。このようにケーブル1を更に矢印a方向に押し込んだ際に、易摺動フィルム67の折り返された当接面、および、易摺動フィルム67′の折り返された当接面において容易に摺動が生じ、挿入部材64、中間挿入部材65の押し込みが容易となり、ケーブル1の密封作業性が容易なものとなる。そして、挿入部材64の開口部64cおよび中間挿入部材65の開口部65cが、有底容器63の大径筒部63a内に挿入された段階で、縮径した小径筒部63a′によってケーブル1が圧着され、ケーブル1の終端部の密封が完了し、易摺動フィルム67,67′は、小径筒部63a′によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。図示例では、中間挿入部材65は有底容器63の底部63bに到達しない位置まで挿入されているが、中間挿入部材65を有底容器63の底部63bに到達する位置まで挿入してもよい。尚、このように収納部材63が有底容器63である場合、挿入部材64、中間挿入部材65が有底容器63の内側に挿入された状態では、
図16に示すように、挿入部材64、中間挿入部材65および易摺動フィルム67,67′は収納用器具51内に残存するので、廃棄物となることを防止することができる。
【0085】
この状態では、有底容器63の内側に挿入部材64および中間挿入部材65が存在しており、ケーブル1を密封した状態の収納用器具61の長さに対して、沿面距離を長いものとすることができる。
本発明のケーブル終端部の収納用器具61では、ケーブル1を収納用器具61の内部方向に押し込むことによりケーブル1の終端部の保護が完了するので、従来のインナーコアを引き抜くためのスペースが不要である。したがって、ケーブル終端部の保護作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
尚、この実施形態は、収納部材63が有底容器である場合について説明しているが、収納部材63が筒体である場合には、有底容器63の底部63bが存在しない状態を筒状の収納部材63として、上記の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0086】
上述のケーブル終端部の収納用器具の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のケーブル終端部の収納用器具は、ケーブルを収納用器具の内部方向に押し込む作業に支障が生じなければ、筒状弾性体と挿入部材との間、あるいは、弾性材料で形成された有底容器の小径筒部と挿入部材との間に、易摺動フィルムを備えていないものであってもよい。この場合、例えば、挿入部材、中間挿入部材の外周面の断面を複数の凸部を有する星形等とすることにより、筒状弾性体と挿入部材や中間挿入部材との摩擦抵抗、弾性材料で形成された有底容器の小径筒部と挿入部材や中間挿入部材との摩擦抵抗を小さくすることができる。
また、本発明のケーブル終端部の収納用器具は、挿入部材の外周面、中間挿入部材の外周面にグリース等の潤滑油、あるいは、グラシン紙、クラフト紙等に離型処理を施した離型紙が存在するものであってもよい。これにより、挿入部材と筒状弾性体との摺動、中間挿入部材と筒状弾性体との摺動、あるいは、弾性材料で形成された小径筒部と挿入部材との摺動、弾性材料で形成された小径筒部と中間挿入部材との摺動が容易となり、ケーブル1の密封作業性がより容易なものとなる。また、グリース等の潤滑油や離型紙は、筒状弾性体あるいは弾性材料で形成された小径筒部によるケーブル1の圧着になんら支障を来すことがない。
【0087】
さらに、本発明のケーブル終端部の収納用器具は、収納部材が有底容器である場合において、有底容器の底部の外側に突起物を備えるものであってもよい。
図17は、
図1に示されるケーブル終端部の収納用器具11の有底容器13の底部13bの中央の外側に突起物19を設けた例を示す断面図である。
図17に示される収納用器具11′は、有底容器13の底部13bの外側に突起物19を備える他は、
図1に示されるケーブル終端部の収納用器具11と同様であり、同じ部材には同じ部材番号を付して、説明を省略する。
このような突起物19を備えた収納用器具11′は、架空電線の間接活線工法において、ホットスティックを用いた作業における作業性が向上するとともに、突起部19を把持することにより収納用器具11′の落下を防止することができる。
上述の他の収納用器具においても、有底容器の底部の中央の外側に突起物を設けることができる。