特許第6677672号(P6677672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677672
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20200330BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20200330BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20200330BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20200330BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20200330BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20200330BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   H01L29/78 301D
   H01L27/06 311C
   H01L27/06 102A
   H01L27/088 331C
   H01L27/088 331G
   H01L27/04 H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-60012(P2017-60012)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-163972(P2018-163972A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 啓太
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0018804(US,A1)
【文献】 特開2004−042379(JP,A)
【文献】 特開2011−192842(JP,A)
【文献】 米国特許第8890243(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と第2の面を有し、第1のp型領域を有する半導体基板と、
前記第1の面の上に設けられた複数のソース電極と、
前記第1の面の上に、前記複数のソース電極の間に設けられた複数のドレイン電極と、
前記第1の面の上に、前記複数のソース電極と前記複数のドレイン電極との間に設けられた複数のゲート電極と、
前記半導体基板の中に設けられ、前記複数のソース電極に電気的に接続され第1の方向に伸長する複数のn型ソース領域と、
前記半導体基板の中に設けられ、前記複数のドレイン電極に電気的に接続され前記第1の方向に伸長する複数のn型ドレイン領域と、
前記半導体基板の中に設けられ、前記複数のn型ソース領域との間に前記第1のp型領域を挟み、前記複数のn型ドレイン領域との間に前記第1のp型領域を挟み、前記第1の方向に伸長する複数の第1のn型領域と、を備え、
前記複数の第1のn型領域の内の1つの第1のn型領域と前記複数のソース電極との距離が、前記1つの第1のn型領域と前記複数のドレイン電極との距離よりも短く、
前記複数の第1のn型領域の電位はグラウンド電位よりも高い半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板内に設けられ、前記複数のn型ソース領域及び前記複数のn型ドレイン領域を囲み、前記第1の面及び前記複数の第1のn型領域に接する第2のn型領域を、更に備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のソース電極はグラウンド電位に固定される請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のソース電極、前記複数のドレイン電極、及び、前記複数のゲート電極が前記第1の方向に伸長する請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板内に、前記複数のn型ソース領域と前記第1のp型領域との間に設けられ前記第1のp型領域よりもp型不純物濃度の高い複数の第2のp型領域と、
前記半導体基板内に、前記複数のn型ドレイン領域と前記第1のp型領域との間に設けられ前記複数のn型ドレイン領域よりもn型不純物濃度の低い複数の第3のn型領域とを、更に備える請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導性負荷に電流を流す回路のスイッチングトランジスタのオフ時に、トランジスタのボディダイオードに還流電流が流れる場合がある。この場合、例えば、トランジスタの基板を流れる電流が大きくなると、寄生サイリスタの動作によりラッチアップが生じ、トランジスタが破壊されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−283366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ラッチアップの抑制を可能とする半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の半導体装置は、第1の面と第2の面を有し、第1のp型領域を有する半導体基板と、前記第1の面の上に設けられた複数のソース電極と、前記第1の面の上に、前記複数のソース電極の間に設けられた複数のドレイン電極と、前記第1の面の上に、前記複数のソース電極と前記複数のドレイン電極との間に設けられた複数のゲート電極と、前記半導体基板の中に設けられ、前記複数のソース電極に電気的に接続され第1の方向に伸長する複数のn型ソース領域と、前記半導体基板の中に設けられ、前記複数のドレイン電極に電気的に接続され前記第1の方向に伸長する複数のn型ドレイン領域と、前記半導体基板の中に設けられ、前記複数のn型ソース領域との間に前記第1のp型領域を挟み、前記複数のn型ドレイン領域との間に前記第1のp型領域を挟み、前記第1の方向に伸長する複数の第1のn型領域と、を備え、前記複数の第1のn型領域の内の1つの第1のn型領域と前記複数のソース電極との距離が、前記1つの第1のn型領域と前記複数のドレイン電極との距離よりも短く、前記複数の第1のn型領域の電位はグラウンド電位よりも高い
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の半導体装置の模式図。
図2】実施形態の半導体装置の一部の模式図。
図3】実施形態の半導体装置の一部の模式図。
図4】実施形態の課題の説明図。
図5】第1の比較形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図6】第2の比較形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図7】実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する場合がある。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記を用いる場合は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0010】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とAFM(Atomic Force Microscope)像との合成画像から求めることが可能である。
【0011】
実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有し、第1のp型領域を有する半導体基板と、第1の面の上に設けられた複数のソース電極と、第1の面の上に、複数のソース電極の間に設けられた複数のドレイン電極と、第1の面の上に、複数のソース電極と複数のドレイン電極との間に設けられた複数のゲート電極と、半導体基板内に設けられ、複数のソース電極に接続され第1の方向に伸長する複数のn型ソース領域と、半導体基板内に設けられ、複数のドレイン電極に接続され第1の方向に伸長する複数のn型ドレイン領域と、半導体基板内に設けられ、複数のn型ソース領域との間に第1のp型領域を挟み、複数のn型ドレイン領域との間に第1のp型領域を挟み、第1の方向に伸長する複数の第1のn型領域と、を備える。そして、複数の第1のn型領域の内の1つの第1のn型領域と複数のソース電極との距離が、上記1つの第1のn型領域と複数のドレイン電極との距離よりも短い。
【0012】
図1は、実施形態の半導体装置の模式図である。図1(a)は半導体装置のブロック図、図1(b)は半導体装置の一部の回路図である。
【0013】
実施形態の半導体装置は、モータの駆動及び制御を行うモータドライバ100である。
図1(a)に示すように、モータドライバ100は、例えば、マイクロコントローラ200からの制御信号に基づき、駆動電力を出力し、モータ300の駆動及び制御を行う。
【0014】
モータドライバ100は、コントローラ回路101、プリドライバ回路102、Hブリッジ回路103を備える。コントローラ回路101はモータドライバ100全体の制御を行う回路である。プリドライバ回路102は、Hブリッジ回路103を駆動するための駆動電流を生成する。Hブリッジ回路103はモータ300の駆動電流を生成し出力する。モータドライバ100のコントローラ回路101、プリドライバ回路102、及び、Hブリッジ回路103が同一の半導体基板上に形成され、ワンチップ化されている。
【0015】
図1(b)は、Hブリッジ回路103の回路図である。Hブリッジ回路103のハイサイドのトランジスタはpチャネル型LDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)、ローサイドのトランジスタはnチャネル型LDMOSで構成される。例えば、ハイサイドには電源電圧(Vcc)が印加され、ローサイドはグラウンド電位に固定される。Hブリッジ回路103の第1の出力端子(OUT1)と第2の出力端子(OUT2)からモータ300の駆動電流が出力される。
【0016】
図2図3は、実施形態の半導体装置の一部の模式図である。図2図3は、図1(b)中、点線の枠線で囲まれるHブリッジ回路103のローサイドのnチャネル型LDMOSの模式図である。図2は断面図、図3は上面図である。
【0017】
nチャネル型のLDMOSは、半導体基板10、複数のソース電極11、複数のドレイン電極12、複数のゲート電極13を備える。半導体基板10内には、p型のp型領域14、複数のn型の埋め込み領域16(第1のn型領域)、n型の接続領域18(第2のn型領域)、複数のn型のn型ソース領域21、複数のn型のn型ドレイン領域22、複数のp型のpウェル領域24(第2のp型領域)、複数のn型のドリフト領域26(第3のn型領域)、複数のp型のpウェルコンタクト領域28を有する。
【0018】
半導体基板10は、第1の面(図2中のP1)と第2の面(図2中のP2)を有する。第1の面は半導体基板10の表面、第2の面は半導体基板10の裏面である。
【0019】
半導体基板10は、例えば、シリコン(Si)の単結晶基板である。第1の面は、例えば、シリコンの(001)面である。
【0020】
ソース電極11は、半導体基板10の表面の上に設けられる。ソース電極11は、第2の方向に複数配置される。ソース電極11は、例えば、第1の方向に伸長する。
【0021】
ソース電極11は、例えば、金属電極である。ソース電極11と半導体基板10との間には、例えば、コンタクト抵抗を低減するためのシリサイド層などが設けてられも構わない。
【0022】
ドレイン電極12は、半導体基板10の表面の上に設けられる。ドレイン電極12は、第2の方向に複数配置される。ドレイン電極12は、例えば、第1の方向に伸長する。ドレイン電極12は、2つのソース電極11の間に設けられる。
【0023】
ドレイン電極12は、例えば、金属電極である。ドレイン電極12と半導体基板10との間には、例えば、コンタクト抵抗を低減するためのシリサイド層などが設けられても構わない。
【0024】
ゲート電極13は、半導体基板10の表面の上に設けられる。ゲート電極13は、第2の方向に複数配置される。ゲート電極13は、例えば、第1の方向に伸長する。ゲート電極13は、ソース電極11とドレイン電極12との間に設けられる。
【0025】
ゲート電極13は、例えば、不純物がドーピングされた多結晶シリコンである。ゲート電極13と半導体基板10との間には、図示しないゲート絶縁層が設けられる。
【0026】
型のp型領域14は、半導体基板10の中に設けられる。p型領域14はp型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。p型領域14のp型不純物濃度は、例えば、1×1015cm−3以上1×1016cm−3以下である。
【0027】
型のn型ソース領域21は、半導体基板10の中に複数設けられる。n型ソース領域21は、第2の方向に複数設けられる。n型ソース領域21は、第1の方向に伸長する。n型ソース領域21は、ソース電極11に電気的に接続される。
【0028】
n型ソース領域21はn型不純物として、例えば、リン(P)又はヒ素(As)を含む。n型ソース領域21のn型不純物濃度は、例えば、1×1020cm−3以上1×1022cm−3以下である。
【0029】
型のn型ドレイン領域22は、半導体基板10の中に複数設けられる。n型ドレイン領域22は、第2の方向に複数設けられる。n型ドレイン領域22は、第1の方向に伸長する。n型ドレイン領域22は、ドレイン電極12に電気的に接続される。
【0030】
n型ドレイン領域22はn型不純物として、例えば、リン(P)又はヒ素(As)を含む。n型ドレイン領域22のn型不純物濃度は、例えば、1×1020cm−3以上1×1022cm−3以下である。
【0031】
p型のpウェル領域24は、半導体基板10の中に複数設けられる。pウェル領域24は、n型ソース領域21とp型領域14との間に設けられる。
【0032】
pウェル領域24はp型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。pウェル領域24のp型不純物濃度は、p型領域14のp型不純物濃度より高い。pウェル領域24のp型不純物濃度は、例えば、1×1017cm−3以上1×1019cm−3以下である。
【0033】
pウェル領域24のゲート電極13に対向する部分は、LDMOSのチャネル領域として機能する。
【0034】
n型のドリフト領域26は、半導体基板10の中に複数設けられる。ドリフト領域26は、n型ドレイン領域22とp型領域14との間に設けられる。
【0035】
ドリフト領域26はn型不純物として、例えば、リン(P)又はヒ素(As)を含む。ドリフト領域26のn型不純物濃度は、n型ドレイン領域22のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域26のn型不純物濃度は、例えば、1×1017cm−3以上1×1019cm−3以下である。
【0036】
型のpウェルコンタクト領域28は、半導体基板10の中に複数設けられる。pウェルコンタクト領域28は、ソース電極11とpウェル領域24との間に設けられる。pウェル領域24は、2つのn型ソース領域21に挟まれて設けられる。pウェルコンタクト領域28は、第2の方向に複数設けられる。pウェルコンタクト領域28は、第1の方向に伸長する。pウェルコンタクト領域28は、ソース電極11に電気的に接続される。
【0037】
pウェルコンタクト領域28はp型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。p型領域14のp型不純物濃度は、pウェル領域24のp型不純物濃度より高い。p型領域14のp型不純物濃度は、例えば、1×1020cm−3以上1×1022cm−3以下である。
【0038】
型の埋め込み領域16は、半導体基板10の中に複数設けられる。埋め込み領域16は、n型ソース領域21及びn型ドレイン領域22との間にp型領域14を挟む。埋め込み領域16は、第2の方向に互いに離間して複数設けられる。2つの埋め込み領域16の間には、p型領域14が存在する。
【0039】
埋め込み領域16は、第1の方向に伸長する。埋め込み領域16は、第2の方向に複数設けられる。複数の埋め込み領域16は、例えば、第1の方向の端部で接続されていても構わない。
【0040】
図3の上面図には、半導体基板10の内部の埋め込み領域16のパターンを点線で示している。図3では、第1の方向に伸長する複数の埋め込み領域16は、第1の方向の端部で互いに接続される場合を示している。
【0041】
埋め込み領域16は、n型ドレイン領域22の直下で分断されている。言い換えれば、埋め込み領域16は、n型ドレイン領域22の直下には存在しない。埋め込み領域16は、n型ソース領域21の下に存在する。
【0042】
埋め込み領域16とソース電極11との距離(図2中のd1)は、埋め込み領域16とドレイン電極12との距離(図2中のd2)よりも短い。ここで、埋め込み領域16とソース電極11との距離、及び、埋め込み領域16とドレイン電極12との距離とは、いずれも最短の距離を意味するものとする。
【0043】
埋め込み領域16は、例えば、アンチモン(Sb)を含む。埋め込み領域16のn型不純物濃度は、例えば、1×1020cm−3以上1×1022cm−3以下である。
【0044】
埋め込み領域16の深さ方向の幅は、例えば、1μm以上3μm以下である。
【0045】
埋め込み領域16は、例えば、グラウンド電位に固定される。
【0046】
n型の接続領域18は、半導体基板10の中に設けられる。接続領域18は、複数のn型ソース領域21及び複数のn型ドレイン領域22を囲って設けられる。
【0047】
接続領域18は、半導体基板10の表面に接する。また、接続領域18は、埋め込み領域16の外周部で埋め込み領域16に接する。
【0048】
接続領域18は埋め込み領域16の電位を固定する機能を有する。
【0049】
以下、実施形態の作用及び効果について説明する。
【0050】
図4は、実施形態の課題の説明図である。図4は、ハーフブリッジ回路の動作を示す。
【0051】
ハーフブリッジ回路の出力には、例えば、モータなどの誘導性負荷(L負荷)が接続される。誘導性負荷に流している駆動電流を止める際、電源電圧からグラウンドへの貫通電流を防止するため、ハイサイドのpチャネル型LDMOSとローサイドのnチャネル型LDMOSの双方をオフにする期間を設ける。
【0052】
この際、図4に示すように、誘導性負荷の逆起電力により図4中の点線の枠線で囲まれるローサイドのnチャネル型LDMOSのボディダイオードに還流電流(図4中の点線矢印)が流れる。
【0053】
図5は、第1の比較形態の半導体装置の一部の模式断面図である。第1の比較形態の半導体装置も実施形態同様、モータドライバである。
【0054】
図5は、図4中、点線の枠線で囲まれるHブリッジ回路のローサイドのnチャネル型LDMOSの模式図である。
【0055】
第1の比較形態のnチャネル型LDMOSは、トランジスタがn型のウェル領域40で囲まれる点で、実施形態のnチャネル型LDMOSと異なる。
【0056】
第1の比較形態のnチャネル型LDMOSに還流電流が流れる場合、ソース電極11からドレイン電極12に電流が引き抜かれると共に、p型領域14からウェル領域40を介して電流が引き抜かれることになる。
【0057】
p型領域14に流れる電流は、例えば、同一半導体基板にnチャネル型LDMOSに隣接して形成されるハイサイドのpチャネル型LDMOSのソースやドレインから引き抜かれる。この場合、寄生サイリスタがオンすることにより、ラッチアップが生じ、素子破壊に至るおそれがあり問題となる。
【0058】
寄生サイリスタがオンすることを抑制するには、例えば、nチャネル型LDMOSとpチャネル型LDMOSとの間の距離を広げることが考えられる。また、例えば、nチャネル型LDMOSとpチャネル型LDMOSとの間に電流を引き抜くためのダミーのn型領域を設けることが考えられる。しかし、いずれの場合もエリアペナルティーが大きく、チップ面積の増大に繋がり好ましくない。
【0059】
図6は、第2の比較形態の半導体装置の一部の模式断面図である。第2の比較形態の半導体装置も実施形態同様、モータドライバである。
【0060】
図6は、図4中、点線の枠線で囲まれるHブリッジ回路のローサイドのnチャネル型LDMOSの模式図である。
【0061】
第2の比較形態のnチャネル型LDMOSは、埋め込み領域16が分断されず、トランジスタが完全にp型領域14と分離されている点で、実施形態のnチャネル型LDMOSと異なる。
【0062】
第2の比較形態のnチャネル型LDMOSでは、nチャネル型LDMOSに還流電流が流れる場合に、p型領域14から電流が引き抜かれることが抑制される。したがって、ラッチアップが抑制される。また、nチャネル型LDMOSとpチャネル型LDMOSとの間の距離を広げる必要や、ダミーのn型領域を設ける必要が無くなる。したがって、チップ面積の増大も防止できる。
【0063】
しかし、埋め込み領域16をグラウンド電位に固定すると、n型ドレイン領域22の直下にある埋め込み領域16と、n型ドレイン領域22との間(図6中の白矢印)の耐圧が低下するおそれがあり問題となる。
【0064】
図7は、実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。
【0065】
実施形態のnチャネル型LDMOSでは、埋め込み領域16を分断し、n型ドレイン領域22直下の埋め込み領域16を無くす。これにより、n型ドレイン領域22と埋め込み領域16との距離、又は、ドリフト領域26と埋め込み領域16との間の距離が大きくなり、埋め込み領域16とn型ドレイン領域22との間の耐圧が向上する。
【0066】
nチャネル型LDMOSに還流電流が流れる場合には、埋め込み領域16、p型領域14、ドリフト領域26で構成される寄生npnトランジスタの動作により、埋め込み領域16から電流が引き抜かれる。したがって、p型領域14から引き抜かれる電流は抑制される。よって、隣接するpチャネル型LDMOSなどからの電流の引き抜きは抑制され、ラッチアップが抑制される。
【0067】
実施形態のnチャネル型LDMOSの場合、第2の比較形態同様、nチャネル型LDMOSとpチャネル型LDMOSとの間の距離を広げる必要や、ダミーのn型領域を設ける必要が無くなる。したがって、チップ面積の増大も防止できる。
【0068】
埋め込み領域16とn型ドレイン領域22との間の耐圧を向上させる観点から、2つの埋め込み領域16の間隔は、大きい方が好ましい。この観点から、2つの埋め込み領域16の間隔は、n型ドレイン領域22の幅よりも大きいことが好ましく、ドレイン電極12を間に挟む2つのゲート電極13の間隔よりも大きいことがより好ましく、ドリフト領域26の幅よりも大きいことが更に好ましい。
【0069】
一方、寄生npnトランジスタのオン電流を大きくする観点からは、2つの埋め込み領域16の間隔は、小さい方が好ましい。この観点から、2つの埋め込み領域16の間隔は、n型ドレイン領域22を挟んで隣り合う2つのn型ソース領域21の間隔よりも小さいことが好ましく、2つのpウェル領域24の間隔よりも小さいことがより好ましい。
【0070】
埋め込み領域の16の電位は、例えば、グラウンド電位より高くすることも可能である。グラウンド電位よりも高くすることで、寄生npnトランジスタのオン電流を大きくすることが可能である。
【0071】
実施形態においては、半導体装置がモータドライバである場合を例に説明したが、本発明はモータドライバへの適用に限定されるわけではない。誘導性負荷に接続可能なnチャネル型LDMOSを備える半導体装置であれば、いずれの半導体装置にも適用することが可能である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10 半導体基板
11 ソース電極
12 ドレイン電極
13 ゲート電極
14 p型領域(第1のp型領域)
16 埋め込み領域(第1のn型領域)
18 接続領域(第2のn型領域)
21 n型ソース領域
22 n型ドレイン領域
24 pウェル領域(第2のp型領域)
26 ドリフト領域(第3のn型領域)
100 モータドライバ(半導体装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7