特許第6677765号(P6677765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6677765自律運転のための作業中及び非作業中の工事区域のマップ作成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677765
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】自律運転のための作業中及び非作業中の工事区域のマップ作成
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20200330BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20200330BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20200330BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20200330BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20200330BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20200330BHJP
【FI】
   B60W30/08
   B60W30/10
   B60W40/02
   G08G1/00 X
   G08G1/16 C
   !G01C21/26 A
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-124277(P2018-124277)
(22)【出願日】2018年6月29日
(62)【分割の表示】特願2017-137606(P2017-137606)の分割
【原出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2018-154338(P2018-154338A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年7月5日
(31)【優先権主張番号】13/859,990
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン ディヴィッド イアン フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】バーネット ドナルド ジェイソン
【審査官】 鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0104199(US,A1)
【文献】 特開2006−292701(JP,A)
【文献】 特開2009−156784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 10/30
B60W 30/00 − 50/16
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律運転モードを有する車両を操作するための方法であって、
1又はそれ以上のプロセッサにより、工事区域の特性に基づいて、前記工事区域の作業タイプを作業中作業タイプまたは非作業中作業タイプに分類するステップと、
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記作業タイプに基づいて、マップ情報内の前記工事区域に対する分類を更新するステップと、
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記工事区域の範囲において、前記更新された分類に基づいて前記車両を操作するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記作業タイプに基づいて前記分類を更新すべきかを決定するステップをさらに含み、
前記分類の更新は前記決定に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記車両の環境内の特徴を識別するセンサデータを受信するステップをさらに含み、
前記分類を更新するステップは、前記マップ情報を前記識別された特徴と比較するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記特徴は、車線境界線及び前記車線境界線の位置を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記識別された特徴は閉鎖された車線を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記識別された特徴は障壁を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記識別された特徴は工事物を含まない、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記マップ情報内に対応する特徴が存在するかを決定するステップをさらに含み、
前記分類を更新するステップは、前記決定にさらに基づく、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記比較を使用して前記識別された特徴のいずれかと前記マップ情報との間の違いを識別するステップをさらに含み、
前記分類を更新するステップは、前記識別された違いにさらに基づく、
請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記違いは、工事物以外の識別された特徴に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1又はそれ以上のプロセッサにより、前記識別された違いが前記車両の自律走行に影響を与えることになるかを決定するステップをさらに含み、
前記識別された違いが前記車両の自律走行に影響を与えることになるかの前記決定は、前記作業タイプを分類するために使用される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記識別された違いが前記車両の前記自律走行に影響を与えないと決定された場合、前記作業タイプは前記非作業中作業タイプに対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作業タイプが前記作業中作業タイプに対応する場合、前記車両の操作は、前記車両を減速させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記作業タイプが前記作業中作業タイプに対応する場合、前記車両の操作は、前記工事区域の前記範囲を通って移動する際に注意を払うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記作業タイプが前記作業中作業タイプに対応する場合、前記車両の操作は、前記車両を前記自律運転モードから手動運転モードに移行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記作業タイプが前記非作業中作業タイプに対応する場合、前記車両の操作は、前記車両を前記工事区域の前記範囲の外側で操作するのと同様に前記車両を操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
自律運転モードを有する車両を操作するためのシステムであって、前記システムは、
工事区域の特性に基づいて、前記工事区域の作業タイプを作業中作業タイプまたは非作業中作業タイプに分類し、
前記作業タイプに基づいて、マップ情報内の前記工事区域に対する分類を更新し、
前記工事区域の範囲において、前記更新された分類に基づいて前記車両を操作する、
ように構成された1又はそれ以上のプロセッサを備える、
システム。
【請求項18】
前記車両をさらに備える、請求項17に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2013年4月10日に出願された米国特許出願第13/859,990号の継続出願であり、この特許出願の開示は引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
自律走行車両は、様々なコンピュータシステムを用いて、乗員を1つの場所から別の場所に輸送する支援を行う。自律走行車両には、パイロット、ドライバ又は乗員などのオペレータからの何らかの初期入力又は継続入力を必要とするものもある。例えばオートパイロットシステムなどの他のシステムは、システムが既に作動している時にのみ使用することができ、これによってオペレータは、(オペレータが車両の動きを高度に制御する)手動運転モードから(基本的に車両自体が運転を行う)自律運転モード、これらの間のいずれかのモードへの切り替えができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,195,394号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第13/361,083号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第13/799,829号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの車両は、自律運転モードでの動作時には、予め記憶しているマップデータに大きく依拠することがある。このため、自律走行車両にとっては、工事区域が大きな課題となり得る。具体的には、これらの範囲が急速に変化して、その範囲の以前のマップデータが不正確又は過去のものになってしまうことがある。従って、工事区域を検出することが重要なだけでなく、車両がこれらの区域をどのように通過すべきかを決定することも重要である。通常、自律走行車両は、工事区域を識別又は発見すると、ドライバ及び他のあらゆる乗員の安全を確保するために車両の制御を自動的にドライバに受け渡すことができる。しかしながら、長期工事計画中の幹線道路などのように、実際には工事区域が自律走行車両にとっての走行課題にならない場合には、このことがドライバのストレスになる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様は、方法を提供する。この方法は、工事区域に関連する第1の工事物を識別するステップと、識別された工事物に基づいて、工事区域の範囲のマップを作成するステップと、プロセッサにより、詳細マップ情報に基づいて工事区域の作業状況タイプを分類するステップと、詳細マップ情報に工事区域の範囲及び分類を追加するステップと、詳細マップ情報に工事区域及び分類を追加した後に、所与の位置の第2の工事物を識別するステップと、所与の位置に基づいて、詳細マップ情報から工事区域の範囲及び分類を識別するステップと、工事区域の範囲において、詳細マップ情報に記憶された分類に基づいて、自律運転モードを有する車両を操作するステップとを含む。
【0006】
1つの例では、工事区域の作業状況タイプを分類するステップが、工事区域の範囲にいずれかの変化があったかどうかを詳細マップ情報から判定するステップを含む。別の例では、工事区域の特徴が、範囲についての詳細マップ情報の特徴に対応する場合、工事区域の作業状況タイプが非作業中として分類される。この例では、工事区域の作業状況タイプが非作業中として分類された場合、分類に基づいて車両を操作するステップが、工事区域の範囲を通じて車両を自律運転モードで操作するステップを含む。
【0007】
別の例では、工事区域の特徴が、詳細マップ情報と比べて車道に変化があったことを示す場合、工事区域の作業状況タイプが作業中として分類される。この例では、工事区域の作業状況タイプが作業中として分類された場合、分類に基づいて車両を操作するステップが、工事区域の範囲を通じて車両を手動運転モードで操作するステップを含む。
【0008】
別の例では、分類に基づいて車両を操作するステップが、車両を自律運転モードで運転すべきか、それとも手動運転モードで運転すべきかを決定するステップを含む。別の例では、方法が、分類に基づいて車両を操作した後に、工事区域の作業状況タイプを再分類するステップと、この再分類に基づいて、詳細マップ情報内の工事区域の分類を更新するステップとをさらに含む。この例では、方法が、更新された分類を遠隔コンピュータに送信するステップをさらに含む。別の例では、第2の工事物が第1の工事物である。
【0009】
本開示の態様は、方法を提供する。この方法は、工事区域と、工事区域の作業状況タイプの分類とを識別する情報を受け取るステップと、工事区域の範囲及び分類を詳細マップ情報に追加するステップと、工事区域の範囲及び分類を詳細マップ情報に追加した後に、プロセッサによって所与の位置の工事物を識別するステップと、詳細マップ情報に記憶された分類に基づいて、自律運転モードを有する車両を操作するステップとを含む。
【0010】
1つの例では、方法が、分類に基づいて車両を操作した後に、工事区域の作業状況タイプを再分類するステップと、この再分類に基づいて、詳細マップ情報内の工事区域の分類を更新するステップとをさらに含む。別の例では、分類に基づいて車両を操作するステップが、車両を自律運転モードで運転すべきか、それとも手動運転モードで運転すべきかを決定するステップを含む。別の例では、工事区域を識別する情報が、工事区域の範囲内における車両の運転挙動を制御する命令と共にさらに受け取られ、車両を操作するステップが、運転挙動を制御する命令にさらに基づく。
【0011】
本開示の別の態様は、システムを提供する。このシステムは、詳細マップ情報を記憶するメモリと、プロセッサとを含む。プロセッサは、工事区域に関連する第1の工事物を識別し、識別された工事物に基づいて、工事区域の範囲のマップを作成し、詳細マップ情報に基づいて工事区域の作業状況タイプを分類し、詳細マップ情報に工事区域の範囲及び分類を追加し、詳細マップ情報に工事区域及び分類を追加した後に、所与の位置の第2の工事物を識別し、所与の位置に基づいて、詳細マップ情報から工事区域の範囲及び分類を識別し、工事区域の範囲において、詳細マップ情報に記憶された分類に基づいて、自律運転モードを有する車両を操作するように構成される。
【0012】
1つの例では、工事区域の作業状況タイプを分類することが、工事区域の範囲にいずれかの変化があったかどうかを詳細マップ情報から判定することを含む。別の例では、工事区域の特徴が、範囲についての詳細マップ情報の特徴に対応する場合、工事区域の作業状況タイプが非作業中として分類される。別の例では、分類に基づいて車両を操作するステップが、車両を自律運転モードで運転すべきか、それとも手動運転モードで運転すべきかを決定するステップを含む。別の例では、プロセッサが、分類に基づいて車両を操作した後に、工事区域の作業状況タイプを再分類し、この再分類に基づいて、詳細マップ情報内の工事区域の分類を更新するようにさらに構成される。別の例では、プロセッサが、工事区域の範囲内における車両の運転挙動を制御する命令を生成し、この車両の運転挙動を制御する命令を、工事区域の範囲及び分類と共に詳細マップ情報に追加するようにさらに構成される。この例では、工事区域の範囲において操作することが、車両の運転挙動を制御する命令にさらに基づく。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の態様によるシステムの機能図である。
図2】本開示の態様による自律走行車両の内部である。
図3】本開示の態様による自律走行車両の外部である。
図4】本開示の態様による車道の例である。
図5】本開示の態様による詳細マップ情報の例である。
図6】本開示の態様による詳細マップ情報の別の例である。
図7A】本開示の態様によるシステムの絵図である。
図7B】本開示の態様によるシステムの機能図である。
図8】本開示の態様による図4の車道の別の例である。
図9】本開示の態様による図4の車道の別の例である。
図10】本開示の態様による図4の車道の別の例である。
図11】本開示の態様によるフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、一般に、自律走行車両の安全性及び効率性を高めるために、工事区域のマップを作成して分類することに関する。一例として、詳細マップにアクセスできる第1の車両を車道に沿って自律又は手動運転モードで運転することができる。第1の車両は、車両のセンサを用いて、例えば、道路工事標識、コーン、バレル、フェンス、工事車両、発煙筒、又は一般に工事区域に関連するその他のアイテムなどの工事物を識別することによって工事区域を検出することができる。車両は、自律運転モードで運転中の場合、工事物を識別すると、手動モード又は非常に慎重な運転モードに切り替えることができる。第1の車両は、工事区域を走行中(又は走行後)に工事区域の範囲のマップを作成し、この工事区域情報を詳細マップに組み込むことができる。
【0015】
第1の車両は、車線境界線の位置、車線が封鎖されているかどうか、新たなkレールの存在及び場所などの、工事区域内で検出された車道の特徴と詳細マップ情報を比較することにより、工事区域が作業中であるか、それとも非作業中であるかを判定することができる。この点において、上述した特徴の変化が識別された場合、工事区域を作業中として分類することができる。変化が(又は非常にわずかな変化しか)識別されない場合、工事区域を非作業中として分類することができる。この情報を工事区域情報に関連付けて詳細マップに組み込むことができる。車両独自の詳細マップを更新するために、この情報を他の車両と共有することもできる。
【0016】
第2の車両(又はその後の時点の第1の車両)は、道路作業標識、コーン、バレル、フェンス、工事車両、発煙筒、又は一般に工事区域に関連するその他のアイテムなどの工事物を検出することによって工事区域を検出することができる。次に、この第2の車両が詳細マップにアクセスして、検出された工事物の位置が、含まれている工事区域に対応するかどうかを判定し、対応する場合には、検出された物体に関連する工事区域の状況が作業中として識別されているか、それとも非作業中として識別されているかを判定することができる。工事区域が作業中である場合、第2の車両は、極低速で走行して、恐らくは自律モードから手動モードに移行することにより、より高い注意レベルを使用することができる。工事区域が非作業中である場合、車両は、マップ内の情報に基づいて普通に走行し続けることができる。検出された物体がマップ内に存在しない場合、第2の車両は、さらに高い注意レベルで走行し、検出された物体をマップに追加することができる。また、第2の車両は、工事区域を再分類することもできる。
【0017】
図1に示すように、自律運転システム100は、様々なコンポーネントを備えた車両101を含むことができる。本開示のいくつかの態様は、特定のタイプの車両との関連で特に有用であるが、車両は、以下に限定されるわけではないが、自動車、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプタ、芝刈り機、レクリエーショナルビークル、遊園地の車両、農機具、建設機器、路面電車、ゴルフカート、列車及びトロリー車を含むあらゆるタイプの車両とすることができる。車両は、プロセッサ120と、メモリ130と、通常の汎用コンピュータ内に存在するその他のコンポーネントとを含むコンピュータ110などの1又はそれ以上のコンピュータを有することができる。
【0018】
メモリ130は、プロセッサ120が実行又は別様に使用できる命令132及びデータ134を含む、プロセッサ120がアクセスできる情報を記憶する。メモリ130は、ハードディスクドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD又はその他の光ディスク、並びにその他の書き込み可能及び読み取り専用メモリなどの、コンピュータ可読媒体、又は電子装置を用いて読み取ることができるデータを記憶するその他の媒体を含む、プロセッサ120がアクセスできる情報を記憶できるあらゆるタイプのものとすることができる。システム及び方法は、命令及びデータの異なる部分が異なるタイプの媒体に記憶されるように、上述したものの異なる組み合わせを含むこともできる。
【0019】
命令132は、プロセッサによって直接的に(機械コードなど)又は間接的に(スクリプトなど)実行されるあらゆる命令セットとすることができる。例えば、命令は、コンピュータ可読媒体にコンピュータコードとして記憶することができる。この点について、本明細書では「命令」という用語と「プログラム」という用語を同義的に使用することができる。命令は、プロセッサが直接処理できるようにオブジェクトコードフォーマットで記憶することも、或いは要求時に解釈される、又は予めコンパイルされた、スクリプト又は一群の独立ソースコードモジュールを含む他のいずかのコンピュータ言語で記憶することもできる。機能、方法及び命令ルーチンについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0020】
プロセッサ120は、命令132に従ってデータ134を読み出し、記憶し、又は修正することができる。例えば、特許請求する主題はいずれかの特定のデータ構造によって限定されるものではないが、データは、コンピュータレジスタに記憶することも、複数の異なるフィールド及びレコードを有するテーブルとしてリレーショナルナルデータベースに記憶することも、XMLドキュメントに記憶することも、又はフラットファイルに記憶することもできる。データは、あらゆるコンピュータ可読フォーマットにフォーマットすることもできる。さらに、ほんの一例として、画像データは、圧縮又は解凍フォーマット、可逆(例えば、BMP)又は非可逆(例えば、JPEG)フォーマット、及びビットマップベース又はベクタベース(例えば、SVG)フォーマット、並びに図形を描くためのコンピュータ命令に従って記憶された画素のグリッドで構成されるビットマップとして記憶することができる。データは、数字、説明文、専用コード、同じメモリの他の領域又は(他のネットワーク位置を含む)異なるメモリに記憶されたデータの参照、或いは関連データを計算するための機能によって使用される情報などの、関連情報を識別するのに十分ないずれかの情報を含むことができる。
【0021】
プロセッサ120は、市販のCPUなどのいずれかの従来のプロセッサとすることができる。或いは、プロセッサは、ASIC又は他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用デバイスとすることもできる。図1には、プロセッサ、メモリ、及びコンピュータ110のその他の要素を同じブロック内に存在するものとして機能的に示しているが、当業者であれば、プロセッサ、コンピュータ又はメモリは、実際には複数のプロセッサ、コンピュータ又はメモリを含むことができ、これらは、同じ物理的ハウジング内に収容されることも又はされないこともあると理解するであろう。例えば、メモリは、ハードディスクドライブとすることも、或いはコンピュータ110のハウジングとは異なるハウジング内に存在する他の記憶媒体とすることもできる。従って、プロセッサ又はコンピュータについての言及は、並列動作することも又はしないこともある一群のプロセッサ、コンピュータ又はメモリについての言及を含むと理解されるであろう。ステアリングコンポーネント及び減速コンポーネントなどの一部のコンポーネントは、本明細書で説明するステップを単一のプロセッサを用いて実行するのではなく、各々がこれらのコンポーネントの特定の機能に関連する計算のみを行う独自のプロセッサを有することができる。
【0022】
本明細書で説明する様々な態様では、プロセッサが車両から離れて位置し、車両と無線で通信することができる。他の態様では、本明細書で説明する処理に、車両内に配置されたプロセッサ上で実行されるものもあれば、1つの操作を実行するのに必要なステップを行うことを含め、遠隔プロセッサによって実行されるものもある。
【0023】
コンピュータ110は、中央処理装置(CPU)、ウェブブラウザなどのデータ134及び命令を記憶するメモリ(例えば、RAM及び内部ハードディスクドライブ)、電子ディスプレイ152(例えば、画面を有するモニタ、小型LCDタッチスクリーン、又は情報を表示できる他のいずれか電気装置)、ユーザ入力装置150(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン及び/又はマイク)、並びに人物の状態及び要望に関する明示的情報(例えば、ジェスチャ)又は非明示的情報(例えば、「人が眠っている」こと)を収集するための様々なセンサ(例えば、ビデオカメラ)などの、コンピュータと共に標準的に使用されるコンポーネントを全て含むことができる。
【0024】
1つの例では、コンピュータ110を、車両101に組み込まれた自律運転コンピュータシステムとすることができる。図2に、自律走行車両の内部の例示的な設計を示す。自律走行車両は、例えば、ハンドル210などのステアリング装置、(電子ディスプレイ152の一部とすることができる)ナビゲーションディスプレイ215などのナビゲーションディスプレイ装置、及びシフトレバー220などのギアセレクタ装置などの、非自律走行車両の特徴を全て含むことができる。この車両は、上述したものに加えて、(電子ディスプレイ152の一部とすることができる)タッチスクリーン217、1又はそれ以上の自律運転モードを起動又は解除し、ドライバ又は乗員290が自律運転コンピュータ110にナビゲーション目的地などの情報を提供できるようにするボタン入力部219などの様々なユーザ入力装置140を有することもできる。
【0025】
自律運転コンピュータシステムは、車両の様々なコンポーネントと通信することができる。例えば、図1に戻ると、コンピュータ110は、車両101の動き、速度などを制御するために、車両の中央プロセッサ160と通信して、例えばブレーキシステム180、加速システム182、シグナリングシステム184及びナビゲーションシステム186などの、車両101の様々なシステムとの間で情報を送受信することができる。1つの例では、車両の中央プロセッサ160が、非自律コンピュータ内の中央プロセッサの機能を全て実行することができる。別の例では、プロセッサ120及び160が、単一の処理装置、又は並列動作する複数の処理装置を含むことができる。
【0026】
また、コンピュータ110は、作動時に車両101のこれらの機能の一部又は全部を制御することができる。従って、車両101は、上述したような様々な手動、半自律又は自律運転モードを有することができる。様々なシステム及びコンピュータ110を車両101内に示しているが、これらの要素は、車両101の外部に存在してもよく、又はさらに遠く物理的に離れていてもよいと理解されるであろう。
【0027】
この車両は、装置の地理的位置を特定するための、コンピュータ110と通信する地理的位置コンポーネント144を含むこともできる。例えば、この位置コンポーネントは、装置の緯度、経度及び/又は高度位置を特定するためのGPS受信機を含むことができる。レーザーベースの位置確認システム、慣性支援GPS、又はカメラベースの位置確認などの他の位置システムを用いて車両の位置を識別することもできる。車両の位置は、緯度、経度及び高度などの絶対地理的位置と、車両のすぐ近くの他の車に対する位置などの、絶対地理的位置よりもより高い精度で特定できることが多い相対位置情報とを含むことができる。
【0028】
この車両は、加速度計、ジャイロスコープ、又は別の方向/速度検出装置146などの、車両の方向及び速度又はこれらの変化を求めるための、コンピュータ110と通信する他の装置を含むこともできる。ほんの一例として、加速装置146は、重力方向又は重力方向に垂直な面に対する装置のピッチ、ヨー又はロール(又はこれらの変化)を特定することができる。この装置は、速度の増加又は減少、及びこのような変化の方向を追跡することもできる。この装置による本明細書で説明する位置及び配向データの提供は、ユーザ、コンピュータ110、その他のコンピュータ及びこれらの組み合わせに対して自動的に行うことができる。
【0029】
コンピュータ110は、様々なコンポーネントを制御することによって車両の方向及び速度を制御することができる。一例として、車両が完全に自律運転モードで動作している場合、コンピュータ110は、(例えば、エンジンに供給される燃料又はその他のエネルギーを増加させることによって)車両を加速させ、(例えば、エンジンに供給される燃料を減少させ、又はブレーキを適用することによって)減速させ、(例えば、2つの前輪を曲げることによって)方向を変えることができる。
【0030】
車両は、他の車両、車道内の障害物、交通信号、標識、木などの、車両外部の物体を検出するためのコンポーネントを含むこともできる。検出システム154は、レーザー、ソナー、レーダー、カメラ、又はコンピュータ110によって処理できるデータを記録する他のいずれかの検出装置を含むことができる。例えば、車両が小型乗用車である場合、この車は、屋根又はその他の便利な位置に取り付けられたレーザーを含むことができる。
【0031】
図3に示すように、車両101は、車両の前部及び頂部にそれぞれ取り付けられたレーザー310及び311を有する小型乗用車を含むことができる。レーザー310は、約150メートルの範囲、30度の垂直視野及び約30度の水平視野を有することができる。レーザー311は、約50〜80メートルの範囲、30度の垂直視野及び360度の水平視野を有することができる。これらのレーザーは、様々な物体の位置及び距離を識別するためにコンピュータが使用できる範囲及び強度情報を車両に提供することができる。1つの態様では、レーザーが、その軸を回転させてピッチを変更することにより、車両と、車両に面する物体面との間の距離を測定することができる。
【0032】
車両は、適応的クルーズコントロールシステムに使用されるような様々なレーダー検出ユニットを含むこともできる。レーダー検出ユニットは、車の前部及び後部、並びにフロントバンパーの両側に位置することができる。図3の例に示すように、車両101は、車両の両側(片側しか示していない)、前部及び後部に位置するレーダー検出ユニット320〜323を含む。これらのレーダー検出ユニットの各々は、約18度の視野の約200メートルの範囲、及び約56度の視野の約60メートルの範囲を有することができる。
【0033】
別の例では、車両に様々なカメラを取り付けることができる。これらのカメラは、2又はそれ以上のカメラの画像からの視差を用いて様々な物体との距離を計算できるように所定の距離を置いて取り付けることができる。図3に示すように、車両101は、フロントガラス340の内側のバックミラー(図示せず)の近くに取り付けられた2つのカメラ330及び331を含むことができる。カメラ330は、約200メートルの範囲及び約30度の水平視野を含むことができ、カメラ331は、約100メートルの範囲及び約60度の水平視野を含むことができる。
【0034】
上述したセンサに加えて、コンピュータは、非自律走行車両に典型的な他のセンサ及び機能からの入力を使用することもできる。例えば、これらの他のセンサ及び機能としては、タイヤ圧センサ、エンジン温度センサ、ブレーキ熱センサ、ブレーキパッド状態センサ、タイヤトレッドセンサ、燃料センサ、オイルレベル及び品質センサ、(温度、湿度又は空気中の微粒子を検出するための)空気品質センサ、ドアセンサ、ライト、ワイパーなどを挙げることができる。この情報は、これらのセンサ及び機能から直接提供することも、又は車両の中央プロセッサ160を介して提供することもできる。
【0035】
これらのセンサの多くは、コンピュータによって処理されたデータをリアルタイムで提供し、すなわち、センサは、ある時点又は時間範囲にわたって検知された環境を反映するようにその出力を継続的に更新し、この検知された環境に応答してコンピュータがその時の車両の方向又は速度を変更すべきかどうかを判定できるように、更新された出力を継続的に又は要求時にコンピュータに提供することができる。
【0036】
コンピュータは、様々なセンサによって提供されたデータを処理することに加え、以前の時点で取得された環境データ、及び環境内における車両の存在に関わらず存続することが見込まれる環境データに依拠することもできる。例えば、図1に戻ると、データ134は、例えば車道の形状及び隆起、車線境界線、交差点、横断歩道、制限速度、交通信号、建物、標識、リアルタイム交通情報、植物、又はその他のこのような物体及び情報を識別する非常に詳細なマップなどの詳細マップ情報136を含むことができる。例えば、このマップ情報は、様々な車道のセグメントに関連する明確な制限速度情報を含むことができる。制限速度データは、手動で入力することも、或いは光学文字認識などを用いて、以前に撮影した制限速度標識の画像からスキャンすることもできる。
【0037】
図4は、幹線道路400の一例である。この例では、幹線道路400が、破線の車線境界線430〜433及び実線の車線境界線440〜443によって定められる3つの北行き車線410〜412及び3つの南行き車線420〜422を含む。また、幹線道路400は、実線の車線境界線440と障壁460の間、及び実線の車線境界線441と障壁461の間にそれぞれ定められる路肩450及び451も含む。幹線道路400は、北行き車線と南行き車線の間に、車線境界線442及び441との間にそれぞれ路肩452及び453を定める中央分離帯470を含む。
【0038】
図5は、幹線道路400の詳細マップ情報500の例である。詳細マップ情報500は、詳細マップ情報136の一部とすることができ、幹線道路400の様々な特徴の位置及び配向を示すデータを含むことができる。例えば、詳細マップ情報500は、北行き車線410〜412を識別する北行き車線データ510〜512と、南行き車線420〜422を識別する南行き車線データ520〜522とを含む。詳細マップ情報500は、破線の車線境界線430〜433及び実線の車線境界線破線440〜443を表す破線の車線境界線データ530〜533及び実線の車線境界線データ540〜543も含む。路肩450〜453も、路肩データ550〜553によって表される。障壁460〜461は、障壁データ560〜561によって表され、中央分離帯470は、中央分離帯データ570によって表される。
【0039】
詳細マップ情報は、工事区域の範囲に関する情報を含むこともできる。この情報は、工事区域の範囲の境界を定める位置情報を含むことができる。例えば、図6は、工事区域の範囲610及び620を含むマップ情報500の例である。
【0040】
これらの工事区域の範囲は、工事区域の最新の作業状況分析に基づく分類に関連することもできる。一例として、工事区域の範囲は、工事区域の範囲内の特徴の特性に応じて作業中又は非作業中として分類することができる。図6を参照すると、工事区域の範囲610は、作業中の指示630を含み、工事区域の範囲620は、非作業中の指示640を含む。
【0041】
本明細書では、詳細マップ情報136を画像ベースのマップとして示しているが、マップ情報は、(例えば、ラスターなどのように)完全に画像ベースである必要はない。マップ情報は、道路、車線、交差点及びこれらの特徴間の接続などの情報の1又はそれ以上の道路グラフ又はグラフネットワークを含むことができる。各特徴はグラフデータとして記憶することができ、他の関連する特徴に関連しているかどうかに関わらず、地理的位置などの情報に関連付けることができる。例えば、一時停止標識は、道路及び交差点に関連することができる。いくつかの例では、関連データが、特定の道路グラフの特徴の効率的な検索を促すように、道路グラフのグリッドベースのインデックスを含むことができる。
【0042】
コンピュータ110は、他のコンピュータとの間で情報の受信又は転送を行うこともできる。例えば、コンピュータ110によって記憶されているマップ情報を他のコンピュータとの間で受信又は転送し、及び/又は車両101のセンサから収集されたセンサデータを別のコンピュータに転送し、本明細書で説明したように処理することができる。図7A及び図7Bに示すように、センサ情報などのコンピュータ110からのデータは、さらなる処理のためにネットワークを介して中央処理コンピュータ720に送信することができる。同様に、後述するソフトウェア更新又は気象情報などのコンピュータ720からのデータも、ネットワークを介してコンピュータ110に、又は自律運転モードを有する他の車両の他の同様のコンピュータに送信することができる。
【0043】
ネットワーク及び介在するノードは、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1又はそれ以上の会社所有の通信プロトコルを用いたプライベートネットワーク、イーサネット(登録商標)、WiFi、HTTP、及びこれらの様々な組み合わせを含む様々な構成及びプロトコルを含むことができる。このような通信は、モデム及び無線インターフェイスなどの、他のコンピュータとの間でデータを送信できるいずれかの装置によって容易にすることができる。別の例では、コンピュータ110及び720がアクセス又は接続できるメモリにデータを記憶することによってデータを転送することができる。
【0044】
1つの例では、コンピュータ720が、コンピュータ110との間でデータの受信、処理及び送信を行うためにネットワークの異なるノードと情報を交換する、複数のコンピュータを有する負荷分散サーバファームなどのサーバを含むことができる。このサーバは、コンピュータ110と同様に構成することができ、プロセッサ730、メモリ740、命令750及びデータ760を有することができる。
【0045】
以下、上述して図示した動作に加え、様々な動作について説明する。以下の動作は、後述する正確な順序で実行する必要はないと理解されたい。それどころか、様々なステップを異なる順序で又は同時に処理することができ、ステップを追加又は省略することもできる。
【0046】
一例として、第1の車両が車道に沿って走行することができる。この第1の車両は、車両101を含むことができ、自律運転モード、手動運転モード、又はこれらの間のいずれかのモードで動作することができる。或いは、この第1の車両を、単に環境に関するセンサ情報を収集するために走行する非自律走行車両とすることもできる。
【0047】
図8は、工事車両840及び850が車道の再舗装及び車線境界線の塗装を行っている幹線道路400の北行き車線410に沿って走行する車両101の例である。この例では、車両101が、様々な工事物810、820、830、840、850及び860によって示される工事区域に接近中である。この例は、路肩453が閉鎖されていることを示す工事物870、880及び890も含む。
【0048】
車両の走行時には、センサが、車両の環境に関する情報を収集することができる。この車両のセンサからの情報を用いて工事区域を検出することができる。例えば、センサ情報を用いて、道路作業標識、コーン、バレル、フェンス、工事車両、発煙筒、又は一般に工事区域に関連するその他のアイテムなどの工事物を識別することができる。例えば、車両101のコンピュータ110は、北行き車線410〜412内の工事物810、820、830、840、850及び860を検出することができる。別の例では、南行き車線420〜422内を走行中の車両が、工事物870、880及び890を検出することができる。
【0049】
これらの工事物は、センサデータと詳細マップ情報の比較、画像マッチング、確率フィルタ、画像テンプレートによるものなどのあらゆる数の技術を用いて識別することができる。例えば、米国特許第8,195,394号、「知覚不確定要素に基づく車両制御(VEHICLE CONTROL BASED ON PERCEPTION UNCERTAINTY)」という名称の米国特許出願第13/361,083号、及び/又は「画像からの高精度リアルタイム道路標識検出(HIGH−ACCURACY REAL−TIME ROAD SIGN DETECTION FROM IMAGES)」という名称の米国特許出願第13/799,829号に記載されている技術を用いて工事物を識別することができる。
【0050】
車両が自律運転モードで走行中であるいくつかの例では、車両が工事物を識別すると、ドライバに自動的に警告して手動モードに切り替えることができる。或いは、車両がドライバに警告して、コンピュータ110が、例えば速度を落として運転し、車両と車道内の他の物体との間の距離を延ばすことなどによって非常に慎重な運転モードに切り替えることができる。
【0051】
工事物が検出されると、工事範囲のマップを作成することができる。例えば、コンピュータ110は、あらゆる数の追加の工事物を検出し、又は車道の特徴が再びいつ詳細マップ情報に一致するかを特定することができる。従って、第1の工事物の位置に基づいて開始地点を識別し、最後に識別された工事物の位置に基づいて終了地点を識別することができる。車道沿いのこれらの地点間の範囲は工事区域とすることができる。いくつかの例では、最後に識別された工事物を過ぎて何らかの距離を追加することにより、工事範囲に何らかの緩衝範囲を追加することができる。
【0052】
一例として、コンピュータ110は、工事物810を検出し、工事範囲のマップ作成を開始することができる。コンピュータ110は、工事物860などの最後の工事物が検出されると、この情報を用いて図9の工事区域の範囲910を定めることができる。同様に、工事物870及び890を検出した車両は、図10の工事区域1010を定めることができる。
【0053】
工事区域のマップを作成することに加え、システムによって工事区域を分類することもできる。一例として、工事区域の特性に基づいて、工事区域を作業中又は非作業中として分類することができる。この分類は、工事区域内で検出された、工事区域を識別するために使用する以外の車道の特徴と詳細マップ情報を比較することによって行うことができる。この分類は、車線境界線の位置、車線が閉鎖されているかどうか、新たなkレール又はその他の障壁の存在及び位置、などの比較を含むことができる。上述した特徴に何らかの違い又は変化が識別された場合、工事区域を作業中として分類することができる。変化が全く又は非常にわずかしか識別されない場合、工事区域を非作業中として分類することができる。わずかな変化の例としては、車両の位置確認システムに影響が及ばない形での路肩作業又は分離帯の移動を含む車線外の変化、或いは以前に詳細マップ情報からマップを作成した車線内を走行することが依然としてドライバにとって安全又は安心であるほどのわずかな車線の変更などの、自律運転モードに影響を与えないと思われるものを挙げることができる。
【0054】
図8及び図9の例を参照すると、車線境界線441及び431の一部が見えておらず(上から舗装されており)、従って詳細マップ情報と異なるので、工事区域910は作業中として分類することができる。図8及び図10の例では、工事物の出現以外に詳細マップ情報との違いがないと思われるので、工事区域1010は、非作業中として分類することができる。
【0055】
上述した工事区域の識別及び分類は、センサ情報を収集した車両のコンピュータ以外のコンピュータによってその後の時点で行うことができる。例えば、工事物を識別して工事区域のマップを作成するために、サーバ720などのコンピュータを用いてセンサ情報を処理することができる。或いは、この識別及び分類を、上述した車両101のコンピュータ110などの、センサ情報を収集した車両のコンピュータによって行うこともできる。車両のコンピュータを用いて工事区域の識別及び分類をリアルタイムで行うことにより、以下でさらに詳細に説明するような分類の有用性を高めることができる。
【0056】
工事区域の範囲及び分類情報は、自律運転モードを有する車両のために互いに関連付けて詳細マップ情報に組み込むことができる。従って、コンピュータ110は、この情報を詳細マップ情報に記憶することができる。図6は、詳細マップ情報136に記憶された図9及び図10の工事区域の範囲910及び1010に対応することができる工事区域の範囲610及び620を有する詳細マップ情報500を含む。さらに、図6は、工事区域910及び1010にそれぞれ対応することができる分類630及び640を含む。この情報は、工事区域の範囲及び分類情報を他の車両に提供するために、これらの車両に送信され得る。この送信は、自律運転モードを有する近くの車両にこの情報をブロードキャストすることによって、或いは自律運転モードを有する他の車両にこの情報を中継することができるサーバ720などの中央サーバにこの情報を単純に送信することによって行うことができる。
【0057】
或いは、工事区域の識別及び分類がサーバ720などのコンピュータによって行われる場合、工事区域及び関連する分類を他の自律走行車両に送信し、これらの車両のそれぞれの詳細マップ情報と共に記憶することもできる。
【0058】
工事区域の識別及び分類が車両101などの自律走行車両によって行われる場合、この情報を車両101の詳細マップ情報と共に直接記憶することができる。この情報は、他の車両の独自の詳細マップを更新するために、例えばこの情報を特定の車両に直接送信し、他の全ての自律走行車両にブロードキャストし、又は後でこの情報を他の自律走行車両に送信できるサーバ720などのコンピュータに情報を送信することにより、他の車両と共有され得る。
【0059】
若干後の時点で、自律運転モードで動作する車両101などの第2の車両が工事区域を検出することができる。この検出は、上述した工事区域に一般に関連する第1の工事物を識別することによって行うことができる。次に、車両101のコンピュータ110が詳細マップ情報に問い合わせを行って、識別された第1の工事物の位置に関連する工事区域が存在するかどうかを判定することができる。存在しない場合、コンピュータ110は、工事区域のマップを作成し、工事区域を分類し、この情報を詳細マップ情報と共に記憶し、いくつかの例では、上述した他の自律走行車両にこの情報を送信することができる。
【0060】
識別された第1の工事物の位置が詳細マップ情報に関連する場合、コンピュータ110は、この工事区域に関連する分類を識別し、この分類を用いて自律走行車両の運転方法を決定することもできる。上記の例を使用すると、工事区域が作業中として分類されている場合、第2の車両は、非常に低速で運転し、恐らくは自律モードから手動モードに移行することにより、より高いレベルの注意を使用することができる。同様に、工事区域が非作業中として分類されている場合、車両は、詳細マップ情報に基づいて普通に運転し続けることができる。
【0061】
コンピュータ110は、例えば上述した車道の特徴及び詳細マップ情報に基づいて、工事区域の分類を作業中から非作業中に、又は非作業中から作業中に変更することによって工事区域を再分類することが必要になるかどうかを判定することもできる。
【0062】
図11のフローチャート1100は、車両101のコンピュータ110によって全体的又は部分的に実行できる上述した態様のいくつかの例である。この例では、ブロック1102において、コンピュータが、工事区域に関連する第1の工事物を識別する。ブロック1104において、識別された工事物に基づいて工事区域の範囲のマップを作成する。次に、ブロック1106において、コンピュータが、詳細マップ情報に基づいて工事区域の作業状況を分類する。例えば、工事区域は、作業中又は非作業中として分類することができる。ブロック1108において、工事区域の範囲及び分類が詳細マップ情報に追加される。
【0063】
工事区域及び分類を詳細マップ情報に追加した後、ブロック1110において、コンピュータは、所与の位置の第2の工事物を識別する。次に、ブロック1112において、コンピュータは、所与の位置に基づいて詳細マップ情報から工事区域の範囲及び分類を識別する。次に、ブロック1114において、コンピュータは、詳細マップ情報に記憶されている分類に基づいて、自律運転モードを有する車両を操作する。
【0064】
代替例では、工事区域を単純に作業中又は非作業中として分類するのではなく、他の分類スキームを使用することができる。例えば、これらの分類を、車両がどのように応答すべきかに関する情報に関連付け、或いは単純にこの情報の異なる一部とすることができる。一例として、幹線道路上の道路工事が夜の時間帯(午後9:00〜午前5:00など)にのみ行われる場合など、工事区域によっては、時間成分を有することができるものもある。従って、車両は、これらの時間近くにのみ、手動で又は特に慎重に走行すればよい。別の例では、特定の車線のみに時々影響する工事が進行中の場合もある。これは一例であり、コンピュータ110は、どの車線に影響があるか、及び特定の車線近くにコーンが存在するかどうかなどの、範囲に接近している時に何を探すべきかを知っておく必要があり、コンピュータ110は、この特定の車線が実際に影響を受けており、或いは閉鎖されていると強く確信することができる。別の例では、走行中の車線は工事計画による影響を受けていないが、この車線の近くの路肩上で進行中の作業が行われている場合、必須ではないが、この工事区域の範囲では車両を低速で運転する方が安全であると考えることができる。これらの詳細を工事区域に関連付け、或いはこれらの詳細を用いて工事区域を分類することもできる。
【0065】
上述した特徴によれば、自律運転モードを有する車両は、実際に別の運転モードに移行する必要がある時にはそれを行うことができ、その必要性がない時には普通に運転することもできる。上述したように分類を行われなければ、車両は、安全な運転体験を促すために、工事物を検出した時には、たとえ工事区域の範囲1010及び620の例のように必要ではなかったとしても常に手動モードに移行する必要がある。しかしながら、上述したように、自律走行車両は、上述した分類機能によって自律モードであり続けることができる。従って、これらの分類は、車両のコンピュータが工事区域での操作方法についてさらに多くの情報に基づく決定を行えるようにするものである。
【0066】
特許請求の範囲に定められる主題から逸脱することなく、上述した特徴のこれらの及びその他の変形例及び組み合わせを利用することができるので、上述した例示的な実施形態の説明は、特許請求の範囲に定められる主題の限定ではなく一例と捉えるべきである。本明細書で示した例(及び「〜など(such as)」、「例えば、(e.g.)」、「〜を含む(including)」などと表現される節)は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものとして解釈すべきではなく、むしろこれらの例は、多くの考えられる態様のほんの一部を示すものであると理解されるであろう。
【0067】
産業上の利用可能性
本発明は、限定するわけではないが、自律運転モードの車両が使用するための作業中及び非作業中の工事区域のマップ作成を含む幅広い産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0068】
101 車両
400 幹線道路
410、411、412 北行き車線
420、421、422 南行き車線
430、431、432、433、440、441、442、443 車線境界線
450、451、452、453 路肩
460、461 障壁
470 中央分離帯
810、820、830、840、850、860、870、880、890 工事物
910 工事区域の範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11