特許第6677892号(P6677892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677892
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】キーボードカバー
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20200330BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   G06F1/16 312U
   G06F1/16 312E
   H05K5/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-164129(P2017-164129)
(22)【出願日】2017年8月29日
(65)【公開番号】特開2019-40560(P2019-40560A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三原 大輔
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0055284(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0068282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16−1/18
H05K 5/00−5/06
H04M 1/02−1/23
G06F 3/02−3/027;H03M11/00−11/26
G06F 15/02;15/04−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のキーボードカバーであって、
前記電子機器への入力操作を受け付けるキーが配列されたキーボードと、
前記キーボードの縁に設けられるヒンジ部と、を備え、
前記キーボードは、
前記キーが配列された面を有する第1部材と、
前記第1部材に対して前記面の反対側に位置した第2部材と、
前記第2部材に対して前記第1部材の反対側で前記第2部材に重ねられるとともに一部が前記第2部材から張り出した布と、
を有し、
前記ヒンジ部は、
前記電子機器に着脱自在な棒状の可着部が一方の縁に沿って設けられた帯状の部材と、
前記帯状の部材の他方の縁に固定されており、前記第1部材および前記第2部材の間に挟まれる剛性部材と、
を有
前記剛性部材は、
前記帯状の部材と前記第2部材との間に位置した部位と、
前記帯状の部材と前記布の前記一部との間に位置した部位と、
前記布における前記一部の端面を覆う部位と、
を有する、
キーボードカバー。
【請求項2】
前記剛性部材は、前記第1部材および前記第2部材の少なくとも何れかに設けられた位置決め部に嵌合する嵌合部を有する、
請求項1に記載のキーボードカバー。
【請求項3】
前記剛性部材は、互いに組み合わさった状態の前記第1部材および前記第2部材の隙間に相当する厚さを有する、
請求項1または2に記載のキーボードカバー。
【請求項4】
前記剛性部材は、前記帯状の部材の他方の縁に固定された細長いプレートである、
請求項1から3の何れか一項に記載のキーボードカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、キーボードカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、様々な取り付け構造が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。また、電子機器の中には、キーボードが着脱自在なものがある(例えば、特許文献2−5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−332449号公報
【特許文献2】特表2015−512107号公報
【特許文献3】特開平10−326124号公報
【特許文献4】特開2004−38950号公報
【特許文献5】特表2017−517050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器への入力操作を受け付けるキーが配列されたキーボードに、電子機器に対して着脱自在なヒンジを設けたキーボードカバーが普及しつつある。キーボードカバーのヒンジには、例えば、シート状の部材が用いられる。
【0005】
シート状の部材は、キーボードの外装面を形成する素材としても好適である。そこで、ヒンジに用いるシート状の部材を、キーボードの外装面を形成する部材と併用すれば、キーボードカバーの部品点数削減や製造工程の簡略化が図られる。しかし、キーボードの外装面を形成する部材に対して要求される素材の条件は、ヒンジに用いる部材に対して要求される素材の条件と異なる場合がある。この場合、キーボードの外装面を形成する部材とは別体の部品となるヒンジの部材の端部は、キーボードの一方の面を形成する部材と他方の面を形成する部材との間に挟まれることになる。しかし、キーボードは、通常、ヒンジに用いられるシート状の部材より厚い。よって、キーボードの外装面を形成する部材同士の間に、ヒンジとなるシート状の部材の端部を挟み込む形態を採ると、キーボードの縁を形成する部材の一部にヒンジとなる部材を挟み込むための切り欠きを設けることになるため、キーボードの構造的な強度の低下を招く。
【0006】
そこで、本願は、キーボードの外装に用いる部材に関わり無く、ヒンジに用いるシート状の部材を選定可能にする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、次のようなキーボードカバーを開示する。すなわち、本願で開示するキーボードカバーは、前記電子機器への入力操作を受け付けるキーが配列されたキーボードと、前記キーボードの縁に設けられるヒンジ部と、を備え、前記キーボードは、前記キーが配列された面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記面の反対側に位置した第2部材と、前記第2部材に対して前記第1部材の反対側で前記第2部材に重ねられるとともに一部が前記第2部材から張り出した布と、を有し、前記ヒンジ部は、前記電子機器に着脱自在な棒状の可着部が一方の縁に沿って設けられた帯状の部材と、前記帯状の部材の他方の縁に固定されており、前記第1部材および前記第2部材の間に挟まれる剛性部材と、を有前記剛性部材は、前記帯状の部材と前記第2部材との間に位置した部位と、前記帯状の部材と前記布の前記一部との間に位置した部位と、前記布における前記一部の端面を覆う部位と、を有する
【発明の効果】
【0008】
上記のキーボードカバーであれば、キーボードの外装に用いる部材に関わり無く、ヒン
ジに用いるシート状の部材を選定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、キーボードカバーをキーボード面側から示した斜視図である。
図2図2は、キーボードカバーを底面側から示した斜視図である。
図3図3は、分解された状態のキーボードを示した図である。
図4図4は、キーボードカバーの内部構造を示した図である。
図5図5は、サブアセンブリの内部構造を示した図である。
図6図6は、表面カバーのサブアセンブリが取り付けられる部位を示した拡大図である。
図7図7は、表面カバーに対するサブアセンブリの取付状態を示した図である。
図8図8は、表面カバーと布の取付状態を示した図である。
図9図9は、突起と穴との嵌合状態を示した図である。
図10図10は、シート状ヒンジとキーボードとの厚みの関係を示した図である。
図11図11は、サブアセンブリの取付状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、単なる例示であり、本開示の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0011】
図1は、キーボードカバー1をキーボード面側から示した斜視図である。また、図2は、キーボードカバー1を底面側から示した斜視図である。キーボードカバー1は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ、液晶パネル等が内蔵されたコンピュータ装置の
一種であるタブレット(本願でいう「電子機器」の一例である)に着脱される入力装置である。キーボードカバー1は、タブレットの入力機能を補うものなので、タブレットの機能を拡張する拡張装置として捉えることもできる。
【0012】
キーボードカバー1は、角の部分が丸まった長方形の薄い板状のキーボード2を有する。また、キーボードカバー1は、キーボード2の外観を形成する長方形に2つある長辺のうちの一辺に沿って設けられており、タブレットに接触する部位に磁石が内蔵された細長いサブアセンブリ3(本願でいう「ヒンジ部」の一例である)を有している。サブアセンブリ3は、キーボード2をタブレットに対して回動可能に連結すると共に、キーボード2とタブレットとを電気的に接続する。キーボード2は、入力装置としての役割およびタブレットのカバーとしての役割を果たすことができるよう、キーを配列したキーボード面およびカバーとなる平らな底面を有している。
【0013】
図3は、分解された状態のキーボード2を示した図である。また、図4は、キーボードカバー1の内部構造を示した図である。キーボード2は、底面を形成する表面カバー28(本願でいう「第2部材」の一例に該当する)と、キーボード面を形成する表面カバー21(本願でいう「第1部材」の一例に該当する)との間に各種部品を挟み込んだ板状のアセンブリである。表面カバー28の表面には加飾用の布29が貼着されているため、キーボード2の底面は、より正確には布29が形成していると言える。
【0014】
表面カバー21と表面カバー28が外装を形成するキーボード2の内部には、キーボード面に配列されるキーを有するキーボードユニット26、キーボードユニット26の隣に配置されるタッチパッドユニット22、タッチパッドユニット22の隣に配置されるクリックボタン25、キーボードユニット26の電気的な処理を司るキーボード制御プリント板24、クリックボタン25の電気的な処理を司るクリックボタン制御プリント板23、
キーボード制御プリント板24およびクリックボタン制御プリント板23とサブアセンブリ3とを電気的に繋ぐ接続ケーブル27が配置される。
【0015】
図5は、サブアセンブリ3の内部構造を示した図である。サブアセンブリ3は、タブレットに設けられている接点に接触するコネクタ31、及びコネクタ31を覆うコネクタ固定カバー32を有する可着部38を備える。可着部38は、コネクタ固定カバー32に内蔵されている磁石の磁力でタブレットの縁に取り付く部位であるため、長方形の薄い板状のタブレットの長辺に沿うように細長い棒状の形態を有している。
【0016】
また、サブアセンブリ3は、棒状の可着部38が一方の縁に沿って設けられた帯状のシート状ヒンジ36(本願でいう「帯状の部材」の一例である)を備える。そして、シート状ヒンジ36の他方の縁には、キーボード2の縁沿いに取り付けられることになる細長いプレート37(本願でいう「剛性部材」の一例である)が接着されている。プレート37は、キーボード2を厚くせずに構造的な強度を補うため、剛性の樹脂で板状に形成されている。プレート37は、表面カバー21と表面カバー28が組み合わされた状態において、表面カバー21と表面カバー28の間に挟まれる。
【0017】
なお、導線カバー34と導線カバー35を貼り合わせた構造のシート状ヒンジ36の中には、コネクタ31と接続ケーブル27とを電気的に接続するためのフィルム状の配線である導線33が部分的に埋め込まれている。
【0018】
図6は、表面カバー21のサブアセンブリ3が取り付けられる部位を示した拡大図である。表面カバー21の縁には、キーボード2の外縁部分を形成することになる側壁21Bが設けられている。そして、側壁21Bには、サブアセンブリ3を取り付けるための切り欠き21Kが設けられている。切り欠き21Kは、側壁21Bのうち、サブアセンブリ3の長さに相当する部分を切り欠いている。そして、切り欠き21Kによって形成されたサブアセンブリ3の取付部分には、突起21T(本願でいう「位置決め部」の一例である)が設けられている。突起21Tは、サブアセンブリ3のプレート37が接触する面において突出する突起である。図7は、表面カバー21に対するサブアセンブリ3の取付状態を示した図である。サブアセンブリ3のプレート37には穴37H(本願でいう「嵌合部」の一例である)が設けられている。穴37Hには表面カバー21の突起21Tが嵌る。プレート37の長手方向沿いの複数箇所に離散配置されている各穴37Hに突起21Tが嵌ることにより、表面カバー21に対するサブアセンブリ3の位置決めが行われる。したがって、キーボード2へのサブアセンブリ3の取付作業時や、キーボードカバー1の使用時に、サブアセンブリ3がキーボード2に対して位置ずれしない。
【0019】
図8は、表面カバー28と布29の取付状態を示した図である。各穴37Hに突起21Tが嵌るようにサブアセンブリ3が表面カバー21へセットされた後、表面カバー28と布29が表面カバー21へ装着されると、プレート37が表面カバー21と表面カバー28との間に挟まれた状態になる。穴37Hに突起21Tが嵌っているため、プレート37は、表面カバー21と表面カバー28との間から外れることなく保持される。
【0020】
図9は、突起21Tと穴37Hとの嵌合状態を示した図である。突起21Tに穴37Hが嵌った状態で表面カバー28と布29が表面カバー21に装着されると、プレート37は、表面カバー21と表面カバー28との間に挟まれる。よって、表面カバー21と表面カバー28の間から抜ける方向の力がプレート37に作用しても、プレート37の移動はプレート37Tに嵌る突起21Tによって制限される。
【0021】
図10は、シート状ヒンジ36とキーボード2との厚みの関係を示した図である。シート状ヒンジ36を形成する導線カバー34と導線カバー35には、シート状ヒンジ36が
適宜の強度と柔軟性を発揮するような素材が用いられる。一方、キーボード2の外装面を形成する布29は、表面カバー28に貼着され、シート状ヒンジ36のように折り曲げられることもないため、外装面の形成に適した素材が用いられる。すなわち、キーボード2の外装に用いる素材の条件は、可着部38とキーボード2をヒンジとして回動自在に連結する素材に要求される条件とは異なる。よって、キーボード2の外装に用いる素材が、可着部38とキーボード2をヒンジとして回動自在に連結する素材に要求される条件を満たすことができない場合、可着部38とキーボード2をヒンジとして回動自在に連結する素材には、キーボード2の外装に用いる素材とは異なるものが用いられることになる。
【0022】
可着部38とキーボード2をヒンジとして回動自在に連結する素材に、キーボード2の外装に用いる素材とは異なるものを用いる場合、キーボード2の外装面を形成する布29とは別体の部品となるシート状ヒンジ36の端部は、上記実施形態で示したように、キーボード2の一方の面を形成する表面カバー21と他方の面を形成する表面カバー28との間に挟まれることになる。しかし、キーボード2は、図10にも示されるように、通常、シート状ヒンジ36よりも厚い。よって、上記実施形態のキーボードカバー1に設けられているプレート37のような部材が無い場合、キーボード2の外装面を形成する布29の縁を折り返す等の処理を行うことになる。また、キーボード2の一方の面を形成する表面カバー21と、他方の面を形成する表面カバー28および布29との間を狭くするような構造が採られない場合、シート状ヒンジ36を挟む部分である表面カバー21と表面カバー28との間に隙間が生じる。
【0023】
この点、上記実施形態のキーボードカバー1では、プレート37が設けられている。そして、プレート37には、シート状ヒンジ36の導線カバー35が接着される面37F6と、表面カバー28が接する面37F1との間を形成する部位37B1がある。また、プレート37には、布29が接する面37F3と面37F6との間を形成する部位37B2がある。また、プレート37には、キーボード2の側面となる面37F5を形成する部位37B3がある。面37F1と面37F3の間には、面37F1と面37F3に対して直角な面37F2がある。面37F2は、表面カバー28の厚さと同等の高低差の段差を面37F1と面37F3の間に形成する。また、面37F3の横には、部位37B3が形成する面37F4が立設されている。面37F4は、布29の厚さと同等の高さを有する。
【0024】
上記のように、プレート37は、キーボード2の側面となる面37F5を形成する部位37B3よりも薄い部位37B2が面37F3を形成し、部位37B2よりも薄い部位37B1が面37F1を形成しているため、面37F1と面37F3が階段状になっている。このため、面37F1に表面カバー28が貼着され、面37F3に布29が貼着されると、布29の端面が部位37B3に覆い隠される。したがって、上記実施形態のキーボードカバー1のようにプレート37が備わっていれば、キーボード2の外装面を形成する布29の端面が隠れるように、布29の縁を折り返す処理が不要である。また、プレート37は、キーボードカバー10に図示されるように、互いに組み合わさった状態の表面カバー21および表面カバー28の隙間に相当する厚さを有しているため、シート状ヒンジ36を挟んだ状態の表面カバー21と表面カバー28との間に隙間を生じさせることもない。そして、側壁21Bの一部を切り欠く切り欠き21Kによって表面カバー21から失われる構造的な強度の低下は、切り欠き21Kの部分に配置される剛性のプレート37によって補われる。したがって、キーボード2全体の強度は、側壁21Bが切り欠き21Kによって切り欠かれていない場合と同等である。
【0025】
図11は、サブアセンブリ3の取付状態を示した図である。上記実施形態のキーボードカバー1のようにプレート37が設けられていれば、図11に示されるように、布29の端面がプレート37で覆い隠される。よって、プレート37が備わっていない場合に露出することになる布29の縁の折り返し作業が行われなくても、キーボード2の縁の部分の
外観の審美性が保たれる。
【符号の説明】
【0026】
1・・キーボードカバー:2・・キーボード:3・・サブアセンブリ:21・・表面カバー(キーボード面):21B・・側壁:21K・・切り欠き:21T・・突起:22・・タッチパッドユニット:23・・クリックボタン制御プリント板:24・・キーボード制御プリント板:25・・クリックボタン:26・・キーボードユニット:27・・接続ケーブル:28・・表面カバー(底面):29・・布(加飾用)31・・コネクタ:32・・コネクタ固定カバー:33・・導線(フレキシブルケーブル):34,35・・導線カバー(布):36・・シート状ヒンジ:37・・プレート:37B1,37B2,37B3・・部位:37F1,37F2,37F3,37F4,37F5,37F6・・面:37H・・穴:38・・可着部
図1
図2
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図8
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図10
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