特許第6677903号(P6677903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677903
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】発光線状体
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   A62B35/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-98430(P2016-98430)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-205192(P2017-205192A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 章史
(72)【発明者】
【氏名】小村 淳
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−152429(JP,A)
【文献】 特開2015−204999(JP,A)
【文献】 特開2006−051007(JP,A)
【文献】 実開平03−022098(JP,U)
【文献】 実開平02−141466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
D07B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にフックを備え、素線またはストランドを複数本撚り合わせて形成された線状体であって、
前記素線またはストランドの少なくとも一つは、蛍光素材を含有して構成され、
前記フックに近づくにつれて前記蛍光素材の密度を大きくしたことを特徴とする発光線状体。
【請求項2】
前記蛍光素材を含有する素線又はストランドの撚り幅を、前記フックに近づくにつれて狭くすることで前記蛍光素材の密度を前記フックに近づくにつれて大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の発光線状体。
【請求項3】
前記蛍光素材の含有量を前記フックに近づくにつれて多くすることで前記蛍光素材の密度を前記フックに近づくにつれて大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の発光線状体。
【請求項4】
前記線状体は、作業者が着用する柱上安全帯に取り付ける柱上安全帯補助ロープであり、
一端部に、構造物に固定可能に形成された第1のフックを備え、
他端部に、前記柱上安全帯に固定可能に形成された第2のフックを備え、
前記第1のフックに近づくにつれて前記蛍光素材の密度を大きくしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発光線状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱上安全帯に取り付けられた補助ロープ等に利用され、受光した光を反射又は蓄光した光を放出する機能を備えた発光線状体に関する。
【背景技術】
【0002】
柱上安全帯補助ロープは、電柱等の構造物と作業者とを接続することで、作業者の高所からの落下を防止するものである。したがって、ロープが構造物に引っ掛かったり、ロープに縺れがあったりすると、作業者の落下時に適切に支えられないため危険である。
【0003】
しかしながら、夜間の作業における柱上安全帯補助ロープの視認性が悪く、作業者がロープの引っ掛かりや、縺れに気づきにくい問題がある。
このため、柱上安全帯補助ロープを装着している作業者だけでなく、地上から別の作業者によって取付状態を確認することが行われているが、視認性の悪さにより確認に時間を要する問題もある。
このような夜間作業におけるロープの視認性の問題は、柱上安全帯補助ロープに限られたものではない。
【0004】
そこで、従来、夜間作業におけるロープの視認性を改善するものとして、蛍光繊維を織り込んだものが提示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−200483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1を含む従来の蛍光素材を有するロープは、同文献の明細書の段落[0026]及び図3(A)、(B)に記載されているように、等間隔で蛍光素材が設けられているため、ロープの存在は把握できるものの、ロープ全体が均一に光るので、柱上安全帯補助ロープのフックがどこに固定されているか分かり辛く、またロープの縺れについても認識し難いという不都合がある。このため、作業者は、柱上安全帯補助ロープが適切な状態にあるかを確認し難いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、夜間においても確実にロープの取付状態を視認することが可能な発光線状体を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る発光線状体は、端部にフックを備え、素線またはストランドを複数本撚り合わせて形成された線状体であって、前記素線またはストランドの少なくとも一つは、蛍光素材を含有して構成され、前記フックに近づくにつれて前記蛍光素材の密度を大きくしたことを特徴としている。
【0009】
したがって、素線またはストランドの少なくとも1つは、蛍光素材で構成され、この蛍光素材は、フックに近づくにつれて密度が大きくなるので、夜間においてフック側がより明るく発光することになる。
このため、補助ロープの端部のフックがどこに固定されているかを容易に把握することができ、また、補助ロープの縺れについても容易に認識することができる。
【0010】
また、蛍光素材を含有する素線又はストランドの撚り幅を、フックに近づくにつれて狭くすることで蛍光素材の密度をフックに近づくにつれて大きくするようにしてもよいし、蛍光素材の含有量をフックに近づくにつれて多くすることで蛍光素材の密度をフックに近づくにつれて大きくするようにしてもよい。
【0011】
線状体は、作業者が着用する柱上安全帯に取り付ける柱上安全帯補助ロープであり、一端部に、構造物に固定可能に形成された第1のフックを備え、他端部に、柱上安全帯に固定可能に形成された第2のフックを備え、前記第1のフックに近づくにつれて前記蛍光素材の密度を大きくするようにしてもよい。
第1のフック側がより明るく発光することにより、柱上安全帯補助ロープの取付状態を容易に且つ、確実に確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明に係る発光線状体によれば、蛍光素材がフックに近づくにつれて密度を大きくされていることにより、夜間においてフック側がより明るく発光することになるため、夜間作業時の視認性が上がり、発光線状体の引っ掛かり、縺れに気づきやすくなる。また、作業責任者等の地上作業者からも柱上安全帯補助ロープの取付状態を確認することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1に係る本発明の発光線状体を柱上安全帯に取り付けた状態を示す全体図である。
図2図2は、実施例1に係る本発明の発光線状体を示す全体図である。
図3図3は、第1のフックを構造物に取り付けた状態を示す斜視図である。
図4図4は、発光線状体を複数の素線を撚って構成した状態を示す図である。
図5図5は、実施例2に係る本発明の発光線状体を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下、本発明に係る発光線状体1について、柱上安全帯補助ロープに使用した例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1において示すように、柱上安全帯2は、柱上安全帯補助ロープ1を接続するDリング20を備え、一端にバックルのオス側21が、他端にバックルのメス側22が設けられている。従って、バックルのオス側21をメス側22に差し込むことにより作業者の胴部に固定可能になっている。
【0016】
このような柱上安全帯2に接続される柱上安全帯補助ロープ1は、図2及び3において示すように、素線を撚り合わせて形成されたロープ本体3の一端部に、電柱の腕金等の構造物4に固定可能に形成された第1のフック4aを備え、他端部に、柱上安全帯2のDリング20に固定可能に形成された第2のフック4bを備えて構成されている。
【0017】
第1のフック4aは、板状に形成された本体部40aの先端側に形成された鉤部41aと、基端側に形成されたロープ取付孔42aとを有して構成されている。
鉤部41aは、構造物4やロープ本体3を挟持する一対の挟持片43a,44aにより構成されるもので、連続した2回以上の操作を行わなければ挟持状態を解除することができない外れ防止機構45aが設けられている。
【0018】
U字状に形成された一方の挟持片43aと、U字の開口部位を閉じるように形成された他方の挟持片44aと、は、互いに離接可能に本体部40aに固定されている。
ロープ取付孔42aは、ロープ本体3の径よりも大きく形成されたもので、ロープ本体3の摩耗を防止するためにシンブル(図示せず)が設けられている。
【0019】
第2のフック4bは、板状に形成された本体部40bの先端側に形成された鉤部41bと、基端側に形成されたロープ取付部42bとを有して構成されている。
鉤部41bは、U字の板状に形成されたプレート部43bと、U字の開口部位を閉じるように形成されたロック部44bとから構成されている。
このロック部44bは、連続した2回以上の操作を行わなければU字の開口部を閉じた状態を解除することができない外れ防止機構45bを備えている。
【0020】
ロープ取付部42bは、ロープ本体3の径よりも大きく形成されたもので、よじれ防止のためにロープ本体3の軸方向に対して回転自在に形成され、ロープ本体3の摩耗を防止するためにシンブル(図示せず)が設けられている。
【0021】
ロープ本体3は、図4に示すように、例えば、3本の素線31を使用して撚り合わされて形成された3つのストランド32a,32b,32cを三つ打ち、Z撚りにして、径を10m/mにして形成したものである。
【0022】
ロープ本体3を構成する3つのストランド32a,32b,32cうち、の1つのストランド32cは、蛍光素材30で構成された3つの素線31によって構成されている。
また、第1のフック4a及び第2のフック4bには、先端を折り返し、サツマ編み込みを3回行うことで取り付けられている(図示せず)。
【0023】
蛍光素材30は、蓄光性繊維、再帰反射繊維によって構成されるもので、図1にも示されるように、第1のフック4aに近づくにつれて密度が大きくなるように設けられている。
具体的には、蛍光素材30で構成されたストランドを、第1のフック4aに近づくにつれて撚り幅が狭くなるように織ることで、蛍光素材30の密度を第1のフック4aに近づくにつれて徐々に高めるようにしている。
【0024】
蓄光性繊維は、例えば、ZnS,CaS,Alなどを主成分とする蓄光性化合物を公知の方法で練り込んだ合成高分子化合物のチップから溶融紡糸して得た糸等から成る繊維である。
【0025】
再帰反射繊維は、ポリエステルシート等の基板にアルミニウムを反射面として蒸着し、その上にガラスの微小球を敷きつめ、更に透明層を設けてガラスの微小球を封じ込めて製造した再帰反射シートを、各再帰反射面が夫々表裏となるように2枚張り合わせた後裁断することによって得た糸等からなる繊維である。
【0026】
以上で説明した柱上安全帯補助ロープ1を使用する場合には、図3に示すように、第1のフック4aを電柱の腕金等の構造物4に固定すると共に、第2のフック4bを作業者が着用する柱上安全帯2のDリング20に取り付ける。
【0027】
したがって、本発明の発光線状体1によれば、蛍光素材30の密度が第1のフック4aに近づくにつれて大きくされていることにより、夜間において第1のフック4a側がより明るく発光又は反射することになるため、夜間作業時の視認性が上がり、柱上安全帯補助ロープ1の引っ掛かり、縺れに気づきやすくなる。また、作業責任者等の地上作業者からも柱上安全帯補助ロープ1の取付状態を確認することが容易となる。
【0028】
なお、本実施例では、柱上安全帯補助ロープについて使用した例を説明したが、これには限定されず、種々の夜間作業に用いられるフックを端部に有する線状体に用いることができる。
【0029】
また、本実施例では、3つのストランド32a,32b,32cのうちの1つのストランド32cを構成する素線31の全てを蛍光繊維30にしてロープ本体3を構成したが、ロープ本体3を構成する編み方、撚り方に限定はなく、例えば、2以上のストランドを蛍光繊維30にして構成することや、1つのストランドを構成する素線31の一部のみを蛍光繊維30にして構成することも可能である。
【実施例2】
【0030】
上述の実施例においては、蛍光素材30を含有する素線31又はストランドの撚り幅を第1のフック4aに近づくにつれて蛍光素材30の密度を大きくする態様として例を示したが、図5において示されるように、第1のフック4aに近づくほど蛍光素材の含有量を多くするように形成してもよい。
【0031】
即ち、ロープ本体3を構成するストランドは、蛍光素材30が混入して構成されており、第1のフック4aに近づくにつれて蛍光素材30の混入量が多くなるように形成されている。
【0032】
この例においては、全てのストランド32a,32b,32cに対して蛍光素材30を混入した例を示しているが、一部のストランド又は、ストランドを構成する一部の素線31に対して蛍光素材30を混入し、第1のフック4aに近づくにつれて蛍光素材30の混入量を多くするようにしてもよい。
【0033】
なお、実施例1と同じ構成については、同一箇所に同一符号を付すことにより説明を省略する。
このような構成においても、前記構成例と同じように、夜間において第1のフック4a側がより明るく発光又は反射することになるため、夜間作業時の視認性が上がり、柱上安全帯補助ロープ1の引っ掛かり、縺れに気づきやすくなる。また、作業責任者等の地上作業者からも柱上安全帯補助ロープ1の取付状態を確認することが容易となる。
【符号の説明】
【0034】
1 発光線状体(柱上安全帯補助ロープ)
2 ロープ本体
20 蛍光素材
4a 第1のフック
4b 第2のフック
4 構造物
5 柱上安全帯
図1
図2
図3
図4
図5