【実施例1】
【0014】
以下、本発明に係る発光線状体1について、柱上安全帯補助ロープに使用した例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1において示すように、柱上安全帯2は、柱上安全帯補助ロープ1を接続するDリング20を備え、一端にバックルのオス側21が、他端にバックルのメス側22が設けられている。従って、バックルのオス側21をメス側22に差し込むことにより作業者の胴部に固定可能になっている。
【0016】
このような柱上安全帯2に接続される柱上安全帯補助ロープ1は、
図2及び3において示すように、素線を撚り合わせて形成されたロープ本体3の一端部に、電柱の腕金等の構造物4に固定可能に形成された第1のフック4aを備え、他端部に、柱上安全帯2のDリング20に固定可能に形成された第2のフック4bを備えて構成されている。
【0017】
第1のフック4aは、板状に形成された本体部40aの先端側に形成された鉤部41aと、基端側に形成されたロープ取付孔42aとを有して構成されている。
鉤部41aは、構造物4やロープ本体3を挟持する一対の挟持片43a,44aにより構成されるもので、連続した2回以上の操作を行わなければ挟持状態を解除することができない外れ防止機構45aが設けられている。
【0018】
U字状に形成された一方の挟持片43aと、U字の開口部位を閉じるように形成された他方の挟持片44aと、は、互いに離接可能に本体部40aに固定されている。
ロープ取付孔42aは、ロープ本体3の径よりも大きく形成されたもので、ロープ本体3の摩耗を防止するためにシンブル(図示せず)が設けられている。
【0019】
第2のフック4bは、板状に形成された本体部40bの先端側に形成された鉤部41bと、基端側に形成されたロープ取付部42bとを有して構成されている。
鉤部41bは、U字の板状に形成されたプレート部43bと、U字の開口部位を閉じるように形成されたロック部44bとから構成されている。
このロック部44bは、連続した2回以上の操作を行わなければU字の開口部を閉じた状態を解除することができない外れ防止機構45bを備えている。
【0020】
ロープ取付部42bは、ロープ本体3の径よりも大きく形成されたもので、よじれ防止のためにロープ本体3の軸方向に対して回転自在に形成され、ロープ本体3の摩耗を防止するためにシンブル(図示せず)が設けられている。
【0021】
ロープ本体3は、
図4に示すように、例えば、3本の素線31を使用して撚り合わされて形成された3つのストランド32a,32b,32cを三つ打ち、Z撚りにして、径を10m/mにして形成したものである。
【0022】
ロープ本体3を構成する3つのストランド32a,32b,32cうち、の1つのストランド32cは、蛍光素材30で構成された3つの素線31によって構成されている。
また、第1のフック4a及び第2のフック4bには、先端を折り返し、サツマ編み込みを3回行うことで取り付けられている(図示せず)。
【0023】
蛍光素材30は、蓄光性繊維、再帰反射繊維によって構成されるもので、
図1にも示されるように、第1のフック4aに近づくにつれて密度が大きくなるように設けられている。
具体的には、蛍光素材30で構成されたストランドを、第1のフック4aに近づくにつれて撚り幅が狭くなるように織ることで、蛍光素材30の密度を第1のフック4aに近づくにつれて徐々に高めるようにしている。
【0024】
蓄光性繊維は、例えば、ZnS,CaS,Al
2O
3などを主成分とする蓄光性化合物を公知の方法で練り込んだ合成高分子化合物のチップから溶融紡糸して得た糸等から成る繊維である。
【0025】
再帰反射繊維は、ポリエステルシート等の基板にアルミニウムを反射面として蒸着し、その上にガラスの微小球を敷きつめ、更に透明層を設けてガラスの微小球を封じ込めて製造した再帰反射シートを、各再帰反射面が夫々表裏となるように2枚張り合わせた後裁断することによって得た糸等からなる繊維である。
【0026】
以上で説明した柱上安全帯補助ロープ1を使用する場合には、
図3に示すように、第1のフック4aを電柱の腕金等の構造物4に固定すると共に、第2のフック4bを作業者が着用する柱上安全帯2のDリング20に取り付ける。
【0027】
したがって、本発明の発光線状体1によれば、蛍光素材30の密度が第1のフック4aに近づくにつれて大きくされていることにより、夜間において第1のフック4a側がより明るく発光又は反射することになるため、夜間作業時の視認性が上がり、柱上安全帯補助ロープ1の引っ掛かり、縺れに気づきやすくなる。また、作業責任者等の地上作業者からも柱上安全帯補助ロープ1の取付状態を確認することが容易となる。
【0028】
なお、本実施例では、柱上安全帯補助ロープについて使用した例を説明したが、これには限定されず、種々の夜間作業に用いられるフックを端部に有する線状体に用いることができる。
【0029】
また、本実施例では、3つのストランド32a,32b,32cのうちの1つのストランド32cを構成する素線31の全てを蛍光繊維30にしてロープ本体3を構成したが、ロープ本体3を構成する編み方、撚り方に限定はなく、例えば、2以上のストランドを蛍光繊維30にして構成することや、1つのストランドを構成する素線31の一部のみを蛍光繊維30にして構成することも可能である。
【実施例2】
【0030】
上述の実施例においては、蛍光素材30を含有する素線31又はストランドの撚り幅を第1のフック4aに近づくにつれて蛍光素材30の密度を大きくする態様として例を示したが、
図5において示されるように、第1のフック4aに近づくほど蛍光素材の含有量を多くするように形成してもよい。
【0031】
即ち、ロープ本体3を構成するストランドは、蛍光素材30が混入して構成されており、第1のフック4aに近づくにつれて蛍光素材30の混入量が多くなるように形成されている。
【0032】
この例においては、全てのストランド32a,32b,32cに対して蛍光素材30を混入した例を示しているが、一部のストランド又は、ストランドを構成する一部の素線31に対して蛍光素材30を混入し、第1のフック4aに近づくにつれて蛍光素材30の混入量を多くするようにしてもよい。
【0033】
なお、実施例1と同じ構成については、同一箇所に同一符号を付すことにより説明を省略する。
このような構成においても、前記構成例と同じように、夜間において第1のフック4a側がより明るく発光又は反射することになるため、夜間作業時の視認性が上がり、柱上安全帯補助ロープ1の引っ掛かり、縺れに気づきやすくなる。また、作業責任者等の地上作業者からも柱上安全帯補助ロープ1の取付状態を確認することが容易となる。