【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のLED照明装置は、
LED素子を含む灯具と、
前記灯具を覆う中空状のカバー部とを有し、
前記カバー部は、
当該カバー部の側面上において、当該カバー部の中心軸を囲むように周方向に延伸して設けられた溝部を有し、
前記灯具から発せられる光の少なくとも一部を透過し、外力が与えられると変形可能な材料で構成されており、
前記溝部の延伸方向に沿った線を基準として折り返し可能に構成されていることを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、利用者がカバー部を溝部に沿って折り返すことで、利用者の要求に応じて照明装置の形状を変化させることができる。このカバー部は、灯具から発せされる光の少なくとも一部を透過する構成であるため、カバー部の形状を変化させることで、カバー部を透過する光の向きや光量が代わり、照明の態様を変化させることができる。また、カバー部の折り返しを行った場合と折り返しがない場合とで、灯具からカバー部を透過せずに直接照射される光の発散角度を変えることができる。つまり、この構成によれば、一台の照明装置によって、装置自体の形状や照明の態様に関して高い自由度を持たせることができる。
【0007】
カバー部は、外力が与えられると変形可能な材料で構成されており、例えば、シリコン樹脂の他、天然ゴム、合成天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴムといったゴム素材などを用いることができる。なお、ここでいう「変形可能」とは、ある程度の弾性を有した状態で変形可能なことを意味するものとして構わない。つまり、カバー部は、溝部によって構成される線を基準として折り返された場合には、この折り返し後の形状で固定されるが、他の箇所で折り曲げられても、再び元の形状に自然と復帰する性質を有するものとしても構わない。
【0008】
カバー部は、中心軸方向に関して対向する2つの開口面を有するものとして構わない。この場合において、灯具から発せられる照明光のうち、一部の光はカバー部に入射されずに直接開口面を介して対象物に照射され、別の一部の光は、カバー部の側面を透過して対象物に照射されるものとすることができる。この場合、カバー部の折り返しを解除した状態と、折り返された状態とによって、対象物の照明の態様を変化させることができる。
【0009】
前記カバー部の折り返しを解除した状態において、前記溝部は、前記カバー部の側面のうち、外側に位置する面にのみ設けられているものとしても構わない。
【0010】
仮に、溝部がカバー部の内側の面に形成されている場合、カバー部の折り返しを解除した状態において、灯具から光を発すると、溝部のエッジ部が影となってカバー部に現れてしまう。この影の存在によって、利用者が求める照明態様が実現できない可能性も考えられる。上記の構成によれば、溝部がカバー部の外側の面に形成されているため、発光時にカバー部に溝部の影が全く又はほとんど現れることがない。これにより、灯具から発せられた光を対象物を照明させるために有効に利用することができる。
【0011】
前記溝部は、当該溝部が延伸する方向に沿って見たときにR形状を有して構成されているものとしても構わない。
【0012】
溝部を前記方向に沿って見たときにV形状を示す場合、カバー部の折り返しを繰り返すことで、折り返し線となる箇所の近傍に高い負荷がかかり、摩耗して場合によっては破断するおそれがある。上記のようにR形状を有する溝部としたことで、折り返し時に生じる応力が溝部の周辺に分散され、耐久性が向上する。
【0013】
特に、R形状を有する溝部をカバー部の外側の側面に設けることで、カバー部を外側に向けて折り返した際、内側に位置するカバー部にはR形状が現れる反面、露出されている側に位置するカバー部にはフラットな面が形成される。これにより、高い意匠性が実現される。
【0014】
前記溝部は、前記カバー部の側面上において、前記カバー部の中心軸方向に離間された複数の箇所に設けられており、
それぞれの前記溝部が、相互に離間した状態で前記カバー部の中心軸を囲むように周方向に延伸しているものとしても構わない。
【0015】
カバー部が複数の溝部を設けることで、カバー部の折り返し態様が種々可能となる。これにより、装置自体の形状や照明の態様に関して、更に高い自由度を持たせることができる。また、複数の溝部を離間して配置したことで、カバー部を折り返す際の位置決めを容易化できる。
【0016】
前記カバー部は、当該カバー部の中心軸方向に関して前記灯具から最も離れた位置に設けられた前記溝部の延伸方向に沿った線を基準として折り返されると、折り返されることで外側に露出された側面によって全ての前記溝部が覆われるものとしても構わない。
【0017】
特に、溝部がカバー部の外側の面にのみ設けられている場合、カバー部の折り返しが解除されている状態において、目視によりカバー部の外側の面に溝部が確認される。上記の構成の下で、カバー部を中心軸方向に関して灯具から最も離れた位置に設けられた溝部を基準として折り返すことで、溝部を完全に隠しながら、照明態様を変化させることができる。
【0018】
前記カバー部は、当該カバー部の折り返しを解除した状態において、
前記中心軸方向に変位しても内径が実質的に同一な中空部を有する第一領域と、
前記第一領域と連結し、前記中心軸方向に関して前記第一領域から最も遠い位置における内径が、前記第一領域の内径よりも大きい中空部を有する第二領域とを有し
前記灯具は、前記LED素子を含むLEDモジュールで構成され、前記カバー部の前記第一領域に位置する中空部内に固定的に収容されているものとしても構わない。
【0019】
上記構成によれば、LEDモジュールで構成された灯具が固定的に収容されるため、発光箇所が安定化する。また、第一領域に位置する中空部に収容されたLEDモジュールから、当該LEDモジュールを覆うカバー部に向けて発せられた光は、このカバー部を透過して外部へと放射される。このとき、カバー部の第一領域が柔らかい照明光源として実現される。
【0020】
上記LED照明装置は、第一開口面と、前記第一開口面に対向し前記第一開口面よりも内径の大きい第二開口面とを含む中空状のシェード部を有し、
前記カバー部は、前記第二領域において、前記中心軸方向に関して前記第一領域から離れるに連れて中空部の内径が大きくなるように構成されており、
前記シェード部は、
前記灯具から発せられる光の少なくとも一部を反射する材料で構成されており、
前記第一開口面の内径が、前記第一領域に位置する前記カバー部の外径よりも大きく、前記第二領域に位置する前記カバー部の最も大きい外径よりは小さく、
前記第二開口面の内径が、前記第二領域に位置する前記カバー部の最も大きい外径より大きい構成であり、
前記シェード部の内側面が前記カバー部の前記第二領域内の外側面と接触し、前記シェード部と前記カバー部が一体的に保持されているものとしても構わない。
【0021】
上記構成によれば、灯具から発せられた光のうち、一部の光はカバー部及びシェード部に入射されることなく照明光として照射され、別の一部の光はカバー部を透過して照明光として照射され、更に別の一部の光はカバー部を透過した後にシェード部で反射されて照明光として照射される。つまり、一部の光を間接照明として用いることができる。そして、上述したように、カバー部は溝部の箇所において折り返し可能な構成である。よって、この構成によれば、シェード部を更に設けたことで、カバー部の折り返しの有無や折り返し位置等と相まって、装置自体の形状や照明の態様に関して更に高い自由度を持たせることができる。
【0022】
前記シェード部の前記第一開口面と前記第二開口面との間の対向する離間距離は、前記カバー部の中心軸方向に関する両端間距離よりも短いものとしても構わない。このとき、カバー部を、相対的にシェード部の第二開口面から第一開口面に向かう方向に挿通させると、外側から見て、カバー部の軸方向に関してシェード部よりもカバー部の一部が突出する態様で安定する。これにより、カバー部を透過した光が横方向へ広がりやすくなり、異なる配光が実現される。また、カバー部がシェード部よりも突出した位置にあることにより、変形を行う際にシェード部を外す作業を行わずにカバー部に触れることができるため、カバー部の折り返し操作を容易に行うことができる。
【0023】
前記カバー部の折り返しを解除した状態において、前記カバー部を、相対的に前記シェード部の前記第二開口面から前記第一開口面に向かう方向に挿通させると、前記シェード部の内側面が前記カバー部の前記第二領域内の外側面と安定的に接触する状態下において、前記シェード部の外側面によって前記カバー部に設けられた全ての前記溝部が覆われるものとしても構わない。
【0024】
上記構成によれば、シェード部によってカバー部の外側に設けられた全ての溝部が覆われるため、意匠性が向上する。