特許第6677904号(P6677904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677904
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 14/00 20180101AFI20200330BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20200330BHJP
   F21V 1/14 20060101ALI20200330BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200330BHJP
【FI】
   F21V14/00
   F21S8/06
   F21V1/14 117
   F21Y115:10
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-101782(P2016-101782)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-208300(P2017-208300A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年3月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年11月25日、2015マックスレイ新製品展示会にて展示
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 豊
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第203190305(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第104235747(CN,A)
【文献】 特開2009−295368(JP,A)
【文献】 特開2003−346523(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/138845(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 14/00
F21S 8/06
F21V 1/14
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子を含む灯具と、
前記灯具を覆う中空状のカバー部とを有し、
前記カバー部は、
当該カバー部の側面上において、当該カバー部の中心軸を囲むように周方向に延伸して設けられた溝部を有し、
前記灯具から発せられる光の少なくとも一部を透過し、外力が与えられると変形可能な材料で構成されており、
前記溝部の延伸方向に沿った線を基準として折り返し可能に構成されており、
前記カバー部は、当該カバー部の折り返しを解除した状態において、
前記中心軸方向に変位しても内径が実質的に同一な中空部を有する第一領域と、
前記第一領域と連結し、前記中心軸方向に関して前記第一領域から最も遠い位置における内径が、前記第一領域の内径よりも大きい中空部を有する第二領域とを有し、
前記灯具は、前記LED素子を含むLEDモジュール又はLED電球で構成され、前記カバー部の前記第一領域に位置する中空部内に固定的に収容されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記カバー部の折り返しを解除した状態において、前記溝部は、前記カバー部の側面のうち、外側に位置する面にのみ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記溝部は、当該溝部が延伸する方向に沿って見たときにR形状を有して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記溝部は、前記カバー部の側面上において、前記カバー部の中心軸方向に離間された複数の箇所に設けられており、
それぞれの前記溝部が、相互に離間した状態で前記カバー部の中心軸を囲むように周方向に延伸していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記カバー部は、当該カバー部の中心軸方向に関して前記灯具から最も離れた位置に設けられた前記溝部の延伸方向に沿った線を基準として折り返されると、折り返されることで外側に露出された側面によって全ての前記溝部が覆われることを特徴とする請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項6】
第一開口面と、前記第一開口面に対向し前記第一開口面よりも内径の大きい第二開口面とを含む中空状のシェード部を有し、
前記カバー部は、前記第二領域において、前記中心軸方向に関して前記第一領域から離れるに連れて中空部の内径が大きくなるように構成されており、
前記シェード部は、
前記灯具から発せられる光の少なくとも一部を反射する材料で構成されており、
前記第一開口面の内径が、前記第一領域に位置する前記カバー部の外径よりも大きく、前記第二領域に位置する前記カバー部の最も大きい外径よりは小さく、
前記第二開口面の内径が、前記第二領域に位置する前記カバー部の最も大きい外径より大きい構成であり、
前記シェード部の内側面が前記カバー部の前記第二領域内の外側面と接触し、前記シェード部と前記カバー部が一体的に保持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記シェード部の前記第一開口面と前記第二開口面との間の対向する離間距離は、前記カバー部の中心軸方向に関する両端間距離よりも短いことを特徴とする請求項に記載のLED照明装置。
【請求項8】
前記カバー部の折り返しを解除した状態において、前記カバー部を、相対的に前記シェード部の前記第二開口面から前記第一開口面に向かう方向に挿通させると、前記シェード部の内側面が前記カバー部の前記第二領域内の外側面と安定的に接触する状態下において、前記シェード部の外側面によって前記カバー部に設けられた全ての前記溝部が覆われることを特徴とする請求項6又は7に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の蛍光ランプに代わり、光源としてLEDを用いた照明装置が開発され、流通するようになってきている。例えば、下記特許文献1には、天井に吊り下げて使用される、いわゆるペンダント型のLED照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−216209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、利用者の使用用途に応じて、照明の程度や照明装置自体の形状を利用者側で変化させることのできる、新規なLED照明装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のLED照明装置は、
LED素子を含む灯具と、
前記灯具を覆う中空状のカバー部とを有し、
前記カバー部は、
当該カバー部の側面上において、当該カバー部の中心軸を囲むように周方向に延伸して設けられた溝部を有し、
前記灯具から発せられる光の少なくとも一部を透過し、外力が与えられると変形可能な材料で構成されており、
前記溝部の延伸方向に沿った線を基準として折り返し可能に構成されていることを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、利用者がカバー部を溝部に沿って折り返すことで、利用者の要求に応じて照明装置の形状を変化させることができる。このカバー部は、灯具から発せされる光の少なくとも一部を透過する構成であるため、カバー部の形状を変化させることで、カバー部を透過する光の向きや光量が代わり、照明の態様を変化させることができる。また、カバー部の折り返しを行った場合と折り返しがない場合とで、灯具からカバー部を透過せずに直接照射される光の発散角度を変えることができる。つまり、この構成によれば、一台の照明装置によって、装置自体の形状や照明の態様に関して高い自由度を持たせることができる。
【0007】
カバー部は、外力が与えられると変形可能な材料で構成されており、例えば、シリコン樹脂の他、天然ゴム、合成天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴムといったゴム素材などを用いることができる。なお、ここでいう「変形可能」とは、ある程度の弾性を有した状態で変形可能なことを意味するものとして構わない。つまり、カバー部は、溝部によって構成される線を基準として折り返された場合には、この折り返し後の形状で固定されるが、他の箇所で折り曲げられても、再び元の形状に自然と復帰する性質を有するものとしても構わない。
【0008】
カバー部は、中心軸方向に関して対向する2つの開口面を有するものとして構わない。この場合において、灯具から発せられる照明光のうち、一部の光はカバー部に入射されずに直接開口面を介して対象物に照射され、別の一部の光は、カバー部の側面を透過して対象物に照射されるものとすることができる。この場合、カバー部の折り返しを解除した状態と、折り返された状態とによって、対象物の照明の態様を変化させることができる。
【0009】
前記カバー部の折り返しを解除した状態において、前記溝部は、前記カバー部の側面のうち、外側に位置する面にのみ設けられているものとしても構わない。
【0010】
仮に、溝部がカバー部の内側の面に形成されている場合、カバー部の折り返しを解除した状態において、灯具から光を発すると、溝部のエッジ部が影となってカバー部に現れてしまう。この影の存在によって、利用者が求める照明態様が実現できない可能性も考えられる。上記の構成によれば、溝部がカバー部の外側の面に形成されているため、発光時にカバー部に溝部の影が全く又はほとんど現れることがない。これにより、灯具から発せられた光を対象物を照明させるために有効に利用することができる。
【0011】
前記溝部は、当該溝部が延伸する方向に沿って見たときにR形状を有して構成されているものとしても構わない。
【0012】
溝部を前記方向に沿って見たときにV形状を示す場合、カバー部の折り返しを繰り返すことで、折り返し線となる箇所の近傍に高い負荷がかかり、摩耗して場合によっては破断するおそれがある。上記のようにR形状を有する溝部としたことで、折り返し時に生じる応力が溝部の周辺に分散され、耐久性が向上する。
【0013】
特に、R形状を有する溝部をカバー部の外側の側面に設けることで、カバー部を外側に向けて折り返した際、内側に位置するカバー部にはR形状が現れる反面、露出されている側に位置するカバー部にはフラットな面が形成される。これにより、高い意匠性が実現される。
【0014】
前記溝部は、前記カバー部の側面上において、前記カバー部の中心軸方向に離間された複数の箇所に設けられており、
それぞれの前記溝部が、相互に離間した状態で前記カバー部の中心軸を囲むように周方向に延伸しているものとしても構わない。
【0015】
カバー部が複数の溝部を設けることで、カバー部の折り返し態様が種々可能となる。これにより、装置自体の形状や照明の態様に関して、更に高い自由度を持たせることができる。また、複数の溝部を離間して配置したことで、カバー部を折り返す際の位置決めを容易化できる。
【0016】
前記カバー部は、当該カバー部の中心軸方向に関して前記灯具から最も離れた位置に設けられた前記溝部の延伸方向に沿った線を基準として折り返されると、折り返されることで外側に露出された側面によって全ての前記溝部が覆われるものとしても構わない。
【0017】
特に、溝部がカバー部の外側の面にのみ設けられている場合、カバー部の折り返しが解除されている状態において、目視によりカバー部の外側の面に溝部が確認される。上記の構成の下で、カバー部を中心軸方向に関して灯具から最も離れた位置に設けられた溝部を基準として折り返すことで、溝部を完全に隠しながら、照明態様を変化させることができる。
【0018】
前記カバー部は、当該カバー部の折り返しを解除した状態において、
前記中心軸方向に変位しても内径が実質的に同一な中空部を有する第一領域と、
前記第一領域と連結し、前記中心軸方向に関して前記第一領域から最も遠い位置における内径が、前記第一領域の内径よりも大きい中空部を有する第二領域とを有し
前記灯具は、前記LED素子を含むLEDモジュールで構成され、前記カバー部の前記第一領域に位置する中空部内に固定的に収容されているものとしても構わない。
【0019】
上記構成によれば、LEDモジュールで構成された灯具が固定的に収容されるため、発光箇所が安定化する。また、第一領域に位置する中空部に収容されたLEDモジュールから、当該LEDモジュールを覆うカバー部に向けて発せられた光は、このカバー部を透過して外部へと放射される。このとき、カバー部の第一領域が柔らかい照明光源として実現される。
【0020】
上記LED照明装置は、第一開口面と、前記第一開口面に対向し前記第一開口面よりも内径の大きい第二開口面とを含む中空状のシェード部を有し、
前記カバー部は、前記第二領域において、前記中心軸方向に関して前記第一領域から離れるに連れて中空部の内径が大きくなるように構成されており、
前記シェード部は、
前記灯具から発せられる光の少なくとも一部を反射する材料で構成されており、
前記第一開口面の内径が、前記第一領域に位置する前記カバー部の外径よりも大きく、前記第二領域に位置する前記カバー部の最も大きい外径よりは小さく、
前記第二開口面の内径が、前記第二領域に位置する前記カバー部の最も大きい外径より大きい構成であり、
前記シェード部の内側面が前記カバー部の前記第二領域内の外側面と接触し、前記シェード部と前記カバー部が一体的に保持されているものとしても構わない。
【0021】
上記構成によれば、灯具から発せられた光のうち、一部の光はカバー部及びシェード部に入射されることなく照明光として照射され、別の一部の光はカバー部を透過して照明光として照射され、更に別の一部の光はカバー部を透過した後にシェード部で反射されて照明光として照射される。つまり、一部の光を間接照明として用いることができる。そして、上述したように、カバー部は溝部の箇所において折り返し可能な構成である。よって、この構成によれば、シェード部を更に設けたことで、カバー部の折り返しの有無や折り返し位置等と相まって、装置自体の形状や照明の態様に関して更に高い自由度を持たせることができる。
【0022】
前記シェード部の前記第一開口面と前記第二開口面との間の対向する離間距離は、前記カバー部の中心軸方向に関する両端間距離よりも短いものとしても構わない。このとき、カバー部を、相対的にシェード部の第二開口面から第一開口面に向かう方向に挿通させると、外側から見て、カバー部の軸方向に関してシェード部よりもカバー部の一部が突出する態様で安定する。これにより、カバー部を透過した光が横方向へ広がりやすくなり、異なる配光が実現される。また、カバー部がシェード部よりも突出した位置にあることにより、変形を行う際にシェード部を外す作業を行わずにカバー部に触れることができるため、カバー部の折り返し操作を容易に行うことができる。
【0023】
前記カバー部の折り返しを解除した状態において、前記カバー部を、相対的に前記シェード部の前記第二開口面から前記第一開口面に向かう方向に挿通させると、前記シェード部の内側面が前記カバー部の前記第二領域内の外側面と安定的に接触する状態下において、前記シェード部の外側面によって前記カバー部に設けられた全ての前記溝部が覆われるものとしても構わない。
【0024】
上記構成によれば、シェード部によってカバー部の外側に設けられた全ての溝部が覆われるため、意匠性が向上する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、照明の程度や照明装置自体の形状を利用者側で変化させることのできる、LED照明装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】第一実施形態のLED照明装置の模式的な斜視図である。
図1B】第一実施形態のLED照明装置の模式的な平面図である。
図1C】第一実施形態のLED照明装置の模式的な正面図である。
図1D】第一実施形態のLED照明装置の模式的な正面図である。
図2】第一実施形態のLED照明装置の一部拡大図である。
図3A】第一実施形態のLED照明装置のカバー部を折り返したときの模式的な正面図の一例である。
図3B】第一実施形態のLED照明装置のカバー部を折り返したときの模式的な正面図の一例である。
図3C】第一実施形態のLED照明装置のカバー部を折り返したときの模式的な正面図の一例である。
図3D】第一実施形態のLED照明装置のカバー部を折り返したときの模式的な正面図の一例である。
図4図1Cに示すLED照明装置の態様と、図3Bに示すLED照明装置の態様とを比較した図面である
図5】溝部をカバー部の内側に設けた場合と外側に設けた場合の光り方の違いを説明するための模式図である。
図6A】第二実施形態のLED照明装置の模式的な斜視図である。
図6B】第二実施形態のLED照明装置の模式的な正面図である。
図7】第二実施形態のLED照明装置のカバー部を折り返したときの模式的な正面図の一例である。
図8A】第二実施形態のLED照明装置の別の模式的な斜視図である。
図8B】第二実施形態のLED照明装置の別の模式的な正面図である。
図9】第二実施形態のLED照明装置のカバー部を折り返したときの模式的な正面図の別の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のLED照明装置の構成につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の各図において、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
【0028】
[第一実施形態]
LED照明装置の第一実施形態の構成につき、説明する。
【0029】
図1A図1Dは、第一実施形態のLED照明装置1の模式的な外観図である。図1AはLED照明装置1の斜視図に対応し、図1BはLED照明装置1を底面から見た時の平面図に対応する。図1CはLED照明装置1の模式的な正面図に対応する。図1Dは、図1Cに示す正面図に加えて、隠れている要素の一部を破線で示した図面である。
【0030】
LED照明装置1は、灯具10と、この灯具10を覆うように配置された中空状のカバー部20とを有する。図1Dに模式的に示すように、灯具10はカバー部20の内側に配置されている。本実施形態では、灯具10はLED素子を含むLEDモジュールで構成されている。
【0031】
カバー部20は、灯具10から発せられる光の少なくとも一部を透過することのできる材料で構成されている。更に、カバー部20は、外力が与えられることで変形可能な、弾性力を有する材料で構成されている。一例として、カバー部20は、シリコン樹脂の他、天然ゴム、合成天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴムといったゴム素材などで構成される。
【0032】
図1A図1Dに示すように、カバー部20は、カバー部20の中心軸22を囲むように周方向23に延伸して設けられた溝部21を有する。本実施形態では、カバー部20が、複数の溝部(21a,21b,21c,21d)を有する場合について説明する。なお、LED照明装置1は、カバー部20に形成された溝部21の数について限定されない。以下では、各溝部(21a,21b,21c,21d)を総称して「溝部21」と記載することがある。
【0033】
本実施形態におけるLED照明装置1は、カバー部20に設けられたそれぞれの溝部(21a,21b,21c,21d)が、カバー部20の中心軸22の方向に関して相互に離間して配置されている。つまり、それぞれの溝部(21a,21b,21c,21d)は、相互に離間した状態で周方向23に延伸している。
【0034】
本実施形態におけるLED照明装置1が備えるカバー部20は、第一領域25と第二領域26とを有している(図1C参照)。第一領域25は、中心軸22の方向に変位しても内径が実質的に同一な中空部を有する。第二領域26は、第一領域25と連結されており、第一領域25から離れるに連れて内径が大きくなるような中空部を有している。ただし、この形状はあくまで一例に過ぎない。例えば、第二領域26に設けられた中空部に関し、第一領域25から最も離れた位置の内径が、第一領域25に最も近い位置の内径よりも大きい構成であり、その間の位置において、第一領域25に近い側の内径が第一領域25から遠い側の内径よりも大きくなる部分を有していても構わない。
【0035】
本実施形態のLED照明装置1は、カバー部20の第一領域25側の中空部内に灯具10が収容されている。前述したように、灯具10はLEDモジュールで構成されているため、第一領域25内の中空部の内径を適宜設計することで、灯具10を第一領域25内において安定的に保持することが可能である。
【0036】
本実施形態のLED照明装置1は、カバー部20において、第一領域25に近い側から順に、溝部21a,21b,21c,21dが設けられている。つまり、これらの溝部(21a,21b,21c,21d)が延伸することで構成される周の径は、溝部21a,21b,21c,21dの順に大きくなっている。
【0037】
本実施形態のLED照明装置1は、カバー部20の面のうち、外側の面に溝部21が設けられている。図2は、図1D内において破線で囲まれた領域Aを拡大した模式的な図面である。カバー部20の外側面において、延伸方向に沿って見た時にR形状を示す溝部21が形成されている。
【0038】
本実施形態のLED照明装置1は、カバー部20の第一領域25の側に連結された配線収容部31を有する。例えば、LED照明装置1を天井から吊り下げて使用される場合、天井側に設けられた電源供給部と、第一領域25内に収容されている灯具10とを電気的に接続するための配線が、配線収容部31内に設けられる。
【0039】
本実施形態のLED照明装置1は、溝部21においてカバー部20の折り返しが可能な構成である。図3A図3Dは、異なる溝部21でカバー部20を折り返したときのLED照明装置1の正面図を模式的に示したものである。
【0040】
図3Aは、図1Cの状態から溝部21dの位置でカバー部20を外側に折り返したときの図面に対応する。図3Bは、図1Cの状態から溝部21cの位置でカバー部20を折り返したときの図面に対応する。図3Cは、図1Cの状態から溝部21bの位置でカバー部20を折り返したときの図面に対応する。図3Dは、図1Cの状態から溝部21d及び溝部21bの位置でカバー部20を折り返したときの図面に対応する。なお、図3Aに示すように、本実施形態のLED照明装置1は、図1Cの状態から、灯具10から最も離れた位置に配置されている溝部21dでカバー部20を外側に折り返したとき、折り返されたカバー部20の面によって、他の溝部(21a,21b,21c)が隠されるような構成である。ただし、この構成はあくまで一例である。
【0041】
このように、LED照明装置1は、カバー部20を溝部21において折り返すことが可能な構成であるため、灯具10から放射される光の向きや強度を、当該カバー部20の形状に応じて変化させることが可能である。図4は、図1Cに示す態様(a)と、図3Bに示す態様(b)とを比較した図面である。カバー部20を折り返すことにより、カバー部20の灯具10とは反対側に位置する開口面と灯具10との距離が縮まり、光の広がり方が変化する。
【0042】
つまり、本実施形態のLED照明装置1は、カバー部20の折り返しの有無や、折り返しの位置によって、照明の態様及び照明装置自体の形状を自在に変化させることができる。これにより、利用者が求める利用態様に応じた使い方が可能となり、自由度の高い照明装置が実現される。
【0043】
なお、上述したように、本実施形態のLED照明装置1では、カバー部20に設けられている溝部21が、延伸方向に沿って見た時にR形状を示す形状を有する。これにより、溝部1の延伸方向に沿った線を基準としてカバー部20が折り返された場合に、折り返し時に生じる応力が、折り返された曲面に沿って分散される。この結果、カバー部20が繰り返し折り返された場合であっても、溝部20の箇所において高い負荷がかかることが抑制されるため、耐久面での問題が生じにくい。
【0044】
また、本実施形態のLED照明装置1は、カバー部20のうち、外側、すなわち灯具10とは反対側に位置する面に溝部21が設けられている。これにより、内側に溝部21が設けられる場合に比べて、カバー部20の面上に影が現れにくくなる。図5は、このことを模式的に示した図面である。
【0045】
図5において、(a)は溝部21を灯具10の反対側の面に設けた場合に対応する図面であり、本実施形態の構成である。また、(b)は溝部21を灯具10と同じ側の面に設けた場合に対応する図面である。図5(b)の場合、灯具10から放射された光Lが、溝部21のエッジ部分に照射されることで影の領域42が形成され、この影の領域42がカバー部20に映り込む。この結果、カバー部10において、明るい領域41と影の領域42とが形成されてしまう。これに対し、図5(a)の場合、灯具10から放射された光Lは、溝部21のエッジ部に照射されることがないため、カバー部20には影の領域42が全く又はほとんど形成されず、明るい領域41のみが形成される。
【0046】
なお、上述したように、カバー部20は、灯具10から放射される光の一部を透過させることのできる材料で構成されている。このため、本実施形態の構成によれば、カバー部20のうち、第一領域25の一部の箇所において、カバー部20自体が柔らかい光で照明される。
【0047】
[第二実施形態]
LED照明装置の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0048】
図6A及び図6Bは、第二実施形態のLED照明装置1の模式的な外観図である。図6Aは斜視図であり、図6Bは正面図である。なお、図6Bでは、説明の都合上、隠れている部分についても一部破線で図示している。第二実施形態のLED照明装置1は、第一実施形態と比較してシェード部30を更に備えている点が異なる。このシェード部30は、灯具10から放射される光の一部を反射する材料で構成されており、例えば、金属材、セラミックス材、樹脂材、ガラス材、又は木材などを用いることができる。
【0049】
シェード部30は、対向して配置された2つの開口面を有する中空形状を示す。本実施形態では、これらの開口面は、面積が異なっており、以下では、面積の小さい側を第一開口面と呼び、面積の大きい側を第二開口面と呼ぶ。すなわち、図6Bに示すように、シェード部30の第一開口面の内径をD1は、第二開口面の内径をD2よりも小さい。
【0050】
図6A及び図6Bに示すLED照明装置1は、カバー部20の溝部21での折り返しが解除された状態の下で、カバー部20の第一領域25側を、相対的にシェード部30の第二開口面から第一開口面に向かう方向に挿通させた状態に対応する。ここで、カバー部20において、第一領域25の外径C1は、第二領域26の最も大きい外径C2よりも小さい。そして、シェード部30の第一開口面の内径D1は、カバー部20の第一領域25の外径C1よりは大きい。また、シェード部30の第二開口面の内径D2は、カバー部20の第二領域26の外径C2よりは小さい。このため、図6A及び図6Bに示されるように、シェード部30は、カバー部20の第二領域26内の途中の箇所において当該シェード部30の内側面とカバー部20の外側面が接触し、この位置で安定化される。
【0051】
本実施形態の構成においても、カバー部20を任意の溝部21を基準として折り返しても構わない。一例として、図7に、溝部21dにおいてカバー部20を折り返した場合における正面図が図示されている。なお、第一実施形態で説明したように、他の溝部で折り返すことも可能である。
【0052】
本実施形態のLED照明装置によれば、灯具10から光が発せられると、第一実施形態のLED照明装置1の場合に生じる光に加えて、シェード部30で反射された光も照明光として用いられる。よって、シェード部30の有無によって、更に照明の態様及び照明装置自体の形状を自在に変化させることができる。
【0053】
なお、本実施形態において、カバー部20の第一領域25側を、相対的にシェード部30の第一開口面から第二開口面に向かう方向に挿通させることで、シェード部30を備え付けるものとしても構わない。図8Aはこの場合における斜視図であり、図8Bは正面図である。つまり、この構成は、図6A及び図6Bに示した構成と比較して、シェード部30の上下を反転させた構成に対応する。このような態様とした場合、灯具10から放射され、シェード部30で反射された光は、図6A及び図6Bの場合よりも拡散して進行する。つまり、カバー部20にシェード部30を取り付ける際、シェード部30の取り付ける向きを反転させることによっても、更に照明の態様及び照明装置自体の形状を自在に変化させることができる。
【0054】
なお、図8A及び図8Bに示すような態様の場合であっても、カバー部20を任意の溝部21を基準として折り返しても構わない。一例として、図9に、溝部21dにおいてカバー部20を折り返した場合における正面図が図示されている。なお、第一実施形態で説明したように、他の溝部で折り返すことも可能である。
【0055】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0056】
上述した実施形態では、カバー部20の外側の面に溝部21が設けられる構成としたが、カバー部20の内側の面に溝部21が設けられた構成を本発明から排除する趣旨ではない。また、溝部21の形状や数についても、上述した実施形態の構成はあくまで一例である。
【0057】
上述した実施形態では、灯具10がLEDモジュールで構成されている場合について説明したが、灯具10がLED電球で構成されているものを本発明から排除する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0058】
1 : LED照明装置
10 : 灯具
20 : カバー部
21 : 溝部
21a,21b,21c,21d : 溝部
22 : カバー部の中心軸
23 : カバー部の周方向
25 : カバー部の第一領域
26 : カバー部の第二領域
30 : シェード部
31 : 配線収容部
41 : 明るい領域
42 : 影の領域
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9