(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677963
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】吸水処理材
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-164868(P2014-164868)
(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-39794(P2016-39794A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年3月10日
【審判番号】不服2019-7202(P2019-7202/J1)
【審判請求日】2019年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【合議体】
【審判長】
森次 顕
【審判官】
有家 秀郎
【審判官】
秋田 将行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−103961(JP,A)
【文献】
特開2002−262691(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/099311(WO,A1)
【文献】
特開平6−22659(JP,A)
【文献】
特開平8−154514(JP,A)
【文献】
特開2015−122993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K1/015
A01K23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸水処理材であって、
粒状に成形され、第1の吸水性ポリマーを含有する粒状芯部と、
前記粒状芯部を覆うように設けられ、第2の吸水性ポリマーを含有する被覆層部と、を備え、
前記粒状芯部は、紙類、茶殻、プラスチック類及びオカラのうち前記オカラのみを含有しており、
前記第1の吸水性ポリマーの平均粒径は、20μmよりも大きく50μm以下であり、
前記第2の吸水性ポリマーの平均粒径は、前記第1の吸水性ポリマーの平均粒径よりも小さいことを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記第2の吸水性ポリマーの平均粒径は、20μm以下である吸水処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸水処理材において、
前記第2の吸水性ポリマーの平均粒径は、10μm以下である吸水処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部の主材料は、前記オカラである吸水処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
当該吸水処理材に占める前記被覆層部の重量割合は、5%以上10%未満である吸水処理材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人又は動物の排泄物その他の液体を吸収する吸水処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。この排泄物処理材においては、粒状芯部と、それを覆う被覆層部とが設けられている。被覆層部は、吸水性ポリマーを含有しており、使用時に尿等の液体を吸収した排泄物処理材どうしを付着させて固まりにする機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−333773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸水性ポリマーは、液体を吸収すると粘着性を発揮する。そのため、吸水性ポリマーを被覆層部に含有させることにより、使用後の吸水処理材の固まり性を高めることができる。
【0005】
しかしながら、吸水性ポリマーは、液体を吸収すると膨潤するという性質も併有する。被覆層部において膨潤した吸水性ポリマーは、外部からの水が粒状芯部に達するのを遮断する。このことは、使用後の吸水処理材を水洗トイレに流して処分する際に、当該吸水処理材の水解性(水と接触することにより、結合した繊維や粒子が速やかに分離し、水中に分散する性質)を低下させる要因となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い水解性を得るのに適した構造の吸水処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による吸水処理材は、液体を吸収する吸水処理材であって、粒状に成形され、第1の吸水性ポリマーを含有する粒状芯部と、上記粒状芯部を覆うように設けられ、第2の吸水性ポリマーを含有する被覆層部と、を備え、上記第2の吸水性ポリマーの平均粒径は、上記第1の吸水性ポリマーの平均粒径よりも小さいことを特徴とする。
【0008】
この吸水処理材においては、被覆層部に含有された第2の吸水性ポリマーの平均粒径が、粒状芯部に含有された第1の吸水性ポリマーの平均粒径よりも小さい。吸水性ポリマーは、細かく粉砕されることにより、液体吸収時に膨潤しにくくなる。それゆえ、第2の吸水性ポリマーの粒径を小さくすることにより、被覆層部における当該吸水性ポリマーの膨潤を抑制することができる。これにより、使用後の吸水処理材をトイレに流した際、トイレの水が被覆層部を通過して粒状芯部に達しやすくなる。他方、第1の吸水性ポリマーの粒径を大きくすることにより、当該吸水性ポリマーの膨潤による粒状芯部の崩壊が促進される。このように本発明の吸水処理材においては、トイレの水が粒状芯部に達しやすい上に、粒状芯部が崩壊しやすいため、高い水解性が得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い水解性を得るのに適した構造の吸水処理材が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、液体を吸収する吸水処理材であり、粒状芯部10及び被覆層部20を備えている。吸水処理材1は、例えば、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材である。
【0013】
粒状芯部10は、粒状に成形されている。粒状芯部10の形状としては、例えば、球、楕円体、円柱が挙げられる。粒状芯部10は、吸水性を有しており、尿等の液体を吸水及び保水する機能を有する。粒状芯部10を構成する材料(芯部材料)としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。これらの材料は、粒状芯部10の主材料であることが好ましい。ここで、粒状芯部10の主材料とは、粒状芯部10を構成する材料のうち、当該粒状芯部10に占める重量割合が最大のものをいう。粒状芯部10の主材料の粒度は、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。
【0014】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ(パルプスラッジを含む。以下同様。)等が挙げられる。製紙スラッジは、含水率が40重量%以上の状態で粉砕されたものであることが好ましい。粒状芯部10の主材料として茶殻を用いる場合、当該茶殻は、含水率が45重量%以上の状態で粉砕されたものであることが好ましい。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0015】
粒状芯部10には、吸水性ポリマー12(第1の吸水性ポリマー)が含有されている。吸水性ポリマー12の平均粒径は、20μmよりも大きいことが好ましく、50μmよりも大きいことがより好ましい。ここで、平均粒径とは、多数の粒子の集合体である吸水性ポリマーを篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できる最小の目開きをいう。したがって、平均粒径が20μmよりも大きいとは、吸水性ポリマーを目開き20μmの篩にかけたときに、50重量%未満の粒子しか通過できないということである。粒状芯部10に占める吸水性ポリマー12の重量割合は、例えば、5%以上30%未満である。
【0016】
被覆層部20は、粒状芯部10を覆っている。被覆層部20は、粒状芯部10の表面の全体を覆っていてもよいし、粒状芯部10の表面の一部のみを覆っていてもよい。この被覆層部20は、使用時に尿等の液体を吸収した吸水処理材1どうしを付着させて固まりにする機能(塊状化機能)を有する。被覆層部20を構成する材料(被覆材料)としても、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。これらの材料は、被覆層部20の主材料であることが好ましい。また、吸水処理材1に占める被覆層部20の重量割合は、5%以上10%未満であることが好ましい。吸水処理材1が液体を吸収する前の状態において、粒状芯部10は、被覆層部20を通じて視認可能であってもよい。
【0017】
被覆層部20には、吸水性ポリマー22(第2の吸水性ポリマー)が含有されている。吸水性ポリマー22の平均粒径は、吸水性ポリマー12の平均粒径よりも小さい。吸水性ポリマー22の平均粒径は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。かかる吸水性ポリマー22としては、ジェットミル等の微粉砕機によって粉砕されたものを用いることができる。被覆層部20に占める吸水性ポリマー22の重量割合は、例えば、33%以上50%未満である。
【0018】
吸水処理材1の効果を説明する。吸水処理材1においては、被覆層部20に含有された吸水性ポリマー22の平均粒径が、粒状芯部10に含有された吸水性ポリマー12の平均粒径よりも小さい。吸水性ポリマーは、細かく粉砕されることにより、液体吸収時に膨潤しにくくなる。それゆえ、吸水性ポリマー22の粒径を小さくすることにより、被覆層部20における吸水性ポリマー22の膨潤を抑制することができる。これにより、使用後の吸水処理材1をトイレに流した際、トイレの水が被覆層部20を通過して粒状芯部10に達しやすくなる。
【0019】
他方、吸水性ポリマー12の粒径を大きくすることにより、吸水性ポリマー12の膨潤による粒状芯部10の崩壊が促進される。このように吸水処理材1においては、トイレの水が粒状芯部10に達しやすい上に、粒状芯部10が崩壊しやすいため、高い水解性が得られる。したがって、高い水解性を得るのに適した構造の吸水処理材1が実現されている。
【0020】
さらに、細かく粉砕された吸水性ポリマーは、液体吸収時の膨張が抑えられる一方で、粘着性は増大する。それゆえ、吸水性ポリマー22の粒径を小さくすることは、被覆層部20の塊状化機能を高めるのにも有利である。このため、吸水処理材1は、水解性のみならず、固まり性の点においても優れている。
【0021】
このように、吸水性ポリマー22の粒径を小さくすることは、吸水処理材1の水解性及び固まり性を向上させるのに有利である。かかる観点から、吸水性ポリマー22の平均粒径は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。他方で、あまりに粒径の小さい吸水性ポリマー22を得ようとすると、特別な装置等が必要になり、吸水処理材1の製造コストの増大を招いてしまう。かかる観点から、吸水性ポリマー22の平均粒径は、1μm以上であることが好ましい。
【0022】
被覆層部20に占める吸水性ポリマー22の重量割合が33%以上である場合、比較的多量の吸水性ポリマー22が被覆層部20に含有されることになるため、吸水処理材1の固まり性を向上させることができる。
【0023】
この点、従来の吸水処理材においては、被覆層部における吸水性ポリマーの含有量を増やすと、固まり性が向上する一方で、水解性は著しく低下する。膨潤した吸水性ポリマーが外部からの水(トイレの水)を遮断することによる影響が顕著になるためである。このように、従来の吸水処理材では、固まり性の向上と水解性の向上とがトレードオフ関係にならざるを得ない。これに対し、本実施形態においては、粒径を小さくすることにより吸水性ポリマー22の膨潤を抑制しているため、吸水性ポリマー22の含有量を増やしても、外部からの水が吸水性ポリマー22によって遮断されにくい。このため、上述のトレードオフ関係を解消し、水解性の低下を抑えつつ、固まり性の向上を図ることが可能である。
【0024】
微粉砕機によって粉砕された吸水性ポリマー22を用いる場合、平均粒径が20μm以下で、なおかつ粒径のバラつきが小さい吸水性ポリマー22を容易に得ることができる。
【0025】
上述のとおり、吸水性ポリマー12の粒径を大きくすることも、吸水処理材1の水解性を向上させるのに有利である。かかる観点から、吸水性ポリマー12の平均粒径は、20μmよりも大きいことが好ましく、50μmよりも大きいことがより好ましい。
【0026】
粒状芯部10の主材料が紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラである場合、粒状芯部10ひいては吸水処理材1に良好な吸水性を付与することができる。特に粒状芯部10の主材料がオカラである場合、オカラは水解性の高い材料であるため、吸水処理材1の水解性を一層向上させることができる。
【0027】
ところで、粒状芯部10の材料として、所定の粒度に粉砕された製紙スラッジ又は茶殻を用いる場合、これらの材料は、元々多量の水分を含んでいる。そのため、従来の吸水処理材においては、粉砕に先立って、製紙スラッジや茶殻を乾燥させていた。しかしながら、これらの材料を乾燥させすぎると、その繊維が収縮し、吸水処理材の吸水性を低下させる要因となる。
【0028】
この点、含水率が40重量%以上の状態で粉砕された製紙スラッジ、又は含水率が45重量%以上の状態で粉砕された茶殻を用いる場合、粉砕に先立って製紙スラッジや茶殻を乾燥させる必要がないため、過度の乾燥による吸水性の低下を免れることができる。しかも、造粒前に製紙スラッジ又は茶殻を必要以上に乾燥させないことにより、造粒物(粒状芯部10)の内部の空隙率を大きくすることができる。ここで、空隙率とは、造粒物に占める空隙の容積割合をいう。かかる空隙率が大きいことは、吸水処理材1の吸水性を高めるのに有利であるとともに、吸水処理材1の水解性を高めるのにも有利である。
【0029】
また、吸水処理材1の水解性を高めるには、粒状芯部10の主材料が細かく粉砕されている方が有利である。使用後の吸水処理材1をトイレに流した際、粒状芯部10が崩壊しやすくなるからである。かかる観点から、粒状芯部10の主材料の粒度は、0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
【0030】
さらに、吸水処理材1の水解性を高めるには、被覆層部20の厚みが小さい方が有利である。外部からの水が被覆層部20を通過して粒状芯部10に達しやすくなるからである。かかる観点から、吸水処理材1に占める被覆層部20の重量割合は、10%未満であることが好ましい。他方で、被覆層部20の厚みが小さすぎると、被覆層部20が充分な塊状化機能を発揮できなくなってしまう。かかる観点から、吸水処理材1に占める被覆層部20の重量割合は、5%以上であることが好ましい。
【0031】
続いて、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、造粒工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0032】
造粒工程においては、吸水性ポリマー12を含む芯部材料を粉砕機で所定の大きさに粉砕し、当該粉砕された芯部材料を所定の割合でミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、必要に応じて加水した後、当該芯部材料を造粒機によって押出造粒する。これにより、粒状芯部10が得られる。
【0033】
被覆工程においては、コーティング装置等を用いて、粒状芯部10の周囲に、吸水性ポリマー22を含む被覆材料を付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部20が得られる。
【0034】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させる。これにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみが抽出される。
【0035】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。乾燥により、粒状芯部10の含水率を適宜調整する。これにより、粒状芯部10の水分が被覆層部20に遷移して吸水能力が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 吸水処理材
10 粒状芯部
12 吸水性ポリマー(第1の吸水性ポリマー)
20 被覆層部
22 吸水性ポリマー(第2の吸水性ポリマー)