特許第6677982号(P6677982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677982
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ギアボックス
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/023 20120101AFI20200330BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   F16H57/023
   F16H1/16 Z
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-153103(P2015-153103)
(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公開番号】特開2016-35330(P2016-35330A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2018年6月1日
(31)【優先権主張番号】201410378522.5
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ シン マオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン オウヤン
(72)【発明者】
【氏名】シアン フアイ チウ
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−191608(JP,A)
【文献】 特開昭61−048665(JP,A)
【文献】 実開昭62−082457(JP,U)
【文献】 米国特許第06043616(US,A)
【文献】 中国実用新案第201639428(CN,U)
【文献】 実開昭63−040650(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/023
F16H 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギアボックスであって、
ウォームホイールを受け入れるための受け入れチャンバと、該受け入れチャンバの底部中心に存在するハブとを含むメインハウジングと、
前記受け入れチャンバの開口部に取り付けられたカバーと、
前記受け入れチャンバ内に取り付けられたウォームホイールと、
前記ウォームホイールの中心に取り付けられて該ウォームホイールと同軸的に回転可能な出力軸と、
を備え、前記出力軸は、前記受け入れチャンバを通じて前記ハブを貫通して外向きに延び、前記ハブは、前記ウォームホイール及び前記出力軸の一方を直接支持し、
前記ウォームホイールは、組み立て後に前記受け入れチャンバ内で前記出力軸の軸方向に所定の距離内で移動可能であり、前記ウォームホイールに面する前記カバーの表面は、前記ウォームホイールと前記カバーとの間の最小距離を制限するための制限ブロックを含み、
前記ウォームホイールは、歯を有する環状本体と、該環状本体の内面に接続された接続プレートとを含み、前記接続プレートの中心は、ボスを形成するように前記カバーの方に隆起し、前記ボスの反対側に止り穴が形成され、前記制限ブロックの位置は、前記環状本体及び/又は前記ボスに対応し、前記出力軸の端部は、前記止り穴内に固定して受け入れられる、
ことを特徴とするギアボックス。
【請求項2】
前記出力軸の前記ウォームホイールに隣接する第1の端部は、前記出力軸の前記軸方向に沿って前記ウォームホイールとほぞ接合され、前記出力軸は前記ハブによって支持される、
請求項1に記載のギアボックス。
【請求項3】
前記出力軸の前記第1の端部は、該第1の端部の前記ウォームホイールに挿入される深さを制限するための突出する制限リングを含む、
請求項2に記載のギアボックス。
【請求項4】
前記ウォームホイールは、前記制限リングを支持するための制限段部を含む、
請求項3に記載のギアボックス。
【請求項5】
前記出力軸の外周面及び前記ハブの内面の一方に環状溝が形成され、該環状溝内に密封リングが取り付けられ、該密封リングは、前記ハブと前記出力軸との間に挟持される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のギアボックス。
【請求項6】
前記出力軸は、該出力軸と同軸的に回転可能なように出力ギアを一体に形成する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のギアボックス。
【請求項7】
ギアボックスであって、
ウォームホイールを受け入れるための受け入れチャンバと、該受け入れチャンバの底部中心に存在するハブとを含むメインハウジングと、
前記受け入れチャンバの開口部に取り付けられたカバーと、
前記受け入れチャンバ内に取り付けられたウォームホイールと、
前記ウォームホイールの中心に取り付けられて該ウォームホイールと同軸的に回転可能な出力軸と、
を備え、前記出力軸は、前記受け入れチャンバを通じて前記ハブを貫通して外向きに延び、前記ハブは、前記ウォームホイール及び前記出力軸の一方を直接支持し、
前記ウォームホイールは、歯を有する環状本体と、該環状本体の内面に接続された接続プレートとを含み、前記環状本体の前記カバーから離れた側の中心は中空シリンダを含み、前記出力軸は、前記中空シリンダ内に軸方向にほぞ接合され、前記中空シリンダは、前記ハブによって支持され、
前記出力軸の前記ウォームホイールに隣接する第1の端部は、前記中空シリンダの底部を通過し、前記出力軸の前記第1の端部に環状溝が形成され、該環状溝内に、前記出力軸が前記ウォームホイールから外れるのを防ぐための制限リングが受け入れられる、
ことを特徴とするギアボックス。
【請求項8】
前記出力軸は、同軸的な出力ギアを一体に形成し、該出力ギアの端部は、前記中空シリンダに挿入される、
請求項7に記載のギアボックス。
【請求項9】
前記中空シリンダと前記接続プレートとの接合部に環状溝が形成され、該環状溝内に密封リングが取り付けられ、該密封リングは、前記ハブと前記接合部との間に挟持される、請求項7又は8に記載のギアボックス。
【請求項10】
前記カバーの前記制限ブロックは、円形に配置された複数の扇形ブロック又は三角形ブロックを含む、
請求項1に記載のギアボックス。
【請求項11】
ギアボックスであって、
ウォームホイールを受け入れるための受け入れチャンバと、該受け入れチャンバの底部中心に存在するハブとを含むメインハウジングと、
前記受け入れチャンバの開口部に取り付けられたカバーと、
前記受け入れチャンバ内に取り付けられたウォームホイールと、
前記ウォームホイールの中心に取り付けられて該ウォームホイールと同軸的に回転可能な出力軸と、
を備え、前記出力軸は、前記受け入れチャンバを通じて前記ハブを貫通して外向きに延び、前記ハブは、前記ウォームホイール及び前記出力軸の一方を直接支持し、
前記ウォームホイールは、歯を有する環状本体と、該環状本体の内面に接続された接続プレートとを含み、前記接続プレートの前記カバーから離れた側の中心は、中空シリンダと、該中空シリンダ内に配置されたボスとを含み、前記中空シリンダと前記ボスとの間に半径方向間隙が形成され、前記出力軸の前記ウォームホイールに隣接する第1の端部は、中空であって前記間隙内に挿入され、前記中空シリンダは、前記ハブによって支持される、
ことを特徴とするギアボックス。
【請求項12】
前記出力軸の外周面は、環状のロック溝を含み、前記中空シリンダの開口部に内向きフランジが形成され、該内向きフランジは、前記出力軸が前記ウォームホイールから外れるのを防ぐように前記ロック溝に係合する、
請求項11に記載のギアボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関し、特にウォームホイールを有するギアボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なギアボックスは、ハブを有するメインハウジングと、ブッシングを介してハブに取り付けられた回転軸と、メインハウジング内に取り付けられて回転軸に固定されたウォームホイールと、メインハウジングの外側に位置して回転軸に固定された出力ギアとを含む。ウォームホイールを駆動すると、ゴムガスケット、駆動プレート、回転軸及び出力ギアが同軸的に回転するように駆動される。通常、ウォームホイール、ゴムガスケット、駆動プレート、回転軸及び出力ギアは、全てが複雑な構造を有しており、複雑な形で接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、部品数の少ない単純な構造を有していながら信頼性試験に合格するギアボックスに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、メインハウジングと、カバーと、ウォームホイールと、出力軸とを含むギアボックスを提供する。メインハウジングは、ウォームホイール受け入れチャンバと、この受け入れチャンバの底部中心に存在するハブとを含む。カバーは、受け入れチャンバの開口部に取り付けられる。ウォームホイールは、受け入れチャンバ内に取り付けられる。出力軸は、ウォームホイールの中心に取り付けられてウォームホイールと共に同軸的に回転可能である。出力軸は、受け入れチャンバを通じハブを貫通して外向きに延び、ハブは、ウォームホイール及び出力軸の一方を直接支持する。
【0005】
ウォームホイールは、組み立て後に受け入れチャンバ内で出力軸の軸方向に沿って所定の距離内で移動可能であり、ウォームホイールに面するカバーの表面は、ウォームホイールとカバーとの間の最小距離を制限するための制限ブロックを含むことが好ましい。
【0006】
出力軸のウォームホイール近接端は、出力軸の軸方向に沿ってウォームホイールとほぞ接合され、出力軸はハブによって支持されることが好ましい。
【0007】
出力軸のウォームホイール近接端は、ウォームホイール近接端が出力軸の軸方向に沿ってウォームホイールに挿入される深さを制限するための突出する制限リングを含むことが好ましい。
【0008】
ウォームホイールは、制限リングを支持するための制限段部を含むことが好ましい。
【0009】
ウォームホイールは、歯を有する環状本体と、該環状本体の内面に接続された接続プレートとを含むことが好ましい。接続プレートの中心は、ボスを形成するようにカバーの方に隆起し、ボスの反対側には止り穴が形成される。制限ブロックの位置は、環状本体及び/又はボスに対応し、出力軸のウォームホイール近接端は、止り穴内に固定して受け入れられる。
【0010】
出力軸の外周面及びハブの内面の一方には環状溝が形成され、環状溝内には密封リングが取り付けられ、この密封リングは、ハブと出力軸との間に挟持されることが好ましい。
【0011】
出力軸は、出力軸と共に同軸的に回転可能なように出力ギアを一体に形成することが好ましい。
【0012】
ウォームホイールは、歯を有する環状本体と、環状本体の内面に接続された接続プレートとを含み、環状本体のカバーから離れた側の中心は中空シリンダを含み、出力軸は、中空シリンダ内に軸方向にほぞ接合され、中空シリンダは、ハブによって支持されることが好ましい。
【0013】
出力軸のウォームホイール近接端は、中空シリンダの底部を通過し、この中空シリンダの底部を通過する出力軸のウォームホイール近接端には環状溝が形成され、この環状溝には、出力軸がウォームホイールから外れるのを防ぐための制限リングが受け入れられることが好ましい。
【0014】
出力軸は、同軸的な出力ギアを一体に形成し、出力ギアのウォームホイール近接端は、中空シリンダに挿入されることが好ましい。
【0015】
中空シリンダと接続プレートとの接合部には環状溝が形成され、この環状溝内には密封リングが取り付けられ、密封リングは、ハブと接合部との間に挟持されることが好ましい。
【0016】
ウォームホイールは、歯を有する環状本体と、環状本体の内面に接続された接続プレートとを含み、接続プレートのカバーから離れた側の中心は、中空シリンダと、中空シリンダ内に配置されたボスとを含み、中空シリンダとボスとの間には半径方向間隙が形成され、出力軸のウォームホイール近接端は、中空であって間隙内に挿入され、中空シリンダは、ハブによって支持されることが好ましい。
【0017】
出力軸の外周面は、環状のロック溝を含み、中空シリンダの開口部には内向きフランジが形成され、内向きフランジは、出力軸がウォームホイールから外れるのを防ぐようにロック溝に係合することが好ましい。
【0018】
カバーの制限ブロックは、円形に配置された複数の扇形ブロック又は三角形ブロックを含むことが好ましい。
【0019】
このように、上記実施形態は、ギアボックスの構造を単純化することができ、部品数を削減してギアボックスの組み立てを容易にする。ウォームホイールと出力軸を2つの別個の要素とすることにより、これらの2つの部品を異なる材料で作製できるようになる。
【0020】
以下、添付図面の図を参照しながら、本発明の好ましい実施形態をほんの一例として説明する。図では、複数の図に出現する同一の構造、要素又は部品には、一般にこれらが出現する全ての図において同じ参照番号を付している。一般に、図に示す構成要素及び特徴部の寸法は、表現の便宜上明瞭にするために選択したものであり、必ずしも縮尺通りではない。以下、各図を列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】1つの実施形態によるギアボックスの斜視図である。
図2図1のギアボックスのメインハウジングを示す図である。
図3図1のギアボックスのカバーを示す図である。
図4図1のギアボックスのウォームホイールと出力軸の組立図である。
図5図1のギアボックスのウォームホイールと出力軸の組立図である。
図6図4の出力軸を示す図である。
図7図4のウォームホイールを示す図である。
図8図1のギアボックスの平面図である。
図9図8のギアボックスの断面図である。
図10】第2の実施形態によるギアボックスの平面図である。
図11図10のギアボックスの断面図である。
図12図10のギアボックスのメインハウジングを示す図である。
図13図10のギアボックスのカバーを示す図である。
図14図10のギアボックスのウォームホイールと出力軸の組立図である。
図15図10のギアボックスのウォームホイールと出力軸の組立図である。
図16図14の出力軸を示す図である。
図17図14のウォームホイールを示す図である。
図18】第3の実施形態によるギアボックスの平面図である。
図19図18のギアボックスの断面図である。
図20図18のギアボックスのメインハウジングを示す図である。
図21図18のギアボックスのウォームホイールと出力軸の組立図である。
図22図18のギアボックスのウォームホイールと出力軸の組立図である。
図23図21の出力軸を示す図である。
図24図21のウォームホイールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図4を参照すると、本発明の1つの実施形態によるギアボックス50は、メインハウジング52と、カバー53と、ウォームホイール81と、出力軸71とを含む。メインハウジング52は、ウォームホイール81を受け入れるための受け入れチャンバ61を定める。出力軸71の一端は、ウォームホイールに同軸的に接続され、他端は、受け入れチャンバ61の底部63に形成されたハブ65を通過する。ハブ65は、出力軸71とウォームホイール81とがハブ65に対して回転できるように出力軸71を直接支持する。ハブ65と底部63の接合部には、複数の補強リブ69が形成される。補強リブ69は、ハブ65を取り囲み、ハブ65の外周に均等に配置される。補強リブ69は、ハブ65の外周面と底部63の表面とを相互接続してハブ65を補強する。カバー53は、受け入れチャンバ61の開口部に取り付けられる。メインハウジング52は、カバー53が容易に取り付けられるように、受け入れチャンバ61の開口部に制限用の窪んだ縁部64を形成する。使用時には、ギアボックスがモータに接続される。メインハウジング52の開口部57を通じて、ウォームを有するモータ軸がメインハウジング52に入り込み、ウォームはウォームホイール81と噛み合う。
【0023】
図2に示すように、ハブ65の内面には、潤滑油を蓄えるための複数の軸方向凹部66が形成される。また、プラスチックギアの摩耗後には、軸方向凹部66内に摩耗くずが残って、摩耗くずがギアの回転に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0024】
図4図7を参照すると、出力軸71は軸本体72を含む。軸本体72のウォームホイール近接端(すなわち、出力軸71のウォームホイール81に隣接する端部)は、ウォームホイール81とほぞ接合される。この実施形態では、ウォームホイール81が、環状本体84と、環状本体84の内面に接続された接続プレート82とを含み、環状本体84の外周には歯が形成される。接続プレート82は、環状本体84の内面の軸方向中心領域から内向きに延びることが好ましい。出力軸71のウォームホイール近接端は、互いに円周方向に間隔を空けた半径方向に延びる複数のほぞ78を含む。これに対応して、ウォームホイール81の接続プレート82は、その中心に窪んだ受け入れ穴83aを定める。受け入れ穴83aの内面には、ほぞ78を締り嵌めの形で受け入れるための複数のほぞ穴88が形成される。ウォームホイール81の受け入れ穴に出力軸71を軸方向に挿入すると、ほぞ78がほぞ穴88に係合し、これによって出力軸71がウォームホイール81に固定して取り付けるようになる。ウォームホイールから離れた側の出力軸71の端部には、出力ギア76が一体に形成される。出力ギア76は、出力軸と同軸的に回転する。
【0025】
出力軸71のウォームホイール近接端は、出力軸71がウォームホイール81に挿入される深さを制限することによって出力軸71がウォームホイール81を軸方向に貫通することを防ぐための突出する制限リング79をさらに含むことが好ましい。
【0026】
ウォームホイール81は、受け入れ穴83aに、制限リング79を支持するための制限段部89を形成することが好ましい。
【0027】
図3図9を参照すると、カバー53のウォームホイール81に面する表面には、円形に配置された複数の制限ブロック54が形成される。制限ブロック54の位置は、ウォームホイール81の環状本体84に対応してウォームホイール81とカバー53との間の最小距離を制限し、これによってハブ65に対する出力軸71の軸方向移動距離を制限する。制限ブロック54は、カバー53とウォームホイール81との間の摩擦も低減する。これに対応して、受け入れチャンバ61の底部63の内面にも、複数の制限ブロック67が形成される。底部63の制限ブロック67は、環状本体84に係合してウォームホイール81と底部63との間の最小距離を制限する。制限ブロック67は、ウォームホイール81と受け入れチャンバ61の底部63との間の摩擦も低減する。
【0028】
この実施形態では、接続プレート82の受け入れ穴83aが、接続プレート82の中心に出力軸71から離れる方向に窪んで形成された止り穴である。この結果、この中心には、受け入れ穴83aと位置合わせされてカバー53の方に隆起したボス83bが形成される。これにより、出力軸71とウォームホイール81との間の接触面積を増加させ、接続プレート82の強度を高めることができる。従って、ウォームホイール81は、より大きな駆動力に耐えて駆動力を伝達することができる。
【0029】
また、カバー53の中心は、ボス83bに対応する制限ブロック55をさらに含む。制限ブロック54、55は、ウォームホイール81の環状本体84及びボス83bにそれぞれ係合して、ウォームホイール81とカバー53との間の最小距離を制限する。この実施形態では、制限ブロック54が角の丸い長円形の突起であり、制限ブロック55が半球形の突起である。なお、制限ブロック54、55は、長円形又は半球形以外の別の形状を有することもできる。制限ブロック54、55は、同じ高さを有し、すなわち制限ブロック54に係合するウォームホイール81の環状本体84の表面は、制限ブロック55に係合するボス83bの表面と同一面上にあることが好ましい。別の実施形態では、制限ブロック54、55が、異なる高さを有することもできる。
【0030】
また、出力軸71の外周面には、環状溝74が形成され、この環状溝74内には、密封リング91が取り付けられる。図9に示すように、密封リング91は、密封機能、防水機能及び漏れ防止機能のためにハブ65と出力軸71の間に挟持される。
【0031】
第1の実施形態では、ギアボックスのギアが、2つの部品、すなわちウォームホイール81と、出力ギア76を有する出力軸71とを含む。従って、ギアボックスのギアは、単純な小型構造を有する。ギアボックスは、組み立てが容易な5つの部品、すなわちメインハウジング52、カバー53、ウォームホイール81、密封リング91及び出力軸71を含む。このギアボックスは、部品数及びコストを削減しながらも信頼性試験に合格する。
【0032】
図10図17に示す第2の実施形態のギアボックスは、主にカバー53、出力軸71及びウォームホイール81が第1の実施形態のギアボックスと異なる。
【0033】
ウォームホイール81は、環状本体84と、環状本体84の内面に接続された接続プレート82とを含み、環状本体84の外周には歯が形成される。接続プレート82の出力軸71に隣接する側の中心は、中空シリンダ83cを含む。シリンダ83cは、ほぞ穴88を定める凹凸の内面を有する。出力軸71の外周には、出力ギア76が一体に形成される。出力ギア76のウォームホイール近接端を中空シリンダ83cに軸方向に挿入すると、出力ギア76の歯がほぞ穴88に締り嵌めされ、これによって出力ギア76がウォームホイール81に固定して取り付けられるようになる。出力ギア76の他端は、中空シリンダから外に延びてトルクを伝達する。中空シリンダ83cは、受け入れチャンバ61からハブ65を貫通して延び、ハブ65によって直接支持される。
【0034】
出力軸71のウォームホイール近接端73は、中空シリンダ83cの底部を貫通してさらに延びる(すなわち接続プレート82を貫通して延びる)。ウォームホイール近接端73が中空シリンダ83cの底部を貫通して延びた後には、出力軸71がウォームホイール81から外れるのを防ぐために、ウォームホイール近接端73に制限リング79が取り付けられる。この実施形態では、ウォームホイール近接端73の外周面が、弾性のC字形リングである制限リング79を受け入れるための半径方向内向きに窪んだ制限溝を有する。制限リング79の組み立て後には、制限リング79と出力ギア76との間に接続プレート82が挟持される。
【0035】
接続プレート82の出力軸71から離れた方の側には、突出する中空シリンダ83dがさらに設けられる。中空シリンダ83dは、出力軸71のウォームホイール近接端73を取り囲む。中空シリンダ83dと中空シリンダ83cは、互いに位置合わせされて実質的に同じ外径を有することが好ましい。中空シリンダ83dは、接続プレート82を補強するように作用する。同様に、メインハウジング52は、ウォームホイール81と底部プレートとの間の最小距離を制限するための制限ブロック67を有し、カバー53は、ウォームホイール81とカバー53との間の最小距離を制限するための制限ブロック54を有する。制限ブロック67は、ウォームホイール81の環状本体84と位置合わせされる。
【0036】
カバー53の制限ブロック54は、円形に配置された複数の扇形ブロック又は三角形ブロックを含むことが好ましい。各扇形ブロック又は三角形ブロックは、環状本体84及び中空シリンダ83dの両方に係合する。
【0037】
また、中空シリンダ83cの外周面と接続プレート82との接合部には、内部に密封リング91を受け入れるための環状溝が形成される。密封リング91は、ハブ65とウォームホイール81との間に挟持される。
【0038】
本発明の第2の実施形態のギアボックスのギアは、ウォームホイール81と、出力ギア76を有する出力軸71と、出力軸71がウォームホイール81から分離するのを防ぐための制限リング79とを含む。第2の実施形態のギアボックスは、部品数及びコストを削減しながらも信頼性試験に合格する。
【0039】
図18図24に示す第3の実施形態のギアボックスは、主に出力軸71及びウォームホイール81が第2の実施形態のギアボックスと異なる。ウォームホイール81は、環状本体84と、環状本体84の内面に接続された接続プレート82とを含み、環状本体84の外周には歯が形成される。接続プレート82のカバーから離れた側の中心は、中空シリンダ83cと、中空シリンダ83c内のボス83e(図24)とを含む。中空シリンダ83cとボス83eは同軸上にあり、これらの間には半径方向間隙が形成されることが好ましい。シリンダ83cは、出力軸71を支持するためのほぞ穴88を定める凹凸の内面を有する。これに対応して、出力軸71のウォームホイール近接端の外周には、ほぞ穴88に係合するためのほぞ78が形成される。ほぞ78は、ボス83eを受け入れるように中空になったシリンダを形成する。従って、出力軸71は、そのウォームホイール近接端をウォームホイール81内に軸方向に挿入することによってウォームホイール81に取り付けられる。接続されると、出力軸71のウォームホイール近接端は、ボス83eと中空シリンダ83cとの間に挟持される。
【0040】
中空シリンダ83cの開口部には、内向きフランジ85(図19)が形成され、出力軸71の外周面には、ロック溝75(図23)が形成され、内向きフランジ85がロック溝75に係合して、出力軸71がウォームホイール81から外れるのを防ぐことが好ましい。ウォームホイール81は、オーバモールド工程で出力軸71上に直接形成されることが好ましい。
【0041】
接続プレート82の出力軸71から離れた方の側には、突出する中空シリンダ83dがさらに形成される。中空シリンダ83dと中空シリンダ83cは互いに位置合わせされ、実質的に同じ外径を有する。中空シリンダ83dは、接続プレート82を補強するように作用する。
【0042】
この実施形態では、出力軸71及びウォームホイール81がハブ65に対して回転できるように、ウォームホイール81の中空シリンダ83cが、メインハウジング52のハブ65を通過してハブ65によって直接支持される。同様に、メインハウジング52は、ウォームホイール81と底部プレートとの間の最小距離を制限するための制限ブロック67を有し、カバー53は、ウォームホイール81とカバー53との間の最小距離を制限するための制限ブロック54を有する。制限ブロック67は、ウォームホイール81の環状本体84と位置合わせされる。カバー53の制限ブロック54は、円形に配置された複数の扇形ブロック又は三角形ブロックを含むことが好ましい。各扇形ブロック又は三角形ブロックは、環状本体84及び中空シリンダ83dの両方に係合する。
【0043】
第3の実施形態では、ギアボックスのギアが、ウォームホイール81と、出力ギア76を有する出力軸71とを含む。従って、第3の実施形態のギアボックスのギアは、単純な小型構造を有し、組み立てが容易である。第3の実施形態のギアボックスは、部品数及びコストを削減しながらも信頼性試験に合格する。
【0044】
1又はそれ以上の好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明したが、当業者であれば、様々な修正が可能であると理解するはずである。例えば、本発明の思想から逸脱することなく、出力ギアを別個に形成し、その後に出力軸に取り付けることもできる。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照して決定すべきである。
【0045】
本出願の明細書及び特許請求の範囲では、記述する項目又は特徴の存在を明示する一方でさらなる項目又は特徴の存在を排除しないように、「備える、含む、有する(comprise、include、contain及びhave)」という動詞、並びにその派生形の各々を包括的な意味で使用している。
【0046】
明確化のために別個の実施形態の文脈で説明した本発明のいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできると理解されたい。これとは逆に、簡潔さを期すために単一の実施形態の文脈で説明した本発明の様々な特徴を別個に、又はいずれかの好適な下位の組み合わせで提供することもできる。
【符号の説明】
【0047】
50 ギアボックス
52 メインハウジング
53 カバー
57 開口部
71 出力軸
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