特許第6677989号(P6677989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677989
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】椎弓根スクリュー用ロックスリーブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   A61B17/70
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-184291(P2015-184291)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-73625(P2016-73625A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2018年8月21日
(31)【優先権主張番号】10 2014 114 530.5
(32)【優先日】2014年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルバラ グノス
(72)【発明者】
【氏名】デニス リッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニーナ アッカーマン
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0096635(US,A1)
【文献】 特開2011−115602(JP,A)
【文献】 特開2014−176705(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0077135(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0270813(US,A1)
【文献】 特表2009−525804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓根スクリュー(14)用のロックスリーブ(1)であって、
前記ロックスリーブ(1)の内側に設けられ、前記椎弓根スクリュー(14)の脚部(8)間の一定の距離を規定するために、前記脚部(8)間に挿入されるように適合された複数の溝ブロックまたはスロットナット(2)を含み、
前記溝ブロックまたはスロットナット(2)の少なくとも1つが、前記ロックスリーブ(1)に前記椎弓根スクリュー(14)の前記脚部(8)を挿入する方向とは反対方向に円錐状に徐々に細くなることを特徴とする、ロックスリーブ(1)。
【請求項2】
前記ロックスリーブ(1)の内側に設けられており、前記脚部(8)の軸方向上縁部に載り、前記ロックスリーブ(1)に前記脚部(8)が収容される深さを制限するように適合されている、ストップリングまたはストップ突起(7)をさらに含む、請求項1に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項3】
前記ロックスリーブ(1)の内周面への前記ストップリングまたはストップ突起(7)の半径方向の延在が、前記椎弓根スクリュー(14)の前記脚部(8)によって規定された通路(9)の内周面によって制限されることを特徴とする、請求項2に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項4】
前記ロックスリーブ(1)の前記内周面への前記複数の溝ブロックまたはスロットナット(2)の半径方向の延在が、前記ロックスリーブ(1)の前記内周面への前記ストップリングまたはストップ突起(7)の前記半径方向の延在に、最も延在している部分において一致することを特徴とする、請求項に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項5】
前記椎弓根スクリューから離れる方向に面する前記ロックスリーブ(1)の端部に設けられ、いくつかの椎弓根スクリュー(14)の前記脚部(8)を互いに整列するためのロッド(12)を受容する働きをする少なくとも1つの整列溝(5)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの整列溝(5)が前記溝ブロックまたはスロットナット(2)の少なくとも1つと軸方向に整列されることを特徴とする、請求項5に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項7】
前記脚部(8)を前記ロックスリーブ(1)に挿入する方向と反対方向への、前記脚部(8)からの前記ロックスリーブ(1)の望ましくない離脱を防止するための、前記椎弓根スクリュー(14)に面する前記ロックスリーブ(1)の端部に少なくとも1つの拘束要素を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの拘束要素が、前記脚部(8)の対応する長孔(10)の中で適所に掛止することによって、前記脚部(8)を前記ロックスリーブ(1)に挿入する前記方向と反対方向への前記脚部(8)の移動を防止する、弾性的に変形可能な掛止アーム(4)として形成されることを特徴とする、請求項7に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項9】
前記ロックスリーブ(1)が、前記ロックスリーブ(1)の前記内側の前記複数の溝ブロック(2)と、前記ロックスリーブ(1)の外側の少なくとも複数の対応する嵌合ブロック(3)とによって、押しボタン原理に従って互いに確実に接続される、2つの半スリーブ(1a、1b)から構成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項10】
前記ロックスリーブ(1)が1つの部品で製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
【請求項11】
スクリューシャフトと、延在されるチューリップ型脚部(8)を有するチューリップとから構成される少なくとも1つの椎弓根スクリュー(14)を含む椎骨の再位置決めシステムであって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)を備えることを特徴とする、椎骨の再位置決めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎弓根スクリューの延長される脚部または除去される脚部を受容し、ロック/固定するためのロックスリーブまたは固定スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
最小侵襲脊椎手術において、延長脚部を含む椎弓根スクリューは、各種器具なしでできる、従って皮膚の切開をかなり小さくすることができる−特に椎骨の再位置決めにおける−可能性を提供する。これは、手術中の患者のストレスを低減することと、手術後の治癒を促すことを可能にする。椎骨の再位置決めにおいて、延長脚部を含むチューリップ型ヘッドの椎弓根スクリューは最初に椎骨の椎弓根にねじ込まれ、その後、椎弓根スクリューを相互に整列するために整列ロッドがいくつかの椎弓根スクリューのチューリップ型ヘッドに挿入される。椎弓根スクリューが所望の位置で椎骨の椎弓根に配置され、正確に整列されると、外科医は椎弓根スクリューまたはそのチューリップ型ヘッドの延長脚部を取り除く。この手技を容易にし、バリのない状態で脚部を切断することを可能にするために、延長脚部を含む椎弓根スクリューはそれぞれ、スクリューヘッドと脚部の間に所定の切断点を含む。
【0003】
延長脚部は、組織応力および外科医の部分的操作によって生じる変形力の結果として所定の切断点にかかる負荷を増大する。それが、脚部が早く外れてしまわないよう、脚部の位置が固定されなければならない理由である。
【0004】
このため、椎弓根スクリューを挿入し整列する間、脚部を安定させるために椎弓根スクリューの延長脚部に被せることができる、ロックリングまたはロックスリーブが知られている。
【0005】
例えば、椎弓根スクリューの脚部に被せることができる簡単なリングの形態の簡単な脚部保護スリーブが特許文献1から知られている。この脚部保護スリーブの内側半径は、椎弓根スクリューのチューリップ型ヘッドの外側半径に一致し、脚部保護スリーブの内周面は滑らかになるように形成される。この解決策の欠点は、脚部が制御不能な態様で脚部保護スリーブの滑らかな内周面に沿って移動できるので、脚部保護スリーブ内の脚部の位置が一義的に規定されないことである。さらに、脚部保護スリーブ内の脚部が収容される深さも規定されず、脚部保護スリーブは脚部の軸方向に沿って適所から離れうるものとなり、これは望ましくない。
【0006】
さらに、脚部保護スリーブは、脚部を安定させることから離れた他の機能を一切有していない。従って、いくつかの椎弓根スクリューを整列するプロセスは、1つのそのような脚部保護スリーブを用いたそれぞれの場合において、椎弓根スクリューの各チューリップ型ヘッドの中に修正ロッドを挿入することによって、実行される。これは、修正ロッドが患者の組織のごく近くに存在し、外科医による修正ロッドのいかなる起こり得る変形も組織の不要な損傷をもたらし得るという影響を及ぼす。
【0007】
ロックリング内で脚部を配置する、幾分よりよく規定された方法が、従来技術から周知のロックリングによって、具体的には特許文献2から知られるロックリングによって提供される。
【0008】
周知のロックリングは、椎弓根スクリューの2つの脚部用の2つの取付け開口部または別個の溝を含む半リングである。このロックリングもまた椎弓根スクリューの脚部に被せることができるが、脚部を各取付け開口部にねじ込むことは時間がかかり、困難である。また、周知のロックリングを用いて、脚部保護スリーブ内の脚部が収容される深さは規定されず、ロックリングは脚部の軸方向に沿って不必要に滑る可能性がある。脚部の安定は別として、周知のリングはさらなる機能を果たさず、相互整列の間修正ロッドを椎弓根スクリューのチューリップ型ヘッドに挿入することに関する上記の困難は依然残ったままである。さらに、取付け開口部は脚部を完全に囲むので、器具のアクセスに利用可能であるとともに、脚部によって規定される脚部間の通路は狭められてしまう。これは、脚部間のアクセス用の溝がリングによって狭められるので、外科医が椎弓根スクリューを配置することをさらに困難にする。
【0009】
特許文献2によるロックリングはまた、椎弓根スクリューの2つの脚部用の2つの取付け開口部を含む。脚部を適所に維持し、脚部の望ましくない移動を防止するために、取付け開口部はごくわずかの隙間で脚部を囲む。これが、脚部を各取付け開口部にねじ込むことが、ここで非常に時間がかかり困難でもある理由である。
【0010】
椎弓根スクリューから離れる方向に面するその端部において、ロックリングは各取付け開口部において、ロックリング内での脚部の収容される深さを制限し、規定する停止部品を有する。ロックスリーブが脚部から不必要に滑ることを防止するために、各取付け開口部は、脚部が取付け開口部に挿入される場合、延長脚部の対応する溝ブロックが配置される狭い溝をさらに含む。そのような固定を解除し、ロックリングを椎弓根スクリューの脚部から取り外すために、ロックリングは溝に隣接する弾性的に変形可能な圧力アームをその外側に有し、外科医は前記圧力アームに外部圧力を適用することができ、それにより圧力アームは溝内へ移動し、溝ブロックを溝から押し出し、従って脚部をロックリングから分離する。
【0011】
このロックリングは、ロックリング内での椎弓根スクリューの脚部の安全で確実に規定された位置調整を確かに提供するが、いくつかの停止部品、狭い取付け開口部、狭い溝および圧力アームを含むロックリングの設計は、多すぎるアンダカット部分および手術中に生じる塵埃または組織粒子が蓄積する恐れがある見えない領域をもたらす。そのような複雑な設計を有するロックリングの清掃は非常に時間がかかり、困難である。
【0012】
脚部の安定は別として、特許文献2から知られるロックリングは、他の一切の機能を果たさず、相互整列の間、椎弓根スクリューのチューリップ型ヘッドの中に修正ロッドを挿入する間に組織を損傷する問題は、この場合も依然残っている。取付け開口部は少なくとも部分的に脚部を囲むので、脚部間の通路の内径(これは器具のアクセスに利用可能であり脚部によって規定される)はまた減少され、椎弓根スクリューの位置決めは外科医にとってより困難である。
【0013】
脚部間の器具のアクセスが可能な通路部分の内径の減少に関連する問題を回避するために、例えば特許文献3から知られるように、器具自体(例えばドライバ)にロックリングを備えることが可能である。この構成では、ロックリングはドライバと一緒に1つの部品で形成され、その結果、脚部はドライバの回転と同時に、またドライバの回転に対応して移動する。これは延長脚部にいかなるせん断効果が及ぶことを回避する。
【0014】
その欠点は、ロックリングと共に1つの部品で接続される器具は、ロックリングが適切なスクリューに対してしか使用できないことである。ここで、相互整列の間、椎弓根スクリューのチューリップ型ヘッドに修正ロッドを挿入する間に組織を損傷する問題は同様に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011111403A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20130096635A1号明細書
【特許文献3】米国特許第8496661B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
最も近い先行技術として特許文献2を考慮して、本発明の目的は、脚部間の器具のアクセスが可能な通路部分を狭めることなくロックスリーブ内での椎弓根スクリューの脚部の規定される位置調整を可能にし、容易に清掃もできるロックスリーブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1の特徴を含むロックスリーブによって達成される。本発明の有利なさらなる発展および改良は、従属項の主題である。
【0018】
本発明の主要な考えは、少なくとも部分的に椎弓根スクリューの脚部をそれぞれ囲む取付け開口部を有するロック/固定スリーブを設ける代わりに、脚部間に配置/挿入され、脚部を互いに一定の所定の距離に維持できるように適合された複数のスロットナット/溝ブロック/突起を、ロック/固定スリーブの内側においてロック/固定スリーブに設けることである。溝ブロック/スロットナットは脚部を囲むことなく脚部間に単に配置/挿入されるので、脚部間の通路/内側断面はロック/固定スリーブによって狭められない。ロック/固定スリーブ内で脚部が収容される深さを規定するために、ロック/固定スリーブは好ましくはその内側に、半径方向内側に延在する突起の形態のストップリングまたは軸方向の停止部が設けられ、ストップリングまたは軸方向の停止部は脚部の上縁部(遠位前縁部)に載るように設けられる。ストップリングおよび複数の溝ブロック/スロットナットを含むロック/固定スリーブの簡単な構成により、多数の死角やアンダカット部分を形成することなく、従って衛生上の観点から考えて不利な点なく、椎弓根スクリューの脚部をロック/固定スリーブ内の所定の軸方向および/または回転方向位置に確実に固定することができる。
【0019】
脚部上にロック/固定スリーブを配置するプロセスを簡単にするために、一実施形態は、ロック/固定スリーブの内側の複数の溝ブロック/スロットナットの少なくとも1つが、ロック/固定スリーブ内へ椎弓根スクリューの脚部を挿入する方向とは反対方向に円錐状(すなわち好ましくはV字状)に徐々に細くなるという対策を講じる。ここで、溝ブロック/スロットナットは、椎弓根スクリュー/チューリップ型ヘッドの脚部間のスロット/間隙内に挿入される。円錐形状により、脚部は最大距離で互いに離間された状態に維持される。
【0020】
ストップリング/軸方向の停止部は、ロック/固定スリーブ内に椎弓根スクリューの脚部が収容される深さを軸方向において制限する働きをする。ストップリング/軸方向の停止部は、ロック/固定スリーブの内側に設けられる好ましくは環状の突起であり、これはロック/固定スリーブの円周全体に沿ってまたはその一部に延在する。ストップリング/軸方向の停止部は、椎弓根スクリューから離れたロック/固定スリーブの端部近傍に形成されることが好ましい。椎弓根スクリューの脚部間に形成される通路がストップリング/軸方向の停止部によって妨げられないことを保証するために、好ましい実施形態は、ロック/固定スリーブの内周面のストップリング/軸方向の停止部の半径方向の延在が、椎弓根スクリューの脚部によって規定される通路の内周面によって制限されるという対策を講じる。これは、ストップリング/軸方向の停止部が、脚部間に形成される通路内に脚部を越えて半径方向内側に突出しないこと、従って器具を通路に挿入するプロセスを妨げないことを意味する。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、ロック/固定スリーブの内周面の複数の溝ブロック/スロットナットの半径方向の延在は、ロック/固定スリーブの内周面のストップリング/軸方向の停止部の半径方向の延在に最も延在する部分において一致する。これは溝ブロック/スロットナットが、脚部間に形成された通路を狭めることを防止する。
【0022】
ロック/固定スリーブはさらに、少なくとも1つの整列溝/二重溝が椎弓根スクリューから離れる方向に面するロック/固定スリーブの端部に設けられ、いくつかの椎弓根スクリューの脚部を互いに整列するための修正ロッドを横方向に受容する役割を果たす点で改善することができる。これは、修正ロッドを用いてロック/固定スリーブ自体をいくつかの椎弓根スクリューの整列に使用することを可能にする。ここで、修正ロッドは、スリーブの軸を横切るいくつかのロック/固定スリーブの整列溝に挿入される。これは、修正ロッドをチューリップ型ヘッドに/椎弓根スクリューの脚部間に挿入することによる椎弓根スクリューの周知の先行技術の整列の場合のように、修正ロッドが患者の組織にすぐ隣接して配置されないことを意味する。従って、患者の組織にすぐ隣接する修正ロッドの屈曲によって組織を損傷する危険性が低減され、整列は侵襲性をより減少させる。さらには、(脚部は互いに曲げられないので)脚部が受ける応力の程度はより小さくなり、従ってそれらの所定の切断点は切断されない。
【0023】
有利な実施形態では、ロック/固定スリーブの少なくとも1つの整列溝は、溝ブロック/スロットナットの少なくとも1つと整列される。これは、椎弓根スクリューを整列する間の修正ロッドによる整列溝の移動が、椎弓根スクリューの脚部に最適な方法で伝達されることを意味する。
【0024】
有利なさらなる発展によれば、ロック/固定スリーブはさらに、ロック/固定スリーブに脚部を挿入する方向と反対方向および/または挿入する方向における脚部からのロック/固定スリーブの望ましくない離脱を防止するために、椎弓根スクリュー近傍のロック/固定スリーブの端部に少なくとも1つの拘束要素を含む。一実施形態によれば、少なくとも1つの拘束要素は、弾性的に変形可能な掛止アーム(末端掛止ノーズを含むばね舌状部)として形成され、脚部の対応する長孔の中で適所に掛止することによってロック/固定スリーブに脚部を挿入する方向と反対方向および/または挿入する方向における脚部の移動を防止する。ここで、ロック/固定スリーブの内周面への少なくとも1つの掛止アームまたはその掛止ノーズの半径方向の延在は、ロック/固定スリーブの内周面へのストップリング/軸方向の停止部の半径方向の延在に最も延在する部分において一致する。これは少なくとも1つの掛止アームが、脚部間に形成された通路を狭めることを防止する。
【0025】
好ましい実施形態では、ロック/固定スリーブは、ロック/固定スリーブの内側の複数の溝ブロック/スロットナットと、ロック/固定スリーブの外側の対応する数の対応する嵌合ブロックと、によって、押しボタン原理に従って互いに確実に接続される2つの半スリーブから構成される。代替策として、ロック/固定スリーブは1つの部品で製造されてもよく、または半スリーブは他のいずれかの方法で接続することができる。ロック/固定スリーブは金属、プラスチックまたは他のいずれかの好適な材料から作製可能である。
【0026】
ロック/固定スリーブの安定性を改善するために、ロック/固定スリーブはその外側に、ロック/固定スリーブの長手方向軸に沿って延在するいくつかの補強溝がさらに設けられていてもよい。
【0027】
本発明のさらなる特徴および利点は、図1〜9を参照する好ましい実施形態の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明によるロック/固定スリーブの側面図である。
図2図1の角度と別の角度から見た、本発明によるロック/固定スリーブの側面図である。
図3】本発明によるロック/固定スリーブの正面図である。
図4】本発明によるロック/固定スリーブの横方向上面図である。
図5】本発明によるロック/固定スリーブを上に配置した延長脚部を含む椎弓根スクリューを示す。
図6】延長脚部を含む椎弓根スクリュー上に配置された、本発明によるロック/固定スリーブの詳細図である。
図7図6の角度と別の角度から見た、延長脚部を含む椎弓根スクリュー上に配置された、本発明によるロック/固定スリーブの詳細図である。
図8】本発明によるロック/固定スリーブを上に配置可能な椎弓根スクリューの脚部の詳細図である。
図9】延長脚部と、脚部上に配置された本発明によるロック/固定スリーブとを含むいくつかの椎弓根スクリューの相互整列を示し、前記整列は修正ロッドによってもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示されるように、ロックスリーブ1は、ロックスリーブ1の内側の2つの軸方向円錐状の溝ブロック2と、ロックスリーブ1の外側の2つの対応する嵌合ブロック3とによって、押しボタン原理に従って互いに接続される、2つの同一の半スリーブ1a、1bから構成される。この構成において、ロックスリーブ1のそれぞれ内側および外側の1つの溝ブロック2と1つの嵌合ブロック3は、互い反対側にある。ロックスリーブ1の内側の2つの円錐状の溝ブロックは、最初に言及した従来技術による周知の椎弓根スクリューの脚部をロックスリーブ1に挿入する方向とは反対方向にロックスリーブ1の第1端部に向かって徐々に細くなっている。ロックスリーブ1が、椎弓根スクリューの脚部をロックスリーブ1に挿入する方向とは反対方向におよび/または挿入する方向において椎弓根スクリューの脚部から滑り落ちないように、ロックスリーブ1は、その第1端部に、2つの弾性的に変形可能な、軸方向に延在する掛止アームまたはばね舌状部4を設けられる。各掛止アーム4は、突起または掛止ノーズ4aを含み、それはロックスリーブ1の内周面まで内側に突出し、くさび状にロックスリーブ1の第1端部に向かって平坦になっている。ロックスリーブ1の第1端部と反対の第2端部に、ロックスリーブ1は2つの軸方向に延在する整列溝5(1つだけを図1で見ることができる)を含み、それらはそれぞれ、直径方向に対向する円錐状の溝ブロック2の1つと軸方向に整列し、整列溝の中に、いくつかのロックスリーブ1を相互に整列するための修正ロッド(図9参照)を、スリーブ1に対して横方向に位置するように配置することができる。ロックスリーブ1の外側は、いくつかの軸方向の補強溝6をさらに設けられる。
【0030】
図2は、図1のロックスリーブを、側面で、図1とは別の角度から見られるように示す。この図では、2つの半スリーブ1aおよび1bのうちの1つだけを見ることができる。ここで、同じ参照符号は同じ構成要素に関する。この図から分かるように、ばね舌状部/掛止アーム4は、スリーブの長さの略3分の1で終了する、2つの円周方向に離間した軸方向のスロットによって形成される。
【0031】
図3は本発明によるロックスリーブ1の断面図/正面図を示し、ロックスリーブ1の第1端部は見る人の方向に面している。先行の図のように、同じ参照符号は同じ構成要素に関する。この図では、環状ストップリング7は、ロックスリーブ1の内周の外形全体に沿って形成され、ロックスリーブ1の内周面へ半径方向に突出することもわかる。さらに、半径方向に内側方向の溝ブロック2および掛止アーム4は、ストップリング7によって画定されたロックスリーブの内周面まで突出しないことがわかる。これが、ロックスリーブ1の内径、従って椎弓根スクリューの脚部間の器具のアクセスが可能な通路が狭められない理由である。
【0032】
図4はロックスリーブ1の第2端部における2つの整列溝5を明確に示す。これらの各整列溝5は、それぞれ溝ブロック2と軸方向に整列する。
【0033】
図5は、本発明によるロックスリーブ1が配置される延長脚部8を含む椎弓根スクリュー14を示す。椎弓根スクリュー14の2つの延長脚部8は、それらの間に器具のアクセスが可能な通路9を形成する。ロックスリーブ1の溝ブロック2は、通路9の最大直径を達成し、従って通路9への器具の容易な挿入を達成するために、脚部8を互いから最大距離に維持する。
【0034】
図6はどのように脚部8がロックスリーブに配置されるかを詳細に示す。円錐状の溝ブロック2は椎弓根スクリューの脚部8の間に広がった状態で配置され、従って脚部8間の通路9を開いた状態に維持する。ここで、脚部8は側面でロックスリーブ1に載り、互いに平行になるように延在する。ストップリング7は脚部8の上縁部のそれぞれに載り、ロックスリーブ1内の脚部8が収容される深さを規定する。この構成では、ストップリング7は、脚部8によって規定された通路9の中に突出しない。
【0035】
図7は、どのようにロックスリーブ1の掛止アーム4が脚部8の1つの長孔10とそれぞれ係合し、ロックスリーブが脚部8から不必要に滑り落ちることを防止するかを詳細図で示す。掛止アーム4は、半径方向に弾性的に変形可能であり、ロックスリーブの内側に面する側にそれぞれ突起4aを含む。脚部8がロックスリーブ1に挿入されるとき、突起4aを含む掛止アーム4は、掛止アーム4が脚部8の各長孔10に達しその中で適所に掛止するまで、弾性的に外側へ押される。掛止アーム4が長孔10の中で適所に係止される場合、脚部8を挿入する方向と反対方向へのロックスリーブ1の移動は、長孔10の中へ半径方向に突出している各掛止アーム4の突起4aによって妨げられる。挿入方向におけるロックスリーブ1内の脚部8の位置を規定するストップリング7と、挿入方向と反対方向におけるロックスリーブ1内の脚部8の位置を規定する掛止アーム4と、ロックスリーブ1の円周方向における脚部8の位置を規定しロックスリーブ1の円周方向における脚部8の回転を防止する溝ブロックとの協働により、ロックスリーブ1内の脚部8の位置を、全ての方向において一義的に規定することができる。ロックスリーブ1の特別の設計により、アンダカット部分または死角は存在せず、その結果、ロックスリーブ1は容易に洗浄することができる。
【0036】
図8は、掛止アーム4を受容するための長孔10をそれぞれ含む2つの脚部8の詳細図である。さらに、椎弓根スクリューから離れる方向に面する脚部8の端部には、各脚部8の長孔10と整列される溝11がそれぞれ設けられる。
【0037】
図9に示されるように、ロックスリーブ1は、椎弓根スクリュー14の延長脚部8をロックする機能に加えて、いくつかの椎弓根スクリュー14の脚部8を相互に整列する追加の機能を有する。このため、修正ロッド12は、椎弓根スクリュー14の2つの脚部8上にそれぞれ配置された、いくつかのロックスリーブ1の整列溝5に配置される。従って、修正ロッドは、脚部8の長さだけ椎弓根スクリュー14のチューリップ型ヘッド13から離間される。従って、いくつかの椎弓根スクリュー14の相互整列は、最小限の侵襲性で、かつ最小限の組織の損傷で実行可能である。
以下の項目は、本出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
椎弓根スクリュー(14)用のロックスリーブ(1)であって、
前記ロックスリーブ(1)の内側に設けられ、前記椎弓根スクリュー(14)の脚部(8)間の一定の距離を規定するために、前記脚部(8)間に挿入されるように適合された複数の溝ブロックまたはスロットナット(2)を含み、
前記溝ブロックまたはスロットナット(2)の少なくとも1つが、前記ロックスリーブ(1)に前記椎弓根スクリュー(14)の前記脚部(8)を挿入する方向とは反対方向に円錐状に徐々に細くなることを特徴とする、ロックスリーブ(1)。
(項目2)
前記ロックスリーブ(1)の内側に設けられており、前記脚部(8)の軸方向上縁部に載り、前記ロックスリーブ(1)に前記脚部(8)が収容される深さを制限するように適合されている、ストップリングまたはストップ突起(7)をさらに含む、項目1に記載のロックスリーブ(1)。
(項目3)
前記ロックスリーブ(1)の内周面への前記ストップリングまたはストップ突起(7)の半径方向の延在が、前記椎弓根スクリュー(14)の前記脚部(8)によって規定された通路(9)の内周面によって制限されることを特徴とする、項目2に記載のロックスリーブ(1)。
(項目4)
前記ロックスリーブ(1)の前記内周面への前記複数の溝ブロックまたはスロットナット(2)の半径方向の延在が、前記ロックスリーブ(1)の前記内周面への前記ストップリングまたはストップ突起(7)の前記半径方向の延在に、最も延在している部分において一致することを特徴とする、項目1〜3のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
(項目5)
前記椎弓根スクリューから離れる方向に面する前記ロックスリーブ(1)の端部に設けられ、いくつかの椎弓根スクリュー(14)の前記脚部(8)を互いに整列するためのロッド(12)を受容する働きをする少なくとも1つの整列溝(5)を備えることを特徴とする、項目1〜4のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
(項目6)
前記少なくとも1つの整列溝(5)が前記溝ブロックまたはスロットナット(2)の少なくとも1つと軸方向に整列されることを特徴とする、項目5に記載のロックスリーブ(1)。
(項目7)
前記脚部(8)を前記ロックスリーブ(1)に挿入する方向と反対方向への、前記脚部(8)からの前記ロックスリーブ(1)の望ましくない離脱を防止するための、前記椎弓根スクリュー(14)に面する前記ロックスリーブ(1)の端部に少なくとも1つの拘束要素を備えることを特徴とする、項目1〜6のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
(項目8)
前記少なくとも1つの拘束要素が、前記脚部(8)の対応する長孔(10)の中で適所に掛止することによって、前記脚部(8)を前記ロックスリーブ(1)に挿入する前記方向と反対方向への前記脚部(8)の移動を防止する、弾性的に変形可能な掛止アーム(4)として形成されることを特徴とする、項目7に記載のロックスリーブ(1)。
(項目9)
前記ロックスリーブ(1)が、前記ロックスリーブ(1)の前記内側の前記複数の溝ブロック(2)と、前記ロックスリーブ(1)の外側の少なくとも複数の対応する嵌合ブロック(3)とによって、押しボタン原理に従って互いに確実に接続される、2つの半スリーブ(1a、1b)から構成されることを特徴とする、項目1〜8のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
(項目10)
前記ロックスリーブ(1)が1つの部品で製造されることを特徴とする、項目1〜8のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)。
(項目11)
スクリューシャフトと、延在されるチューリップ型脚部(8)を有するチューリップとから構成される少なくとも1つの椎弓根スクリュー(14)を含む椎骨の再位置決めシステムであって、
項目1〜10のいずれか一項に記載のロックスリーブ(1)を備えることを特徴とする、椎骨の再位置決めシステム。
図1
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図9