特許第6677999号(P6677999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677999
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20200330BHJP
   G01N 23/083 20180101ALI20200330BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20200330BHJP
【FI】
   G01N23/18
   G01N23/083
   G01N23/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-200979(P2015-200979)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2017-72540(P2017-72540A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】万木 太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 務
(72)【発明者】
【氏名】久保 拓右
(72)【発明者】
【氏名】樽本 祥憲
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−063549(JP,A)
【文献】 特開2010−182131(JP,A)
【文献】 特開2014−071072(JP,A)
【文献】 特開平07−306165(JP,A)
【文献】 特開2012−108701(JP,A)
【文献】 特開2009−122035(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0160588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過したX線を検出し、信号を出力するX線検出部と、
前記物品を被写体とするX線透過画像を用いて前記物品の検査処理を行う検査部と、
前記検査部と外部記録媒体とのインターフェース部と、
を備え、
前記検査部は、前記検査処理の実行中に前記外部記録媒体が前記インターフェース部に接続された場合、前記外部記録媒体との接続処理よりも前記検査処理を優先的に行う、
物品検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記外部記録媒体のドライバを無効にした状態とすることにより、前記外部記録媒体との接続処理よりも前記検査処理を優先的に行う請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記インターフェース部に接続された前記外部記録媒体へ電力を供給させる電源部を備え、
前記検査部は、前記外部記録媒体へ電力を供給させないように前記電源部を動作させることにより、前記外部記録媒体との接続処理よりも前記検査処理を優先的に行う請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記検査処理の実行中に前記外部記録媒体が前記インターフェース部に接続された場合、前記検査部による前記物品の検査結果に関わらず前記物品を不良とする検査決定部を備える請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記検査部は、前記検査処理として少なくとも画像処理を行う請求項1〜4の何れか一項に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、X線の透過性を利用して物品の検査を行うX線検査装置が記載されている。この装置は、画像処理などの検査処理を行うCPU(Central Processing Unit)及び記録媒体インターフェース部を備えている。記録媒体インターフェースにはUSB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブなどの外部記録媒体が差し込まれ、CPUと接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−16239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置においては、外部記録媒体がCPUと接続されたタイミングでCPUの処理負荷が一時的に増大する場合がある。この場合、検査処理が遅延したりタイムアウトしたりするおそれがある。
【0005】
本発明は、外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を抑制することができる物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品検査装置は、物品を被写体とする画像を用いて物品の検査処理を行う検査部と、検査部と外部記録媒体とのインターフェース部と、を備え、検査部は、検査処理の実行中に外部記録媒体がインターフェース部に接続された場合、外部記録媒体との接続処理よりも検査処理を優先的に行う。
【0007】
本発明に係る物品検査装置では、検査処理の実行中に外部記録媒体がインターフェース部に接続された場合、外部記録媒体との接続処理よりも検査処理が優先的に行われる。したがって、検査処理に必要なリソースが接続処理に割り当てられることを回避することができる。よって、外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を抑制することができる。
【0008】
検査部は、外部記録媒体のドライバを有効から無効へ切り替えることにより、外部記録媒体との接続処理よりも検査処理を優先的に行ってもよい。この場合、外部記録媒体の接続処理が中断又は中止されるため、外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を確実に抑制することができる。
【0009】
物品検査装置は、検査部に接続され、インターフェース部に接続された外部記録媒体へ電力を供給する電源部を備え、検査部は、外部記録媒体へ電力を供給させないように電源部を動作させることにより、外部記録媒体との接続処理よりも検査処理を優先的に行ってもよい。この場合、外部記録媒体の接続処理が中断又は中止されるため、外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を確実に抑制することができる。
【0010】
物品検査装置は、検査処理の実行中に外部記録媒体がインターフェース部に接続された場合、検査部による物品の検査結果に関わらず物品を不良とする検査決定部を備えてもよい。この場合、外部記録媒体が接続された場合には物品が不良とされるので、検査を安全サイドで処理することができる。
【0011】
物品検査装置は、物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過したX線を検出し、信号を出力するX線検出部と、を備え、検査部は、X線透過画像を用いて物品の検査処理を行ってもよい。つまり物品検査装置はX線検査装置であってもよい。また、検査部は、検査処理として少なくとも画像処理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るX線検査装置の外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るX線検査装置のシールドボックス内の構成を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係るX線検査装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係るX線検査装置において実施される検査優先方法を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係るX線検査装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係るX線検査装置において実施される検査優先方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態として、物品検査装置の一例であるX線検査装置を説明する。図1は、X線検査装置1の外観を示す斜視図である。図2は、X線検査装置1のシールドボックス3内の構成を示す斜視図である。図1及び図2に示されるように、X線検査装置(物品検査装置)1は、シールドボックス3、コンベヤ5、X線照射器(X線照射部)7、X線ラインセンサ(X線検出部)9、モニタ11及びインターフェース部13を備えている。X線検査装置1は、食品などの物品Gの生産ラインに設置され、物品Gに含まれる異物の有無を検査する。
【0016】
シールドボックス3の内部には、コンベヤ5、X線照射器7及びX線ラインセンサ9が収容されている。シールドボックス3の両側面には、一対の開口部3aが設けられている。各開口部3aは、例えば鉛又はタングステンを含むゴムからなる遮蔽カーテン(図示省略)によって塞がれている。これにより、各開口部3aを介してシールドボックス3外にX線が漏洩することが抑制されている。
【0017】
コンベヤ5は、一対の開口部3a間に掛け渡されるように、シールドボックス3内に配置されている。コンベヤ5は、コンベヤモータ(図示省略)によって無端状のベルト5aを回転させることで、ベルト5a上に載置された物品Gを搬送する。これにより、物品Gは、一方の開口部3aを介してシールドボックス3内に搬入され、他方の開口部3aを介してシールドボックス3外に搬出される。
【0018】
X線照射器7は、ベルト5aの上方に位置するように、シールドボックス3内に配置されている。X線照射器7は、ベルト5aの幅方向に沿ってベルト5aを横切るようにX線を照射する。これにより、X線照射器7は、コンベヤ5によって搬送される物品GにX線を照射する。
【0019】
X線ラインセンサ9は、ベルト5aの下方に位置するように、シールドボックス3内に配置されている。X線ラインセンサ9は、ベルト5aの幅方向に沿って一列に配置された複数の画素センサ9aを有している。これにより、X線ラインセンサ9は、コンベヤ5によって搬送される物品Gを透過したX線を検出する。
【0020】
モニタ11は、例えば液晶ディスプレイであり、処理画像等の各種情報を表示する。モニタ11は、タッチパネル機能を有しており、オペレータによる各種条件の入力などを受け付ける操作インターフェースとして機能する。例えば、モニタ11は、操作画面を表示し、X線照射開始、X線照査終了、コンベヤ5の駆動開始、コンベヤ5の駆動終了、検査閾値の設定などのオペレータ指示を受け付ける。
【0021】
インターフェース部13は、後述する外部記録媒体15(図3)をX線検査装置1に接続する接続部である。つまり、インターフェース部13は、後述する制御部20(図3)と外部記録媒体15との接続部である。例えば、インターフェース部13は、外部記録媒体15のコネクタ(雄端子)に対応するポート(雌端子)である。インターフェース部13は、プラグランドプレイが標準化されているインターフェース規格に準拠したものであってもよい。プラグランドプレイとは、外部記録媒体15が接続された際に、オペレーションシステムが機器検出を行い、外部記録媒体15を使用できる状態にするための設定を自動的に行う仕組みのことである。このような規格として、例えば、USB、IEEE1394、シリアルATA(Advanced Technology Attachment)などがある。また、図中では、インターフェース部13にカバーが装着されている。
【0022】
図3は、第1実施形態に係るX線検査装置1の機能的な構成を示すブロック図である。図3に示されるように、X線検査装置1は、制御部20を更に備えている。制御部20は、演算部及び記録部で構成されている。制御部20は、例えば、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などによって構成されている。図3においては、制御部20において実現される機能をブロックで示している。制御部20は、機能部である検査部21及び電源部23を有している。
【0023】
検査部21は、X線検査を行う機器に接続されており、物品Gの検査処理を行う。例えば、検査部21は、X線照射器7及びX線ラインセンサ9に接続されており、これらの動作を制御する。検査部21は、モニタ11に接続されており、モニタ11を介してオペレータ指示を取得し、オペレータ指示に基づいてX線照射器7及びX線ラインセンサ9を動作させる(X線動作処理)。
【0024】
検査部21は、物品Gを被写体とする画像を用いて物品Gの検査処理を行う。例えば、検査部21は、X線ラインセンサ9から出力された信号に基づいて物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に画像処理を施して処理画像を生成する(画像処理)。画像処理とは、画像を生成又は解析する処理である。X線透過画像とは、X線透過量を画素値に反映させた像である。検査部21は、生成した処理画像に基づいて、物品Gに含まれる異物の有無を検査する(判定処理)。検査部21は、モニタ11に接続されており、モニタ11を介してオペレータ指示を取得するとともに、処理画像などをモニタ11に表示させる。検査処理とは、少なくとも画像処理を含む上述した一連の処理のことである。つまり、検査処理は、画像処理だけであってもよいし、画像処理及び判定処理であってもよいし、X線動作処理、画像処理及び判定処理であってもよい。
【0025】
電源部23は、インターフェース部13の電源制御を行う。電源部23は、インターフェース部13に接続された外部記録媒体15へ電力を供給させる。電源部23は、例えばインターフェース部13に常時電力を供給するように電源(不図示)を制御する。これにより、インターフェース部13に外部記録媒体15が接続された場合には、インターフェース部13を介して外部記録媒体15に電力が供給され、読み込み又は書き込みが実現する。
【0026】
外部記録媒体15は、機器接続用のコネクタを備える記録媒体である。外部記録媒体15は、インターフェース部13の規格に対応するコネクタを有する。外部記録媒体15は、例えば、USBフラッシュドライブ、IEEE1394コネクタ又はシリアルATAコネクタ付きの記録媒体などである。
【0027】
検査部21は、インターフェース部13に外部記録媒体15が接続された場合、外部記録媒体15を使用できる状態にする接続処理を行う。接続処理は、プラグアンドプレイの規格に対応する外部記録媒体15の場合には、外部記録媒体15がインターフェース部13に接続されたタイミングで自動的に行われる。プラグアンドプレイに対応していないインターフェース部13及び外部記録媒体15の場合には、モニタ11を介したオペレータ指示により接続処理が行われる。接続処理では、例えば、外部記録媒体15を認識したり、当該ドライバをインストールしたり、外部記録媒体15のドライバを有効にしたりする。
【0028】
ここで、検査部21は、検査処理と接続処理とが並行して行われる状況下においては、外部記録媒体15との接続処理よりも検査処理を優先的に行う。このような状況の一例としては、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続された場合である。「接続処理よりも検査処理を優先的に行う」とは、検査処理のタスク優先度を接続処理よりも上げること、接続処理のタスク優先度を検査処理よりも下げること、又は、接続処理そのものを実行させないようにすることを意味する。タスク優先度とは、検査部21の処理実行順の優先度であり、処理すべきタスクごとに割り振られるものである。タスク優先度が高いほど、処理実行順が早くなる。
【0029】
接続処理そのものを実行させないようにする例として、検査部21は、検査処理が開始された場合(例えばX線照査が開始された場合)、外部記録媒体15のドライバを無効にした状態とすることにより、外部記録媒体15との接続処理よりも検査処理を優先的に行う。検査部21は、検査処理が終了した場合、無効にしたドライバを有効にしてもよい。あるいは、検査部21は、検査処理が開始された場合、外部記録媒体15へ電力を供給させないように電源部23を動作させることにより、外部記録媒体15との接続処理よりも検査処理を優先的に行う。検査部21は、検査処理が終了した場合、外部記録媒体15へ電力を供給可能な状態にするように電源部23を動作させてもよい。あるいは、検査部21は、検査処理が開始された場合、接続処理に関するタスクを監視してキャンセルする監視プログラムを実行してもよい。検査部21は、検査処理が終了した場合、監視プログラムの動作を終了させてもよい。あるいは、インターフェース部13にロック機構(不図示)を設け、検査処理が開始された場合、インターフェース部13に外部記録媒体15を物理的に接続することができないようにさせてもよい。例えば、インターフェース部13に電子錠付きのカバーを設け、検査処理中にインターフェース部13が使用できないように施錠してもよい。検査部21は、検査処理が終了した場合、インターフェース部13の電子錠を解錠してもよい。
【0030】
次に、X線検査装置1において実施される検査優先方法を説明する。図4は、X線検査装置1において実施される検査優先方法を示すフローチャートである。図4の処理は、X線検査装置1の電源がONされたタイミングで実行される。
【0031】
図4に示されるように、最初に、検査部21は、検査開始判定処理(S10)として、検査処理開始のトリガーを取得したか否かを判定する。検査部21は、X線の照射を開始する旨のオペレータ指示を取得した場合には、検査処理開始のトリガーを取得したと判定する。検査部21は、その他のオペレータ指示又は機器状態に基づいて検査処理開始のトリガーを取得したか否かを判定してもよい。検査部21は、検査開始判定処理(S10)にて検査処理開始のトリガーを取得したと判定した場合、検査優先処理(S12)を実行する。
【0032】
検査部21は、検査優先処理(S12)として、外部記録媒体15の接続処理よりも検査処理が優先的に行われるように設定する処理を行う。検査部21は、外部記録媒体15のドライバを有効から無効へ切り替える。あるいは、検査部21は、外部記録媒体15へ電力を供給させないように電源部23を動作させてもよい。例えば、検査部21は、電源部23に対して、インターフェース部13へ供給している電力を停止させる。あるいは、検査部21は、検査処理のタスク優先度を接続処理よりも上げたり、接続処理のタスク優先度を検査処理よりも下げたりしてもよい。あるいは、検査部21は、接続処理に関するタスクを監視してキャンセルする監視プログラムを実行してもよい。あるいは、検査部21は、電子錠を制御してインターフェース部13が使用できないように施錠してもよい。検査優先処理(S12)が終了すると、検査部21は、検査終了判定処理(S16)を実行する。
【0033】
検査部21は、検査終了判定処理(S16)として、検査処理終了のトリガーを取得したか否かを判定する。検査部21は、X線の照射を終了する旨のオペレータ指示を取得した場合には、検査処理終了のトリガーを取得したと判定する。検査部21は、その他のオペレータ指示又は機器状態に基づいて検査処理終了のトリガーを取得したか否かを判定してもよい。検査部21は、検査終了判定処理(S16)にて検査処理終了のトリガーを取得していないと判定している間、検査終了判定処理(S16)を繰り返し実行する。検査部21は、検査終了判定処理(S16)にて検査処理終了のトリガーを取得したと判定した場合、復帰処理(S18)を実行する。なお、検査部21は、無限ループ回避のために、所定時間経過した場合には検査処理終了のトリガーを取得したとみなしてもよい。
【0034】
検査部21は、復帰処理(S18)として、検査優先処理(S12)にて設定した条件を検査優先処理(S12)の設定前の条件へ戻す処理を行う。検査部21は、外部記録媒体15のドライバを無効から有効へ切り替える。あるいは、検査部21は、外部記録媒体15へ電力を供給させるように電源部23を動作させてもよい。例えば、検査部21は、電源部23に対して、インターフェース部13への電力供給を再開させる。あるいは、検査部21は、検査処理のタスク優先度を元に戻してもよい。あるいは、検査部21は、監視プログラムを終了させてもよい。あるいは、検査部21は、インターフェース部13の電子錠を制御して解錠してもよい。復帰処理(S18)が終了すると、図4に示された検査優先方法は終了する。図4に示されるフローチャートが終了すると、開始に戻る。X線検査装置1の電源がOFFされるまで、図4に示されるフローチャートは繰り返し実行される。
【0035】
以上説明したように、X線検査装置1では、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続された場合、外部記録媒体15との接続処理よりも検査処理が優先的に行われる。したがって、検査処理に必要なリソースが接続処理に割り当てられることを回避することができる。よって、外部記録媒体15が検査の信頼性に与える影響を抑制することができる。
【0036】
また、X線検査装置1では、検査処理中は接続処理そのものを実行させないようにすることもできる。この場合、外部記録媒体の接続処理が中断又は中止されるため、外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を確実に抑制することができる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るX線検査装置1Aは、第1実施形態に係るX線検査装置1と比べて、検査決定部を備える点、及び、検査部21Aがタスク優先度を利用して接続処理よりも検査処理を優先的に行う場合に限定される点が相違し、その他は同一である。
【0038】
図5は、X線検査装置1Aの機能的な構成を示すブロック図である。図5に示されるように、制御部20Aは、検査部21A、電源部23及び検査決定部25を備えている。検査部21A及び検査決定部25以外の構成は、X線検査装置1の構成と同一であるため、説明を省略する。
【0039】
検査部21Aは、検査部21と比べて、接続処理そのものを実行させないようにする動作は行わずに接続処理よりも検査処理を優先的に行う点が相違する。つまり、検査部21Aは、検査処理のタスク優先度を接続処理よりも上げること、接続処理のタスク優先度を検査処理よりも下げることによって、接続処理よりも検査処理を優先的に行う。検査部21Aの他の機能は、検査部21と同一である。
【0040】
検査決定部25は、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続されたか否かを判定する。そして、検査決定部25は、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続された場合、検査部21による物品Gの検査結果に関わらず物品Gを不良とする。つまり、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続された場合には、検査の信頼性に影響がある可能性がゼロではないため、検査結果に関わらず物品Gを不良と処理することにより、検査の信頼性を確保する。
【0041】
次に、X線検査装置1Aにおいて実施される検査優先方法を説明する。図6は、X線検査装置1Aにおいて実施される検査優先方法を示すフローチャートである。図6に示される検査開始判定処理(S20)は、図4に示される検査開始判定処理(S10)と同一であるので、説明を省略する。
【0042】
検査部21Aは、検査優先処理(S22)として、検査処理のタスク優先度を接続処理よりも上げる。あるいは、検査部21Aは、接続処理のタスク優先度を検査処理よりも下げてもよい。
【0043】
検査決定部25は、検査優先処理(S22)が終了すると、接続判定処理(S24)を行う。検査決定部25は、接続判定処理(S24)として、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続されたか否かを判定する。検査決定部25は、接続判定処理(S24)において、検査処理の実行中に外部記録媒体15がインターフェース部13に接続されたと判定した場合、決定処理(S25)を行う。
【0044】
検査決定部25は、決定処理(S25)として、外部記録媒体15が接続されたタイミングで行われた検査について、検査結果に関わらず物品Gを不良と処理する。決定処理(S25)が終了した場合、又は、接続判定処理(S24)において外部記録媒体15がインターフェース部13に接続されたと判定されない場合、検査部21は検査終了判定処理(S26)を実行する。
【0045】
検査終了判定処理(S26)及び復帰処理(S28)は、図4に示される検査終了判定処理(S16)及び復帰処理(S18)と同一であるので、説明を省略する。図6に示されるフローチャートが終了すると、開始に戻る。X線検査装置1Aの電源がOFFされるまで、図6に示されるフローチャートは繰り返し実行される。
【0046】
以上説明したように、X線検査装置1Aでは、外部記録媒体15が接続された場合には物品Gが不良とされるので、検査を安全サイドで処理することができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、本発明に係る物品検査装置は、X線検査装置に限定されず、画像処理を含む検査処理を行う物品検査装置であればよい。例えば、近赤外線又はその他の電磁波を利用して得られた画像を用いて物品の検査を行う物品検査装置や、カメラによって撮像された画像を用いて検査処理を行う物品検査装置であってもよい。
【0049】
また、本発明は、物品Gに含まれる異物の有無を検査するものに限定されず、フィルム包装材等のパッケージ内に食品等の内容物を収容して出荷するような物品において、パッケージの封止部への内容物の噛み込み、パッケージ内での内容物の破損、パッケージ内への異物の混入等を検査するものであってもよい。また、物品Gの種類は肉に限定されず、様々な物品を検査対象とすることができる。同様に、異物の種類は金属に限定されず、様々な異物を検査対象とすることができる。
【0050】
また、検査部21及び電源部23は、機能ブロックとして構成されるものに限定されず、ハード構成として構成されていてもよい。
【0051】
また、別の態様として、外部記録媒体15が接続されているときには、検査処理が行えないようにしてもよい。例えば、第1実施形態において、検査部21は、外部記録媒体15の接続がされている場合には、X線照射器7からX線を照射しないように構成すればよい。具体的には、インターフェース部13のカバーに開閉状態を検知するセンサを設ける。そして、検査部21は、センサがカバーの開状態を検知した場合には、X線照射器7のX線照射を禁止する。検査部21は、センサがカバーの閉状態を検知した場合には、X線照射器7のX線照射を許可する。これにより、検査処理と接続処理とが並行して行われる状況を回避することができ、結果として外部記録媒体が検査の信頼性に与える影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1A…X線検査装置(物品検査装置)、7…X線照射器(X線照射部)、9…X線ラインセンサ(X線検出部)、11…モニタ、13…インターフェース部、21,21A…検査部、23…電源部、25…検査決定部、G…物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6