(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、供回り防止翼と攪拌翼との間の相対回転数をセンサで検知すると、供回り防止翼の回転速度を正確に検知できないことがある。更に、供回り防止翼の配置位置も特定できない。
【0007】
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、攪拌翼を有する地盤改良装置において、供回り防止翼の回転状況を検知し、地上の受信装置に検知信号を確実に送信する地盤改良翼の回転検知装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、攪拌翼を有する地盤改良装置において、供回り防止翼の回転を検知し、地上の受信装置に検知信号を送信する地盤改良翼の回転検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明は、地盤の攪拌回転翼を有して、掘削穴を掘削し前記掘削穴内の地盤改良を行う地盤改良装置において、地盤改良翼の供回りを検知し監視するための地盤改良装置の地盤改良翼の回転検知装置である。
【0009】
本発明の発明1の地盤改良翼の回転検知装置は、
地盤の攪拌回転翼を有し、掘削穴を掘削し前記掘削穴内の地盤改良を行う地盤改良装置であって、
回転駆動装置により回転駆動され、地盤改良材を供給する供給路を有する単体軸と、
この単体軸に固定され、前記掘削穴内の掘削された掘削土を攪拌する翼体と、
前記単体軸の地盤底側の端部に設けられ、複数の掘削刃を有して前記掘削穴を掘削する削穴ビットと、
前記翼体と前記削穴ビットとの間の前記単体軸に回転自在に設けられ、外周端部が前記掘削穴の周壁に係合して回転が止められ、前記翼体及び前記削穴ビットの回転と相対回転して掘削された掘削土を前記地盤改良材とともに混合攪拌させる供回り防止翼と
からなる地盤改良装置において、
前記供回り防止翼の回転を検知するために、前記供回り防止翼に設置され、前記供回り防止翼の配置方位を検知して配置方位信号を出力する方位検知手段と、
前記方位検知手段に接続され、前記配置方位信号を地上又は前記単体軸の上部に伝達するための通信手段と
からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の発明2の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明1において、前記方位検知手段は、方位を測定して前記配置方位信号を出力するためのもので、電子方位計又は磁石を有する磁石方位計であることを特徴とする。
【0011】
本発明の発明3の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明1又は2において、前記単体軸の上部に配置され、前記通信手段から前記配置方位信号を受信して、前記配置方位信号を無線信号に変換するための無線通信手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の発明4の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明3において、前記通信手段は、(a)前記単体軸の下端の中に設置され、前記方位検知手段からの前記配置方位信号を受信する受信手段と、(b)前記単体軸の中のパイプ間の中空部を通って前記受信手段と前記無線通信手段を接続させ、前記配置方位信号を前記受信手段から前記無線通信手段に伝達するための電線とからなることを特徴とする。
【0013】
本発明の発明5の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明3において、前記通信手段は、前記単体軸の下端の中に設置され、前記方位検知手段に接続されて、前記配置方位信号を前記方位検知手段から受信し、前記無線通信手段に無線通信で伝達するための無線中継手段からなることを特徴とする。
【0014】
本発明の発明6の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明5において、前記通信手段は、
近距離無線通信規格のZigBee
(登録商標)規格に準拠したZigBee Coordinator及び前記ZigBee End Device又はZigBee Coordinator、ZigBee Router及びZigBee End Deviceからなることを特徴とする。
【0015】
本発明の発明7の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明3において、前記無線通信手段は、回転している前記単体軸内へ連続的に地盤改良材を送るために前記単体軸の上端に固定されたウォータースイベルに配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の発明8の地盤改良翼の回転検知装置は、本発明4において、前記電線は、前記単体軸の接続部分で、電磁式の接続端子で接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、次の効果が奏される。本発明によると、地盤改良装置の供回り防止翼の回転を検知し、地盤改良装置の管理者や操作者がその回転と配置位置を把握することができるようになった。また、無線通信を利用しているので、地盤改良装置から離れた場所でも、供回り防止翼の回転を監視できるようになった。
【0018】
本発明によると、供回り防止翼に設置した方位検知センサでその方位を検知することで、供回り防止翼の絶対位置が取得できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施の形態を図に基づき説明する。本発明の地盤改良翼の供回り検知装置(以下、供回り検知装置という。)は、図示していないが、地上を移動可能な地盤改良装置の改良機本体に組み込まれて動作する。即ち、改良機本体に設けられている駆動モータの出力軸に回転ロッドが連結されており、地盤改良装置の攪拌ヘッドAは、駆動モータの回転駆動で回転する回転ロッドにより回転駆動される。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態の攪拌ヘッドAの外観を示す外観図であり、
図2は、攪拌ヘッドAを駆動する回転ロッドの上部を示す外観図である。攪拌ヘッドAの先端の削穴ビット2で地盤を掘削し、掘削土を上方へ移送する。そして、攪拌ヘッドAの単体軸1に固定された攪拌翼3a,3bと単体軸1に回転自在に設けられた供回り防止翼4により、この掘削土を攪拌しながら地盤改良材と混合し混合土にする。ここで、攪拌翼3a,3bと供回り防止翼4は、地盤改良翼として機能する。
【0022】
図3は攪拌ヘッドAの回転ロッドの下部の縦断面図である。この縦断面図から理解されるように、本実施の形態の回転軸は、管状の単体軸1であって、所謂、二重管ではない。単体軸1の地盤底側に削穴ビット2が配置され、この削穴ビット2は単体軸1を駆動する駆動モータ(図示せず。)の駆動により、単体軸1と共に一体的に回転駆動される。削穴ビット2は、その回転外径が地中に形成される地盤改良柱の外径(掘削穴5の内径)に一致する。
【0023】
削穴ビット2は、複数の刃部2aが削穴ビット2の半径方向に直線上に配置されており、これは地盤改良柱の地盤底の低面を削りながら下方に前進し掘削を行う。又、この削穴ビット2の近傍の単体軸1の先端部には、地盤改良材を掘削穴内に注入するための吐出穴8が配置されている。地盤改良材は地上部の供給装置から、この単体軸1の中心に配置されたパイプの中空部1aを介して供給され、掘削された地盤底側の掘削穴5に吐出される。
【0024】
この削穴ビット2の上部には、一端が単体軸1に溶接により一体に固定された半径方向に設けられた翼である攪拌翼3bが設けられている。即ち、この攪拌翼3bは、それぞれねじれ板形状の2つの羽根からなり、2つの羽根は半径方向に単体軸1を挟んで対向して配置されている。攪拌翼3bの上部の単体軸1には、90度角度位相が異なる同様な構造である攪拌翼3aが配置されている(
図1を参照。)。単体軸1の下部に配置された削穴ビット2と攪拌翼3bとの間には、軸受7が単体軸1に固定されている。供回り防止翼4は軸受7に回転自在に設けられている。
【0025】
この供回り防止翼4は、単体軸1を挟んで2つの板状の羽根体4cがボルト6による締結により、180度の半径方向に延在し、かつ供回り防止翼4の羽根面が、掘削穴5の中心線方向と平行に配置された構成となっている。これにより、羽根体4cの中心部4bは、参照番号4dで示すように、中心部が半円状の半円筒4dを構成する(
図5を参照。)。この供回り防止翼4の外周の先端部4aは、掘削穴5に縦方向に食い込み接触するようになっている。即ち、この供回り防止翼4の先端部4aの先端は、削穴ビット2の回転円軌跡より直径が大きくなるように設定されている。
【0026】
[ウォータースイベル10]
単体軸1の上部には、ウォータースイベル10が搭載されている。ウォータースイベル10は、回転している単体軸1に地盤改良材を連続的に供給するための継手である。従って、ウォータースイベル10は、単体軸1と一体に回転する部分と、回転しない軸、軸受、シール部等からなる。この構造、機能は公知であり、その説明は省略する。
【0027】
ウォータースイベル10の回転部は、単体軸1と一体であり、共に回転する。後述する地中の受信器25からの検知信号を受け、この検知信号を外部に発信する無線発信器22(
図4を参照。)がウォータースイベル10の回転部に搭載されている。ウォータースイベル10の固定部には、ホース係止部材11が一体に設けられている。ホース係止部材11は地盤改良材を供給するホースを固定するものである。
【0028】
[地盤改良方法の施工例]
次に、地盤改良装置により地盤改良を行う方法について説明する。地盤に貫入する際は、地盤改良機の駆動装置により単体軸1が正転駆動回転される。この回転は、削穴ビット2と翼体2aの複数の刃部が地盤に食い込み、掘削した掘削土を上方へ移送させる。この地盤貫入の進行に伴って、供回り防止翼4の中心部は軸受7で回転自在な状態に支持されている。
【0029】
供回り防止翼4の外周端円軌跡は、掘削穴5より大きく設定されているので、掘削時に供回り防止翼4の外周端部4aが掘削穴5の内周の壁面に食い込み、供回り防止翼4は回転停止状態になる。削穴ビット2と攪拌翼3a,3bは、回転を継続して掘削するので、供回り防止翼4は相対回転の状態、即ち供回り防止翼4のみ回転停止状態で、掘削穴5の面に回転軸線方向に食い込みながら掘削方向に進行する。
【0030】
このとき同時に地盤改良材が注入され、吐出穴8から吐出される。この注入により掘削された掘削土は、掘削と同時に攪拌翼3a,3bと供回り防止翼4により攪拌され、地盤改良材との混合土となり、その攪拌に伴い相対的に徐々に上方へもたらされる。この攪拌において掘削土は、回転する攪拌翼3a,3bと回転停止している供回り防止翼4の間で、裁断され回転方向と上下方向に対流しながら攪拌される。以上説明した攪拌ヘッドAの構造、機能は公知の技術である。
【0031】
[地盤改良翼の供回り検知装置]
以上説明した攪拌ヘッドAにおいて、地盤改良翼の回転検知装置20の第1の実施の形態について説明する。地盤改良翼の回転検知装置20の概要を、
図4にブロック図で図示している。地盤改良翼の回転検知装置20は、供回り防止翼4の配置方位を検知し検知信号を出力するための検知部21、検知信号をユーザへ送信するための無線発信器22、両者を互いに接続するための電線23、検知信号を受信し信号処理して表示するための受信装置26等からなる。
【0032】
各部について詳細に説明する。検知部21は、方位検知器24と受信器25からなる。方位検知器24は、供回り防止翼4の配置方位を検知し、検知信号を無線信号で送信するためのものである。
図5は、供回り防止翼4に方位検知器24を設置した様子を示す図である。
図5(a)は供回り防止翼4の平面図、
図5(b)は供回り防止翼4の正面図である。方位検知器24は、
図3と
図5に図示したように、供回り防止翼4の羽根体に設置される。
【0033】
受信器25は、方位検知器24からの無線信号を受信し、無線発信器22へ送信する中継器であり、単体軸1の下端部内に設置される。単体軸1の下端部は、通常の掘削作業のとき、地下に位置するので、受信器25は地下に位置し、方位検知器24から発信された信号を中継する。受信器25は、電線23に接続されており、この電線23を介して検知信号を無線発信器22へ送信する。電線23は、管状の単体軸1の中のパイプ間の中空部であるパイプ間中空部1bに設置されている(
図3、
図6を参照。)。
【0034】
[方位検知器24の構造]
方位検知器24は、
図3、
図5に図示したように、供回り防止翼4の羽根体の正面に設置されている。この供回り防止翼4の羽根体と羽根面は、掘削土と地盤改良材に常に接触するので、方位検知器24は、羽根面又は羽根内に埋め込むように配置し、ビス等の機械的な固着手段で固定される(図示せず。)。また、方位検知器24は、羽根面に接着材で固定しても良く、この場合、追加部品が必要なく安価になる。
【0035】
方位検知器24は、供回り防止翼4の羽根面に固定されているので、供回り防止翼4が回転すると、方位検知器24はそれと一緒に回転する。方位検知器24は、箱状等の筐体に格納される。方位検知器24は、アンテナを有し、受信器25との間で無線通信する。このために、その筐体は無線通信の電波に支障がない材料からできているものが好ましい。筐体は電波を遮断する性質を持つ金属材料である場合、筐体の部分でアンテナが設置された位置に該当する部分は非金属材料でできているものが好ましい。
【0036】
図7は、方位検知器24の概要を図示したブロック図である。方位検知器24は、方位計48で検知した検知信号を無線通信で送信する機能を有するものであれば、アナログ通信装置でも、ディジタル通信装置でも、利用することができる。方位検知器24の構造及び機能について、これに限定されないが、
図7を例に説明する。方位検知器24は、筐体(図示せず。)に格納された無線発信器本体40、アンテナ47、方位計48、電源部46等からなる。
【0037】
無線発信器本体40は、方位計48で検知した検知信号を信号処理し、アンテナ47を介して無線通信で送信するためのものである。無線発信器本体40は、所定の命令を実行し装置全体を制御するための中央処理装置(CPU)41、命令を含む制御プログラムやデータを格納するメモリ42、通信を制御するための通信部43、検知信号を受信し、ディジタル信号に変換するための受信部44等からなる。電源部46は、無線発信器本体30に電源供給をするための2次蓄電器であり、この2次蓄電器はアルカリバッテリ、リチウムイオンバッテリ等である。
【0038】
電源部46は、ボタン電池等の小型で容量の大きいものが好ましい。方位計48で検知した検知信号は、受信部44で信号処理され、ディジタル化され、ディジタル検知信号に変換されて、通信部43に送られる。通信部33は、このディジタル検知信号を通信用に変換して、アンテナ47から無線信号として送信する。アンテナ47から送信された無線信号は、受信器25で受信される。
【0039】
[方位計48]
方位計48は、方位を検知するものであれば任意の原理の機器を利用することができるが、ここでいくつかを例示する。例えば、方位計48は、磁石からなり、その磁石の向きを検知して出力する機器が利用できる。また、方位計48として電子コンパス、地磁気センサ 、デジタルコンパス等の電子方位計を用いる。電子方位計は、磁気センサで微弱な地磁気を検知し、その大きさを電気的に計測して、方位情報を算出するものである。
【0040】
電子方位計は、周囲の磁気や磁界の影響を取り除き調整する補正アルゴリズムを有するものが好ましい。電子方位計は、2軸又は3軸構造にした、コイル、ホール素子、磁気抵抗素子、磁気インピーダンス素子、超伝導量子干渉素子(SQUID)等の素子を利用して地磁気の方向と強度を検知し、これらの検知データを信号処理器で信号処理して方位を算出している。
【0041】
方位計48は、ジャイロセンサ(角速度センサ)と組み合わせることができる。ジャイロセンサは、供回り防止翼4の回転の有無、回転速度を検知することができる。方位計48の代わりにジャイロセンサを利用することもできる。この場合は、供回り防止翼4の回転の有無、回転速度を検知し把握することができる。本発明の趣旨は、方位計48そのものの発明ではなく、かつ方位計の構造、機能は公知技術であるので、方位計48の詳細な説明は省略する。
【0042】
図5には、方位検知器24の他の設置例として、羽根体4cの中心部4bに近い位置に方位検知器24aを配置したものである。正確には、2枚の羽根体4cの接合部に、空所を設け、この内部に方位検知器24aを収納したものである。方位検知器24は、可能な限り地盤改良材等の流動を妨げないよう、羽根面から突出しないように設置したものが好ましい。又掘削土が侵入しないように、充填材、シール材等でシールする構造が好ましい。
【0043】
[無線発信器22]
図8は、無線発信器22の概要を図示したブロック図である。無線発信器22は、ウォータースイベル10の中、特にその回転部に搭載される。無線発信器22は、検知部21から検知信号を受信して無線通信で送信する機能を有するものであれば、アナログ通信装置でも、ディジタル通信装置でも、利用することができる。無線発信器22の構造及び機能について、
図8を例に説明する。
【0044】
無線発信器22は、筐体(図示せず。)に格納された無線発信器本体30とアンテナ37からなる。無線発信器本体30は、受信器25で検知した検知信号を信号処理し、無線通信で送信するための機器である。無線発信器本体30は、所定の命令を実行し装置全体を制御するための中央処理装置(CPU)31、命令を含む制御プログラムやデータを格納するメモリ32、通信を制御するための通信部33、検知信号を受信し、ディジタル信号に変換するための受信部34等からなる。
【0045】
無線発信器22は、無線発信器本体30に設置したバッテリ等から電源部36、又は、無線発信器本体30と分離した電源部39を有する。電源部36と電源部39は、無線発信器本体30に電源供給をするための2次蓄電器であり、この2次蓄電器はアルカリバッテリ、リチウムイオンバッテリ等である。電源部39は、太陽電池等も利用することができる。この場合は、太陽電池は、ウォータースイベル10の外側に設置される。無線発信器22は、受信器25の検知信号を受信するために、電線23を接続する接続端子38を有する。
【0046】
接続端子38は、受信部34に接続されており、これにより、受信器25の検知信号を受信部34が受信する。検知信号は、受信部34で信号処理され、ディジタル化され、ディジタル検知信号に変換されて、送信部33に送られる。送信部33は、このディジタル検知信号を通信用に変換して、アンテナ37から無線信号として送信する。アンテナ37から送信された無線信号は、受信装置26で受信され、処理される。受信装置26は、この無線信号を受信して、信号処理し、供回り防止翼4の回転状況を表示する。
【0047】
受信器25が単体軸1と共に回転し、方位検知器24は供回り防止翼4と共に基本的に静止していることが前提になっている。このように供回り防止翼4が静止している場合、方位検知器24は常に同じ方位を検知する。方位検知器24で検知した方位を示す検知信号を利用して、供回り防止翼4の配置位置を把握する。供回り防止翼4が回転する場合、方位検知器24で検知した検知信号は、方位の変化を示す。検知信号を信号処理ことで、供回り防止翼4の回転の有無、その回転速度までを計算することができる。
【0048】
本例では、受信装置26はパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の汎用の電子計算機を利用している。供回り防止翼4の回転状況としては、供回り防止翼4が回転しているか否か、回転速度等を表示する。
図9には、供回り防止翼4の回転状況を表示する一例を図示している。
図9の表示領域50は、受信装置26の画面上に表示されるもので、基本情報領域51、供回り防止翼4の回転状況を表示する表示領域52等からなる。
【0049】
基本情報領域51は、地盤改良装置を利用するときの工事現場の情報を表示するもので、工事している場所の名称を示す工事現場、工事担当者又は掘削作業者の名前を示す担当者、工事の期間を示す工事期間、現在の作業の開始時間を示す当日開始時間等が表示される。表示領域52は、供回り防止翼4の状況を示す領域である。供回り防止翼4の配置されている方位を示す配置方位、供回り防止翼4が回転しているか静止しているかを示す回転状況、その回転の速度を示す回転速度、回転の方向を示す回転方向、供回り防止翼4が位置する掘削穴5の深さを示す掘削深さ等がこの領域に表示される。
【0050】
また、供回り防止翼4の配置方位を方角で示す表示と一緒に表示すると分かりやすい。
図9の例では、方角を示す「北」、「東」、「南」、「西」を円形の周囲に表示し、その中で、供回り防止翼4の配置方位を矢印で示している。これを見ることで、供回り防止翼4の絶対位置が一目でわかる。また、表示領域52の中には、供回り防止翼4の回転状況を見やすくするために図で表示したグラフ領域53がある。
【0051】
グラフ領域53は、一例として、供回り防止翼の回転状況を経過時間軸上に回転速度でグラフ化して表示する。グラフ領域53の例では、横軸が経過時間を、縦軸が供回り防止翼4の回転速度を表している。この回転速度は、方位検知器24で検知した検知信号から求めた回転速度を求めたものである。グラフ領域53の例では、横軸の経過時間は、方位検知器24からの検知信号を信号処理して所定間隔で表示されている。
【0052】
経過時間は、検知信号から求めた供回り防止翼4の回転をリアルタイムで表示しても、検知信号を受信した時間間隔で表示しても良い。これは、作業者の要請、作業現場等に応じて設定する。
図9の表示領域50には、上述のデータの他に、現場の気象情報、地盤の種類等の情報、削穴ビット2の深さ、半径等の情報、駆動モータと回転ロッドの回転数、攪拌ヘッドAの情報、検知信号の強弱の情報、無線信号の強弱の情報等のデータを表示することができる。
【0053】
受信装置26は、本例では、中央処理装置、メモリ、入出力装置を備えて汎用の電子計算機を例にしたが、無線発信器22からの無線信号を信号処理し、最低でも供回り防止翼4の回転状況を利用者に分かりやすく表示するものであれば、任意の装置を利用することができる。例えば、供回り防止翼4の回転の有無又はその回転速度の状況のみを表示する簡易の電子機器でも良い。
【0054】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態は上述の第1の実施の形態と基本的に同じであり、異なる部分のみを説明する。単体軸1は、長い場合は、
図10に図示したように、上端単体軸と下端単体軸からなり、上端単体軸と下端単体軸は雄雌の形で接続されることがある。
【0055】
この接続部分では、単体軸1の中のパイプ間の中空部であるパイプ間中空部1bは連続とならないで、上端単体軸の下端部と下端単体軸の上端部が接触し、所定の厚さの金属壁1dとなる。この部分では、貫通孔(図示せず。)を設け、電線23を通すことができる。また、
図10に図示したように、上端単体軸の下端部と下端単体軸の上端部には、それぞれ凹部1e,1fを設け、電線23に接続された非接触端子27a,27bを設ける。
【0056】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態について説明する。本発明の第3の実施の形態は、上述の第2の実施の形態と基本的に同じであり、異なる部分のみを説明する。単体軸1は、長い場合は、
図10と
図11に図示したように、上端単体軸と下端単体軸からなり、上端単体軸と下端単体軸は雄雌の形で接続されることがある。この接続部分は、
図11では参照番号1dで示している所定の厚さの金属壁1dとなる。
【0057】
上端単体軸の下端部と下端単体軸の上端部には、それぞれ凹部1e,1fを設け、ZigBee Coordinator(以下、ZCという。)60とZigBee End Device(以下、ZEDという。)62を設置して、検知信号を送信する。ZED62は電線23bで受信器25に接続され、ZC60は電線23aで無線発信器22に接続されている。ZED62は、受信器25で検知した検知信号を受信する。ZED62は、受信した検知信号を、ZC60へ無線通信で送信する。
【0058】
ZC60はZED62から受信した検知信号を、無線発信器22に送信する。ZC60とZED62の間の無線通信は、それぞれに接続されたアンテナ63とアンテナ61によって行われる。ZC60とZED62は、近距離無線通信規格のZigBee(登録商標)に準拠した通信デバイスである。ZigBeeは、国際標準化機構(ISO)によって策定されたOSI参照モデル(OSI reference model)による通信プロトコルの7階層の内、最下位の物理層とデータリンク層の仕様でIEEE 802.15.4として規格化されている。
【0059】
ZigBeeは、通信データの転送距離が短く、転送速度が低速で、消費電力が少ないという特徴を持つ。ZigBeeに準拠したデバイスは、安価でかつ消費電力が少ないため、長期間にわたって利用できる利点があり、センサネットワークを主目的に利用されている。ZigBeeに準拠したデバイスは、動作する周波数帯は、2.4GHz、902-928MHz、868-870MHzで動作する。
【0060】
ZC60とZED62は、無線通信を制御するための無線回路、デバイス全体の制御を行うためのマイコン、データを格納するためのメモリ、デバイスに接続された外部デバイスとの通信を制御するための周辺回路、外部のデバイスと無線通信するための内蔵アンテナ、外部のデバイスと無線通信するためのアンテナを接続するための外部アンテナ用コネクタをそれぞれ備える。マイコンは、中央処理装置(CPU)、RAM,フラッシュメモリ等から構成される。
【0061】
また、ZC60とZED62は、デバイスに必要電源を供するための電源コネクタと、データ通信のためのシリアル入出力コネクタ、アナログ入出力コネクタ、ディジタル入出力コネクタ、パルス入出力コネクタ等を備える。本発明は、ZigBee準拠デバイスを要旨とする発明ではないので、ZC60とZED62を利用する動作の概略を説明し、その内部構造と動作についての詳細な説明は省略する。ZED62は、その入力コネクタに、受信器25が接続される。
【0062】
ZED62の外部アンテナ用コネクタにアンテナ63が接続され、ZED62の電源コネクタに電池64が接続される。詳しくは、ZED62は基板65に搭載されて固定され、ZED62の電源コネクタが基板65の電池接続端子に接続される。電池64は基板65に固定されて、その電極が基板65の電池接続端子に接続される。よって、電池64は、ZED62の電源コネクタに接続される。電池64は任意の電池を使用することができるが、小型であるボタン電池であることが好ましい。
【0063】
ボタン電池を利用すると、一例では、小型のコイン程度(例えば、1円硬貨)の寸法のデバイスができる。ZED62、電池64、基板65、アンテナ63は一体となって筐体66に格納される。筐体66を含めてZED62と基板65の大きさによる、汎用のデバイスの場合1〜1.5cmぐらいの大きさのデバイスができる。ZED62は、ミリ秒から数秒、数十秒の間隔で、受信器25から検知信号を受信する。このようなボタン電池は、その使用環境によるが、標準的なZigBeeデバイスであれば、少なくとも数日から数カ月間は電源供給できる。
【0064】
また、ZED62は、ZC60から受信した要求によって動作して、受信器25から検知信号を受信することができる。ZED62、電池64、アンテナ63、基板65は、筐体66に格納されて、下端単体軸の上端部に搭載される。ZC60は、その出力コネクタに、無線発信器22が電線23aによって接続される。ZC60の外部アンテナ用コネクタにアンテナ61が接続され、ZC60の電源コネクタに無線発信器22から電線23aで電源供給される。
【0065】
電線23aは、データ通信用の通信線と、電源供給用の電線からなるものが好ましい。ZC60とアンテナ61は筐体67に格納されて、上端単体軸の下端部に搭載される。また、ZC60の電源コネクタに、ZED62と同様に、ボタン電池で電源供給を行うことができる(図示せず。)。ZC60はアンテナ61でZED62のアンテナ63と無線通信し、検知信号を受信し、無線発信器22へ送信する。また、ZC60は、予め設定された間隔で、ZED62から検知信号を受信する。
【0066】
又は、ZC60は、無線発信器22から検知信号を要求されたときに、ZED62に要求を送信して、その応答としてZED62から検知信号を受信し、これを無線発信器22へ送信する。上述のように、ZC60とZED62は、受信感度が良いために、外部のアンテナ61、63を利用しているが、十分な受信感度が実現できる場合、内蔵アンテナ(図示せず。)を利用することができる。
【0067】
上述通り、ZigBee規格に準拠した、ZC60とZED62の組によるデータ通信を説明したが、ZC60とZED62の間のデータを中継するためのデバイスであるZigBee Router(ZR)を利用することができる。ZRは、ZC60と基本的に同じ構造ものが利用でき、ルータとしての設定をする。ZC60は、無線発信器22の近傍に、無線発信器22に電線で接続されて搭載され、ZRは、上端単体軸の下端部に搭載される。言い換えると、ZRは、
図11に図示したZC60の位置に搭載される。
【0068】
ZC60は、ウォータースイベル10内の無線発信器22の近傍に、又は、ウォータースイベル10の下側の単体軸1の中空部1a内に搭載される。ZRは、ZED62と同様に、アンテナ、基板付きのボタン電池の構造にする。ZRは、ZC60の要求を受けて、ZED62の検知信号をZC60へ送信する。上述のように、ZC60、ZED62、ZRは、外部のアンテナとしてマッチ棒アンテナ、ワイヤアンテナが使用できる。
【0069】
[受信器25の配置]
図3に示すように、受信器の設置例を受信器25’で示している。受信器25’は、単体軸1の下部の外側、軸受7の上部に設置することができる。このように設置すると、受信器25’の取り外しが簡単で、保守点検が容易になる。電線23’を単体軸1から軸受7の上の空間までに設置するために、
図3に示すように、貫通孔1cが設けられている。貫通孔1cは、単体軸1の下端部の壁を貫通した孔である。この貫通孔1cの中を、電線23’が通って、受信器25’に接続されている。電線23’は、管状の単体軸1の中のパイプ間の中空部を通っている電線23の延長線である。受信器25’はその外側にカバーを配置して、外部衝撃から保護する。
【0070】
[その他]
上述の通り受信器25は単体軸1の下端部に設置され通常は地下で動作する。これは、方位検知器24からの無線信号を確実に受信するために、受信器25は方位検知器24に近い位置に設置するためである。現場の地表面は電波遮断の効果を持つ土や岩盤等で覆われている場合があり、受信器25を方位検知器24に近く、かつ、構造と材料が特定できる単体軸1の内部に配置することで確実に動作する。
【0071】
少なくとも、周囲の土や岩盤の影響はない。方位検知器24から発信される無線信号は、地上でも届くほど強度が十分に強い場合、受信器25を地上で設置することが可能である。この場合は、方位検知器24の通信部43、アンテナ47等は強い電波を発信するために大型になり、搭載バッテリも容量が大きくなる(
図7を参照。)。よって、受信器25を地上に設置することは本発明の範囲に入り、その動作は、上述した本発明の第1〜3の実施の形態と同様であり、詳細な説明は省略する。