特許第6678033号(P6678033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シグマ紙業株式会社の特許一覧 ▶ 大成化工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000002
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000003
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000004
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000005
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000006
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000007
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000008
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000009
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000010
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000011
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000012
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000013
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000014
  • 特許6678033-包装体及び展開シート 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6678033
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】包装体及び展開シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20200330BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   B65D5/66 Z
   B65D5/50 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-479(P2016-479)
(22)【出願日】2016年1月5日
(65)【公開番号】特開2017-121943(P2017-121943A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106885
【氏名又は名称】シグマ紙業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 一道
(72)【発明者】
【氏名】白石 保行
(72)【発明者】
【氏名】中尾 正治
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0173291(US,A1)
【文献】 米国特許第06957765(US,B1)
【文献】 特開2011−079557(JP,A)
【文献】 特開平11−292136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50−5/66
B65D 75/14−75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側面板と、上面板と、第2側面板と、下面板と、蓋板とがこの順で連接されており、
前記蓋板は、前記下面板との間の蓋板用折り曲げ線を介して前記上面板側に折り曲げられるとともに、前記蓋板には、前記蓋板用折り曲げ線に対向する縁部に差込み用折り曲げ線を介して差込み片が形成され、前記差込み片の先端部に係止用折り曲げ線を介して前記差込み片の外面側に折り返される係止片が形成されており、
前記上面板には、前記差込み片が差し込まれる被差込み部が前記上面板を切り込んで形成されるとともに、前記被差込み部に対向して係止解除部が前記上面板を切り込んで形成され、前記上面板の内面側であって前記被差込み部と前記係止解除部との間に、折り返された前記係止片が係止される被係止部が設けられており、
前記第1側面板は前記上面板に対して傾斜して設けられることで、前記第1側面板と前記蓋板の前記蓋板用折り曲げ線との間に空間部が形成されていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
内包物を保持した保持板の一方の側縁部から第1折り曲げ線を介して第1側面板が連接され、前記第1側面板の他方の側縁部から第2折り曲げ線を介して上面板が連接され、前記上面板の他方の側縁部から第3折り曲げ線を介して第2側面板が連接され、前記第2側面板の他方の側縁部から第4折り曲げ線を介して下面板が連接され、前記下面板の他方の側縁部から第5折り曲げ線を介して蓋板が連接され、かつ、前記上面板の前記側縁部と直交する一方の側縁部から第6折り曲げ線を介して被係止板が連接され、
前記被係止板が前記第6折り曲げ線を介して前記上面板の内面側に添設され、前記第1側面板が前記第1折り曲げ線を介して前記保持板の一方の側部に配置され、前記上面板及び前記被係止板が前記第2折り曲げ線を介して前記保持板の上部に対向配置され、前記第2側面板が前記第3折り曲げ線を介して前記保持板の他方の側部に配置され、前記下面板が前記第4折り曲げ線を介して前記保持板の下部に対向配置され、前記蓋板が前記第5折り曲げ線を介して前記第1側面板に対向配置され、かつ、蓋板用折り曲げ線を介して前記上面板に対向配置された構成の包装体であって、
前記蓋板には、前記蓋板用折り曲げ線に対向する縁部に第7折り曲げ線を介して差込み片が形成され、前記差込み片の先端部に第8折り曲げ線を介して前記差込み片の外面側に折り返される係止片が形成され、
前記上面板には、前記差込み片が差し込まれる被差込み部が前記上面板を切り込んで形成されるとともに、前記被差込み部に対向して係止解除部が前記上面板を切り込んで形成され、
前記被係止板には、前記被差込み部の切込み形状に沿って切除された被差込み開口部が形成されるとともに、前記係止解除部の切込み形状に沿って切除された係止解除開口部が形成され、前記被差込み開口部と前記係止解除開口部との間が、折り返された前記係止片が係止される被係止部とされており、
前記第1側面板は前記上面板に対して傾斜して設けられることで、前記第1側面板と前記蓋板の前記蓋板用折り曲げ線との間に空間部が形成されていることを特徴とする包装体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装体であって、
前記係止解除部は、差し込まれた前記係止片の上部に位置していることを特徴とする包装体。
【請求項4】
内包物を保持した保持板の一方の側縁部から第1折り曲げ線を介して第1側面板が連接され、前記第1側面板の他方の側縁部から第2折り曲げ線を介して上面板が連接され、前記上面板の他方の側縁部から第3折り曲げ線を介して第2側面板が連接され、前記第2側面板の他方の側縁部から第4折り曲げ線を介して下面板が連接され、前記下面板の他方の側縁部から第5折り曲げ線を介して蓋板が連接され、かつ、前記上面板の前記側縁部と直交する一方の側縁部から第6折り曲げ線を介して被係止板が連接された展開シートであって、
前記蓋板には、前記第5折り曲げ線に対向する縁部に第7折り曲げ線を介して差込み片が形成され、前記差込み片の先端部に第8折り曲げ線を介して前記差込み片の外面側に折り返される係止片が形成され、
前記上面板には、前記差込み片が差し込まれる被差込み部が前記上面板を切り込んで形成されるとともに、前記被差込み部に対向して係止解除部が前記上面板を切り込んで形成され、
前記被係止板には、前記被差込み部の切込み形状に沿って切除された被差込み開口部が形成されるとともに、前記係止解除部の切込み形状に沿って切除された係止解除開口部が形成され、前記被差込み開口部と前記係止解除開口部との間が、折り返された前記係止片が係止される被係止部とされており、
前記上面板の連接方向の幅は前記下面板の連接方向の幅より幅狭に形成され、前記第1側面板の連接方向の幅は前記第2側面板の連接方向の幅より幅広に形成されていることを特徴とする展開シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、菓子、化粧品等の内包物を巻くように折り畳んで収納する包装体及びその展開シートに係り、より詳細には、蓋板を閉じた状態で確実にロックする機能を備えるとともに、ロック解除後の蓋板の開閉操作を容易に行うことのできる包装体及びその展開シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、菓子、化粧品等を包装する包装体において、ロック機能を備えた包装箱が種々提案されている(例えば、特許文献1,2等参照)。
【0003】
特許文献1には、左右側面と、前後側面と、前記後側面の上端縁から延出する上封止面と、前記前側面の裏側に差し入れられる上差込片とを備え、前記前側面は、その上端縁と切込み線に囲まれる開封操作部と、上に凸となる形状の切込み線に囲まれ且つ開封後再封時に差し入れられる上差込片を当該前側面とで挟む舌部とを備え、前記上差込片は、前記上封止面に向かって凸となる形状の切込み線に囲まれて位置し且つ前記舌部が離脱して生じる開口部の上縁にかかる係止片を備えた包装箱が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、内箱部と外箱部を有し、それら内箱部と外箱部とをつなぐ部分にパッケージ開封用の切取短冊部を有し、内箱部を内側に巻き込むようにして外箱部を伊達巻状に折り曲げ、必要個所を接着して箱体に組み立てる包装箱において、箱体外面に露見させた開封用の切取短冊部を切り取って除去すると、一体化されていた内箱部と外箱部とのつなぎが分断され、内箱部が外箱部から引き出し可能となり、また、中身を使用して残りを保管する場合、特に乳幼児が中身を安全上取り出せないようにロック状態にして保管できる包装箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−77979号公報
【特許文献2】特開2008−285176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2によれば、幼児等が不用意に蓋を開封しないようにロックすることができる。
【0007】
しかし、上記特許文献1,2に記載のものは、ロック解除後の蓋の開閉操作については特に工夫されていない。従って、ロック解除後は、従来の包装箱の蓋を開く操作と同様の操作を行うことになる。
【0008】
例えば特許文献1に記載の包装用箱では、ロックを解除後、蓋板である上封止面を開くために、前側面の裏側に差し入れられた上差込片に爪等を引っ掛けて引き出すようにすることで、上封止面を開くことができる。また、特許文献2に記載の包装箱では、ロックを解除後、外箱部の前後主面部に設けられた切欠き凹部に露出している内箱部の前後主面部を前後両側から指で摘まみ、外箱部から引き出すことで、完全に引き出された蓋部の開閉が可能となっている。
【0009】
このように、上記特許文献1,2では、ロックの解除操作と、蓋の開閉操作が別操作となっており、特に蓋板を開く操作については何ら工夫されていなことから、蓋板を開くときの操作性が悪いといった問題があった。
【0010】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、ロック解除操作と蓋板を開く操作とを連動させるとともに、蓋板の開く部分に工夫を加えることで、ロック解除から蓋板の開く操作までの一連の操作性を向上させた包装体及びその展開シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の包装体は、第1側面板と、上面板と、第2側面板と、下面板と、蓋板とがこの順で連接されており、前記蓋板は、前記下面板との間の蓋板用折り曲げ線を介して前記上面板側に折り曲げられるとともに、前記蓋板には、前記蓋板用折り曲げ線に対向する縁部に差込み用折り曲げ線を介して差込み片が形成され、前記差込み片の先端部に係止用折り曲げ線を介して前記差込み片の外面側に折り返される係止片が形成されており、前記上面板には、前記差込み片が差し込まれる被差込み部が前記上面板を切り込んで形成されるとともに、前記被差込み部に対向して係止解除部が前記上面板を切り込んで形成され、前記上面板の内面側であって前記被差込み部と前記係止解除部との間に、折り返された前記係止片が係止される被係止部が設けられており、前記第1側面板は前記上面板に対して傾斜して設けられることで、前記第1側面板と前記蓋板の前記蓋板用折り曲げ線との間に空間部が形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の包装体は、内包物を保持した保持板の一方の側縁部から第1折り曲げ線を介して第1側面板が連接され、前記第1側面板の他方の側縁部から第2折り曲げ線を介して上面板が連接され、前記上面板の他方の側縁部から第3折り曲げ線を介して第2側面板が連接され、前記第2側面板の他方の側縁部から第4折り曲げ線を介して下面板が連接され、前記下面板の他方の側縁部から第5折り曲げ線を介して蓋板が連接され、かつ、前記上面板の前記側縁部と直交する一方の側縁部から第6折り曲げ線を介して被係止板が連接され、前記被係止板が前記第6折り曲げ線を介して前記上面板の内面側に添設され、前記第1側面板が前記第1折り曲げ線を介して前記保持板の一方の側部に配置され、前記上面板及び前記被係止板が前記第2折り曲げ線を介して前記保持板の上部に対向配置され、前記第2側面板が前記第3折り曲げ線を介して前記保持板の他方の側部に配置され、前記下面板が前記第4折り曲げ線を介して前記保持板の下部に対向配置され、前記蓋板が前記第5折り曲げ線を介して前記第1側面板に対向配置され、かつ、蓋板用折り曲げ線を介して前記上面板に対向配置された構成の包装体であって、前記蓋板には、前記蓋板用折り曲げ線に対向する縁部に第7折り曲げ線を介して差込み片が形成され、前記差込み片の先端部に第8折り曲げ線を介して前記差込み片の外面側に折り返される係止片が形成され、前記上面板には、前記差込み片が差し込まれる被差込み部が前記上面板を切り込んで形成されるとともに、前記被差込み部に対向して係止解除部が前記上面板を切り込んで形成され、前記被係止板には、前記被差込み部の切込み形状に沿って切除された被差込み開口部が形成されるとともに、前記係止解除部の切込み形状に沿って切除された係止解除開口部が形成され、前記被差込み開口部と前記係止解除開口部との間が、折り返された前記係止片が係止される被係止部とされており、前記第1側面板は前記上面板に対して傾斜して設けられることで、前記第1側面板と前記蓋板の前記蓋板用折り曲げ線との間に空間部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、蓋板の差込み片を上面板の被差込み部に差し込むと、差込み片の上面側に折り返された係止片が、上面板の内面側に設けられた被係止部に係止して、蓋板の開放が規制、すなわち蓋板をロックした状態となる。この状態で上面板に設けられた係止解除部を押し込むと、係止片が下方に押し込まれて被係止部との係止が解除され、この状態で蓋板の蓋板用折り曲げ線の部分を開く方向に押し下げると、蓋板は、空間部があることにより側面板に邪魔されることなく、この空間部を押し潰すようにしてスムーズに押し下げられる。そして、この押し下げと同時に係止片及び差込み片が被差込み部から完全に引き抜かれて、ロック解除とともに蓋板が開放される。すなわち、ロック解除と蓋板の開放とが連動し、かつ、一連の操作でスムーズに蓋板が開放されることになる。
【0014】
また、本発明の包装体によれば、前記係止解除部は、差し込まれた前記係止片の上部に位置している。これにより、係止解除部を押し込むだけで、係止片が押し込まれ、上面板の内面側に設けられた被係止部との係止状態が確実に解除される。
【0015】
また、本発明の展開シートは、内包物を保持した保持板の一方の側縁部から第1折り曲げ線を介して第1側面板が連接され、前記第1側面板の他方の側縁部から第2折り曲げ線を介して上面板が連接され、前記上面板の他方の側縁部から第3折り曲げ線を介して第2側面板が連接され、前記第2側面板の他方の側縁部から第4折り曲げ線を介して下面板が連接され、前記下面板の他方の側縁部から第5折り曲げ線を介して蓋板が連接され、かつ、前記上面板の前記側縁部と直交する一方の側縁部から第6折り曲げ線を介して被係止板が連接された展開シートであって、前記蓋板には、前記第5折り曲げ線に対向する縁部に第7折り曲げ線を介して差込み片が形成され、前記差込み片の先端部に第8折り曲げ線を介して前記差込み片の外面側に折り返される係止片が形成され、前記上面板には、前記差込み片が差し込まれる被差込み部が前記上面板を切り込んで形成されるとともに、前記被差込み部に対向して係止解除部が前記上面板を切り込んで形成され、前記被係止板には、前記被差込み部の切込み形状に沿って切除された被差込み開口部が形成されるとともに、前記係止解除部の切込み形状に沿って切除された係止解除開口部が形成され、前記被差込み開口部と前記係止解除開口部との間が、折り返された前記係止片が係止される被係止部とされており、前記上面板の連接方向の幅は前記下面板の連接方向の幅より幅狭に形成され、前記第1側面板の連接方向の幅は前記第2側面板の連接方向の幅より幅広に形成されていることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、内包物を保持した保持板を中心にして、第1側面板、上面板、第2側面板、下面板、蓋板を順次折り曲げていくことで、内包物を簀巻き状に包み込み、最後に、係止片を外側に折り返した状態の蓋板の差込み片を上面板の被差込み部に差し込むことで、係止片が上面板の内面側に設けられた被係止部に係止して、蓋板がロック状態となる。そして、この状態から、上面板に設けられた係止解除部を押し込むと、係止片が下方に押し込まれて被係止部との係止が解除され、この状態で蓋板の蓋板用折り曲げ線の部分を開く方向に押し下げると、蓋板は、空間部があることにより側面板に邪魔されることなく、この空間部を押し潰すようにしてスムーズに押し下げられる。そして、この押し下げと同時に係止片及び差込み片が被差込み部から完全に引き抜かれて、ロック解除とともに蓋板が開放される。すなわち、ロック解除と蓋板の開放とが連動し、かつ、一連の操作でスムーズに蓋板が開放されることになる。その後は、簀巻き状に折り畳まれた包装体を展開していくことで、内放物を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蓋板のロック状態から、上面板に設けられた係止解除部を押し込むと、係止片が下方に押し込まれて被係止部との係止が解除され、この状態で蓋板の蓋板用折り曲げ線の部分を開く方向に押し下げると、蓋板は、空間部があることにより側面板に邪魔されることなく、この空間部を押し潰すようにしてスムーズに押し下げられる。そして、この押し下げと同時に係止片及び差込み片が被差込み部から完全に引き抜かれて、ロック解除とともに蓋板が開放されることになる。すなわち、本発明によれば、ロック解除と蓋板の開放とが連動し、かつ、一連の操作でスムーズに蓋板を開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る包装体を構成する展開シートの平面図である。
図2】PTPシートを斜め上方からの視点で示す斜視図である。
図3】PTPシートを展開シートの保持板で保持する手順を示す平面図である。
図4】PTPシートを展開シートの保持板で保持する手順を示す平面図である。
図5】上面板の内面側に被係止板と弾性付与板とを折り畳んでいく手順を示す平面図である。
図6】上面板の内面側に被係止板と弾性付与板とを折り畳んでいく手順を示す平面図である。
図7】包装体を途中まで折り畳んだ状態を斜め上方からの視点で示す斜視図である。
図8】蓋板を上面板上に装着する操作手順を示す概略断面図である。
図9】蓋板を上面板上に装着する操作手順を示す概略断面図である。
図10】蓋板を上面板上に装着する操作手順を示す概略断面図である。
図11】完全に折り畳んだ状態の包装体を斜め上方からの視点で示す斜視図である。
図12】ロックを解除して蓋板を上面板から開くときの操作手順を示す概略断面図である。
図13】ロックを解除して蓋板を上面板から開くときの操作手順を示す概略断面図である。
図14】ロックを解除して蓋板を上面板から開くときの操作手順を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<展開シートの説明>
図1は、本発明の実施形態に係る包装体を構成する展開シートAの平面図である。
【0021】
この展開シートAは、内包物を保持する保持板1を備えている。内包物は、本実施形態では医薬品等の錠剤を個別に包装するPTP(Press Through Package)シート80(図2参照)である。PTPシート80は、平面視が概ね長方形状に形成されている。従って、保持板1も長方形状に形成されている。
【0022】
図2は、PTPシート80を斜め上方からの視点で示す斜視図である。
【0023】
図2に示すように、PTPシート80は、ポリ塩化ビニルやポリプロピレン等のプラスチックシートからなる収容シート81と、容易に破断することができる金属箔、例えばアルミ箔からなる被覆シート82と、医薬品等の錠剤83とから構成され、ヒートシールされた収容シート81及び被覆シート82によって略長方形状のPTP台紙84が形成されている。そして、収容シート81に熱成形によって所定深さの複数個(この例では、2列5行の10個)の収容凹部81aが形成され、それぞれの収容凹部81aに錠剤83が収容された構成となっている。
【0024】
図1に戻って、保持板1は、上記構成のPTPシート80を表裏両側から保持する第1保持板1a及び第2保持板1bと、PTPシート80の裏面側である被覆シート82に添設される第3保持板1cとを備えている。
【0025】
第1保持板1aと第2保持板1bとは、第1保持板折り曲げ線11を介して長手方向に沿う側縁部同士が連接され、第2保持板1bの他方の側縁部と第3保持板1cの一方の側縁部とが第2保持板折り曲げ線12を介して連接されている。
【0026】
第1保持板1aと第2保持板1bとには、PTPシート80を挟み込んで保持するための開口部1a1,1b1が形成されている。この開口部1a1,1b1は、収容シート81に形成された複数個の収容凹部81aを取り囲むように開設されており、この開口部1a1,1b1の周囲の縁部で収容凹部81aの周囲のPTP台紙84(収容シート81及び被覆シート82)を挟み込むようになっている。
【0027】
また、第3保持板1cには、それぞれの収容凹部81aに対向して、被覆シート82を破断するための開口穴1c1が形成されている。
【0028】
このような構成の保持板1において、第3保持板1cの他方の側縁部から第1折り曲げ線21を介して第1側面板2が連接され、第1側面板2の他方の側縁部から第2折り曲げ線22を介して上面板3が連接され、上面板3の他方の側縁部から第3折り曲げ線23を介して第2側面板6が連接され、第2側面板6の他方の側縁部から第4折り曲げ線24を介して下面板7が連接され、下面板7の他方の側縁部から第5折り曲げ線25及び蓋板用折り曲げ線91を介して蓋板9が連接されている。
【0029】
また、上面板3の長辺側の側縁部と直交する短辺側の一方の側縁部から第6折り曲げ線26を介して被係止板4が連接され、上面板3の短辺側の他方の側縁部から第9折り曲げ線29を介して弾性付与板5が連接されている。さらに、下面板7の長辺側の側縁部と直交する短辺側の他方の側縁部から第10折り曲げ線30を介して補強板8が連接されている。
【0030】
また、蓋板9には、第5折り曲げ線25に対向する縁部に第7折り曲げ線(差込み用折り曲げ線)27を介して差込み片9aが形成され、差込み片9aの先端部に第8折り曲げ線(係止用折り曲げ線)28を介して差込み片9aの外面側に折り返される係止片9bが形成されている。また、蓋板9には、第5折り曲げ線25と平行に蓋板用折り曲げ線91が設けられている。後述するが、蓋板9は、包装体Bを折り畳んだとき、この蓋板用折り曲げ線91で断面L字状に折り曲げられるようになっている。
【0031】
上面板3には、差込み片9aが差し込まれる被差込み部31が上面板3を切り込んで(切り込み線として)形成されるとともに、この被差込み部31に対向して係止解除部32が上面板3を切り込んで形成されている。すなわち、被差込み部31はスリット状に形成されている。また、係止解除部32は、略U字状に切り込まれた係止解除片となっている。
【0032】
被係止板4には、上面板3の被差込み部31の切込み形状に沿って切除された被差込み開口部41が形成されるとともに、上面板3の係止解除部32の切込み形状に沿って切除された係止解除開口部42が形成され、これら被差込み開口部41と係止解除開口部42との間が、折り返された係止片9bが係止される被係止部43とされている。
【0033】
弾性付与板5には、上面板3の被差込み部31及び係止解除部32を内包するようにして略U字状の切り込み部51が形成されており、この切り込み部51によって舌状に形成された部分が後述する差込み片9a及び係止片9bを上方に付勢する弾性付与片52となっている。
【0034】
さらに、本実施形態では、上面板3の連接方向の幅W1は、下面板7の連接方向の幅W2より幅狭(W1<W2)に形成され、第1側面板2の連接方向の幅W11は、第2側面板6の連接方向の幅W12及び蓋板9の第5折り曲げ線25と蓋板用折り曲げ線91との間の幅W12より幅広(W11>W12)に形成されている。
【0035】
<開閉可能な包装体Bの作製手順の説明>
次に、上記構成の展開シートAを折り畳んで、開閉可能な製品としての包装体Bを作製する手順について、図3乃至図6を参照して説明する。図3及び図4は、PTPシート80を展開シートAの保持板1で保持する手順を示す平面図、図5及び図6は、上面板3の内面側に被係止板4と弾性付与板5とを折り畳んでいく手順を示す平面図である。ただし、図3乃至図6は、包装体Bの内面側となる面を上にして展開した状態の平面図である。
【0036】
上記したように、PTPシート80は、第2保持板1bの開口部1b1に収容シート81を下にして(すなわち、収容凹部81aを下にして)載置され、その状態で第1保持板1aを第1保持板折り曲げ線11から折り返してPTPシート80の被覆シート82上に重ね合わせ、開口部1a1,1b1の周囲を接着材によって接着することで、第1保持板1aと第2保持板1bとの間にPTPシート80が挟み込んで保持されている。図3はこの保持状態を示している。
【0037】
なお、第1保持板1aと第2保持板1bの短辺側の一方の側縁部(例えば、図3において右側の側縁部)は、接着することなく開放しておくことで、この部分を通じてPTPシート80の出し入れが可能となる。従って、全ての内包物(錠剤)を飲み終わった後は、空のPTPシート80を開口部から取り出し、次のPTPシート80を差し込むことで、包装体Bを何度でも使用することが可能となる。
【0038】
次に、この状態から、重ね合わせた第1保持板1a及び第2保持板1bを、第2保持板折り曲げ線12を介して第3保持板1c上に折り返し、第1保持板1aと第3保持板1cとを接着材によって接着することで、PTPシート80を保持板1によって一体に保持した状態の展開シートAが作製される。図4はこの状態を示している。
【0039】
次に、被係止板4を第6折り曲げ線26から折り返して上面板3上に重ね合わせ、被差込み開口部41及び係止解除開口部42の周囲を接着材によって接着することで、上面板3と被係止板4とを接着固定する。図5はこの状態を示している。
【0040】
次に、弾性付与板5を第9折り曲げ線29から折り返して被係止板4上に重ね合わせ、弾性付与片52の周囲を接着材によって接着することで、被係止板4と弾性付与板5とを接着固定する。さらに、補強板8を第10折り曲げ線30から折り返して下面板7上に重ね合わせ、全面を接着材によって接着固定することで下面板7を補強する。図6はこの状態を示している。そして、図6に示す状態が、製品としての包装体Bを展開したときの状態である。
【0041】
<展開状態の包装体Bを折り畳んで包装する手順の説明>
次に、この展開状態の包装体Bを順次折り畳んでいくことで、内包物83を包み込んで包装する手順について、図7乃至図11を参照して説明する。図7は、包装体Bを途中まで折り畳んで包装した状態を斜め上方からの視点で示す斜視図、図8乃至図10は、蓋板9を上面板3上に装着する操作手順を示す概略断面図、図11は、完全に折り畳んだ状態の包装体を斜め上方からの視点で示す斜視図である。ただし、図8乃至図10では、PTPシート80の図示を省略している。
【0042】
図6に示す展開状態から、保持板1を中心として、第1側面板2を第1折り曲げ線21から上方に略90度折り曲げて保持板1の一方の側部に配置し、次に、上面板3を第2折り曲げ線22から横方向に略90度折り曲げて保持板1の上部に対向配置し、次に、第2側面板6を第3折り曲げ線23から下方に略90度折り曲げて保持板1の他方の側部に配置し、次に、下面板7を第4折り曲げ線24から横方向に略90度折り曲げて保持板1の下部に対向配置し、次に、蓋板9を第5折り曲げ線25から上方に略90度折り曲げて第1側面板2に対向配置する。図7は、ここまで折り畳んだ包装体Bの状態を示している。
【0043】
この後、係止片9bを差込み片9aの外面側に折り返した後、図8に示すように、蓋板9を蓋板用折り曲げ線91から横方向に折り曲げ、さらに差込み片9aを第7折り曲げ線27から上面板3側に折り曲げて、差込み片9aの先端部(第8折り曲げ線28の部分)を上面板3の被差込み部31に対向配置する。次に、図9に示すように、折り返した係止片9bと共に差込み片9aを上面板3の被差込み部31に差し込んでいく。このとき、差込み片9aによって弾性付与片52も下方に押し下げられる。
【0044】
そして、差込み片9aを上面板3の内部まで完全に差し込むと、図10及び図11に示すように、係止片9bが係止解除開口部42に嵌まり込み、係止片9bの先端が被係止部43に当接して、差込み片9aの引き抜き方向への移動を規制する。このとき、係止片9bは、折り返しの反発力によって差込み片9aの外面から離れるように(すなわち、開くように)付勢されており、かつ、下方に押し下げられていた弾性付与片52の反発力によって差込み片9aが上方へ付勢されるので、係止片9bの先端が被係止部43に確実に当接する。これにより、蓋板9は、差込み片9aを差し込んで上面板3に添設させた状態で、ロック状態となる。因みに、係止片9bが折り返しの反発力によって差込み片9aの外面から離れるように作用し、その付勢力等によって下面板7が下方に撓む可能性があるが、下面板7は補強板8が全面に貼着されていることでその強度が保たれている。従って、係止片9bの係脱操作によって下面板7及び補強板8が下方に撓むことはなく、係止片9bと被係止部43との係止状態(すなわち、ロック状態)が保たれることになる。
【0045】
このとき、上記したように、上面板3の連接方向の幅W1は下面板7の連接方向の幅W2より幅狭(W1<W2)に形成され、第1側面板2の連接方向の幅W11は、蓋板9の第5折り曲げ線25と蓋板用折り曲げ線91との間の幅W12より幅広(W11>W12)に形成されている。そのため、折り畳んだ状態の包装体Bは、第1側面板2が上面板3に対して傾斜して設けられることで、第1側面板2と蓋板9の蓋板用折り曲げ線91との間に、断面三角形状の空間部Pが形成されている。この空間部Pが、蓋板9を開くときの可動空間となる。
【0046】
<折り畳んだ包装体Bを開くときの手順の説明>
次に、図10及び図11に示す状態に折り畳まれて蓋板9がロックされた状態の包装体Bを開く場合について、図12乃至図14を参照して説明する。図12乃至図14は、ロックを解除して蓋板9を上面板3から開くときの操作手順を示す概略断面図である。ただし、図12乃至図14では、PTPシート80の図示を省略している。
【0047】
図10に示す包装状態から、図12に示すように、上面板3に設けられた係止解除部32を押し込むと、係止片9bが下方に押し込まれて被係止部43との係止が解除される。このとき、弾性付与片52も下方へ押し下げられる。なお、係止解除部32には、係止が解除されたことが明確となるようにダンパーエビデンス性を持たせておいてもよい。具体的には、係止解除部32を上面板3とミシン目等で予め連接しておき、開封するときに係止解除部32を押し込むことでミシン目部分を切断するようにしておけばよい。これにより、開封前か開封後かを識別できるので、安全に使用することができる。また、幼児などの子供が誤って開封して薬剤等を誤飲することも防止することができる。
【0048】
次に、図13に示すように、この状態から蓋板9の蓋板用折り曲げ線91の部分を開く方向(図13では右方向)に押し下げると、蓋板9は、空間部Pがあることにより第1側面板2に邪魔されることなく、この空間部Pを押し潰すようにしてスムーズに押し下げられる。このとき、例えば親指で蓋板9の蓋板用折り曲げ線91の部分を押し下げて開く場合には、その下側である蓋板9の第5折り曲げ線25を介して第1折り曲げ線21の部分を他の指で支え、傾斜面である第1側面板2を若干撓ませることで、蓋板9を開封し易くアシストすることができる。
【0049】
そして、この押し下げと同時に係止片9b及び差込み片9aが被差込み部31から完全に引き抜かれて、図14に示すように、ロック解除とともに蓋板9が上面板3から開放される。すなわち、ロック解除と蓋板9の開放とが連動し、かつ、一連の操作でスムーズに蓋板9が開放されることになる。その後は、折り畳む場合と逆の操作手順によって包装体Bを展開していくことで、図6に示すように、包装体Bを完全に開いた状態とし、この状態で内包物83を取り出すことができる。
【0050】
なお、開封時、蓋板9の蓋板用折り曲げ線91の部分を開く方向に押し下げし易いように、蓋板用折り曲げ線91と第7折り曲げ線27との間の蓋板9の表面に、滑り止め用の例えばエンボス加工等を施してもよい。
【0051】
上記実施形態では、内包物として医薬品等の錠剤を個別に包装したPTPシートを例示しているが、医薬品等に限定されるものではなく、例えばタブレット状の菓子類を包装したPTPシート等にも適用可能である。また、このようなPTPシートに限定されるものではなく、例えばチューブ状の化粧品等を内包物として本発明の包装体を適用することも可能である。つまり、内包物については特に限定されるものではなく、折り畳んで包むことができるようなものであれば、どのような種類の内包物であってもよい。
【0052】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0053】
A 展開シート
B 包装体
1 保持板
1a 第1保持板
1b 第2保持板
1c 第3保持板
1a1,1b1,1c1 開口部
2 第1側面板(側面板)
3 上面板
4 被係止板
5 弾性付与板
6 第2側面板
7 下面板
8 補強板
9 蓋板
9a 差込み片
9b 係止片
11 第1保持板折り曲げ線
12 第2保持板折り曲げ線
21 第1折り曲げ線
22 第2折り曲げ線
23 第3折り曲げ線
24 第4折り曲げ線
25 第5折り曲げ線
26 第6折り曲げ線
27 第7折り曲げ線(差込み用折り曲げ線)
28 第8折り曲げ線(係止用折り曲げ線)
29 第9折り曲げ線
30 第10折り曲げ線
31 被差込み部(切り込み線)
32 係止解除部(切り込み線)
41 被差込み開口部
42 係止解除開口部
43 被係止部
52 弾性付与片
80 PTPシート
81 収容シート
81a 収容凹部
82 被覆シート
83 錠剤(内包物)
84 PTP台紙
P 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14