【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、被験試料中のTgの量を決定するための方法であって、(a)Tg含有被験試料を消化処理し、Tgペプチドを作製するステップと、(b)1種または複数のTgペプチドを精製するステップと、(c)1種または複数のTgペプチドをイオン化するステップと、(d)質量分析によりTgペプチドイオンの量を検出するステップと、(e)検出されたTgペプチドイオンの量を、被験試料中のTgの量と関係付けるステップとを含む方法が提供される。Tgペプチドを調製するための好ましい酵素は、トリプシンである。本方法に適したTgペプチドは、質量分析により評価することができ、Tg以外のタンパク質から生成され得る関連ペプチドから十分に精製することができるTgペプチドである。斯かるペプチドの一例は、Tgの1579〜1590位由来のアミノ酸を含有し、約1,270Daの分子量を有し、Tgの全3種のアイソフォームに存在するペプチドT129(配列VIFDANAPVAVR;配列番号1)である。
図4を参照されたい。
【0011】
ペプチドT129の形成は、サイログロブリンの特有のトリプシン生成ペプチドをもたらす。また、Tgのトリプシン消化からのペプチドT129の作製は、Tg抗体の有無の影響を受けないと予想される。よって、被験試料中のペプチドT129の増加の測定は、Tg抗体の干渉を受けずに被験試料に元から存在するTgの量を定量する方法を提供する。
【0012】
あらゆる適切な方法を用いて、試料中のTgの消化に起因するTgペプチドの量を決定することができる。被験試料が内在性Tgペプチドを含有し得る場合には、内在性ペプチドが、試料中のTgの消化により生成されるペプチドと混同されないようにするステップを採用してもよい。アプローチの1つは、Tgを消化する前に試料から内在性Tgペプチドを除去することである。これは、例えば、サイズ分離技術を用いて行うことができる。別のアプローチは、被験試料中の内在性ペプチドのベースラインレベルを確立するために、特許請求される方法に従って、但し消化ステップを除外して、被験試料の一部を解析することである。このアプローチにおいて、ベースラインが決定されたら、ペプチドの消化後レベル(内在性ペプチドおよび消化により生成されたペプチドの両方を表す)からこれを減算することができる。
【0013】
本方法は、複合被験試料(特に、体液または組織由来被験試料)に適用することができるため、消化の前に被験試料中のTgを精製するステップを採用してもよい。これは、例えば、サイズ分離技術を用いて行うことができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、1種または複数のTgペプチドイオンを生成するステップを含み、前記イオンのうち少なくとも1種は、(一価または多価の)ペプチドT129イオンに相当する質量/電荷比(m/z)を有する。好ましい関連実施形態において、本方法は、1種または複数のTgペプチドイオンを生成するステップを含み、その少なくとも1種は、1272.8±0.5、636.4±0.5または424.3±0.5(単一、二重または三重荷電ペプチドT129イオンに相当)のm/zを有する。関連する好ましい実施形態において、本方法は、Tgペプチドイオンの1種または複数の断片イオンを生成するステップを含むことができ、その少なくとも1種は、541.3±0
.5、612.3±0.5、726.4±0.5、797.4±0.5、912.4±0.5または1059.5±0.5のm/zを有し、好ましくは、断片イオンのうち1種または複数は、797.4±0.5、912.4±0.5および1059.5±0.5のm/zを有するイオンからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)における精製は、少なくとも1回のサイズ分離技術を用いて達成される。好ましくは、サイズ分離技術は、濾過、LCまたはこれらのいずれかの組み合わせとなり得る。特定の好ましい実施形態において、被験試料は、体液または組織である。いくつかの実施形態において、1種または複数の内在性Tgペプチドのベースラインレベルを確立するために、第2の量の被験試料をステップ(b)から(e)で処理する追加のステップが含まれる。これらの実施形態において、このベースラインレベルを被験試料で検出されたTgペプチドイオンの量から減算して、元の被験試料中のTgに起因するTgペプチドイオンの量を決定することができる。他の実施形態において、本方法は、消化の前に被験試料中のTgを精製する追加の初期ステップを含む。これらの実施形態において、消化前精製および/またはステップ(b)における精製はそれぞれ、少なくとも1回のサイズ分離技術により達成することができる。好ましくは、消化前精製およびステップ(b)の両方において用いられる少なくとも1回のサイズ分離技術は、濾過である。より好ましくは、この濾過は、フィルター上にTgを保持し、濾液と共にTgペプチドを通過させる分子量カットオフを有する分子量カットオフフィルターにより行われる。関連する実施形態において、分子量カットオフは、約2kD〜300kD、より好ましくは、約100kD〜300kDである。これらの実施形態において、同じフィルターで2回の濾過(消化前およびステップ(b))を行ってもよい。
【0016】
第2の態様において、被験試料中のTgの量を決定するための方法であって、(a)Tg含有被験試料を消化処理し、ペプチドT129を作製するステップと、(b)ペプチドT129を精製するステップと、(c)ペプチドT129をイオン化して、636.4±0.5のm/zを有する前駆イオンを生成するステップと、(d)ペプチドT129前駆イオンを断片化して、1種または複数の断片イオンを生成し(ここで断片イオンのうち少なくとも1種が、約797.4±0.5、912.4±0.5または1059.5±0.5のm/zを有する)、質量分析により、ペプチドT129前駆イオン、断片イオンのうち1種もしくは複数、またはその両方の量を検出するステップと、(e)検出されたイオンの量を、被験試料中のTgの量と関係付けるステップとを含む方法が提供される。特定の好ましい実施形態において、被験試料は、体液または組織または組織である。いくつかの実施形態において、1種または複数の内在性ペプチドT129のベースラインレベルを確立するために、第2の量の被験試料をステップ(b)から(e)で処理する追加ステップが含まれる。これらの実施形態において、このベースラインレベルを、被験試料で検出されたペプチドT129イオンの量から減算して、元の被験試料中のTgに起因するペプチドT129イオンの量を決定することができる。他の実施形態において、本方法は、消化の前に被験試料中のTgを精製する追加の初期ステップを含む。これらの実施形態において、消化前精製および/またはステップ(b)における精製はそれぞれ、少なくとも1回のサイズ分離技術により達成することができる。好ましくは、消化前精製およびステップ(b)の両方において用いられる少なくとも1回のサイズ分離技術は、濾過である。より好ましくは、この濾過は、フィルター上にTgを保持し、濾液と共にTgペプチドを通過させる分子量カットオフを有する分子量カットオフフィルターにより行われる。関連する実施形態において、分子量カットオフは、約2kD〜300kD、より好ましくは、約100kD〜300kDである。これらの実施形態において、同じフィルターで2回の濾過(消化前およびステップ(b))を行ってもよい。
【0017】
本明細書において、用語「精製」または「精製する」とは、試料から目的とする分析物以外のあらゆる材料を除去することを指すものではない。その代わりに、精製は、試料の
1種または複数の他の構成成分と比べて、目的とする1種または複数の分析物の量を濃縮する手順を指す。本明細書における精製は、他のあらゆるものからの分析物の単離を必要としない。好ましい実施形態において、精製ステップまたは手順を用いて、1種または複数の干渉物質、例えば、本方法において用いられる装置の動作に干渉し得る1種もしくは複数の物質または質量分析による分析物イオンの検出に干渉し得る物質を除去することができる。
【0018】
本明細書において、イオンの質量測定値以外の、定量的測定値に関する用語「約」は、表示の値プラスマイナス10%を指す。
【0019】
本明細書において、用語「実質的に全ての」は、50%を超える、より好ましくは60%を超える、より好ましくは70%を超える、より好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える、いずれかの比率を指す。
【0020】
本明細書において、用語「被験試料」は、Tgを含有し得るいずれかの試料を指す。本明細書において、用語「体液または組織」は、個体の身体から単離することができるいずれかの流体または組織を意味する。例えば、「体液または組織」は、血液、血漿、血清、胆汁、唾液、尿、涙、汗その他を含むことができる。固形組織を解析する必要がある場合、これを加工することで、組織中に存在する何らかのTgを含有する可能性がある液体部分を放出させてもよい。次に、液体部分を本明細書に記載されている方法で処理してもよい。
【0021】
本明細書において、用語「消化」は、タンパク質をペプチドにするタンパク質切断を意味する。消化剤は、トリプシン、Lyc−C、Arg−R、Asp−Nその他を含むことができる。消化は、試料に消化剤(即ち、酵素)を添加し、所定期間インキュベートすることにより行われる。
【0022】
本明細書において、「Tg」または「Tg分子」は、インタクトなTgタンパク質分子を意味する。
【0023】
本明細書において、用語「Tgペプチド」は、天然のTgの断片である、100アミノ酸以下のいずれかのペプチドを意味する。Tgペプチドは、被験試料に内在していてもよいし、あるいはTgの消化の結果として形成されてもよい。ペプチドT129は、Tgのトリプシン消化の結果として形成されるTgペプチドの一例である。
【0024】
本明細書において、用語「サイズ分離技術」は、分子量および形状のうちいずれか1種または複数に基づき、被験試料からの少なくとも1種の化学種の分離を可能にするいずれかの技術(物理的または化学的)を意味する。斯かる技術の例として、濾過、クロマトグラフィーおよび質量分析の特定の態様が挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書において、用語「クロマトグラフィー」は、液体または気体によって運ばれる化学的混合物が、固定された液相または固相の周り、その上および/またはその中を流動するときに、化学物質の差次的分布の結果として構成成分に分離されるプロセスを指す。
【0026】
本明細書において、用語「液体クロマトグラフィー」または「LC」は、流体が、微粉物質のカラムを通ってまたは毛細管通路を通って均一に浸出する際の、流体溶液の1種または複数の構成成分の選択的遅延のプロセスを意味する。遅延は、この流体が固定相と相対的に移動する際の、1種または複数の固定相およびバルク流体(即ち、移動相)の間の混合物の構成成分の分布に起因する。「液体クロマトグラフィー」は、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および高乱流(high
turbulence)液体クロマトグラフィー(HTLC)を含む。
【0027】
本明細書において、用語「高速液体クロマトグラフィー」または「HPLC」は、典型的には密に充填されたカラムである固定相を通して移動相を加圧下で推し進めることにより、分離の程度が増加した液体クロマトグラフィーを指す。
【0028】
本明細書において、用語「質量分析」または「MS」は、その質量により化合物を同定するための分析的技術を指す。MSは、そのm/zに基づきイオンを濾過、検出および測定する方法を指す。MS技術は、一般に、(1)化合物をイオン化して、荷電化学種(例えば、イオン)を生成するステップと、(2)イオンの分子量を検出し、そのm/zを計算するステップとを含む。化合物は、いずれかの適した手段によりイオン化および検出することができる。「質量分析計」は、一般に、イオン化装置およびイオン検出器を含む。一般に、目的とする1種または複数の分子がイオン化され、その後、イオンは質量分析装置に導入され、磁場および電場の組み合わせにより、質量(「m」)および電荷(「z」)に依存する空間中のパスをたどる。例えば、「Mass Spectrometry From Surfaces」と題する米国特許第6,204,500号;「Methods and Apparatus for Tandem Mass Spectrometry」と題する第6,107,623号;「DNA Diagnostics Based On Mass Spectrometry」と題する第6,268,144号;「Surface−Enhanced Photolabile Attachment And Release For Desorption And Detection Of Analytes」と題する第6,124,137号;Wrightら、Prostate Cancer and Prostatic Diseases 2:264〜76(1999);ならびにMerchantおよびWeinberger、Electrophoresis 21:1164〜67(2000)を参照されたい。
【0029】
本明細書において、用語「正イオンモードで操作する」は、正イオンが検出される質量分析方法を指す。同様に、用語「負イオンモードで操作する」は、負イオンが検出される質量分析方法を指す。
【0030】
本明細書において、用語「イオン化」または「イオン化する」は、1または複数の電子単位に等しい正味電荷を有する分析物イオンを生成するプロセスを指す。正イオンは、1または複数の電子単位の正味正電荷を有するイオンである。負イオンは、1または複数の電子単位の正味負電荷を有するイオンである。
【0031】
本明細書において、用語「電子イオン化」または「EI」は、気相または蒸気相における目的とする分析物が、電子の流動と相互作用する方法を指す。分析物と電子の衝突は、分析物イオンを産生し、次にこれを質量分析技術で処理してもよい。
【0032】
本明細書において、用語「化学イオン化」または「CI」は、試薬ガス(例えば、アンモニア)が電子衝突に付され、試薬ガスイオンおよび分析物分子の相互作用により分析物イオンが形成される方法を指す。
【0033】
本明細書において、用語「高速原子衝撃」または「FAB」は、高エネルギー原子(多くの場合、XeまたはAr)のビームが不揮発性試料に衝突し、試料に含有される分子を脱離およびイオン化させる方法を指す。被験試料は、グリセロール、チオグリセロール、m−ニトロベンジルアルコール、18−クラウン−6クラウンエーテル、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、スルホラン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等、粘稠性の液体マトリックスに溶解される。化合物または試料に適切なマトリックスの選択は、経験的なプロセスである。
【0034】
本明細書において、用語「マトリックス支援レーザー脱離イオン化」または「MALDI」は、不揮発性試料をレーザー照射に曝露して、光イオン化、プロトン化、脱プロトン化およびクラスター崩壊を含む様々なイオン化経路により、試料中の分析物を脱離およびイオン化させる方法を指す。MALDIのため、試料は、分析物分子の脱離を容易にするエネルギー吸収マトリックスと混合される。
【0035】
本明細書において、用語「表面増強レーザー脱離イオン化」または「SELDI」は、不揮発性試料をレーザー照射に曝露して、光イオン化、プロトン化、脱プロトン化およびクラスター崩壊を含む様々なイオン化経路により、試料中の分析物を脱離およびイオン化させる別の方法を指す。SELDIのため、試料は典型的に、目的とする1種または複数の分析物を優先的に保持する表面に結合している。MALDIと同様に、このプロセスは、イオン化を容易にするためにエネルギー吸収材料を用いることもできる。
【0036】
本明細書において、用語「エレクトロスプレーイオン化」または「ESI」は、長さの短い毛細管に沿って溶液を通過させて、その末端に高い正または負の電位を印加する方法を指す。チューブの末端に達した溶液は、溶媒蒸気中で溶液の微小液滴のスプレーまたはジェットに気化(噴霧化)される。この液滴ミストは、溶媒の濃縮を防いで蒸発させるために僅かに加熱された蒸発チャンバー中を流動する。液滴が小さくなればなるほど、同じ電荷間の自然反発がイオンおよび中性分子を放出させるような時間まで、電気的表面電荷密度は増加する。
【0037】
本明細書において、用語「大気圧化学イオン化」または「APCI」は、ESIと同様の質量分析方法を指す。しかし、APCIは、大気圧におけるプラズマ内で起こるイオン−分子反応によりイオンを産生する。プラズマは、スプレーキャピラリーおよび対電極の間の放電により維持される。続いて、イオンは典型的に、差次的にポンプ注送されるスキマーステージのセットの使用により質量分析器へと抽出される。乾燥および予熱されたN
2ガスの向流を用いて、溶媒の除去を改善することができる。APCIにおける気相イオ
ン化は、極性の小さい化学種を解析するためにESIよりも有効となり得る。
【0038】
用語「大気圧光イオン化」または「APPI」は、本明細書において、分子Mの光イオン化の機序が、分子M+を生成するための光子吸収および電子放出である質量分析の形態を指す。光子エネルギーは典型的に、イオン化ポテンシャルのわずかに上であるため、分子イオンは、解離に対する感受性が低い。多くの場合、クロマトグラフィーの必要なく、よって、有意な時間および費用を節約しつつ試料を解析することが可能となり得る。水蒸気またはプロトン性溶媒の存在下で、分子イオンは、Hを抽出して、MH+を生成することができる。これは、Mが高いプロトン親和性を有する場合に起こる傾向がある。M+およびMH+の合計が一定であるため、これは定量の正確性に影響を与えない。プロトン性溶媒における薬物化合物は通常、MH+として観察され、一方、ナフタレンまたはテストステロン等、非極性化合物は通常、M+を生成する。Robb、D.B.、Covey、T.R.およびBruins、A.P.(2000):例えば、Robbら、Atmospheric pressure photoionization:An ionization method for liquid chromatography−mass spectrometry.Anal.Chem.72(15):3653〜3659を参照されたい。
【0039】
本明細書において、用語「誘導結合型プラズマ」または「ICP」は、試料が、大部分の要素の微粒化およびイオン化に十分な高温で、部分的にイオン化されたガスと相互作用される方法を指す。
【0040】
本明細書において、用語「電界脱離」は、不揮発性被験試料がイオン化表面に置かれ、強電界を用いて分析物イオンが生成される方法を指す。
【0041】
本明細書において、用語「脱離」は、表面からの分析物の除去および/または気相への分析物の侵入を指す。
【0042】
本明細書において、用語「定量限界」または「LOQ」は、測定が定量的に臨界的となるポイントを指す。このLOQにおける分析物の応答は、20%の精度および80%〜120%の正確性で個別に識別可能であり、再現性がある。
【0043】
本明細書に開示されている方法の特定の好ましい実施形態において、質量分析は、正イオンモードで行われる。本明細書に開示されている方法の特定の特に好ましい実施形態において、質量分析は、Tgペプチドからイオンを作製する方法としてESIを用いて行われる。
【0044】
好ましい実施形態において、質量分析計で検出可能なTgペプチドイオン化由来のイオンは、636.4±0.5、1059.5±0.5、921.4±0.5、797.4±0.5、726.4±0.5、612.3±0.5および541.3±0.5のm/zを有するイオンからなる群から選択され;上記のうち1番目のイオン(636.4±0.5のm/z)は、正の2電子単位の正味電荷を有する前駆イオンであり、上記のうち後者の6イオンは、前駆イオンの断片イオンである。特に好ましい実施形態において、前駆イオンは、正の2電子単位の正味電荷および約636.4±0.5のm/zを有し、断片イオンは、1059.5±0.5、921.4±0.5または797.4±0.5のm/zを有する。
【0045】
一部の好ましい実施形態において、別々に検出可能な内部標準ペプチド(例えば、T129)は、トリプシン消化後に被験試料に導入される。これらの実施形態において、内在性Tgの消化および内部標準の添加の両方に由来する被験試料に存在するペプチドの全体または一部は、イオン化されて、質量分析計で検出可能な複数のイオンを産生し、ペプチドイオン化から産生された1種または複数のイオンは、質量分析計で検出される。
【0046】
他の好ましい実施形態において、別々に検出可能な内部Tg標準は、トリプシン消化の前に被験試料に供給される。これらの実施形態において、被験試料に存在する内在性Tgおよび内部標準の両方の全体または一部は、トリプシンにより消化されて、Tgペプチドの生成をもたらす。Tgペプチドは、イオン化されて、質量分析計で検出可能な複数のイオンを産生し、Tgペプチドイオン化から産生された1種または複数のイオンは、質量分析により検出される。
【0047】
好ましい実施形態において、Tg消化に起因するTgペプチドのイオン化から産生される質量分析計で検出可能なイオンは、636.4±0.5、1059.5±0.5、921.4±0.5、797.4±0.5、726.4±0.5、612.3±0.5および541.3±0.5のm/zを有するイオンからなる群から選択され;上記のうち1番目のイオン(636.4±0.5のm/z)は、正の2電子単位の正味電荷を有する前駆イオンであり、上記のうち後者の6イオンは、前駆イオンの断片イオンである。特に好ましい実施形態において、前駆イオンは、正の2電子単位の正味電荷および636.4±0.5のm/zを有し、断片イオンは、1059.5±0.5、921.4±0.5、797.4±0.5のm/zを有する。
【0048】
好ましい実施形態において、Tgペプチドイオンの存在または量を、参照Tg試料と比較することにより、元の被験試料中のTgの存在または量と関係付ける。
【0049】
一実施形態において、本方法は、質量分析とLCとの組み合わせを含む。別の好ましい実施形態において、質量分析は、タンデム質量分析(MS/MS)である。
【0050】
上述の本開示の概要は、非限定的であり、本開示の他の特色および利点は、次の本開示の詳細な説明と特許請求の範囲から明らかとなるであろう。