(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記近接ステージの前記遠隔ステージとは反対側に、前記近接ステージから離れるほど高さが低くなる下り勾配部が設けられており、該下り勾配部が前記通過口を形成していることを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異物を簡易に効率良く除去することが求められている。
【0005】
したがって、本発明は、異物を簡易に効率良く除去することが可能な硬貨処理装置、硬貨投入口および硬貨受皿の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、硬貨を装置内部に取り込んで処理する硬貨処理装置であって、処理対象の最小径硬貨の直径よりも小径の異物排除孔が底部に複数形成されると共に外部から硬貨が投入される受皿部と、前記底部上で所定枚数を超えて重なる硬貨の前記所定枚数までの通過を許容し前記所定枚数を超える分の通過を規制する通過口を前記底部との間に形成する通過制限部と、前記受皿部から前記通過口に送り込まれた硬貨を前記装置内部に導入する導入部と、を備え
、前記底部には、前記通過口に向けて延在する複数列のリブが互いに間隔をあけて設けられていると共に、隣接する前記リブの間に前記異物排除孔が設けられており、前記リブには、当該リブを厚み方向に切り欠いて形成された切欠部が設けられており、前記切欠部の延在方向の位置は、硬貨の移動方向に対して前記異物排除孔よりも上流側に位置していることを特徴とする。
【0007】
上記第1の態様によれば、例えば、受皿部に投入された硬貨が手動によって底部上を移動して、底部と通過制限部とで形成された通過口に送り込まれることになる。その際に、通過口によって、これを通過する硬貨の重なり枚数を制限することで、少しずつ通過口に硬貨が送り込まれることになる。これにより、受皿部の硬貨が徐々にばらけることになる。このように硬貨をばらけさせることで、硬貨に混ざった異物が底部上に落下することになり、直接あるいは移動する硬貨で押されて異物排除孔から落下する。
また、底部に通過口に向けて延在するようにリブが複数列設けられているため、硬貨がリブに載ると硬貨と異物排除孔との間に隙間をつくる。よって、異物が異物排除孔からより良好に落下する。
本発明に係る第2の態様は、第1の態様において、前記リブの前記切欠部との境界部は、平面視において半円形状に形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る第
3の態様は、第1
または2の態様において、前記通過制限部は、前記導入部を開閉するカバーに設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記第
3の態様によれば、通過制限部が、導入部を開閉するカバーに設けられているため、部品点数を低減することができ、低コスト化が図れる。
【0010】
本発明に係る第
4の態様は、第1
乃至第
3の
何れか一態様において、前記底部は、近接ステージと、該近接ステージよりも前記通過口から遠く高さが低い遠隔ステージと、前記近接ステージと前記遠隔ステージとを繋ぐ、前記近接ステージ側ほど高さが高い上り勾配部と
、を有
し、前記遠隔ステージには、前記通過口に向けて連続的に延在する複数列の第1リブが設けられ、前記近接ステージには、前記通過口に向けて断続的に延在する複数列の第2リブが設けられ、前記第1リブと、当該第1リブに対応する第2リブとが、延在方向で連続的に設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記第
4の態様によれば、底部の遠隔ステージに投入された硬貨は、通過口の通過のために、遠隔ステージから上り勾配部上を移動させられて、近接ステージに至って、通過口に送り込まれることになる。その際に、近接ステージに上り切れなかった硬貨は上り勾配部を下って遠隔ステージに戻る。これにより、受皿部の硬貨がより一層ばらけることになり、硬貨に混ざった異物が底部上により良好に落下することになって、異物排除孔からより良好に落下する。
また、リブに切欠部が形成されているため、隣り合うリブ同士の間隔より長い異物が隣り合うリブに跨がって載ってそのまま硬貨とともに滑って移動することを防止することができる。
【0012】
本発明に係る第
5の態様は、第
4の態様において、前記近接ステージの前記遠隔ステージとは反対側に、前記近接ステージから離れるほど高さが低くなる下り勾配部が設けられており、該下り勾配部が前記通過口を形成していることを特徴とする。
【0013】
上記第
5の態様によれば、近接ステージに移動させられた硬貨は、通過口に向け移動させられると、下り勾配部を重力で助勢されて移動することになる。よって、通過口への硬貨の送り込みの作業が容易となる。
【0018】
本発明に係る第
6の態様は、第
1の態様において、前記切欠部は、前記リブの延在方向において、前記異物排除孔に対し前記通過口とは反対側にずれて配置されていることを特徴とする。
【0019】
上記第
6の態様によれば、切欠部が、リブの延在方向において、異物排除孔に対し通過口とは反対側にずれて配置されているため、硬貨で押されてリブの切欠部に入り混んだ異物が異物排除孔により良好に落下する。
【0020】
本発明に係る第
7の態様は、第1乃至第
6のいずれか一の態様において、前記底部の下側
であって、前記異物排除孔
における硬貨の移動方向の下流側に磁石が設けられていることを特徴とする。
【0021】
上記第
7の態様によれば、異物排除孔に進入した金属製の異物を吸引し、場合により吸着する磁石が底部の下側に設けられているため、金属製の異物を異物排除孔に引き込むことができる。このように、受皿部の表面部分ではなく、異物排除孔の中に金属製の異物を誘導することで、次に流れる硬貨等で金属製の異物が通過口に押し込まれることを抑制することができる。
【0022】
本発明に係る第
8の態様は、第
7の態様において、前記底部は、取り外し可能であり、前記磁石は前記底部と一体に設けられていることを特徴とする。
【0023】
上記第
8の態様によれば、底部を取り外すと、磁石およびこれに吸着された金属製の異物も一緒に取り出されることになる。よって、金属製の異物の排除作業が容易となる。
【0024】
本発明に係る第
9の態様は、処理対象の最小径硬貨の直径よりも小径の異物排除孔が底部に複数形成されると共に外部から硬貨が投入される受皿部と、前記底部上で所定枚数を超えて重なる硬貨の前記所定枚数までの通過を許容し前記所定枚数を超える分の通過を規制する通過口を前記底部との間に形成する通過制限部と、前記受皿部から前記通過口に送り込まれた硬貨を通過させる導入開口部と
、を備え、
前記底部には、前記通過口に向けて延在する複数列のリブが互いに間隔をあけて設けられていると共に、隣接する前記リブの間に前記異物排除孔が設けられており、前記リブには、当該リブを厚み方向に切り欠いて形成された切欠部が設けられており、前記切欠部の延在方向の位置は、硬貨の移動方向に対して前記異物排除孔よりも上流側に位置していることを特徴とする。
【0025】
上記第
9の態様によれば、例えば、受皿部に投入された硬貨が手動によって底部上を移動して、底部と通過制限部とで形成された通過口に送り込まれることになる。その際に、通過口によって、これを通過する硬貨の重なり枚数を制限することで、少しずつ通過口に硬貨が送り込まれることになる。これにより、受皿部の硬貨が徐々にばらけることになる。このように硬貨をばらけさせることで、硬貨に混ざった異物が底部上に落下することになり、直接あるいは移動する硬貨で押されて異物排除孔から落下する。
【0026】
本発明に係る第
10の態様は、処理対象の最小径硬貨の直径よりも小径の異物排除孔が
底部に複数形成されると共に外部から硬貨が投入される受皿部と、前記底部上で所定枚数を超えて重なる硬貨の前記所定枚数までの通過を許容し前記所定枚数を超える分の通過を規制する通過口を前記底部との間に形成する通過制限部と、を備え
、前記底部には、前記通過口に向けて延在する複数列のリブが互いに間隔をあけて設けられていると共に、隣接する前記リブの間に前記異物排除孔が設けられており、前記リブには、当該リブを厚み方向に切り欠いて形成された切欠部が設けられており、前記切欠部の延在方向の位置は、硬貨の移動方向に対して前記異物排除孔よりも上流側に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、異物を簡易に効率良く除去することが可能な硬貨処理装置、硬貨投入口および硬貨受皿を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る硬貨投入口を含む硬貨処理装置を
図1〜
図8を参照して以下に説明する。
【0031】
図1に示すように、第1実施形態に係る硬貨処理装置10は、上部に硬貨投入口11が設けられており、硬貨投入口11に外部から一括投入されたバラ硬貨に対して、硬貨投入口11の下部の硬貨処理部12で所定の処理を行うものである。硬貨処理部12は、例えば、バラ硬貨を識別計数して指定された単一金種の所定枚数の硬貨を集積するとともに該集積硬貨を包装する包装処理を行ったり、包装処理を行わずに指定された金種の硬貨を計数し該計数した硬貨を機外に放出させる計数処理を行ったりするものである。勿論、硬貨処理部12は、バラ硬貨に所定の処理を行うものであれば良く、これら以外の処理を行うものであっても良い。
【0032】
硬貨処理部12は、漏斗状のホッパ15と、ホッパ15の下部開口を閉塞するように設けられる回転円盤16と、回転円盤16から一枚ずつ分離して繰り出された硬貨に対して、正損真偽および金種等を識別し計数する識別計数部17等を有しており、上記のような処理を行う。
【0033】
硬貨投入口11は、
図2,
図3に示すベース部材21を有している。ベース部材21は、矩形枠状の周囲壁部22と、
図3に示すように、周囲壁部22の長さ方向の一側部分の内側に形成された導入開口部23と、周囲壁部22の長さ方向の逆側部分の下部に形成された底部構成部24と、これら導入開口部23と底部構成部24との間に設けられた異物収容部25とを有している。導入開口部23の下方に、上記したホッパ15および回転円盤16が、導入開口部23を介して落下する硬貨を受け入れるように設けられている。
【0034】
硬貨投入口11は、ベース部材21の周囲壁部22の導入開口部23側に、回動可能に連結されたカバー31を有している。カバー31は、矩形板状の本体板部32と、本体板部32の一端縁部から本体板部32に対して略垂直に延出する延出板部33とを有している。カバー31は、本体板部32が、ベース部材21の周囲壁部22上に載置されると、水平に広がって導入開口部23を塞ぐことになり、このとき、延出板部33は、本体板部32の底部構成部24側の端縁部から下方に延出する状態となる。この状態で、延出板部33は、ベース部材21の長さ方向に対して直交して広がる。カバー31は、この状態が導入開口部23を閉塞する閉状態となっている。
【0035】
そして、カバー31は、本体板部32の延出板部33と直交する方向に延びる一方の端縁部が、ベース部材21の周囲壁部22の長さ方向に延在する部分の上部にヒンジ結合されており、この端縁部側を中心に上方に回動して導入開口部23を開く。つまり、カバー31は、導入開口部23を開閉する。図示は略すが、カバー31とベース部材21との間に、カバー31を閉状態でベース部材21にロックするロック機構を設けてもよい。ロック機構は、カバー31を開状態から閉状態とすると自動的にロック状態となり、例えばボタン操作がなされるとロックが解除される。
【0036】
底部構成部24は、ベース部材21の周囲壁部22の内側に、周囲壁部22の上端部よりも低い高さで広がっている。底部構成部24は、長方形状をなして水平に広がるベース底部41と、ベース底部41の導入開口部23側の端縁部から導入開口部23側に導入開口部23側ほど高さが高くなるように傾斜して延出する長方形状の傾斜部42と、を有している。底部構成部24は、ベース底部41が上を向いて水平に広がる底面41aを有しており、傾斜部42が上を向いて傾斜する底面42aを有している。底部構成部24は、これら底面41a,42aよりも上方に突出する複数列(図示例は6列)のストライプ状のリブ43を有している。
【0037】
複数のリブ43は、いずれもベース部材21の長さ方向に沿って延在しており、その延在方向に直交する方向に並んでいる。つまり、底部構成部24には、リブ43が複数列平行に配置されている。複数のリブ43は、等間隔で配置されており、いずれもベース部材21の長さ方向における底部構成部24の全長にわたって連続的に形成されている。複数のリブ43は、隣り合うもの同士の間隔が例えば最小径硬貨(日本国内では1円硬貨)の外径よりやや短い間隔となっている。
【0038】
異物収容部25は、周囲壁部22の内側に、全体が周囲壁部22の上端部よりも低い高さで広がっており、水平に広がる収容底部51と、収容底部51の周縁部から上方に突出する矩形枠状の収容壁部52とを有している。収容壁部52の上端面は水平に広がっており、その高さは、傾斜部42の底面42aのベース底部41とは反対側の端縁部よりも若干低くなっている。
【0039】
硬貨投入口11は、ベース部材21に対して取り外しおよび装着可能な底板部材61を有している。底板部材61は異物収容部25を開閉する。底板部材61は、矩形板状の主板部63と、主板部63の一端縁部から主板部63に対して鈍角をなして延出する傾斜板部64とを有しており、主板部63において異物収容部25の収容壁部52の上端面に載置されてベース部材21に取り付けられる。
【0040】
底板部材61は、ベース部材21に取り付けられた状態で、その主板部63が異物収容部25を覆うことになり、傾斜板部64は、主板部63の底部構成部24とは反対側の端縁部から底部構成部24から離れる方向に、底部構成部24から離れるほど下側に位置するように下り勾配で斜めに延出する。
【0041】
底板部材61と、底部構成部24と、これらの周囲の周囲壁部22とが、硬貨投入口11において外部から硬貨が投入される受皿部71となっており、底板部材61と底部構成部24とが受皿部71の底部72となっている。
【0042】
底板部材61の傾斜板部64は、閉状態にあるカバー31の延出板部33とベース部材21の長さ方向における位置を重ね合わせており、延出板部33との間に硬貨を通過させる通過口75を形成する。通過口75はベース部材21の長さ方向に対して直交する水平方向に直線状に延びている。通過口75の高さは、処理対象の硬貨の形状等に応じて任意に選択可能であるが、一例を挙げると最小厚硬貨(日本国内では1円硬貨)の硬貨の3枚分の厚み以上で、4枚分の厚み未満となっており、例えば5mmに設定されている。つまり、通過口75は、受皿部71の底部72上で所定枚数を超えて重なる硬貨のこの所定枚数までの通過を許容しこの所定枚数を超える分の通過を規制する。延出板部33は、この通過口75を受皿部71の底部72との間に形成する通過制限部となっている。
【0043】
ここで、硬貨処理装置10は、例えば、受皿部71に投入された硬貨が手動によって通過口75に送り込まれる。ベース部材21の導入開口部23は、受皿部71から通過口75に送り込まれた硬貨を通過させる。ベース部材21の導入開口部23およびその下方のホッパ15が、受皿部71から通過口75に送り込まれた硬貨を内部に導入する導入部76を構成している。カバー31は、導入部76を開閉するものであり、閉状態では、通過口75を介さずに導入部76に直接バラ硬貨が投入されることを規制する。
【0044】
ベース部材21に取り付けられて受皿部71の底部72を構成する状態の底板部材61は、主板部63が上を向いて水平に広がる底面63aを有しており、傾斜板部64が上を向いて導入部76に向けて下り勾配で傾斜する底面64aを有している。また、底板部材61は、これら底面63aおよび底面64aよりも上方に突出する複数列のストライプ状のリブ81を有している。底部72の底面41a,42a,63a,64aは、ベース部材21の長さ方向に段差なく滑らかに連続している。
【0045】
複数のリブ81は、いずれもベース部材21の長さ方向に沿って延在しており、その延在方向に直交する水平方向に並んでいる。つまり、底板部材61には、リブ81が複数列平行に配置されている。複数のリブ81は、等間隔で配置されており、底部構成部24の複数のリブ43と位置を合わせて同数設けられている。すなわち、底板部材61の複数のリブ81は、それぞれが、底部構成部24の複数のリブ43の対応する一つと連続して配置されている。受皿部71の底部72を構成する底部構成部24に設けられた複数列のリブ43は通過口75に向けて延在しており、受皿部71の底部72を構成する底板部材61に設けられた複数列のリブ81も通過口75に向けて延在している。
【0046】
底板部材61の主板部63には、隣り合うリブ81間に円形の異物排除孔82が主板部63を厚さ方向(上下方向)に貫通して形成されている。異物排除孔82は、処理対象の最小径硬貨(日本国内では1円硬貨)の直径よりも小径の内径であり、複数(図示例では4つ)の異物排除孔82が、主板部63の隣り合うリブ81とリブ81との間にリブ81の延在方向に直列状に並んで等間隔で設けられている。このような直列状の複数の異物排除孔82の列が、隣り合うリブ81とリブ81との各間位置に設けられ、結果、主板部63に複数列(図示例では7列)設けられている。異物排除孔82の各列は、それぞれの異物排除孔82の配置ピッチが同等であり、互いにリブ81の延在方向における位置を揃えている。
【0047】
底板部材61の主板部63には、リブ81とは反対の下面に複数の
図4に示す磁石83が固定されている。磁石83は永久磁石であり、全ての異物排除孔82の通過口75側(
図4の左側)に隣接して設けられている。このように底板部材61の下側に設けられた磁石83は異物排除孔82に進入したクリップやホチキスの針等の金属製の異物Bを吸引し、場合により吸着する。磁石83は底板部材61と一体に設けられており、底板部材61と共にベース部材21から取り外される。磁石83を、全ての異物排除孔82の通過口75側に隣接して設けるのではなく、通過口75側の一部の異物排除孔82の通過口75側に隣接して設けても良い。少なくとも最も通過口75側の異物排除孔82の通過口75側に隣接して設ければ良い。
【0048】
底板部材61の複数列のリブ81は、
図5に示すように、切欠部86が形成されることで延在方向に断続する形状となっている。切欠部86は、いずれも主板部63の範囲に形成されており、傾斜板部64の範囲には形成されていない。切欠部86は、リブ81の延在方向における位置を異物排除孔82と異ならせており、リブ81の延在方向に隣り合う異物排除孔82と異物排除孔82との間に配置されている。隣り合うリブ81同士も、互いに切欠部86のリブ81の延在方向における位置を異ならせている。これにより、切欠部86は千鳥状つまり互い違いに配置されている。いずれの切欠部86も、リブ81の延在方向において、いずれかの異物排除孔82に対し通過口75とは反対側(
図5の右側)にずれて配置されている。リブ81の延在方向における切欠部86の長さは、処理対象の硬貨の形状等に応じて任意に選択可能であるが、一例を挙げると最小径硬貨(日本国内では1円硬貨)の直径よりも短く、例えば10mmとされる。
【0049】
主板部63の範囲のリブ81は、
図6に示すように、上端面81aが、主板部63の底面63aと平行である。また、リブ81は、各切欠部86の両側の境界部81B,81Cのうち、切欠部86に対し通過口75とは反対側(
図6の右側)となる境界部81Bが、通過口75側(
図6の左側)ほど低くなるように傾斜面81bが形成された下り勾配となっている。また、リブ81は、各切欠部86の両側の境界部81B,81Cのうち、切欠部86に対し通過口75側となる境界部81Cが、主板部63の底面63aに略垂直に立ち上がっている。リブ81は、境界部81B,81Cが、
図7に示すように、いずれも平面視で丸みをおびた半円形状となっている。ここで、切欠部86を、このように底板部材61の主板部63の範囲のリブ81のみに設けるのではなく、底板部材61のリブ81に加えて、底部構成部24のリブ43に形成することも可能であり、底部構成部24のリブ43のみに形成することも可能である。
【0050】
図2に示すように、底板部材61の主板部63は、受皿部71の底部72のうち、通過口75に近接して上側に位置する近接ステージ(上部ステージ)であり、ベース部材21のベース底部41は、受皿部71の底部72のうち、主板部63よりも通過口75から遠く高さが低い遠隔ステージ(下部ステージ)となっている。また、ベース部材21の傾斜部42は、主板部63とベース底部41とを繋いでおり、主板部63側ほど高さが高く傾斜する上り勾配部となっている。底板部材61の傾斜板部64は、主板部63のベース底部41とは反対側に設けられ、主板部63から離れるほど高さが低くなる下り勾配部となっている。受皿部71の底部72を構成する、近接ステージである主板部63、遠隔ステージであるベース底部41、上り勾配部である傾斜部42および下り勾配部である傾斜板部64のうち、近接ステージである主板部63のみに異物排除孔82および切欠部86が形成されている。
【0051】
カバー31は、導入開口部23を塞ぐ閉状態で、ホッパ15に通過口75を介さず直接バラ硬貨が投入されることを規制することになり、これにより、バラ硬貨は、基本的に、受皿部71に投入されることになる。その際に、受皿部71の最も窪むベース底部41上にバラ硬貨が一括投入される。このように、受皿部71上に投入された硬貨は、手動によって底部72上を移動して、底部72とカバー31とで形成された通過口75に送り込まれることになる。つまり、ベース底部41上のバラ硬貨は、操作者の手の平で押されることにより、通過口75に向かって滑らされ、傾斜部42を上り、主板部63上を移動して通過口75に送り込まれることになる。その際に、主板部63に上り切れなかった硬貨は、傾斜部42を重力により下ってベース底部41に戻る。これにより、主板部63上の硬貨がばらけることになる。
【0052】
そして、通過口75によって、これを通過する硬貨の重なり枚数を制限することで、少量ずつ硬貨が通過口75を通過してホッパ15に送り込まれることになる。これにより、受皿部71の硬貨の山が崩され硬貨が徐々にばらけることになる。このように硬貨をばらけさせることで、硬貨に混ざった異物が底部72上に落下することになり、通過口75に送り込まれる前に、直接あるいは移動する硬貨で押されて主板部63の異物排除孔82から落下する。通過口75に送り込まれた硬貨は、傾斜板部64を重力で助勢されて下ってホッパ15を含む導入部76に導入される。
【0053】
このとき、硬貨がリブ81に載ると硬貨と異物排除孔82との間に上下方向に隙間ができ、異物が異物排除孔82からより落下し易くなる。また、
図5に示すように、隣り合うリブ81とリブ81との間隔より長い異物Bが、隣り合うリブ81とリブ81とに跨がって載って硬貨とともに滑って移動しても、切欠部86でリブ81から落下して引っ掛かり、そのまま硬貨とともに滑って移動することを防止する。また、切欠部86に落下した異物Bは、硬貨とともに通過口75側に押されると、切欠部86の斜め前方にある異物排除孔82から落下し易くなる。異物排除孔82に一部進入した金属製の異物Bは、
図4に示すように磁石83で吸引されて異物排除孔82に引き込まれて異物排除孔82に落下し、場合により磁石83に吸着される。
【0054】
ここで、カバー31は、通常の硬貨処理時は閉状態で使用され、保守作業等の際には識別計数部17等にアクセス可能にするために開状態とされる。硬貨が重なるほど、重なる硬貨間に異物が挟まった状態で投入されるリスクが高くなるため、少量ずつ投入させるための目視的な抑止効果として通過口75の高さを5mm(1円硬貨3枚または5百円硬貨2枚)とする。なお、計数するために持参した硬貨収納袋や硬貨収納箱に異物の混入が無いと判断できる場合は、カバー31を開放してホッパ15を含む導入部76に硬貨が直接投入されることを許容する。また、カバー31を閉状態にすることで、塵埃等が導入部76から装置内部に入ることを防止できる。
【0055】
以上に述べた第1実施形態によれば、例えば、受皿部71に投入された硬貨が手動によって底部72上を移動して、底部72とカバー31とで形成された通過口75に送り込まれることになる。その際に、通過口75によって、これを通過する硬貨の重なり枚数を制限することで、少しずつ通過口75に硬貨が送り込まれることになる。これにより、駆動源を要する機械的機構等を設けることなく、受皿部71の硬貨が徐々にばらけることになる。このように硬貨をばらけさせることで、硬貨に混ざった異物が底部72上に落下することになり、直接あるいは移動する硬貨で押されて異物排除孔82から落下する。したがって、異物を簡易に効率良く除去することが可能となる。このため、例えば長さが最小径硬貨の直径よりも長いクリップ等の異物であっても、これを簡易に効率良く除去することが可能となる。
【0056】
また、受皿部71の底部72とで通過口75を形成する通過制限部が、導入開口部23を含む導入部76を開閉するカバー31に一体に設けられた延出板部33であるため、部品点数を低減することができ、低コスト化が図れる。
【0057】
また、底部72の遠隔ステージであるベース底部41に投入された硬貨は、通過口75の通過のために、ベース底部41から上り勾配部である傾斜部42上を移動させられて、近接ステージである主板部63に至って、通過口75に送り込まれることになる。その際に、主板部63に上り切れなかった硬貨は傾斜部42を重力により下ってベース底部41に戻る。これにより、受皿部71の硬貨がより一層ばらけることになり、硬貨に混ざった異物が底部72上により良好に落下することになって、異物排除孔82からより良好に落下する。
【0058】
また、近接ステージである主板部63に移動させられた硬貨は、通過口75に向け移動させられると、下り勾配部である傾斜板部64を重力で助勢されて下ることになる。よって、通過口75への硬貨の送り込みの作業が容易となる。
【0059】
また、受皿部71の底部72に通過口75に向けて延在するようにリブ81が複数列設けられているため、硬貨がリブ81に載ると硬貨と異物排除孔82との間に隙間をつくる。よって、異物が異物排除孔82からより良好に落下する。
【0060】
また、リブ81に切欠部86が形成されているため、隣り合うリブ81とリブ81との間隔より長い異物が隣り合うリブ81とリブ81とに跨がって載ってそのまま硬貨とともに滑って移動することを防止することができる。
【0061】
また、切欠部86が、リブ81の延在方向において、異物排除孔82に対し通過口75とは反対側にずれて配置されているため、硬貨で押されてリブ81の切欠部86に入り混んだ異物が異物排除孔82により良好に落下する。
【0062】
また、異物排除孔82に進入した金属製の異物を吸引し、場合により吸着する磁石83が底部72の下側に設けられているため、金属製の異物を異物排除孔82に引き込むことができる。このように、受皿部71の表面部分ではなく、異物排除孔82の中に金属製の異物を誘導することで、次に流れる硬貨等で金属製の異物が通過口75に押し込まれることを抑制することができる。
【0063】
また、底部72を構成する底板部材61をベース部材21から取り外すと、磁石83およびこれに吸着された金属製の異物が底板部材61と一緒にベース部材21から取り出されることになる。よって、金属製の異物の排除作業が容易となる。底板部材61をベース部材21から取り外すことができるため、異物収容部25を引き出し可能な構造にする必要がない。
【0064】
第1実施形態を以下のように変更することも可能である。
【0065】
底板部材61の主板部63を通過口75側ほど低くなるように下り勾配で傾斜させる。このように構成すれば、主板部63の硬貨が通過口75側に移動しやすくなる。
【0066】
底板部材61の主板部63を通過口75側ほど高くなるように上り勾配で傾斜させる。このように構成すれば、主板部63の硬貨が通過口75側に移動しにくくなり、よりばらけ易くなって、異物除去効果が高まる。
【0067】
図8に示すように、異物収容部25を別体のトレイ状として、ベース部材21の周囲壁部22の開口部91から引き出し可能とする。この場合、底板部材61をベース部材21に対し着脱自在とする必要はなくベース部材21と一体にできる。また、この場合、磁石83を異物収容部25に設けるのが良い。
【0068】
硬貨投入口11を別体で形成して、既存の硬貨処理装置に上記状態となるように後付けで取り付けることが可能であり、その場合、硬貨処理装置との間に互いに着脱自在に係合する係合機構を設けて硬貨処理装置に対して着脱自在なアタッチメントタイプとしても良い。アタッチメントタイプとした場合、複数の硬貨処理装置に付け替えて使用したり、異物が多い特定の顧客の硬貨を計数するときだけ硬貨処理装置に取り付けて使用したりすることができる。硬貨投入口11を後付けで取り付けると、硬貨投入口11が硬貨処理装置から突出することがあるが、通常時に、取り外した運用とすれば邪魔になることは少ない。
【0069】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る硬貨処理装置を主に
図9および
図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0070】
第2実施形態においては、
図9,
図10に示すように第1実施形態よりも硬貨投入口11のベース部材21の長さが短くなっており、ベース部材21には、長さ方向一側に導入開口部23が、長さ方向逆側に異物収容部25が設けられ、第1実施形態の底部構成部24は設けられていない。また、第2実施形態では、底板部材61のみで受皿部71の底部72を形成する。第2実施形態の底板部材61は、主板部63の長さが第1実施形態よりも長く、その分、異物排除孔82および切欠部86の数が第1実施形態よりも多くなっている。第2実施形態では、受皿部71の底部72は、水平に広がる主板部63と、主板部63から導入部76側に下り勾配で延出する傾斜板部64とのみで構成されている。このような第2実施形態は、硬貨投入口11を小型にすることができる。
【0071】
第2実施形態において、第1実施形態と同様、底板部材61の主板部63を通過口75側ほど低くなるように下り勾配で傾斜させたり、底板部材61の主板部63を通過口75側ほど高くなるように上り勾配で傾斜させたりしても良い。また、異物収容部25を別体のトレイ状としてベース部材21の周囲壁部22の開口部から引き出し可能とし、底板部材61をベース部材21に一体としても良い。硬貨投入口11を別体で形成して、既存の硬貨処理装置に上記状態となるように後付けで取り付けたり、硬貨処理装置との間に互いに着脱自在に係合する係合機構を設けて硬貨処理装置に対して着脱自在なアタッチメントタイプとしても良い。