特許第6678063号(P6678063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6678063
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】コーナー部材の保持機構
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20200330BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20200330BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   H02S20/23 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-101486(P2016-101486)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-206911(P2017-206911A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北野 貴寛
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−202132(JP,A)
【文献】 特開2014−043734(JP,A)
【文献】 特開2006−274660(JP,A)
【文献】 特開2002−180605(JP,A)
【文献】 特開2011−179257(JP,A)
【文献】 特開2001−164710(JP,A)
【文献】 特開2008−088687(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0303865(US,A1)
【文献】 中国実用新案第204947972(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
E04D 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に一定の間隔を空けて設置された架台に固定される太陽電池モジュール列の隅部に配置され、前記架台が延びる方向と同方向に延びる辺と、前記太陽電池モジュールに対向する辺とを有するコーナー部材の保持機構であって、
前記架台の端部に接続され、該架台を挟んで位置する太陽電池モジュール列の同じ方向の隅部にそれぞれ位置し、一部が対向する前記コーナー部材のうちの一方を保持する第1保持部材と、
前記一方のコーナー部材と、該一方のコーナー部材と一部が対向する他方のコーナー部材とを保持する第2保持部材とを有し、
前記第1保持部材は、前記架台の端部と接続した連結部と、前記一方のコーナー部材の、前記架台が延びる方向の移動及び前記架台が延びる方向と直交する方向の移動を規制する移動規制部とが設けられており、
前記架台が延びる方向と同方向にそれぞれ延びる、前記一方のコーナー部材の前記他方のコーナー部材と対向する辺と、前記他方のコーナー部材の前記一方のコーナー部材と対向する辺の一部は、前記架台の外側に突出しており、前記外側に突出した箇所において前記第2保持部材が設置されていることを特徴とする、コーナー部材の保持機構。
【請求項2】
前記コーナー部材は、
平板状のパネルと、前記パネルの外周縁を保持するフレーム体とを有し、
前記フレーム体は、側部と、該側部の一端から突出する第1のフランジ部と、該側部の他端から突出する第2のフランジ部と、を有し、
前記一方のコーナー部材の前記太陽電池モジュールと対向する辺において、前記フレーム体は、前記他方のコーナー部材側の端部において、前記第2のフランジ部に切欠き部が形成され、
前記移動規制部は、前記切欠き部に位置し、前記第2のフランジ部と前記側部とにそれぞれ対向する側面を有している、請求項1に記載のコーナー部材の保持機構。
【請求項3】
前記移動規制部は、前記側部と対向する位置において、前記側部に沿うように屈曲又は湾曲している請求項2に記載のコーナー部材の保持機構。
【請求項4】
前記第2保持部材は、前記架台が延びる方向に複数設置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のコーナー部材の保持機構。
【請求項5】
前記第2保持部材は、前記一方のコーナー部材に固定される側部と、該側部の両端から前記他方のコーナー部材に向かってそれぞれ突出し、前記他方のコーナー部材を保持する突出部と、前記他方のコーナー部材の、前記架台が延びる方向への移動を規制する止め部と、を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のコーナー部材の保持機構。
【請求項6】
前記止め部は、前記突出部のいずれか一方と連結されている、請求項5に記載のコーナー部材の保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールアレイの隅部に配置されるコーナー部材の保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から矩形状の太陽電池モジュールを複数使用して屋根面に太陽電池モジュールアレイを形成する際、桁方向に並べた太陽電池モジュール列を軒側から棟側に向かって複数列配置している。
【0003】
一般的な住宅の屋根において、屋根面の側端部は軒側から棟側に向かうにつれて桁方向の長さが変化している場合が多い。例えば、軒側から棟側に向かうにつれて桁方向の長さが短くなっている場合、屋根形状に合わせて、軒側から棟側に向かうにつれて、太陽電池モジュール列を構成する太陽電池モジュールの数が少なくなる。そのため、太陽電池モジュールアレイの両側端部(屋根の桁方向の端部)が段差形状となり、意匠性に劣る。
【0004】
上記課題に鑑み、太陽電池モジュール列の両端部に略三角形状のコーナーカバーや太陽電池モジュール(以降、「コーナー部材」と称する)を配置することで、太陽電池モジュールアレイの両側端部を直線状にする構成が公知である(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の構成は、以下のとおりである。
【0006】
軒側から棟側に向かって延びる架台が桁方向に等間隔に配置され、桁方向の両端から中央に向かうにつれ、架台の長さが長くなっている。そして、隣接する架台の間に軒側から棟側に向かって矩形状の太陽電池モジュールが配置され、架台に固定されている。棟側では架台の端部の位置が一致しないので、矩形状の太陽電池モジュールが配置できない。そのため、軒側から棟側に向かって配置される太陽電池モジュール列の棟側端部には略直角三角形のコーナー部材が配置されている。略直角三角形のコーナー部材は、直角を形成する辺の1つが架台に固定され、他の1つが隣接する矩形状の太陽電池モジュールに固定されている。上記の構成にすることで、太陽電池モジュールアレイの両側端部に略直角三角形のコーナー部材が連続的に位置して、太陽電池モジュールアレイの両側端部が直線状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3692292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1は、同一サイズの略直角三角形状のコーナー部材の使用が前提である。したがって、太陽電池モジュールアレイの両側端部の傾斜角が決定されてしまい、太陽電池モジュールアレイの形状を屋根形状に柔軟に合わせることができない。また、屋根形状に合わせるべく、異なるサイズや形状のコーナー部材を使用しようとしても、上記特許文献1の構成では様々な長さの架台を用意するか、架台を延長させないとコーナー部材を架台に固定することができず実用的ではない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、様々なサイズや形状のコーナー部材を保持して屋根形状に合わせた意匠性の高い太陽電池モジュールアレイの形成に寄与できる実用性の高いコーナー部材の保持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、設置面に一定の間隔を空けて設置された架台に固定される太陽電池モジュール列の隅部に配置され、前記架台が延びる方向と同方向に延びる辺と、前記太陽電池モジュールに対向する辺とを有するコーナー部材の保持機構であって、
前記架台の端部に接続され、該架台を挟んで位置する太陽電池モジュール列の同じ方向の隅部にそれぞれ位置し、一部が対向する前記コーナー部材のうちの一方を保持する第1保持部材と、
前記一方のコーナー部材と、該一方のコーナー部材と一部が対向する他方のコーナー部材とを保持する第2保持部材とを有し、
前記第1保持部材は、前記架台の端部と接続した連結部と、前記一方のコーナー部材の、前記架台が延びる方向の移動及び前記架台が延びる方向と直交する方向の移動を規制する移動規制部とが設けられており、
前記架台が延びる方向と同方向にそれぞれ延びる、前記一方のコーナー部材の前記他方のコーナー部材と対向する辺と、前記他方のコーナー部材の前記一方のコーナー部材と対向する辺の一部は、前記架台の外側に突出しており、前記外側に突出した箇所において前記第2保持部材が設置されている。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、様々なサイズや形状のコーナー部材を保持して屋根形状に合わせた意匠性の高い太陽電池モジュールアレイの形成に寄与できる実用性の高いコーナー部材の保持機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るコーナー部材の保持機構を実施した太陽電池モジュールアレイを屋根面に設置した一例を示す概略図であり、(A)は全体平面図、(B)は、(A)の部分拡大斜視図である。
図2図1(B)に示す箇所Fの部分拡大斜視図である。
図3】架台とコーナー部材と第1保持部材との関係を説明する斜視図である。
図4】架台とコーナー部材と第2保持部材との関係を説明する斜視図である。
図5】第2保持部材により軒側のコーナー部材と棟側のコーナー部材とを保持した状態を示す部分拡大斜視図である。
図6図1(A)に示す箇所Gの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
図1(A)は、実施形態に係るコーナー部材の保持機構を実施した太陽電池モジュールアレイを、屋根面に設置した一例を示す全体平面図である。なお図示例の太陽電池モジュールアレイARは、複数の太陽電池モジュール1とコーナー部材3を有する構成を基本としている。
【0015】
図1(B)は、図1(A)に示す太陽電池モジュールアレイの箇所Eの部分拡大斜視図である。また、図1(B)は、コーナー部材3の構成と配置を説明する図であり、図1(A)の上から1、2段目の部材を省略している。本明細書において桁方向は、矢印X1―X2方向を指し、水流れ方向は矢印Y1−Y2方向を指す。軒側とは、矢印Y2側を指し、棟側とは矢印Y1側を指す。
【0016】
図1(A)に示す太陽電池モジュールアレイの設置面である屋根面100の屋根形状は、平行四辺形とした。これは本実施形態のコーナー部材の保持機構が、通常の屋根形状のみならず様々な形状の屋根面においても意匠性を発揮できる点を説明するためである。したがって、本実施形態のコーナー部材の保持機構は、代表的な寄棟型屋根や切妻型屋根など、平行四辺形以外の屋根形状においても同様に実施できる。また、設置面が建物の壁面や地面などにあっても構わない。
【0017】
本実施形態の屋根面100には、桁方向と平行な架台2が水流れ方向に一定の間隔を空けて複数設置され、該架台2に矩形状の太陽電池モジュール1が複数固定されている。また、太陽電池モジュール1の隅部にはコーナー部材3が保持されて太陽電池モジュールアレイARが形成されている。
【0018】
図示例の太陽電池モジュール1は、水流れ方向に複数列配置されている。また、桁方向には、太陽電池モジュール1が1つ配置されているが、この限りではなく複数隣接する配置とされてよい。
【0019】
太陽電池モジュール1は、外周縁がフレーム体10で囲まれており、該フレーム体10と架台2とがボルトで固定されることで屋根面100に配置される。フレーム体10は、一対の短辺11と一対の長辺12とで構成される。
【0020】
図示例のコーナー部材3は、平板状のパネル300とフレーム体30を有し、パネル300の外周縁がフレーム体30で囲まれている。フレーム体30は、略直角を成す第1の辺31と第2の辺32と、斜辺33とを有し、略直角三角形の棟側(矢印Y1側)の鋭角を水平(架台2に沿った方向)に切除した第3の辺34をさらに有している。第1の辺31は、太陽電池モジュール1と対向しており、第2の辺32と第3の辺34は、架台2が延びる方向と同方向に延びている。コーナー部材3は、太陽電池モジュール1の隅部に配置されることにより、太陽電池モジュールアレイARの両側端部辺が直線状となり、意匠性を発揮できる。
【0021】
従来、太陽電池モジュール1の隅部に配置されるコーナー部材は、同一サイズの略直角三角形状のコーナー部材が使用されていた。しかし、本実施形態においては図1(A)に示すように、様々な形状のコーナー部材3を使用している。
【0022】
なお図1の太陽電池モジュールアレイARは、左側(矢印X1側)から右側(矢印X2側)に向かって、順に同一サイズのコーナー部材8→太陽電池モジュール1→同一サイズではないコーナー部材3が設置された例を示している。しかしながら、太陽電池モジュールアレイARの左端(矢印X1側)に配置される複数のコーナー部材8は、必要に応じて同一サイズでないコーナー部材3が配置されてよい。一方、太陽電池モジュールアレイARの右端(矢印X2側)に配置される複数のコーナー部材3は、軒側から棟側(矢印Y2―Y1方向)へ行くにしたがって第3の辺34が長く形成された様々な形状のコーナー部材3が配置されている。コーナー部材3は、図示例の形状に限らず三角以上の多角形状であってよい。
【0023】
本実施形態では、コーナー部材の保持機構を使用することにより、様々な形状の屋根面において意匠性を発揮可能に複数の形状に形成されたコーナー部材3を使用可能である。
【0024】
以下、様々な形状のコーナー部材3を使用可能にする、本実施形態に係るコーナー部材の保持機構について図2図5に基づいて説明する。なお図2図5は、図1(B)の箇所Fにおける部分拡大図を示している。
【0025】
図2は、保持機構によりコーナー部材3を架台2に保持させた状態を示す部分拡大斜視図である。図2は説明の関係上、軒側のコーナー部材3nのパネル300nと太陽電池モジュール1を省略している。図3(A)は、架台2とコーナー部材3と第1保持部材4との関係を説明する分解斜視図である。図3(B)は架台2とコーナー部材3と第1保持部材4との組み付け状態を説明する組み付け図であり、太陽電池モジュールアレイARの左側(矢印X2側)から見た斜視図である。図3(C)は、図3(B)の側面図である。図3(A)〜図3(C)に示すコーナー部材3のフレーム体30は、説明の関係上、第1の辺31のみを示している。
【0026】
図4は、架台2とコーナー部材3と第2保持部材5との関係を説明する部分斜視図である。図4(A)は、太陽電池モジュールアレイARの棟側(矢印Y1側)から見た斜視図である。図4(B)は、図4(A)の底面斜視図である。なお、図4(A)、(B)は説明の関係上、棟側のコーナー部材3mと太陽電池モジュール1を省略している。
【0027】
図5は、第2保持部材により軒側のコーナー部材と棟側のコーナー部材とを保持した状態を示す部分拡大斜視図である。図5においても、説明の関係上、太陽電池モジュール1を省略している。
【0028】
本実施形態の保持機構は、架台2の端部に接続され、当該架台2を挟んで位置する太陽電池モジュール1のそれぞれの隅部に位置するコーナー部材のうちの一方のコーナー部材(以降、「軒側のコーナー部材」と称する」)3nを保持する第1保持部材4と、軒側のコーナー部材3n及び、他方のコーナー部材(以降、「棟側のコーナー部材」と称する)3mを保持する第2保持部材5とを含む。
【0029】
(第1保持部材4)
先ず図2図3を参照しながら、箇所Fにおける第1保持部材4の配置構成について説明する。第1保持部材4は、架台2の端部に接続される。
【0030】
第1保持部材4が接続される架台2は、基礎部21と該基礎部21から起立する断面視がT字形状の起立部22とを有している。基礎部21は、山形状のネジ孔部21bを有する台座21aと、ネジ孔部21bの頂部から水平方向に延在するフランジ部21cを有している。なお台座21aの底面とフランジ部21c下面との間には隙間S1が形成されている。隣接する軒側の太陽電池モジュールと棟側の太陽電池モジュールの互いに対向する1辺が同じ架台2の起立部22と基礎部21とに保持される。
【0031】
フレーム体30を構成する第1の辺31は、側部313と、側部313の一端(上側(矢印Z1側))から突出する第1のフランジ部(以降、「上フランジ部」と称する)311と、側部313の他端(下側(矢印Z2側))から突出する第2のフランジ部(以降、「下フランジ部」と称する)312とを有している。
【0032】
さらに、フレーム体30は、側部313の略中央から突出する、断面L字形状の第3のフランジ部(以降、「中フランジ部」と称する)314が設けられている。各フランジ部は側部313から同じ方向に突出している。なお、中フランジ部314は、一側が側部313の略中央位置に接続される接続辺314aと、接続辺314aの他側から直交方向に起立する起立辺314bを有している。
【0033】
起立辺314bの先端は、上フランジ部311より下フランジ部312側に位置しており、起立辺314bと上フランジ部311との間には隙間S2が設けられている。また、中フランジ部314の端部には、起立辺314bの一部を切り欠いた切欠き部314cが形成されている。
【0034】
フレーム体30を構成する各辺の組み付けは、例えば図2に示す第1の辺31と第3の辺34と斜辺33の組み付け構成が実施される。即ち、第3の辺34の中フランジ部344は、第1の辺31に設置された中フランジ部314と、斜辺33に設置された中フランジ部334との間に横架される。その際、中フランジ部344は、中フランジ部314の切欠き部314cと中フランジ部334の切欠き部334cの位置に配置される。したがって第3の辺34の中フランジ部344は、中フランジ部314、334の接続辺314a、334a上に保持される。
【0035】
特に図示説明は省略するが、第1の辺31と第2の辺32、第2の辺32と斜辺33においても同様の技術的思想に基づいて組み付けられてフレーム体30が構成される。
【0036】
フレーム体30は、各辺が上記した構成で組み付けられると、各辺の上側のフランジ部と中フランジ部の起立辺との間には同一平面上に共通する隙間S2が形成される(例えば図2参照)。この隙間S2には、コーナー部材3のパネル300が挿入され、上フランジ部311の下面と起立辺314bの上面とでパネル300を保持している。なお、パネル300は、板状のものなら何でもよく、太陽電池モジュールであってもよい。
【0037】
本実施形態のフレーム体30を構成する第1の辺31は、他方のコーナー部材側(棟側(矢印Y1側))の端部において下フランジ部312が切り欠かれた切欠き部312aと、延在部313aとが形成される。なお延在部313aは、切欠き部312aが位置する側部313に相当する。
【0038】
コーナー部材3の保持機構を構成する第1保持部材4は、架台2の、該架台2が延びる方向の一方の側(矢印X2側)の端部と接続可能な連結部41と、コーナー部材3の架台2が延びる方向(桁方向(矢印X1−X2方向))の移動、及び桁方向と直交する方向(水流れ方向(矢印Y1−Y2方向))の移動を規制する移動規制部である突起部42とを含む。
【0039】
連結部41は、架台2の幅方向(桁方向と直交する方向(矢印Y1−Y2方向))に延在している。連結部41には、架台2の台座21aのネジ孔部21bと対応する位置に形成されたボルト孔41aと、フランジ部21cを保持する支持片41bが形成されている。支持片41bは、架台2側に突出している。
【0040】
突起部42は、連結部41の軒側端部(矢印Y2側)で架台2とは反対側の面(矢印X2側)に連結されている。突起部42は、架台2とは反対側(矢印X2側)の方向に延在され、先端部が屈曲形状に形成されている。そのため、突起部42は、断面が逆L字形状をしており、架台2側を向いた側面42aと軒側を向いた側面42bとを有している。
【0041】
上記構成の第1保持部材4は、支持片41bが架台2の台座21aの底面とフランジ部21cの下面との間の隙間S1内に配置され、ボルト孔41aが台座21aのネジ孔部21bと一致される様態で、架台2の端部に配置される。そして、連結部41のボルト孔41aから、ボルトB1を台座21aのネジ孔部21bに向かってねじ込むことにより、架台2の端部に第1保持部材4が取付けられる。
【0042】
そして、コーナー部材3のフレーム体30を構成する第1の辺31が架台2と接続された第1保持部材4に沿うように配置される。このとき、切欠き部312aに第1保持部材4が位置する。即ち、第1の辺31の延在部313aが第1保持部材4を構成する突起部42の架台2側の側面42aに対向し、第1の辺31の下フランジ部312の端部が突起部42の軒側の側面42bに対向する。
【0043】
したがって、突起部42は、側面42aと延在部313aとが接触することでコーナー部材3の桁方向の移動を規制できる。また突起部42は、軒側の側面42bが第1の辺31の下フランジ部312の端部と接触することでコーナー部材3の水流れ方向の移動を規制できる。
【0044】
図示した突起部42は、先端部が屈曲形状に形成されている場合を示したが、この限りではなくU字形状・半円弧形状などの湾曲形状であってよく、フレーム体30を構成する第1の辺31との接触面積を大きくして規制力を高めることが好ましい。また、本実施形態では移動規制部の一例として上記構成の突起部42を説明したが、突起部ではなく他の手段によりコーナー部材3の桁方向の移動と、水流れ方向の移動を規制する構成を実施してよい。
【0045】
(第2保持部材5)
次に図1図4図5を参照しながら、第2保持部材5について説明する。
図1(B)に示すように軒側のコーナー部材3nの第3の辺34nと、棟側のコーナー部材3mの第2の辺32mの矢印X2側の一部は、架台2の外側(矢印X2側)に突出するように配置されている。本実施形態の第2保持部材5は、外側に突出した箇所に設置される。
【0046】
図示例の第2保持部材5は、主保持部材51と補助保持部材52とを有している。主保持部材51と補助保持部材52は、軒側のコーナー部材3nの第3の辺34nの外側にボルト接合されている。また、主保持部材51と補助保持部材52は、第3の辺34nの桁方向に並列配置される。並列配置される主保持部材51と補助保持部材52との間隔は、フレーム体30の第3の辺34の長さなどに応じて適宜変更される。なお、図1(A)において使用されるコーナー部材3は、棟側(矢印Y1側)へ向かうにしたがって第3の辺34が長くなっている。したがって、主保持部材51と補助保持部材52との間隔は、棟側へ向かうにしたがって大きくなってよい。また、第3の辺34の長さが非常に短く、主保持部材51と補助保持部材52の両方を設置できない場合には、主保持部材51のみ配置する。即ち本発明の第2保持部材5は主保持部材51のみであってもよい。
【0047】
主保持部材51は、不図示のボルト孔を有し、軒側のコーナー部材3nの第3の辺34nに固定される側部513と、側部513の一端(上側(矢印Z1側))から棟側のコーナー部材3mに向かって突出する突出部である第1のフランジ部(以降、「上フランジ部」と称する)511と、側部513の他端(下側(矢印Z2側))から棟側のコーナー部材3mに向かって突出する突出部である第2のフランジ部(「下フランジ部」とも称する)512とを有している。
【0048】
補助保持部材52は、主保持部材51と同様に、上フランジ部521と、下フランジ部522と、側部523とを有している。側部523には不図示のボルト孔が形成されている。
【0049】
主保持部材51と補助保持部材52は、側部513、523の外面を軒側のコーナー部材3nの第3の辺34nの外側に当接され、ボルトB2、B3によりボルトで接合される。また、上フランジ部521と、下フランジ部522と、側部523とで棟側のコーナー部材3mの第2の辺32mを保持している。
【0050】
本実施形態の主保持部材51の上フランジ部511には、第2の辺32mに沿った方向に延在する長孔511aが設けられている。また主保持部材51の上フランジ部521と、下フランジ部522と、側部523とで形成される空間内にコーナー部材3mの桁方向の移動を止める止め部514が設けられている。止め部514は、例えばL字形状をしており、上フランジ部511と当接する上辺514aと上辺514aの一端から該空間内に垂直に延びる垂直辺514bとを有している。図示例の止め部514は、L字形状とされているが、この限りではなくC形状やU字形状などであってよい。上辺514aにはネジ孔が設けられている。なお垂直辺514bは、主保持部材51の空間内において架台2側(矢印X1側)に来るように配置されて、空間内に収納されるコーナー部材3mの桁方向の移動を規制する。具体的には図5に示すように、垂直辺514bは、コーナー部材3mの第2の辺32mの近傍位置に配置されるので、垂直辺514bと第2の辺32mの端部とが接触してコーナー部材3mの桁方向の移動が規制される。
【0051】
止め部514は、上辺514aのネジ孔に上フランジ部511の長孔511aに挿通された固定部材であるボルトB4によって締結されることで、主保持部材51の空間内に位置決めされ、固定される。上記構成の止め部514は、長孔511aにより該長孔511aの開口範囲内でスライド移動可能である。したがって、適宜現場に合わせた止め部514の締結位置の微調整が可能である。
【0052】
なお図示例の止め部514は、上フランジ部511側と連結されているが、この限りではなく下フランジ部512側と連結されていてもよい。
【0053】
第2保持部材5によって、軒側のコーナー部材3nと棟側のコーナー部材3mの架台2から突出した部分が互いに支持し合う。そのため、軒側のコーナー部材3nと棟側のコーナー部材3mが、架台2から突出した部分で、屋根など設置面に向かって垂れ下がったり、落下したりすることが抑制される。また、第2保持部材5は、主保持部材51と補助保持部材52とで構成してもよく、主保持部材51と補助保持部材52の固定間隔を変化させることで、軒側のコーナー部材3nと棟側のコーナー部材3mの架台2から突出した部分の長さが長くなっても、効率よく互いに支持し合うことができる。
【0054】
上記したコーナー部材の保持機構及び保持構成は、他の隅部箇所においても同様に実施される。したがって、本実施形態のコーナー部材の保持機構を実施すると、様々なサイズや形状のコーナー部材であっても、効果的に保持して様々な形状の屋根形状に対して意匠性の高い太陽電池モジュールアレイを形成できる。
【0055】
次に、図1(A)に示す太陽電池モジュールアレイARの箇所Gにおけるコーナー部材の保持機構を図1図6から説明する。図6は、説明の関係上、太陽電池モジュール1を省略している。
【0056】
図6(A)は、図1(A)に示す箇所Gの部分拡大斜視図であり、架台2とコーナー部材3と保持機構との関係を説明する部分斜視図である。なお図6(A)は、太陽電池モジュールアレイARの棟側(矢印Y1側)から見た斜視図である。図6(B)は、図6(A)の部分側面図であり、一部透過図である。
【0057】
図1(A)に示す箇所Gは、太陽電池モジュールアレイARの最も棟側(以降、「最上位側」と称する)に配置される太陽電池モジュール1upとコーナー部材3upの連結箇所を示している。
【0058】
最上位側のコーナー部材3upの保持機構は、架台2の端部に接続される第1保持部材400と、架台2の一部とコーナー部材3upの第3の辺34upとに連続的に当接する補強部材6を含む。
【0059】
補強部材6は、断面が略U形状を有しており、架台2の一部からコーナー部材3upの第3の辺34upの少なくとも一部にわたる長さを有している。なお、架台2の位置においては、補強部材6は起立部22と基礎部21とに保持されている。また、補強部材6の断面形状は、略C形状、略I形状などであってもよい。
【0060】
図示例の第1保持部材400は、連結部410の棟側の側面(矢印Y1側)に補強部材6の棟方向への移動を規制する規制部430が設けられている点で、第1保持部材4と相違する。
【0061】
規制部430は、連結部410の突起部420とは反対側である棟側の側面と連結されるベース部430aと、ベース部430aの上端と連結されるL形状の腕部430bとを有している。この腕部430bによって、補強部材6の棟方向への移動が妨げられる。
【0062】
図示例においては補強部材6を保持する保持部材7が、コーナー部材3upの第3の辺34upの外側にボルト接合されている。保持部材7は、断面が略U形状をしており、U形状によって形成される空間内に補強部材6が挿入される。図示例の保持部材7は、図4に示す補助保持部材52と略同様の構成であってよい。
【0063】
架台2に支持された端部とは反対側の端部において、架台2の起立部22や保持部材7の厚さに起因して、補強部材6と第3の辺34upとの間に隙間がある。そのため、補強部材6の架台2に支持された端部とは反対側の端部において、補強部材6と第3の辺34upとの間の隙間を埋める台座9を設けることが好ましい。そして、この台座9を介して補強部材6と第3の辺34upとをビスなどで固定する。これにより、補強部材6が固定される。
【0064】
したがって、最上位のコーナー部材3upは、少なくとも上記した第1保持部材400と補強部材6とにより架台2に保持される。また、補強部材6は長尺であり固定は単なるビス止めであるから、様々な長さの第3の辺34を有する最上位のコーナー部材3を確実に保持できる。
【0065】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、図示した太陽電池モジュールアレイに使用した架台2は横桟であるが、縦桟を使用した太陽電池モジュールアレイにおいても、本実施形態の保持機構を実施できる。
【符号の説明】
【0066】
1 太陽電池モジュール
2 架台
3 コーナー部材
30 フレーム体
31 第1の辺(太陽電池モジュールに対向する辺)
311 上フランジ部(第1のフランジ部)
312 下フランジ部(第2のフランジ部)
313 側部
312a 切欠き部
32 第2の辺(架台が延びる方向と同方向に延びる辺)
34 第3の辺(架台が延びる方向と同方向に延びる辺)
4、400 第1支持部材
41 連結部
42 突起部(移動規制部)
5 第2支持部材
511 上フランジ部(突出部)
512 下フランジ部(突出部)
513 側部
514 止め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6