(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
X軸とY軸との直交2軸で規定される水平面に延在してワークが載置されるテーブルと、前記テーブルの上方で前記Y軸方向に移動し前記テーブル側に向けレーザ光を照射するレーザ加工ヘッドと、前記テーブルに設けられ、前記ワークを支持するプレートブラシ群を有すると共に前記レーザ光の照射位置に対応した落とし込み孔を形成するよう対向離隔配置された一対のカッティングプレート部と、前記ワークを把持するクランパを有し、前記X軸方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジを前記Y軸方向に移動するキャリッジベースと、を備えたレーザ加工機の前記キャリッジの端部に装着されて、前記プレートブラシ群を清掃するカッティングプレート清掃装置であって、
前記カッティングプレート清掃装置は、
前記一対のカッティングプレート部それぞれの上面及び互いに対向する対向側面に対応する形状のブラシ群を有して着脱自在とされたブラシユニットと、
前記ブラシユニットを、前記ブラシ群が前記一対のカッティングプレート部に対し離隔する第1の高さ位置と干渉する第2の高さ位置との間で上下動させると共に、前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置とのそれぞれで維持可能なアクチュエータと、
を備えたことを特徴とするカッティングプレート清掃装置。
前記一対のセンタブラシ群それぞれの先端面は、前記X軸方向の外側に向かうに従って上方に向かう傾斜面とされていることを特徴とする請求項2記載のカッティングプレート清掃装置。
前記ブラシユニットを、前記第2の高さ位置に維持した状態で前記落とし込み孔に沿って往復移動させる清掃動作を実行することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のレーザ加工機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るレーザ加工機の実施例であるレーザ加工機1(以下、単に加工機1とも称する)について、まず、概略構成を、
図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、加工機1の模式的平面図である。説明の便宜上、直交するX軸及びY軸を
図1の矢印のように設定する。また、
図1の紙面に直交するZ軸方向は上下方向であって、紙面表方が上方となる。
【0014】
加工機1は、いわゆるレーザ・パンチ複合加工機であり、床に設置される基台2と、基台2の上にX軸とY軸との直交二軸で規定される水平面に延設されたワークテーブル3と、を有する。
ワークテーブル3は、X軸(+)側とX軸(−)側とに配設された一対の左右テーブル3b,3bと、X軸中央部の固定テーブル3cと、を有する。
左右テーブル3b,3bは、全体又はそれぞれの固定テーブル3c側の一部分が、可動テーブル部分として後述するキャリッジベース5と一体的にY軸方向に移動する。
【0015】
ワークテーブル3の上面のほぼ全領域には、載置されたワークWを支持するためのワーク支持部材として、複数の樹脂製のワーク支持ブラシ3aが設けられている。詳しくは、ワーク支持ブラシ3aは、上方に延びる起立姿勢で植設されている。
ワーク支持ブラシ3aの植設パターンは、例えば千鳥状である。描画を簡単にするため、
図1では、ワーク支持ブラシ3aはワークテーブル3の一部の領域のみに記載されている。
【0016】
基台2には、複数のパンチ金型を周方向に並べて装着可能な上部タレットと、複数のダイ金型を周方向に並べて装着可能な下部タレットと、の組からなるタレット部4が備えられている。
ワークWへのパンチ加工に際し、選択されたパンチ金型とダイ金型とが、パンチ位置PC1に割り出されて、パンチ加工が行われる。
【0017】
左右テーブル3b,3bにおける可動テーブル部分には、X軸方向に延在するキャリッジベース5が連結し、後述するフレーム10(二点鎖線で図示)によってY軸方向に移動可能に支持されている。この移動は、フレーム10に設けられたキャリッジベース駆動部5aによって行われる。
キャリッジベース5には、X軸方向に移動可能にキャリッジ6が取り付けられている。このキャリッジ6の移動はキャリッジベース5に設けられたキャリッジ駆動部6aの動作によって行われる。
キャリッジ6には、複数のワーククランパ7が取り付けられている。
ワーククランパ7は、板状のワークWを把持可能とされている。ワーククランパ7によるワークWの把持は、ワーククランパ7が備える把持駆動部7b(
図2参照)の動作によって行われる。
【0018】
中央の固定テーブル3cには、Y軸方向に延びる一対のカッティングプレート8a,8bが、平行に離隔して対向配置されている。
すなわち、一対のカッティングプレート8a,8b間には、Y軸方向に延在する落とし込み孔9が形成される。
一対のカッティングプレート8a,8bには、ワークテーブル3と同様に、複数の樹脂製のワーク支持ブラシとしてのプレート用ブラシ81が設けられている。詳しくは、プレート用ブラシ81は、上方に延びる起立姿勢で植設されている。プレート用ブラシ81の植設パターンは、例えば三列となる千鳥状である。
【0019】
落とし込み孔9の上方には、Y軸方向に延在する門型のフレーム10が、基台2に連結して設けられている。既述のように、
図1では、理解容易のため、フレーム10は概略外形が二点鎖線で示されている。
フレーム10のX軸(−)側には、レーザ加工ヘッド11がY軸方向に移動可能に取り付けられている。この移動は、フレーム10に設けられたヘッド駆動部11aにより行われる。
図1において、レーザ加工ヘッド11は、二点鎖線の矩形で示されている。
【0020】
レーザ加工ヘッド11からは、下方の落とし込み孔9に向けてレーザ光が照射される。
レーザ光の照射位置は、位置PC2として
図1に示され、ヘッド駆動部11aの駆動により、その軌跡は、落とし込み孔9のX軸方向中央位置でY軸方向に延びる直線状となる。レーザ加工ヘッド11から照射されるレーザ光は、レーザ発振器12から供給される。
【0021】
加工機1の動作は、制御装置13Sの制御部13によって制御される。加工機1の制御系の構成は、
図16に示される。
図16(及び
図1)に示されるように、制御装置13Sは、中央処理装置(CPU)を含む制御部13と記憶部13Mとを有する。
キャリッジベース駆動部5a,キャリッジ駆動部6a,把持駆動部7b,レーザ加工ヘッド11,ヘッド駆動部11a,及びレーザ発振器12の動作は、中央処理装置(CPU)を含む制御部13により制御される。
記憶部13Mには、加工機1を動作させるための動作プログラム,ワークWに施す加工に関する加工プログラム,及びカッティングプレート8a,8bを清掃するための清掃プログラムなどを含むプログラム群PGが記憶される。
また、記憶部13Mには、ワーク情報及び清掃情報を含む情報群Jが記憶される。
ワーク情報は、加工するワークの材質や寸法の情報を含む。清掃情報は、後述する所定の加工時間Ha及び往復回数Na(
図13参照)を含む。
プログラム群PG及び情報群Jは、制御部13に対し入力部15を介して外部から供給される(
図16参照)。
【0022】
以上の構成により、加工機1は、制御部13の制御の下、ワークテーブル3に支持されつつワーククランパ7で把持されたワークWを、キャリッジベース5の移動でY軸方向に移動し、キャリッジ6の移動でX軸方向に移動させることで、X軸Y軸平面上を任意の軌跡で移動可能となっている。
これにより、タレット部4を用いたパンチ加工と、レーザ加工ヘッド11を用いたレーザ加工と、をワークWの所望位置に施すことができる。
【0023】
ワークWに対するレーザ加工で生じた加工屑の多くは、落とし込み孔9から下方に落下し、図示しない集塵装置により回収される。また、加工屑の一部は飛散してカッティングプレート8a,8b及びプレート用ブラシ81に付着する。
集塵装置は、制御部13により動作制御されるファン14(
図16参照)及びダクト(図示せず)を備えている。これにより、レーザ加工時、及び後述する清掃装置21による清掃動作の実行時には、ファン14の駆動によって落とし込み孔9には吸い込み方向の気流が生じるようになっている。
【0024】
加工機1は、上述の構成に加え、カッティングプレート清掃装置21(以下、単に清掃装置21とも称する)を、キャリッジ6のX軸方向端部に備えている。すなわち、清掃装置21はキャリッジ6と共にX軸方向に移動し、キャリッジベース5と共にY軸方向に移動する。
キャリッジ6の移動範囲は、少なくとも、清掃装置21を、落とし込み孔9お呼び一対のカッティングプレート8a,8bの上方に移動できるよう設定されている。
【0025】
清掃装置21は、構成全体がユニット化されており、キャリッジ6のX軸方向の(+)側又は(−)側の端部に着脱自在に取り付けられる。
この例では、清掃装置21は、X軸の(−)側の端部6b(
図3参照)に取り付けられている。清掃装置21は、ユニット化されていることで、既設の加工機に対してもレトロフィット可能である。
制御装置21の動作も制御部13により制御される(
図16参照)。
【0026】
まず、清掃装置21の外観上の構成について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2は、加工機1における清掃装置21の近傍を
図1におけるX軸(−),Y軸(+)の斜め上方から見た斜視図である。
図3は、
図2において、清掃装置21が外されている状態が示される。
図4は、
図2に示される清掃装置21をX軸(−),Y軸(−)側の斜め上方から見た斜視図である。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、キャリッジ6の端部6bとなる側板6b1には、清掃装置21を取り付けるためのブラケット6cが取り付けられている。
ブラケット6cはXZ平面に延在するベース部6c1と、ベース部6c1のX軸(+)側縁部からY軸(−)側に折り曲げられた取り付け部6c2と、XY平面に延在する棚板部6c3と、を有する。
ブラケット6cは、取り付け部6c2が側板6b1に複数のボルトBaによって締結されて側板6b1に固定されている。
ベース部6c1には、開口部6c1a及び複数のねじ通し孔6c1bが形成されている。
【0028】
棚板部6c3には、エアホース41の中継コネクタ41aと、電源ケーブル42の中継コネクタ42aと、が取り付けられている。
キャリッジ6の端部6bの上部には、中継ボックス27(
図3参照)が取り付けられている。
中継ボックス27には、加工機1の本体側からエアと電源が供給されている。
エアホース41及び電源ケーブル42の他端側は、中継ボックス27に接続され、それぞれにエア及び電源が供給されている。
【0029】
清掃装置21を加工機1に取り付ける際には、
図3に示されるように、Y軸(+)側からブラケット6cに当てられる。
清掃装置21は、ブラケット6cのベース部6c1に当接するベースプレート22(
図7参照)を有する。ベースプレート22には、ねじ通し孔6c1bに対応してねじ通し孔(図示せず)が形成されている。
【0030】
そして、清掃装置21は、
図4に示されるように、複数のボルトBbを、ベース部6c1のねじ通し孔6c1b及びベースプレート22のねじ通し孔に通し、ナットBc(
図7参照)で締め付けることによってブラケット6cに固定される。
また、開口部6c1aを通して、清掃装置21側から延びるエアホース43及び電源ケーブル44をY軸(−)側に通し、それぞれの一端側に設けられたプラグ43a及びプラグ44aを、それぞれ中継コネクタ41a及び中継コネクタ42aに接続する(
図4の矢印DRa参照)。
【0031】
エアホース43及び電源ケーブル44の他端側は、後述する電磁弁26d(
図7参照)に接続されている。
これにより、エア及び電源が加工機1の中継ボックス27から電磁弁26dに供給され、清掃装置21は、動作可能な状態となる。
【0032】
清掃装置21は、外観となる本体カバー23及びブラシカバー24(特に
図5参照)を有し、それぞれ小ねじBe及び小ねじBdによってそれぞれ独立して着脱可能とされている。
ブラシカバー24は、直角曲げされて上面視でL字状を呈し、
図5に示されるように、小ねじBdにより清掃装置21の支持プレート25(
図7参照)に着脱可能とされている。
【0033】
図5に示されるように、ブラシカバー24を取り外すと、清掃装置21が備える清掃ユニット20の全体が露出し、清掃装置21をキャリッジ6に取り付けた状態で清掃ユニット20に直接触れることができる。
本体カバー23は、小ねじBeにより清掃装置21の本体側(ベースプレート22の取り付け部22a(
図4及び
図7参照)などに対し着脱可能とされている。
【0034】
本体カバー23及びブラシカバー24を取り外した状態が、
図7に斜視図で示される。この斜視方向は、
図2の斜視方向とほぼ一致している。
【0035】
図7に示され、既述のように、清掃装置21は、ベースプレート22を有する。ベースプレート22は、上面視でL字状を呈し、上下方向に延在する部材である。
ベースプレート22には、上下方向の概ね中央部において、水平方向に延在する支持プレート25が取り付けられている。
【0036】
支持プレート25のX軸(−)側端部は、下方に折り曲げられており、この折り曲げ部分に、ブラシカバー24を取り付けるための小ねじBdが螺合する一対の雌ねじ部25aが形成されている。
支持プレート25の、上面視でのほぼ中央部には、上下方向に直動するアクチュエータとして、エアシリンダ26の本体部26aが固定されている。
本体部26aの下端からは、ロッド26bが下方に延び出て、本体部26aに供給されるエア圧によって上下方向に移動するようになっている。
また、ベースプレート22には、エアシリンダ26へのエアの供給をON/OFFしてロッド26bの上下動作を制御する電磁弁26dが取り付けられている。
電磁弁26dには、既述のようにエアホース43及び電源ケーブル44が接続されている。
【0037】
ロッド26bの下端部には、ブラシブラケット28が取り付けられている。
詳しくは、ロッド26bの下端部側は、ブラシブラケット28に設けられた貫通孔28aを貫通すると共に貫通した先端部に、貫通孔28aより大径のフランジ26b1が取り付けられている。
ロッド26bは、このフランジ26b1が貫通孔28aから上方に抜けないよう抜け止めされている。
【0038】
また、ロッド26bにおけるブラシブラケット28よりも上方側部位には、フランジ26b2が取り付けられている。
フランジ26b2とブラシブラケット28との間に付勢手段としての圧縮ばね26cが介設されている。
これにより、ブラシブラケット28は常に下方に付勢されてフランジ26b1に接触している。また、ブラシブラケット28は、圧縮ばね26cの付勢力に抗して上方に向け所定量移動可能となっている。
【0039】
支持プレート25には、エアシリンダ26の本体部26aをY軸方向に挟む位置に一対のガイドシャフト支持部29が取り付けられている。換言するならば、一対のガイドシャフト支持部29は、Y軸方向に離隔して取りつけられている。
各ガイドシャフト支持部29は、上下方向に延びるガイドシャフト30の上下動を水平方向の位置ずれがほとんどない状態で支持する。
各ガイドシャフト30の下端部は、ブラシブラケット28に取り付けられている。
これにより、エアシリンダ26の動作によるロッド26bの上下動に伴って、清掃ユニット20も上下動する。
【0040】
この上下動で一対のガイドシャフト30も上下動し、一対のガイドシャフト支持部29によって水平方向の位置ずれが実質的に生じないように支持される。
これにより、エアシリンダ26の動作によって、清掃ユニット20は安定してスムースに上下動する。
【0041】
清掃ユニット20の最上位置を待機位置、最下位置を清掃位置と称する。また、清掃ユニット20が待機位置、清掃位置にある状態を、それぞれ待機状態、清掃状態と称する。
すなわち、清掃ユニット20は、待機位置と清掃位置との間を上下動可能であって、待機位置及び清掃位置それぞれで維持可能とされている。
【0042】
図5〜
図7に示されるように、清掃ユニット20は、ブラシブラケット28と、ブラシブラケット28の下部に連結されたブラシユニットホルダ31と、を有する。また、清掃ユニット20は、ブラシユニットホルダ31に対しX軸(−)側から挿抜可能(挿入及び抜去が可能)とされたブラシユニット32と、ブラシユニットホルダ31に取り付けられてブラシユニット32をX軸方向両側から押さえる一対のユニット押さえ部33と、を有する。
【0043】
ユニット押さえ部33は、
図8に示されるように、インナブラケット33aと、ガードプレート33bと、アウタブラケット33cと、を有する。
ガードプレート33bは、上方視で台形の底辺を除く三辺に相当する形状に形成された薄板のプレス部品である。ガードプレート33bは、例えば、ステンレス(SUS)で形成される。
ガードプレート33bは、上部がインナブラケット33a及びアウタブラケット33cによって内側及び外側から挟まれ小ねじBfにより着脱自在に一体化される。
アウタブラケット33cには、上方に延出する立ち上げ部33c1が形成されている。立ち上げ部33c1には、ねじ通し孔33c2が形成されている。
【0044】
ブラシユニット32をブラシユニットホルダ31に取り付ける際は、
図6に示されるように、X軸(+)側のユニット押さえ部33をブラシユニットホルダ31側に固定しておき、X軸(−)側のユニット押さえ部33を、小ねじBgを緩めて外す。
そして、ブラシユニット32を、ブラシユニットホルダ31に形成されブラシユニット32のY軸方向両縁部を抱え込むように保持する挿抜ポケットである保持部31aに挿入する。その後、外したユニット押さえ部33を、小ねじBgの締め付けによってブラシユニットホルダ31に固定する。
【0045】
これにより、ブラシユニット32は、一対のユニット押さえ部33のインナブラケット33a間に挟まれてX軸方向に位置ずれしないように保持される。
また、ブラシユニット32は、装着した保持部31aによってY軸方向及びZ軸方向にも位置ずれしないように保持される。
【0046】
このように、清掃装置21は、ブラシユニット32が一方のユニット押さえ部33を外すことによって、挿抜にて着脱自在となっており、メンテナンスや交換作業が容易である。
【0047】
次に、ブラシユニット32の構造を、
図6,
図9,
図10,及び
図11を参照して詳述する。
図9は、ブラシユニット32をY軸(+)側から見た図であり、カッティングプレート8a,8bなどの断面と共に示した図である。
図9は、清掃ユニット20が、キャリッジ6によって落とし込み孔9のX軸方向中央に位置し、かつ清掃ユニット20が清掃位置にある場合のブラシユニット32とカッティングプレート8a,8bとの位置関係が示されている。
図10は、ブラシユニット32を下方側から見た図である。
図11は、
図10に対し、ブラシユニット32を構成するセンタブラシ部32aとサイドブラシ部32b,32cとを分離させた状態を示す図である。
ブラシユニット32は、カッティングプレート部8aT,8bTそれぞれのプレート用ブラシ群81G,81G及びカッティングプレート8a,8bの対向側面8a1,8b1に対応した形状のブラシ群32G(
図6参照)を有している。
ブラシ群32Gは、後述する一対のセンタブラシ群32aG,32aGとサイドブラシ群32bG,32cGとを含んで構成される。
【0048】
センタブラシ部32aに対するサイドブラシ部32b,32cの一体的な結合は、それぞれの所定位置に設けられたダボ穴(図示せず)に嵌合するピン32dを介して行う。これにより、結合位置が高精度に決められる。
【0049】
ブラシユニット32は、センタブラシ部32aと、センタブラシ部32aをX軸方向(+)側及び(−)側から挟むように配置されたサイドブラシ部32b及びサイドブラシ部32cと、を含み構成されている。
【0050】
センタブラシ部32aは、直方体状の基部32a1と、基部32a1から下方に一体的に張出した下基部32a2と、下基部32a2の下面32a3に植設された複数のセンタブラシ32a4と、を有する。
基部32a1及び下基部32a2は、フェノール樹脂で形成される。センタブラシ32a4は、例えば直径1.0mmのナイロン製の繊維を複数本束ねて直径約5mmのブラシとされている。
【0051】
下基部32a2の下面32a3には、X軸方向の両縁部に、センタブラシ32a4が例えば互い違いとなる二列で植設され、それぞれセンタブラシ群32aGを形成している。
センタブラシ32a4は、下面32a3において、下基部32a2のX軸方向の両方の側面32a5(
図9参照)からそれぞれ内側に所定の範囲ARaを空けて植設されている。
これは、一般に、ブラシの植設を機械で行う場合に、肉厚が薄くなることから端面に近接した所定領域には植設できないことによる。
【0052】
また、機械によるブラシの植設では、例えば15°程度の斜め打ち(斜め植設)が可能である。これを利用し、センタブラシ部32aでは、基部32a1の中心面位置CL32に対する植設角度θbを15°としてセンタブラシ32a4を植設している。
【0053】
基部32a1のY軸方向の長さをLaとし(
図10参照)、X軸方向の長さ(幅)をLWaとすると(
図9参照)、下基部32a2は、Y軸方向において、基部32a1のY軸方向両端部からそれぞれ距離Lbだけ短く設けられている。また、X軸方向において、基部32a1のX軸方向端部からそれぞれ距離LWbだけ長く設けられている。
【0054】
サイドブラシ部32b及びサイドブラシ部32cは、
図9において左右対称に形成されている。そこで、以下では、主として
図9の左側に記載されたサイドブラシ部32bを説明する。
【0055】
サイドブラシ部32bは、基部32b1と、基部32b1の下面32b2に植設された複数のサイドブラシ32b3と、を有する。サイドブラシ32b3は、下面32b2に対して直交する下方向へ延びるように植設されている。
このサイドブラシ32b3の延在方向は、加工機1における使用状態で鉛直下方向となる。基部32b1は、フェノール樹脂で形成される。
【0056】
サイドブラシ32b3は、例えば直径0.5mmのナイロン製の繊維を複数本束ねて直径約5mmのブラシとされている。サイドブラシ32b3の長さ(基部32b1からサイドブラシ32b3の先端までの長さ)は、例えば25〜30mmとされる。
【0057】
基部32b1のY軸方向の長さ及びZ軸方向の長さ(厚さLta:
図9参照)は、センタブラシ部32aの基部32a1と同じとされている。
サイドブラシ32b3は、植設パターンが、例えば、
図10に示される二列−二列での計四列の千鳥状とされて、サイドブラシ群32bGを形成している。
【0058】
サイドブラシ部32bと同様に、サイドブラシ部32cは、サイドブラシ32c3を有し、サイドブラシ32c3はサイドブラシ群32cGを形成している。
【0059】
尚、
図9では、サイドブラシ群32bG,32cGとプレート用ブラシ群81Gとの上下方向の干渉(重なり合い)、及び一対のセンタブラシ群32aGとガード83a,83b(後述)の傾斜部83a2,83b2との上下方向の干渉を、中心面位置CL32によりも左側では変形のない仮想状態で記載し、右側では変形した実際の状態に即して記載してある。
【0060】
次に、カッティングプレート部8aT,8bTなどを、
図9を参照して詳述する。
カッティングプレート部8aT,8bTは、Y軸方向に延びる平板部材の基体であるカッティングプレート8a,8bと、カッティングプレート8a,8bそれぞれの上面に植設された複数のプレート用ブラシ81からなるプレート用ブラシ群81Gと、カッティングプレート8a,8bの対向側面8a1,8b1を覆うように設けられたガード83a,83bと、を有する。カッティングプレート8a,8bは例えば真鍮で形成される。
詳しく説明する。
カッティングプレート8a,8bの上面には、ワークWを支持するプレート用ブラシ81として複数のプレート用ブラシ81が所定のパターンで植設され、それぞれプレート用ブラシ群81Gを形成している。
所定のパターンは、例えば四列−五列の千鳥状とされる。
【0061】
プレート用ブラシ81は、複数の難燃性の繊維(例えば、直径0.72mm)を束ねた外径が3mm程度のブラシとして形成されている。
図9に示されるように、五列のプレート用ブラシ81の内のX軸方向の両端列は、先端部分が、外側が低くなるように傾斜カットされている。
プレート用ブラシ81の上方先端面は、水平となるように揃えられている。この上方先端面が、ワークWの搬送における上下方向基準のパスラインPLとなる。
【0062】
カッティングプレート8a,8bは、それぞれY軸方向に延びる直方体の母材82a,82bに対し、Y軸方向に延在するガード83a,83bを挟み、小ねじBhによって着脱自在に取り付けられている。
ガード83a,83bは、それぞれカッティングプレート8a,8bの対向側面8a1,8b1を保護する保護部材である。
カッティングプレート8a,8bは、特に対向側面8a1,8b1がレーザ加工屑の付着や熱による影響で劣化しやすい。そのため、長期使用を可能とするために、交換可能なガード83a,83bを設けて保護するようになっている。
【0063】
例えばガード83aは、カッティングプレート8aと母材82aとの間に挟まれる基部83a1と、基部83a1の落とし込み孔9側の端部からX軸(+)側の斜め上方に、水平に対し所定の角度θa(劣角)を成すよう折れ曲がった傾斜部83a2と、を有する。
傾斜部83a2は、カッティングプレート8aの対向側面8a1を覆うように形成されている。角度θaは、例えば61°とされる。
図9に示されるように、ガード83bは、ガード83aとX軸方向で対称形状となっており、基部83b1及び傾斜部83b2を有する。
【0064】
図9に示されるように、ブラシユニット32を、そのX軸方向の中心面位置CL32と落とし込み孔9のX軸方向の中心位置とを合致させると共に、清掃位置に下降させた状態で、サイドブラシ群32bG,32cGの下部が、それぞれカッティングプレート8a,8bの後述するプレート用ブラシ群81G,81Gに対応した位置にある。
また、一対のセンタブラシ群32aG,32aGの下部は、それぞれガード83a,83bの傾斜部83a2,83b2と干渉するようになっている。
図9では、サイドブラシ群32bG,32cGが、それぞれプレート用ブラシ群81G,81Gにおける落とし込み孔9から遠い側のプレート用ブラシ81に対して干渉していない例が示されている。プレート用ブラシ群81G,81Gへのレーザ加工屑の付着は、落とし込み孔9側の部分で顕著であることによる。
もちろん、これに限定されず、サイドブラシ群32bG,32cGの幅をX軸方向に拡張してプレート用ブラシ群81G,81Gの幅方向全体に干渉するようにすることは好ましい。
【0065】
この干渉において干渉しろとなる上下方向の距離Lk1は、例えば1.5〜2.5mmとなるように調整されている。詳しくは、各ブラシの剛性を考慮してこの距離Lk1が得られるように圧縮ばね26cのばね定数やブラシ長さが調整設定される。
【0066】
また、ブラシユニット32を、そのX軸方向の中心面位置CL32を落とし込み孔9のX軸方向の中心位置に合致させて清掃位置に下降させた状態で、一対のセンタブラシ群32aGは、各先端部が、それぞれガード83a,83bの傾斜部83a2,83b2に対応するようになっている。
傾斜部83a2,83b2に対応するセンタブラシ群32aG,32aGの先端面は、それぞれ傾斜部83aa2,83b2に沿って水平に対し劣角なる角度θcで傾斜するようにカットされている。角度θcは、角度θaと同じとされ、例えば61°である。
そして、カットされたセンタブラシ群32aGの先端部は、傾斜部83a2の表面に干渉するようになっている。
この干渉しろとなる傾斜部83a2の表面に直交する方向の距離Lk2は、例えば0.5〜1.0mmとなるように調整されている。傾斜部83b2についても同様である。
詳しくは、各ブラシの剛性を考慮して、距離Lk1と共に距離Lk2が所定距離となるように圧縮ばね26cのばね定数やブラシ長さが調整設定される。
【0067】
清掃ユニット20が待機位置にあるとき、サイドブラシ群32bG,32cG、及び一対のセンタブラシ群32aG,32aGは、プレート用ブラシ群81G及びガード83a,83bに対し上方に離隔している。
【0068】
次に、以上詳述した清掃装置21によりカッティングプレート8a,8bを清掃する動作について
図12及び
図13を主に参照して説明する。
図12は、カッティングプレート8a,8b及びその近傍領域の上面図である。
図13は、清掃動作の動作フロー例である。
【0069】
清掃動作は、作業者の手動により実行可能であるが、通常は、制御部13の制御の下、所定の条件を満たしたら実行要とされて自動的に実行される。
所定の条件は、レーザ加工の累積加工時間HL及び加工タイミングとされる。
また、加工するワークの材質が切り替わる場合も、所定の条件に含めてよい(詳細は後述する)。
累積加工時間HL及び加工タイミングについては、例えば、次のとおりである。
すなわち、制御部13は、レーザ加工ヘッド11によるレーザ加工の累積加工時間HLが所定の加工時間Ha以上になったか否かを判定し、その結果に基づいて清掃動作を実行する。
さらに詳しくは、制御部13は、レーザ加工の累積加工時間HLが、所定の加工時間Ha以上となった加工の加工プログラムが終了した時点(加工タイミング)で、清掃動作を実行要として実行する。この清掃動作を実行したら、レーザ加工の累積加工時間HLを再び0(ゼロ)時間とする。
また、使用者は、清掃動作における清掃装置21の往復回数Naを、1(回)以上の整数として予め設定しておく。
【0070】
累積加工時間HL及び加工タイミングに基づいて実行する清掃動作の具体的手順例を説明する。
レーザ加工の加工プログラムが終了したら(例えば、G10指令によりワークのアンローディングが実行されたら)(Step1)、制御部13は、レーザ加工の累積加工時間HLが、予め設定され記憶部13Mに記憶された所定の加工時間Ha以上になったか否かを判定する(Step2)。
否の場合、清掃動作は実行せずに終了する。
累積加工時間HLが所定の加工時間Ha以上になった判定した場合、制御部13は、以下の清掃動作を実行する。
【0071】
制御部13は、集塵機を動作させる(Step3)。
制御部13は、キャリッジ6などを駆動して清掃装置21を、待機位置としてX軸方向における落とし込み孔9の上方に移動する(Step4)。
この状態の清掃装置21が
図12に実線で示されている。
制御部13は、清掃装置21を下降して清掃位置とする(Step5)。
制御部13は、清掃装置21をY軸(+)方向に所定の速度プロファイルで移動し(
図12:矢印Dd参照)、落とし込み孔9のY軸(+)側端部との間で一往復させる(Step6)。
図12では、清掃装置21が落とし込み孔9のY軸(+)側端部に達した状態が二点鎖線で示されている。
【0072】
制御部13は、清掃装置21の往復回数を1とし、所定の往復回数Naに達したか否かを判定する(Step7)。
否の場合、(Step6)に戻り、清掃装置21を清掃位置で再び一往復させ、往復回数に1を加え、再び(Step7)の判定を実行する。
【0073】
制御部13は、(Step7)において、往復回数が所定の往復回数Naに達したと判定したら、集塵機をOFFにし(Step8)、清掃ユニット20を待機位置に上昇させ(Step9)、キャリッジ6を原点位置(基準の位置)に移動し(Step10)、清掃動作を終了する。
【0074】
次に、ワークの材質の切り替わりに基づいて実行する清掃動作(以下、材質切り替わり時清掃動作と称する)の具体的手順例を説明する。
材質切り替わり時清掃動作とは、最後に加工したワークの材質に対し、次に加工するワークの材質が異なる場合に、次の加工の前に実行する清掃動作である。
【0075】
一般に、レーザ加工においては、レーザ加工屑と共に粉塵も発生する。
そのため、異なる材質のワークを清掃をせずに順番に加工すると、カッティングプレート上及びブラシにおいて異種金属の粉塵が混ざり合った混合物(粉塵混合物)が生じる可能性がある。
異種金属の粉塵が混ざり合った粉塵混合物は、酸化還元反応などの予期せぬ反応を生じて不具合の原因となることが懸念される。
そのため、異種金属の粉塵は、できるだけ混合させないことが望まれる。
【0076】
そこで、加工機1は、制御部13が加工するワークの材質を監視し、最後に加工したワークの材質と次に加工するワークの材質とが異なる場合に、清掃動作を実行させるようになっているとよい。
【0077】
詳しくは、制御部13は、材質切り替わり時清掃動作が必要か否かを判定し、必要と判定した場合に、二つの実行モードA,Bのいずれかで清掃動作を実行する。
制御部13は、基本的に、一種類の加工プログラムを単発的に実行する場合に実行モードAを選択し、複数の加工プログラムを順番に実行するスケジュールが予め組まれている場合に実行モードBを選択する。
【0078】
以下、判定手順を含む実行モードA,Bについて、それぞれフロー図である
図14,
図15を参照して説明する。
【0079】
実行モードAでは、
図14に示されるように、制御部13は、ある加工が終了時点で、加工したワークの材質A1を記憶部13Mに記憶させておく(StepA1)。
この材質A1の記憶は、書き換えでもよく、履歴として、過去の任意期間分を保存するものでもよい。
【0080】
制御部13は、次の加工Aを行うための加工プログラムPAをスタートする(StepA2)。そして、ワークへの実加工を始める前に、加工プログラムPAで指定されるワークの材質A2を把握し(StepA3)、材質A2が記憶部13Mに記憶させた材質A1と同じか否かを判定する(StepA4)。
【0081】
制御部13による、材質A2が材質A1と同じか否かの判定は、材質A1の主成分となる金属元素の純金属及び合金の範疇に、材質A2が含まれるか否かで行う。
例えば、材質A1が純アルミニウムで、材質A2がアルミニウム合金の場合、制御部13は、材質A2は材質A1と同じ、と判定する。
また、材質A1が純鉄又は鉄合金で、材質A2が純アルミニウム又はアルミニウム合金の場合、制御部13は、材質A2は材質A1と異なる、と判定する。
【0082】
制御部13は、(StepA4)で、材質A2が材質A1と同じである、と判定したら、材質切り替わり時清掃動作は不要、と判断し(StepA5)、加工プログラムPAを継続実行する(SteA6)。
【0083】
制御部13は、(StepA4)で、材質A2が材質A1と異なる、と判定したら、材質切り替わり時清掃動作は必要、と判断し(StepA7)、清掃動作を実行する(StepA8)。
清掃動作が終了したら、制御部13は、加工プログラムPAを継続実行する(SteA6)。
【0084】
実行モードBでは、
図15に示されるように、制御部13は、実行中の加工プログラムPの終了前に、次の加工プログラムPAを参照し、加工プログラムPAで指示されているワークの材質A2を把握する(StepB1)。
【0085】
制御部13は、把握した材質A2が、加工実行中のワークの材質A1と同じか否かを判定する(StepB2)。
【0086】
制御部13は、(StepB2)で、材質A2が材質A1と同じである、と判定したら、材質切り替わり時清掃動作は不要、と判断し(StepB3)、加工プログラムPを継続実行する(StepB4)。
制御部13は、(StepB2)で、材質A2が材質A1と異なる、と判定したら、材質切り替わり時清掃動作は必要、と判断し(StepB5)、加工プログラムPは継続実行する(StepB6)。
【0087】
そして、加工プログラムPが終了した後、制御部13は、(StepB2)の判定に基づき、清掃動作を実行する(StepB7)。
【0088】
上述のように、制御部13は、実行モードAでは、加工プログラムの実行開始後の実加工前に材質切り替わり時清掃動作を実行し、実行モードBでは、加工プログラムの終了後に材質切り替わり時清掃動作を実行する。
【0089】
また、制御部13は、上述の実行モードA及び実行モードBで実行する材質切り替わり時清掃動作を、累積加工時間HLに対し優先して実行する。
すなわち、制御部13は、実行モードAの(StepA4)及び実行モードBの(StepB2)のいずれかの判定から、材質切り替わり時清掃動作が必要であると判断したら、累積加工時間HLが所定の加工時間Ha未満であっても、材質切り替わり時清掃動作を強制的に実行する。
【0090】
このように、制御部13が、材質切り替わり時清掃動作の実行要否を判定し、ワーク材質の切り替わりに応じて清掃動作を実行することで、カッティングプレート上及びブラシにおいて、異種金属の粉塵が混ざりにくくなる。
従って、異なる金属の粉塵が混ざりあった粉塵混合物に予期せぬ反応が生じて不具合の要因となる可能性は低減する。
【0091】
上述のように実行要とされた清掃動作において、制御部13は、清掃装置21のY軸方向の往復動作を、定められた速度プロファイルに基づいて実行する。
【0092】
清掃装置21の清掃動作(Y軸方向の往復移動)において、プレート用ブラシ群81G,81Gは、付着したレーザ加工屑がブラシユニット32におけるサイドブラシ群32bG,32cGによってそれぞれこそぎ取られて清掃される。
また、ガード83a,83bは、その傾斜部83a2,83b2に付着したレーザ加工屑がブラシユニット32における一対のセンタブラシ群32aG,32aGによってそれぞれこそぎ取られて清掃される。
これにより、レーザ加工屑によって落とし込み孔9の幅が狭くなることがなく、レーザ加工屑の落とし込み孔9内への落下がスムースに行われる。
また、プレート用ブラシ81(プレート用ブラシ81)の先端にレーザ加工屑が付着してパスラインPLよりも盛り上がることがないので、ワークWに傷が付く、ワークWの加工精度が低下する、などの不具合は生じない。
このように、清掃装置21の清掃動作よって、プレート用ブラシ群81Gとガード83a,83bの傾斜部83a2,83b2との両方が、同時に清掃される。
【0093】
清掃装置21は、ブラシユニット32を、圧縮ばね26cによって適切な力で下方に付勢する。
これにより、こそぎ足りずにレーザ加工屑が多量に残存したり、こそぎ過ぎて各ブラシを必要以上に摩耗させるなどの不具合が生じることはなく、清掃品質が安定する。
【0094】
上述の清掃動作を繰り返し実行すると、サイドブラシ群32bG,32cG及びセンタブラシ群32aGにも汚れが付着する。また、実行回数が増えるに伴い、サイドブラシ群32bG,32cG及びセンタブラシ群32aGの先端摩耗が生じる。
これに対応すべく、清掃装置21では、ユニット押さえ部33を取り外した状態で、ブラシユニット32を引き抜いて取り出すことができる。
これにより、ブラシユニット32の交換や清掃作業を、容易かつ短時間に行える。
【0095】
また、清掃装置21のブラシユニット32は、センタブラシ部32aと、それを挟むサイドブラシ部32bとサイドブラシ部32cとに分離できる。
これにより、ブラシの摩耗程度に応じて部分交換が可能であり、メンテナンス効率及び交換作業効率が向上する。
【0096】
清掃装置21は、ブラシユニット32を覆うガードプレート33bを有するユニット押さえ部33を備えている。
これにより、ブラシユニット32の清掃動作でこそぎ落されたレーザ加工屑が広範囲に飛散して二次的不具合が生じることを防止している。また、こそぎ落したレーザ加工屑がガードプレート33bの内面に当たり、吸引気流が生じている落とし込み孔9へ向かうので、落とし込み孔9からの回収効率が向上する。
【0097】
ガードプレート33bは、清掃動作でこそぎ落したレーザ加工屑が付着し易い部材であるが、小ねじBfを外すだけで交換可能であり、メンテナンスや交換作業は容易である。
また、ユニット押さえ部33は、ブラシユニット32のブラシユニットホルダ31への装着押さえとしても機能しており、この機能重複によって部品点数が少なく抑制されている。
【0098】
センタブラシ群32aGは、
図9に示されるように、下基部32a2の下面32a3において、鉛直方向に対し植設角度θb(例えば15°)をもって傾斜植設されている。
これにより、センタブラシ群32aGは、下面32a3に対した傾斜せず鉛直下方に向け植設されている場合と比較して、傾斜部83a2,83b2への当接角度が、より直交方向に近くなっている。
これにより、センタブラシ群32aGの各センタブラシ32a4は、いわゆる腰砕けをせず、また姿勢が寝て当たり逃げすることなく、しっかりと傾斜部83a2,83b2に対し、当接し清掃動作で付勢しつつ摺動する。そのため、傾斜部83a2,83b2に付着したレーザ加工屑を、より良好に除去することができる。
【0099】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0100】
ブラシユニット32は上述の態様のものに限定されない。例えば、
図17及び
図18に示される態様のブラシユニット62であってもよい。
図17(a)は、ブラシユニット62をY軸(+)側から見た側面図である。
図17(b)は、下面図であり、ブラシユニット32を説明するための
図10に対応した図である。
図18は、清掃装置21のブラシユニットホルダ31にブラシユニット62を装着し、カッティングプレート部8aT,8bTに対し清掃位置に移動した状態を示す図である。すなわち、
図18は、
図9に対応する図である。
【0101】
図17(a),(b)に示されるように、ブラシユニット62は、扁平直方体状の基部62aと、基部62aの下面62bに植設された複数のブラシ62cと、を有する。基部62aは、ブラシユニットホルダ31に対して実質的に隙間なく挿抜できるように形成されている。基部62aは、例えばフェノール樹脂で形成される。
【0102】
複数のブラシ62cは、この例では、全体としてX軸方向に十五列、Y軸方向に十一列、の15×11の千鳥パターンで設けられ、ブラシ群62Gを形成している。ブラシ62cの植設パターンは限定されない。
ブラシ62cには、X軸方向の中央部分に植設されたセンタブラシ62c1と、そのX軸方向両側に植設された、センタブラシ62c1よりも短いサイドブラシ62c2と、の二種類がある。
図18において、センタブラシ62c1は、区別のため便宜的にハッチングを付して示してある。
【0103】
センタブラシ62c1は、例えば直径1.0mmのナイロン製の繊維を複数本束ねて直径約5mmのブラシとされている。センタブラシ62c1の長さ(基部62aからセンタブラシ62c1の先端までの長さ)は、例えば40mm程度とされる。
サイドブラス62c2は、例えば直径0.5mmのナイロン製の繊維を複数本束ねて直径約5mmのブラシとされている。サイドブラシ62c2の長さ(基部62aからサイドブラシ62c2の先端までの長さ)は、例えば25mm程度とされる。
【0104】
図17に示されるように、ブラシ群62Gにおいて、X軸方向の十五列の内の中央の七列がセンタブラシ62c1とされ、センタブラシ群62G1を形成している。また、センタブラシ群62G1に対し、外側の四列ずつがサイドブラシ62c2とされ、それぞれサイドブラシ群62G2,62G2を形成している。
【0105】
センタブラシ群62G1の、X軸方向の最外側の各一列のセンタブラシ62c1は、先端部分が、X軸方向の外側に向かうに従って短くなる傾斜面62c3を有している。
傾斜面62a3の水平面に対してなす角度(劣角)θdは、ガード83a,83bの傾斜部83a2,83b2の角度θaと等しくされる。
【0106】
すなわち、
図18に示されるように、センタブラシ群62G1は、そのX軸方向両端の傾斜面62c3,62c3が、それぞれガード83a,83bの傾斜部83a2,83b2に対応し、清掃位置において干渉するように形成されている。
また、サイドブラシ群62G2,62G2は、それぞれプレート用ブラシ群81G,81Gに対応し、清掃位置において干渉するように形成されている。
図18では、これらの干渉を、変形のない仮想状態で記載してある。
【0107】
図18に示されるように、サイドブラシ群62G2とプレート用ブラシ群81Gとの干渉しろになる上下方向の距離Lk3は、例えば1.5〜2.5mmとなるように調整されている。また、センタブラシ群62G1と傾斜面62c3との干渉しろになる傾斜面83a2,83b2の直交方向距離Lk4は、例えば0.5〜1.0mmとなるように調整されている。
【0108】
このブラシユニット62を用いて清掃動作を実行すると、プレート用ブラシ群81G,81Gは、付着したレーザ加工屑がブラシユニット62におけるサイドブラシ群62G2,62G2によってそれぞれこそぎ取られて清掃される。
また、ガード83a,83bは、その傾斜部83a2,83b2に付着したレーザ加工屑がブラシユニット62におけるセンタブラシ群62G1によってこそぎ取られて清掃される。
これにより、レーザ加工屑によって落とし込み孔9の幅が狭くなることがなく、レーザ加工屑の落とし込み孔9内への落下がスムースに行われる。
また、プレート用ブラシ81の先端にレーザ加工屑が付着してパスラインPLよりも盛り上がることがないので、ワークWに傷が付く、ワークWの加工精度が低下する、などの不具合は生じない。
センタブラシ群62G1は、サイドブラシ群62G2よりも長さは長いものの、ブラシ繊維径が十分太く(2倍)、腰が強くなっている。これにより、清掃対象が硬質のガードであっても、しっかりとレーザ加工屑を除去することができる。
【0109】
レーザ加工機は、上述のレーザ・パンチ複合加工機に限定されない。
カッティングプレート部8aT,8bT及び落とし込み孔9に対し、ワークWを二次元平面上で移動可能な構造のレーザ加工機であれば適用可能である。
【0110】
アクチュエータは、エアシリンダ26に限定されない。ブラシユニット32を二つのポジション(清掃位置と待機位置)で維持すると共にその二つのポジション間で移動可能であれば、他の駆動装置を適用できる。
【0111】
実施例では、ブラシユニット32の下方への付勢を、圧縮ばね26cで行う例を説明したが、これに限定されない。圧縮ばね26cの替わりに、エアシリンダ26に供給されるエア圧を調整するレギュレータを設けて、ブラシユニット32の下方への付勢力を調整設定するようにしてもよい。
【0112】
所定の往復回数Naは、キャリッジ6のY軸方向に移動可能な全範囲を往復する回数に限らず、移動可能な範囲の一部を往復する回数であってもよい。
【0113】
加工機1が単体で稼働している場合、通常、レーザ加工後にスケルトンがテーブル上に残っているため、清掃動作の開始指示は、自動ではなく手動で行われることが望ましい。
一方、加工機1がライン上の装置として設置され、レーザ加工後にワークテーブル3上の残存物を自動排除する場合などでは、残存物排除後に清掃動作を自動実行することが可能であり、望ましい。