(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ体を保持可能な筒状のレンズ保持部材と、一部が前記レンズ保持部材に固定され前記レンズ保持部材を光軸方向に移動可能に支持する板バネと、前記レンズ保持部材を光軸方向に沿って移動させる少なくとも磁石及びコイルを有して構成される駆動機構とを備え、
前記レンズ保持部材には、第1角部を含む複数の角部を有する角柱状の突出部が光軸方向に沿って突出して設けられ、前記コイルは、前記レンズ保持部材の外周に導電性の線材が巻かれて形成されたコイル本体部と、前記突出部に前記線材が巻き付けられた巻回部と、前記コイル本体部と前記巻回部との間に位置する引き回し部と、を有し、前記板バネは、前記巻回部に隣り合って位置する接合部を有し、前記巻回部と前記板バネの接合部とが接合材で接合されたレンズ駆動装置において、
前記レンズ保持部材には、台座部が設けられ、前記台座部の周面の一部が、前記引き回し部の前記線材を案内する案内部であり、前記突出部は、前記台座部上に設けられており、
前記引き回し部から前記巻回部へ至る前記線材は、前記案内部で前記突出部方向へ向きを変えられた後に前記突出部に巻き付けられて前記巻回部となっており、前記巻回部では、前記突出部の一側面に当接した後、最初に前記第1角部で向きを変えられ、順次他の角部で向きを変えられるものであって、前記第1角部は、前記他の角部よりも大きな円弧形状を有しており、前記案内部は、前記第1角部よりも大きな円弧形状を有している、
ことを特徴とするレンズ駆動装置。
前記突出部は、略四角柱状をなしており、前記巻回部の一部は、前記第1角部と前記案内部との間に位置する前記線材と前記突出部を挟んで対向して位置すると共に、直線状に前記突出部に保持されており、当該部分の線材が、前記板バネと接合されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やスマートフォン等の携帯型電子機器にはカメラ機能を備えた製品がある。これらの機器で撮影に用いられるレンズは、VCM(Voice Coil Motor:ボイスコイルモータ)を用いたレンズ駆動装置によって駆動される。レンズ駆動装置においては、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材が備えられていると共に、レンズ保持部材を光軸方向に沿って移動させる駆動機構、及びレンズ保持部材を光軸方向に移動可能に支持する付勢部材が備えられている。当該駆動機構内にはコイルが設けられており、また、付勢部材としては板バネが用いられる。そして、コイルは、その端部が板バネに半田付けされるように構成されている。
【0003】
このようなコイルの端部が板バネに半田付けされるレンズ駆動装置として、特許文献1に記載のレンズ駆動装置が知られている。以下、
図9を用いて、特許文献1に記載のレンズ駆動装置900について説明する。
【0004】
レンズ駆動装置900は、レンズ保持部材901と、レンズ保持部材901を移動可能に支持する板バネ902と、板バネ902が固定される支持部材と、レンズ保持部材901を光軸方向に沿って移動させる少なくとも磁石及びコイル905で構成される移動機構と、を備えている。レンズ保持部材901の下部(Z2側)には、板バネ902よりも下方(Z2方向)に突出した突出部901aが設けられ、コイル905の端部905bは突出部901aに巻かれており、板バネ902には接合部902aが設けられ、コイル905の端部905bと接合部902aとが半田付けされる。突出部901aに巻かれたコイル905の端部905bと接合部902aとの離間距離は、突出部901aの根元部側よりも突出部901aの先端側において大きくなる構成としている。
【0005】
このような構成によって、レンズ駆動装置900は、コイル905の端部905bを確実に板バネ902と半田付けすることができると共に、板バネ902のレンズ保持部材901への取り付け時に、両者が当接することを防止できる、という効果を奏する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レンズ駆動装置900では、レンズ保持部材901に設けられた突出部901aにコイル905の線材が巻かれている。しかしながら、突出部901aは、複数の角部を有する角柱状に形成されているため、落下等で不所望に強い衝撃が加えられた場合に、角部においてコイル905の線材が断線する可能性があった。特に、コイル905の線材の巻き始めとなる角部におけるコイル905の線材が、落下等の強い衝撃が加えられると断線する可能性が相対的に高くなっていた。
【0008】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、レンズ駆動装置本体に強い衝撃が加えられた場合でも、コイルの線材が断線しにくいレンズ駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明のレンズ駆動装置は、レンズ体を保持可能な筒状のレンズ保持部材と、一部が前記レンズ保持部材に固定され前記レンズ保持部材を光軸方向に移動可能に支持する板バネと、前記レンズ保持部材を光軸方向に沿って移動させる少なくとも磁石及びコイルを有して構成される駆動機構とを備え、前記レンズ保持部材には、第1角部を含む複数の角部を有する角柱状の突出部が光軸方向に沿って突出して設けられ、前記コイルは、前記レンズ保持部材の外周に導電性の線材が巻かれて形成されたコイル本体部と、前記突出部に前記線材が巻き付けられた巻回部と、前記コイル本体部と前記巻回部との間に位置する引き回し部と、を有し、前記板バネは、前記巻回部に隣り合って位置する接合部を有し、前記巻回部と前記板バネの接合部とが接合材で接合されたレンズ駆動装置において、
前記レンズ保持部材には、台座部が設けられ、前記台座部の周面の一部が、前記引き回し部の前記線材を案内する案内部であり、前記突出部は、前記台座部上に設けられており、前記引き回し部から前記巻回部へ至る前記線材は、前記案内部で前記突出部方向へ向きを変えられた後に前記突出部に巻き付けられて前記巻回部となっており、前記巻回部では、前記突出部の一側面に当接した後、最初に前記第1角部で向きを変えられ、順次他の角部で向きを変えられるものであって、前記第1角部は、前記他の角部よりも大きな円弧形状を有しており、前記案内部は、前記第1角部よりも大きな円弧形状を有している、という特徴を有する。
【0010】
このように構成されたレンズ駆動装置は、引き回し部から延在する巻回部の線材が最初に接する突出部の第1角部が緩やかな円弧形状の曲面部を有するので、落下等で大きな衝撃が加えられた場合でも、この第1角部で線材が切断されにくいものとすることができる。
【0012】
また、線材が第1角部の曲面部よりも大きな円弧形状を有する案内部を介して第1角部へと案内されると共に、第1角部は、突出部の他の角部よりも緩やかな円弧形状の曲面部を有しているので、コイル本体部から巻回部へと、線材が徐々に曲率を変化させて導かれるものとなり、線材にストレスが加わりにくく、線材をより断線しにくくすることができる。
【0014】
また、突出部と案内部とが連続するように隣接しているので、線材が突出部と案内部との間で断線することを防ぐことができる。
【0016】
また、突出部が台座部上に設けられているので、線材を突出部の根元部から巻き付けて巻回部を形成させやすい。
【0017】
また、上記の構成において、前記突出部は、略四角柱状をなしており、前記巻回部の一部は、前記第1角部と前記案内部との間に位置する前記線材と前記突出部を挟んで対向して位置すると共に、直線状に前記突出部に保持されており、当該部分の線材が、前記板バネと接合されている、という特徴を有する。
【0018】
このように構成されたレンズ駆動装置は、突出部が略四角柱状をなしているので、第1角部に大きな円弧形状を有する曲面部があっても、他の角部で線材を突出部に適切に保持できる。また、第1角部とは異なる2つの角部間に位置する直線状の巻回部が板バネと接合されるので、半田等の接合材による接合も良好に行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のレンズ駆動装置は、引き回し部から延在する巻回部の線材が最初に接する突出部の第1角部が緩やかな円弧形状の曲面部を有するので、落下等で大きな衝撃が加えられた場合でも、この第1角部で線材が切断されにくいものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るレンズ駆動装置100は、例えば、携帯電話機やスマートフォン等の携帯型電子機器に内蔵されたカメラに使用されるVCMとして用いられるものである。本実施の形態に係るレンズ駆動装置100の用途については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0022】
最初に、
図1乃至
図4を参照して、レンズ駆動装置100の全体構成について説明する。
図1は、レンズ駆動装置100を構成する各部材を示す分解斜視図であり、
図2は、レンズ駆動装置100の外観を示す斜視図である。また、
図3は、ヨーク56及びカバー60を除いた状態のレンズ駆動装置100の外観を示す斜視図であり、
図4は、コイル10と板バネ30とが取り付けられた状態のレンズ保持部材20の斜視図である。尚、
図4は、
図2及び
図3とは逆に、+Z方向を図面の下側にして描いている。
【0023】
図1に示すように、レンズ駆動装置100は、合成樹脂材から成るベース部材40と、ベース部材40の上側に配置されるレンズ保持部材20と、レンズ保持部材20を光軸方向L1(Z方向)へ移動可能に支持する板バネ30及び上側板バネ33と、ヨーク56、複数の磁石54及びコイル10を有し、レンズ保持部材20を光軸方向L1に沿って移動させる駆動機構50と、ベース部材40に設けられた金属板部材45と、カバー60と、を備えている。
【0024】
図2に示すように、レンズ駆動装置100は、略直方体形状に形成され、中央部にはZ方向に貫通した大きな開口が形成されている。外部部品であるレンズ体は、レンズ保持部材20によって保持可能であり、駆動機構50によって光軸方向L1(Z方向)に駆動可能となっている。レンズ駆動装置100では、合成樹脂材から成るカバー60が、上側板バネ33を保護するために取り付けられている。
【0025】
駆動機構50の一部を構成しているヨーク56は金属板材からなり、
図2に示すように、Z方向を開放した平面視で矩形状に形成されている。ヨーク56は、中央に開口が形成された天面56aを有し、天面56aの外周から連続してヨーク56の側面を形成する環状の外壁部56bと、天面56aの開口から連続して外壁部56bの内側に外壁部56bの角の部分と対向した4つの内壁部56c(
図1参照)と、を有する。
【0026】
レンズ保持部材20は合成樹脂材から成り、
図3に示すように、略筒状に形成されている。レンズ保持部材20は、
図4に示すように、Z方向に延出して筒状に形成された筒状部26を有し、筒状部26の光軸方向L1における一端部には、筒状部26の径方向へ延出して形成された鍔部24が設けられている。また、筒状部26の内側は、外部部品であるレンズ体を保持可能で円筒状に形成されたレンズ保持部25となっている。レンズ保持部25には、レンズ体を装着可能なネジ溝25aがレンズ保持部25の内周面に沿って形成されている。
【0027】
コイル10は、導電性の線材19から成り、
図4に示すように、レンズ保持部材20の周囲に平面視略八角形の環状に巻かれ、束ねて形成されており、駆動機構50の一部を構成している。コイル10に電流を流すことによって、
図2に示した駆動機構50を駆動させ、レンズ体を保持したレンズ保持部材20を光軸方向L1へ移動させることができる。尚、コイル10の構成については後に詳細説明を行う。
【0028】
磁石54は、
図3に示すように、平面視で略台形の形状をなす柱状に形成されている。本実施形態においては磁石54を4個用いており、4個の磁石54は、
図2に示したヨーク56の外壁部56bの角の部分に接着剤でそれぞれ取り付けられている。尚、磁石54は、略台形の短辺側の面と長辺側の面(厳密には円弧面)とに直交する直線の方向に着磁されている。
【0029】
板バネ30及び上側板バネ33は、導電性を有する金属薄板から成ると共に、板バネ30と上側板バネ33とは、
図3に示すように、レンズ保持部材20を挟んで、向かい合わせに配置されている。尚、板バネ30と上側板バネ33とは絶縁されている。
【0030】
板バネ30は、下側(−Z側)の板バネを構成するものであり、
図4に示すように、2枚の板バネ部31によって形成される。2枚の板バネ部31は、それぞれ平面視で円弧状に形成された内側部分31aと、板バネ30の外周を形成する外側部分31bとが、ミアンダ形状をした2つの細い金属板のバネ部分31cによって接続されて形成される。板バネ30は、2枚の板バネ部31が互いに向かい合って配置され、当該2枚の板バネ部31が一対となり、平面視で中央に開口を有した略正方形形状に形成されている。2枚の板バネ部31は、それぞれ半田によって前述したコイル10に接続される。その結果、2枚の板バネ部31がコイル10を介して電気的に接続される。
【0031】
また、上側板バネ33は、
図3に示すように、平面視で略円形状に形成された内側部分33aと、上側板バネ33の外周を形成する略正方形形状の外側部分33bとが、ミアンダ形状をした4つの細い金属板のバネ部分33cによって接続されて、平面視で中央に開口を有した略正方形形状に形成されている。
【0032】
板バネ30は、組み合わされて円形状の開口を形成する2つの内側部分31aが、
図4に示すように、レンズ保持部材20に複数個所設けられた取付け部29にそれぞれ取り付けられる。また、組み合わされて略正方形形状の外周を形成する2つの外側部分31bが、
図3に示すように、ベース部材40に複数個所設けられた取付け部49に取り付けられる。同様に、上側板バネ33も、開口を形成する内側部分33aがレンズ保持部材20に接着剤で取り付けられ、略正方形形状の外周を形成する外側部分33bがカバー60の下面から突出する取付け部(図示せず)によって、ヨーク56の天面56aと共に取り付けられる。
【0033】
このような構成によって、板バネ30の開口を形成する2枚の板バネ部31の内側部分31aが、略正方形形状の外周を形成する2枚の板バネ部31の外側部分31bに対してZ方向に移動可能な構造となる。上側板バネ33についても同様である。言い換えれば、レンズ体を保持したレンズ保持部材20が、レンズ駆動装置100を内蔵した携帯型電子機器に固定されたベース部材40及びカバー60に対して光軸方向L1(Z方向)に移動可能な構造となる。その結果、コイル10に電流を流して駆動機構50を動作させることにより、レンズ体を保持したレンズ保持部材20に光軸方向L1への推力を発生させることができる。
【0034】
ベース部材40には、金属板部材45が埋設されている。金属板部材45は、
図3に示すように、その一部がベース部材40の底面から露出している。金属板部材45は複数の部材で構成されており、そのうちの1つの部材が、前述した板バネ30の一方の板バネ部31に接続され、他の1つの部材が板バネ30の他方の板バネ部31に接続されている。2枚の板バネ部31にそれぞれ接続された金属板部材45の各部材は、レンズ駆動装置100が内蔵されている携帯電話機やスマートフォン等の携帯型電子機器本体に接続され、2枚の板バネ部31間に携帯型電子機器本体からのレンズ駆動用の電圧が印加されて、コイル10に電流を流すように構成されている。
【0035】
次に、
図4乃至
図8を参照して、レンズ保持部材20の構造、コイル10の線材19の突出部21への巻回の仕方、及びレンズ保持部材20上におけるコイル10と板バネ30との接合について説明する。
図5は、レンズ保持部材20の拡大斜視図であり、
図6は、コイル10の線材19が巻回された状態のレンズ保持部材20の拡大斜視図である。また、
図7は、コイル10と板バネ30とが半田付けされた状態を模式的に示すレンズ保持部材20の拡大側面図であり、
図8は、コイル10と板バネ30とが半田付けされた状態のレンズ保持部材20の拡大斜視図である。尚、
図5乃至
図8も、
図4と同様に、+Z方向を図面の下側にして描いている。
【0036】
レンズ保持部材20の鍔部24には、
図4に示すように、光軸方向L1(Z方向)に沿って突出する突出部21が2箇所設けられており、2箇所の突出部21にコイル10を形成している線材19がそれぞれ巻かれている。2箇所の突出部21にコイル10の線材19がそれぞれ巻かれることにより、コイル10の両方の端部をレンズ保持部材20に保持させることができる。2箇所の突出部21のうち、
図4における−X側の突出部21の位置がコイル10における巻き始め側であり、+X側の突出部21の位置が巻き終わり側である。尚、今後説明する
図5乃至
図8では、コイル10における巻き終わり側を表示している。
【0037】
コイル10は、
図4に示すように、レンズ保持部材20の外周に線材19が巻かれて形成されたコイル本体部11と、突出部21に線材19が螺旋状に巻き付けられた巻回部13と、コイル本体部11と巻回部13との間に位置する引き回し部15とを有している。
【0038】
レンズ保持部材20には、
図5に示すように、鍔部24より−Z方向に一段高く形成された平面視略矩形状の台座部27が設けられていると共に、突出部21は、当該台座部27上に設けられている。突出部21は、光軸方向L1に沿って角柱状に突出して設けられている。即ち、突出部21は、台座部27上の根元部21bから
図5における上方向(−Z方向)に伸び、上端が平坦な面を有する先端部21aとなっていて、+Y側に位置する一側面21cを含む4つの側面を有し、略四角柱状をなして形成されている。
【0039】
突出部21は、2つの内側角部22aと2つの外側角部22bとから成る複数(本実施形態では4つ)の角部22を有しており、2つの内側角部22aのうちの一方が第1角部23を構成している。
【0040】
第1角部23は、
図6に示すように、複数(4つ)の角部22のうちコイル10の引き回し部15から延在する巻回部13の線材19が最初に当接する角部であると共に、
図5及び
図6に示すように、他の角部22よりも緩やかな円弧形状の曲面部23aを有している。
【0041】
また、突出部21より外側(外周側)には、線材19が当接可能で第1角部23の曲面部23aの円弧形状よりも大きな円弧形状を有すると共に 引き回し部15の線材19を突出部21側に案内する案内部28が設けられており、線材19はこの案内部28に沿って第1角部23へ延在している。突出部21は、
図5に示すように、当該突出部21の一側面21cと上述した案内部28とが連続するように、案内部28に隣接して設けられている。
【0042】
案内部28は、台座部27の周面の一部で構成されていて、台座部27の+X側の端部から第1角部23の方向に向かって−Z方向に上がっていく傾斜面28aがその横に形成されている。従って、引き回し部15の線材19は、
図6に示すように、案内部28と傾斜面28aとに当接しながら第1角部23へ延在している。
【0043】
コイル10は、
図6に示すように、引き回し部15の線材19が案内部28から第1角部23へ延在した後、一方の内側角部22aである第1角部23の曲面部23aに沿って曲げられ、次に他方の内側角部22a及び2箇所の外側角部22bを介して巻回される。線材19が突出部21に複数回巻回され、巻回部13を形成する。
【0044】
引き回し部15から延在する巻回部13の線材19が最初に接する突出部21の第1角部23が緩やかな円弧形状の曲面部23aを有するので、落下等で大きな衝撃が加えられた場合でも、この第1角部23で線材19が切断されにくくなる。一方、突出部21の第1角部23以外の内側角部22a及び2箇所の外側角部22bにおいては、線材19を確実に保持することができる。
【0045】
図7に示すように、板バネ30は、−Z側に外側部分31bが位置し、+Z側に内側部分31aが位置すると共に、外側部分31bが突出部21より外側(
図7における手前側)に位置し、内側部分31aが突出部21の内側及び横に位置している。また、内側部分31aの+Z側が板バネ30の一面30aとなっており、内側部分31aの−Z側が板バネ30の他面30bとなっている。
【0046】
また、板バネ30は、板バネ30の一面30aが、レンズ保持部材20の鍔部24と平行に対向して、側面視で所定の間隔を有して設けられている。そして、前述した突出部21は、前述したように、レンズ保持部材20の台座部27から板バネ30の他面30b側へ突出して設けられている。更に、突出部21の先端部21aは、コイル10の巻回部13を形成する線材19の端部よりも−Z方向に突き出ている。
【0047】
板バネ30は、内側部分31aに接合部30cを有しており、巻回部13の線材19と板バネ30の接合部30cとが接合材71で接合される。接合部30cは、板バネ30の他面30b側における突出部21と隣り合う部分に設けられている。接合材71としては、半田が用いられる。尚、本実施形態では、接合材71として半田を用いているが、接合材71として導電性接着剤を用いても良い。
【0048】
図8に示すように、コイル10の巻回部13の一部は、突出部21の第1角部23と突出部21に隣接する案内部28との間に位置する線材19と突出部21を挟んで対向して位置すると共に、直線状に突出部21に保持されており、当該部分の線材19が、板バネ30と接合されている。この線材19は、第1角部23とは異なる内側角部22aと、この内側角部22aの隣の外側角部22bから成る2つの角部22の間に巻かれた線材19である。このように、巻回部13の内側角部22aと、その隣の外側角部22bと、から成る2つの角部22の間の直線状の巻回部13の部分が板バネ30と接合されるので、接合が良好に行われる。
【0049】
コイル10の、コイル本体部11及び引き回し部15側に位置する部分の線材19には絶縁皮膜が施されているが、半田付けが施される巻回部13の線材19には絶縁皮膜が施されていない。そのため、コイル10の巻回部13の線材19と板バネ30の接合部30cとの間の半田付けが可能となる。尚、半田付けを施す前に、絶縁皮膜が施されている巻回部13の線材19に予備半田を施して、半田付けされ易いようにしておいても良い。
【0050】
尚、本実施形態では、コイル10の巻き終わり側の突出部21における巻回部13について説明しているが、コイル10の巻き始め側の突出部21における巻回部13にも適用するようにしても良い。
【0051】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0052】
レンズ駆動装置100は、引き回し部15から延在する巻回部13の線材19が最初に接する突出部21の第1角部23が緩やかな円弧形状の曲面部23aを有するので、落下等で大きな衝撃が加えられた場合でも、この第1角部23で線材19が切断されにくいものとすることができる。
【0053】
また、線材19が第1角部23の曲面部23aよりも大きな円弧形状を有する案内部28を介して第1角部23へと案内されるとともに、第1角部23は、突出部21の他の角部22よりも緩やかな円弧形状の曲面部23aを有しているので、コイル本体部11から巻回部13へと、線材19が徐々に曲率を変化させて導かれるものとなり、線材19にストレスが加わりにくく、線材19をより断線しにくくすることができる。
【0054】
また、突出部21と案内部28とが連続するように隣接しているので、突出部21と案内部28との間で、線材19が断線することを防ぐことができる。
【0055】
また、突出部21が台座部27上に設けられているので、線材19を突出部21の根元部21bから巻き付けて巻回部13を形成させやすい。
【0056】
また、突出部21が略四角柱状をなしているので、第1角部23に大きな円弧形状を有する曲面部23aがあっても、他の角部22で線材19を突出部21に適切に保持できる。また、第1角部23とは異なる2つの角部22間に位置する直線状の巻回部13が板バネ30と接合されるので、半田等による接合も良好に行われる。
【0057】
以上説明したように、本発明のレンズ駆動装置は、引き回し部から延在する巻回部の線材が最初に接する突出部の第1角部が緩やかな円弧形状の曲面部を有するので、落下等で大きな衝撃が加えられた場合でも、この第1角部で線材が切断されにくいものとすることができる。
【0058】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記の実施形態においては、レンズ駆動装置100の−Z側(下側)にある板バネ30にコイル10の端部が半田付けされる形態を示したが、それに限定されず、手振れ補正機能を備えたレンズ駆動装置のように、+Z側(上側)にある上側板バネにコイルの端部が半田付けされるような場合に本発明を適用しても良い。