(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6678072
(24)【登録日】2020年3月18日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】路面切断装置
(51)【国際特許分類】
E01C 23/09 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
E01C23/09 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-125268(P2016-125268)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-227074(P2017-227074A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】516190286
【氏名又は名称】株式会社リュウキ
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆一
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−094779(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3122993(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3113382(JP,U)
【文献】
特開2007−031972(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0155114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/06−23/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の路面に直線状の溝を形成する路面切断装置において、
円盤状のブレードと、
長手方向が前記溝の延設方向に平行に配されるレールと、
前記ブレードが取り付けられ、前記レールに沿って該ブレードと共に移動する走行体と、
前記レールに連結され、前記路面に接する1又は複数のベース部材と、
前記溝に掛け留められて前記レール及び前記ベース部材を前記路面に対し固定する複数の留め具とを備え、
既に形成した前記溝に前記複数の留め具を掛け留めた状態で、回転している前記ブレードを移動させて前記レールに平行な前記溝を新たに形成する路面切断装置であって、
前記留め具は前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材は複数あって、該各ベース部材は間隔を空けて配されていることを特徴とする路面切断装置。
【請求項2】
請求項1記載の路面切断装置において、前記ベース部材には取付孔が形成され、前記留め具は、上下方向に長く、前記取付孔を貫通し、該取付孔から下方に突出する突出長が変化可能な状態で該取付孔に取り付けられていることを特徴とする路面切断装置。
【請求項3】
道路の路面に直線状の溝を形成する路面切断装置において、
円盤状のブレードと、
長手方向が前記溝の延設方向に平行に配されるレールと、
前記ブレードが取り付けられ、前記レールに沿って該ブレードと共に移動する走行体と、
前記レールに連結され、前記路面に接する1又は複数のベース部材と、
前記溝に掛け留められて前記レール及び前記ベース部材を前記路面に対し固定する複数の留め具とを備え、
既に形成した前記溝に前記複数の留め具を掛け留めた状態で、回転している前記ブレードを移動させて前記レールに平行な前記溝を新たに形成する路面切断装置であって、
前記ベース部材には取付孔が形成され、前記留め具は、上下方向に長く、前記取付孔を貫通し、該取付孔から下方に突出する突出長が変化可能な状態で該取付孔に取り付けられていることを特徴とする路面切断装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の路面切断装置において、前記留め具は、前記取付孔の直上及び直下に該取付孔を貫通している部分よりも幅が広い拡幅部をそれぞれ有し、前記2つの拡幅部によって、前記取付孔からの抜けが防止されていることを特徴とする路面切断装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の路面切断装置において、前記複数の留め具の全部又は一部は、前記レールまでの距離が異なり、該レールまでの距離が異なる前記留め具は、異なる前記溝に挿入されることを特徴とする路面切断装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の路面切断装置において、前記ベース部材は、前記道路の長手方向に沿って配される直線部を有することを特徴とする路面切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に溝を設ける路面切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路面の排水効果や車両のスリップの抑制効果を向上させるべく、路面に複数の溝(例えば、5〜10mm幅で5〜10mmの深さの溝)を平行に等間隔で設ける工事がなされている。従来、路面に溝を設けるためには、路面を切断するブレードを備え、路面上を走行する装置が用いられ、その具体例が例えば特許文献1に自動走行コンクリートカッターとして記載されている。作業者は、路面の溝の形成予定位置に目標線を付した後、当該自動走行コンクリートカッターを操作して、ブレードを目標線に沿って移動させることで、予定していた位置に溝を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−140817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、路面に設ける溝は、多数(例えば30本)であることが多い。そのため、特許文献1に記載の自動走行コンクリートカッターのように、形成する溝と同数の線を事前に路面に付す必要があると、所定数の溝を形成し終えるまでに要する時間が長くなるという課題があった。また、線引きは、通常、複数人の作業者によって行われることから、線引きに、複数人の作業者を割り当てなければならないという課題もあった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、路面に複数の溝を平行に形成するに当たり路面に付すべき目標線の数を低減できる路面切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う
第1の発明に係る路面切断装置は、道路の路面に直線状の溝を形成する路面切断装置において、円盤状のブレードと、長手方向が前記溝の延設方向に平行に配されるレールと、前記ブレードが取り付けられ、前記レールに沿って該ブレードと共に移動する走行体と、前記レールに連結され、前記路面に接する1又は複数のベース部材と、前記溝に掛け留められて前記レール及び前記ベース部材を前記路面に対し固定する複数の留め具とを備え、既に形成した前記溝に前記複数の留め具を掛け留めた状態で、回転している前記ブレードを移動させて前記レールに平行な前記溝を新たに形成する
路面切断装置であって、前記留め具は前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材は複数あって、該各ベース部材は間隔を空けて配されている。
【0006】
第1の発明に係る路面切断装置において、前記
ベース部材には取付孔が形成され、前記留め具は、上下方向に長く、前記取付孔を貫通し、該取付孔から下方に突出する突出長が変化可能な状態で該取付孔に取り付けられているのが好ましい。
【0007】
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係る路面切断装置
は、
道路の路面に直線状の溝を形成する路面切断装置において、円盤状のブレードと、長手方向が前記溝の延設方向に平行に配されるレールと、前記ブレードが取り付けられ、前記レールに沿って該ブレードと共に移動する走行体と、前記レールに連結され、前記路面に接する1又は複数のベース部材と、前記溝に掛け留められて前記レール及び前記ベース部材を前記路面に対し固定する複数の留め具とを備え、既に形成した前記溝に前記複数の留め具を掛け留めた状態で、回転している前記ブレードを移動させて前記レールに平行な前記溝を新たに形成する路面切断装置であって、前記ベース部材には取付孔が形成され、前記留め具は、上下方向に長く、前記取付孔を貫通し、該取付孔から下方に突出する突出長が変化可能な状態で該取付孔に取り付けられている。
【0009】
第1、第2の発明に係る路面切断装置において、前記留め具は、前記取付孔の直上及び直下に該取付孔を貫通している部分よりも幅が広い拡幅部をそれぞれ有し、前記2つの拡幅部によって、前記取付孔からの抜けが防止されているのが好ましい。
第1、第2の発明に係る路面切断装置において、前記複数の留め具の全部又は一部は、前記レールまでの距離が異なり、該レールまでの距離が異なる前記留め具は、異なる前記溝に挿入されるのが好ましい。
【0010】
第1、第2の発明に係る路面切断装置において、前記ベース部材は、前記道路の長手方向に沿って配される直線部を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る路面切断装置は、レールに沿ってブレードと共に移動する走行体と、レールに連結され、路面に接するベース部材と、溝に掛け留められてレール及びベース部材を路面に対し固定する複数の留め具を備え、既に形成した溝に複数の留め具を掛け留めた状態で回転しているブレードを移動させてレールに平行な溝を新たに形成するので、路面に複数の溝を平行に形成するに当たり路面に付すべき目標線の数を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る路面切断装置の平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る路面切断装置を用いて溝を形成する手順を示す説明図である。
【
図4】同路面切断装置を用いて溝を形成する手順を示す説明図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る路面切断装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る路面切断装置10は、道路Rの路面Sに直線状の溝Dを形成する装置である。以下、詳細に説明する。
【0014】
路面切断装置10は、
図1、
図2に示すように、路面Sを切断する円盤状のブレード11と、直線状のレール12と、ブレード11が取り付けられ、レール12上を進退可能に取り付けられた走行車(走行体の一例)13と、レール12に連結され、路面Sに接するベース部材14、15を備えている。
走行車13は、水平に配置され、ブレード11の中心に連結された回転軸16、及び、回転軸16をブレード11と共に回転させるモータ17を具備している。走行車13は、回転軸16が昇降可能に設計され、ブレード11は回転軸16と共に昇降する。
【0015】
ブレード11は、ダイヤモンドチップを含有する切断部が外周全体に設けられ、ブレード11の最下領域を除き、カバー体18によって覆われている。
走行車13は、
図2に示すように、レール12の幅方向両側からレール12にそれぞれ接触する補助ローラ20、21を下部に備え、レール12上を転動する駆動輪22を具備している。駆動輪22は駆動回転する方向が切替え可能であり、走行車13は、駆動輪22が駆動回転することによって、ブレード11及びカバー体18と共にレール12に沿って移動する。
【0016】
レール12は直線状であり、レール12の下部には、レール12の長尺方向に間隔を空けて配された板状のベース部材14、15が取り付けられている。ベース部材14、15は、平面視して長方形状で形状及び大きさが等しく平行に配され、それぞれ幅方向両端に長手方向に沿った直線部19、19aを有し、長手方向一側(レール12から遠い側)が上方に突出している。ベース部材14の直線部19、19aは、それぞれベース部材15からの距離が長い側及び短い側に配され、ベース部材15の直線部19、19aは、それぞれベース部材14からの距離が短い側及び長い側に配されている。
【0017】
ベース部材14、15は、それぞれレール12に固定可能で、レール12に固定する際のレール12に対する角度を調整することができる。
ベース部材14(ベース部材15についても同じ)には、長手方向の異なる位置に2つの取付孔23、24が形成され、取付孔23、24には、上下方向に長い留め具25、26がそれぞれ取り付けられている。留め具25は、留め具26に比べ、レール12から遠い位置に配されている。なお、図示は省略するが、ベース部材14、15にはそれぞれ、取付孔23、24以外にもベース部材14、15の長手方向の異なる位置に、留め具25、26の取り付けが可能な複数の取付孔が形成されている。
【0018】
ベース部材14に取り付けられた留め具25は、
図2に示すように、ベース部材14の厚みより上下方向に長く、上下が取付孔23から上方及び下方にそれぞれ突出した状態で、取付孔23を貫通して取付孔23に取り付けられている。同留め具25は、取付孔23の直上及び直下に取付孔23を貫通している部分よりも幅が広い拡幅部27、28をそれぞれ有し、拡幅部27、28の間隔は、ベース部材14の厚みより長い。
【0019】
よって、同留め具25は、ベース部材14に対し上下に移動することができ、取付孔23から下方に突出する突出長が変化可能である。そして、同留め具25は、拡幅部27、28によって、取付孔23からの抜けが防止されている。
同留め具25の拡幅部28は円筒状であり、拡幅部28の直径はブレード11の切断部の幅(外周の厚み)より短い(本実施の形態では、0.2〜1.0mm短い)。そして、同留め具25の拡幅部27は、同留め具25の拡幅部27を除く部分から取り外し可能に設計されている。
【0020】
このベース部材14に取り付けられた留め具25自体の特徴、及び、同留め具25と同留め具25が取り付けられた取付孔23の関係は、1)ベース部材14に取り付けられた留め具26自体の特徴、及び、同留め具26と同留め具26が取り付けられた取付孔24の関係、2)ベース部材15に取り付けられた留め具25自体の特徴、及び、同留め具25と同留め具25が取り付けられた取付孔23の関係、及び、3)ベース部材15に取り付けられた留め具26自体の特徴、及び、同留め具26と同留め具26が取り付けられた取付孔24の関係においても同様である。
【0021】
溝Dを路面Sに形成する際、
図1、
図2に示すように、レール12は、その長手方向が溝Dの延設方向(形成しようとする溝Dの長手方向)に平行に配され、ブレード11は、最下領域、即ち、カバー体18から下方に突出した領域が路面Sの上方に配置される。この状態で、ブレード11を回転させながら、ブレード11が路面Sを切断する位置まで、回転軸16及びブレード11を降下させた後、走行車13をレール12に沿って移動させ、路面Sに、レール12に平行な直線状の溝Dを形成する。レール12及びベース部材14、15に対するブレード11の高さ位置は、ブレード11が所定深さ(本実施の形態では、5〜10mmの範囲の深さ)の溝Dを形成できるように調整されている。
【0022】
カバー体18は、ホース29を介して、図示しない集塵機に接続され、ブレード11による路面Sの切断によって生じる粉塵は、集塵機に吸引される。本実施の形態では、路面切断装置が乾式タイプであるため、湿式タイプに比べ、空気中に舞い上がる粉塵量が多く、集塵機による粉塵の吸引は粉塵の飛散量を抑制する観点において有効である。
【0023】
本実施の形態において、ブレード11の切断部の幅は、2〜8mmであり、ブレード11は切断部の幅と実質的に同じ幅の溝Dを形成する。
ここで、ベース部材14、15に取り付けられている留め具25、26は、それぞれの拡幅部28の直径がブレード11の切断部の幅より短いため、拡幅部28を溝D内に挿入することができ、拡幅部28を溝D内に挿入することで溝Dに掛け留められた状態になる。
そして、ベース部材14、15に取り付けられている留め具25、26を溝Dに掛け留めることによって、レール12及びベース部材14、15を路面Sに対し固定することが可能である。
【0024】
以下、路面切断装置10を用いて、路面Sに、道路Rの長手方向に対しθの角度をなす複数の溝DをピッチL(
図4参照)で形成する方法について説明する。
まず、ベース部材14、15をそれぞれの直線部19、19aがレール12に対しθの角度をなすように(即ち、直線部19、19aが道路Rの長手方向に沿うように)配置して、レール12に固定する。
次に、ベース部材14、15に設けられた複数の取付孔(取付孔23、24を含む)のうち、取付孔の中心を通るレール12に平行な仮想線とブレード11の厚み方向中心間の平面視した距離がnL(nは自然数)で、かつ、nが最も小さい値となるものを選び、当該取付孔(本実施の形態では、取付孔24でn=2、
図3参照)に留め具26を取り付ける。
【0025】
そして、ベース部材14、15に設けられた複数の取付孔のうち、取付孔24の中心を通るレール12に平行な仮想線までの距離がkL(kは自然数)で、かつ、kが最も小さい値となるものを選び、当該取付孔(本実施の形態では、取付孔23でk=1、
図3参照)に留め具25を取り付ける。
また、路面Sには、溝Dを形成する予定の位置にn本(本実施の形態では2本)の直線PをLの間隔で付しておく。
【0026】
その後、レール12が、
図3に示すように、路面Sに付した直線Pに平行に配置され、2本の直線Pの一方の直上にブレード11が位置するように、路面切断装置10を路面S上に配置する。これによって、ベース部材14、15の直線部19、19aは、道路Rの長手方向に沿って配され、ベース部材14の直線部19及びベース部材15の直線部19aがそれぞれ道路Rの幅方向両端の近傍に配される。なお、
図3、
図4では、カバー体18の記載を省略している。
【0027】
次に、2人の作業者がそれぞれベース部材14、15に載り、その一方の作業者がブレード11を回転させた状態でブレード11が路面Sを切断する位置まで回転軸16と共に降下させた後、走行車13をレール12の一側から他側に移動させ、路面Sに1本目の溝Dを形成する。1本目の溝Dを形成後、溝Dを形成していない直線Pの直上にブレードが位置し、レール12がその直線Pに平行配置されるように、路面切断装置10全体を移動し、1本目の溝Dを形成したのと同じ手順で、2本目の溝Dを形成する。
2本目の溝Dは、
図4に示すように、1本目の溝Dに対し平行であり、1本目の溝DまでLの距離を有する位置に設けられることとなる。
【0028】
そして、ベース部材14、15にそれぞれ取り付けられた留め具26を、
図4に示すように、1本目の溝Dに掛け留められる位置まで、路面切断装置10全体を移動する。これによって、レール12は1本目の溝D及び2本目の溝Dに対し平行配置され、ブレード11は3本目の溝Dの形成予定位置の直上に配置される。その後、ベース部材14、15にそれぞれ取り付けられた留め具26を1本目の溝Dに掛け留めた状態で、2人の作業者がそれぞれベース部材14、15に載り、回転させたブレード11を走行車13と共にレール12の一側から他側に沿って移動させ、レール12に平行な3本目の溝Dを新たに路面Sに形成する。
【0029】
3本目の溝Dを形成した後、ベース部材14、15にそれぞれ取り付けられた留め具26が2本目の溝Dに掛け留められ、ベース部材14、15にそれぞれ取り付けられた留め具25が1本目の溝Dに掛け留められる位置まで路面切断装置10全体を移動させ、1〜3本目の溝Dを形成したのと同じ手順で4本目の溝Dを形成する。
なお、2本目の溝Dを形成し終えるまで、ベース部材14、15には留め具25、26が取り付けられておらず、ベース部材14、15に対して、3本目の溝Dを形成する際に留め具26が取り付けられ、4本目の溝Dを形成する際に留め具25が取り付けられる。
従って、路面切断装置10を用いることで、形成しようとする溝Dと同数の直線Pを路面Sに付す必要がなく、路面Sに付す直線Pの数を2本(即ち、n本)にすることができる。
【0030】
ここで、レール12の長手方向一端に対するベース部材14の直線部19の配置、及び、レール12の一端に対するブレード11の移動により形成できる溝Dの長手方向一端の位置と、レール12の他端に対するベース部材15の直線部19aの配置、及び、レール12の他端に対するブレード11の移動により形成できる溝Dの他端の位置は、レール12にベース部材14、15を固定している間不変である。この位置関係を利用して、本実施の形態では、作業者が、道路Rの幅方向一端に対するベース部材14の直線部19の位置を目視し、その位置を基準に路面Sに形成される溝Dの一端の位置を予想し、路面切断装置10の位置を決定する。
【0031】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、複数の留め具は、全て、レールまでの距離が等しくてもよい。また、レールまでの距離が異なる留め具がある場合、複数の留め具のうち、レールまでの距離が同じものはあってもよいし、なくてもよい。
そして、ベース部材は2つである必要はなく、1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。
【0032】
以下、
図5を参酌して、ベース部材41が1つで、複数の留め具42、43、44の全てがレール12までの距離が異なる本発明の第2の実施の形態に係る路面切断装置40について説明する。なお、路面切断装置10と同様の構成については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0033】
路面切断装置40は、ベース部材41を1つのみ備え、ベース部材41には、取付孔45、46、47をそれぞれ貫通した状態で取り付けられた留め具42、43、44が設けられている。留め具42、43、44は、それぞれ異なる溝Dに掛け留められて、レール12及びベース部材41を路面Sに対し固定する。なお、3つの留め具42、43、44は、レール12に沿った位置がそれぞれ異なっているが、一部の留め具が同じであってもよいし、全てが同じであってもよいことは言うまでもない。
【0034】
また、留め具は、溝に掛け留められてレール及びベース部材を固定するものであればよく、上下方向に長いものである必要や、ベース部材に直接取り付けられている必要はない。例えば、留め具は、連結部材を介してレールに取り付けてもよい。
そして、ブレードと共にレール上を進退する走行体は駆動輪を有するものに限定されない。
【符号の説明】
【0035】
10:路面切断装置、11:ブレード、12:レール、13:走行車、14、15:ベース部材、16:回転軸、17:モータ、18:カバー体、19、19a:直線部、20、21:補助ローラ、22:駆動輪、23、24:取付孔、25、26:留め具、27、28:拡幅部、29:ホース、40:路面切断装置、41:ベース部材、42、43、44:留め具、45、46、47:取付孔、D:溝、P:直線、R:道路、S:路面