【実施例】
【0180】
実施例1: 固体担体物質へのラクターゼの固定化及び有機シリカ(すなわち、シルセスキオキサン)層による保護
シリカナノ粒子(SNP)などの固体担体物質へのラクターゼ/β−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)の固定化及び保護には、以下の通りである4つの主要な工程を必要とする。
i. 酵素とのさらなる化学結合のためのアンカーポイント(すなわち、アミン)を導入するためのSNPの表面修飾
ii. 導入されたアミン部分と二官能性架橋剤(例えば、グルタルアルデヒド)との化学反応
iii. 二官能性架橋剤の自由活性官能基を介するSNPの表面における酵素の結合
iv. 保護層を得るための固定化酵素及びSNPの自由表面の両方の周囲のシラン構築ブロックの重縮合
【0181】
この合成手順は、酵素を取り囲み、それにより保護するSNPの表面における保護層を生成することを可能にする。生成する保護層の厚さは、対象用途に依存する設計により調節することができる。
【0182】
i)SNPは、Imhof等の報告(J. Phys. Chem. B 1999, 103, 1408)を改変した従来のStoberの方法を用いて次のように製造した。エタノール(345.4ml)、アンモニア25%(39.3ml)及びTEOS(テトラエチルオルトシリケート、15.3ml)を丸底フラスコ中で混合し、この混合物を600rpmで20℃の一定温度で20時間撹拌した。得られた沈殿をエタノールで2回、水で2回洗浄し、凍結乾燥して、走査型電子顕微鏡(Zeiss、SUPRA40VP)を用いて特性評価した裸のSNPを得た。取得した顕微鏡写真は、analysis(登録商標)(Olympus)ソフトウエアパッケージを用いた粒子径測定のために用いた(100回の測定について統計解析を行った)。
図2Aに製造されたSNPの代表的な顕微鏡写真を示す。
ii)保護されるべき酵素のさらなる固定を可能にするアミン官能基をSNPの表面に導入するために、それらをアミノシランと反応させた。保護層のさらなる結合のためのシラノール基を残すように、この修飾は部分的にのみであるべきであることに注意することが重要である。
より詳細には、水中に懸濁したSNP(18mL;3.2mg/ml)をAPTES(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、11mg)とともに20℃で90分間インキュベートした。水での2回の洗浄工程の後、得られたアミノ修飾SNPを1g/Lの最終濃度の二官能性架橋剤(酵素のさらなる固定化を可能にするための)グルタルアルデヒドと30分間反応させた。
iii)水での2回の洗浄工程の後、得られたSNPをMES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液(pH6.2、1mM、5mM MgCl
2)に再懸濁し、400rpmでの磁気撹拌下でラクターゼ酵素(100μg/ml)とともに20℃で1時間インキュベートした。
iv)SNP上に固定化された酵素の保護は、製造された酵素固定化SNPを酵素の周囲に自己集合したシラン構築ブロックの混合物とともにインキュベートし、酵素の周囲の保護層を形成した重縮合反応を行わせることによって行った。対象のタンパク質又はタンパク質型化合物及び表面上のそのアミノ酸残基に無関係に適切な構築ブロックを選択しなければならない。自己集合構築ブロックの好ましい選択の例を表1に示す。表に想定される保護層構築ブロックのリスト及び保護タンパク質のタンパク質表面のアミノ酸残基と自己集合構築ブロックとの間の相互作用の主な力を示す。SNPの表面におけるこの層の結合を可能にするSNPの裸の表面における重縮合反応も起こった。そのために、酵素固定化SNP(18mL;3.2mg/mL)を最初に400rpmでの撹拌下で36μlのTEOSと20℃で反応させた。2時間の反応の後に、18μlのAPTESを加え、4℃で保護層を徐々に成長させた。SNPの試料を2時間ごとに採取し、20時間後にMES緩衝液での2回の洗浄工程により反応を停止させた。種々の時点における保護シラン層の厚さを上述のように測定し、
図2B及び
図3に報告する。これらの結果から、有機シラン層は、それぞれ4、6及び20時間の反応の後に厚さが2、10及び25nmであることがわかった。これらの結果から、酵素固定化SNPの表面における有機シリカ層の成長を制御することが可能であることが確認された。
【0183】
そのように製造された粒子の酵素活性を人工基質としてのオルトニトロフェニル−β−ガラクトシド(ONPG)を用い、分光光度法により追跡してアッセイし、420nmにおけるオルトニトロフェノール(ONP)生成物の出現がアルカリ条件で示された。より詳細には、SNPを、シラン重縮合の持続時間を延長しつつ採取し、MES緩衝液で2回洗浄した。ラクターゼ活性を測定するために、SNPをpH6.5でONPG(40mM)とともに40℃で5分間インキュベートし、等量のNa
2CO
3(1M)の水溶液の添加により反応を停止させた。結果から、25nmの保護層を有する粒子に初期酵素活性の45%が存在していたことが示され、酵素が有機シリカ保護層に埋め込まれている場合でさえ、それがその活性を部分的に維持していることが確認された。
【0184】
図3に関して、時間ともに得られた層厚は、重縮合反応の速度論に依存し、それに対応して(i)時間、(ii)温度及び(iii)用いた有機シランの混合物に依存することが指摘される。(i)については、反応をより長く持続させるほど、保護層がより厚くなることは、明らかである。温度については、温度が高いほど、反応速度が速くなり、したがって、保護層がより厚くなる(逆の場合も同じ)ことは、理解されよう。モノマーの混合物に関しては、基本的特性を有する有機シラン(APTES又はUPTES)の存在が保護層の成長を促進することが指摘される。
【0185】
図3において、より疎水性のモノマーの初期前加水分解及び可溶化に現在のところ帰せられる初期の遅延を観察することができる。この初期反応が行われると、保護層の厚さが測定可能になる(例えば、走査型電子顕微鏡写真及びソフトウエアによる粒子径の統計解析により)。保護層が必要な厚さに達し、反応及び、したがって保護層がさらに厚くなることを停止させる場合、保護層構築重縮合反応の場合、粒子を洗浄し、未反応モノマーを除去することによって、これを行うことができる。
【0186】
表1:保護層構築ブロック及びこれらの構築ブロックと保護層に埋め込まれる、対象のタンパク質又はタンパク質型化合物の表面上のアミノ酸残基との間の相互作用の主な力のリスト。適切な構築ブロックの選択は、存在するタンパク質表面アミノ酸残基に適応させるべきである。
【0187】
表1に関して、次のことが指摘される。第1に、特定の機能性成分の埋込みに関連して表1を示すが、表1に開示する情報、及びそれに関連する情報は、他の機能性成分にも関連することが理解されよう。次に、表1のリストは網羅的なものでなく、本発明による方法に用いることができる他の有機シランモノマーが存在することは、平均的技術者により理解されよう。
【0188】
これに関連して、例えば、非商用シランも製造し、使用することができるので、網羅的なものを確立することが困難であると思われることから、該リストが網羅的なものでないことがさらに指摘される。さらに、特定の場合に、例えば、十分に大きな細孔を得るために、大きく、かさばる基を有する有機シラン、例えば、オクタデシルトリメトキシシラン及びトリフェニルトリエトキシシランを用いることが有利であり得る。
【0189】
さらに、表における並びに本開示の他の部分を通してしばしばトリエトキシ誘導体として示すシランについて、例えば、トリメトキシ又はトリヒドロキシエトキシ誘導体などのすべての可能な誘導体ではなく単一誘導体に言及することは、読むことを簡便化し、同時に読者を容易に入手可能な有機シランに導くために行ったのであって、本開示の範囲を制限するためでないことが認められよう。平均的技術者は、一般的に「シラン」に言及することができる(reference could be had to)(例えば、表におけるアミノプロピルトリエトキシシランに言及する代わりにアミノプロピルシラン)ことを理解するであろう。さらに、リストは、特定の主相互作用に特に関連するシランに関して完全でもない。例として、ウレイドプロピルトリエトキシシラン及び(N−アセチルグリシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランは、さらなる強いH結合ドナーアクセプターモノマーとして含めることができると思われる。
【0190】
次に、CYS及びMETが表1に挙げられていないことが指摘される。しかし、これらが機能性成分の表面に存在する場合、これらのアミノ酸と相互作用する適切な有機シランを選択することができる。例えば、これらのアミノ酸が(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン又はより一般的に(3−メルカプトプロピル)シランなどのSH基を有する適切な有機シランに対する共有結合性ジスルフィド架橋(−S−S−)を形成し得るという事実を利用することができる。したがって、例えば、官能性−SH基を有する有機シランもリストに加えることができると思われる。
【0191】
最後に、表1は、ラクターゼ固定化のカプセル化について示しているだけでなく、他の機能性成分を埋め込むことを意図している平均的技術者によって有益であることも見いだされることが明らかである。
【0192】
実施例2: 熱ストレスからの保護
本明細書で述べた方法により保護された酵素の耐熱性を、実施例1で述べたように製造した20nmの保護層を有するラクターゼ修飾粒子を用いて試験した。触媒活性は、実施例1においても述べたONPG比色法を用いて測定した。
【0193】
最初に保護及び遊離酵素に42℃で漸増期間にわたり熱ストレスをかけ、活性を測定した。
図4を参照のこと。
【0194】
遊離酵素の活性は、5分後に70%に、30分後に45%に、60分後に8%に低下したが、保護酵素は、すべての試験した条件で90%より高い活性値に留まっていたことがわかった。興味深いことに、活性は、20分及び30分間の熱ストレスで112%に増加さえした。この一組の結果から、本明細書で述べた酵素保護戦略の利点が明らかに実証された。
【0195】
さらに、酵素活性を漸増温度値で測定し、結果を
図5に報告する。
【0196】
図5に報告した結果から、遊離酵素の活性が50℃で52%の値に低下し、50、55及び60℃では活性を測定することができなかったことがわかった。保護酵素については、興味深いことに、45℃、50℃及び55℃の反応温度で活性が106%、113%及び111%に増加した。60℃で測定した反応で11%のわずかな低下が認められる。
【0197】
実施例3: 保護ラクターゼのpH抵抗性及びpH範囲拡大
本明細書で述べた方法により保護した酵素の抵抗性及びそれらのpH活性範囲の拡大を、実施例1で述べたように製造した20nmの保護層を有するラクターゼ修飾粒子を用いて試験した。触媒活性は、実施例1においても述べたONPG比色法を用いて測定した。
【0198】
最初に、遊離及び固定化酵素を種々のpH値(4.8、6.5、7.6、8.8)で15分間インキュベートし、次いでpH値を最適触媒pH(6.5)に調整し、各種システムの活性を測定した。結果を
図6に報告する。pH6.5での処理は、固定化酵素にもその遊離のカウンターパートにも影響を及ぼさなかったが、pH4.8での処理は、遊離酵素の活性の25%への劇的な低下をもたらしたが、保護酵素は、影響を受けないままであったことがわかった。7.6及び8.8のpH値では、遊離酵素は、それぞれ15%及び28%の活性を失ったが、保護酵素は、pH7.6で影響を受けず、pH8.8で10%の活性を失ったにすぎなかった。
【0199】
さらに、遊離及び固定化ラクターゼの触媒活性を、種々のpH値(5.5、6.0、6.5、7.5及び8.0)で実施例1においても述べたONPG比色法を用いて測定した。測定された相対活性値を
図7に報告する。
【0200】
両酵素システムは、6.5の最適pH値を有していた。pHを7.5及び8.0に上昇させると、遊離酵素は、それぞれ20%及び40%の活性の低下を示したが、保護酵素は、同じ条件で5%及び18%を失ったにすぎなかった。酸性pH値については、遊離酵素は、それぞれ6.0及び5.5のpH値で40%及び80%の活性を失ったが、保護酵素は、2%及び15%を失ったにすぎなかった。それらの結果から、酵素の保護がその活性範囲の拡大をもたらすことが確認された。
【0201】
実施例4: プロテアーゼの攻撃からの保護
本明細書で述べた方法により保護した酵素のプロテアーゼに対する抵抗性を、実施例1で述べたように製造した20nmの保護層を有するラクターゼ修飾粒子を用いて試験した。遊離及び保護酵素を0.1M Tris−HCl(pH7.4)中でプロテイナーゼK及びトリプシン(1mg/mL)とともに37℃で60分間インキュベートした。遊離酵素の活性はゼロに低下したが、保護酵素の活性は変化しないままであった。
【0202】
実施例5: SNPへの酸性ホスファターゼの固定化及び有機シリカ(すなわち、シルセスキオキサン)層による保護並びに温度ストレス試験
SNPへの酸性ホスファターゼ(EC3.1.3.2)の固定化及び有機シランの層を成長させることによる保護を実施例1で述べたように実施した。保護層の厚さを増加させながら、保護触媒を製造し、人工基質としてのリン酸パラニトロフェニル(pNPP)を用いてアッセイした。405nmでの生成物p−ニトロフェニル(pNP)の出現を分光光度法で追跡したところ、アルカリ条件で示された。
【0203】
手短に述べると、酸性ホスファターゼ活性を測定するために、保護生体触媒をpH4.8でpNPP(15mM)とともに37℃で5分間インキュベートし、等量のNaOHの水溶液(100mM)の添加により反応を停止した。結果を
図8に示す。酵素活性が保護層の存在により増大することが示されている。
【0204】
製造粒子(及び可溶性参照酵素)を65℃で漸増時間にわたりインキュベートすることにより、温度に対する抵抗性をアッセイした。活性の結果を
図9に報告する。遊離参照酵素は、10分後に90%超の活性を、30分後に95%超を失ったが、保護酵素は、10分の処理後に80%と同程度、60分後に75%超維持することが実証されている。
【0205】
実施例6: SNPへのラクターゼの固定化及びシラン混合物で構成された層による保護
SNPへのラクターゼ/β−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)の固定化は、実施例1で述べたように実施した。SNPに固定化された酵素の保護は、製造した酵素固定化SNPを酵素の周囲に自己集合したシラン構築ブロックの混合物とともにインキュベートし、酵素の周囲に保護層を形成した重縮合反応にかけることによって行った。用いたシランは、APTES、TEOS、ベンジルトリエトキシシラン(BTES)、プロピルトリエトキシシラン(PTES)及びヒドロキシメチルトリエトキシシラン(HMTES)である。より詳細には、酵素固定化SNP(18mL;3.2mg/ml)を最初に400rpmでの撹拌下で36μlのTEOSと20℃で反応させた。1時間の反応後に、18μlのAPTES、18μlのBTES、18μlのPTES及び36μlのHMTESを加え、保護層を20℃で成長させた。SNPの試料を漸増反応時間で採取し、20時間後にMES緩衝液での2回の洗浄工程により反応を停止させた。種々の時点における、保護シラン層の厚さを前述のように測定した。
図10に示すように、有機シラン層は、4、6、10、17及び20時間の反応後にそれぞれ2、8、12及び16nmの厚さであった。
【0206】
そのように製造された保護ラクターゼの耐熱性を、50℃で60分間インキュベートすることにより試験し、
図5に示したAPTES−TEOSの混合物を用いて保護した触媒と比較した。結果から、遊離ラクターゼの活性は、50℃で1時間の処理後に5%より低かったが、APTES−TEOSで構成された又はシラン混合物で構成された層により保護されたラクターゼの活性は、それぞれ110%及び150%より高かったことが示された(
図11)。
【0207】
本発明がEP1317850.4の優先権を主張することが指摘される。優先権付与文書は、開示の目的のために本明細書で十分に包含されている。
【0208】
したがって、上述したものは、とりわけ、少なくとも1つのタンパク質又はタンパク質型化合物を含み、固体担体の表面に固定化された、アダプター分子、アンカー分子、足場分子及び/又は受容体分子の群から選択される少なくとも1つの分子を任意選択的にさらに含む組成物であり、前記タンパク質又はタンパク質型化合物及び少なくとも1つの任意選択の分子は、自己集合構築ブロックを含む保護物質に完全又は部分的に埋め込まれ、構築ブロックは、多孔性ナノ環境が担体表面上並びに固定化タンパク質又はタンパク質型化合物及び少なくとも1つの任意選択の分子の周囲に構築されるようにタンパク質又はタンパク質型化合物及び少なくとも1つの任意選択の分子の化学基と相互作用し、タンパク質又はタンパク質型化合物及び少なくとも1つの任意選択の分子の天然立体構造を安定化し、その機能を保存する、官能基を含む。
【0209】
さらに、そのような組成物において、固体担体は、ナノ粒子、特にシリカナノ粒子(SNP)、特に金ナノ粒子、特にチタンナノ粒子であることを提案した。
【0210】
さらに、そのような組成物において、固体担体の表面へのタンパク質又はタンパク質型化合物の結合は、共有結合であることを提案した。
【0211】
さらに、そのような組成物において、ナノ粒子のサイズは、20−1000nm、特に200−500nm、特に300−400nmの範囲にあることを提案した。
【0212】
さらに、そのような組成物において、保護物質の厚さは、1−100nm、1nm−50nm、1nm−30nm、1nm−25nm、1nm−20nm、1nm−15nm、好ましくは5nm−15nmの範囲にあることを提案した。
【0213】
さらに、そのような組成物において、自己集合保護物質は、基質の拡散を可能にする細孔径、特に1nm−10nm、特に2nm−9nm、特に3nm−8nm、特に4nm−7nm、特に4nm−6nm、特に4nm−5nmの細孔径を有することを提案した。
【0214】
さらに、そのような組成物において、自己集合保護物質の官能基は、特に弱い力の相互作用に基づいて、タンパク質又はタンパク質型化合物のアミノ酸側鎖と相互作用する基であることを提案した。
【0215】
さらに、そのような組成物において、前記保護物質は、有機シリカであることを提案した。
【0216】
さらに、前記タンパク質又はタンパク質型化合物は、酵素又は酵素型化合物、特に、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ(isomerises)及び/又はリガーゼからなる群から選択される酵素又は酵素型化合物であることを提案した。
【0217】
さらに、そのような組成物において、前記タンパク質又はタンパク質型化合物及び/又は少なくとも1つの任意選択の分子は、二官能性架橋剤、特に、グルタルアルデヒド、酒石酸ジスクシンイミジル、スベリン酸ビス[スルホスクシンイミジル]、エチレングリコールビス(コハク酸スルホスクシンイミジル)、アジプイミド酸ジメチル、ピメルイミド酸ジメチル、アミノ安息香酸スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、活性化スルフヒドリル(例えば、スルフヒドリル反応性2−ピリジルジチオ)の群から選択される二官能性架橋剤により固体担体の表面に結合していることを提案した。
【0218】
さらに、そのような組成物において、保護物質は、以下に対する保護をもたらすことを提案した。
a)少なくとも1つのタンパク質又はタンパク質型化合物の最適pHと異なり、該pH値が最適pHと+/−5、+/−4、+/−3、+/−2、+/−1、+/−0.5pH単位異なる、pH、及び/又は
b)化学的ストレス、及び/又は
c)生物学的ストレス、及び/又は
d)溶媒、及び/又は
e)物理的ストレス、及び/又は
f)保護されていないタンパク質又はタンパク質型化合物の最適温度を60℃、特に50℃、特に40℃より高い、特に30℃、特に20℃、特に10℃、特に5℃超える、高温、及び/又は
g)保護されていないタンパク質又はタンパク質型化合物の最適温度から60℃、特に50℃、特に40℃より高い、特に30℃、特に20℃、特に10℃、特に5℃逸脱する、低温。
【0219】
さらに、そのような組成物において、前記固定化され、保護された酵素は、以下を有することを提案した。
a)遊離の保護されていない酵素と比較したときストレス条件下で活性の増加、及び/又は
b)遊離の保護されていない酵素と比較して連続操作で使用するための回収可能性の増加。
【0220】
次に、以下の工程を含むそのような一致する組成物を製造する方法を提案する。
a)固体担体を得る工程と、
b)対象の少なくとも1つのタンパク質又はタンパク質型化合物、特に少なくとも1つの酵素又は酵素型化合物を、及び任意選択的に、少なくとも1つの任意選択の分子を担体の表面に固定化する工程と、
c)固体担体の表面に結合した少なくとも1つのタンパク質又はタンパク質型化合物及び任意選択の分子を自己集合構築ブロックとともにインキュベートして、固体担体の自由表面並びに固体担体の表面に結合した少なくとも1つのタンパク質又はタンパク質型化合物及び任意選択の分子の周囲の多孔性ナノ環境を生じさせる工程と、
d)特定の時点に保護物質の自己集合反応を停止させて、所望の厚さを有する好ましい保護層を得る工程。
【0221】
さらに、そのような組成物を触媒工程に用いることを提案した。
【0222】
さらに、そのような組成物を、例えば、スフィンゴミエリナーゼ欠乏(ASMD)症候群、ニーマン−ピック病(NPD)、リソソーム蓄積症、ゴーシェ病、ファブリー病、MPSI、MPSII、MPSVI、糖原病II型、癌、アレルギー性疾患、代謝疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、神経系疾患、リンパ系疾患及びウイルス性疾患などの治療に用いることを提案した。
【0223】
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