【実施例1】
【0039】
図2のAは、実施例1に係るウォーターサーバー2のエアー抜き機構部20を示している。
図2のAにおいて、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0040】
このエアー抜き機構部20は既述のように、水容器6(
図1)側から冷水タンク4に給水する際、密閉状態にある冷水タンク4からエアー抜きし、冷水タンク4に給水するための機構であって、冷水タンク4の近傍に備えられる。このエアー抜き機構部20にはエアー抜き口部22および既述のエアー抜き弁10が含まれる。
【0041】
エアー抜き口部22は冷水タンク4の蓋部14に備えられる。蓋部14は周回状の屈曲部24にOリング26を介在させて容器部12に設置されている。エアー抜き口部22は蓋部14に代えて容器部12側に備えてもよい。
【0042】
蓋部14には貫通孔28が形成され、この貫通孔28にエアー抜き筒30が一体に取り付けられている。このエアー抜き筒30には頂部にフランジ部32、中途部に径大部34が備えられ、この径大部34とフランジ部32の間にはOリング36が備えられる。Oリング36はエアー抜き筒30とエアー抜き弁10との間を封止する封止部材の一例である。
【0043】
エアー抜き弁10には一例として電磁弁が用いられている。このエアー抜き弁10には弁筐体38、弁機構部40が含まれる。弁筐体38には空間部42および結合部44が備えられる。空間部42は弁筐体38の内部に形成された空洞部であって、エアー抜き口部22、直管部46、傾斜面部48、通気口部50が備えられる。
【0044】
結合部44は、弁筐体38をエアー抜き口部22に結合させる筒部である。エアー抜き筒30はエアー抜き口部22に含まれる。この例では、エアー抜き筒30には結合部44を嵌合させ、この結合部44の内壁にエアー抜き筒30側のOリング36が圧縮状態で維持される。
【0045】
直管部46は、結合部44に連続する壁面であり、一部の壁部に通気口部50の外壁部が突出している。傾斜面部48は空間部42の中間域から直管部46に跨がり結合部44に向かって傾斜する壁面である。この傾斜は、結露して生じる水滴が流下する程度の角度でよい。
【0046】
通気口部50は弁筐体38から分岐し、弁筐体38の空間部42を外気に開放する通路であり、弁機構部40で開閉する。弁機構部40には弁体52および駆動部としてコイル54が備えられる。また通気口部50には、内部の一部に弁機構部40の弁体52を動作させる弁動作空間部51が形成される。
【0047】
弁体52にはコイル54の電磁力やばね力を作用させるプランジャ56が備えられる。このプランジャ56は、プランジャガイド58にガイドされてコイル54の中空部内に進退可能に支持されている。プランジャガイド58は、空間部42、具体的には通気口部50の一部の弁動作空間部51にあるプランジャガイド支持部60とコイル支持フレーム62との間に設置されている。プランジャガイド支持部60とプランジャガイド58との間にはOリング64が設置されている。コイル支持フレーム62は弁筐体38に固定ねじ66により強固に固定されている。
【0048】
プランジャ56とコイル支持フレーム62との間にはスプリング68が圧縮状態で挿入されており、このスプリング68の復元力で弁体52が通気口部50の開口部69の開口端に設定した弁座面に押し当てられ、弁体52が常態として閉状態に維持される。エアー抜き時には、コイル54の励磁によりスプリング68の復元力に打ち勝つ電磁力をプランジャ56に作用させて弁体52を通気口部50の弁座面から引き離し、空間部42を開口部69により外気に開放する。これにより、冷水タンク4のエアー抜きが行われる。通気口部50には弁筐体38に突出するエアーパイプ接続部70が備えられ、このエアーパイプ接続部70にエアー抜きパイプ16が接続される。
【0049】
この実施例1において、エアー抜き筒30は蓋部14と別部材としているが、蓋部14と一体構成とし、蓋部14の一部としてよい。
【0050】
図2のBはエアー抜き筒30とエアー抜き弁10の固定構造の一例を示している。エアー抜き弁10は冷水タンク4側に直結されているが、この例では、エアー抜き筒30にエアー抜き弁10の結合部44が着脱可能に嵌合している。このような嵌合構造に対し、エアー抜き筒30とエアー抜き弁10を密着状態に維持するため、Oリング36は圧縮状態に維持されている。そして、エアー抜き筒30とエアー抜き弁10の結合部44には金属が持つ弾性によって結合させる固定部材としてたとえば、クリップ72が取り付けられている。これにより、エアー抜き筒30とエアー抜き弁10の結合部44が一体化され、強固な固定構造となっている。
【0051】
図3は、開状態のエアー抜き弁10を示している。冷水タンク4への給水時、エアー抜き弁10を開状態にすればよい。コイル54に電流を流して励磁すれば、コイル54に発生した電磁力が弁体52を通気口部50から引き離すようにプランジャ56に作用する。これにより、
図3に示すように、弁体52が通気口部50の開口弁座面から引き離され、冷水タンク4のエアーAirがエアー抜き口部22から弁筐体38の空間部42に流れ込み、通気口部50からエアー抜きパイプ16に流れ、フィルタ17を通過して大気に放出される。
【0052】
このエアー抜きに応じ、水容器6の水Wが冷水タンク4に流れ込む。このとき、水容器6は冷水タンク4に流れ込んだ水Wの容積分だけ収縮し、冷水タンク4との密閉状態が維持される。
【0053】
<実施例1の効果>
【0054】
この実施例1によれば、次のような効果が得られる。
【0055】
(1) このウォーターサーバー2では一実施の形態で記述したと同様に、エアー抜き弁10が冷水タンク4側に一体化され、具体的にはその蓋部14または容器部12と一体化できる。この実施例1では、クリップ72を外すことで、エアー抜き弁10を冷水タンク4から外し、冷水タンク4やエアー抜き弁10の清掃など、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0056】
(2) 冷水タンク4に直結されたエアー抜き弁10は、弁筐体38の空間部42が冷水タンク4内の空間の近傍に開放され、つまり、冷水タンク4に満たされる冷水LWの近傍に配置される。このため、冷水タンク4の高温水循環時、循環する高温水VHWでエアー抜き弁10の内部を高温化でき、高温水VHWの循環効果が高められる。
【0057】
(3) エアー抜き弁10の空間部42に結露などにより水滴が生じても、エアー抜き弁10の弁筐体38が冷水タンク4側に開放されていることと相まって傾斜面部48や直管部46により、冷水タンク4側に導かれるので、エアー抜き弁10側に滞留する水滴を低減できる。
【0058】
(4) エアー抜き弁10の空間部42の直管部46などに結露で水滴が滞留しても、高温水循環時、その水滴までも高温化できる。
【0059】
(5) エアー抜き弁10の弁筐体38内が冷水タンク4側に開放されて高温蒸気と接触する面積を拡大したので、高温水VHWの循環時、高温水VHWによる高温蒸気を弁筐体38の空間部42に充分に行き渡らせることができ、高温水VHWの循環効果をエアー抜き弁10の弁筐体38内まで拡大できる。
【0060】
(6) 実施例1のように、冷水タンク4にエアー抜き弁10を直結すれば、高温水循環時、エアー抜き弁10が冷水タンク4と同時に高温化でき、エアー抜き弁10側の高温化のために高温水の循環時間を延長する必要はなく、迅速な高温水循環や、ウォーターサーバー2の省エネ化を図ることができる。
【実施例2】
【0061】
図4は、実施例2に係るウォーターサーバーの一例を示している。
図4において、
図1〜
図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0062】
筐体74の上部には水容器6が設置され、この水容器6はたとえば、伸縮性のある合成樹脂容器であり、冷水タンク4に給水すると、水Wを流出させた分だけ収縮して容積を縮小して変形する。この水容器6はたとえば、立方体のダンボール箱に収容されている。
【0063】
この水容器6は冷水タンク4に着脱可能であり、この水容器6は注水部8側のニードル76の差し込みにより、冷水タンク4と接続される。
【0064】
この冷水タンク4には分離板78が備えられ、冷水タンク4の冷水LW側と水容器6から給水される水Wが分離板78で分離される。この分離板78の中央には温水タンク80側に水Wを導く給水管82が連結されている。
【0065】
冷水タンク4には外壁部に冷却装置として、エバポレータ(Evaporator)84が備えられる。エバポレータ84にはコンプレッサー86より冷媒が循環し、冷水タンク4側の熱を奪う。冷水タンク4内の冷水LWの温度が温度センサ88−1で検出される。この検出温度によってコンプレッサー86が制御され、冷水LWが一定の冷水温度に制御される。このコンプレッサー86の制御は、制御部90によって実行される。
【0066】
冷水タンク4の冷水LWの提供は冷水口92から行われる。この冷水口92には冷水タンク4の底面側から冷水供給路94により給水され、冷水電磁弁96−1の開閉で給水、またはその解除が行われる。冷水電磁弁96−1は、制御部90で制御され、操作パネル部98にある冷水スイッチ100の押下中に開状態、その押下の解除で閉状態となる。
【0067】
温水タンク80には外壁部に加熱手段として、温水ヒーター102が備えられる。温水ヒーター102はたとえば、電熱ヒーターであり、発熱によって温水タンク80を加熱する。温水タンク80内の温水HWの温度は温度センサ88−2で検出される。この検出温度によって温水ヒーター102が制御され、温水HWが一定の温水温度に制御される。この温水ヒーター102の制御は、制御部90によって実行される。
【0068】
温水タンク80の温水HWの提供は温水口104から行われる。温水口104には温水タンク80の天井側から温水供給路106により給水され、温水電磁弁96−2の開閉で給水、またはその解除が行われる。温水電磁弁96−2は、制御部90で制御され、温水スイッチ108の押下中に開状態、その押下の解除で閉状態となる。
【0069】
冷水タンク4と温水タンク80の間には給水管82と並行してバイパス管路110が連結されている。このバイパス管路110にはバイパス弁96−3が備えられる。高温水循環時、バイパス弁96−3が開状態に制御されることにより、給水管82およびバイパス管路110を高温水循環路として高温水VHWが温水タンク80側から冷水タンク4側に循環する。この高温水循環時、制御部90で温水ヒーター102を制御し、温水タンク80の温水HWが高温水VHWに高温化される。
【0070】
図5は、制御部90の一例を示している。この制御部90はコンピューターで構成される。この制御部90にはプロセッサ112、メモリ部114、マルチタイマー116、入出力部(I/O)118が備えられる。
【0071】
プロセッサ112は、メモリ部114にあるプログラムを実行し、冷温水の制御を行う一方、既述の高温水循環の制御を行う。このプログラムには高温水循環プログラムが含まれる。
【0072】
メモリ部114は、記憶手段の一例であって、プロセッサ112で実行するプログラムや、スイッチに割り付けられる高温水循環の開始時点、高温水循環時間などのデータが格納される。このメモリ部114にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)が備えられ、ハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよい。
【0073】
マルチタイマー116はたとえば、電源投入時を契機に時間を計測し、システム内のクロックをカウントアップし、電源投入時点からの経過時間を連続して計測する。
【0074】
水位センサ18、温度センサ88−1、88−2の検出信号、操作パネル部98にあるロック解除スイッチ120、冷水スイッチ100、温水スイッチ108、省エネスイッチ122のオン・オフ信号がI/O118に入力される。I/O118からエアー抜き弁10、コンプレッサー86、冷水電磁弁96−1、温水電磁弁96−2、バイパス弁96−3、温水ヒーター102、操作パネル部98にある冷水タンクアラームランプ124−1、ロック解除表示ランプ124−2、温水表示ランプ124−3、高温表示ランプ124−4、冷水表示ランプ124−5、弱冷表示ランプ124−6、繰返し設定表示ランプ124−7、省エネ中表示ランプ124−8、高温水循環表示ランプ124−9に対して表示出力が発せられる。冷水タンクアラームランプ124−1は、冷水タンク4への給水を促す表示を生成し、水位センサ18のOFFで、短周期の点滅を開始させ、冷水スイッチ100および温水スイッチ108の同時長押しで長周期の点滅に移行し、水位センサ18のONで消灯させる。
【0075】
<ウォーターサーバー2の制御>
【0076】
図6は、ウォーターサーバー2の制御動作の処理手順を示している。
【0077】
この処理手順では、給電開始は電源スイッチの投入により行われる。この給電開始を契機とし、ウォーターサーバー2の初期化を実行し(S101)、初期化の後、水位センサ18がONか否かの判定を行う(S102)。
【0078】
水位センサ18がONしていなければ(S102のNO)、冷水タンクアラームランプ124−1が点滅する(S103)。この場合、ユーザーに次の操作を促すため、点滅は短周期に設定されている。
【0079】
冷水スイッチ100および温水スイッチ108の同時押しに割りつけられた所定時間の同時押しを判定する(S104)。冷水スイッチ100および温水スイッチ108の同時押しが所定時間を超えれば(S104のYES)、冷水タンクアラームランプ124−1の長周期の点滅が開始される(S105)。
【0080】
これを契機に温度センサ88−2の検出温度Tの取り込みが行われ(S106)、検出温度Tが基準温度Tr以上かを判定する(S107)。Trはたとえば、50〔℃〕とすればよい。
【0081】
T<Trであれば(S107のNO)、バイパス弁96−3を開状態に切り替え(S108)、バイパス弁96−3の切り替えが終了するまでの所定時間(たとえば、90〔秒〕)だけ待機し(S109)、エアー抜き弁10を開状態に切り替える(S110)。T≧Trであれば(S107のYES)、S108、S109をスキップし、S110の処理となる。エアー抜き弁10の開状態により、水容器6とともに密閉状態に維持されている冷水タンク4および温水タンク80のエアーAirがエアー抜き弁10を通して外気に放出される。このとき、水容器6の水Wが冷水タンク4および温水タンク80に給水される。
【0082】
この状態で水位センサ18がONしたかを判定する(S111)。水位センサ18がONすれば(S111のYES)、冷水タンクアラームランプ124−1を消灯させる(S112)。これにより、給水が終了することが告知される。
【0083】
バイパス弁96−3が閉状態に切り替えられ(S113)、エアー抜き弁10を閉状態にする(S114)。エアー抜き弁10が閉状態となれば、水容器6とともに冷水タンク4および温水タンク80が密閉状態に回復し、水容器6から給水が停止される。
【0084】
この結果、冷水タンク4および温水タンク80は基準水位に維持され、通常制御に移行する(S115)。
【0085】
また、S102において、水位センサ18がONすれば(S102のYES)、S103〜S114の処理をスキップし、S115の通常制御に移行し、この通常制御を継続させる。
【0086】
この通常制御には、冷水タンク4および温水タンク80の温度制御や、所定期間を単位として実行される殺菌のための高温水循環制御が含まれる。
【0087】
<高温水循環の制御>
【0088】
図7は、高温水循環制御の処理手順を示している。この高温水循環の温度制御において、温度センサ88−1の検出温度をT1、高温水基準温度をTVH、高温水基準継続時間をtrefとする。一例として、TVH=85〔℃〕、tref=30〔分〕とする。
【0089】
この処理手順では、高温水循環モードに移行するとコンプレッサー86を停止し(S201)、温水ヒーター102をON状態にし、温水HWの加熱を開始する(S202)。
【0090】
バイパス弁96−3を開き、温水タンク80側から高温水VHWを冷水タンク4に循環させる高温水循環を行う(S203)。
【0091】
この高温水循環において、高温水温度および高温水継続時間を監視する。すなわち、高温水VHWの検出温度T1がT1≧TVHであり、その状態の継続時間である高温水継続時間tが、t≧trefであるかを判断する(S204)。
【0092】
T1<TVH、またはT1≧TVHであっても、t<trefであれば(S204のNO)、S203に戻り、S203およびS204の処理を行う。T1≧TVH、t≧trefであれば(S204のYES)、高温水循環を完了する。これにより、バイパス弁96−3を閉じ、通常動作状態に移行し(S205)、既述の冷水タンク4および温水タンク80の温度制御を実行する。
【0093】
<実施例2の効果>
【0094】
この実施例2によれば、次のような効果が得られる。
【0095】
(1) 実施例2に係るウォーターサーバー2によっても、既述の一実施の形態および実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0096】
(2) 冷水タンク4に直結したエアー抜き弁10には電磁弁を用いることができ、斯かる電磁弁は従前の制御と同様の制御で冷水タンク4のエアー抜きを行うことができる。
【0097】
(3) 冷水タンク4に直結したエアー抜き弁10の弁筐体38の内部が冷水タンク4の内部に連通され、つまり弁筐体38の内部空間が冷水タンク4内に開放されているので、高温水の循環時間も従前と同様の時間により充分な高温水の循環効果を得ることができ、循環時間を延長するなどの処理は不要であるし、迅速な循環処理およびウォーターサーバー2の省エネ化を図ることができる。
【0098】
〔他の実施の形態〕
【0099】
(1) 上記実施の形態や実施例1では、冷水タンク4を例示したが、水を溜めるタンクであればよく、冷水タンク4に限定されない。
【0100】
(2) 上記実施の形態や実施例1では、エアー抜き筒30を冷水タンク4側に備えているが、このエアー抜き筒30を省略してエアー抜き弁10の結合部44を冷水タンク4に直結してもよいし、結合部44側にエアー抜き筒30を備えてもよい。斯かる構成によっても、高温水の循環効果を高めることができる。
【0101】
(3) 上記実施例では、冷水または温水を供給するウォーターサーバーを提示しているが、炭酸水供給源およびカーボネーションタンクを含む炭酸水生成機能を備え、カーボネーションタンクに冷水タンク側から冷水LW、炭酸水供給源から炭酸水を供給することにより炭酸水を生成し、提供してもよい。
【0102】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。