【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
【0011】
<第1の態様>
高温の燃焼排ガスが通りこの燃焼排ガスにより再加熱を図る再加熱予熱器と、
前記燃焼排ガス中の除塵を行い清浄ガスとするバグフィルタと、
前記再加熱予熱器からの排ガスを前記バグフィルタに導く経路に設けられ、前記排ガスを熱交換して前記バグフィルタの操作温度まで冷却する冷却手段と、
前記バグフィルタからの清浄ガスを前記再加熱予熱器に導き再加熱を図る再加熱戻り手段と、
前記再加熱予熱器を通った再加熱清浄ガスの利用手段と、
を有することを特徴とする燃焼排ガスの処理装置。
【0012】
この第1の態様では、再加熱予熱器からの排ガスを、熱交換してバグフィルタの操作温度まで冷却する冷却手段を有する。
冷却手段により、例えば、250℃以下に冷却する。250℃以下で除塵する(低温)バグフィルタは種類が多く、概して,集塵効率が高いので、除塵を確実に行うことができる。
冷却手段による冷却に伴って、燃焼排ガスの持っている熱を回収できる。冷却手段として、例えば、廃熱ボイラや熱交換器を使用でき、回収熱は乾燥熱源や発電に利用できる。
バグフィルタからの清浄ガスは、前記再加熱予熱器に導かれ(戻され)再加熱が図られる。再加熱された清浄ガスは、ある程度高い温度が必要で、かつ、ガスが清浄であることが条件とされる利用手段により利用できる。
【0013】
冷却手段としては、廃熱ボイラや熱交換器を使用でき、冷却手段によって回収熱量を多くするのが望ましい。仮に、冷却手段(例えば廃熱ボイラや熱交換器)を設けない場合には、あるいは冷却手段による冷却量が少ない場合には、再加熱予熱器での冷却熱交換量を多くする必要があり、そのために大型の再加熱予熱器が必要となる。この場合には、再加熱予熱器において、燃焼排ガスを高温の状態から低い温度まで冷却熱交換する必要があり、再加熱予熱器の燃焼排ガスの入口部分、とりわけ伝熱管の管板部分に高温ガスが常時晒されることを原因とするクラックが発生するリスクが高まる。
これに対して、第1の態様に従って、冷却手段を設けて、再加熱予熱器の出口排ガス温度を高くすることは、前記再加熱予熱器での負担(熱交換量)を小さくでき、すなわち再加熱量を少なくでき、再加熱予熱器における問題を解消できる。
【0014】
<第2の態様>
高温の燃焼排ガスの発生源が流動焼却炉である場合に、利用手段の例として、再加熱清浄ガスにより駆動されるタービンとタービンの回転に伴って回転するコンプレッサとが設けられた過給機を挙げることができる。
この過給機のコンプレッサで生成した圧縮空気は、前記流動焼却炉の流動媒体の流動化空気として送ることができる。
係る構成により、流動焼却炉の流動媒体の流動化空気として送るブロワを用意する必要がなくなり、運転コスト(ブロワの運転に要する電力コスト)を削減できる。
利用手段の種類は限定されるものではなく、前記過給機のほか、例えば、触媒反応を利用した触媒反応装置、例えば触媒を充填した脱硝装置などを挙げることができる。
【0015】
<第3の態様>
冷却手段として
、廃熱ボイラや熱交換器を使用できることは前述の第1の態様の説明の欄で述べたとおりである。
回収熱量を多くするために、バグフィルタに供給する排ガスを冷却する冷却手段のほか、過給機の後段に設けられ、前記過給機のタービン排ガスを受ける第2の冷却手段も設けることができる。
【0016】
再加熱予熱器の出口温度が高くないにもかかわらず、ある程度の回収熱量を確保したい場合には、冷却手段を大型化する必要があり、経済的に得策ではない。
これらの理由に鑑みて、例えば第3の態様に従って、冷却手段のほか、過給機の後段に設けられる第2の冷却手段によっても熱回収することが望ましい。これにより、冷却手段を大型化する必要がなくなる。
また、再加熱予熱器とバグフィルタとの間に複数の冷却手段を設けることもできる。
【0017】
<第4の態様>
燃焼手段、例えば燃焼炉の大きさ及び運転条件などにより、予め各機器及び配置などを設計し、実設備を稼働させる。しかし、燃焼炉、例えば流動焼却炉の場合、焼却対象の下水汚泥の性状、特に含水率、下水汚泥の時間当たりの投入処理量などが変動する。
これらの変動に伴って、再加熱予熱器の出口温度が従属的に(成り行きで)変動する。この変動が生じると、利用手段が所定の性能を発揮できない事態を生じる。
例えば、予め再加熱予熱器の出口温度との関係で、所定の性能
を発揮するように過給機の選定を行ったとしても、本来の性能を発揮しない事態が生じることがある。
そこで、バグフィルタの出側と前記再加熱予熱器の再加熱清浄ガスの出側を繋ぐ、バイパス量を調整可能なバイパス路、例えばバイパス流量の調整弁を有するバイパス路を設けることができる。
【0018】
係る態様によれば、再加熱予熱器内に流入する燃焼排ガスの変動に対応して、バイパス量を調整することにより、再加熱予熱器から利用手段へ供給される排ガス温度を一定にできる。その結果、利用手段を、その性能特性上、最も有利な温度で運転できる利点がある。
【0019】
<第5の態様>
高温の燃焼排ガスを直接、再加熱予熱器に通すのではなく、再加熱予熱器の前段に(燃焼空気)予熱器に通すことができる。係る第5の態様は次のとおりである。
流動焼却炉からの燃焼排ガスを通す予熱器と、
前記予熱器を通った燃焼排ガスにより再加熱を図る再加熱予熱器と、
前記燃焼排ガス中の除塵を行い清浄ガスとするバグフィルタと、
前記再加熱予熱器からの排ガスを前記バグフィルタに導く経路に設けられ、前記排ガスを熱交換して前記バグフィルタの操作温度まで冷却する冷却手段と、
前記バグフィルタからの清浄ガスを前記再加熱予熱器に導き再加熱を図る再加熱戻り手段と、
前記再加熱予熱器を通った再加熱清浄ガスの利用手段と、を有し、
前記利用手段が、再加熱清浄ガスにより駆動されるタービンとタービンの回転に伴って回転するコンプレッサとが設けられた過給機であり、
前記過給機のコンプレッサで生成した圧縮空気は、前記予熱器を通して、前記流動焼却炉の流動媒体の流動化空気として送られる構成とされている、
ことを特徴とする燃焼排ガスの処理装置。
【0020】
第5の態様に従って、流動焼却炉からの燃焼排ガスを直接、再加熱予熱器に通すのではなく、再加熱予熱器の前段で(燃焼空気)予熱器に通すことにより、過給機のコンプレッサで生成した圧縮空気を流動焼却炉の流動媒体の流動化空気として送る際に、高温の圧縮空気として燃焼炉に供給でき、燃焼炉において含水率が高かったり、発熱量が小さい下水汚泥等を焼却する時に補助燃料を削減もしくは不要とすることができる。
【0021】
<第6の態様>
前述の態様において、煙突からの排ガスの温度を高めて白煙防止を図る手段を組み込むことができる。この白煙防止用の予熱器は、過給機のタービンの後方段に設け、タービンと熱交換後の昇温空気を、煙突における排ガス流路に投入することができる。
他方、再加熱予熱器とバグフィルタとの間に白煙防止用の予熱器を設け、この白煙防止用の予熱器を、再加熱予熱器からの排ガスを、熱交換してバグフィルタの操作温度まで冷却し、前記バグフィルタに排ガスを導く冷却手段とすることができる。この白煙防止用の予熱器は、排ガスの冷却を図った後、煙突に供給し、排ガスの温度を高めて白煙防止を図る。
【0022】
<処理方法の態様>
前述の各態様をもって、燃焼排ガスの処理が可能である。
この処理方法としてバグフィルタの入口温度を250℃以下とするのが望ましく、特には230℃以下が好適である。バグフィルタの入口温度としては腐食が起こらない酸露点温度より高い温度、例えば190℃以上が望ましい。
袋状のフィルタ素材としては、コットン、ナイロン、金属繊維、ガラス繊維などを挙げることができる。
他方、冷却手段の入口温度としては、750〜500℃が望ましい。そして、冷却手段によりバグフィルタの入口温度が250℃以下となるように冷却して、大量の回収熱量とすることができる。回収熱量が大量となる結果、システム(設備)全体としてエネルギー効率の高いものとなる。