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特許6678819三次元医用データの対話型輪郭描出のための画像処理システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6678819
(24)【登録日】2020年3月19日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】三次元医用データの対話型輪郭描出のための画像処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   A61B5/00 G
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-515529(P2019-515529)
(86)(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公表番号】特表2020-505959(P2020-505959A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2017073962
(87)【国際公開番号】WO2018055064
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】16190071.7
(32)【優先日】2016年9月22日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516027694
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ,エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウェイストランド,オラ
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/126797(US,A1)
【文献】 特開2004−283373(JP,A)
【文献】 Andreas Wimmer et al.,Two-stage Semi-automatic Organ Segmentation Framework using Radial Basis Functions and Level Sets,3D Segmentation in The Clinic:Grand Challenge,2007年10月29日,pp.179-188
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ユニット(140)と、第1、第2、及び第3のインターフェース(110、120、130)とを備え、
前記第1のインターフェース(110)は、処理ユニット(140)が三次元医用画像データのソースデータ(SD)にアクセスすることを可能にするように構成され、前記ソースデータ(SD)は輪郭描出されるべき関心ある解剖学的構造体及び前記関心ある解剖学的構造体に隣接する組織を表
前記処理ユニット(140)が、前記関心ある解剖学的構造体を通る第1の画像スライスにおいて構成される前記ソースデータ(SD)の第1の二次元グラフィック表現を定義する前記ソースデータ(SD)の第1のサブセット(sd1)を選択するように構成され、前記第1の画像スライスは前記ソースデータ(SD)において第1の配向を有し、
前記第2のインターフェース(120)が、前記処理ユニット(140)からの制御命令に応答して、グラフィカルディスプレイ(170)上に提示するために前記ソースデータの第1のサブセット(sd1)を出力するように構成され、
前記第3のインターフェース(130)が、命令([I]edge)の第1のセットを前記処理ユニット(140)に送るように構成され、前記命令([I]edgeの第1のセットは、ユーザコマンド(ucmd1)の形態で受信され、第1の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第1のエッジ(E1)を識別し、
記命令([I]edge)の第1のセットを受信した後で、前記処理ユニット(140)が、
前記関心ある解剖学的構造体を通る第2の画像スライスにおいて構成される前記ソースデータ(SD)の第2の二次元グラフィック表現を定義する前記ソースデータ(SD)の第2のサブセット(sd2)を選択し、前記第2の画像スライスは前記ソースデータ(SD)において第2の配向を有し、前記第2の配向は前記第1の配向とは異なり、
前記グラフィカルディスプレイ(170)上に提示するために前記第2のインターフェース(120)に前記ソースデータ(SD)の第2のサブセット(sd2)を出力させるように構成された制御命令を生成し、
前記第3のインターフェース(130)を介して命令([I]edge)の第2のセットを受信し、前記命令([I]edge)の第2のセットは、ユーザコマンド(ucmd2)の形態で受信され、前記第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第2のエッジ(E2)を識別
前記第1及び第2のエッジ(E1、E2)と前記ソースデータ(SD)に基づいて三次元シェル(3DS)を計算する、
ように構成され、前記三次元シェル(3DS)が前記関心ある解剖学的構造体の境界面の近似を表す、
三次元医用画像データを輪郭描出するための画像処理システム(100)であって、
前記処理ユニット(140)が、前記三次元シェル(3DS)を前記関心ある解剖学的構造体の推定される外周(P)に近似する三角形メッシュ構造(M)の第1反復を生成するように構成され、前記三角形メッシュ構造(M)は、前記メッシュ構造(M)のいくつかの三角形がそれぞれ出会う頂点(v)の組を含み、前記三角形メッシュ構造(M)の第1反復は、
前記三次元シェル(3DS)と前記第1の画像スライスにより定義される第1の平面(PE1)との第1の交線(MPE1)、及び
前記三次元シェル(3DS)と前記第2の画像スライスにより定義される第2の平面との第2の交線、
の解析に関係し、前記解析が、
前記第1の交線(MPE1)の一部をなす前記三角形メッシュ構造(M)の三角形(Tn)に関して、
前記三角形(Tn)に対して垂直(n)な投影面の方向に沿って前記第1のエッジ(E1)上の画像点(IP1)をサーチすることと、前記画像点(IP1)は前記交線(MPE1)からのサーチ範囲(SR)内に存在し、このような画像点(IP1)が見つかる場合に、
見つけた画像点(IP1)の画像特徴を前記三角形メッシュ構造(M)の三角形(Tn)に割り当てることと、
前記第2の交線の一部をなす前記三角形メッシュ構造(M)の三角形に関して、
前記三角形に対して垂直な投影面の方向に沿って前記第1のエッジ(E2)上の画像点をサーチすることと、前記画像点は前記交線からのサーチ範囲内に存在し、このような画像点が見つかる場合に、
見つけた画像点の画像特徴を前記三角形メッシュ構造(M)の三角形に割り当てることと、
を含むことを特徴とする、
システム(100)。
【請求項2】
前記処理ユニット(140)が、前記三次元シェル(3DS)の最初の推定を三次元凸包の形態で計算するように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記第2の画像スライスが前記第1の画像スライスと直交して配向される、請求項1又は2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記第1又は第2の交線のいずれの一部もなさない前記三角形メッシュ構造(M)の第1反復の各三角形に関して、前記処理ユニット(140)が、前記第1又は第2の交線の一部をなす前記三角形(Tn)の画像特徴間の加重平均として導出されるそれぞれの画像特徴を割り当てるように構成される、請求項に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記処理ユニット(140)が、前記三角形メッシュ構造(M)の第1反復及び前記第1反復に続いて生成される任意の先行する反復に基づいて、前記三角形メッシュ構造(M)の少なくとも1つのさらなる反復を生成するように構成され、前記少なくとも1つのさらなる反復のそれぞれは、前記三角形(Tn)に割り当てられた画像特徴及び前記ソースデータ(SD)に関する前記推定される外周(P)と前記三角形メッシュ構造(M)の頂点(v)との間の全距離測度に関する前記第1反復に対する改良である、前記推定される外周(P)の近似を表す、請求項に記載システム(100)。
【請求項6】
前記処理ユニット(140)が、
前記第1及び第2のサブセット(sd1、sd2)に加えて、前記ソースデータ(SD)の少なくとも1つのさらなるサブセット(sd3)を選択し、前記少なくとも1つのさらなるサブセット(sd3)は、前記第1及び第2の画像スライスに加えて前記関心ある解剖学的構造体を通る少なくとも1つの画像スライスにおいて構成される前記ソースデータ(SD)の少なくとも1つのさらなる二次元グラフィック表現を定義し、前記少なくとも1つのさらなる画像スライスは前記ソースデータ(SD)においてさらなる配向を有し、前記さらなる配向は前記第1及び第2の配向とは異なり、
前記少なくとも1つのさらなるサブセット(sd3)のそれぞれに関して、前記グラフィカルディスプレイ(170)上に提示するために前記第2のインターフェース(120)に前記ソースデータ(SD)の少なくとも1つのさらなるサブセット(sd3)を出力させるように構成された制御命令を生成し、
前記第3のインターフェース(130)を介して、前記第1及び第2のエッジ(E1、E2)に加えて前記第2の画像スライスにおける前記関心ある解剖学的構造体の少なくとも1つのエッジ(E3)を識別する命令([I]edge)の少なくとも1つのさらなるセットを受信し、
前記第1、第2、及び少なくとも1つのさらなるエッジ(E1、E2、E3)と前記ソースデータ(SD)に基づいて、前記関心ある解剖学的構造体の表面推定を表す改良された三次元シェル(3DS)を計算する、
ように構成される、請求項1〜のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記処理ユニット(140)がさらに、前記第1反復に加えて、前記三角形メッシュ構造(M)の少なくとも1つのさらなる反復を生成するように構成され、前記三角形メッシュ構造(M)の少なくとも1つのさらなる反復は、前記推定される外周(P)と前記三角形メッシュ構造(M)の頂点(v)との間の全距離測度に関する前記第1反復に対する改良である、前記推定される外周(P)の近似を表す、請求項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記第3のインターフェース(130)が、命令([I]edge)の補足的なセットを前記処理ユニット(140)に送るように構成され、前記命令([I]edge)の補足的なセットは、前記画像スライスのうちの少なくとも1つにおける前記関心ある解剖学的構造体の調整されたエッジを識別し、
前記処理ユニット(140)が、前記調整されたエッジにさらに基づいて三次元シェル(3DS)を計算するように構成される、
請求項1〜のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項9】
第1のインターフェース(110)を介して、三次元医用画像データのソースデータ(SD)を受信することであって、前記ソースデータ(SD)は輪郭描出されるべき関心ある解剖学的構造体及び前記関心ある解剖学的構造体に隣接する組織を表す、受信することと、
前記関心ある解剖学的構造体を通る第1の画像スライスにおいて構成される前記ソースデータ(SD)の第1の二次元グラフィック表現を定義する前記ソースデータ(SD)の第1のサブセット(sd1)を選択することであって、前記第1の画像スライスは前記ソースデータ(SD)において第1の配向を有する、選択することと、
第2のインターフェース(120)を介して、グラフィカルディスプレイ(170)上に提示するために前記ソースデータの第1のサブセット(sd1)を出力することと、
第3のインターフェース(130)を介して受信した命令([I]edge)の第1のセットに応答して、前記第1の画像スライスにおける前記関心ある解剖学的構造体の第1のエッジ(E1)を識別することであって、前記命令([I]edge)の第1のセットはユーザコマンド(ucmd1)の形態で受信される、識別することと、
記命令([I]edge)の第1のセットを受信した後で、
前記関心ある解剖学的構造体を通る第2の画像スライスにおいて構成される前記ソースデータ(SD)の第2の二次元グラフィック表現を定義する前記ソースデータ(SD)の前記第2のサブセット(sd2)を選択することであって、前記第2の画像スライスは前記ソースデータ(SD)において第2の配向を有し、前記第2の配向は前記第1の配向とは異なる、選択することと、
前記第2のインターフェース(120)を介して、前記グラフィカルディスプレイ(170)上に提示するために前記ソースデータ(SD)の前記第2のサブセット(sd2)を出力することと、
命令([I]edge)の第2のセットに応答して、前記第2の画像スライスにおける前記関心ある解剖学的構造体の第2のエッジ(E2)を識別することであって、前記命令([I]edge)の第2のセットはユーザコマンド(ucmd2)の形態で受信される、識別することと、
前記第1及び第2のエッジ(E1、E2)と前記ソースデータ(SD)に基づいて、前記関心ある解剖学的構造体の境界面の近似を表す三次元シェル(3DS)を計算することと、
を含む、三次元医用画像データを輪郭描出するプロセッサにより実施される方法であって、
前記三次元シェル(3DS)を前記関心ある解剖学的構造体の推定される外周(P)に近似する三角形メッシュ構造(M)の第1反復を生成することを含み、前記三角形メッシュ構造(M)は、前記メッシュ構造(M)のいくつかの三角形が出会う頂点(v)の組を含み、前記三角形メッシュ構造(M)の第1反復は、
前記三次元シェル(3DS)と前記第1の画像スライスにより定義される第1の平面(PE1)との第1の交線(MPE1)、及び
前記三次元シェル(3DS)と前記第2の画像スライスにより定義される第2の平面との第2の交線、
の解析に関係し、前記解析が、
前記第1の交線(MPE1)の一部をなす前記三角形メッシュ構造(M)の三角形(Tn)に関して、
前記三角形(Tn)に対して垂直(n)な投影面の方向に沿って前記第1のエッジ(E1)上の画像点(IP1)をサーチすることと、前記画像点(IP1)は前記交線(MPE1)からのサーチ範囲(SR)内に存在し、このような画像点(IP1)が見つかる場合に、
見つけた画像点(IP1)の画像特徴を前記三角形メッシュ構造(M)の三角形(Tn)に割り当てることと、
前記第2の交線の一部をなす前記三角形メッシュ構造(M)の三角形に関して、
前記三角形に対して垂直な投影面の方向に沿って前記第1のエッジ(E2)上の画像点をサーチすることと、前記画像点は前記交線からのサーチ範囲内に存在し、このような画像点が見つかる場合に、
見つけた画像点の画像特徴を前記三角形メッシュ構造(M)の三角形に割り当てることと、
を含むことを特徴とする、
方法。
【請求項10】
前記三次元シェル(3DS)が三次元凸包の形態で計算される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの処理ユニット(140)のメモリ(150)にロード可能であり、且つ、前記少なくとも1つの処理ユニット(140)上で実行されるときに請求項9又は10に記載の方法を実行するためのソフトウェアを含む、コンピュータプログラム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの処理ユニット(140)にロードされるときに前記少なくとも1つの処理ユニット(140)に請求項9又は10に記載の方法を実行させるためのプログラムが記録されている、プロセッサ可読媒体(150)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医用画像データの情報内容を強化するためのソリューションに関する。より具体的には、本発明は、請求項1のプリアンブルに係る画像処理システム及び対応する方法に関する。本発明はまた、コンピュータプログラム及びプロセッサ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
どのボクセルが特定の解剖学的構造体を表すかを定義するプロセス、すなわち、いわゆる臓器の描写は、放射線治療計画作成のなかでも最も長々と時間がかかることの1つである。このプロセスは、普通は、簡単な描画ツールを用いて二次元スライスにおいて手作業で輪郭描出することに関係し、計画作成のために用いられる高解像度の三次元データセットにおける関心あるすべての構造体を描写するのに数時間を要する場合がある。
【0003】
Pekar,V.,et al.,“Automated Model−Based Organ Delineation for Radiotherapy Planning in Prostatic Region”, International Journal of Radiation Oncology−Biology−Physics,Vol.60,No.3,pp973−980,2004は、関心ある解剖学的構造体の境界に3Dの変形可能な表面モデルを適応させるための方法を開示する。この適応は、或る画像特徴へ寄せることにより生じるモデルの変形とモデルの形状完全性との兼ね合いに基づいている。自動モデル適応に失敗し得る問題のある領域は、対話型ツールにより補正することができる。
【0004】
US2011/0268330は、医用画像の組を輪郭描出するためのシステム及び方法を説明している。例示的なシステムは、画像データベース、画像変形エンジン、及び輪郭変換エンジンを含み得る。画像データベースは、医用画像の組を記憶するのに用いられ得る。画像変形エンジンは、画像データベースにおける医用画像の組からソース画像及び対象画像を受信するように構成され、ソース画像及び対象画像に変形アルゴリズムを用いてソース画像から対象画像への1つ以上のオブジェクト間の変化を示す変形フィールドデータを生成するようにさらに構成され得る。輪郭変換エンジンは、ソース画像内の1つ以上のオブジェクトを識別するソース輪郭データを受信するように構成され、変形フィールドデータ及びソース輪郭データを用いて対象画像内の1つ以上のオブジェクトを識別する自動対象輪郭データを生成するようにさらに構成され得る。画像変形エンジン及び輪郭変換エンジンは、1つ以上のメモリデバイスに記憶され、1つ以上のプロセッサにより実行可能な、ソフトウェア命令を備え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のソリューションは、形状の或る範囲内の所定のタイプの臓器、すなわち、関心ある構造体に関して満足な最終結果をもたらすことができる場合がある。しかしながら、それに基づいて描写が行われる記憶された輪郭のライブラリにその形状があてはまらない関心ある構造体全体の描写は、問題がある及び/又は時間がかかる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、一方では、比較的軽度の人手の介入を必要とし、他方では、三次元画像データセットにおける改良された幾何学的補間をもたらすソリューションを提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、目的は、命令の第1のセットを受信した後で処理ユニットが以下のことを行うように構成される、最初に説明した構成により達成される。ソースデータにおいて第2の配向を有する関心ある解剖学的構造体を通る第2の画像スライスにおいて構成される、ソースデータの第2の二次元グラフィック表現を定義するソースデータの第2のサブセットを選択する。第2の配向は、第1の配向とは異なる。次いで、処理ユニットは、グラフィカルディスプレイ上に提示するために第2のインターフェースにソースデータの第2のサブセットを出力させるように構成された制御命令を生成するように構成される。第3のインターフェースを介して、処理ユニットは、第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第2のエッジを識別する命令の第2のセットを受信するように構成される。その後、第1及び第2のエッジとソースデータに基づいて、処理ユニットは、関心ある解剖学的構造体の境界面の近似を表す三次元シェルを計算するように構成される。
【0008】
この構成は、第1及び第2のエッジとソースデータを併せて用いることにより、比較的少ない離散ステップで関心ある解剖学的構造体の高品質の描写に達することが可能となるので有利である。他の利点は、輪郭ライブラリが必要とされないことである。さらに、ソースデータの異なるサブセットは、互いに特に類似している必要はない。言い換えれば、画像スライスは、比較的大きい角度だけ互いから分離することができる。もちろん、これはソリューションをユーザの見地から融通性の高いものにする。
【0009】
本発明のこの態様の一実施形態によれば、処理ユニットは、三次元シェルの最初の推定を三次元凸包の形態で計算するように構成される。これにより、関心ある解剖学的構造体を、曖昧ではない効率的な様態でモデル化することができる。
【0010】
本発明のこの態様の別の実施形態によれば、第2の画像スライスは、第1の画像スライスと直交して配向される。すなわち、これにより、大きいクラスの概して凸形に形状設定された並びに概して非凸形に形状設定された解剖学的構造体をモデリングする三次元シェルを比較的少ない反復ステップで計算することができる。
【0011】
さらに好ましくは、処理ユニットは、三次元シェルを反復的に計算するように構成される。ここで、三次元シェルを関心ある解剖学的構造体の推定される外周に近似する三角形メッシュ構造の第1反復が、後述するように生成される。三角形メッシュ構造は、メッシュ構造のいくつかの三角形がそれぞれ出会う頂点の組を含む。三角形メッシュ構造の第1反復は、三次元シェルと第1の画像スライスにより定義される第1の平面との第1の交線の解析に関係する。解析はまた、三次元シェルと第2の画像スライスにより定義される第2の平面との第2の交線に関係する。解析は以下のステップを含む。第1の交線の一部をなす三角形メッシュ構造の三角形に関して、処理ユニットは、前記三角形に対して垂直な投影面の方向に沿って第1のエッジ上の画像点をサーチするように構成される。画像点は、交線からのサーチ範囲内に存在するはずである。このような画像点が見つかる場合、処理ユニットは、見つけた画像点の画像特徴を三角形メッシュ構造の三角形に割り当てるように構成される。同じように、第2の交線の一部をなす三角形メッシュ構造の三角形に関して、処理ユニットは、三角形に対して垂直な投影面の方向に沿って第1のエッジ上の画像点をサーチするように構成される。画像点は、交線からのサーチ範囲内に存在するはずであり、このような画像点が見つかる場合、処理ユニットはさらに、見つけた画像点の画像特徴を三角形メッシュ構造の三角形に割り当てるように構成される。これにより、この構造体が関心ある解剖学的構造体の幾何学的形状と最初に一致しない場合であっても、適切な画像特徴が三角形メッシュ構造に割り当てられる。
【0012】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態によれば、処理ユニットは、三角形メッシュ構造の第1反復及び第1反復に続いて生成される任意の先行する反復に基づいて、三角形メッシュ構造の少なくとも1つのさらなる反復を生成するように構成される。少なくとも1つのさらなる反復のそれぞれは、三角形に割り当てられた画像特徴及びソースデータに関する推定される外周と三角形メッシュ構造の頂点との間の全距離測度に関する第1反復に対する改良である、推定される外周の近似を表す。これにより、三次元シェルの推定は、手書きの輪郭と画像データとの両方に幾何学的に緊密に保たれ、これは高品質の最終結果を保証する。三角形メッシュ構造の形態の関心ある解剖学的構造体の外周の提案される表現は、効率的なグラフィカル処理及び視覚化を可能にする。
【0013】
本発明のこの態様の1つのさらなる実施形態によれば、処理ユニットは、第1及び第2のサブセットに加えて、ソースデータの少なくとも1つのさらなるサブセットを選択するように構成される。少なくとも1つのさらなるサブセットは、ソースデータにおいて第1及び第2の配向とは異なる配向を有する関心ある解剖学的構造体を通る少なくとも1つのさらなる画像スライスにおいて構成されるソースデータの少なくとも1つのさらなる二次元グラフィック表現を定義する。少なくとも1つのさらなるサブセットのそれぞれに関して、処理ユニットは、グラフィカルディスプレイ上に提示するために第2のインターフェースにソースデータの少なくとも1つのさらなるサブセットを出力させるように構成された制御命令を生成するように構成される。次いで、第3のインターフェースを介して受信した命令の少なくとも1つのさらなるセットに応答して、処理ユニットは、少なくとも1つのさらなる画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の少なくとも1つのさらなるエッジを識別するように構成される。その後、第1、第2、及び少なくとも1つのさらなるエッジとソースデータに基づいて、処理ユニットは、関心ある解剖学的構造体の表面推定を表す三次元シェルの改良バージョンを計算するように構成される。これは、ユーザが1つ以上の手書きの輪郭を追加することにより自動描写プロセスを都合よく支援し、スピードアップできることを意味する。
【0014】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態によれば、第3のインターフェースは、命令の補足的なセットを処理ユニットに送るように構成され、命令の補足的なセットは、前記画像スライスのうちの少なくとも1つにおける関心ある解剖学的構造体の調整されたエッジを識別する。そのうえ、処理ユニットは、調整されたエッジにさらに基づいて三次元シェルを計算するように構成される。したがって、ユーザは、関心ある解剖学的構造体のエッジのアウトラインを直観的な様態で、手動で変更することにより描写プロセスを微調整することもできる。
【0015】
本発明のこの態様のまたさらに別の実施形態によれば、第3のインターフェースは、例えばコンピュータマウス又は同様のポインティングデバイスを介して生成された、ユーザコマンドの形態の命令のセットを受信することに特化して構成される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、この目的は、命令の第1のセットを受信した後で、ソースデータの第2の二次元グラフィック表現を定義するソースデータの第2のサブセットが選択される、最初に説明した方法により達成される。第2のサブセットは、ソースデータにおいて第2の配向を有する関心ある解剖学的構造体を通る第2の画像スライスにおいて構成される。第2の配向は、ここでは、第1の配向とは異なる。第2のインターフェースを介して、ソースデータの第2のサブセットが、グラフィカルディスプレイ上に提示するために出力される。その後、第3のインターフェースを介して受信した命令の第2のセットに応答して、第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第2のエッジが識別される。最後に、第1及び第2のエッジとソースデータに基づいて、三次元シェルが計算される。三次元シェルは、関心ある解剖学的構造体の境界面の近似を表す。この方法、並びに、その好ましい実施形態の利点は、提案されるシステムに関する上記の説明から明白である。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、この目的は、少なくとも1つのプロセッサのメモリにロード可能であり、且つ、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されるときに上記で提案した方法を実施するように適応されたソフトウェアを含む、コンピュータプログラムにより達成される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、この目的は、少なくとも1つのプロセッサにロードされるときに上記で提案した方法を行うように少なくとも1つのプロセッサを制御するためのプログラムが記録されている、プロセッサ可読媒体により達成される。
【0019】
本発明のさらなる利点、有益な特徴、及び用途は、以下の説明及び従属請求項から明白であろう。
【0020】
ここで、添付図を参照しながら、例として開示される好ましい実施形態によって本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る関心ある解剖学的構造体のエッジがソースデータの2つの異なる画像スライスにおいてどのように識別され得るかを例示する図である。
図3】本発明の一実施形態に係る関心ある解剖学的構造体の追加のエッジが、ソースデータにおける第3の画像スライスにおいてどのように識別され得るかを例示する図である。
図4】本発明の一実施形態に係る関心ある解剖学的構造体の外周を近似する三角形メッシュ構造の第1反復がどのように生成されるかを例示する図である。
図5】本発明の一実施形態に係る関心ある解剖学的構造体の外周を近似する三角形メッシュ構造の第1反復がどのように生成されるかを例示する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る生成された三角形メッシュの例を示す図である。
図7】提案される三角形メッシュに関連して距離測度を例示する図である。
図8】本発明に係る一般的方法を流れ図で例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る三次元医用画像データを輪郭描出するための画像処理システム100の概要を示す。システム100は、処理ユニット140と、第1、第2、及び第3のインターフェース110、120、及び130を含む。好ましくは、処理ユニット140上で実行されているときに後述する手順を実行するためのソフトウェアを記憶する、メモリ150も含まれる。提示の目的で、図1は、インターフェース110、120、及び130を別個のエンティティとして例示する。しかしながら、実際的な実装では、インターフェースのうちの2つ以上が共通のユニットへ一体化されてよい。
【0023】
第1のインターフェース110は、関心ある解剖学的構造体を表す三次元医用画像データの形態のソースデータSDに処理ユニット140がアクセスすることを可能にするように構成される。ソースデータSDは、関心ある解剖学的構造体に隣接する組織も含む。提案されるシステム100の目的は、例えば、関心ある解剖学的構造体の放射線治療を計画するために、この構造体を隣接する組織から区別することができるように、関心ある解剖学的構造体を輪郭描出する、すなわち描写することである。
【0024】
ここで図2も参照すると、処理ユニット140は、ソースデータSDにおいて第1の配向を有する関心ある解剖学的構造体を通る第1の画像スライスにおいて構成されるソースデータSDの第1の二次元グラフィック表現を定義するソースデータSDの第1のサブセットsd1を選択するように構成される。
【0025】
第2のインターフェース120は、グラフィカルディスプレイ170上に提示するためにソースデータの第1のサブセットsd1を出力するように構成される。ソースデータの第1のサブセットsd1は、処理ユニット140からの制御命令に応答して出力される。
【0026】
第3のインターフェース130は、命令[I]edgeの第1のセットを処理ユニット140に送るように構成される。命令[I]edgeの第1のセットは、第1の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第1のエッジE1を識別し、好ましくは、キーボード及び/又はコンピュータマウス、又は同様のポインティングデバイスを介して入力されるユーザコマンドucmd1及び/又はucmd2に応答して生成される。
【0027】
図2は、第1の画像スライスによって表されるソースデータの第1のサブセットsd1においてソースデータSDにおける関心ある解剖学的構造体の形状に第1のエッジE1がどのように従うかを例示する。
【0028】
命令[I]edgeの第1のセットを受信した後で、処理ユニット140は、ソースデータSDの第2の二次元グラフィック表現を定義するソースデータSDの第2のサブセットsd2を選択するように構成される。第2のサブセットsd2は、関心ある解剖学的構造体を通る第2の画像スライスにおいて構成される。第2の画像スライスは、ソースデータSDにおいて第2の配向を有し、第2の配向は第1の配向とは異なる。言い換えれば、第2のサブセットsd2は、ソースデータSDからのデータの別個の二次元スライスを含み、このデータのスライスは、第1のサブセットsd1によって表されるスライスと平行ではない。第1の画像スライスと第2の画像スライスが互いに直交していれば一般に有利である。
【0029】
処理ユニットは、グラフィカルディスプレイ170上に提示するために、すなわち、ユーザがこれを視覚的に観察し、第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第2のエッジE2を記述するためのコマンドを生成することができるように、第2のインターフェース120にソースデータSDの第2のサブセットsd2を出力させるように適応された制御命令を生成するように構成される。
【0030】
したがって、処理ユニットはまた、第3のインターフェース130を介して、第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第2のエッジE2を識別する命令[I]edgeの第2のセットを受信するように構成される。上記と同様に、命令[I]edgeの第2のセットは、好ましくは、キーボード及び/又はコンピュータマウス、又は同様のポインティングデバイスを介して入力されるユーザコマンドucmd1及び/又はucmd2に応答して生成される。
【0031】
最後に、処理ユニット140は、第1のエッジE1及び第2のエッジE2とソースデータSDに基づいて、三次元シェル3DSを計算するように構成される。ここで、三次元シェル3DSは、関心ある解剖学的構造体の境界面の近似を表す。三次元シェル3DSは、ソースデータSDと第1のエッジE1及び第2のエッジE2への幾何学的距離との両方を目的関数に組み込む非線形最適化問題を解くことにより反復的に適応される、変形可能表面モデルによって計算されてよい。この手法は、ユーザ入力、すなわち、第1のエッジE1及び第2のエッジE2を定義するユーザコマンドucmd1及び/又はucmd2に三次元シェル3DSが密接に結び付けられることを保証するので有益である。これはまた、比較的少ない離散ステップで高品質の結果に達する。
【0032】
遡れば、ユーザは、既に描かれた輪郭、例えば第1のエッジE1及び/又は第2のエッジE2が、ソースデータSDの画像内容とより良好に一致するように多少異なるアウトラインを有するべきであることに気付くかもしれない。したがって、本発明の一実施形態によれば、第3のインターフェース130は、命令[I]edgeの補足的なセットを処理ユニット140に送るように構成され、命令[I]edgeの補足的なセットは、前記画像スライスのうちの少なくとも1つにおける関心ある解剖学的構造体の調整されたエッジを識別する。また、好ましくは、命令[I]edgeの補足的なセットは、キーボード及び/又はコンピュータマウス、又は同様のポインティングデバイスを介して入力されているユーザコマンドucmd1及び/又はucmd2に応答して生成される。処理ユニット140はさらに、調整されたエッジにさらに基づいて三次元シェル3DSを計算するように構成される。
【0033】
代替的に及び/又は加えて、精度の向上のため及びアルゴリズムの収束をスピードアップするために、本発明の一実施形態によれば、処理ユニット140は、第1のエッジE1及び第2のエッジE2に加えて1つ以上のエッジにさらに基づいて三次元シェル3DSを計算するように構成される。
【0034】
図3は、関心ある解剖学的構造体のこのような追加のエッジE3がソースデータSDの第3の画像スライスにおいてどのように識別されるかを例示する。
【0035】
ここで、処理ユニット140は、第1のサブセットsd1及び第2のサブセットsd2に加えて、ソースデータSDの少なくとも1つのさらなるサブセットsd3を選択するように構成される。少なくとも1つのさらなるサブセットsd3は、第1及び第2の画像スライスに加えて関心ある解剖学的構造体を通る少なくとも1つの画像スライスにおいて構成されるソースデータSDの少なくとも1つのさらなる二次元グラフィック表現を定義する。少なくとも1つのさらなる画像スライスは、ソースデータSDにおいてさらなる配向を有し、さらなる配向は、第1及び第2の配向とは異なる、例えば、第1及び第2の配向のそれぞれと直交する。
【0036】
処理ユニット140はまた、少なくとも1つのさらなるサブセットsd3のそれぞれに関して、グラフィカルディスプレイ170上に提示するために第2のインターフェース120にソースデータSDの少なくとも1つのさらなるサブセットsd3を出力させるように構成された制御命令を生成するように適応される。
【0037】
そのうえ、処理ユニット140は、第3のインターフェース130を介して、第1のエッジE1及び第2のエッジE2に加えて第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の少なくとも1つのエッジE3を識別する命令[I]edgeの少なくとも1つのさらなるセットを受信するように構成される。第1、第2、及び少なくとも1つのさらなるエッジE1、E2、及びE3とソースデータSDに基づいて、処理ユニット140は、関心ある解剖学的構造体の表面推定を表す改良された三次元シェル3DSを計算するように構成される。ここで、三次元シェル3DSの改良バージョンは、関心ある解剖学的構造体の更新された表面推定を表す。
【0038】
図6は、三次元シェル3DSを関心ある解剖学的構造体の推定される外周Pに近似する三角形メッシュMの例を示す。三角形メッシュ構造Mは、メッシュ構造Mのいくつかの三角形がそれぞれ出会う頂点vの組を含む。このタイプの三角形メッシュ表現は、データの効率的なグラフィカル処理及び視覚化を可能にするので有益である。
【0039】
ここで図4及び図5を参照して、どのように処理ユニット140が本発明の一実施形態に係る三角形メッシュ構造Mの第1反復を生成するように構成されるかを説明する。図4は、第1の画像スライスにより定義される第1の平面PE1を例示する。図4はまた、三次元シェル3DSと第1の平面PE1との第1の交線MPE1を示す。三次元シェル3DSは三次元凸包に基づいているので、第1の交線MPE1のアウトラインは、同様に全体として凸形の形状を有する。そのうえ、少なくとも最初に、第1の交線MPE1は第1のエッジE1の外側にある。
【0040】
三角形メッシュ構造Mの第1反復は、第1の交線MPE1及び第1の平面PE1の解析に関係する。第1反復はまた、三次元シェル3DSと第2の画像スライスにより定義される第2の平面との第2の交線の解析に関係する。
【0041】
解析は、次に、以下のステップを含む。第1の交線MPE1の一部をなす三角形メッシュ構造Mの各三角形Tnに関して、処理ユニット140は、三角形Tnに対して垂直な投影面の方向nに沿って第1のエッジE1上の画像点IP1をサーチするように構成される。画像点IP1は、交線MPE1からのサーチ範囲SR内に存在するはずである。サーチ範囲SRは、好ましくは、関心ある解剖学的構造体の特徴に基づいて定義されるパラメータである。通常、比較的小さい構造体及び/又は複雑な表面を有する構造体に関して、サーチ範囲SRは比較的短く、逆に、比較的大きい構造体及び/又は複雑さが低い表面を有する構造体に関して、サーチ範囲SRは比較的長い。いずれにしても、このような画像点IP1が見つかる場合、処理ユニット140は、見つけた画像点の画像特徴IP1を三角形Tnに割り当てるように構成される。
【0042】
同様に、これはどの図にも例示されていないが、第2の交線の一部をなす三角形メッシュ構造Mの三角形に関して、処理ユニット140は、前記三角形に対して垂直な投影面の方向に沿って第2のエッジE2上の画像点をサーチするように構成される。また、画像点は、交線からのサーチ範囲内に存在するはずであり、このような画像点が見つかる場合、処理ユニット140は、見つけた画像点の画像特徴を三角形メッシュ構造Mの三角形に割り当てるように構成される。
【0043】
最後に、三角形メッシュ構造Mの第1反復において、第1又は第2の交線のいずれの一部もなさない三角形メッシュ構造Mの三角形は、交線の一部をなす三角形Tnの画像特徴間の加重平均として導出されるそれぞれの画像特徴を割り当てられる。
【0044】
次いで、メッシュ構造Mは、第1のエッジE1及び第2のエッジE2のそれぞれ並びにソースデータSDと離散数のステップで一致するように連続的に適応される。ここで、現在の近似表面が、適応のための拘束表面として用いられる。好ましくは、処理ユニット140は、三角形メッシュ構造Mの第1反復及び第1反復に続いて生成される任意の先行する反復に基づいて、第1反復に加えて三角形メッシュ構造Mの少なくとも1つのさらなる反復を生成するように構成される。ここで、少なくとも1つのさらなる反復のそれぞれは、三角形Tnに割り当てられた画像特徴及びソースデータSDに関する推定される外周Pと三角形メッシュ構造Mの頂点vとの間の全距離測度に関する第1反復に対する改良である、推定される外周Pの近似を表す。図7は、三角形メッシュM及び推定される外周Pに関連してこの距離測度を概略的に示す。
【0045】
処理ユニット140は、コンピュータプログラムを実行することにより上記の手順を行うように構成されれば一般に有利である。したがって、処理ユニット140は、好ましくは、コンピュータプログラム製品を記憶するメモリユニットに通信可能に接続され、コンピュータプログラム製品は、処理ユニット140により実行可能な命令を含み、それにより、処理ユニット140は、コンピュータプログラム製品が処理ユニット140上で実行されるときに前述のアクションを実行するように動作可能である。
【0046】
要約するために、図8での流れ図を参照しながら、ここで、三次元医用画像データを輪郭描出するための本発明に係る一般的方法を説明する。
【0047】
最初のステップ810において、関心ある解剖学的構造体、並びに、関心ある解剖学的構造体に隣接する組織の3D画像を表す、ソースデータが受信される。
【0048】
次いで、ステップ820において、ソースデータの第1のサブセットが選択され、グラフィカルディスプレイ上に提示される。ソースデータの第1のサブセットは、ソースデータの第1の二次元グラフィック表現を定義し、第1のサブセットは、ソースデータにおいて第1の配向を有する、関心ある解剖学的構造体を通る第1の画像スライスにおいて構成される。
【0049】
その後、ステップ830で、命令の第1のセットが受信されているかをチェックする。好ましくは、命令の第1のセットは、ユーザにより例えばコンピュータマウスを介して入力される手動コマンドに応答して生成される。このような命令の第1のセットが受信されている場合、手順はステップ840へ続く。そうでなければ、手順はループバックし、ステップ830にとどまる。
【0050】
ステップ840において、命令の第1のセットに応答して第1の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第1のエッジが識別される。好ましくは、第1のエッジを例示するグラフィックスも、ユーザへのフィードバックとしてグラフィカルディスプレイ上に提示される。
【0051】
次いで、ステップ850において、ソースデータの第2のサブセットが選択され、グラフィカルディスプレイ上に提示される。ソースデータの第2のサブセットは、ソースデータの第2の二次元グラフィック表現を定義し、第2のサブセットは、関心ある解剖学的構造体を通る第2の画像スライスにおいて構成される。第2の画像スライスは、ソースデータにおいて第2の配向を有し、第2の配向は第1の配向とは異なる。
【0052】
その後、ステップ860で、命令の第2のセットが受信されているかをチェックする。上記と同様に、命令の第2のセットは、好ましくは、ユーザにより例えばコンピュータマウスを介して入力される手動コマンドに応答して生成される。このような命令の第2のセットが受信されている場合、手順はステップ870へ続く。そうでなければ、手順はループバックし、ステップ860にとどまる。
【0053】
ステップ870において、命令の第2のセットに応答して第2の画像スライスにおける関心ある解剖学的構造体の第2のエッジが識別される。
【0054】
その後、ステップ880において、第1及び第2のエッジとソースデータに基づいて、三次元シェルが計算される。三次元シェルは、関心ある解剖学的構造体の境界面の近似を表し、したがって、三次元シェルは反復的に計算される。
【0055】
上記の図8を参照して説明したプロセスステップ並びにステップの任意のサブシーケンスのすべては、プログラムされたプロセッサによって制御され得る。そのうえ、図面を参照して前述した本発明の実施形態は、プロセッサと、少なくとも1つのプロセッサにおいて行われるプロセスを含むが、本発明は、コンピュータプログラム、特に、本発明を実施するように適応されるキャリア上又は内のコンピュータプログラムにも拡張される。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形態などのソースコード及びオブジェクトコードの中間コード、又は本発明に係るプロセスの実装に用いるのに適した任意の他の形態などの形態であり得る。プログラムは、オペレーティングシステムの一部、又は別個のアプリケーションであり得る。キャリアは、プログラムを搭載することができる任意のエンティティ又はデバイスであり得る。例えば、キャリアは、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、例えばDVD(Digital Video/Versatile Disk)、CD(Compact Disc)、又は半導体ROM、EPROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などの記憶媒体、又は磁気記録媒体、例えばフロッピーディスク又はハードディスクを含み得る。さらに、キャリアは、電気ケーブル又は光ケーブルを介して若しくは無線又は他の手段により伝達され得る電気信号又は光信号などの伝送可能なキャリアであり得る。プログラムが、ケーブル又は他のデバイス又は手段により直接伝達され得る信号で具体化されるとき、キャリアは、このようなケーブル又はデバイス又は手段により構成され得る。代替的に、キャリアは、プログラムが組み込まれる集積回路であってよく、集積回路は、該当するプロセスを行う又は行う際に用いるように適応される。
【0056】
本明細書で用いられるときの「備える、含む」という用語は、表記された特徴、整数、ステップ、又はコンポーネントの存在を明記するために採用される。しかしながら、該用語は、1つ以上の付加的な特徴、整数、ステップ、又はコンポーネント、又はその群の存在又は追加を除外しない。
【0057】
本発明は、図面で説明した実施形態に限定されず、請求項の範囲内で自由に変更され得る。
図1
図2
図3
図4-5】
図6
図7
図8