(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電極の前記基端部は、該第1電極に対して機械的引張力を選択的に付与すべく構成された第1引張アセンブリに対して着脱自在に結合される、請求項12に記載の組織摘出システム。
前記可撓収容器の内側部に対して着脱自在に結合された複数の電極を有する第1電極群であって、複数の電極の各々が第1負荷担持領域を有し、当該第1電極群は前記第1電極を更に有する、という第1電極群と、
前記可撓収容器の前記内側部に対して着脱自在に結合された複数の電極を有する第2電極群と、
前記第1電極群の基端部に対して結合され且つ前記第1電極群に対して第1引張力を付与すべく構成された第1引張アセンブリと、前記第2電極群の基端部に対して結合され且つ前記第2電極群に対して第2引張力を付与すべく構成された第2引張アセンブリと、を有するアクチュエータと、
前記第1及び第2電極群に対して結合され、前記第1電極群に対しては第1電気手術用電力を、且つ、前記第2電極群に対しては第2電気手術用電力を提供すべく構成された発電器と、
を更に備える、請求項1に記載の組織摘出システム。
前記第1電極群における前記複数の電極の内の少なくとも一つの電極の高インピーダンス被覆は、電気手術用電力の印加の間に劣化して前記第1有効電極表面領域を拡大すべく構成される、請求項16に記載の組織摘出システム。
前記複数の電極の内の少なくとも一つの電極の前記高インピーダンス被覆は、該高インピーダンス被覆を踏破するアークを許容するに十分な電圧が印加されたときに劣化すべく構成される、請求項16に記載の組織摘出システム。
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の前記高インピーダンス被覆は、第1の非有効的な電気手術領域を有し、該第1の非有効的な電気手術領域は、前記第1有効電極表面領域のインピーダンスよりも大きなインピーダンス、または、前記導電ワイヤに対する結合であって、前記導電ワイヤに対する前記第1露出領域の結合よりも強力であるという結合、の少なくとも一方を有し、
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の前記高インピーダンス被覆の前記第1有効電極表面領域は、電流を導通すべく構成される、請求項18に記載の組織摘出システム。
前記第1電極群及び前記第2電極群に対して結合された発電器であって、前記第1電極群に対しては第1電気手術用電力を、且つ、前記第2電極群に対しては第2電気手術用電力を印加すべく構成されたという発電器を更に備える、請求項16に記載の組織摘出システム。
前記第1電極の前記高インピーダンス被覆の少なくとも一部分は、事前選択された電力もしくは電圧を有する電気手術用電力の印加の間に劣化すべく構成される、請求項27に記載の組織摘出システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
大寸組織検体の摘出に付随する時間及び費用を減少するために、新規な大容量組織摘出システム及び方法が作成された。該新規なシステム及び方法によれば、検体をバッグ内に収容することで、細断、または、他の組織縮小手法において生ずる制御されない断片化に起因して、影響を受けない組織内へとガン細胞が導入される可能性を減少させる、という付加的な利点がもたらされる。更に、ガンが疑われる箇所での処置における更に小寸の切開口により、実施される最少侵襲的な手術手法の可能性が高められる。本明細書中に記述されるシステム及び方法は、最少侵襲的処置を備えることから、斯かるシステム及び方法の使用からの回復期間は、短縮される。
【0010】
上記新規なシステムはまた、病理学者による次続的な組織断片の“再構築”を許容するという利点も有している。これは、今日において使用されている方法と対比して、更に制御された切断法に依るものである。それは、組織断片と、他の断片に対するそれの配向とをマーク付けするワイヤもしくはバッグ上の着色剤もしくは色素の使用により、更に支援され得る。
【0011】
本発明の一実施例は、組織検体摘出システム(tissue specimen removal system)を備える。斯かるシステムにおいては、最少侵襲的手術の間において、大容量組織検体は、サイズが減少されると共に、引き続き、患者におけるアクセス・ポートを通して摘出される。一つの斯かるシステムは、デバイスと、一つ以上のRF電気手術用発電器とを備え得る。上記デバイスは、単回使用デバイスを備え得ると共に、処置の間において、検体バッグを導入かつ展開して組織検体を捕捉して収容すべく使用され得る。上記デバイスは更に、上記RF電気手術用発電器からRFエネルギを受け乍ら、RFエネルギが注入されたワイヤにより、切断または組織縮小を実施すべく適合化され得る。一つのデバイスはまたユーザ制御器を備え得る取手部分も備え得、該ユーザ制御器は、ワイヤ及び検体バッグを展開及び引戻し、且つ、RFエネルギを起動/起動解除すべく適合化される。上記RF電気手術用発電器は、RFエネルギを上記デバイスに対して供与し、切断を実施すると共に、組織を複数の更に小寸の断片へと縮小すべく使用される。組織縮小が完了された後、上記デバイスは取出され、上記バッグ内に収容された複数の組織断片を残置する。上記バッグは、上記アクセス・ポートを介して引き戻され、各断片を取出すべく組織把持器が使用される。
【0012】
本発明の別実施例は、組織検体摘出システムを使用する方法を備え得る。一つの斯かる方法は、上記デバイスを患者の体内へと導入して展開し得る。上記方法はそのとき、組織検体を捕捉して上記検体バッグ内に収容する段階を備え得る。この方法段階の後、上記方法は次に、バッグの開口を管孔の回りに導向する手段としてストリングもしくは案内ワイヤを用いることで、ユーザがバッグ開口を体外露出することを許容し得る。この方法段階の後、上記方法は、上記検体を切断することで縮小する段階を備え得る。この時点にて、上記方法は、上記デバイスを取出してから組織断片を摘出する段階を備え得る。組織検体摘出システムを使用する別の方法は、患者の体内へと上記デバイスを導入して展開する段階を含む。上記方法は次に、ワイヤが取付けられた検体バッグ内に組織検体を捕捉する段階と、上記バッグの開口を患者の体外にもたらす段階と、適切な負荷及びRFエネルギを印加する第2機器を上記バッグ内の各ワイヤに対して取付ける段階とを備え得る。この時点において、検体の切断及び縮小が行われ、上記第2デバイスが取り外され、且つ、上記バッグから組織断片を取出すべく、把持器または他の手段が使用される。
【0013】
次に
図1に移ると、デバイス100の一実施例の少なくとも一部分が見られ、該デバイスは、トロカール、小寸切開口、または、患者の身体における生来の開口のいずれかであるアクセス・ポート内へと該デバイス100を導入すべく使用される外側管孔110と、医師が、上記デバイスをトロカール/開口内へと挿入するために必要な力を付与し、且つ、末端120を所望の深度及び箇所に制御することを許容する(
図1において不図示の)取手とを備える。管孔110の直径115は、トロカール/開口の直径、及び、デバイス100内の内容物のサイズにより制限され得る。末端120は、身体内に挿入されたときに負傷を回避すべく適合化された形状を備え得る。更に、末端120は、使用の間において体腔内での操作に対して適合化され得る。
【0014】
一実施例において、外側管孔110は、
図1に見られる如く、組織検体150の回りに当該バッグ130及びワイヤ140を展開するに先立ち、組織検体バッグ130及び複数本のワイヤ140を備え得る。一つの組織検体150は、子宮を備え得る。各ワイヤ140は、電極を起動してRFエネルギを組織検体150に対して供与すべく使用され得ると共に、戻り電極を備え得る。一つ以上の戻り電極は、バッグ130内において、または、デバイス100上において、ユーザにより管孔110を通して組織検体150内に載置され、もしくは、それと接触される別体的電極として、バッグ130の表面上に配置されて、該バッグ130の各層に一体化される。デバイス100が患者の体内へと導入され且つ末端120がデバイス100の展開のために適切な箇所とされたとき、バッグ130及び各ワイヤ140は検体150の回りに展開される。バッグ130、ワイヤ140、及び、一切の付随する展開用特定構造は、本明細書において、収容機構と称され得る。一実施例において、バッグ130及び各ワイヤ140は、取手における特定構造を起動することにより、デバイス100の末端120を通して延出され得る。この特定構造は、収容機構まで機械的に伝達される力を取手にて付与することにより起動され得るか、または、上記収容機構に対して接続された螺条形成駆動機構を、手動的に、または、電気機械的な回転駆動構成要素を以て、回転的に前進させることにより、前進され得る。
【0015】
図2には、一つの初期展開位置が見られる。例えば、検体250の側面に向けて、バッグ230及びワイヤ240が延出され得る。バッグ230及びワイヤ240は、
図2において検体250の同一側に対して展開されると見えるが、バッグ230及びワイヤ240は、検体250の異なる側面へと展開され得ることが企図される。初期展開位置への展開の後、バッグ230は、
図1に見られる最終的位置へと開かれ得る。例えば、バッグ230は、取手の末端からの、または、導入機構を通しての、該バッグ130の前進時に、スプリング力の使用により開かれ得る。バッグ230はまた、電極ワイヤに付随するスプリング力を有効化することでも開かれ得る(例えば、各ワイヤは、弾性ニチノールワイヤであり得る)。バッグ230は更に、限定的なものとしてで無く、把持器の如きデバイス100とは別体的な機構を以て、医師により開かれ得る。上記取手における特定構造を起動することにより、管孔110から上記初期展開位置まで、バッグ末端135が移動され得ると共に、斯かる特定構造は、検体250の捕捉を支援し得るべく、バッグ230を第1方向255及び第2方向245に延出させ得る“掬い動作”を備え得る。別実施例において、バッグ130は側部開口を有し、其処で該バッグは、展開の後における各ワイヤに平行な該バッグの寸法に沿って該開口の両側部を分離することにより開かれ得る。これにより、把持器もしくは他のデバイスを用いるユーザにより組織が上記バッグに挿入されるとき、各ワイヤは組織の邪魔にならない所に移動され得る。組織検体が挿入された後、上記側部開口は閉じられる。
【0016】
一実施例において、各ワイヤ240は、検体250の捕捉を支援すべく内側バッグ表面に対して一時的または半永続的に結合され得る。この結合は、バッグもしくはバッグ表面内に、または、付加的な張合せ層として形成もしくは適用され得るスリーブもしくは刻み目の如きバッグにおける設計特定構造内に、形成もしくは溶融された接着剤、熱固定または溶着プロセスにより作成され得る。この実施例によれば、組織検体がバッグ内に載置される間に、切断のために意図された間隔が維持される様に、各ワイヤがバッグの内側面の回りに幾何学的に配置される。付加的実施例は、複数本のワイヤを、交差パターンの如きパターンで配置するものである。このパターンは、異なる方向における2通りの別体的なワイヤ、または、同一方向において平行である2通りの別体的なワイヤ、または、別体的なもしくは同一の方向における2通りより多いワイヤを含み得る。これらのワイヤはまた、それらがRF切断プロセスの間においてそれらの幾何学配置を維持する様に、機械的継手、または、導電継手のいずれかにより、相互に接続もされ得る。各ワイヤ240はまた、バッグ230から別体的でもあり得ると共に、検体250が各ワイヤのループ内に載置されることを許容するパターンで配置され得る。このパターンは、管孔110が、各ワイヤの近傍に載置されて取付けられることで、組織検体に対してRFエネルギを供与する電気結合を形成する様に、各ワイヤを管孔110内に経路設定して、組織検体に対してRFエネルギを供与するコネクタに対して電気的に連結する段階、または、各ワイヤを上記バッグの上記開口の近傍の固定位置へと経路設定する段階を含んでいる。これらのワイヤは、切断に先立ち付与された事前張力を以て、または、RF切断の間における温度上昇により支援される機械的負荷を以て、または、他の同様の手段により、上記バッグの継手から機械的に分離される。このことは、トロカールを通して、もしくは、上記デバイス内において、上記バッグの通気により支援され得る。一実施例において、且つ、
図1において見られる如く、各ワイヤ140は、検体150を収納するときに、卵泡立て器に類似した形状を備え得る。
【0017】
デバイス100は、第2実施例を備え得ることも企図される。一つの斯かる第2実施例において、外側管孔110は各ワイヤ140のみを備え得ると共に、組織検体バッグ130は、限定的なものとしてで無く、把持器の如き別体的機構により患者の体内へと導入されると共に、所定位置において手動的に操作され得る。
【0018】
バッグ130の開口を通して組織検体150を載置すべく、デバイス100と併せて、組織操作器が使用され得る。検体150がバッグ130内に一旦配置されたなら、案内ワイヤが引き寄せられるか、各ワイヤ140が引戻されることで、検体150の回りに、バッグ130の開口が閉じられ、且つ/又は、ワイヤ140も引き締められることで、各ワイヤ140に当接させて検体を捕捉かつ固定し得る。次に、バッグ130の開口が、管孔110の外側面に沿い、患者の体内におけるアクセス・ポートに向けて、または、それの外側へと引戻され得る。付加的実施例は、限定的なものとしてで無く、検体150の回りの非導電性のネットもしくはワイヤ、膨張可能な特定構造、または、検体150の外周の回りのバンドの如き固定機構を備え得、且つ/又は、該付加的実施例は、デバイス100の末端120から非導電性の延長部を組織検体150内に挿入して、それをデバイス100と併せて保持かつ固定する段階を備え得る。デバイス100は更に、検体150を越えて延出する“傘状キャッチャ”であって、起動されたときに引戻されてそれを捕捉するという“傘状キャッチャ”を備え得る。斯かるキャッチャは、限定的なものとしてで無く、膨張可能な“バルーン・バッグ”であって、キャビティに流体を充填することでバッグ130及び検体150に当接させて圧縮することで検体150をデバイス100に当接させて圧縮し得るという“バルーン・バッグ”の如き別体的な構成要素の導入により操作され得るか、または、該キャッチャは、限定的なものとしてで無く、デバイス100の末端120に近接して組織検体150内へと展開されるフックの如き、検体150をデバイス100に当接させて保持し得る特定構造の付加を以て、操作され得る。上記バッグを膨張させる一つの特定の方法は、内側層と外側層との間における密閉容積を備えた多層バッグを配備することであろう。この容積は、継手であって、上記バッグの本体に対して取付けられるか、または、上記バッグの延長部により使用の間に患者の体外まで延出する、という継手により直接的にアクセスされる。この継手は、注入器、外部空気シリンダ、または、病院用空気接続構造を受容して上記バッグを膨張させることで、上述された如く組織を圧縮し得る。上記継手はまた、バルブと併せても使用され得る。圧力は、該バルブにより、または、患者の体外にて上記システムに取入れられる別体的なバルブ/マニフォルドにより、調節され得る。バッグの膨張は、RF切断効果により熱的に行われつつある組織の高温の可能性に対して周囲の構造もしくは組織を付加的に保護することでもあり得る、と言うのも、RF切断が行われている組織検体と、バッグの外側の組織との間には、空気の絶縁層が捕捉されるからである。
【0019】
一実施例においてバッグ130は、別の機器もしくはツールが該バッグ130の側面に結合されて、該バッグ130を患者の身体内の所望位置に載置することを可能とするタブ、フック、または、他の特定構造を備え得る。斯かる特定構造は、例えば、更に大寸の検体150と共に使用されるべく適合化され得る。上記タブまたは他の特定構造は、検体を上記バッグ内に載置する間に、それがユーザにより把持されて該バッグを更に容易に制御し得る如く、バッグの頂部、底部、または、側部上に配置され得る。上記タブはまた、バッグを、機器端部内に、または、患者の切開口、生来の体腔、もしくは、トロカールを通して引き寄せるときにも使用され得る。これらのタブは、バッグ配向の識別を支援すべく、色コード化され得る。検体の取込みの間にバッグの開成及びアクセスを支援すべく、バッグ内に、または、バッグ開口内に配置された付加的な単一もしくは複数の自己拡開性の特定構造が一体化され得る。上記自己拡開性の特定構造は、リングもしくは多重分岐形状であると共に、エラストマ、熱可塑性プラスチック、または、スプリング・ワイヤもしくはニチノールの如き金属で構成され得る。それはまた、加圧空気または無菌液体が付加された膨張可能な特定構造でもあり得る。該特定構造は、断片化に先立ち、または、患者からのバッグの取出しに先立ち、上記自己拡開性の特定構造を取出すために、アクセスされ、もしくは、引き寄せられ得る端部を有し得る。
【0020】
少なくとも一つの実施例において、各ワイヤ140は、RFエネルギのための有効電極として使用され得る。デバイス100におけるワイヤ140の本数は、管孔110の内部容積に依存して、1本のワイヤから数百本のワイヤを備え得る。各ワイヤ140は、全てが同時に使用されるべく電気的に接続されて一つの有効電極を形成し得るか、または、相互から電気的に絶縁され且つ順次的に使用され得る。これらのワイヤ140はまた、他のワイヤ群から絶縁された複数の群でも配置され得る。一つの斯かる実施例において、各ワイヤ140は、各ワイヤ群が他のワイヤ群とは異なる時点にて切断すべく、但し、切断時間の重なり合いが生じ得る如く、並行的にではなく、順次的に切断すべく適合化され得る。検体150の切断が完了するまで、該検体150を一体的に保持することも有用であり得る。斯かる様式で切断すると、検体150の“オレンジ・スライス”効果が引き起こされ得るか、または、各ワイヤの経路設定及び離間により決定される“矩形”または他の幾何学的パターンを生成し得る。結果的な幾何学形状は、摘出のために使用される開口のサイズに関して重要である。切断の間に組織検体を固定する方法としては、限定的なものとしてで無く、デバイス100内に取入れられた機構により、または、デバイス100内に取入れられた吸引機構(例えば、病院の吸引機構、注入器、空気シリンダ、または、他の方法)を用いてバッグの内部の空気の吸引により、付与された機械的力を用いて検体バッグ130を組織検体の回りに締め付けること、または、限定的なものとしてで無く、例えば、検体150の中央断面積の回りにて検体150に対して結合されたワイヤもしくはバンドの如き他の保持特定構造を使用すること、または、手により力を付与すること、が挙げられる。
【0021】
ワイヤ140により検体150を切断するには、機械的及び電気的なエネルギの組み合わせに基づく迅速で低温のRFワイヤ切断が必要とされ得る。例えば、機械的力がワイヤ140を組織検体150を通して引き寄せるとき、電気エネルギは組織の分離を促進する。これらの分離切断力の相互作用及び最適化は、切断時間及び組織温度を最小限度に抑えるべく適合化される。切断は、2段階の電気エネルギ供与を必要とする。第1段階は、RF切断の始動である。第2段階は、ワイヤ140が組織を貫通して切断している間における切断の維持である。電気エネルギは、組織と接触する露出ワイヤ140を通して供与される。1150W/in
2、好適には1240W/in
2より大きい電力密度レベルがないと、露出されたワイヤ表面の表面積の故に、RF切断の始動は困難なことがある。更に、斯かる電力レベルは、安全に供与することが困難なことがある。本明細書において開示される如く、この難題を克服すべく、幾つかの手法が使用され得る。
【0022】
各ワイヤ140は、一つ以上の露出区画を備え得る。例えば、ワイヤ140の一つ以上の区画は、組織検体150に対してRFエネルギが印加されて切断を実施するという領域において、組織に至る導電経路を備え得る。この露出部は、ワイヤ140の全長から、ワイヤ140の小さな固定長までにわたり得る。斯かる区画は、意図された一つ以上の露出区画以外のワイヤ140の箇所において該ワイヤに絶縁体を付加することにより作成され得る。上記露出区画はまた、可変的な露出区画も備え得る。例えば、デバイス100は、ワイヤ140による検体150の切断が生ずるに先立ち、及び/または、その間に、ワイヤに沿って絶縁体を引戻し且つ/又は適切に位置決めする別体的機構を備えることで、使用の前もしくはその間に、検体150を切断すべく露出されて適合化される各ワイヤ140の区画が変化することを許容し得る。この露出部は、完全に非絶縁であり得る。代替的に、上記露出区画は、一群の条件が満足された(すなわち、被覆温度、有効電極の電圧、及び/または、エネルギ供与機能の各条件などが満足された)とき、当該被覆の表面に電流が流れることを許容するという被覆を備え得る。該被覆はまた、ワイヤ140から高い電流密度エネルギが放出されることを許容し得る孔質絶縁体も備え得る。あるいは、ワイヤ140の制御された表面積が組織検体150と接触することを許容するパターンにて、上記絶縁体の選択的な除去が行われ得る。一実施例において、上記絶縁体には、ワイヤに対して結合された別体的な絶縁ジャケット、別体的な絶縁構成要素が装着され得るか、または、該絶縁体は、ワイヤに対して直接的に装着された被覆であり得る。被覆の特性は、露出サイズを生成すべく、または、切断効果を変化させるべく使用され得る。一実施例において、上記被覆は、切断が意図されない領域においては電気絶縁体よりも更に厚寸である様に調節される。この厚みの変化は、被覆を適用すべく使用されるプロセスを調節することにより、または、ワイヤ上の選択領域上でプロセスを反復する段階を含む二次的操作を以て、引き起こされ得る。これに加え、材料の種類は、切断効果と、切断が終結した後にRFエネルギを再始動する機能とを変更すべく調節され得る。上記被覆は、意図された箇所にて、ワイヤから組織への電流導通から帰着する局所的で急激な温度上昇により、切断の間にワイヤから除去される。この局所的温度上昇に耐える材料の機能は、該被覆が除去される速度に全てが影響を及ぼし得るという、該材料とワイヤとの間の結合の強さと、該被覆の厚みとを増大する。上記被覆が除去されると、ワイヤと組織との間の接触領域が増大されるので、インピーダンスが減少されると共に、有効電極の表面積が増大して、電気的パラメータの変化に帰着する。これらのパラメータは、切断効果を調節もしくは制御すべく利用され得る。代表例として、材料の温度容量が増大するにつれ、除去の速度は低下して、僅かに低速で更に制御された切断に帰着する。これに加え、切断の完了時に、ワイヤ上には更に多くの残留被覆材料が留まることで、更に大きな始動インピーダンスを可能として、第2のRF切断適用を始動する可能性を向上させる。ワイヤの電気特性を制御する別の方法は、被覆もしくはワイヤのいずれかにおいて層状化技術を使用して、導電率を変化させることである。このことは、ワイヤに対して適用された異なる種類の被覆により、または、第2の導電材料内に囲繞された内側導電材料の如き、ワイヤを作成すべく使用された異なる種類の導電材料を以て、または、相互内に囲繞された固形及び編組された導電材料の任意の組合せにより、達成され得る。上記編組材料は、電気的に優れた伝導性を提供し得ると共に、更に小寸の全体的直径を有する更に高い引張強度のワイヤも提供し得、また、更に撓曲的なワイヤを提供して捩れの可能性を減少し得る。
【0023】
上記戻り電極は、組織検体150と接触して載置される導電構成要素である。それは、バッグ130及びワイヤ140が展開されたときに戻り電極が近傍に配置される様にバッグ130及びワイヤ140に近接して配置された構成要素であり得るか、または、上記デバイスの末端120と一体化されて組織検体150とも接触される。別実施例において、上記戻り電極は、管孔110の末端に対して固定位置にて結合され得る。上記戻り電極は、有効ワイヤ140から電気的に絶縁されると共に、切断を最小限度に抑え、及び/または、排除し、且つ/又は、組織の戻り電極側における加熱を減少するに十分なサイズである。上記戻り電極は、デバイス末端管孔100の中心の近傍に配置された円形、平坦または丸み付けされたディスクを備え得るか、または、デバイス末端管孔100を囲繞するリングを備え得る。上記戻り電極は、デバイス100の末端上に配置された展開可能接触領域により、組織に対して適用され得る。これらの接触領域は、通常は、バッグの展開に先立ち、閉じ位置にあり得ると共に、展開時には、上記デバイスの末端を越えて、且つ、管孔110の直径を越えて、枢動動作にて、外方に延出し得る。結果的な幾何学形状は、上記末端開口を囲繞する複数の延長部であって、デバイス管孔の末端の上方の平面における円周に沿う複数の接触点を形成するという複数の延長部を有する。上記延長部の材料は、基本的に、高温に耐え得る絶縁体から成り得ると共に、延長部の内側面、及び/または、最末端表面のいずれかには、導電層が配置される。代替的に、それらは、導電金属に対してのみ組織が接触する如く、電気的及び熱的な絶縁材により部分的に被覆された金属で構成され得る。デバイス100は、各ワイヤ140が引戻されているときに、有効電極が戻り電極と接触しない様に構成され得る。例えば、各ワイヤ140は、戻り電極に対しもしくはその上方に取付けられた絶縁特定構造を使用することにより、または、電気絶縁を提供する小寸の管材または管体であって、各ワイヤを案内すると共に、切断の間にそれらが管材内に滑り込むことを許容することで、ワイヤ140から戻り電極を絶縁するという小寸の管材または管体などで、各ワイヤを囲繞することにより、戻り電極から離間して導向され得る。検体150の切断が完了したとき、戻り電極は、デバイス110の末端120から、組織検体150上の別の箇所へと電気的に関連付けられ得ることも企図される(すなわち、ワイヤは非起動とされ、内側バッグ表面の末端に対しては特定構造が付加され、組織をバンドが囲繞し、非導電延長部に対して電極が一体化され、組織を固定する)。戻り電極の箇所は、切断機能を維持する間に、上述された各箇所及び/またはバッグ上の箇所の内の一つの箇所へと変更されることで、切断が行われるときの各ワイヤの近接性を利用して、有効電極が戻り電極と接触する可能性を減少し得る。一実施例は、バッグに対して張力が付与されてデバイス100と当接されたとき、組織検体150との電気接触が為される如く、バッグ130の内側面に対して導電層を適用するものである。この導電層は、戻り電極として作用し得ると共に、該戻り部を各ワイヤ140から分離する幾何学的パターンで構成され得る。これに加え、上記バッグは、導電層上に適用されることで更に大寸の絶縁層における好適な幾何学形状の導電領域を生成する付加的な絶縁層を有すべく構成され得る。これらの層は、複数のプロセス操作により、または、製造の間においてバッグ内に電気層を型成形することにより、作成され得る。別実施例においては、バッグ上の導電要素がバッグ表面から突出して、組織と接触し得る。関連実施例において、戻り要素は、バッグ上に一体化された膨張可能な特定構造の一部である得ることで、該戻り要素の接触の確保を支援する。上記導電要素は、金属、または、他の導電ポリマで構成され得る。
【0024】
本明細書中で用いられる如く、有効電極、または、複数の有効電極という語句は、各ワイヤ140を指し得る。上記発電器はまた、各ワイヤ140の引戻し時に各ワイヤ140が一旦、戻り電極の近傍とされたときにおけるインピーダンスの変化も検知し得ることが更に企図される。インピーダンスの変化が検出されたとき、インピーダンスの変化が検出されたワイヤに対する電力が調節もしくは遮断され得る。別体的な実施例において、上記戻り部は、検体の回りのバンドであって、戻り部と、切断の間における検体の保持との二重の役割を果たすバンドであり得る。
【0025】
上記ワイヤに対しては、機械的切断力が付与されることで、切断を開始し、または、別様に可能とし得る。例えば、張力、動的な荷重付与、切り分け(検体150に対するワイヤの反復的な横方向運動)、または、振動力が使用され得ると共に、これらは更に、検体150を切り裂くために必要とされるエネルギの総量を低下させるという利点を備え得る。機械的切断力はまた、デバイス100の近傍の温度を低下もさせ得る、と言うのも、機械的力を使用すると、検体150の切断を継続すべくRFエネルギを使用するに先立ち、ワイヤは最初に組織検体150内に埋設され得るからである。機械的荷重付与もまた、切断のために必要とされる時間及び電力を減少する。RFワイヤ切断と共に使用される機械的負荷は、(典型的にはワイヤ表面積の半分である)ワイヤ140の負荷担持部分上にて40psiより大きくされねばならない。40psiより低い負荷は、低温RFワイヤ切断を提供するためには不十分なことがある。切断に先立ち、各ワイヤには、該各ワイヤをバッグから結合解除すべく、且つ、組織検体150をデバイス110の末端に対して直接接触させるために、張力が付与される必要がある。この張力は、切断を開始するに先立ち、組織検体150の固定を支援すると共に、ワイヤ幾何学形状を組織に対して整列させることを支援する。この張力は、ワイヤの表面にわたり、40〜100psiの範囲とされるべきである。この張力範囲は、検体を固定すべく他の手段が使用されるなら、40psiより低くても良い。RFが印加されるとき、この張力は、切断の全体の間において維持されて最も効率的な切断効果を提供すべきであり、このことは、更に低い組織温度に繋がると共に、発電器からの更に低い電力設定が許容され、且つ、組織検体を貫通する切断の幾何学形状が維持される。
【0026】
デバイス100に向かう各ワイヤの張力が増大するにつれ、管孔110の末端にて各ワイヤに対して付与される圧力は増大する結果、切断を実施するために各ワイヤと機器末端との間において克服されるべき可能的な摩擦力は大きくなる。これを減少する方法は、PTFEもしくは同様の材料の如き、上記管孔の末端における、特に、内径表面における材料であって、更なる高温に耐え得ると共に、潤滑的な表面仕上げを提供するという材料を配備することが挙げられる。各ワイヤと機器端部との間の摩擦力を減少し得る別実施例は、上記末端における特定構造であって、管孔110における組織の接触点の下方を各ワイヤが進行することを許容するという特定構造を配備することである。この特定構造は、各ワイヤが進行し得る領域であって、上記箇所の故に自然に各ワイヤと整列し得るという領域を提供する一つ以上の切欠きであり得るか、または、各ワイヤは、先に言及された如き絶縁管材の如き、上記デバイスの他の構成要素により“案内”され得る。この特定構造は、先に記述された展開可能延長部であって、該延長部の各接触領域間を各ワイヤが進行することを許容するという展開可能延長部によっても構成され得る。
【0027】
このデバイスを、手術ロボットまたは電気機械的アームの如き電気機械的システムと一体化すると、機械支援式の切断法の使用が更に可能とされ得る。電気機械的アームは、操作者の疲労のリスクなしに、または、別体的な機械的アクチュエータを必要とせずに、機械的作用を付与すべく使用され得る。バッグ130を所望位置に保持することを支援すべく、または、バッグ130の外側部を視認もしくは別様に視覚化すべく、または、検体130の追尾もしくは取出しを支援すべく、別の電気機械的アームが使用され得る。上記検体が一旦断片化されたなら、バッグに対しては、各断片またはバッグ全体の更に容易な取出しのために結果的な各断片を配向もしくは位置決めする付加的な圧縮荷重が付与され得る。
【0028】
ワイヤ張力と共に、検体150の切断は、多くの場合、2つの付加的な機能に依存する:切断の間におけるエネルギの始動、及び、エネルギの維持。エネルギの始動は、RFエネルギのアーク発生が、各ワイヤ140の近傍の組織を気化させ始めるときに達成される一方、エネルギの維持は、組織150の切断の間における有効電極の進行の間にアーク発生を維持するために、ワイヤ140に対してエネルギを供与し続ける段階を備える。切断を始動するには、典型的には、切断を維持するよりも多くのエネルギが必要である。これは、各ワイヤに対してRFエネルギが印加される前において、検体150は、既にRFエネルギを受けている組織と比較して相当に低い電気インピーダンス特性を備えるからである。当該検体150に対してRFエネルギが印加されていない典型的な組織検体150に対するインピーダンス範囲は、検体150に対して露出される有効電極の幾何学形状/表面積、ならびに、ワイヤ140の材料に依存して、非絶縁のワイヤに対し、約30〜約100オームを包含する。対照的に、(維持サイクルの間において)当該組織に対してRFエネルギが既に印加されているという検体150のインピーダンス範囲は、約60〜約1,000オームであり得る。組織インピーダンスにおけるこの変化は、局所化された加熱、組織構造の分離、及び、組織細胞の気化に依る蒸気の生成の結果としての、組織の水和量の変化(乾燥)に起因して生ずる。上記電極は、電気手術用発電器の一定電力範囲において作動させることが好適である。例えば、バーレーラボ社(Valleylab)のForce X及びForce Triad発電器の場合、一定電力範囲は、約64オーム〜約4,096オームである。
【0029】
典型的な電気手術用発電器は、モノポーラ切断モードに対し、一般的には300〜500オームの定格負荷にて、最大電力伝達量を有すべく設計される。この範囲より低い負荷インピーダンスに対する電力伝達量は、特に、システムに対して電流制限が設計されているなら、発電器の設計態様により制限され得る。結果として、切断効果の始動を試行するときに生ずる更に低いインピーダンスは、電流制限領域において動作し得ることから、切断効果を開始するために必要な電圧を制限し得る。これらの発電器上でバイポーラ・モードを使用すると、電力伝達量を向上させ得る低インピーダンスに対して設計された出力に帰着する。但し、これらのバイポーラ・モードは典型的に、100W未満での使用に制限される。この電力範囲は、切断の始動及び維持の両方に対し、各ワイヤ140に対する露出物のサイズを制限し得る。
【0030】
低インピーダンスの始動効果を克服する2つの一般的に使用される手法が在る。第1の手法において、インピーダンス効果は、単一ワイヤ・ループの露出量を制御することにより、且つ、混合切断の如き不連続波形でパルス化エネルギを印加することにより、克服され得る。これは、リナ社(Lina)のループシステムにおいて典型的である。第2の手法においては、デバイスの回りの領域内に導電性流体が導入されて、導電経路を確実とする。本出願において、この効果は、ループ露出部の寸法と、デバイス上の戻り経路に対する近接性とを制御することにより、且つ/又は、パルス包絡線の振幅衰退を以て、混合切断波形の如き不連続波形でパルス化エネルギを付与することにより、克服される。このことは、オリンパス社(Olympus)のバイポーラ切除システムにおいて典型的である。
【0031】
低インピーダンス効果を相殺する他の方法は、露出部を制限して、RFエネルギ源の利用可能範囲に適合させること、または、低インピーダンス範囲に対して最適化された高出力RFエネルギ源を使用することであり得る。露出部を制限すると、特定のワイヤによる結果的な切断のサイズを制限するという悪影響がある。RFエネルギ源を増大することは、400Wの最大値に対する国際的な安全基準により制限されると共に、この手法により必要とされる大量の電流の故に、漏電、または、偶発的な電流経路の懸念を高め得る。
【0032】
デバイス100は、切断効果を始動すべく、幾つかの実施例の内の一つ以上を使用する。一実施例において、ワイヤ140上の被覆は、組織/電極の界面のインピーダンスを増大することで、切断効果を始動するために必要な電圧を発電器が生成することが許容される。この被覆は、320°F以上の使用温度を有するPTFE、PFA、FEP、シリコーン、または、ポリイミド(カプトン)の如き、高温用の高絶縁強度の絶縁体であり得る。発電器により観測される結果的なインピーダンスは、組織検体150に対するワイヤ表面の接触領域、被覆材料の特性、被覆の厚み、ワイヤ材料、及び、検体組成に依存して、始動に先立ち、数百オーム〜数万オームのオーダーを備えると共に、切断プロセスの間は約50〜1,000オームまで減少する。RFエネルギはワイヤ140を通して印加されることから、被覆の厚み及び構造の変動は、電極と組織との間における非常に小さな領域におけるインピーダンスの変動を引き起こす。ワイヤに対して印加された電圧が、被覆の局所化された低インピーダンス部分の絶縁耐性を克服したとき、この絶縁の領域を通してアークが生成されて、被覆における微小空隙が生成されると共に、切断効果の始動が達成される。電力供与量と電極表面積との間の関係が与えられたなら、最適なワイヤ電力密度が望まれる。例えば、PTFE被覆された304ステンレス鋼ワイヤに対し、1,240W/in
2より大きい電力密度は、迅速な始動、及び、低温切断を提供する。理想的に、子宮筋腫の如き硬質組織に対して更に良好に適合化すべく、電力密度は1,340ワット/平方インチより大きい。この実施例は、機能停止する前に、複数回の切断始動に耐え乍ら、デバイス100に対してはコストを殆ど付加しない。故に、何らかの理由で、ワイヤ電極に対する電力が停止されたとしても、切断は再始動され得る。ワイヤの本数が増大するに、または、組織検体のサイズが大寸となるにつれ、切断サイクルの維持機能を実施するには、更なるエネルギが必要である。これは、有効電極の表面積が増大するにつれ、発電器により、更に低いインピーダンスが観測されるからである。先に記述された如く、低インピーダンスへの発電器出力の本来的な制限は、組織に対して供与され得る電力の制限に帰着する。このことを改善する手段は、更に低い電流制限を以て始動機能の間に更なる高電圧を提供し得る発電器出力を生成し、且つ、維持機能の間に更に大きな電流出力を提供し得る出力へと移行することである。この移行は、電子的に、または、ソフトウェア制御における変更を以て、実施され得る。移行時点は、始動効果に付随する電流の初期上昇により決定される。この実施例に対し、上記発電器は、最大の電力必要量を本来的に出力すべく設計されるべきであり、且つ、電子的またはソフトウェア制御により付与される制限は、最大出力電力を、安全基準により示唆される400W以内に維持し得る。エネルギ供与機能を改善すべく使用され得る別の方法は、有効電極及び/または戻り電極の部分集合に対してRFエネルギを提供する複数台の発電器を使用することである。これにより、低インピーダンス組織への維持機能を実施するために必要とされる合計電力を供与するための各発電器に対する更に低電力の設定が許容される。別の代替方法は、全体的な平均電力が最小化される如く、始動もしくは切断サイクルの一つもしくは両方の間に供与されるエネルギを迅速にパルス化することである。
【0033】
ワイヤ140が組織を切り裂くべく使用されるという、検体摘出とは異なる他の手術用途においては、ワイヤ電極上の絶縁性の高温用被覆が有用であり得る。他のワイヤ切断用途の例としては、子宮頸部から子宮を切断除去するワイヤ・ループ(リナメディカル社(Lina Medical)によるLina Loop)、Lletzループ、バイポーラ切除ループ、及び、ポリープ切除ループが挙げられる。利点としては、組織と接触したまま切断を始動すること、切断を始動するために必要な電力が少ないこと、隣接する解剖学的構造に対する損傷の可能性を減少する更に低い結果的な温度、及び、ユーザに対する視認性を曇らせる煙が少ないことが挙げられる。
【0034】
始動のための大きなインピーダンスを生成する他の手法は、NTC、すなわち、負の温度係数の材料、または、可変的な露出部であって、小さな露出長で開始して起動の後は増大されると共に、ワイヤ140と共に、更に大きなインピーダンスの流体もしくは空気の供与を許容して、局所化された有効電極/組織の界面のインピーダンスを増大するという可変的な露出部であり得る。増大されたインピーダンスは、温度により機械的に膨張もしくは収縮して間隔を生成し、且つ、更に低い温度によりインピーダンスの増大に帰着するという構成要素を、上記露出部の近傍に付加することによっても生成され得る。これに加え、ワイヤ140が当該被覆の融点に一旦到達したなら、該被覆が分解して、始動が行われることを許容する様に、低温用被覆が利用され得る。斯かる手法によれば、ワイヤ140は、切断を始動すべく、一回のみ使用され得る。被覆は、連続的に適用されるか、または、連続する多数の小寸露出部を擬態し、もしくは、長寸の露出長にわたり有効な高インピーダンスを生成するパターンにて適用され得る。
【0035】
一実施例において、ワイヤ140またはワイヤ被覆の外側部に対しては、着色剤または色素が付加されて、切断の前、または、その間において、サンプルをマーク付けし得る。最近の研究によれば、細切りされた子宮サンプルは、細切りされない検体よりも、正確に評価することが困難な病状であることが示されている。組織上に残置された色素マークは、更に規則的な切断と協働して、組織学的評価を実施している病理学者に対して有用であり得る。
【0036】
被覆に加え、発電器は、切断効果を始動するために幾つかの実施例の内の一つ以上を採用し得る。該発電器は、短い存続時間で更に高電圧を提供してRF起動を始動するために、AC連結されるか、発電器出力の一部として一体化された、パルス化高電圧出力を付加し得る。上記発電器はまた、組織を乾燥させることで組織インピーダンスを増大させる高電流も提供し得るか、または、該発電器は、RFエネルギの供与を間欠的に変化させて、組織検体150に対して供与されるエネルギを短い存続時間にわたり増大し、エネルギを維持するために更に低い連続的なエネルギ・レベルにより追随され得る。組織インピーダンスは、始動の開始時に非常に低く、且つ、切断効果が始動した後に増大するので、これらの2つの段階に対して必要とされる電力は異なる。ワイヤ被覆なしでの始動のためには、低インピーダンス組織内への高電流供与によりアークを生成するに必要な電圧を提供するために、高電力設定が必要とされる。始動の後、維持段階の間において、インピーダンスは増大し、更に少ない電流、故に、更に少ない電力が必要とされる。上記発電器は、電流を検知して、始動が開始する時点を決定し得る。始動に先立ち、電流は大きく、且つ、該電流から更に低いレベルへの移行は、切断効果の開始を表す。上記発電器はこの情報を使用し、始動の間には更に高電力の設定を提供すると共に、電力を更に低い維持電力設定へと減少する。上記発電器はまた、始動段階における時間を追尾し、電力を所定の設定もしくは制限値まで増大し、または、電流移行が観測されるまで、パルス化出力を印加する如き、切断を始動するための他の手段を提供し得る。
【0037】
切断効果を始動する別の方法は、組織検体150を前処理して、組織の乾燥により組織/ワイヤの界面におけるインピーダンスを増大し、且つ/又は、局所化された組織の温度を高めることである。このことは、ワイヤの近傍に加熱空気を付与することによって、または、ニクロムの如く電流に対して温度感応的な材料の包含により設計されたワイヤ140を使用することによって、局所化された組織を予熱することにより行われ得、その場合、始動の前に必要とされる大きな初期電流は、ワイヤ140が組織を前処理する量を増大して、RFエネルギが切断を開始することを許容し、且つ、エネルギを維持するために必要な低電流は、RFエネルギが切断を継続することを許容する。このことはまた、磁的に被覆された、または、磁的組成のワイヤ140を、基本的RF波形に付加された高周波の連続波形と共に使用することによっても達成され得る。この高周波の波形は、磁性材料の温度を上昇させる。上記高周波波形は、RF起動の開始時に印加されると共に、該波形は、電流供与量により決定される如く、低周波RF出力が始動を開始したときに除去され得る。上記高周波波形は、MHz〜数十MHzの範囲であり得るか、または、有効電極の幾何学的特性、及び、磁性材料の特性により決定される如く、更に高くされ得る。
【0038】
別実施例は、一方のワイヤ140は有効電極として作用し、且つ、他方のワイヤ140は戻り電極として作用するという、接近して離間された実質的に平行な2本のワイヤ140を利用する。接近して離間された各ワイヤ140は、有効電極と戻り電極との間の距離を減少することで、組織検体150の更に迅速な加熱及び切断に帰着する。
【0039】
上記発電器は、切断効果を実施する名目的な電力設定に設定され得る。必要とされる電力設定の範囲は、組織検体150とワイヤ140との間における露出部のサイズ、または、表面積により決定されると共に、典型的には、60〜280ワットの範囲内である。上記RFエネルギは、電流が、組織検体内に閉じ込められると共に、隣接する組織構造に供与されることは意図されないというバイポーラ様式で印加される。絶縁バッグ130内に検体150を収容すると、患者の身体の残部からの検体130の付加的な電気的絶縁が促進される。上記発電器は、切断の始動及び維持の間に観測される電流供与量及びインピーダンスに基づくアルゴリズムを使用して、出力の振幅もしくはデューティ・サイクルの調節を提供し得る。
【0040】
先に言及された如く、確実で迅速な切断に対しては、付与される機械的負荷の量も重要である。40〜100psiの最適負荷(組織に対して負荷を付与しているワイヤ表面積の半分)が付与されることを確実とするためには、負荷の量は、適切な負荷を考えるユーザに頼るのではなく、機器により制御されることが好適である。一実施例においては、ワイヤ端部に対してスプリング負荷が付与される。上記スプリングは、該スプリングを事前負荷する“トリガ”を手動的に伸張させることにより、または、該スプリングを伸張させる機構を備えた取手を挟持することにより、または、当業者により容易に想起される手法により、負荷を付与するためにユーザにより起動され得る。別実施例において、上記スプリングは、弛緩状態において、各ワイヤ140に対するRF供与のための回路を完成させる2つの電気接点の分離を提供する。上記スプリングが弛緩状態に在る間、これらの電気接点は電気的結合を有さず、且つ、RFエネルギは各ワイヤ140に対して供与され得ない。上記スプリングは、ワイヤ端部に対して40〜100psiの所望の最適負荷が付与されたとき、2つの電気接点が相互に接触して電気的結合を生成することでRFエネルギをワイヤ140に対して供与する如く、該スプリングが圧縮される様に選択される。上記スプリング、及び、各接点の間隔は、RFエネルギが供与される前に最小限の負荷が付与されることを確実とすべく設計され得ると共に、該スプリング及び間隔は、所望値より大きな負荷を付与すると、各接点が相互を越えて延在することで電気的結合を解消し得る様にも設計され得る。
【0041】
別実施例において、ユーザは、切断を実施するために必要な力を供給し得ると共に、該力が40〜100psiの容認可能範囲内であるときにのみRFエネルギが印加される如く、付与された力を測定し得るセンサが含まれて、マイクロプロセッサ、FPGA、アナログ制御回路、または、他の同様の制御デバイスの如き制御機構に対して情報が提供され得る。
【0042】
組織縮小の完了の後、デバイス100は、該デバイス100に対して留まり得るバッグ130の一切の接続構造を解除することにより、取出され得る。もし、上記バッグが切断のために体外露出されなかったのであれば、デバイス100は単一本もしくは複数本の案内ワイヤを使用することで、バッグ130がアクセス・ポートを通して患者から外部に配置され得ることを確実とし得る。これらの案内ワイヤは、上記ポートを通してバッグ130の開口を引き寄せることを支援して、組織断片の摘出を支援し得る。別実施例においては、バッグ開口を密閉するために、把持器もしくは他の操作ツールを用いて、上記バッグに対してクリップが装着される。収容されたバッグの内側における組織断片は、該バッグ内でその丈に沿って操作されることで、長寸で狭幅である一連の組織断片を生成し得る。これらの組織断片を収容するバッグは、婦人科処置に対する膣、または、SILS処置、もしくは、他の形式の最少侵襲的処置のための小開腹術に対する臍の如き他のアクセス・ポート、のいずれかであるアクセス・ポイントに向けて操作され得る。上記バッグ内には、小寸の“フック”の如き小寸の特定構造が含まれて組織を把持することで、操作の間において組織をバッグの丈に沿って分布させることが支援され得る。
【0043】
組織断片の摘出は、バッグ130の開口内に組織把持器を挿入し、各断片を把持し、且つ、それらを、バッグ130内に含まれたポートを通して取出すことにより達成され得る。各断片の位置決め及び把持を支援するために、バッグの露出部分を引張ることにより付与された張力が、各断片を一体的に引き寄せるために使用され得るか、または、バッグをキャビティ内に延出させ且つ各断片の移動及び操作のための更なる空間を生成するために、バッグの気体注入が使用され得る。組織の把持を支援するために、ポート開口を維持する方法が必要とされ得る。この拡張は、開創器の如き、現在において入手可能な製品を用いて達成され得る。他の実施例は、検体バッグ内に一体化された特定構造により達成される引戻し方法を使用し得るか、または、別体的な機器であり得る。一体化されたバッグ拡張の選択肢の実施例は、バッグがポート開口を抜け出る直前及び/または直後にバッグを拡張させる手段を含み得る。この一体化拡張は、拡張ワイヤもしくは弾性リングの如き機械的手段により、または、バッグ内の気体注入ポケットにより達成され得る。別体的な引戻し機器に対する実施例は、上記ポート開口を機械的に拡張する半剛性の袖部を含み得る。外側袖部は、該袖部を挿入位置に維持することを支援すべく、粗い表面構造を備え得る。袖部の内側面は、組織断片の摘出を支援するために、潤滑的被覆を含み得る。袖部の機器位置もまた、袖部の外側の末端上のバルーン膨張特定構造であって、膨張されたときに、袖部が離脱することを阻止するという特定構造の如き、他の特定構造の助力を以て維持され得る。別体的な引戻し機器に対する他の実施例は、挿入の容易さのために折り畳まれ得る折り畳み可能リングもしくは渦巻き形状デバイスを含み得る。一旦所定位置となれば、折り畳まれた形状は、解放されて、その弛緩した形態に跳ね戻ることで、ポート開口の本来的なサイズ及び/または形状を拡開させることが許容され得る。これに加え、把持を支援する更に良好な視覚化のために、光源を備えた内視鏡が挿入され得る。アクセス・ポートのサイズに関連する結果的な組織断片のサイズに依存して、トロカールは、組織断片の摘出に先立って取出されることで、大寸断片の摘出を支援し得る。他の実施例は、バッグの内側の裏地に対して一時的に取付けられる非導電性の鋸歯状(フック状)の帯片の付加であり得る。これらの帯片は、組織把持器の代わりに、または、それに加えて使用され得る。組織の断片化が一旦完了したなら、これらの非導電性帯片はバッグ130から順次的に引き戻されて、検体断片の迅速な摘出を支援し得る。代替的に、上記バッグは、回収のための更に小さな領域へと各断片を収集する更に狭幅な端部または底部を有し得る。別実施例においては、一体化されたカメラを備えた把持器が使用されることで、摘出の間においてバッグからの各断片を視認して把持することが支援され得る。他の代替策としては、ユーザが当該機器をバッグ開口に向けて引き寄せるときに組織断片を把持する逆棘またはフックを有する端部を備えた機器、または、バッグ内に載置されると共に空気吸引を用いて各断片を“把持”する吸引デバイスが挙げられる。
【0044】
検体バッグ130の外側における体腔及び隣接する組織構造の熱的保護が行われ得る。組織検体バッグ130は、縮小の前、間、または、後において組織検体150からの熱伝達を減少または排除する一つ以上の特定構造を含み得る。これらの手段は、バッグ130を裏打ちする断熱材料;バッグ130に対して型成形もしくは適用されて、バッグ表面からの組織150の分離を引き起こすという窪みまたはスペーサの如き機械的特定構造;組織が一旦充填されたならば、各層間に適用される正の空気圧もしくは流体により、2つの層間に断熱及び間隔を提供するという、多層バッグ130;組織検体150の回りでバッグ130内を循環される非伝導的な流体もしくは空気;検体バッグ130の回りにおいて体腔内で循環される流体;ベンチュリ効果を引き起こす複数のポートを備えたベンチュリ式冷却システム;熱パイプ;デバイス100が導入される前、または、切断の直前に挿入される手術用タオルもしくは熱保護材料の如き、熱吸収材料を検体バッグ130の回りに付加すること;である。熱伝達を制御する他の手段は、電力の大きさを調節し、または、出力をパルス化して、切断、特に切断のエネルギ維持段階において、切断を実施するために必要な最小量を適用すべくエネルギを制御することである。熱的保護はまた、取手もしくは導入器の末端における如く、ワイヤが組織を抜け出すときに、戻り電極に対しても必要とされ得る。先に言及された如く、各ワイヤ140に対する張力は、隣接構造が遭遇する温度を低下させるべく、ワイヤ140を組織検体内に“埋設”させ得る。機械的力を増大すると、切断に必要な時間及び電力が減少されることで、温度が低下される。
【0045】
熱的保護を提供する他の手段は、バッグ130内の熱電対、サーミスタ、または、熱感応的な内張の如き、熱感応的な特定構造をバッグ130内に取入れて、高温スポットの視覚的表示を提供することである。上記発電器は、これらのセンサからのフィードバックに基づき、出力を調節し得る。温度は、電気的パラメータを監視すると共に、供与されつつあるエネルギを計算し、且つ、結果的な温度を見積もることによっても、推定され得る。所定の時的間隔に対する実際の算出エネルギを、検体に対して供与された典型的なエネルギと比較すべく、既知のスレッショルド値が使用され得る。このことは、組織に対して供与されるRFエネルギを調節することにより出力を制御すべく使用され得る。
【0046】
本明細書中に記述されるデバイス100及び方法は、肺葉切除術、脾臓摘出、腎臓摘出、または、更に最少侵襲的な手法が所望されるという他の処置の如く、大容量の組織検体が摘出されるべきである他の処置において使用され得る。
【0047】
検体がバッグ内に装填された後であって、RFエネルギが印加される前に、検体を各ワイヤに関して固定するために、ワイヤ・アセンブリ140全体を事前張設することが好適である。このワイヤ事前張設はまた、RFエネルギの印加に先立ち、各ワイヤを検体内に埋設することで、意図された検体の外部に対する高温の可能的な拡散を最小限ともする。このワイヤの事前張設は、個別的な機構によ達成され得るか、または、検体切断プロセスの間における機械的張設のために使用される機構と組み合わされ得る。事前張力値は、事前張設機構が取付けられる各ワイヤの最終的な張力値より低く留まる必要がある。理想的な事前張力値は、切断に先立ち各ワイヤを機械的に埋設する範囲であって、RFエネルギからの最適な切断効果(周囲検体に対する低温)を獲得し乍ら、検体を貫通するワイヤ移動の進展をバランスさせるという範囲内に存在する。この事前張力は、各ワイヤに対して40〜100psiの範囲内とされるべきである。この張力範囲は、検体を固定すべく他の手段が使用されるなら、40psiより低くされ得る。
【0048】
幾つかのデバイス形態においては、身体からの摘出に先立ち、必要な検体断片化を達成するために、ワイヤの部分集合の複数回の機械的引張りが必要とされ得る。この引張機構は、異なるワイヤの部分集合に対して取付けられた一つの機構の反復運動であり得るか、または、各ワイヤ部分集合に対して、専用の機械的機構が使用され得る。一実施例においては、これらの部分集合が切断プロセスの間に順次的に引張られ得る如く、ワイヤの部分集合に対して張力を付与すべく、複数の定荷重スプリングが使用され得る。各定荷重スプリングのスプールは、逐次的な順序でRF切断プロセスを起動するために、順次的に通電され得る。
【0049】
上記デバイスは、電気手術用発電器に対して電気的に接続すべく、ケーブルを使用する。該接続体は、標準的な3ピンのモノポーラ有効コネクタ、及び、2ピンのモノポーラ戻りコネクタ、及び、発電器に対する標準的な2ピンの血管シール用コネクタであって、適切なエネルギ供与機能を以て、もしくは、組織摘出システムに対して設計された特製の電気コネクタを以て、血管シールを実現するというコネクタにより構成され得る。上記電気接続体は、ケーブル接続を通して上記管孔の内部に対して電気接続される。そこで上記電気接続体は、次の切断を実施することが意図された一群のワイヤと整列すべく位置を変えるスィッチの共通端子に対して接続され得る。これは、ユーザがカラーもしくは制御器を所望位置へと回転させることにより機械的に達成され得るか、製造プロセスの一部として第1位置へと初期設定され且つ上記デバイス内の引張機構により自動的に前進され得るか、ステップ・モータの如き電気機械的な駆動構成要素を用いて自動的に前進され得るか、論理回路もしくはマイクロプロセッサ制御器により駆動されるトランジスタ、リレー、もしくは、他のスィッチング・デバイスにより接続され得るか、または、力の付与、もしくは、切断を実施する引張機構の前進により選択され得る。この接続体は、上記引張機構の機械的構造(スプリング、ロッドなど)により提供され得ると共に、上記管孔上に配置された“バス”バーの如く作用する別体的な構成要素であって、電気接続を完成すべく上記引張機構上に配置されたワイパを備え、もしくは、上記引張機構に沿って延在するワイヤであって、切断の間に併せて引張られるというワイヤを備えるという別体的な構成要素であり得る。上記デバイスは、与えられた任意の時点において、一群のワイヤのみが通電されることを許容し得る。上記戻り部は、上記バッグ内、上記デバイスの末端、または、他の箇所において、適切な戻り電極に対して接続されると共に、分離及び絶縁材料により絶縁されて、短絡を回避し、もしくは、漏電を減少する。
【0050】
上記有効電極ワイヤは、機械的な側方負荷を提供することで各ワイヤを捕捉する特製のコネクタ;ワイヤ端部に装着されてそれを捕捉するネジを備えた接続体;ワイヤ端部を保持する圧着部であって、上記引張機構の端部に一体化され、または、該引張機構の端部における設計特定構造内に固定もしくは捕捉されたという圧着部;半田または溶接操作;球面または切欠きの如きワイヤ上の固定幾何学形状であって、それを所定位置に繋止する上記引張機構上の協働特定構造内に載置されるという固定幾何学形状の付加;または、上記引張機構内に設計されたクリップであって、それが容易に挿入されるが容易には取り外され得ない様に、上記ワイヤを把持するというクリップ;などの種々の様式で、上記引張機構に対して固定され得る。
【0051】
上記デバイスは、適切な動作を確実とし且つ偶発的なRF熱損傷の可能性を減少するための特徴を含み得る。これらの特徴の内の一つは、上記バッグが展開され、各ワイヤが事前張設され、且つ、バッグの開口が体外露出されて上記管孔の外側面に沿って張設されるまで、各ワイヤ140に対してRFエネルギが印加されることを禁ずることであり得る。このことは、上記引張機構及びバッグ案内ワイヤ内に力センサを一体化して、シーケンスが好首尾に完了された後にRFエネルギを可能とする制御器に対して情報を提供する事前張力を測定することにより、または、先に記述された如き別体的な電気接点を制御するライン内スプリングを以て、達成され得る。それはまた、上記デバイスの管孔に沿って配置された機械的特定構造、及び、引張機構及びバッグ案内ワイヤ上の対応する機械的特定構造であって、これらの機械的特定構造が、各ワイヤ及びバッグが最小から最大までの負荷範囲にて事前張設されたときに、マイクロプロセッサ、FPGA、アナログ制御回路、または、他の同様の制御デバイスなどの機構と整列する如きであるという、機械的特定構造を配備することによっても達成され得る。この整列は、低電圧の照会信号が制御信号として使用されて、RFエネルギが印加されることを可能とし得る如く、電気的結合を生成し得る。別の特徴は、順次的なワイヤ対に対してRFエネルギを印加する所定シーケンスを提供することであり得る。これは、RFエネルギの共通接続部に対して電気的に連結された回転ノブを配備することにより達成され得ると共に、事前設定位置へと回転すると、対応するワイヤ群に対する対応引張機構及び/または電気連結経路に対する接続が構成される。これはまた、上述された如くRF共通接続部を前進させる回転機構により達成され、その場合、RFエネルギ共通部の前進は、該RFエネルギ共通部を次の箇所へと強制移動する行程の基端における引張機構の設計態様における機械的特定構造により実施される。このことはまた、RFエネルギ共通部を次の箇所へと自動的に前進させ得るステッパ・モータの如き電気機械的デバイスによっても達成され得る。別の特徴は、上記デバイスのバッグもしくは管孔において、該デバイスに温度センサを含めることであり得る。これらの温度センサは、サーミスタ、熱電対、または、温度を推定すべく電気信号を使用する他の半導体であり得る。これらのセンサは、当該制御デバイスが、振幅もしくはパルス変調の如きRFエネルギ出力を無効化または制限することで、上記デバイスにおける適切な温度範囲を維持し得る如く、マイクロプロセッサ、FPGA、アナログ制御回路、または、他の同様の制御デバイスの如き、制御機構により測定され得る。それらはまた、温度が所定スレッショルド値を超過したときにRFエネルギを無効化するリセット可能な可融リンクとして作用し得るアナログ回路と共にも使用され得る。別の特徴は、電気連結経路の近傍に在る、定荷重スプリング、引張ロッド、または、コネクタの如き全ての金属部材が、絶縁材料または適用された被覆のいずれかにより電気的に絶縁されることを確実とすることである。これにより、有効な電極ワイヤ群から他のワイヤ群に対する偶発的な電気的結合の可能性が減少される。別の特徴は、RFエネルギ印加に先立ち、及び/または、その間に、断線または短絡のチェックを実施し得る電気回路を配備することである。この検出は、RFエネルギが印加されるべきか終結されるべきかを決定すべく使用され得る電気回路により実施され得る。別の特徴は、電気手術用発電器に対して接続された電気プラグ内に情報を含めることであり得る。この情報は、電力及びモード値を設定すべく使用され得るか、発電器が適切な電力及びモード値に設定されることを確認すべく使用され得るか、または、上記デバイスに関する他の情報を発電器に対して提供し、上記システムの安全性及び有効性を増進する性能値を与えるべく使用され得る。この情報は、プラグの外側部上にラベル表示されるか、プラグに対して取付けられたRFIDラベルにより提供されるか、プラグ内のRFIDチップもしくは電気的メモリ・デバイス(すなわち、EEPROM、フラッシュ・メモリ、マイクロプロセッサ、または、他のメモリ・デバイス)内に記憶され得るか、または、この情報は、上記発電器内で情報を含む所定テーブルに対してインデックスを提供すべく測定され得る抵抗器の如き、受動的構成要素であり得る。
【0052】
幾つかの実施例において、前述の識別の特徴は、同時に切断が意図された各ワイヤ140、または、複数群のワイヤをインタフェースするコネクタに取入れられ得る。これらの特徴によれば、デバイス100は、組織検体の周縁部にて同一の切断効果を実施するための更に低い電力設定を許容する更に短い露出部の如く、組織検体の異なる領域に対して異なる露出部が所望されるならば、電力レベルを調節すること、または、異なるワイヤ長に帰着する異なるバッグサイズ及び形状に対して更に精密に電力を調節することが許容される。
【0053】
次に
図3から
図30に移ると、デバイス100及び種々の実施例を如何に構成して使用するかの詳細が次に記述される。本明細書の目的に対し、特に明記しない限り、“ワイヤ”及び“電極”という語句は、互換的に使用され得る。区別が必要とされる場合、“ワイヤ”は概略的に、電極の導電部分を指すことが意図される。例えば、
図30において、特定構造1400は、電極1400として、または、更に概略的にはワイヤ1400として参照され得る。
図30において、電極またはワイヤ1400は、導電ワイヤ1406を以て図示されている。
【0054】
図3には、患者の体腔1000の内側に展開された、幾つかの実施例に係る回収バッグ302が示される。回収バッグ302は、体腔1000から手術的に摘出されつつある組織検体1002を受容すべく形状化かつ寸法設定される。当業者であれば、摘出されつつある特定の組織検体1002に関して回収バッグ302の適切なサイズを如何に選択するかを理解し得よう。
【0055】
示された実施例において、回収バッグ302は、入口310を備える収容器312と、本開示内容の次続的な部分において更に詳細に記述される様式で該収容器312内に配設された複数の電極308とを有する。収容器312は、撓曲的であると共に、当業界にて公知の如く、カニューレまたは管孔の如き標準的な手術用管体により展開可能であり得る。幾つかの実施例においては、各電極308を収容器312に対して所望形態にて一時的もしくは永続的に締着すべく、単一の締結具314、または、複数の締結具314が配備され得る。
【0056】
回収バッグ302の入口310には、該回収バッグ302の開成を容易とするスプリング付勢リング316が配備され得るが、当業者であれば、このことは本発明を実施する上で必須でないことを理解し得よう。幾つかの実施例において、収容器312及び各締結具314は、展開器具1004による如く、管体により、体腔1000内へと展開されて、所定位置へと弾性移動し得るべく構成される。
【0057】
回収バッグ302が所定位置とされた後、患者からの摘出に先立ち、検体1002を回収バッグ302内へと操作すべく、把持器1006、または、業界公知の任意の手段が配備され得る。当業者であれば、如何にして手術チームが検体1002を緩めて回収バッグ302内へと移動させるかを理解し得よう。
【0058】
次に
図4に移ると、回収バッグ302の基端部分318及び電極308の夫々の基端部分320が、体外露出され、すなわち、医師が、回収バッグ302の基端部分318及び各電極の基端部分320に対してアクセスし得る如く、体腔1000から引き出され得る。
【0059】
幾つかの実施例において、各電極308の基端部分320は、アクチュエータ304に対する取付けを促進すべく事前圧着されるが、当業者であれば、この特徴は必須でないことを理解し得よう。
【0060】
幾つかの実施例において、第1群322の電極308は、基端部分320にて圧着または別様に結合されることで、第1アクチュエータ・ロッド326に対する取付けが促進される。同様に、第2群324の電極308は、基端部分320にて圧着または別様に結合されることで、第2アクチュエータ・ロッド328に対する取付けが促進される。取付けの更なる詳細は、本開示内容の次続的な部分において記述されるが、当業者であれば、電極308をアクチュエータ304に対して取付ける任意数の手段を容易に想起し得るものであり、その全てが企図される。
【0061】
幾つかの実施例において、且つ、
図5に示された如く、組織断片化操作を開始及び/または維持するために、各電極308に対しては基端側力Fが付与され得る。当業者であれば、アクチュエータ304及び回収バッグ302を安定的位置に維持するためには、逆向きの力が必要であることを理解し得よう。
【0062】
幾つかの実施例において、検体1002及び電極308を収容する回収バッグ302の部分は、体腔1000の内壁部1001に接触しないように構成される。幾つかの実施例においては、電極140、308が検体1002を貫通して引張られている間に該検体1002が当接し得る末端挿入管538(例えば
図11を参照)が配備される。幾つかの実施例においては、体腔1000に対する一切の接触による熱損傷が阻止される様に、回収バッグ302の壁部内、または、回収バッグ302の外側表面上には、(不図示の)付加的な熱バリヤが配備される。該熱バリヤは、熱絶縁層1304、または、空気もしくは流体により膨張され得る特定構造を含み得る(例えば
図26を参照)。幾つかの実施例において、医師は腹腔鏡カメラを使用し、内部体腔1000との接触が為されていないことを視覚的に確実とし得る。
【0063】
次に
図5に移ると、幾つかの実施例において、回収バッグ302の体外露出の後、各電極308の基端部分320に対しては、アクチュエータ304が結合され得る。当業者により理解され得る如く、アクチュエータ304に対しては、高周波(RF)電源の如き発電器306が結合され得ると共に、既に配備されているのでなければ、回収バッグ302に対しては戻り電極330が結合され得る。
図5において組織摘出デバイス300は、組織断片化に対する準備完了状態で示される。
【0064】
次に
図6に移ると、組織摘出デバイスの実施例400が次に詳細に記述される。
図6から
図8に示された如く、組織摘出デバイス400は、体腔1000内への挿入、及び/または、当該回収バッグ402の内側への検体1002の載置に先立ち、相互に結合もしくは組立てられる回収バッグ402及びアクチュエータ404を含んでいる。例えば、組織摘出デバイス400は、回収バッグ402及び単一もしくは複数の電極408が検体1002に対する受容空間434を提供する如く、体腔1000の内側における展開時に拡開すべく付勢され、または、例えば把持器1006により強制的に拡開されたときに拡開したままであるという回収バッグ402、及び、単一の電極408または複数の電極408を有し得る。回収バッグ402は、検体1002の横方向移動により該検体1002を回収バッグ402の内側へと載置し得る様に、示された如く概略的に該回収バッグ402の側部とされる入口410を有し得る。幾つかの実施例において、入口410は、上記回収バッグにおける長手方向スリットであって、電極408の付勢効果により引張られて開かれ得、ユーザが各電極408を離間形態へと付勢したときに強制的に開かれ、及び/または、ユーザが検体1002を入口410内に押し入れるという長手方向スリットであり得る。入口410は閉じ形態へと付勢され得、且つ/又は、入口410は、当業者に公知の手段を用いてシール可能であり得る。幾つかの実施例において、アクチュエータ404を起動すると、各電極408は相互に向けて移動されることで入口410をシールし、且つ/又は、入口410の対向部分同士を重なり合わせて、検体1002と体腔1000との間のバリヤを達成し得る。幾つかの実施例において、各電極408により検体1002に対して基端側力Fを付与させると、回収バッグ402及び入口410はアクチュエータ404内に引き寄せられて、入口410の閉成、または、検体1002と体腔1002との間のバリヤを達成し得る。幾つかの実施例において、アクチュエータ404は、体腔1000内への展開に先立ち、回収バッグ402に対して取付けられる。
【0065】
図7に移ると、回収バッグ402の入口410は、アクチュエータ404が電極408に対して基端側力Fを付与するにつれて体外露出され得る。基端側力Fはまた、実質的に同時に、回収バッグ402及び各電極408を接触させ、もしくは、内方に移動させて検体1002を囲繞して、該検体1002の所望の囲繞、及び/または、検体1002に対する所望の電極形態もしくはパターンを達成する。幾つかの実施例においては、各電極408の引戻しと、組織検体1002に対する基端側力Fとを達成するために、スィッチもしくはレバーの操作の如き機械的操作が実施され得る。
【0066】
幾つかの実施例において、且つ、
図8に示された如く、回収バッグ402が体外露出された後、各電極408に対してエネルギが印加されることを許容すべく、アクチュエータ404に対しては発電器406が取付けられ得る。発電器406を取付ける段階は、当業者に公知の様式で電源ライン432及び戻り電極430を結合する段階を含み得る。
【0067】
次に
図9及び
図10に移ると、幾つかの実施例に係る代表的なアクチュエータ504の詳細が、次に更に詳細に記述される。示された如く、アクチュエータ504は、一つ以上の引張アセンブリ508、510を支持するハウジング506を有し得る。該ハウジング506は、ユーザがアクチュエータ504の位置を制御することを支援する取手507を有し得る。取手507は、ハウジング506の残部に対して実質的に直交して図示されるが、当業者であれば、取手507は適切な任意の関係で配備され得ること、及び、取手507はアクチュエータ504が機能するために必須ではないことを理解し得よう。
【0068】
図10に示された如く、第1引張アセンブリ508は、第1電極542、または、第1群の圧着電極542によるなどして、断片化処置に先立ち、及び/または、その間に、検体に対して第1力F1を付与すべく構成され得る。第2引張アセンブリ510は、第2電極544、または、圧着された第2群の電極544によるなどして、断片化処置に先立ち、及び/または、その間に、検体に対して第2力F2を付与すべく構成され得る。第1力F1は、第2力F2の付与を開始に先立って付与もしくは開始され得る。第1力F1は、第2力F2の付与を開始するに先立ち、完了され得る。第1力F1は、第2力F2の付与の少なくとも一部分にわたり、継続し得る。第1力F1及び第2力F2の大きさは、本開示内容の他の項において論じられる様式で制御かつ変更され得る。すなわち、力F1、F2は、断片化処置の間において変化し得る検体1002に対する基端側力をもたらし得る。
【0069】
第1引張アセンブリ508は、第1のスプリング−コネクタ・ロッド・ブロック520により第1コネクタ・ロッド516に対して結合された第1スプリング512を含み得る。幾つかの実施例において、第1スプリング512(及び/または第2スプリング514)は、線形スプリングであり得る。第1コネクタ・ロッド516は、第1電極542、または、第1群の圧着電極544に対して結合され、または、結合されるべく構成され得る(
図4、
図7も参照)。同様に、第2引張アセンブリ510は、第2のスプリング−コネクタ・ロッド・ブロック522により第2コネクタ・ロッド518に対して結合された第2スプリング514を含み得る。第2コネクタ・ロッド518は、第2電極544に対し、または、圧着された第2群の電極544に対して結合され、または、結合されるべく構成され得る。
【0070】
図9及び
図10を参照し続けると、アクチュエータ504は、断片化処置に先立ちスプリング512、514を事前張設して維持すべく、スプリング・ホルダもしくはスプリング事前張設ラッチ524を含み得る。
【0071】
アクチュエータ504はまた、該アクチュエータ504を、
図5及び
図8に示された発電器306、406の如き電源に対して結合するために、電力ケーブル526もしくは電力ケーブル・コネクタ、及び、戻りコネクタ528も含み得る。戻りコネクタ528は、
図8に示された如く、上記アクチュエータを通る電気的戻り経路を許容すべく配備され得るか、または、
図5に示された如く、戻り経路はアクチュエータ504から独立して配備され得る。
【0072】
図9及び
図10を参照し続けると、第1または第2の電極群322、324がアクチュエータ504により起動されるために、それらの内の一つ以上の群を選択または投入すべく、電力トグル530が配備され得る一方、電極542、544に対してエネルギを付与する時点をユーザが決定することを許容すべく、電力起動ボタン532が配備され得る。幾つかの実施例において、電力は、電力細片534を経由して電極542、544に付与され得る。幾つかの実施例において、電力細片534は、第1及び第2の引張アセンブリ508、510の各構成要素間に分離壁部を提供するために、ハウジング506内で固定かつ絶縁され得る。幾つかの実施例において、電力細片534は、スプリング分離壁535(例えば
図11を参照)と整列され、または、それに対して取付けられ得る。幾つかの実施例において、電力は、例えば、スプリング・コイルの近傍にて、上記デバイスの基端にて、アクチュエータ・ハウジング506の壁部上に配置されたスプリング接点により、スプリング512に対して付与され得る。幾つかの実施例において、上記スプリング接点は、上記スプリングを捕捉すべく使用されるスプリング・ハウジング設計物に対して一体化され得る。幾つかの実施例において、電力は、切断プロセスの間においてデバイス504内に移動可能に延出し得る可撓ケーブルまたは一群のワイヤを用いて、電極542、544に対して付与され得る。これにより、電力付与は、切断のための機械的な起動構成要素から切り離され得る。
【0073】
次に
図11から
図13に移ると、アクチュエータ504の幾つかの実施例の電気的な詳細が、次に更に記述される。示された如く、事前張設ラッチ524が配備され得る。この事前張設ラッチ524は、張設スプリング512、514を伸張位置に維持する。事前張設ラッチ524を押し込むと、事前張設固定器が解除されると共に、全ての張設スプリング512、514が引戻され、且つ、検体1002が組織摘出デバイス300、400の末端に対して緊密に当接されるべく引張られ、または、別様に収容されることが許容される。当業者であれば、限定的なものとしてで無く、起動されたときに断片化用アクチュエータを、断片化されるべき検体から離間して引戻すことで検体を事前張設する別体的な事前張設機構などの、事前張設のための多数の手段が配備され得ると共に、その全てが本開示内容において企図されることを理解し得よう。幾つかの実施例において、スプリング512、514は、検体1002を事前張設する機構の役割を果たす。スプリング512、514は、それらの夫々の取付け箇所にて巻き上げられるか、または、電極542、544がそれらの引戻しのために踏破する必要がある経路長または経路を増大し得る。幾つかの実施例において、組織摘出デバイス300、400の一部は、使い捨て可能である。幾つかの実施例において、アクチュエータ304、404、504は使い捨て可能である。幾つかの実施例において、アクチュエータ304、404、504は再使用可能である。再使用可能なアクチュエータ304、404、504の場合、ユーザは、事前張設ラッチ524を使用し乍らスプリング512、514を再展開することで、最初に行われた伸張位置を維持する。
【0074】
特に
図12及び
図13を参照し、第1引張アセンブリ508が詳細に記述される。先に記述された如く、第1引張アセンブリ508は、例示的にのみ、スプリング−コネクタ・ロッド・ブロック520によるなどして、第1コネクタ・ロッド516に結合された第1スプリング512を有し得る。ブロック520は、第1コネクタ・ロッド516を第1スプリング512に対して取付けるなどにより、第1電極542または第1電極群を第1スプリング512に対して結合する手段を提供し得る。ブロック520、または、該ブロック520の一部は、第1コネクタ・ロッド516を取付けると、第1電極542、コネクタ・ロッド516及びスプリング512間の電気的結合が提供され得る様に、導電材料を含み得る。幾つかの実施例において、ブロック520は、コネクタ・ロッド516及びスプリング512を分離すべく電気絶縁材料を含み得る。幾つかの実施例においては、RFエネルギの如きエネルギがコネクタ・ロッド516を通して検体1002に対して付与されることを許容すべく、電力接点536が、ブロック520により提供され、または、それに対して結合され得る。該電力接点536は、第1スプリング512から電気的に絶縁され得る。幾つかの実施例において、RFエネルギはスプリング512に対して直接的もしくは間接的に付与され、スプリング512からブロック520及びコネクタ・ロッド516を通り、ワイヤもしくは電極104、308及び検体1002に至る電気接続に帰着し得る。
【0075】
図11を参照し続けると、アクチュエータ504が腹腔鏡開口に挿入されることを許容すべく末端挿入管538が配備され得ると共に、該管538の長さは、該管538が完全に患者の体内に挿入されると、検体1002及び電極308またはワイヤ140は、腹部または胸部の壁部であり得る体腔1000の内部との接触から外れたままである如きである。挿入管538の末端は丸み付けられ、且つ/又は、該末端は、該挿入管538と検体1002との間における電極308、140の通過を促進する潤滑材料を含み得る。幾つかの実施例において、挿入管538の末端は、開口を有するか、または、ワイヤ移動を促進する弾性材料で構成され得る。適切な機器挿入長は、上記末端挿入管に近接する機器サイズにより決定され得る。末端挿入管538はまた、例えば、アクチュエータ504の近傍の基端上の膨張可能な特定構造であって、検体1002と内側体腔壁1001との間に着座して、ワイヤ140の引戻しの間に各ワイヤまたは各電極が患者の身体に接触することを更に阻止するという膨張可能な特定構造も有し得る。幾つかの実施例においては、体腔1000に対する一切の接触による熱損傷が阻止される様に、回収バッグ302の壁部内、または、回収バッグ302の外側表面上には、(不図示の)付加的な熱バリヤが配備される。該熱バリヤは、熱絶縁層1304、または、空気もしくは流体により膨張され得る特定構造を含み得る(例えば
図26を参照)。幾つかの実施例において、医師は腹腔鏡カメラを使用し、内部体腔1000との接触が為されていないことを視覚的に確実とし得る。
【0076】
図12及び
図13を参照し続けると、図示された如く、コネクタ・ロッド516の末端にてユーザが電極542、544の接続を行う必要があるという実施例に対しては、電極542、または、第1群の圧着電極の圧着スリーブ540を受容すべく、受容スペースもしくはスロット538が配備され得る。スロット538は、フランジにより形状化されることで、第1スプリング512が第1力F1を、第1電極542、または、第1群の圧着電極に付与することを可能とし得る。当業者であれば、各図から、第2引張アセンブリ510は、該第2引張アセンブリ510が第2力F2を付与することを可能とする同一もしくは同様の構成要素を含み得ることを理解し得よう。
【0077】
本開示内容においては、電極140、308をアクチュエータ504に対して接続する圧着以外の手段が企図される。一例は、電極308を、アクチュエータ504における対応コネクタと合致係合し、または、合致係合すべく構成された単一ピンまたは複数内コネクタへと終結させることである。別の例は、上記コネクタ・ロッドの特定構造内へと載置されて、張力下で、上記コネクタ・ロッドに対して結合された各電極308を維持するフックを使用することである。別の例は、各電極端部を、個別的に、または、一体的にグループ化して、上記コネクタ・ロッドの内部のスプリングまたは枢着特定構造を貫通させることであり、このスプリングまたは枢着特定構造は、各電極308の側部を把持すると共に、摘出力が付与されたときに、それを確実に保持する。
【0078】
次に
図14から
図16に移ると、代表的な電極配置が次に詳細に記述される。示された如く、回収バッグ602は、入口614を有する収容器612と、それに対して組み付けられた複数の電極とを備え得るものであり;此処では、検体1002を約9個の断片へと断片化するために、第1、第2、第3及び第4の電極604、606、608、610が配備され得るが、更に多いまたは更に少ない電極が配備され得ること、及び、4個の電極が配備された場合でも、検体1002は、各断片の結果的な形状及び量に影響し得ることは理解される。戻りパッチの如き戻り部616、及び、戻りケーブル618は、当業者により理解される様式で配備され得る。
【0079】
幾つかの実施例において、回収バッグ602は、プラスチック、ポリビニル、ナイロン、ポリウレタン、または、生体患者において使用されるに適した他の任意の生体適合性の絶縁材料で作成された収容器612の如き、外側または第1の層を有し得る。収容器612に対しては、または、第2層として、戻り部616が結合され得る。戻り部616は、銅の箔体もしくはメッシュであり得るか、または、患者からのエネルギを伝達する戻りケーブル618に対して結合されると共に、生体患者において使用されるに適した他の任意の高伝導材料であり得る。収容器612の内側であると示されているが、戻りケーブル618は、収容器入口614の末端である収容器612の各層内であるか、または、検体の装填の間に該戻りケーブル618を邪魔にならない所に保持すべく部分的に収容器612の外側部上に着座する如く、エネルギの効率的で安全な伝達に適した任意の適切な様式で戻り部616に対して結合され得る。戻りケーブル618は戻り部616に対し、戻りケーブル618を戻り部616に対して半田付けすることにより、バッグ602の製造の間に戻りケーブル618及び戻り部616を相互に積層することにより付与される機械的接触により、導電性のエポキシもしくは同様の材料を用いて戻りケーブル618を戻り部616に対して接着することにより、且つ/又は、単一の連続的な箔体もしくはメッシュから戻り部616及び戻りケーブル618を形成することにより、取付けられ得る。
【0080】
図15を参照し続けると、戻り部616の内部にて、または、第3層として、電極604、606、608、610と戻り部612との間のバリア620の如き、保護絶縁材料が在り得る。当業者であれば、検体の断片化が行われるためには、検体1002が戻り部612及び電極604、606、608、610の両方に接触すべきこと、及び、戻り部612は電極604、606、608、610に対して直接的に接触し得ないことを理解し得よう。故にバリア620は、戻り部612と電極604、606、608、610との間の絶縁層であり、且つ、絶縁効果を提供するに適した任意の材料で作成され得る。
【0081】
当業者であれば、バッグ構成の層の数は、上述の各構成要素が当該層または収容器312の内側表面に取付けられて、1層、2層もしくは3層もの少なさとされ得るか、または、実施例に依存して3層より多くされ得ること、及び、
図14から
図16に示された回収バッグ602の各構成要素は、体腔1000内での拡開に先立ち挿入ツール内で圧縮されるべく寸法設定され且つ適切に撓曲的であるべきことも理解し得よう。
【0082】
図16を参照し続けると、回収バッグ602は、入口614を備えた収容器612を含み得、該入口は、体腔1000内への展開時に開くべく付勢されるか、または、開放形態へと膨張することで検体1002が回収バッグ602内に載置されることを許容し得る。各電極はまた相互に圧着されて、第1及び第2の電極604、606を有する第1電極群622、及び、第3及び第4の電極608、610を有する第2電極群624とされ得る。第1及び第2の電極群622、624は、本明細書において前述された如く、夫々、引張アセンブリ508、510に対して結合され得る。
【0083】
電極604、606、608、610は、基端側力F、F1、F2を付与すると、該電極604、606、608、610が収容器612から離脱され得る如く、収容器612に対して一時的に取付けられ得る。取付けのための手段としては、限定的なものとしてで無く、熱固定、縫い付け、糊接着剤、または、他の締着手段が挙げられる。
【0084】
図15及び
図16を同時に参照すると、電極604、606、608、610は、第1電極群622、604、606が起動されて第1断片化操作を行い得る一方、第2電極群624、608、610が起動されて第2断片化操作を行い得る如く、位置決めもしくは構成され得る。幾つかの実施例において、第1断片化操作は、第2断片化操作の始動に先立って完了され得る。幾つかの実施例において、第2断片化操作は、第1断片化操作の完了に先立って開始される。幾つかの実施例において、第2断片化操作は、第1断片化操作と実質的に同時的に開始される。
【0085】
幾つかの実施例においては、第2電極に対するエネルギの尚早な伝達を阻止すべく、且つ/又は、各電極604、606、608、610に対する設定電力密度を維持すべく、第1及び第2の電極604、606、608、610の間には(不図示の)絶縁層が配備される。該絶縁層は、付加的な低温用の一時的被覆、付加的な鋸歯状のバッグ特定構造、または、他の種々の方法を含み得る。電極604、606、608、610を電気的に絶縁することに加え、上記絶縁体は、電極破壊の可能性を低減する機械的バリヤも提供する。
【0086】
次に
図17から
図19に移ると、回収バッグの別実施例702が次に詳細に記述される。検体1002を回収バッグ702の内側に載置するに先立ち、電極604、606、608、610を一時的に保持するために、一つ以上の締結具730、732、734が配備され得る。締結具730、732、734は一時的であると共に、該締結具は、電極604、606、608、610を所定位置に保持する鋸歯状または裂開スリーブを含んでいる。幾つかの実施例において、且つ、
図18に示された如く、第1群の一時的締結具730は、断片化操作に先立ち、複数の電極604、606、608、610を戻り部616に対してパターン化構成で結合することで、適切な電極間隔を維持し、且つ、電極604、606、608、610が戻り部616に対して接触及び/または短絡しないことを確実とし得る。
【0087】
図19に示された如く、幾つかの実施例において、第2群の一時的締結具732は、複数の電極604、606、608、610を収集前形態に保持し得、その場合、該収集前形態は、検体に対する開放受容スペース736を提供する電極604、606、608、610の配置構成を有している。第3群の一時的締結具であり得る別の群の締結具724は、一つ以上の電極群622、624の圧着端部740であり得る各端部を、バッグ入口614の近傍に対して一時的または永続的に結合し得る。
【0088】
幾つかの実施例において、第1群の一時的締結具730は、収容器612から第2群の一時的締結具732を引き戻すために必要とされる引張力とは異なる、収容器612から分離するための引張力を必要とすべく選択される。幾つかの例において、第2群の一時的締結具732は、医師が断片化処置の開始の準備ができる前に、電極604、606、608、610が第1群の一時的締結具730を裂断しもしくはそれから離脱せずに、検体1002が回収バッグ702内に収集された後、電極604、606、608、610が検体1002に対して動き回り得る如く、回収バッグ702の側部に対して比較的に緩い取付けを提供し得る。幾つかの実施例において、第3群の締結具734は、一時的であり得、且つ/又は、第1及び第2の群の一時的締結具730、732に必要な離脱力よりも大きい離脱力を必要とし得る。各締結具734は、検体の装填の間において、電極端部、圧着部または他のコネクタを、邪魔にならない所に、且つ、入口614の近傍に保持し得る。これによりユーザは、入口614が体外露出された後、患者の体外から、各電極にアクセスしてアクチュエータ504に対して接続することが許容される。
【0089】
戻り部616は回収バッグ702の底部部分にて図示されているが、当業者であれば、戻り部616が検体1002と接触され且つ電極604、606、608、610の露出部と接触されない限りにおいて、戻り部616は、回収バッグ702の他の適切な領域に載置され得ることを理解し得ることを銘記すべきである。回収バッグ702は、記述された如き他の特定構造を有すると共に、先に且つ引き続き記述される回収バッグ602の他の実施例に関して図示されることも理解すべきである。
【0090】
次に
図20及び
図21に移ると、回収バッグ802は、接着剤を備える第1群の一時的締結具830、及び/または、接着剤を備える第2群の一時的締結具832を有することで、電極604、606、608、610を、断片化操作に先立ち、収集前形態、及び/または、戻り部616に対するパターン化形態で維持し得る。第2群の一時的締結具832の個別的または組み合わされた接着剤効果は、第1群の一時的締結具830の個別的または組み合わされた接着剤効果とは異なり得る。第3群の締結具834は、同様に、一時的であり、且つ/又は、接着剤を備え得る。
【0091】
幾つかの実施例において、収容器312、612、1312は、検体1002が、予測可能な切断を促進する様式で配向され、且つ、戻り部616と接触することを確実とすべくし形状化される。幾つかの実施例において、収容器312、612、1312の底部は、検体1002が各電極308の配置物に当接して着座し得る様に、概略的に平坦であり得る。上記収容器はまた、検体の更に容易な装填を可能とすべく僅かに大寸の口部または入口310、614も有し得る。幾つかの実施例において、上記収容器は、テーパ付けされた断面積を以て長寸かつ狭幅であり得、すなわち、上記入口は、収容器の末端部分または閉じ部分よりも広幅であり得る。結腸の如き更に長寸の検体に対しては、比較的に長寸で狭幅の収容器が更に適切であり得、その場合、検体の丈に沿って断片化することが有用であり得る。この場合、バッグを概略的に把持もしくは圧縮する特定構造が付加されることで、組織検体をその丈に沿って保持し得る。
【0092】
次に
図22から
図25を参照すると、本明細書においては、4本の電極604、606、608、610が概略的に図示されてきたが、検体1002の所望の断片化を実現するために任意数の電極が配備され得ることを理解すべきである。例えば、
図22及び
図23に示された如く、8本の電極904、906、908、910、912、914、916、918が配備され得る。幾つかの実施例においては、4つの電極群920、922、924、926が配備され得る。
【0093】
図23に示された如く、幾つかの実施例においては、第1平面A及び/または第2平面Bにおいて、検体1002から単一もしくは複数の周縁領域を断片化すべく第1電極群920が配備かつ構成され得る。第2電極群922は、第3及び/または第4の平面C、Dにおいて、検体1002から単一もしくは複数の中央領域を断片化し得る。第3電極群924は、第5及び/または第6の平面E、Fにおいて検体1002から中央領域1002cを断片化し得ると共に、第4電極群926は、第7及び/または第8の平面G、Hにおいて上記検体から単一もしくは複数の周縁領域1002dを断片化し得る。幾つかの平面A、B、C、Dは、他方の平面E、F、G、Hに対して直交し、または、横断的であり得る。幾つかの実施例においては、中央切断に先立ち、周縁切断が為される一方、幾つかの実施例においては、周縁切断に先立ち、中央切断が為される。
図23に示された如く、平面A及びBにおける切断は、平面C及びDにおける切断に先立ち為される一方、平面E及びFにおける切断は、平面G及びHに先立ち為される。当業者であれば、上記組織摘出デバイスは、可能的である最も清浄な切断、及び/または、他の組織の汚染、もしくは、先行する組織疾患あるいは損傷の徴侯の破壊に対して最も少ない可能性に帰着する断片化段階の順序を提供すべく構成され得ることを理解し得よう。これらの段階は、組織に最も近いワイヤ群が最初に起動されることで、全てのワイヤ群が起動されるまで、次に近い群が起動され、以下同様であることを許容することを確実とすべく、製造の利便性に対して構成され得る。幾つかの実施例において、上記順序は、各切断の信頼性を確実とすべく選択され得る。幾つかの実施例において、組織検体がその最も堅固な構造的形態に在る間に、先ず周縁切断が為される一方、中央切断は追随する。但し、幾つかの実施例において、特定の用途、及び、当面の検体に依存して、中央切断は周縁切断に先立って行われ得る。
【0094】
次に
図24及び
図25を参照すると、電極604、606、608、610、612は、組織1002を所望される任意の順序または形状で断片化すべく配置され得ることを理解すべきであり;示された如く、6本の電極604、606、608、610、612が配備かつ位置決めされることで、検体の12個の断片に帰着し得る。各電極は、断片化の中央軸心Aと交錯し且つその回りに旋回される平面に沿って、検体を断片化すべく位置決めされ得る。
【0095】
次に
図26に移ると、幾つかの実施例において、回収バッグ1302は、本開示内容において先に記述かつ図示された特定構造の任意のものまたは全て、及び、付加的に、入口1314を有する収容器層1312に対して結合され、もしくは、その一部である、熱絶縁層1304を含み得る。該断熱層1304は、収容器1312の残部と同一のもしくは異なる材料で作成され得る。幾つかの実施例において、断熱層1304は、流体充填及び/または気体充填されたポケットを含むことで、断片化処置の間において、患者の組織、または、体腔1000の他の領域を熱損傷から絶縁する。幾つかの実施例において、断熱層1304は、回収バッグ1302が体腔1000内で展開された後に、該断熱層1304を膨張もしくは充填する充填機構1316を含み得る。幾つかの実施例において、充填機構1316は、断熱層1304を通して気体または流体を循環させ、且つ/又は、断片化処置が完了した後に断熱層1304を収縮させる、バルブもしくはポンプの如き循環機構1318を含んでいる。上記絶縁層には一つ以上のセンサ1320が配備されることで、断熱層1304の温度、及び/または、断熱層1304の内側の流体もしくは気体の圧力を検出し得、それらは、回収バッグ1302に対する適切な展開及び/または損傷の表示を提供し得る。
【0096】
図27から
図27Bに移ると、組織断片化を始動する幾つかのモードが次に記述される。
図27に示された如く、幾つかの場合、電力ライン332により発電器306に対して結合された電極308またはワイヤ140は、電極308と組織検体1002との間の空気間隙を以て、検体1002の近傍に載置され得る。検体1002は、近傍に取付けられるが電極308には接触しないという戻り部330を有し得る。電極308と検体1002との間の空気間隙は、電極308に対して十分な電圧が印加されたとき、スパーク発生またはアーク発生により、組織断片化の始動を許容する。
【0097】
簡単に
図28C及び
図30に移ると、有効電極の詳細が次に記述される。有効電極308は、RF電流を担持し得る金属または他の材料を含み得る導電ワイヤ140を含み得る。RF電力の印加の間、導電ワイヤ140は、上記発電器により付与されたRF電圧を導通する。本開示内容の目的に対し、露出領域315は、組織と接触して電気手術効果を生成し得る有効電極308の総面積である。
図28Cにおける例を参照すると、非絶縁の導電ワイヤ140に対し、露出領域315は、ワイヤの負荷担持部分305と事実上同一である。この露出領域315内には、ワイヤと組織との間でRF電流が導通するワイヤの総面積である有効電極表面領域317が在る。当業者であれば、有効電極表面領域317は、ワイヤ及び組織の界面のインピーダンス変動の如きRF特性の故に、露出領域315とは異なり、典型的にはそれよりも小寸であり得ることを理解し得よう。これに加え、RF切断が進行中であるとき、有効電極表面領域317は、アーク発生の局所化された領域、組織を通るワイヤ140の移動、及び、断片化の完了時における検体1002からのワイヤ140の次続的な退出に起因して、変化する。
【0098】
ワイヤ308に対しては高インピーダンス被覆309が適用されることで、剥き出しの導電ワイヤ140のインピーダンスよりも大きなインピーダンスが提供され得ることから、RF発電器により観測されるインピーダンスは、有効電極表面領域317に対し、且つ、有効電極−組織の界面を踏破して高電圧を供与するに十分なほど大きい。この高インピーダンスは、限定的なものとしてで無く、ワイヤ140のサイズ、組織の特性、被覆の材料、被覆の厚み、被覆の均一さ、及び、組織検体に当接させてワイヤ140に対してシステムにより付与される機械的力などの多くの特性に依存すると共に、始動機能を支援すべく、発電器により観測される100オームより大きくあり得る。この被覆を適用すると、露出領域315には影響しないが、有効電極表面領域317には影響する、と言うのも、電流は、露出領域315内の更に低いインピーダンスの領域に(例えば空隙を通して)選好的に導通するからである。幾つかの実施例において、第1厚みを有する高インピーダンス被覆の更に薄寸の領域は、事前選択された電圧を有する電力が上記導電ワイヤに対して印加されたときに、上記第1厚みを踏破して電流が導通することを許容すべく構成される。
【0099】
幾つかの実施例において、且つ、
図27Aに示された如く、電極308が検体10002と直接接触して載置されたとき、印加された電圧が電極308と検体1002との間で十分に高くなければ、切断を実施するに十分なアークは開始されない。電力、電流及び電圧の関係の故に、適切な電圧レベルは、露出領域315、及び/または、有効電極表面領域317、もしくは、組織界面領域を制限することにより、達成され得る。例えば、電極308に対しては、小寸空隙311、微小空隙、及び/または、更に薄寸の断面積を有する高インピーダンス被覆309であって、更に低い絶縁強度を有するか、または、各領域における低電圧にて取り除かれ、熱的に溶解され、または、別様に除去され得るという高インピーダンス被覆309が適用され得る。高インピーダンス被覆309は、有効電極表面領域317を、または、RF電力印加に晒される露出領域315内の組織接触の領域を増大すべく、一群の条件を満足する電力の印加により“劣化”すべく構成され得る。本明細書の目的に対し、“劣化”という語句は、腐食により摩滅すること、破壊されること、溶融離脱すること、破断すること、(負の温度係数材料の如く)電気特性が変化すること、または、化学反応により分解することを含め、絶縁強度、厚み、表面領域の包含範囲または量、接着の強さ、または、強度における減少を意味すると理解されるものとする。始動のために適切な電圧を提供する別の手段は、例えば、組織を通してRF電流を供与して、局所的な乾燥、組織タンパク質の蓄積、または、電極表面における焼痂に帰着することにより、または、空気間隙もしくは蒸気の生成により、電極−組織間の界面の局所的インピーダンスを増大することである。
【0100】
図27Bに示された如く、有効電極表面領域317、または、電気的伝達のための有効接触領域は、連続的なもしくは破断されたストライプ313の如き所望パターンで被覆309を除去及び/または薄寸化して、始動またはアーク発生が生じ得るストライプを生成することにより、露出領域315内で減少され得る。先に記述された如く、切断性能を提供するために、2つのメカニズムが同時に生ずる。RFエネルギは、有効電極308の近傍にて組織細胞の気化を引き起こすと共に、機械的荷重Fは、組織構造を分離する。RFエネルギにより提供される電流は、気化を実施すると共に電流密度に関連する一方、電力は、切断の存続時間に対してアーク発生を維持するに必要なエネルギを提供し、且つ、電力密度により測定され得る。本明細書の目的に対し、電力密度は、発電器により供与される合計電力を、露出領域315で除算した商である。有効電極の接触領域が減少されるにつれ、結果的な電流及び電力は増大され、優れた組織気化に帰着する。
【0101】
次に
図28から
図28Cを参照すると、始動アーク発生が一旦生じて、適切な電流及び電力密度と組み合わせて基端側力Fの如き十分な機械的負荷が付与されたなら、検体1002は、迅速に、比較的に低い温度にて断片化され得る。
図28Aに示された如く、幾つかの実施例において、組織摘出デバイス100、200、300、400は、各電極140、308に対して適用される負荷であって、約275kPa(すなわち、約40psi)より大きいという負荷に帰着する基端側力Fを付与すべく構成され得る。電極308により付与される総負荷307は概略的に、力Fを、ワイヤの負荷担持部分305により、または、圧力の方向に直交する平面上におけるそれの投影の面積により、除算することにより見積もられ得る。これは、レーベ及びビーヴィスの“機械設計”、1908年(Lowe and Bevis, Machine Design, 1908)により、“投影面積”とも称され、言及したことによりその内容は本明細書中に援用される。図示された例、すなわち円形の電極308においては、ワイヤ切断の平面内において、電極の直径Dと、組織検体1002の投影幅とを乗算した積が、負荷担持または投影面積である。
【0102】
図28Bを参照すると、組織摘出デバイス100、200、300、400は、約168ワット/cm
2(すなわち、約1088ワット/in
2)より大きい電力密度を印加すべく構成され得る。印加される電力密度は、印加された電力(ワット単位)と、検体1002に接触する電極140、308の表面積とにより決定または確認される。円形の電極308の場合、電力密度は、πと、電極の直径と、検体と接触する電極の長さとを乗算した積(すなわち、πDL)である。
【0103】
図28A及び
図28Bの考察から理解され得る如く、検体1002と接触する電極140、308の長さは、切断の方向に直交して組織に対して力を付与する電極308の長さと、必ずしも同一ではないが、この相違は、検体1002の形状、及び、電極308の設計態様に依存して、幾つかの場合には、無視可能であり得る。
【0104】
幾つかの実施例において、検体1002が断片化されて、該検体1002と単一もしくは複数の電極308との間における更に少ない接触量に帰着するにつれ、組織摘出デバイス100、200、300、400は、適用される基端側力F及び/または電力レベルを減少して、清浄で、過剰な加熱の無い効率的な切断を維持すべく構成され得る。幾つかの実施例において、第1及び/または第2のスプリング512、514は、検体1002が完全断片化状態に近づくにつれて基端側力Fを減少するために、アクチュエータ504が完全引戻し状態に接近するにつれて、減少された基端側力Fを付与すべく構成され得る。幾つかの実施例においては、フィードバック・システムが配備され得、その場合、発電器306は、検体1002が完全断片化状態に近付いていることを決定する役割を果たす。幾つかの実施例において、電力は、切断が実施されつつあるときに調節され得る。ワイヤが、切断の完了の付近で検体を退出するとき、上記露出部と接触する組織表面領域は、検体及びループ電極140、308の幾何学形状の故に、減少し始める。面積におけるこの減少は、面積当たりの機械的負荷、ならびに、電力密度を増大させる。この効果は、設定が維持されるならば、増大された電力密度を提供すると共に、一定の負荷が付与されると、切断の完了時に加速効果を実現し得る。ワイヤもしくはワイヤ群に対して供与される電力を調節すると、この効果が補償され、完了時において更に一貫した切断が提供され得る。幾つかの実施例において、組織インピーダンスの傾向は、上記管孔内を上記引張アセンブリが前進するにつれて、それの箇所を特定するセンサにより監視される。
【0105】
次に
図29に移り、電極308の別の構成が記述される。示された如く、単一もしくは複数の電極308の基端部分320は、絶縁部分319であり得る。非有効的な電気手術領域は、更に厚寸の被覆309、露出領域及び/または有効電極表面領域のインピーダンスよりも大きなインピーダンス、導電ワイヤに対する露出領域の結合よりも強いという導電ワイヤに対する結合、及び/または、半剛性の管材を含む他の絶縁材料を含み得る。この部分319は、電流を導通しない絶縁体であって、露出領域315または有効電極表面領域317の一部ではないという絶縁体であることが意図される。これにより、検体1002と接触する露出領域315、または、単一もしくは複数の電極308の表面積が最小限とされる。部分319はまた、単一もしくは複数の電極308に対して物理的支持を提供し、断片化、展開などの間における電極の破壊の可能性も減少し得る。
【0106】
ユーザが回収バッグ302から各断片を容易に取出し得ることを確実とするためには、断片サイズの再現性が必要とされ得る。断片サイズの再現性を改善すべく、幾つかの手法が取入れられ得る。先に開示された如く、相互に対する各ワイヤ140、308の位置は重要である。収容器312に対して各ワイヤ140、308を一時的に保持すること、各ワイヤ140、308を相互に可能的に結合すること、及び、切断に先立つ各ワイヤ140、308の事前張設は、全て、再現性に寄与する。幾つかの実施例において、低温材料のループ、接着剤、または、プラスチック・バンドは、ワイヤ140、308を収容器312に対して所定位置に保持し得ると共に、ワイヤ140、308が検体1002を貫通して部分的に引き戻されるまで、解放しない。幾つかの実施例においては、切断の前もしくはその間に電極308を特定位置に保持すべく、形状記憶合金が使用され得る。例えば、形状記憶合金は、絶縁スリーブと組み合わせて、電極ワイヤ140、308の末端部分に対して取付けられ得る。幾つかの実施例は、切断ワイヤ140をコネクタ・ロッド516、518もしくはアクチュエータに対して接続する部材であって、剛性で、枢着され、または、枢着されないという部材を含み得る。これらの剛性部材は、切断の間にワイヤ電極140、308を特定の配向または間隔に維持すべく利用され得る。これに加え、順次的に引張られる一群より多い電極422、424を利用する機器に対しては、電極422、424の順序及び位置が再現性に影響し得る。例えば、検体1002が収容器312内で回転し得る如く該検体1002の片側においてのみ引張るのではなく、電極群422、424を検体1002に関して対称的に位置することが有用であり得る。
【0107】
幾つかの実施例において、検体1002は、結果的な断片または切断自体の再現性を向上させるべく、断片化に先立ち、及び、その間に、バッグ302の種々の特定構造を用いて固定され得る。例えば、幾つかの実施例は、検体1002の特定の箇所を圧縮する膨張可能な空気袋を含む。上記膨張可能な空気袋は、ワイヤ140がこの圧縮により締め付けられずにバッグ302から自由に離脱することを許容され、且つ、組織検体1002に対する接触を行う様に、バッグ302内の各ワイヤ140の間隔の内側に載置され得る。断片化の前及びその間に検体1002を圧縮すると、該検体1002が断片化処置の間に全体的形状を維持することが許容される。幾つかの実施例において、上記膨張可能な空気袋の膨張は、組織検体1002の装填の間に、上記バッグの入口310、及び、該バッグの軸心に沿う特定構造の部分集合は膨張されることで該バッグに対して一定の形態及び剛性を提供して組織検体の捕捉を支援する様に段階的とされる。上記バッグはその後、体外露出を許容すべく収縮され得る。バッグ302はその後、前述と同一のレベルまで、または、更に高圧へと、または、該バッグ302の異なる部分にて、再膨張されることで、または、ワイヤ同士の間における各箇所において膨張される特定構造の付加により、組織検体を意図された配向に固定することが支援され得る。これにより、切断の間における組織検体の機械的支持が提供されるだけでなく、切開部位に関して検体を保持する引戻し力も提供され得る。
【0108】
図30は、幾つかの実施例において使用される電極1400の更に詳細な概観を示している。示された如く、単一もしくは複数の電極1400は、有効電極表面領域317、1408を含む露出領域315、1404と、更に厚寸の被覆、または、半剛性の管材及び/または熱収縮物などの他の絶縁材料により達成され得る絶縁部分1402を有する一つ以上の領域とを有し得る。本明細書の目的に対し、露出領域1404は、高インピーダンス被覆が、中央導電ワイヤから除去され、薄寸であり、または、内部に空隙を有することにより、一般化された領域においてインピーダンスを減少する任意の領域と考えられる。この露出領域315、1404内には、ワイヤと組織との間でRF電流が導通するワイヤの全体的表面領域である有効電極表面領域317、1408が在る。
図30において、有効電極表面領域1408は、RF電流が導通する空隙の総和である。先に記述された如く、有効電極表面領域317、1408は、局所的なアーク発生の領域、組織を貫通するワイヤ140の移動、及び、断片化の完了時における組織検体1002からの電極1400の次続的な退出に依り、変化する。
【0109】
次に
図31Aから
図31Fに移ると、組織の外側部における電極の適用、または、検体断片化の見地が次に記述される。切断に対するRFワイヤの使用は、TURP(前立腺切除術)電極及びポリープ切除スネアの如き手術における他の公知の用途を有する。これらの用途は、大寸の検体を摘出するために必然的に必要とされるよりも相当に短いワイヤを使用する。しかし、制御された機械的負荷と最小限の電力密度とを備えた被覆ワイヤは、医師もしくはユーザによる更に低い“技術”を要する更に最適化された組織効果を生成することにより、これらの機器に対しても有用であり得る。幾つかの実施例においては、機械的負荷または電力密度を更に最適化もしくは低下させて、低い熱的切断効果というよりは、凝血効果を生成することが有用であり得る。これは、組織を検知するセンサであって、少ない熱拡散を以て、または、電力の波形及びアルゴリズム及び機械的負荷の供与により、電力及び/または機械的力を調節して適切な量の凝血を提供するというセンサにより促進され得る。上記戻り電極は、患者の戻りパッドであり得るか、または、ワイヤ切断機器上に、もしくは、その近傍に載置された電極であり得る。
【0110】
現在において入手可能なデバイスにおいては、推奨される電力レベルは製造者により提供され得るが、これらのデバイスは依然として、組織に対して適用する張力もしくは機械的負荷の適切な量をユーザが決定することを必要とする。本明細書中で開示されたデバイスにおいて、本出願人は、ユーザが制御する機械的負荷における本来的な変動を克服する手段を、幾つかの実施例において、制御された機械的負荷または電力を提供することにより実現する。これらの機器において制御された機械的負荷または電力は、更に低い熱拡散を提供する一方、ポリープ切除において適切な凝血を確実としまたは血流を停止し、使用が更に容易な機器に帰着し得る。この電力制御は、今日使用される標準的な電気手術用発電器上に“切断”及び“凝血”波形を取入れ得るか、または、独自の波形もしくは制御アルゴリズムであり得る。
【0111】
開示されたワイヤ切断技術に対する別の可能的な用途は、
図31Aから
図31Fに示された如き結腸切除術またはLap Nissan処置の如き、組織における手術切離器に対するものであり得る。超音波切離器は、この機能に資するべく既に一般的に使用されているが、限定的なものとしてで無く、機器及び発電器のコストなどの幾つかの欠点を有している。幾つかの実施例において、高インピーダンスで被覆されたワイヤ140、308は、高周波切離器の一部とされることで、剥き出しのワイヤもしくは剥き出しの顎部よりも低い電力レベルにおいて更に迅速な切断の始動を許容することで、習用の超音波切離器と比較して、可能的に更に長寸の切離顎部長さ、更に迅速な切離時間、及び、可能的に更に低いコストを可能とし得る。機器1500、1600、1700、1800、1900、2000は、市販の電気手術用発電器内に差込まれ得る。これに加え、機械的負荷がユーザに対して制御されることで、最適化された切断及び凝血時間が確実とされ得る。幾つかの実施例において、且つ、変化する断面形状による
図31Aから
図31Fに示された如く、被覆ワイヤ1502、1602、1720、1802は、切離器のエンド・エフェクタの一方の半体を備え得る一方、エンド・エフェクタの他方の半体、すなわち、対向顎部1504、1604、1704、1804は、バイポーラ機器の“戻り”または第2の電極で構成される。ワイヤもしくは第1電極1502、1602、1720、1802は、上記戻りまたは第2の電極における対向スロットに嵌合することで、それが切離の間において組織を完全に貫通通過することが許容され得る。機器1500、1600、1700、1800、1900、2000は、第1電極1502、1602、1720、1802がスロット表面まで延出することを機械的に許容しない停止部を使用するか、または、接触の箇所におけるスロット表面上の電気絶縁体を以て、これらの第1電極がスロット表面に接触し得ないように設計され得る。電力密度(または電流密度)及び機械的負荷は、最適化されると共に、ユーザが選択する切断モード対凝血モードを生成すべく変化し得る。代替的に、機械的負荷はモードに関わらずに同一に制御され得る一方、最適化された切断及び凝血の組織効果を生成すべく、異なる高周波波形が利用され得る。今日使用される標準的な電気手術用発電器における“切断”及び“凝血”波形は、最適化された切断及び凝血の組織効果を生成すべく使用され得る。幾つかの実施例においては、切離機器1500、1600、1700、1800、1900、2000に対する独特の波形または制御アルゴリズムが、最適化された切断及び凝血の組織効果を生成し得る。
【0112】
本明細書中に記述された如く、低インピーダンスに対する発電器出力の本来的な制限を克服する手段は、切断始動機能の間は高電圧を提供し得る発電器出力を、且つ、切断維持機能の間は高電流を提供し得る出力を生成することである。一実施例は、ワイヤによる組織断片化において典型的に観測されるインピーダンス範囲において最適化された性能に対して設計された発電器によるものである。標準的な電気手術用発電器は、300〜500オーム付近での最大電力伝達量に対して設計されることから、70〜300オームの範囲での動作は、この範囲の下限における減少された電力出力、または、この範囲の上限における減少された電流に帰着する。組織検体の断片化に対する理想的な発電器は、300オーム未満を含む範囲における最大電力伝達量、及び、1.2アンペアより大きい増大された電流限界値を有するものであろう。この形式の出力を備える発電器は、更に大きな露出部、もしくは、同一の露出部による更に多くのワイヤを駆動し得、更に低いインピーダンスの被覆による始動を生成するに必要な電圧を提供し、且つ、既存の発電器と比較して、維持機能の間において切断に対して利用可能な更に多くの電流を提供する。付加的に、低インピーダンス動作に対して同様の利点を提供する異なるRF増幅器形態が使用され得る。一例は、“生医学的な回路及びシステムに関するIEEE研究論文”、第6巻、第1号、2012年2月(IEEE TRANSACTIONS ON BIOMEDICAL CIRCUITS AND SYSTEMS, VOL. 6, NO. 1, FEBRUARY 2012)においてダニエル・A・フリードリッヒ、ロバート・W・エリクソン、及び、ジェームス・ギルバートにより呈示された二重電流モード・コントローラであり、言及したことによりその内容は本明細書中に援用される。この形態は、正弦波を生成する共振出力を使用しないことから、低及び高インピーダンス負荷における典型的な増幅器と同じ本来的な制限を有さない。この形態はまた、電力出力が、始動の間に高電圧へとバイアスされ且つ始動事象が生ずるにつれて高電流へと移行され得る様に、それを非常に迅速に変化させる能力も有している。
【0113】
先に言及された如く、上記デバイスもしくはシステムは、適切な動作を確実とする特徴であって、偶発的なRF熱損傷の可能性を減少するという特徴を含み得る。これらの特徴は、既存の電気手術用発電器においては実現不能であり得る付加的な制御器及び監視回路を必要とし得る。上記システムは、これらを、アクチュエータ304内へと、または、最適化された性能、使用性、及び、パラメータの監視に対して設計された特殊なRF発電器を以て取入れることで、偶発的なRF熱損傷の可能性を減少し得る。代替的に、これらの特徴を、既存の電気手術用発電器と併せて使用される別体的なコントローラに取入れることが有用であり得る。該コントローラは、RF出力電力及び戻り接続(モノポーラまたはバイポーラ)が該コントローラに対して提供される如く、発電器306に対して結合される。上記コントローラは、テキスト表示、グラフィック的表示、数値表示、視覚的表示器、聴覚的表示器を介して、または、他の手段により、指示をユーザに対して伝えることで、使用の間に上記システムを如何にして設定かつ動作させるかをユーザに対して指示し得る。上記コントローラはまた、該コントローラ内の制御ロジックにより決定された全ての所定条件が満足されるなら、RF出力電力が提供される様に、有効電極308及び戻り電極330に対しても結合される。この制御ロジックは、マイクロプロセッサ、FPGA、アナログ制御回路、または、他の同様の制御デバイスの如き、電気回路及び制御方法により実施される。付加的に、上記コントローラは、アクチュエータ304に対して結合されることで、監視もしくはステータス情報を備えたセンサ出力を受信すると共に、上記デバイスの適切な動作のための制御を提供する。これに加え、RF発電器、コントローラ、アクチュエータ、または、別の補機であって、直接的に接続されるか無線通信を以て上記システムと併せて使用され得るという別の補機の任意の組合せにて、電気的及び機械的なセンサ及び制御回路機構が取入れられ得る。
【0114】
限定的なものとしてで無く、上記アクチュエータに結合されて、事前張設に先立ち且つその後に、及び、切断の間及びその後に、引張機構により各ワイヤに対して付与される力を提供する力センサ;上記収容アセンブリに対して結合されて、事前張設及び切断の間に該収容アセンブリに対して付与される力を提供する力センサ;上記収容アセンブリ内の圧力センサであって、該収容アセンブリにより組織検体に対して付与される圧縮力を提供するという圧力センサ;切断または切断完了表示の間に、上記引張機構の進行の速度を提供し、または、前進を確認する、並進センサまたは箇所表示器;切断の間において上記アクチュエータに対して供与されるRF電流及び電圧を提供する電流及び電圧センサ;サーミスタの如き温度センサ;ワイヤ群と、戻り電極、もしくは、戻り電極の異なる部分との間において照会信号を監視し、戻り電極に対する組織検体の接触品質を監視する、電流及び電圧センサ;上記アクチュエータまたは収容アセンブリ内において、特定箇所の局所的温度を提供する熱電対または他の温度感応的な半導体;の如き、センサまたは制御回路は、情報を提供すべく使用され得る。上記収容アセンブリ内の膨張可能な特定構造に対して結合された圧力または流量センサは、上記システム内で使用される任意の空気もしくは流体の圧力または膨張の情報を提供する。上記制御回路は、限定的なものとしてで無く、アクチュエータまたはワイヤ群に対するRF電力の有効化及び/または無効化;切断のための特定の引張機構の選択;アクチュエータからRF発電器に対するRF起動要求;振幅変調、パルス変調、または、RF発電器に対する電力設定の変更の要求による、アクチュエータに対して供与されるRF電力の調節もしくは制限;及び、任意の収容アセンブリの特定構造の膨張または収縮;の如き、上記コントローラからアクチュエータに対する制御も提供し得る。
【0115】
当業者であれば、上述されたセンサ出力及び制御方法の組み合わせにより、上記コントローラまたはRF発電器は、電流もしくは組織のインピーダンスにより、機械的な切断速度もしくは並進速度、組織または上記システムの他の箇所の温度に基づき、RF出力の閉ループ制御を提供し得ることは理解されよう。これに加え、上記センサ及び制御方法によれば、ワイヤ群及び戻り部の短絡、アクチュエータ引張機構の前進の停止、戻り電極に対する組織検体の適切な接触、または、上記コントローラにより迅速に対処され得る他の状態の如き、偶発的状態の監視が許容される。
【0116】
次に
図32に移ると、大寸組織検体を摘出する方法3000が次に記述される。本明細書の目的に対し、大寸組織検体とは、切除または手術を実施するために使用される切開口もしくは入口よりもサイズが大きいものである。例えば、検体を抜き出すべく3〜5mmの切開口が使用されたなら、20mm直径の検体は大寸と考えられ得る。
【0117】
方法3000は、トロカール、生来の身体開口、及び/または、患者における切開口を貫通する如く、回収バッグを患者の体腔内に載置3002する。幾つかの実施例において、上記回収バッグは、
図1に示された如く展開器具1004及び/またはカニューレを用いて体腔内に載置され得る。幾つかの実施例において、上記回収バッグは、
図6に示された如きアクチュエータを用いて、体腔内に載置され得る。上記回収バッグは、本明細書において先の各図の内の任意の図に関して記述された任意の回収バッグであり得る。
【0118】
方法3000はまた、回収バッグを拡開3004する段階も含む。拡開段階3004は、例えば、絞りカニューレを取り外すと共に、バッグの開口の近傍における記憶保持材料の如き付勢メカニズムが開くことを許容することにより達成され得、且つ/又は、拡開段階3004は、展開器具によりバッグを操作する段階を含み得る。幾つかの実施例において、拡開段階3004は、バッグの壁部における付勢ワイヤもしくは電極408の如き付勢力が上記回収バッグを開かせることを許容する段階を含み得る。
【0119】
方法3000は、予め切除された検体を装填3006する段階も含んでいる。装填段階3006は、本明細書の
図1から
図8に示された如く、回収バッグにおける入口に向け且つそれを通して検体を操作することにより達成され得る。
【0120】
方法3000はまた、回収バッグの開口もしくは入口を体外露出3008させる段階も含んでいる。体外露出段階3008は、例えば、バッグ開口の近傍のタブ、引き紐、戻りケーブル、電極もしくは電極群の基端、または、体外露出のためにバッグに一体化された他の特定構造などのバッグ特定構造を用いて、
図3から
図5に示された如く、把持器1006を用いて回収バッグの基端部を患者の開口に向け且つそれを通して引張ることにより達成され得る。体外露出段階3008は、アクチュエータ404における引張デバイスを使用することにより、且つ/又は、一つ以上の電極408に対して基端側力Fを付与することにより、支援され得る。
【0121】
幾つかの実施例において、方法3000は、回収バッグ・アセンブリをアクチュエータに対して取付ける段階を含み、且つ、
図3から
図6に示された組織摘出デバイス300、及び/または、
図9から
図13に示されたアクチュエータを用いて達成され得る。上記回収バッグ・アセンブリをアクチュエータに対して取付ける段階は、一群以上の電極を圧着する段階と、各電極の基端部分を、
図9から
図13に示された如き夫々の引張アセンブリの一本以上のコネクタ・ロッドにおける夫々の末端部分もしくは夫々のスロット内へと挿入する段階とを含み得る。
【0122】
方法3000はまた、単一もしくは複数の電極を事前張設3012する段階も含む。事前張設段階3012は、アクチュエータの末端部分を患者の身体内に挿入する段階と、該アクチュエータにより単一もしくは複数の電極に対して基端側力Fを付与する段階とを含み得る。検体が体腔の内壁部に向けて引き寄せられ得、且つ/又は、アクチュエータが検体に向けて引き寄せられ得る。幾つかの実施例において、上記事前張設力は、切断の間に付与される負荷とは異なり得る。
【0123】
方法3000は、電源を接続3014する段階も含む。電源を接続する段階は、
図3から
図13に示された如く、戻り電極及び/または電力ケーブルをアクチュエータに対して接続する段階を含み得る。
【0124】
方法3000はまた、単一もしくは複数の電極を起動3016して組織断片化を引き起こす段階も含む。単一もしくは複数の電極を起動する段階は、
図27から
図28Cに示された如く、発電器により、約168ワット/cm
2(すなわち、約1,088W/in
2)より大きい電力密度に帰着する電力を印加する段階を含み得る。
【0125】
断片化のための一定力の付与は、断片化用機器に対し、線形スプリングの如きスプリングを用いて達成され得る。起動の間における力のこの制御はまた、限定的なものとしてで無く、線形アクチュエータ、複合スプリング・アセンブリ、モータ/ギア巻回機構などの、多数の代替的な機構を用いても達成され得る。これらの内の任意のものが使用されることで、切断電極の張力を超えることなく、低温断片化を促進する一定(または略々一定)の力Fを供与し得る。
【0126】
方法3000は、アクチュエータを取外す段階3018を含み得ると共に、アクチュエータをバッグに対して接続する戻りケーブルを取り外すなどして、
図10から
図13に示された如く、発電器からアクチュエータを取り外す段階を含み得る。
【0127】
方法3000はまた、組織検体及び回収バッグを摘出3020する段階も含む。上記組織検体は、断片化された後、体外露出された回収バッグの入口を通して摘出可能である。検体が摘出された後、回収バッグは同一の開口を通して取出され得る。当業者であれば、組織の縮小及び摘出システムは、単回使用デバイスとして具現され得ることを容易に理解し得よう。それはまた、収容アセンブリもしくは回収バッグの如き幾つかの単回使用構成要素、及び、アクチュエータ304及び把持器1006の如き再使用可能な構成要素によっても容易に具現され得る。この手法は、安価な検体摘出システムを提供するという利点を有している。それはまた、処置に先立ち取付けられる単回使用のワイヤ及び/または戻り電極を備えた耐久性のバッグ構造によっても具現され得る。
【0128】
付加的な見地に依れば、方法は以下の一つ以上を包含し得る。
【0129】
開示された各実施例の上述の説明は、当業者が、本発明を実現または使用し得るべく提供される。当業者であれば、これらの実施例に対する種々の改変は容易に明らかであり、且つ、本明細書中に定義された包括的原理は、本発明の精神または有効範囲から逸脱せずに、他の実施例に対して適用され得る。故に、本発明は、本明細書中に示された各実施例に限られるのではなく、本明細書中に開示された原理及び新規な特徴に一致する最も広範囲な有効範囲に従うことが意図される。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
患者から組織検体を抜き出す組織摘出システムであって、
該システムは、
開口を備えた可撓収容器を有する回収バッグと、
前記可撓収容器の内側部に対して結合された第1電極であって、該第1電極は、露出領域を備えた導電ワイヤと、第1負荷担持領域と、第1有効電極表面領域を有する被覆と、前記導電ワイヤのインピーダンスよりも大きなインピーダンスとを有し、前記第1有効電極表面領域は前記露出領域よりも小さい、という第1電極と、
戻り電極と、を備え、
前記被覆は、電気手術用電力の印加の間に劣化すべく構成され、
前記劣化は、前記電気手術用電力の印加の間において、前記第1有効電極表面領域を拡大する、
組織摘出システム。
〔態様2〕
前記被覆は、発電器が、該被覆を踏破してアークが始動することを許容するに十分な電圧を印加したときに劣化すべく構成される、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様3〕
前記被覆は、第1厚み、及び、該第1厚みよりも大きい第2厚みを有し、
前記高インピーダンス被覆の前記第1厚みは、前記導電ワイヤに対して事前選択電力を有する電力が印加されたとき、該第1厚みを踏破して電流が導通することを許容すべく構成される、態様2に記載の組織摘出システム。
〔態様4〕
前記露出領域は、前記被覆の領域であって、複数の微小空隙を有する、減少インピーダンスを有する、前記導電ワイヤを露出する、または、それらの任意の組み合わせである、という領域により画成される、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様5〕
前記第1有効電極表面領域は、前記導電ワイヤと前記検体との間においてRF電流を導通すべく構成された前記第1電極の全体的表面領域により画成される、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様6〕
前記被覆は、該被覆の少なくとも一部分が160℃の温度まで上昇されたときに劣化すべく構成される、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様7〕
前記第1負荷担持領域にて275kPa以上の圧力を付与すべく第1引張力が選択される、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様8〕
前記電気手術用電力は、第1露出部に関して少なくとも168ワット/cm2である、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様9〕
当該組織摘出システムは、
前記可撓収容器の内側部に対して着脱自在に結合された第2電極であって、該第2電極は、露出部を備える導電ワイヤと、第2負荷担持領域と、第2有効電極表面領域と該第2電極の前記導電ワイヤのインピーダンスよりも大きなインピーダンスとを有する被覆と、を有し、前記第2有効電極表面領域は前記第2露出部よりも小さく、
当該第2電極の前記被覆は、当該第2電極に対する電気手術用電力の印加の間に劣化すべく構成され、且つ、当該第2電極の前記劣化は、当該第2電極に対する前記電気手術用電力の印加の間において、前記第2有効電極表面領域を拡大する、
という第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極に対して結合された発電器であって、前記第2電極に対して電気手術用電力を開始するに先立ち、前記第1電極に対する電気手術用電力を開始すべく構成される、という発電器と、
を更に備え、
前記アクチュエータは、前記第2電極に対して第2引張力を付与するに先立ち、前記第1電極に対して第1引張力を付与すべく構成される、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様10〕
前記第1電極及び前記第2電極の各々は、該第1電極及び第2電極の他方から離間すべくスプリング付勢される、態様8に記載の組織摘出システム。
〔態様11〕
前記第1電極を前記可撓収容器に対して着脱自在に結合するための少なくとも一つの一時的締結具を更に備える、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様12〕
前記第1電極を前記可撓収容器に対して着脱自在に結合させ、且つ、前記第1電極が前記戻り電極に接触することを阻止すべく形状化かつ位置決めされた第1締結具と、
検体受容空間を提供する形態で前記第1電極を前記可撓収容器に対して着脱自在に結合させるべく形状化かつ位置決めされた第2締結具と、
前記第1電極の基端部を前記可撓収容器に対して結合すべく形状化かつ位置決めされた第3締結具と、
を更に備える、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様13〕
前記第1電極の前記基端部は、該第1電極に対して機械的引張力を選択的に付与すべく構成された第1引張アセンブリに対して着脱自在に結合される、態様12に記載の組織摘出システム。
〔態様14〕
前記可撓収容器の内側部に対して着脱自在に結合された複数の電極を有する第1電極群であって、複数の電極の各々が第1負荷担持領域を有し、当該第1電極群は前記第1電極を更に有する、という第1電極群と、
前記可撓収容器の前記内側部に対して着脱自在に結合された複数の電極を有する第2電極群と、
前記第1電極群の基端部に対して結合され且つ前記第1電極群に対して第1引張力を付与すべく構成された第1引張アセンブリと、前記第2電極群の基端部に対して結合され且つ前記第2電極群に対して第2引張力を付与すべく構成された第2引張アセンブリと、を有するアクチュエータと、
前記第1及び電極群に対して結合され、前記第1電極群に対しては第1電気手術用電力を、且つ、前記第2電極群に対しては第2電気手術用電力を提供すべく構成された発電器と、
を更に備える、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様15〕
前記検体は、該検体が貫通して抜き出されるべき通路の断面積よりも大きい断面積を有する、態様1に記載の組織摘出システム。
〔態様16〕
患者から組織検体を抜き出す組織摘出システムであって、
該システムは、
開口を備えた可撓収容器を有する組織回収バッグと、
前記可撓収容器の内側部に対して着脱自在に結合された複数の電極を有する第1電極群であって、前記複数の電極の各々は負荷担持領域を備えた導電ワイヤを有し、前記複数の電極の内の少なくとも一つの電極は、高インピーダンス被覆と、露出領域と、第1有効電極表面領域とを有し、前記第1有効電極表面領域は前記露出領域よりも小さい、という第1電極群と、
前記可撓収容器の前記内側部に対して着脱自在に結合された複数の電極を有する第2電極群と、
前記第1電極群の基端部に対して結合され且つ前記第1電極群に対して第1引張力を付与すべく構成された第1引張アセンブリと、前記第2電極群の基端部に対して結合され且つ前記第2電極群に対して第2引張力を付与すべく構成された第2引張アセンブリと、を有するアクチュエータと、
戻り電極と、
を備え、
前記アクチュエータは、前記第2引張力の付与を開始するに先立ち、前記第1引張力の付与を開始すべく構成される、
組織摘出システム。
〔態様17〕
前記第1電極群における前記複数の電極の内の少なくとも一つの電極の高インピーダンス被覆は、電気手術用電力の印加の間に劣化して前記第1有効電極表面領域を拡大すべく構成される、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様18〕
前記複数の電極の内の少なくとも一つの電極の前記高インピーダンス被覆は、該高インピーダンス被覆を踏破するアークを許容するに十分な電圧が印加されたときに劣化すべく構成される、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様19〕
前記高インピーダンス被覆は、第1厚み、及び、該第1厚みよりも大きな第2厚みを有し、
前記高インピーダンス被覆の前記第1厚みは、前記導電ワイヤに対して事前選択電力を有する電力が印加されたとき、該第1厚みを踏破して電流が導通することを許容すべく構成される、態様18に記載の組織摘出システム。
〔態様20〕
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の前記高インピーダンス被覆は、第1の非有効的な電気手術領域を有し、該第1の非有効的な電気手術領域は、前記第1有効電極表面領域のインピーダンスよりも大きなインピーダンス、または、前記導電ワイヤに対する結合であって、前記導電ワイヤに対する前記露出領域の結合よりも強力であるという結合、の少なくとも一方を有し、
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の前記高インピーダンス被覆の前記第1有効電極表面領域は、電流を導通すべく構成される、態様18に記載の組織摘出システム。
〔態様21〕
前記第1引張力は、275kPa以上の圧力を付与すべく選択され、
前記電気手術用電力は、前記露出領域に関して少なくとも168ワット/cm2である、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様22〕
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極は、前記可撓収容器に対して着脱自在に結合される、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様23〕
前記第1電極群の前記基端部は、前記第1引張アセンブリに対して着脱自在に結合される、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様24〕
前記検体は、該検体が貫通して抜き出されるべき通路の断面積よりも大きい断面積を有する、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様25〕
前記第1電極群及び前記第2電極群に対して結合された発電器であって、前記第1電極群に対しては第1電気手術用電力を、且つ、前記第2電極群に対しては第2電気手術用電力を印加すべく構成されたという発電器を更に備える、態様16に記載の組織摘出システム。
〔態様26〕
患者から組織検体を抜き出す組織摘出システムであって、
該システムは、
開口を備えた可撓収容器を有する回収バッグと、
前記可撓収容器の内側部に対して結合された第1電極であって、該第1電極は、第1有効電極表面領域を有する被覆を備えた導電ワイヤと、露出領域と、前記導電ワイヤのインピーダンスよりも大きなインピーダンスとを有し、前記第1有効電極表面領域は前記露出領域よりも小さい、という第1電極と、
戻り電極と、を備え、
前記露出領域は、前記被覆の領域であって、複数の微小空隙を有する、減少インピーダンスを有する、減少厚みを有する、前記導電ワイヤを露出する、または、それらの任意の組み合わせである、という領域を備える、組織摘出システム。
〔態様27〕
患者から組織検体を抜き出す組織摘出システムであって、
該システムは、
開口を備えた可撓収容器を有する回収バッグと、
前記可撓収容器の内側部に対して結合された第1電極であって、該第1電極は、第1露出領域を備えた導電ワイヤと、第1負荷担持領域と、第1有効電極表面領域を有する被覆と、該第1電極の前記導電ワイヤのインピーダンスよりも大きなインピーダンスとを有し、前記第1有効電極表面領域は前記第1露出領域よりも小さい、という第1電極と、
前記第1電極に対して結合されたアクチュエータと、
戻り電極と、を備え、
前記アクチュエータは、前記回収バッグ内に載置されて前記第1負荷担持領域に接触する組織検体に対して、前記第1電極により少なくとも
275kPaの第1圧力を選択的に付与すべく構成される、組織摘出システム。
〔態様28〕
前記第1電極の前記高インピーダンス被覆の少なくとも一部分は、事前選択された電力もしくは電圧を有する電気手術用電力の印加の間に劣化すべく構成される、態様27に記載の組織摘出システム。
〔態様29〕
前記第1電極の前記高インピーダンス被覆の前記部分は、複数の微小空隙を有する、減少インピーダンスを有する、減少厚みを有する、前記導電ワイヤを露出する、または、それらの任意の組み合わせである、態様28に記載の組織摘出システム。
〔態様30〕
当該組織摘出システムは、
前記可撓収容器の内側部に対して着脱自在に結合された第2電極であって、該第2電極は、第2露出領域を備える導電ワイヤと、第2負荷担持領域と、第2有効電極表面領域を有する被覆と、該第2電極の前記導電ワイヤのインピーダンスよりも大きいインピーダンスと、を有し、前記第2有効電極表面領域は前記第第2露出領域よりも小さい、という第2電極を更に備え、
前記アクチュエータは、前記第2負荷担持領域に接触する組織検体に対して、前記第2電極により少なくとも
275kPaの第2圧力を選択的に付与すべく構成される、態様27に記載の組織摘出システム。
〔態様31〕
当該検体が貫通して抜き出されるべき通路の断面積よりも大きい断面積を有する検体を患者から抜き出す方法であって
組織摘出システムを患者の体腔内に導入する段階であって、該組織摘出システムは回収バッグ及び複数の電極を有し、該複数の電極の内の少なくとも一つの電極は、一群の条件が満足されたときに電気手術用電流が流れることを許容すべく構成された高インピーダンス被覆を有するという段階と、
前記システムを患者の体内で展開する段階と、
前記回収バッグ内へと、予め切除された検体を装填する段階と、
前記回収バッグの開口を体外露出する段階と、
前記一群の条件を満足する電気手術用電力を前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極に対して印加し、前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の有効電極表面領域を踏破して電流を流す段階と、
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の前記有効電極表面領域と接触する前記検体の表面領域に対して電気手術用電力を印加し、且つ、前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極と接触する前記検体の表面領域に対して機械的力を付与することにより、前記検体を断片化する段階と、
断片化された検体を、前記回収バッグの前記体外露出された開口を通して抜き出す段階と、
を備える、方法。
〔態様32〕
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極を前記可撓収容器から取り外す段階を更に備える、態様31に記載の方法。
〔態様33〕
前記高インピーダンス被覆の微小空隙、低インピーダンス領域、薄寸領域、または、弱結合領域の少なくとも一つを通してアークを始動させる段階、または、
前記高インピーダンス被覆に対して電気手術用電力を印加し、且つ、前記高インピーダンス被覆の一部を劣化させる段階、
の少なくとも一方を更に備える、態様31に記載の方法。
〔態様34〕
前記有効電極表面領域を通して前記検体に対して電気手術用電力を印加する段階であって、前記有効電極表面領域は、前記高インピーダンス被覆における薄寸領域、空隙または劣化された領域により画成される、という段階と、
前記高インピーダンス被覆の厚寸領域にて前記検体を前記電気手術用電力から絶縁する段階と、を更に備える、態様31に記載の方法。
〔態様35〕
前記露出領域に接触する前記検体に関して少なくとも168ワット/cm2の電力密度を有する電気手術用電力を印加する段階と、
前記複数の電極の内の前記少なくとも一つの電極の負荷担持領域に接触する前記検体の領域に対して少なくとも275kPaの圧力を付与する段階と、を更に備える、態様31に記載の方法。