【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「次世代農林水産業創造技術」委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る農作業支援システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る農作業支援システムで用いる苗移植機の側面図である。
図2は、
図1に示す苗移植機の平面図である。なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、苗移植機2の作業座席28からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。本実施形態に係る農作業支援システム1で用いる作業車両の一例である苗移植機2の走行車体3は、左右一対の前輪4と、同様に左右一対の後輪5とを有しており、走行時には各車輪が駆動する四輪駆動車としている。これにより、走行車体3は、圃場や道路を走行することが可能になっている。また、走行車体3の後部には、苗植付部昇降機構40によって昇降可能な苗植付部50が備えられている。
【0023】
この走行車体3は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、このメインフレーム7の上に搭載されたエンジン10と、エンジン10の動力を駆動輪と苗植付部50とに伝える動力伝達装置15と、を備えている。つまり、本実施形態に係るこの苗移植機2では、動力源であるエンジン10で発生した動力は、走行車体3を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部50を駆動させるためにも使用され、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
【0024】
また、エンジン10は、走行車体3の左右方向における略中央で、且つ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で配置されている。また、フロアステップ26は、走行車体3の前部とエンジン10の後部との間に渡って設けられてメインフレーム7上に取り付けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、このフロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられている。このリアステップ27は、後方に向うに従って上方に向う方向に傾斜した傾斜面を有しており、エンジン10の左右それぞれの側方に配置されている。
【0025】
エンジン10は、これらのフロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が配設されている。即ち、エンジンカバー11は、フロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出した状態で、エンジン10を覆っている。
【0026】
また、走行車体3には、エンジンカバー11の上部に、作業者が搭乗する作業座席28が設置されており、作業座席28の前方で、且つ、走行車体3の前側中央部には、操縦部30が配設されている。この操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
【0027】
操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられている。また、操縦部30の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、ハンドル32が配設されている。このハンドル32は、作業者が前輪4を操舵操作することにより走行車体3を操舵する操舵部材として設けられており、操縦部30内の操作装置等を介して前輪4を転舵させることが可能になっている。また、操作レバーとしては、走行車体3の前後進と走行出力を切替操作する変速操作部材である変速レバー35と、走行車体3の走行速度を、走行する場所に応じた速度に切り替える副走行操作部材である副変速レバー38とが、機体右側と左側に配設されている。
【0028】
また、フロアステップ26における操縦部30の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗載台65が配置されている。この予備苗載台65は、フロアステップ26の床面から突出した支持軸(鉛直軸)によって回動自在に支持されており、作業者の手、または電動モータ等の回動部材によって回動させることが可能になっている。
【0029】
また、動力伝達装置15は、エンジン10から伝達される駆動力を無段変速する変速装置である油圧式無段変速機16と、この油圧式無段変速機16にエンジン10からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構17と、を有している。このうち、油圧式無段変速機16とは、HST(Hydro Static Transmission)と云われる静油圧式の変速装置として構成されている。このため、油圧式無段変速機16は、エンジン10からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。これにより、油圧式無段変速機16は、エンジン10で発生する動力を、走行車体3を走行させる力に変換する。
【0030】
その際に、油圧式無段変速機16は、回転力の方向や回転速度を変更して出力することにより、走行車体3の前後進及び走行速度を変更することができる。変速レバー35は、この油圧式無段変速機16の出力及び出力方向を変更することによって、走行車体3の前後進及び走行速度を操作することが可能になっており、即ち、変速レバー35は、油圧式無段変速機16の変速操作をすることが可能になっている。
【0031】
この油圧式無段変速機16は、エンジン10よりも前方で、且つ、フロアステップ26の床面よりも下方に配置されており、本実施形態に係る苗移植機2では、走行車体3の上面から見て、エンジン10の前方に配置されている。
【0032】
さらに、動力伝達装置15は、ベルト式動力伝達機構17を介して油圧式無段変速機16に伝達され、油圧式無段変速機16で変速したエンジン10からの駆動力を各部に伝達する伝動装置であるミッションケース18を有している。このミッションケース18は、路上走行時や植付時等における走行車体3の作業速度を切り替える副変速機構(図示省略)を内設しており、メインフレーム7の前部に取り付けられている。副変速機構は、走行車体3の走行伝動を少なくとも圃場で作業を行う際の変速段である「作業速」と、路上走行をする際の変速段である「路上速」とに切り替えることが可能になっている。なお、副変速機構は、「作業速」と「路上速」以外に切り替えることができるように構成されていてもよく、また、「作業速」や「路上速」において、複数段に切り替えることができるように構成されていてもよい。
【0033】
副変速レバー38は、ミッションケース18内の副変速機構を操作することにより、走行車体3の走行速度を切り替えることが可能になっており、即ち、「作業速」と「路上速」とを切り替えることが可能になっている。ミッションケース18は、ベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されたエンジン10からの出力を、当該ミッションケース18内の副変速機構で変速して、前輪4と後輪5への走行用動力と、苗植付部50への駆動用動力とに分けて出力可能になっている。
【0034】
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース21を介して前輪4に伝達可能になっており、残りが左右の後輪ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能になっている。左右それぞれの前輪ファイナルケース21は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設されており、左右の前輪4は、車軸を介して左右の前輪ファイナルケース21に連結されている。また、この前輪ファイナルケース21は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることが可能になっている。同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース22には、車軸を介して後輪5が連結されている。一方、駆動用動力は、走行車体3の後部に設けた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、この植付クラッチの係合時に植付伝動軸(図示省略)によって苗植付部50へ伝達される。
【0035】
また、走行車体3の後部に備えられる苗植付部50を昇降させる苗植付部昇降機構40は、昇降リンク装置41を有しており、苗植付部50は、この昇降リンク装置41を介して走行車体3に取り付けられている。この昇降リンク装置41は、走行車体3の後部と苗植付部50とを連結させる平行リンク機構42を備えている。この平行リンク機構42は、上リンクと下リンクとを有しており、これらのリンクが、メインフレーム7の後部端に立設した背面視門型のリンクベースフレーム43に回動自在に連結され、各リンクの他端側が苗植付部50に回動自在に連結されることにより、苗植付部50を昇降可能に走行車体3に連結している。
【0036】
また、苗植付部昇降機構40は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ44を有しており、油圧昇降シリンダ44の伸縮動作によって、苗植付部50を昇降させることが可能になっている。苗植付部昇降機構40は、その昇降動作によって、苗植付部50を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能になっている。
【0037】
また、苗植付部昇降機構40は、昇降リンク装置41による苗植付部50の昇降状態を検知するリンクセンサ45を有している。このリンクセンサ45は、平行リンク機構42における上リンクとリンクベースフレーム43との連結部分付近に配設されており、リンクベースフレーム43に対する上リンクの相対角度を検知することにより、苗植付部50の昇降状態を検知することが可能になっている。このように、苗植付部50の昇降状態の検知が可能なリンクセンサ45は、苗移植機2での作業時における作業場所の深さを検知する深度検知部材として設けられている。
【0038】
また、苗植付部50は、圃場で作業を行う作業装置として設けられており、作業資材である苗を植え付ける範囲を、複数の区画、或いは複数の列で植え付けることができる。本実施形態に係る苗移植機2では、苗植付部50は、苗を6つの区画で植え付ける、いわゆる6条植の苗植付部50になっている。この苗植付部50は、苗植付装置60と、苗載置台51及びフロート47を備えている。このうち、苗載置台51は、複数条の苗を積載する苗載置部材として設けられており、走行車体3の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面52を有し、それぞれの苗載せ面52に土付きのマット状苗を載置することが可能になっている。また、苗載せ面52には、苗載せ面52に載置される苗を苗植付装置60側に送る苗送りベルト53が配設されている。この苗送りベルト53は、1条につき左右一対で設けられている。
【0039】
また、苗植付部50には、作業資材である苗が減少したことを検知する資材減少検知部材である苗減少センサ55が設けられている。この苗減少センサ55は、苗載せ面52から突出して苗送りベルト53の左右間に配置されるスイッチになっている。苗載せ面52に苗が載置されているときは、苗減少センサ55は苗によって押され、苗植付部50に積載した苗が所定量未満になると、苗減少センサ55は苗によって押されなくなるので、補充が必要な段階まで苗が減少したことを検知することが可能になっている。操縦部30には、苗が減少したことを報知する報知手段であるランプ(図示省略)が配設されており、補充が必要な段階まで苗が減少したことを苗減少センサ55で検知した際には、このランプが点灯することにより、作業者に報知することが可能になっている。
【0040】
また、苗植付装置60は、苗載置台51に載置された苗を苗載置台51から取って圃場に植え付ける装置になっている。この苗植付装置60は、2条毎に1つずつ配設されており、回転可能なロータリケース63に、2条分の植込杆61を回転可能に備えている。即ち、複数の苗植付装置60は、それぞれ植付条が割り当てられている。このうち、ロータリケース63は、苗植付装置60に駆動力を供給する植付伝動ケース64に対して回転可能に連結されており、植付伝動ケース64は、エンジン10から苗植付部50に伝達された動力を、苗植付装置60に供給する。つまり、植付伝動ケース64には、2つのロータリケース63が、機体左右方向の両側に連結されており、苗植付部50は、この植付伝動ケース64を3つ備えている。
【0041】
また、フロート47は、走行車体3の移動と共に、圃場面上を滑走して整地するものであり、走行車体3の左右方向における苗植付部50の中央に位置するセンターフロート48と、左右方向における苗植付部50の両側に位置するサイドフロート49と、を有している。
【0042】
また、苗植付部50の下方側の位置における前側には、圃場の整地を行う整地用ロータ67が設けられている。この整地用ロータ67は、後輪ギヤケース22を介して伝達されるエンジン10からの出力によって回転可能に構成されている。
【0043】
また、苗植付部50の左右両側には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ68が備えられている。即ち、線引きマーカ68は、苗移植機2が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場上に線引きする。この線引きマーカ68は、マーカモータ69(
図6参照)によって作動し、走行車体3が旋回するごとに、左右の線引きマーカ68が入れ替わって作動することができるように構成されている。この左右の線引きマーカ68の入れ替えは、マーカモータ69が接続されるコントローラ200(
図6参照)によって行う。即ち、コントローラ200は、走行車体3の旋回時に、左右の線引きマーカ68を交互に作動状態と非作動状態とに切り替えるマーカ切替装置としても設けられている。なお、左右の線引きマーカ68の線引き作用部は、
図1及び
図2に示す通り、円盤の外周部に複数の突起体を設け、回転自在にロッド部に装着したものとすると、圃場面との接地抵抗により確実に圃場面に線を形成することができ、次の植え付け作業位置での直進作業が行い易くなり、作業能率が向上する。
【0044】
また、走行車体3における作業座席28の後方には、圃場で作業を行う作業装置である施肥装置70が搭載されている。この施肥装置70は、施肥装置70での作業に用いる作業資材である肥料を貯留する貯留ホッパ71と、貯留ホッパ71から供給される肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し装置72と、繰出し装置72により繰り出される肥料を圃場に供給する施肥通路である施肥ホース74と、施肥ホース74に搬送風を供給することにより、施肥ホース74内の肥料を苗植付部50側に移送する起風装置であるブロア73と、を有している。さらに、施肥装置70は、苗植付部50の下方に配設されると共に、施肥ホース74によって肥料が移送される施肥ガイド75と、施肥ガイド75の前側に設けられると共に、施肥ホース74によって移送された肥料を、苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器76と、を有している。
【0045】
また、施肥装置70には、作業資材である肥料が減少したことを検知する資材減少検知部材である肥料減少センサ77が設けられている。肥料減少センサ77は、水分を含む肥料等に覆われると通電し易くなる通電体からなり、貯留ホッパ71内における下端寄りの位置に配設されている。このように設けられる肥料減少センサ77は、肥料に覆われていると通電し、貯留ホッパ71内の肥料が減少して空気に晒されると通電が弱まるので、補充が必要な段階まで肥料が減少したことを検知することが可能になっている。操縦部30には、肥料が減少したことを報知する報知手段であるランプ(図示省略)が配設されており、補充が必要な段階まで肥料が減少したことを肥料減少センサ77で検知した際には、このランプが点灯することにより、作業者に報知することが可能になっている。
【0046】
図3は、
図1に示す施肥装置の前面図である。貯留ホッパ71は、下方に向けて開口して貯留ホッパ71内の肥料を繰出し装置72に供給するホッパ出口81を複数有しており、複数のホッパ出口81は、機体幅方向に複数が並んで形成されている。この貯留ホッパ71は、施肥フレーム80に支持されて走行車体3に設けられている。繰出し装置72は、貯留ホッパ71の下方に配設されており、各ホッパ出口81に対してロック部材82によって着脱可能に連結されている。
【0047】
繰出し装置72の下方には、ブロア73で発生した風である搬送風の通路である施肥搬送風路78が配設されている。ブロア73は、貯留ホッパ71、或いは繰出し装置72の機体左右方向における一端側に配設されており、施肥搬送風路78は、繰出し装置72の下方における前方側の位置で機体左右方向に延在している。繰出し装置72は、機体左右方向においてホッパ出口81が配設される複数の位置で、施肥搬送風路78に連結されている。ブロア73で発生した搬送風は、この施肥搬送風路78によって機体左右方向に送られ、繰出し装置72から繰り出された肥料を施肥ホース74に搬送する。
【0048】
これらのように構成される施肥装置70には、施肥量を調節する繰出調節機構85が設けられている。この繰出調節機構85は、施肥装置70の施肥量を調節する施肥量調節部材である施肥量調節モータ86(
図6参照)を有しており、圃場の肥料含有量や深さ等の条件に合わせて、コントローラ200(
図6参照)によって施肥量調節モータ86の駆動制御を行うことにより、施肥量を調節することが可能になっている。詳しくは、繰出し装置72は、当該繰出し装置72が有する肥料の繰り出し部材(図示省略)が、エンジン10から伝達される駆動力によって回転することにより、貯留ホッパ71から供給される肥料を設定量ずつ繰り出すことが可能になっているが、繰出調節機構85は、その際の回転速度を調節することにより、施肥量を調節することができる。
【0049】
図4は、苗植付部に設けられる薬剤散布装置の説明図である。苗植付部50の後方には、苗植付部50に積載された苗に対して、除菌剤等の作業資材である薬剤を散布する作業装置である薬剤散布装置90が配設されている。この薬剤散布装置90は、植付条に対応して配設されており、所定条分の苗に薬剤を供給することが可能になっている。薬剤散布装置90は、植付伝動ケース64に連結される散布装置支持部材91によって支持されている。
【0050】
このように散布装置支持部材91に支持される薬剤散布装置90は、除草剤や殺虫剤等の薬剤を貯留する薬剤ホッパ100と、苗植付部50に積載された苗に設定量ずつ薬剤を供給する薬剤供給装置101と、を備えている。このうち、薬剤供給装置101は、苗植付部50の機体後方側に配置された状態で、機体後側から機体前側に向かい、且つ、機体左右方向に薬剤を散布することにより、苗植付部50に積載された苗に対して薬剤を散布することが可能になっている。
【0051】
また、薬剤供給装置101は、薬剤ホッパ100の機体下方側に配設さており、薬剤供給フレーム102と、定量シャッタ104と、を備えている。このうち、薬剤供給フレーム102は、薬剤供給装置101のフレームとして設けられており、薬剤ホッパ100の機体下方側に配設されている。定量シャッタ104は、間欠作動装置であるソレノイド103によって、設定間隔ごとに開閉動作して、薬剤ホッパ100内の薬剤を放出させる開閉部材として設けられており、薬剤供給フレーム102内の機体上部位置に配設されている。ソレノイド103は、このように定量シャッタ104を設定間隔ごとに開閉動作することにより、薬剤供給装置101での薬剤の供給量を調節する薬量調節部材として設けられている。
【0052】
定量シャッタ104は、薬剤供給フレーム102に内設されており、薬剤供給フレーム102の機体下部側には、薬剤が放出される散布開口部107が形成されている。薬剤散布装置90は、これらのように構成されることにより、薬剤ホッパ100で貯留する薬剤を、苗植付部50に積載された苗に対して散布することが可能になっている。
【0053】
また、本実施形態に係る苗移植機2は、GPS(Global Positioning System)によって苗移植機2の位置情報を取得するGPS制御装置120(
図6参照)を備えており、走行車体3には、GPS制御装置120を構成する受信アンテナ121が配設されている。この受信アンテナ121は、所定の時間的な間隔でGPS座標を取得することにより、地球上における作業位置情報を所定間隔で取得する位置情報取得装置として設けられている。この受信アンテナ121は、予備苗載台65を支持する支柱である予備苗載台支柱66(
図5参照)に連結されるアンテナフレーム124に取り付けられている。
【0054】
図5は、
図1のA−A矢視図である。アンテナフレーム124は、下側が開放された向きの門型の形状で形成されており、門型の2箇所の下端部が、左右の予備苗載台支柱66に連結されている。つまり、アンテナフレーム124は、機体左右方向に延びるフレーム水平部125と、フレーム水平部125の両端から下方に延びる2箇所のフレーム垂直部126と、を有しており、フレーム垂直部126の下端が、予備苗載台支柱66に連結されている。フレーム垂直部126と予備苗載台支柱66とは、軸方向が機体前後方向に延びる回動部128によって連結されており、これにより、フレーム垂直部126は、回動部128を中心として機体左右方向に回動自在に、予備苗載台支柱66に連結されている。
【0055】
また、左右のフレーム垂直部126のうち、一方のフレーム垂直部126には、フレーム垂直部126が延びる方向に伸縮自在な伸縮シリンダ127が設けられている。この伸縮シリンダ127は、油圧によって全長が伸縮可能になっており、これにより、伸縮シリンダ127が設けられる側のフレーム垂直部126は、全長が伸縮することが可能になっている。また、受信アンテナ121は、フレーム水平部125に取り付けられており、詳しくは、フレーム水平部125の長さ方向における中央付近の位置で、フレーム水平部125の上面に取り付けられている。
【0056】
このように構成される苗移植機2は、走行車体3や苗植付部50、施肥装置70の作業情報を記憶したり表示したりする情報端末であるタブレット端末装置140を備えており、タブレット端末装置140との間で無線通信をすることが可能になっている。このタブレット端末装置140は、タッチパネル141を有しており、各種の情報をタッチパネル141によって表示すると共に、作業者がタッチパネル141に対して入力操作を行うことにより、情報の入力や動作指示を行うことが可能になっている。また、タブレット端末装置140は、作業中の苗移植機2の位置情報を含む苗移植機2の作業情報を、データベース化して記憶し、作業情報及び地図データを表示可能に構成されている。即ち、タブレット端末装置140は、苗移植機2の作業情報や地図データを、タッチパネル141によって表示することが可能になっている。
【0057】
図6は、実施形態に係る農作業支援システムの機能ブロック図である。本実施形態に係る農作業支援システム1で用いる苗移植機2は、電子制御によって各部を制御することが可能になっており、このため、苗移植機2には、各部を制御するコントローラ200が備えられている。このコントローラ200は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部、さらに入出力部が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。記憶部には、苗移植機2を制御するコンピュータプログラムが格納されている。このコントローラ200は、モータ等のアクチュエータ類や、各部の情報を取得するセンサ類等が接続されている。
【0058】
例えば、コントローラ200には、アクチュエータ類として、苗植付部50を昇降させる油圧昇降シリンダ44や、線引きマーカ68を作動させるマーカモータ69、施肥装置70の施肥量を調節する施肥量調節モータ86、薬剤供給装置101での薬剤の供給量を調節するソレノイド103等が接続されている。また、コントローラ200に接続されるセンサ類としては、リンクセンサ45、苗減少センサ55、肥料減少センサ77等が接続されている。
【0059】
また、コントローラ200には、GPS制御装置120も接続されており、受信アンテナ121で受信した位置情報は、コントローラ200で取得することが可能になっている。また、この受信アンテナ121の向きは、コントローラ200によって伸縮シリンダ127を制御して伸縮シリンダ127を伸縮させることにより、向きを調整することができる。
【0060】
また、苗移植機2は、ハンドル32を操作して、走行車体3を直進方向に維持することが可能な自動操舵装置110を備えており、自動操舵装置110も、コントローラ200に接続されている。この自動操舵装置110は、任意の回転力をハンドル32に付与することにより、ハンドル32を回転させる操舵モータ111と、ハンドル32の回転角度を検知するハンドルポテンショメータ112と、を有している。これらの操舵モータ111やハンドルポテンショメータ112は、ハンドル32の回転軸に対して回転力を付与したり、ハンドル32の回転軸の回転角度を検知したりすることにより、ハンドル32を操作したり、回転角度を検知したりすることが可能になっている。
【0061】
また、苗移植機2は、タブレット端末装置140との間で無線通信を行う苗移植機通信部201を有している。苗移植機通信部201は、電波を用いた無線通信により、タブレット端末装置140との間で信号の送受信を行うことが可能になっており、これによりコントローラ200は、苗移植機通信部201を介して、タブレット端末装置140との間で信号の送受信を行うことが可能になっている。
【0062】
また、タブレット端末装置140は、タッチパネル141と、端末通信部144と、記憶部143と、制御部142と、スピーカ145と、を有している。このうち、タッチパネル141は、タブレット端末装置140における情報の表示部と、タブレット端末装置140の入力部とを兼ねている。このため、タッチパネル141は、苗移植機2の作業情報や地図データ等の各種の情報を表示すると共に、作業者が指等でタッチパネル141に触れることにより、入力操作を行うことが可能になっている。
【0063】
また、端末通信部144は、タブレット端末装置140側の通信部として設けられている。この端末通信部144は、電波を用いた無線通信により、苗移植機2との間で信号の送受信を行うことにより情報の送受信が可能になっており、即ち、苗移植機2が有する苗移植機通信部201との間で、信号の送受信を行うことが可能になっている。詳しくは、端末通信部144は、近距離無線接続により苗移植機2との間で情報の送受信を行うことが可能になっており、近距離無線接続としては、例えば、Bluetooth(登録商標)が用いられる。これにより、苗移植機通信部201も、Bluetoothに対応しており、これにより、端末通信部144と苗移植機通信部201とは、無線通信が可能になっている。
【0064】
また、記憶部143は、各種の情報を記憶しており、タブレット端末装置140を作動させるプログラムや、端末通信部144を介して取得した、作業中の苗移植機2の位置情報を含む苗移植機2の作業情報等の各種の情報を記憶することが可能になっている。
【0065】
また、制御部142は、各種の演算処理を行うことが可能になっており、タッチパネル141、端末通信部144、記憶部143は、全て制御部142に接続され、制御部142との間で互いに信号の受け渡しを行うことが可能になっている。制御部142は、例えば、端末通信部144によって受信した情報に基づいて記憶部143に苗移植機2の作業情報を記憶させたり、タッチパネル141に対して、作業情報や地図データを表示させたりすることが可能になっている。
【0066】
また、スピーカ145は、任意の音声を出すことが可能になっており、作業者に対して音声によって任意の報知を行う報知装置としても設けられている。
【0067】
また、実施形態に係る農作業支援システム1は、作業情報を記憶したり配信したりするサーバー155を有している。このサーバー155は、各種の情報を記憶する記憶部156と、無線通信が可能なサーバー通信部157とを備えている。このうち、サーバー通信部157は、電波を用いた無線通信により、タブレット端末装置140の端末通信部144との間で信号の送受信を行うことが可能になっており、これにより、サーバー155は、複数のタブレット端末装置140との間で情報を通信することができる。
【0068】
さらに、このサーバー155は、圃場の水量を調節する水量調節制御装置265との間で無線通信を行うことが可能になっている。この水量調節制御装置265は圃場に設置されており、水門の開度を調節することによって圃場の水量を調節するための制御装置になっている。
【0069】
図7は、水量調節制御装置によって水量の調節が可能な圃場の平面図である。水量調節制御装置265によって水量が調節可能な圃場250は、圃場250に供給される水が流出する水路260が隣接しており、圃場250には、異なる位置に複数の水路260が隣接している。例えば、略矩形状の形状で形成されている圃場250では、水路260は、圃場250の4つの辺のうち、互い対向する2つの辺に隣接している。
【0070】
これらの水路260のうち、一方の水路260と圃場250との間には、水路260の水を圃場250に流入させることによって、圃場250に用水を取り込む取水門251が配設されている。また、他方の水路260と圃場250との間には、圃場250の水を水路260に排水させることによって、圃場250の用水を排出する排水門256が配設されている。即ち、圃場250に隣接する2つの水路260のうち、一方の水路260は、圃場250に水を供給するための水路260になっており、他方の水路260は、圃場250内の水を排水するための水路260になっている。
【0071】
また、取水門251と排水門256とは、取水門251や排水門256が設けられる2つの辺とは異なる2辺のうち、それぞれ異なる辺寄りの位置に配設されている。つまり、取水門251と排水門256とは、圃場250の形状である矩形の4つの角のうち、対角となる2つの角の近傍に配設されている。
【0072】
図8は、水量調節制御装置によって水量の調節が可能な圃場の平面図であり、圃場の一側にのみに水門が配設される場合の説明図である。水門は、あるいは、
図8で示すとおり、圃場250の一側にのみ水路260が形成されている場所においては、取水門251と排水門256は圃場250の同じ側に配設される。このときは取水門251を水路260の上流側に配設し、排水門256を水路260の下流側に配設すると、水の流れに逆らわないので、水の取り込みや排出が円滑に行われる。
【0073】
次に、これらの取水門251と排水門256とについて説明する。取水門251と排水門256とは、それぞれ同じような構成であるため、代表して取水門251を用いて説明する。
図9は、
図7、8のB−B断面図である。
図10は、
図9のC−C矢視図である。取水門251は、圃場250と水路260との間の位置で、上下に移動可能になっており、圃場250と水路260とは、取水門251の下方側の位置で連通する。このため、取水門251が上方に向かうに従って、圃場250と水路260との間の開度が大きくなり、下方に向かうに従って、圃場250と水路260との間の開度が小さくなり、最も下方に位置した際には、取水門251は、圃場250と水路260との間を閉じる。取水門251は、このように上下方向に移動することにより、圃場250と水路260との間の開度を調節することができ、これにより、水路260から圃場250に取り込まれる水の流量を調節することができる。
【0074】
このように、上下方向に移動する取水門251は、第1開閉装置である第1モータ252によって、開閉可能になっており、第1モータ252で発生する動力によって上下方向に移動することにより、任意の位置で停止することができる。第1モータ252は、これにより取水門251の開度を調節可能になっている。
【0075】
また、取水門251の近傍には、圃場250の水量を検出する第1水量センサ253が配設されている。この第1水量センサ253は、圃場250の水面上に浮くように構成されており、第1水量センサ253の上下方向における位置を検出することにより、圃場250の水面の高さを検出し、これにより取水門251の近傍における圃場250の水量を検出することが可能になっている。
【0076】
排水門256も、取水門251と同様に構成になっており、第2開閉装置である第2モータ257によって開閉されることにより、圃場250から水路260に排水される水の量を調節することが可能になっている。また、排水門256の近傍には、圃場250の水量を検出する第2水量センサ258が配設されており、第2水量センサ258は、圃場250の水面の高さを検出することにより、排水門256の近傍における圃場250の水量を検出することが可能になっている。
【0077】
これらの第1モータ252と第1水量センサ253、及び第2モータ256と第2水量センサ258は、水量調節制御装置265に接続され、水量調節制御装置265によって制御可能になっている。即ち、水量調節制御装置265は、第1水量センサ253と第2水量センサ258との検出値を取得することによって、圃場250の水量を取得し、取得した水量に応じて第1モータ252と第2モータ256を制御することにより、水路260から圃場250に水を取り込んだり、圃場250内の水を水路260に排水したりする。
【0078】
具体的には、水量調節制御装置265は、第1水量センサ253での検出値と第2水量センサ258での検出値との平均値から、圃場250の水量を算出する。圃場250の水量を算出したら、算出した水量の過不足に合わせて、第1モータ252及び第2モータ256を作動させることによって取水門251や排水門256を開閉させ、圃場250の水量を調節する。これにより、水量調節制御装置265は、圃場250の水量を、所望の水量にする。
【0079】
このようにして圃場250の水量を調節する水量調節制御装置265は、電波を用いた無線通信により、サーバー155のサーバー通信部157との間で信号の送受信を行うことが可能な水量調節通信部266を備えている。これにより、水量調節制御装置265は、サーバー155との間で情報を通信することができる。
【0080】
本実施形態に係る農作業支援システム1は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。苗移植機2の運転時は、エンジン10で発生する動力によって、走行車体3の走行と、苗載置台51に載せた苗の植え付け作業を行う。この植え付け作業は、回転軸が左右方向になる向きで苗植付装置60全体が回転しながら、植込杆61も回転することにより、苗載置台51に載せられた苗を順次植込杆61で取り、取った苗を徐々に圃場に植え付ける。その際に、苗載置台51を、苗載置台51に載置する1条分の機体左右方向の幅の範囲内で機体左右方向に往復移動させることにより、各苗植付装置60は、苗載置台51においてそれぞれの苗植付装置60に対応する部分から苗を取り出し、圃場に植え付ける。即ち、各苗植付装置60は、苗載置台51の所定の条に対応する部分から苗を取り出して、所定の条に苗を植え付ける。苗載置台51が、当該苗載置台51の左右方向の移動方向における端部まで移動したら、苗載置台51に載置されている苗を苗送りベルト53によって一列分、苗植付装置60側に送る。植え付け作業時は、これらのように苗載置台51や苗植付装置60を作動させながら圃場内を走行車体3で走行することにより、複数の列状に苗を植え付ける。
【0081】
走行車体3の走行時には、エンジン10で発生した動力はベルト式動力伝達機構17に伝達され、ベルト式動力伝達機構17から油圧式無段変速機16に伝達されて、油圧式無段変速機16で所望の回転速度や回転方向、トルクに変換されて出力される。油圧式無段変速機16から出力された動力は、ミッションケース18に伝達され、路上走行時の走行速度に適した回転速度、または苗の植え付け時の走行速度に適した回転速度にミッションケース18内で変速されて、前輪4側や後輪5側に出力される。また、ミッションケース18から出力される動力の一部は、苗植付部50側にも伝達され、苗植付部50での植え付け作業にも用いられる。
【0082】
これらのように、苗移植機2の運転を行う際には、変速レバー35や副変速レバー38等を操作することにより、走行車体3の速度を調節しながら、走行したり作業を行ったりする。例えば、変速レバー35を操作した際には、操作量に応じて油圧式無段変速機16の変速比が切り替えられ、油圧式無段変速機16からの出力が変更される。また、副変速レバー38は、「作業速」や「路上速」に切り替え操作を行うことが可能になっており、ミッションケース18内の副変速機構の変速段は、副変速レバー38の操作位置によって切り替えられる。
【0083】
また、苗移植機2は、圃場で植え付け作業を行う際に、GPS制御装置120で苗移植機2の位置情報を取得しつつ、自動操舵装置110で操舵を行うことにより、直進しながら植え付け作業を行うことが可能になっている。詳しくは、苗移植機2は、GPSで使用される人工衛星からの信号をGPS制御装置120の受信アンテナ121で受信することにより、地球上における苗移植機2の位置情報を、所定の時間間隔ごとに取得する。
【0084】
タブレット端末装置140には、圃場内で効率良く植え付け作業を行うための走路である直進走路の情報が記憶されており、コントローラ200は、タブレット端末装置140に記憶されている直進走路の情報と、受信アンテナ121で取得した位置情報とを比較し、自動操舵装置110を制御する。
【0085】
自動操舵装置110の制御は、受信アンテナ121で取得した位置情報が、タブレット端末装置140に記憶されている直進走路の情報に沿うように、ハンドルポテンショメータ112で操舵角を検知し、走行車体3の進行方向の変化を検知しながら、操舵モータ111を作動させて操舵を行う。これにより、走行車体3を、タブレット端末装置140に記憶されている直進走路に沿うようにアシストしながら走行させる。
【0086】
これらのように苗移植機2を走行させたり作業を行ったりする際には、タブレット端末装置140によって作業情報をタブレット端末装置140で記憶する。このタブレット端末装置140では、作業する圃場の地図データを記憶すると共に、タッチパネル141で表示することが可能になっており、また、以前の作業情報、または手入力データに基づいて、場所ごとの情報を地図上に区別して表示することが可能になっている。これにより、タブレット端末装置140では、記憶した作業情報に基づいて、これから行う作業についての作業計画を行うことが可能になっている。作業計画では、作業を行う圃場や日にち、作業の内容を決めたり、使用する苗や肥料等の作業資材の量を決めたりする。
【0087】
詳しくは、タブレット端末装置140は、作業情報については、苗移植機2に載置された状態で苗移植機2と通信を行うことにより、作業を行う苗移植機2の作業情報を記憶することが可能になっている。この作業情報は、例えば、作業日や走行距離、作業時間、燃料消費量、苗植付部50での植え付け作業や、施肥装置70での施肥作業や、薬剤供給装置101での薬剤の供給に関する情報等が記憶される。即ち、タブレット端末装置140では、作業装置の運転状態に関する情報のみでなく、苗植付部50で植え付け作業を行う際における苗の植え付け間隔、植え付け深さ等の設定値や、施肥装置70で施肥作業を行う際における施肥量等の、作業装置の設定についての情報も記憶される。これらの作業情報は、コントローラ200によって制御する施肥量調節モータ86や、薬剤供給装置101が有するソレノイド103の制御状態を、作業情報として苗移植機通信部201によって端末通信部144に送信することにより、タブレット端末装置140で取得する。このように苗移植機2の作業情報を取得したタブレット端末装置140は、作業情報を、記憶部143で記憶する。
【0088】
このように、作業情報をタブレット端末装置140で記憶する際には、作業を行った際における位置情報も記憶する。この位置情報は、GPS制御装置120によって取得する。詳しくは、GPS制御装置120は、GPSで使用される人工衛星からの信号を受信アンテナ121で受信することにより、地球上における苗移植機2の位置情報を、所定の時間間隔ごとに取得する。その際に、GPS制御装置120は、コントローラ200からの制御信号によって伸縮シリンダ127を適宜伸縮させることにより、受信アンテナ121の向きを、人工衛星からの信号を受信し易い向きにする。コントローラ200は、作業情報をタブレット端末装置140に送信する際には、このように受信アンテナ121によって取得した位置情報を作業情報と関連付けて送信する。これにより、タブレット端末装置140は、作業情報を記憶部143で記憶する際には、作業位置毎の作業情報を記憶する。
【0089】
タブレット端末装置140は、これらのように記憶した作業情報や位置情報を、サーバー155に送信する。即ち、タブレット端末装置140は、記憶部143で記憶した作業情報や位置情報を、端末通信部144によってサーバー通信部157に送信する。タブレット端末装置140からの送信によって、苗移植機2の作業情報や位置情報を取得したサーバー155は、取得した作業情報等を、記憶部156で記憶する。
【0090】
タブレット端末装置140は、これらのように記憶した過去の作業情報に基づいて、これから行う作業についての作業計画を行う。この作業計画では、苗移植機2の作業情報のみでなく、圃場で作業を行う際に用いる苗や肥料等に関する情報も用いて行う。このため、タブレット端末装置140では、過去に圃場250で作業を行った場合における苗や肥料等に関する情報も記憶する。
【0091】
タブレット端末装置140は、例えば、圃場250で栽培した米や野菜等の作物の種類についての情報や、作物の栽培に使用した肥料及び薬剤の種類についての情報、作物の収穫量についての情報を、記憶部143で記憶することにより記憶する。これらの情報は、圃場250で作業を行う前や作業後に、作業者がタッチパネル141に入力操作を行いことにより、タブレット端末装置140に対して入力し、タブレット端末装置140で記憶する。
【0092】
これらのようにタブレット端末装置140で記憶する情報は、サーバー155に送信され、サーバー155の記憶部156でも記憶する。これにより、タブレット端末装置140の記憶容量に関わらずサーバー155で記憶することができ、また、タブレット端末装置140を用いて他の作業装置で作業を行う場合においても、タブレット端末装置140で、その作業装置に関する情報をサーバー155から取り出すことにより、作業装置で作業をする際における作業計画を行うことができる。
【0093】
タブレット端末装置140で作業計画を行う際には、タブレット端末装置140への入力操作により、作業者が望む情報についての作業計画を行う。具体的には、作業者は、作物や肥料及び薬剤の種類についての情報、作物の収穫量についての情報、作業装置の設定についての情報のうちいずれかをタブレット端末装置140が有するタッチパネル141への入力操作によって選択する。情報の選択を行ったら、タブレット端末装置140は、作業者が選択した情報と、記憶部143で記憶している情報とに基づいて作業計画を作成する。この作業計画では、その時点での作物の最適な栽培開始時期、追肥や水量管理等の栽培途中作業の時期、作物の収穫開始時期、作物の栽培に使用する肥料や薬剤の種類及び量のうちの、少なくともいずれかを含む作業計画を作成する。作業者は、このように作成された作業計画に基づいて作業を行うことにより、作物の種類や肥料の種類等に関わらず、適切な作業を行うことが可能になる。例えば、植え付け株間ごとや植え付け深さごとの収穫量のデータを、作物の品種ごとに蓄積し、圃場250で新たに作業を行う際に、このデータを参照して株間の微調整を行う。
【0094】
また、タブレット端末装置140やサーバー155では、苗植付部50や施肥装置70、薬剤散布装置90等の作業装置で作業を行う場合における作業場所の気象情報も記憶する。例えば、タブレット端末装置140が位置する地域の今後数日間の天気予報をインターネット等によって取得し、記憶部143で記憶する。このため、作業計画を行う際には、気象情報に基づいて、作業計画を補正する。例えば、今後悪天候になることが予想される場合には、任意の作業が早めに終了するように補正したり、天候が回復してから作業を行うように補正したりする。
【0095】
また、圃場250等の作業場所によっては、水の使用可能時期等の用水条件が定められているところがある。このように、タブレット端末装置140やサーバー155では、このような用水条件も記憶しておき、作業計画を行う際には、記憶された用水条件に基づいて、作業計画を補正する。なお、この用水条件は、作業者がタブレット端末装置140に対して入力操作を行うことにより、タブレット端末装置140やサーバー155で記憶する。
【0096】
また、水量調節制御装置265は、第1水量センサ253と第2水量センサ258の検出値に基づいて、圃場250の水量を算出するが、水量調節制御装置265は、このように算出した算出した水量を、所定時間毎等にサーバー155に送信する。サーバー155は、水量調節制御装置265から送られた水量に関する情報をタブレット端末装置140に送信し、タブレット端末装置140は、この圃場250の水量に関する情報に基づいて、作業計画を補正する。
【0097】
また、タブレット端末装置140は、必要に応じて水量調節制御装置265に対して制御信号を送信し、水量調節制御装置265を介して第1モータ252や第2モータ257を作動させることにより、圃場250の水量を調節する。例えば、米の栽培に適した水の量は、米の品種ごとや、設定した植え付け株間、植え付け深さごとに異なるため、米の品種ごとや、植え付け作業の設定状態ごとの水管理に関する情報をデータベース化してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。第1モータ252や第2モータ257は、この水管理に関する情報に基づいて作動させることにより、圃場250の水量を調節する。
【0098】
なお、圃場250の水の量は、タブレット端末装置140から水量調節制御装置265に対して制御信号を送信することによって制御するのではなく、取水門251や排水門256の開度の目標値をタブレット端末装置140のタッチパネル141で表示し、表示した目標値に応じて作業者が水量調節制御装置265に対して手作業で入力操作をすることにより調節してもよい。
【0099】
また、タブレット端末装置140は、作業計画時に作業者が選択した情報に基づき、圃場250での作業に必要な施肥量や、圃場250での作業に必要な薬剤の量、及び薬剤の供給時期を、タッチパネル141で表示する。これにより、作業者は、施肥量や薬剤の量、薬剤の供給時期を認識することができるため、これに応じて肥料や薬剤を用意し、貯留ホッパ71に肥料を入れたり、薬剤ホッパ100に薬剤を入れたりして準備することが可能になる。
【0100】
作業計画に沿って作業をする場合には、タブレット端末装置140は、苗移植機2の苗移植機通信部201との間で通信を行いながら作業をし、タブレット端末装置140は作業計画に沿って、コントローラ200を介して作業装置を操作する。これにより、施肥装置70の施肥量調節モータ86は、タブレット端末装置140の操作により作動し、施肥装置70は、作業計画によって導出した施肥量で施肥作業を行う。同様に、薬剤供給装置101のソレノイド103は、タブレット端末装置140の操作により作動し、薬剤散布装置90は、作業計画によって導出した薬剤の量や供給時期で、薬剤を散布する。
【0101】
例えば、肥料が多過ぎたり小さ過ぎたりする場合には、米の大きさが小さ過ぎたり、割れてしまったりして食用に利用することができない米であるくず米が発生することがある。このため、精米するときにくず米を判断して、収穫量に対するくず米の割合であるくず米率を算出し、この米を栽培した際における肥料の量の傾向を判断する。これらの情報は、タブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。作業計画に沿って作業をする場合には、このように、以前の圃場250での作業時におけるくず米率も考慮した施肥量になるように施肥量調節モータ86を作動させ、施肥作業を行う。
【0102】
また、米の品種ごとに、施肥量や追肥量が異なるため、品種ごとの施肥量や追肥量に関する情報をデータベース化してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。また、肥料の銘柄によっても、施肥量や減肥量が異なるため、銘柄ごとの施肥量や減肥量に関する情報をデータベース化してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。
【0103】
他に、肥料に関する情報としては、最適な追肥量や時期、銘柄、もデータベース化して記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。その際に、設定した植え付け株間や植え付け深さごとに最適な追肥量や時期、銘柄も記憶する。これらにより、施肥作業を行う際には、米の品種ごとや、肥料の銘柄ごとに適した量の肥料で施肥作業を行うことができ、また、植え付け作業の設定状態に応じて、最適な施肥作業を行うことができる。
【0104】
また、薬剤の量を間違えると、苗が枯れてしまうことがあるため、使用する薬剤を、薬剤の種類やメーカーごとに情報をデータベース化してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。作業計画に沿って作業をする場合には、このように、薬剤供給装置101のソレノイド103を作動させ、薬剤の散布を行う。
【0105】
また、米の品種ごとに、薬剤の散布量や薬剤の種類が異なるため、品種ごとの散布量や種類に関する情報をデータベース化してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。また、薬剤の種類ごとに、収穫量や収穫時期、施肥量、他の薬剤の散布時期や散布量が異なるため、薬剤の種類ごとの収穫に関する情報や、施肥量、他の薬剤の散布に関する情報をデータベース化してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。
【0106】
他に、薬剤に関する情報としては、最適な散布量や時期、銘柄もデータベース化して記憶し、作業計画を行う際の情報として用いる。その際に、設定した植え付け株間や植え付け深さごとに最適な散布量や時期、銘柄も記憶する。これらにより、薬剤の散布を行う際には、米の品種ごとや、薬剤の銘柄ごとに適した量の薬剤で散布作業を行うことができ、また、植え付け作業の設定状態に応じて、最適な散布作業を行うことができる。
【0107】
なお、作業計画に沿った施肥や薬剤の散布は、タブレット端末装置140での操作によって行うのではなく、作業者の手動操作によって行うようにしてもよい。つまり、タブレット端末装置140のタッチパネル141では、必要な施肥量や薬剤の量、薬剤の供給時期を表示するため、この表示に沿った施肥や薬剤の散布を行うことができるように、作業者が手動操作によって、施肥量調節モータ86や薬剤供給装置101のソレノイド103の設定を行い、作動させてもよい。
【0108】
さらに、タブレット端末装置140は、作業計画時に作業者が選択した情報に基づき、栽培時期毎の必要な用水量、及び用水の給排出時期を、タッチパネル141で表示する。これにより、作業者は、用水量や、用水の給排出時期を認識することができるため、これに応じて第1モータ252や第2モータ257を作動させることにより、取水門251や排水門256を開閉させ、圃場250の水量を調節する。
【0109】
なお、取水門251や排水門256は、水量調節制御装置265を操作することによって開閉の操作を行ってもよく、取水門251や排水門256の開閉を、タブレット端末装置140によって行うことができる場合には、タブレット端末装置140に対して入力操作をすることより、開閉の操作を行ってもよい。
【0110】
また、タブレット端末装置140は、作業計画時に作業者が選択した情報に基づき、作物の収穫適期、及び作物の予測収穫量をタッチパネル141で表示する。これにより、作業者は、作物ごとに、最適な時期で収穫を行うことができ、また、予測収穫量に合わせて、作物を搬送する機材の準備を行うことができる。
【0111】
以上の実施形態に係る農作業支援システム1は、タブレット端末装置140やサーバー155で蓄積された情報のうち、選択された情報に基づいて、その時点で最適な作業計画を作成することにより、栽培する作物の種子や苗、肥料や薬剤などの作業資材の過不足を防止することができる。この結果、作業者の経験に関わらず作物の栽培作業を適切な条件で行うことができ、栽培作業が中断されて能率が低下することや、作業資材が余ることを防止することができる。また、栽培の開始や栽培中の作業、及び収穫時期の適期を算出することができるので、作物の生育を良好なものにすることができると共に、品質の高い時期の収穫が可能になるため、作物の商品価値を向上させることができる。
【0112】
また、気象情報に基づいて作業計画を補正するため、作業予定時期の天候に基づいて、作業を実行する時期を変更することができる。これにより、天候の影響を受け難い時期に作業をすることができるので、作物の品質を向上させることができると共に、作業時の環境が作業者に適したものとなり、作業能率を向上させることができる。また、用水条件に基づいて作業計画を補正するため、作業用水を使用可能な時期を、作業計画に組み込むことができる。これにより、後工程の作業計画が立て易くなり、作業能率を向上させることができる。
【0113】
また、蓄積された作業情報に基づいて施肥量を変更するため、肥料の過不足の発生を防止することができる。これにより、肥料不足によって作物の生育不良が発生し、作業計画に遅れが生じることを防止することができると共に、肥料過剰により作物が過度に生育し、収穫物の品質が低下することを防止することができる。また、タブレット端末装置140の操作によっても、施肥装置70の施肥量調節モータ86を作動させられることにより、作業者は施肥装置70まで移動することなく、施肥量を変更することができる。これにより、作業者の労力を軽減することができる。
【0114】
また、蓄積された作業情報に基づき薬剤の供給量を変更するため、薬剤の過不足の発生を防止することができる。これにより、薬剤不足によって雑草が繁茂して栽培作物が生育不良を起こすことや、病害虫が発生して枯れることを防止することができ、作物の生育や収穫量を安定させることができる。また、薬剤が過剰供給され、栽培作物まで枯れることや、水や土壌が汚染されることを防止することができる。また、タブレット端末装置140の操作によっても、薬剤供給装置101のソレノイド103を作動させられることにより、作業者は薬剤供給装置101まで移動することなく、薬剤の供給量を変更することができる。これにより、作業者の労力を軽減することができる。
【0115】
また、作業者が選択した情報に基づいて、栽培時期に必要な用水量をタブレット端末装置140で表示するため、栽培作物の生育時に水の過不足の発生を防止することができる。この結果、過度の乾燥や根腐りにより栽培作物が枯れることを防止することができる。
【0116】
また、圃場250の水量を、第1水量センサ253と第2水量センサ258とによって検出した取水門251側と排水門256側の平均値から算出することにより、圃場250の高低差を考慮した水量を得ることができる。これにより、作物が水に浸かり過ぎて根腐りすることや、水不足により枯れてしまうことを防止することができる。また、検出された水量に合わせて第1モータ252と第2モータ257とが作動して、取水門251及び排水門256を開閉することにより、圃場250の水が不足した際には、自動的に取水することができ、また、降雨等により圃場250の水量が増えた際には、自動的に排水することができる。この結果、圃場250内の水量を必要量に保つことができ、作物の生育をいっそう良好にすることができる。
【0117】
また、作業者が選択した情報に基づいてタブレット端末装置140で収穫適期を算出し、タッチパネル141で表示するため、栽培作物の品質が最高の時期に収穫を行うことができる。これにより、作物の商品価値を向上させることができる。また、収穫量の予測値を算出することにより、収穫作業に必要な時間や人数、収容容器や運搬車両等の予測を立てることができる。この結果、作業能率を向上させることができると共に、余分な人員や資材が不要になるため、収穫作業にかかる費用を抑えることができる。
【0118】
〔変形例〕
なお、実施形態に係る農作業支援システム1では、作業車両として苗移植機2を用いて説明しているが、作業車両は苗移植機2以外のものを用いてもよい。作業車両は、例えば、走行車体に作業装置を連結することによって圃場で作業を行うトラクタを用いてもよい。
【0119】
トラクタを作業車両として用いる場合には、例えば、代掻きの作業中の走行経路をGPSやジャイロセンサによって取得してタブレット端末装置140やサーバー155で記憶し、圃場250上において走行経路が極端に斜めになったり大きく蛇行していたりするデータがある部分については、苗移植機2のフロート47が角度変化する際における油圧感度を変更するようにしてもよい。つまり、走行経路が乱れ易いところは、圃場250の勾配が不安定であったり、土が柔らかくて沈み易いところであったりする可能性が高いので、このような部分では、フロート47の感度を鈍くすることにより、苗植付部50が必要以上に昇降しないようにすることができる。
【0120】
図11は、トラクタを用いた代掻き時において走行経路が変化する場合についての説明図である。例えば、GPSの取得座標、またはジャイロセンサが検知する進行方向が直線から大幅にずれている箇所を記録領域K1、K2・・とし、次回以降の作業時にこの記録領域K1、K2を通過するときには、上記のとおりフロート47の感度を変更する。このときのフロート47の感度は、自動制御でもよいが、自動制御が組み込まれていない作業機を使用するときは、ブザーやランプ等の報知装置を作動させ、作業者に感度調節を促す構成とする。
【0121】
図12は、トラクタを用いた代掻き時においてエンジン負荷が変化する場合についての説明図である。また、トラクタを作業車両として用いる場合には、エンジン負荷を監視し、エンジン負荷に基づいて圃場250の土質を判断して、判断した土質に関するデータを1つの圃場250について平均化し、タブレット端末装置140やサーバー155で記憶してもよい。タブレット端末装置140は、この土質に関するデータをマップにしてタッチパネル141で表示することにより、圃場250の土質についての情報を、苗移植機2を用いて作業を行う作業者に対して通知する。この場合、GPS座標ごとに取得されているエンジン負荷の数値に基づき、負荷が標準よりも高いか低いかを、記号、または色の違いで表示する構成とする。例えば、
図12で示すとおり、エンジン負荷増大箇所E1、E2と、エンジン負荷低下箇所D1、D2と、エンジン負荷標準箇所とを、異なる記号で表示する。これにより作業者は、土質に応じた作業を行うことができる。なお、
図12において、エンジン負荷増大箇所E1、E2は星印、エンジン負荷低下箇所D1、D2は四角に記号で示している。
【0122】
図13は、トラクタを用いた代掻き時において重複区間や未代掻き区間を抽出する場合についての説明図である。また、トラクタを作業車両として用いる場合には、代掻き作業中に圃場250を往復して旋回したところを圃場250の端部と判断して、輪郭を抽出する。この輪郭と、圃場250での全走行経路から、重複したところや、作業をし忘れているところがないかを判定し、重複したところや作業し忘れているところをマップ上で色分けすることにより、タッチパネル141で表示してもよい。例えば、
図13で示すとおり、記録されている代掻き用の作業装置であるハローの左右幅に基づき、GPS座標情報から代掻き経路をマップ上に色分けして表示する。このとき、隣接する代掻き位置同士が重複する箇所は色を変え、重複区間O1、O2・・として表示する。また、隣接する代掻き位置に隙間がある箇所は白とし、未代掻き区間V1、V2・・として表示するものとする。これにより、代掻きが重複しところや、抜けているところがあった場合には、次回以降の作業時に、どのように作業を進めれば良いかの判断を行うことができ、圃場250内での作業の均一化を図ることができる。作業車両は、これらのように苗移植機2以外を用いてもよく、また、圃場250での作業情報を、複数の作業車両によって共有してもよい。
【0123】
また、上述した実施形態では、走行車体3側とタブレット端末装置140側との通信を行う近距離無線接続としては、Bluetoothを用いているが、近距離無線接続は、Bluetooth以外のものを用いてもよい。タブレット端末装置140は、所望の走行車体3や作業装置との間で無線通信が可能になるものであれば、その手法や形式、規格等は問わない。
【0124】
また、上述した実施形態では、情報端末の一例としてタブレット端末装置140を用いて説明したが、情報端末は、タブレット端末装置140以外のものであってもよい。情報端末は、走行車体3や作業装置、サーバー155との間で情報の送受信が可能に構成され、作業情報を記憶することができるものであれば、その形態は問わない。