特許第6678888号(P6678888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6678888半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認できる管理システム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6678888
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認できる管理システム。
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/08 20060101AFI20200406BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20200406BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20200406BHJP
   B28B 1/32 20060101ALI20200406BHJP
   B28C 7/04 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   B05B12/08
   B05B7/04
   E04G21/02 103B
   E04G21/02ESW
   B28B1/32 C
   B28C7/04
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-148968(P2019-148968)
(22)【出願日】2019年7月29日
【審査請求日】2019年7月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519296794
【氏名又は名称】有限会社東京建商
(73)【特許権者】
【識別番号】519296808
【氏名又は名称】有限会社駒形総建
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】駒形 剣治
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−185413(JP,A)
【文献】 特開2011−208837(JP,A)
【文献】 特開2006−102708(JP,A)
【文献】 特開2002−355603(JP,A)
【文献】 特開2000−254558(JP,A)
【文献】 特開昭64−011662(JP,A)
【文献】 特開2006−070546(JP,A)
【文献】 特開2004−123876(JP,A)
【文献】 特開平05−133104(JP,A)
【文献】 特開昭61−270499(JP,A)
【文献】 特開昭60−040455(JP,A)
【文献】 特開昭54−144732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/00−7/32
12/00−12/14
13/00−13/06
B05D 1/00−7/26
E04B 1/62−1/99
E04G 21/02
B28B 1/32
B28C 7/04
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半乾式ロックウール吹付で使われているロックウールを投入する解綿機と、ロックウールを圧送するブロワーと、セメントと水を混合しセメントミルクを作る攪拌機と、セメントミルクを圧送するポンプと、圧送されたロックウールと圧送されたセメントミルクを吹付する吹付ガンと、吹付ガンのところにある解綿機及びポンプを遠隔操作するリモコンを備えた吹付プラントにおいて、
解綿機にロックウールを投入したことを検知するセンサーと、攪拌機上槽で生成したセメントミルクを攪拌機下槽に投下したことを検知するセンサーと、解綿機の運転時間を検知するセンサーと、ポンプの運転時間を検知するセンサーと、を制御部に取り込み、前記ロックウールや前記セメントミルクの吐出量及び/又は吐出量比率を算出し、2次元座標面モニター部に表示するとともに、吐出量比率が適正範囲の中央値±10%以内は緑色、中央値±10%〜±20%は黄色、適正範囲外は赤色と表示色を変えて表示することを特徴とする半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認する管理システム。
【請求項2】
半乾式ロックウール吹付で使われているロックウールを投入する解綿機と、ロックウールを圧送するブロワーと、セメントと水を混合しセメントミルクを作る攪拌機と、セメントミルクを圧送するポンプと、圧送されたロックウールと圧送されたセメントミルクを吹付する吹付ガンと、吹付ガンのところにある解綿機及びポンプを遠隔操作するリモコンを備えた吹付プラントにおいて、
解綿機にロックウールを投入したことを検知するセンサーと、攪拌機上槽で生成したセメントミルクを攪拌機下槽に投下したことを検知するセンサーと、解綿機の運転時間を検知するセンサーと、ポンプの運転時間を検知するセンサーと、を制御部に取り込み、前記ロックウールや前記セメントミルクの吐出量及び/又は吐出量比率を算出し、前記吐出量比率が、適正範囲の中央値±10%以内は緑色、中央値±10%〜±20%は黄色、適正範囲外は赤色と表示色を変えた表示灯を備えた表示灯部を設けたことを特徴とする半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認できる管理システム。
【請求項3】
前記ロックウールと前記セメントミルクの吐出量比率が適正範囲外の場合、警告音を発する警報部を設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認できる管理システム。
【請求項4】
前記ロックウールと前記セメントミルクの吐出量比率を外部端末に表示させるためのインターネット接続部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認できる管理システム。
【請求項5】
前記ロックウールと前記セメントミルクの吐出量比率の時系列データや、毎日の材料の投入量や投入回数を記録するジャーナル部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半乾式ロックウール吹付工事における材料の吐出量や吐出量比率を施工中に確認できる管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半乾式ロックウール吹付工事において、ロックウールとセメントミルクの吐出量及び吐出量比率を容易に確認でき、吐出量比率が適正範囲を逸脱した際、即座に対応措置をとれる管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半乾式ロックウール吹付工事の品質管理方法は、施工前に単位時間当たりの2つの材料(ロックウールとセメントミルク)の吐出量を計測し、それを工事の指針となる吐出量判定早見図に照らし合わせていた。また施工後に吹付面の抜き取り検査で厚みやかさ比重を計測し吐出量比率を確認していた。
【0003】
しかし、施工中にロックウール吐出量とセメントミルク吐出量が吐出量判定早見図の適正範囲内であるかを把握する手立てがなかった。そのため施工後の抜き取り検査で吐出量比率に問題があった場合、吹き増しなどによる是正措置が必要となり、工事全体の日程の修正が必要となっていた。
【0004】
この改善策として、施工中にロックウールとセメントミルクの吐出量や吐出量比率が適正か否かを、吐出量判定早見図をベースとしたモニター部や表示灯部に表示したりすることによって目視で確認し、また吐出量比率を音で表示することによって、適正な品質の吹付工事が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の半乾式ロックウール吹付工事の品質管理方法は、施工の前後でしか確認されず、施工中は作業員の勘のみで配合がなされていた。また施工前に確認した材料の吐出量がその後変更されたりすると、工事終了までわからなかった。
【0006】
適正な材料の吐出状態を示す吐出量判定早見図があるが、施工中のその運用が困難であった。それは、圧送されている材料の重量を計測する事が困難を極め頓挫していた。
【0007】
半乾式ロックウール吹付工事の作業員、工事管理者も吹付工事が完了しサンプル検査するまで、誰も吐出量比率を確認できなかった。また、材料の吐出量比率が適正範囲内であっても、具体的な吐出量や吐出量比率を客観的に確認できなかった。
【0008】
工事で使用される材料の投入や更新の管理は、プラント管理する作業員の申告だけであり、客観的に記録されていなかった。
【0009】
本発明の目的は、半乾式ロックウール吹付工事施工中にロックウールとセメントミルクの吐出量及び吐出量比率を算出し表示することにより、半乾式ロックウール吹付工事施工中に品質管理を容易に行いうるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、工場で定量パッケージされたロックウールに着目し、その投入部にセンサーをつけ、ロックウールの投入回数と総重量を把握する。またそれを粉砕する機材の運転時間をセンサーで検知する。セメントミルクを撹拌する攪拌機は
を生成する。攪拌機の上槽から下槽に落とす栓にセンサーをつけ、セメントミルクの投下回数と総重量を把握する。下槽に落とされたセメントミルクを吸い込み圧送するポンプの運転時間をセンサーで検知する。それらセンサーで検知した材料の重量、圧送機材の運転時間データを制御部に取り込み、ロックウールとセメントミルクの吐出量(kg/30秒)を算出する。
【0011】
制御部で算出した吐出量を半乾式ロックウール吹付工事施工指針となっている吐出量判定早見図をベースとした2次元座標上でロックウールの吐出量を横軸上に、セメントミルクの吐出量を縦軸上に表示し、吐出量比率を表示する。
【0012】
吐出量や吐出量比率を目視で確認するだけでなく、光や音でも表示することで、遠方にいる作業員や工事関係者も容易に工事の材料の吐出量比率が適正か否かを確認できるようにする。
【0013】
工事で使われたロックウールやセメントミルクの総重量、投入や投下回数を記録し、時間ごと、日ごと使用された材料を客観的に記録する。
【発明の効果】
【0014】
工事作業員のみならず工事関係者誰もが、当該工事が半乾式ロックウール吹付工事の作業指針である吐出量判定早見図の適正範囲内の吐出量比率の工事であるか否かを施工中に確認できる。
【0015】
材料の吐出量が施工中に適正であることによって、施工後の比重検査で是正措置が必要となる事案の減少が期待でき、工事全体に支障を与えにくくなる。
【図面の簡単な説明】
図1】半乾式ロックウール吹付機材に本発明を加えたプラントのブロック図である。
図2】本発明の制御部のブロック図である。
図3】工事の施工指針となっている吐出量判定早見図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
半乾式ロックウール吹付には、原料としてロックウールとセメントの2種類の材料が使われる。ロックウールは解綿機2で細かくされ、解綿機2に接続されたブロワー1により、ロックウール圧送ホース5で圧送される。セメントは上槽と下槽の2槽を備えた攪拌機3の上槽で、水と混合して(セメント50kgに対
ポンプ4で吸い込みセメントミルク圧送ホース6で圧送される。ロックウールの解綿機2への投入や、攪拌機3の上槽で水とセメントを混合しセメントミルクを作るため、またそれを下槽に落とすためにプラント担当の作業員が配置されている。
【0017】
ロックウールとセメントミルクは別々にロックウール圧送ホース5とセメントミルク圧送ホース6で圧送され、吹付担当の作業員の持つ吹付ガン9のところでロックウールの上からセメントミルクがシャワー状に掛けられ、ロックウール被覆が形成される。
【0018】
吹付ガン9のところには、解綿機2の運転や中断を操作する解綿機遠隔操作リモコン10があり、解綿機遠隔操作ケーブル7でつながれている。また、ポンプ4の運転や中断を操作するポンプ遠隔操作リモコン11があり、ポンプ遠隔操作ケーブル8でつながれている。
【0019】
本発明のシステムでは、解綿機2のロックウール投入箇所にロックウール投下センサー12を設け、材料の投入を検知する。また解綿機2の運転や中断を吹付担当の作業員が遠隔操作するための解綿機遠隔操作ケーブル7にも解綿機運転時間センサー14を設け、運転時間を検知する。一方、攪拌機3の上槽から下槽にセメントミルクを落とす栓のところにセメントミルク投下センサー13を設け、セメントミルクの投下を検知する。また、ポンプ4の運転や中断を吹付担当の作業員が操作するためのポンプ遠隔操作ケーブル8にもポンプ運転時間センサー15を設け、運転時間を検知する。それら4つのセンサーからのデータを制御部16に取り込む。
【0020】
制御部16で4つのセンサーからのデータを取り込み、1単位のロックウール(20kg)を、解綿機2の積算運転時間で割戻し、ロックウールの吐出量(kg/30秒)を算出する。また1単位のセメントミルク(150kg)を、ポンプ4の積算運転時間で割戻し、セメントミルクの吐出量を算出し、そこから吐出量比率を算出する。
【0021】
その算出した2つの吐出量を、吹付工事の施工指針となっている吐出量判定早見図をベースとしたモニター部17上に、2軸座標で表示し、吐出量比率が適正範囲内か否かをプラント担当の作業員が目視できるようにする。その際モニター部17上では吐出量比率が適正範囲中央値±10%以内の範囲は緑色、適正範囲±10%〜±20%の場合は黄色、適正範囲外の場合は赤色と色分けして視認性を向上させる。
【0022】
遠方の作業員からも認識できるよう、吐出量比率が適正範囲中央値±10%以内の場合は緑色、適正範囲±10〜±20%の場合は黄色、適正範囲外の場合は赤色の3種類のライトを備えた表示灯部18で表示する。
【0023】
吐出量比率が適正範囲外の場合、制御部16に接続している警報部19より警告音が出され、作業員は即座に是正措置をとれる。
【0024】
制御部16に接続しているインターネット接続部20により、吐出量比率を示すデータを、インターネット経由で工事管理者の外部端末に表示する。
【0024】
材料の吐出量及び吐出量比率の時系列データや、毎日の材料の投入量や投入回数を客観的に記録するジャーナル部21を制御部16に接続する。
【0025】
制御部の設定や入力のためキーボード22を制御部16に接続する。
【符号の説明】
1 ブロワー
2 解綿機
3 攪拌機
4 ポンプ
5 ロックウール圧送ホース
6 セメントミルク圧送ホース
7 解綿機遠隔操作ケーブル
8 ポンプ遠隔操作ケーブル
9 吹付ガン
10 解綿機遠隔操作リモコン
11 ポンプ遠隔操作リモコン
12 ロックウール投入センサー
13 セメントミルク投下センサー
14 解綿機運転時間センサー
15 ポンプ運転時間センサー
16 制御部
17 モニター部
18 表示灯部
19 警報部
20 インターネット接続部
21 ジャーナル部
22 キーボード
【要約】
【課題】半乾式ロックウール吹付工事の品質管理方法は、現在、施工前に計測する方法と、施工後に抜き取り検査でかさ比重を計測する方法しかない。施工中に材料の吐出量比率を客観的に把握する方法がなかった為、施工後の検査結果で品質に問題があった場合、是正措置としての吹き増しなどが必要となり全体工程に支障が生じていた。
【解決手段】ロックウールの解綿機2への投入部と、水とセメントでセメントミルクを作る攪拌機3の上槽から下槽への投下する栓にセンサーを取り付ける。またそれらを圧送する解綿機2とポンプ4の遠隔操作部にもセンサーを取り付け積算運転時間データを採る。それらデータを制御部16に取り込み、吐出量及び吐出量比率を算出し、モニター部17に表示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3