(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態にするとともに前記液体噴霧部から離脱させ、離脱した前記液体の粒子を被塗物に塗着させる液体塗着方法であって、
前記液体の粒子を反発するように帯電させた絶縁状態の反発体を、前記液体噴霧部から前記被塗物までの最短距離Xよりも、前記液体噴霧部から前記反発体までの最短距離Yが遠くなるように配置して、前記液体の粒子の一部又は全部の移動方向を変化させ、前記被塗物に前記液体の粒子を塗着させることを特徴とする液体塗着方法。
前記被塗物までの最短距離Xが、前記液体噴霧部と前記被塗物の前記液体の粒子を塗着させる部分との間の距離のうちの最も短い距離であることを特徴とする請求項1に記載の液体塗着方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0012】
なお、特に断りがない場合、「先(端)」や「前(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向側を表し、「後(端)」や「後(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向と反対側を表すものとする。
【0013】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置10の全体構成を示す斜視図であり、
図2は静電噴霧装置10の全体構成を示す上面図である。
図1及び
図2に示すように、静電噴霧装置10は、ノズル22を有する液体噴霧部20と、反発体30と、液体噴霧部20と液体噴霧部20に対して異極となる異極部40との間に電圧を印加する電圧印加手段(電圧電源)50と、を備える。
【0014】
なお、本実施形態では、電圧印加手段(電圧電源)50からの電気配線を被塗物に直接接続して、被塗物自体を異極部40としている場合を示しているが、例えば、被塗物を載置する載置部(図示せず)に電圧印加手段(電圧電源)50からの電気配線を接続して、この載置部を異極部40として載置部を介して被塗物が電圧印加手段(電圧電源)50に電気的に接続されるようになっていても良い。
【0015】
異極部40となる被塗物は、アース手段60でアースされるようになっている。
このアース手段60は必須の要件ではないが、被塗物のようなものの場合、作業者が触れたりすることがあり得るので安全面の観点で設けることが好ましい。
【0016】
以下では、まず、液体を噴霧するための基本構成についての説明を行った後に、本実施形態の構成によれば、ノズル22を対向配置できないような被塗物の液体を塗着させる部分に対しても良好に液体を塗着させることができることについて説明する。
【0017】
(液体噴霧部)
図3は、液体噴霧部20だけを示した断面図である。
なお、
図3では、液体噴霧部20から後述するように塗料などの液体が噴霧されている状態を合わせて図示したものになっている。
【0018】
図3に示すように、液体噴霧部20は、液体の供給される液体供給口21aを有する液体流路21bが形成された絶縁材料からなる胴体部21と、貫通孔が胴体部21の液体流路21bに連通するように胴体部21の先端に設けられるノズル22と、胴体部21の液体流路21b内及びノズル22の貫通孔内に配置される導電材料からなる心棒23と、を備えている。
【0019】
胴体部21には、心棒23を後端側に取り出すために、液体流路21bと連通した孔部21cが設けられ、その孔部21c内には、心棒23との間の隙間をシールして液体が漏れないようにするシール部材24が設けられている。
なお、本実施形態では、シール部材24としてOリングを用いているが、Oリングに限らず、シールが可能なものであればよい。
【0020】
そして、孔部21cを通じて胴体部21の後端側に位置する心棒23の後端には、絶縁材料からなる摘み部23aが設けられているとともに、摘み部23aのほぼ中央を貫通するように設けられた導電材料からなる電気配線接続部23bが設けられている。
【0021】
図1及び
図2に示すように、電気配線接続部23bには、電圧印加手段50からの電気配線が接続される。
そして、
図3に示すように、電気配線接続部23bが心棒23に接触するようにされることで心棒23と電気配線接続部23bとが電気的に接続されている。
【0022】
なお、本実施形態では、心棒23を液体噴霧部20側の電極としているが、例えば、液体噴霧部20のノズル22を導電材料からなるものとして、このノズル22に電圧印加手段50からの電気配線を接続するようにし、ノズル22を液体噴霧部20側の電極としても良い。
【0023】
また、胴体部21の後端開口部21dの内周面には、摘み部23aを螺合接続するための雌ネジ構造21eが設けられ、一方、摘み部23aの先端外周面には、雄ネジ構造23cが設けられている。
【0024】
したがって、胴体部21の後端開口部21dの雌ネジ構造21eに摘み部23aの先端外周面の雄ネジ構造23cを螺合させることで心棒23が取外し可能に胴体部21に取付けられている。
また、摘み部23aの螺合量を調節することで心棒23を前後方向に移動させることができ、心棒23の先端面23dの位置を前後方向に調節できるようになっている。
【0025】
ここで、一般に、静電噴霧装置の液体を噴霧するノズルは、液体が流れる貫通孔の直径が小さい微細な液体流路とされる。
これは、液体が流れ出るノズル先端の開口直径が大きいと、安定した液体の霧化状態が得られなくなるためと推察される。
例えば、一般には、ノズル先端の開口直径は0.1mm未満とされている。
【0026】
このため、液体が乾燥したりすると直ぐに、ノズル先端の開口部が目詰まりするが、開口直径が小さいため、この目詰まりを解消することが難しいという問題がある。
【0027】
しかしながら、理由については、後ほど説明するが、心棒23を用いるようにすることで、従来に比較して、ノズル先端の開口径を大きな開口直径としても良好な霧化ができることを見出し、このため、本実施形態のノズル22の先端の開口部22bの開口直径は0.2mmの大きな開口直径にできている。
この結果、目詰まりが発生する頻度を大幅に低減することができるようになっている。
【0028】
なお、ノズル22の開口部22bの開口直径は0.2mmに限定されるものではなく、心棒23を用いる形態においては、開口直径は1mm程度であっても問題はない。
【0029】
ノズル22の開口部22bの開口直径は、目詰まりが起きにくく、また、目詰まりが起きても清掃ができることを考慮すると、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、さらに0.2mmより大きくすることが好ましい。
【0030】
一方、ノズル22の開口部22bの開口直径は、霧化の安定性を考慮すると、1.0mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、さらに0.5mm以下とすることが好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、上述のように、心棒23を前後方向に移動させることができるため、目詰まりが起きても心棒23を移動させることで目詰まりの解消を行うことができる。
さらに、ノズル22の貫通孔の内径も心棒23を配置できる程度に大きくできているため、心棒23を取り外して洗浄液を大量に流して洗浄することも可能になっている。
【0032】
図4は、液体噴霧部20の先端側を拡大した拡大図であり、
図4(a)は、心棒23の先端面23dが後方に位置する場合であり、
図4(b)は、
図4(a)の状態よりも心棒23の先端面23dが前方に位置する場合である。
【0033】
図4(a)に示すようにノズル22は、開口部22b側に向かってテーパ状に内径が小さくなるテーパ角度がαであるテーパ状内径部(範囲A参照)を有しており、心棒23は、先端面23dに向かって外径が小さくなるテーパ角度がβであるテーパ形状部(範囲B参照)を有している。
【0034】
そして、ノズル22のテーパ状内径部のテーパ角度αが、心棒23のテーパ形状部のテーパ角度βよりも大きくされている。
また、心棒23の先端面23dの直径は、ノズル22の開口部22bの開口直径よりも小さい直径とされているが、心棒23のテーパ形状部は、後端側に向かって徐々に直径が大きくなり、ノズル22の開口部22bの開口直径よりも直径の大きい部分を有するように形成されている。
【0035】
上記のように、ノズル22及び心棒23の先端側を形成することによって、
図4(a)及び
図4(b)を見比べるとわかるように、心棒23を前後方向に移動させることでノズル22と心棒23とで形成される隙間の幅を調節できるようになり、ノズル22の開口部22bから出る液体の量を調節することができる。
【0036】
また、
図4(b)で示す状態よりも、さらに、心棒23を前方側に動かすことで、心棒23がノズル22の内周面に当接し、ノズル22の開口部22bを閉塞することが可能である。
したがって、塗料などの液体を噴霧しない状態において、ノズル22の開口部22bを心棒23で閉塞させ、ノズル22内の液体が乾燥することを防止することが可能であり、ノズル22の目詰まりを抑制できる。
【0037】
(異極部40)
本実施形態では、上述したように、異極部40に被塗物を用いた場合を示しており、電圧印加手段(電圧電源)50の心棒23に接続されるのと反対側の電気配線が被塗物に接続されることで被塗物自体が液体噴霧部20に対する異極となるようにされている。
【0038】
しかしながら、上記でも少し触れたが、例えば、被塗物が搬送装置などによって、塗料などの液体を塗布する位置に搬送されるような場合には、電圧印加手段50からの電気配線を搬送装置の被塗物が載置される載置部に接続されているようにして、載置部を介して被塗物が電圧印加手段50に電気的に接続されるようにしても良い。
【0039】
次に、
図3を参照しながら、まず、液体噴霧部20から液体が噴霧される状態について説明を行い、その後、その噴霧される液体を反発する反発体30について説明し、具体的な液体塗着方法についての説明を行う。
【0040】
胴体部21の液体供給口21aに供給された液体は、ノズル22の先端側に供給されていき、異極部40(被塗物)と心棒23との間に印加される電圧に伴う静電気力によって、前方側に引っ張られて前方に離脱・霧化する。
【0041】
なお、液体の供給は、噴霧により消費されることで液体噴霧部20から失われる分の液体が順次供給されていれば良く、ノズル22の開口部22b(より正確には、開口部22bと心棒23との間の隙間)から液体が噴射するような圧力で圧送供給される必要はなく、液体が勢いよく噴射される状態の場合、かえって霧化ができなくなるようなことが起こる。
【0042】
より具体的には、心棒23の先端面23d及びノズル22の先端外周縁22aへの表面張力や粘度による付着力に対して、液体を前方に引っ張る静電気力が釣り合うことで、
図3に示すように、ノズル22の先端側に供給された液体が、その先端で円錐形の形状となるテーラコーン80が形成される。
【0043】
このテーラコーン80は、電場の作用によって、液体中で正/負電荷の分離が起こり、過剰電荷で帯電したノズル22先端のメニスカスが変形して円錐状となって形成されているものである。
そして、テーラコーン80の先端から静電気力によって液体が真直ぐに引っ張られ、その後静電爆発によって広い範囲に液体が噴霧される。
【0044】
この噴霧される液体、つまり、ノズル22から離脱して液体粒子となった液体は、離脱前の状態に比べ、空気に触れる面積が飛躍的に大きくなるため溶媒の気化が促進され、その溶媒の気化に伴って帯電している電子間の距離が近づき、静電反発(静電爆発)が発生して、さらに、小さい粒径の液体粒子に分裂する。
【0045】
この分裂が起こると、さらに、分裂前に比べ空気に触れる表面積が増えることになるため、溶媒の気化が促進され、上述したのと同様に静電爆発が発生し、さらに、小さい粒径の液体粒子に分裂する。
このような静電爆発が繰り返されることで液体が霧化される。
【0046】
ここで、本実施形態では、ノズル22内に心棒23を設けるようにしている。
仮に、従来の静電噴霧装置のように、この心棒23を設けないものとすると、液体が付着できる部分は、ノズル22の先端外周縁22aだけとなる。
【0047】
そして、このような状態でノズル22の開口部22bの開口直径を大きくすると、液体の付着できる部分が、ノズル22の先端外周縁22aだけのため、例えば、ノズル22の上下左右に液体がふらついたりし易く、きれいなテーラコーン80が形成できなくなったり、また、テーラコーン80自体が維持できなくなるため、ノズル22から離脱する液体粒子の安定性(粒子の大きさ、数、及び、帯電状態などの安定性)が得られなくなり、結果、液体の安定した霧化ができなくなるものと推察される。
【0048】
一方、本実施形態では、ノズル22内に心棒23を配置して、ノズル22の先端外周縁22aだけでなく、心棒23の先端面23dとの間でも液体は付着する。
したがって、ノズル22の開口部22bの開口直径が大きくても、開口部22bの中央部に液体が付着できる心棒23の先端面23dが存在するため、安定したテーラコーン80を形成することができ、液体の安定した霧化ができるようになっているものと考えられる。
【0049】
なお、心棒23の先端面23dがノズル22の先端外周縁22a(つまり、ノズル22の開口部22bの先端面)から前方に出過ぎるとノズル22から出る液体に電場が作用し難くなり、一方、心棒23の先端面23dがノズル22の開口部22bの先端面から後方に引っ込み過ぎると、開口部22bの中央部に液体が付着できる部分が存在しないのと同じ状態となる。
【0050】
このことから、心棒23の先端面23dの位置は、液体を噴霧する状態において、ノズル22の開口部22bの先端面を基準にして、心棒23の中心軸に沿った前後方向で、ノズル22の先端の開口部22bの開口直径の10倍以内に位置することが好適であり、より好ましくは5倍以内に位置することが好適であり、さらに、好ましくは3倍以内に位置することが好適である。
【0051】
例えば、本実施形態では、ノズル22の開口部22bの開口直径が0.2mmであり、静電気力を考慮しない場合、ノズル22の開口部22bから出た液体は、ノズル22の先端で直径が約0.2mmの半球状となるように出てくる。
【0052】
そして、このノズル22の先端に出てきた液体に電場(静電気力)が作用して円錐状のテーラコーン80が形成できるように、心棒23の先端は、この液体の近くに存在することが良く、このためノズル22の開口部22bの先端面から前方(出る方向)に2mm以内に位置するようにするのが好適であり、一方、液体の付着に作用するように、心棒23の先端がノズル22の開口部22bの先端面から後方(引っ込む方向)に2mm以内に位置するようにするのが好適である。
【0053】
上記のように、心棒23を設けることによって、ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくしても安定した液体の霧化が行える。
このため、ノズル22の開口部22bの開口直径を目詰まりが抑制できるような大きな開口直径にすることができる。
また、ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくできるため機械加工でノズル22が製作できる。
【0054】
なお、本実施形態では、心棒23の先端が先端面23dとして平坦な平面としている場合を示しているが、必ずしも、心棒23の先端が平坦な平面である必要はなく、安定したテーラコーン80の形成に寄与すれば良いので、例えば、心棒23の先端はR形状のように、前方側に向かって突出する曲面になっていても良い。
【0055】
このようにして液体噴霧部20(ノズル22)から噴霧された液体は、静電爆発を繰り返しながら霧化し、この微粒化した液体は電荷を帯びた状態であるため、異極部40(被塗物)側に静電気力で引き寄せられて被塗物に塗着することになる。
【0056】
(反発体)
反発体30は、液体噴霧部20から噴霧される帯電した液体の粒子を反発するように帯電させられる部材であり、その液体の粒子を反発する帯電状態を保つために絶縁状態で設置される。
【0057】
本実施形態では、
図2に示すように被塗物(異極部40)の内壁面のうち、奥側の内壁面及び左右の内壁面に反発体30が設けられている。この場合、反発体を液体噴霧部から被塗物までの最短距離Xよりも液体噴霧部から反発体までの最短距離Yが遠くなるように配置している。
具体的には、反発体30は、シート状、フィルム状又はテープ状のものとして構成され、その反発体30が奥側の内壁面及び左右の内壁面に貼着されている。
【0058】
そして、反発体30が、絶縁状態に保たれていると、液体を噴霧するための静電気力によって、反発体30は、帯電した液体を反発する帯電状態になる。
【0059】
ここで、反発体30を絶縁材料からなるものとしておけば、上述のように、被塗物(異極部40)の内壁面に直接接触させるような反発体30の配置方法としても、短絡が発生することがないように絶縁状態が保たれるので、帯電した液体を反発する帯電状態を維持することが可能である。
【0060】
したがって、本実施形態のような反発体30の配置方法とする場合には、反発体30は、絶縁材料で形成されるのが好ましく、絶縁材料の種類は、特に制限されるものではないが、耐溶剤性に優れる、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートやフッ素系樹脂などの耐溶剤性に優れる材料が好適である。
【0061】
(液体塗着方法)
次に、上記のような構成からなる第1実施形態の静電噴霧装置10を用いた液体塗着方法について説明する。
【0062】
図5は、液体を噴霧して被塗物(異極部40)の液体を塗着させる部分(以下、液体塗着部40aともいう)に液体を塗着させているところを模式的に示す図である。
なお、
図5では、電圧印加手段50やアース手段60の図示を省略しているが、これらは、
図2に示す通りである。
【0063】
図5に示すように、第1実施形態では、外形が矩形状で、ノズル22に対向する壁面に上下方向に延びるスリット開口41が設けられた被塗物(異極部40)になっている。
そして、このスリット開口41が形成されている壁面の内壁面だけに液体を塗着させ、内壁面のうちの奥側の内壁面及び左右の内壁面には、液体を塗着させない場合を示している。
【0064】
そのために、
図5に示すように、反発体30は、液体塗着部40aよりも奥側に位置する左右の内壁面及び奥側の内壁面に設けられ、液体噴霧部20から液体塗着部40aまでの最短距離よりも最短距離が遠くなるように配置されている。
【0065】
そして、このような位置にある液体塗着部40aに対してはノズル22を対向させるように液体噴霧部20を配置することができないが、液体を噴霧するための静電気力を発生させるために被塗物(異極部40)と液体噴霧部20(本例では、心棒23)との間に電圧印加手段50で電圧を印加すると、発生した静電気力によって、液体の噴霧が開始されるのに合わせて反発体30が噴霧される帯電した液体の粒子を反発する帯電状態となる。
【0066】
そうすると、
図5に示すように、一旦、奥側の内壁面へと向かった液体の粒子が、点線矢印で示すように、反発体30でノズル22側に押し戻されるように移動方向を変化させる。
【0067】
また、左右の内壁面にも反発体30が設けられているので、液体の粒子は左右の内壁面側でも反発され、内壁面側に塗着しないように移動方向が変化して、左右の内壁面側に塗着せずに、液体塗着部40aであるスリット開口41が形成されている壁面の内壁面側に戻ってくる。
【0068】
この液体塗着部40aは、異極部40の状態になっているので帯電した液体の粒子は、静電気力によって液体塗着部40aに引き寄せられて液体塗着部40aに塗着し、ノズル22を液体塗着部40aに向けて配置できないにも関わらず、液体塗着部40aに対して良好に液体を塗着させることができる。
【0069】
ところで、上記では、反発体30の帯電状態は、液体の噴霧を開始することで行われる場合を示したが、初めのうちは、反発体30が、十分に液体を反発することができる帯電状態になっていない可能性がある。
【0070】
そうすると、反発体30に液体が付着する場合があり、そうすると、何度も繰り返し反発体30を使用する場合には、洗浄に手間がかかるという問題がある。
また、仮に、反発体30に塗着した液体が被塗物と短絡するような状態となると、この反発体30に塗着した液体が異極部40を構成することになり、反発力を低下させる虞がある。
【0071】
そこで、反発体30への液体の塗着が起こりにくいようにするために、あらかじめ、噴霧される液体の粒子を反発できる帯電状態に反発体30を帯電させる帯電工程を行い、その後、液体の噴霧を開始するようにすることが望ましい。
【0072】
具体的には、液体噴霧部20に液体を供給しない状態で、液体を液体噴霧部20から離脱させるための静電気力を発生させる電圧印加手段50で被塗物(異極部40)と液体噴霧部20(本例では心棒23)との間に電圧を印加し、液体を噴霧しない状態で静電気力を発生させるようにして、液体を噴霧する前に反発体30を帯電状態とするようにすればよい。
【0073】
また、別の方法としては、液体噴霧部20から液体を離脱させるのに用いない、本例の心棒23とは異なる放電用の別の放電電極を設けておき、その放電電極と被塗物(異極部40)との間に電圧を印加し、静電気力を発生させて、液体を噴霧する前に、その静電気力で反発体30を帯電させるようにしても良い。
この場合、放電電極は、放電効果が高いように、被塗物(異極部40)側となる先端を先細り形状としておくのが好適である。
【0074】
(第1実施形態の変形例)
次に、
図6を参照しながら第1実施形態の変形例について説明する。
図6は、第1実施形態の変形例を示す図であり、
図6を見るとわかるように、基本的な構成は、第1実施形態と同じであるので、以下では主に異なる点についてのみ説明し、同様の点についての説明は省略する。
図6に示すように、変形例の被塗物(異極部40)は、断面がコ字状(U字状)であり、この変形例では、液体を塗着させる液体塗着部40aが左右の内壁面になっている。
【0075】
この場合、開口幅が広ければ、液体噴霧部20を被塗物(異極部40)の中に配置して左右の内壁面に順次、ノズル22を対向させるようにして液体の塗着作業を行うことが可能であるが、この変形例のように開口幅が狭い場合は、そのような作業を行うことができない。
【0076】
しかしながら、本変形例のように、反発体30を液体塗着部40aよりも奥側となる離れた位置(奥側の内壁面)に設けるようにするだけで、先ほど説明したのと同様に、液体が反発体30で反発されて戻る側に移動方向が変化し、今度は、左右の内壁面に反発体30が設けられていないため、静電気力によって、反発された液体の粒子が良好に塗着する。
【0077】
より正確に言えば、帯電した液体の粒子が、この開口に進入するときに、この液体の粒子のうち、開口の近くの左右の内壁面に引き寄せられる距離に位置する液体の粒子は、そのまま左右の内壁面に引き寄せられて塗着し、一方、開口の中央側を通って侵入するような左右の内壁面から離れた液体の粒子は、開口奥側(奥側の内壁面よりの左右の内壁面)に向かい、反発体30で反発された後に、奥側の左右の内壁面に引き寄せられて塗着し、全体としてムラの無い良好な液体の塗着を行うことができる。
【0078】
このように、第1実施形態及び第1実施形態の変形例で説明したように、反発体30を液体噴霧部20と液体塗着部40aの間の距離よりも離れた位置(奥側)に設置してやるだけでノズル22を対向させることが難しいような液体塗着部40aに対しても良好な液体の塗着作業を行うことが可能となる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、
図7、
図8を参照しながら、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図7は第2実施形態の全体構成を示す上面図であり、
図8は第2実施形態の全体構成を示す斜視図である。
なお、
図8では、電圧印加手段50やアース手段60の図示を省略している。
以下でも、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様な点については説明を省略する。
【0080】
図7及び
図8に示すように、第2実施形態では、被塗物(異極部40)が断面L字型をしているものになっている。
このような形状の場合、液体噴霧部20側に位置する表面40bには、簡単に良好な液体の塗着作業が行えるが、その表面40bの反対側に位置する裏側の裏面40cに良好な液体の塗着を行なおうとすると、被塗物(異極部40)を回転させて裏側の裏面40cを液体噴霧部20側に向くように配置し直す必要が生じる。
【0081】
しかしながら、
図7に示すように、液体噴霧部20から被塗物(異極部40)までの最短距離Xよりも最短距離Yが遠くなる位置に、被塗物(異極部40)の裏側の液体塗着部40aとなる面に対面させるように反発体30の反発部31を向けるように反発体30を位置させるようにすれば、反発体30で反発された液体の粒子が液体塗着部40aに点線矢印で示すように液体塗着部40aに向かい、被塗物(異極部40)を回転させるようなことをしなくても、液体塗着部40aに液体を良好に塗着させることが可能となる。
【0082】
なお、本実施例では、液体噴霧部20側から見て、被塗物(異極部40)の右側の裏面を液体塗着部40aとしているが、左側の裏面にも液体を塗着させたい場合は、被塗物(異極部40)を中心に対称となる位置に同様に反発体30を配置しておきさせすれば、液体噴霧部20を被塗物(異極部40)の左側に移動させるだけで左側の裏面にも液体を良好に塗着させることができるようになる。
【0083】
本実施形態では、先ほどの第1実施形態及び第1実施形態の変形例とは、異なる構成でも反発体30を構成することができることを示すために、反発体30を絶縁材料だけで構成するものではない場合を示している。
【0084】
具体的には、第2実施形態の反発体30は、反発部31を構成する材料に導電材料を用いるようにしている。
なお、反発部31は、10
10Ω以下の表面抵抗の帯電防止材料でもよい。
そして、反発体30は、反発部31を絶縁状態に保つために絶縁支持する絶縁材料からなる絶縁支持部32で反発部31を支持する構成とされている。
このように、反発部31に電気抵抗の小さい材料を用いるようにしたとしても、その反発部31自体を絶縁状態に保つことで帯電状態を維持することが可能となり、良好に液体の粒子を反発する反発部31にすることができる。
【0085】
以上、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を実施しても良く、そのような変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。