特許第6678894号(P6678894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6678894
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】開創器用バルブキャップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   A61B17/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-102868(P2016-102868)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-209191(P2017-209191A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 慶弘
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−039703(JP,A)
【文献】 実開平05−011904(JP,U)
【文献】 特開2011−245017(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0000420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61M 39/02
A61M 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体壁に形成された開創部を拡張する開創器の体腔外側に装着され、可撓性を有するシート部材を複数積層してなる天蓋部材と、前記天蓋部材を前記開創器に気密に装着する装着部材と、該シート部材に設けられ、処置具を体腔内に導入するために厚さ方向に貫通するスリット部とを備え、
該スリット部は、前記処置具が各シート部材のスリット部に挿入されたとき、一のシート部材のスリット部と前記処置具との間に形成される間隙が他のシート部材により閉塞されるように、隣接する各シート部材のスリット部が互いに交差するよう設けられている開創器用バルブキャップであって、
前記シート部材は、厚さ方向に貫通する開閉自在な孔部とを有し、
前記孔部は、前記処置具を前記スリット部に挿入する際に、前記シート部材が体腔内側方向に伸張されることで該孔部が拡げられて開口し、隣接する前記シート部材の間まで連通して空気を導入する通路となることを特徴とする開創器用バルブキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の開創器用バルブキャップにおいて、
前記一のシート部材の前記孔部は、隣接する他のシート部材の前記スリット部から、所定の間隔を存して設けられていることを特徴とする開創器用バルブキャップ。
【請求項3】
請求項1または2記載の開創器用バルブキャップにおいて、
前記シート部材の前記孔部は、該シート部材の前記スリット部を挟んで、少なくとも一対設けられていることを特徴とする開創器用バルブキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開創器用バルブキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下外科手術及び比較的小規模な開腹手術の際に、鉗子等の円柱状の処置具を腹腔内へ導入するために、体壁に形成された開創部に装着され、該開創部の開口状態を維持するとともに該開創部を保護するための開創器が知られている。
【0003】
前記開創器は、体腔内側に配置されるリング状の内側固定部材と、体腔外側に配置されるリング状の外側固定部材と、該内側固定部材と該外側固定部材とを接続し、前記開創部を拡張する筒状の拡張部材とを備える。前記開創部に前記開創器を装着することにより形成された開口部から、前記処置具を体腔内に導入することにより、各種処置を行うことができる。
【0004】
内視鏡下外科手術は、施術を円滑に行うために、安定した良好な手術視野の確保が必要となる。手術視野を確保するために、例えば、気腹法が広く用いられている。気腹法は、体腔内に二酸化炭素ガスを注入して陽圧にすることにより体腔を膨らませる方法である。
【0005】
ところが、前記開創部に前記開創器を装着すると、形成された開口部から二酸化炭素ガスが抜け出てしまい、体腔を膨らませることができないという問題がある。そこで、前記開創器に装着され、該開創器により形成された開口部から処置具を導入可能にするとともに腹腔の気密性を維持することができる開創器用バルブキャップが種々開発されている。
【0006】
従来、開創器用バルブキャップとして、可撓性を有する軟質樹脂からなるシート部材を複数積層してなる円形の天蓋部材と、該天蓋部材を前記外側固定部材に気密に装着するリング状の装着部材と、該シート部材に設けられ、前記処置具を体腔内に導入するために厚さ方向に貫通するスリット部とを備えるものが知られている。
【0007】
前記スリット部は、前記処置具が各前記シート部材の該スリット部に挿入されたとき、一の該シート部材の該スリット部と該処置具との間に形成される間隙が他のシート部材により閉塞されるように、隣接する該シート部材の各スリット部が互いに交差するように形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
前記従来の開創器用バルブキャップでは、前記シート部材の前記スリット部と前記処置具との間には、該処置具の外周面の一部分を底辺とするとともに該スリット部の各スリット形成面を等辺とする略二等辺三角形状体からなる一対の間隙が形成される。
【0009】
このとき、前記隣接する各シート部材のスリット部が互いに交差していて、前記一のシート部材の前記スリット部と前記処置具との間に形成される一の間隙が、前記他のシート部材によって閉塞されている。そして、前記他のシート部材の前記スリット部と前記処置具との間に形成される他の間隙もまた、前記一のシート部材によって閉塞されている。この結果、前記一の間隙と前記他の間隙との連通を防止することができる。
【0010】
以上により、前記従来の開創器用バルブキャップは、前記処置具が体腔内に導入されているとき、体腔内と前記一の間隙と前記他の間隙と体腔外との連通を防ぎ、体腔内の気密性を維持することができる。
【0011】
また、前記従来の開創器用バルブキャップは、前記処置具が体腔内に導入されていないとき、前記シート部材が可撓性を有することにより、自身の弾力でスリット形成面が互いに密着して前記スリット部が閉塞しているとともに、隣接する前記シート部材の各スリット部が互いに交差しているので、体腔内の気密性を維持することができる。
【0012】
したがって、前記従来の開創器用バルブキャップによれば、前記処置具が体腔内に導入されているか否かに係わらず、体腔内の気密性を維持することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2011−245017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記従来の開創器用バルブキャップでは、各前記シート部材の前記スリット部に前記処置具が挿入しにくい場合があるという不都合がある。これは、隣接する前記シート部材が互いに密着して張り付くことで、一方のシート部材のスリット部が開こうとするのを他方のシート部材が妨げ、該他方のシート部材のスリット部が開こうとするのを該一方のシート部材が妨げてしまうことに起因する。
【0015】
上記の点に鑑み、本発明は、体腔内の気密性を維持しつつ、処置具を容易に挿入することができる開創器用バルブキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明の開創器用バルブキャップは、体壁に形成された開創部を拡張する開創器の体腔外側に装着され、可撓性を有するシート部材を複数積層してなる天蓋部材と、前記天蓋部材を前記開創器に気密に装着する装着部材と、該シート部材に設けられ、処置具を体腔内に導入するために厚さ方向に貫通するスリット部とを備え、該スリット部は、前記処置具が各シート部材のスリット部に挿入されたとき、一のシート部材のスリット部と前記処置具との間に形成される間隙が他のシート部材により閉塞されるように、隣接する各シート部材のスリット部が互いに交差するよう設けられている開創器用バルブキャップであって、前記シート部材は、厚さ方向に貫通する開閉自在な孔部とを有し、前記孔部は、前記処置具を前記スリット部に挿入する際に、前記シート部材が体腔内側方向に伸張されることで該孔部が拡げられて開口し、隣接する前記シート部材の間まで連通して空気を導入する通路となることを特徴とする。
【0017】
本発明の開創器用バルブキャップでは、積層された各シート部材の各スリット部に対して、処置具を体腔外側から順次挿入していく。このとき、隣接するシート部材が密着して互いに貼り付くことで、スリット部が開きにくいシート部材があると、シート部材は可撓性を有することから、該シート部材及び該シート部材より体腔内側に積層されたシート部材は、処置具の先端に押し込まれて体腔内側に伸張する。
【0018】
すると、該シート部材または該シート部材より体腔内側に配置されたシート部材に設けられた孔部は、前記シート部材の伸張によって伸び拡げられて開口する。これにより、前記孔部は、隣接する各シート部材の間まで連通する通路を構成し、該隣接する各シート部材の間に空気を導入する。
【0019】
この結果、密着して貼り付いていた隣接するシート部材が離間し、互いのスリット部の開口を阻止していた状態が解消される。
【0020】
そして、前記処置具が前記スリット部を通過して体腔内に導入されると、前記シート部材は可撓性を有するので、前記孔部は自身の弾力で縮狭されて元通り閉塞する。
【0021】
以上により、本発明の開創器用バルブキャップによれば、体腔内の気密性を維持しつつ、処置具を容易に挿入することができる。
【0022】
本発明の開創器用バルブキャップにおいて、前記一のシート部材の前記孔部は、隣接する他のシート部材の前記スリット部から、所定の間隔を存して設けられていることが好ましい。
【0023】
これによれば、隣接する各シート部材のうち、一方のシート部材の孔部が開口して通路を形成した際に、該通路の出口は、他のシート部材のスリット部以外の領域において開口することになる。したがって、隣接する各シート部材の間に確実に空気を導入することで、処置具を容易に挿入することができる。
【0024】
本発明の開創器用バルブキャップにおいて、前記シート部材の前記孔部は、該シート部材の前記スリット部を挟んで、少なくとも一対設けられていることが好ましい。
【0025】
これによれば、スリットを挟んで両側から隣接するシート部材との間に空気を導入して、スリット形成面が互いに離間する方向に動いて該スリット部が開くようにすることで、処置具を容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態の開創器用バルブキャップの装着状態を示す説明図。
図2図2Aは、本実施形態の第1のシート部材の平面図、図2Bは、第2のシート部材の平面図、図2Cは、本実施形態の開創器用バルブキャップの平面図。
図3】本実施形態の開創器用バルブキャップに処置具を導入した状態の要部を示す説明図。
図4】本実施形態の開創器用バルブキャップに処置具を導入する過程を示す説明図であって、図4Aは、初期段階を示す断面図、図4Bは、処置具を挿入した段階を示す断面図、図4Cは、挿入によって孔部が開口した状態を示す断面図。
図5】本実施形態の開創器用バルブキャップの変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示す本実施形態の開創器用バルブキャップ(以下、バルブキャップという)1は、内視鏡下外科手術において鉗子等の円筒状の処置具Fを腹腔内へ導入するために、体壁Bに形成された開創部Wに装着される開創器2に装着されるものである。
【0028】
開創器2は、開創部Wを拡張する筒状の拡張部材3と、該拡張部材3の一端部に固着され体腔内側に配置される内側固定リング4と、該拡張部材3の他端部に固着され体腔外側に配置される外側固定リング5とを備える。
【0029】
拡張部材3は、例えば、ポリウレタンからなる弾性を有する薄膜により形成されている。拡張部材3は、伸張していない状態のとき、内側固定リング4及び外側固定リング5の直径よりも小さい直径を有している。
【0030】
内側固定リング4は、例えば、シリコーンゴムからなり、断面視略円形状である。
【0031】
外側固定リング5は、例えば、シリコーンゴムからなり、断面視略長方形状である。外側固定リング5は、該外側固定リング5を中心軸として拡張部材3を巻き上げることにより、該拡張部材3の長さを短くして体壁Bの厚さに対応するように調節することができる。
【0032】
図1に示すように、バルブキャップ1は、円形の天蓋部材11と、該天蓋部材11の表面及び裏面に積層された第1の膜部材12及び第2の膜部材13と、該天蓋部材11及び該膜部材12,13を開創器2の外側固定リング5に気密に装着する装着リング14とを備える。
【0033】
天蓋部材11は、可撓性を有する第1の軟質樹脂からなり、外側固定リング5の内径と同程度の直径を有する円形状からなる複数のシート部材15a,15b(以下、15と略記することがある)を積層して形成されている。前記第1の軟質樹脂として、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、及び、ポリエチレンからなる群から選択される1種の樹脂を用いることができる。各シート部材15a,15bは、円柱状の処置具Fを体腔内に導入するために厚さ方向に貫通する第1のスリット部16a,第2のスリット部16b(以下、16と略記することがある)を備えている。
【0034】
第1の膜部材12及び第2の膜部材13は、伸縮性を有するとともに第1の軟質樹脂に対する滑り性を有する第2の軟質樹脂からなり、天蓋部材11の直径よりも大きい直径を有する円形状からなる。前記第2の軟質樹脂として、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及び、ポリエチレンからなる群から選択される1種の樹脂を用いることができる。第1の膜部材12及び第2の膜部材13は、その間に天蓋部材11を挟持するとともに、その端部が互いに接着している。
【0035】
第1の膜部材12は、シート部材15aの第1のスリット部16aの中心位置と重なる位置に、処置具Fを体腔内に導入するために厚さ方向に貫通する第1の円孔17を備えている。第1の円孔17は、処置具Fの直径に対して40〜90%の範囲の直径を有していればよく、本実施形態では、処置具Fの直径よりも小さい直径を有している。
【0036】
第2の膜部材13は、シート部材15bの第2のスリット部16bの中心位置と重なる位置に、処置具Fを体腔内に導入するために厚さ方向に貫通する第2の円孔18を備えている。第2の円孔18は、第1の円孔17と同程度の直径を有している。
【0037】
装着リング14は、例えば、天然ゴム、ポリウレタンからなり、断面視略U字形状であって、開創器2の外側固定リング5に装着可能である。装着リング14は、外側固定リング5に装着したときに該外側固定リング5の外方に天蓋部材11及び膜部材12,13が位置するように、膜部材12,13の端部が接着されている。
【0038】
図2Aに示すように、シート部材15aは、前記第1のスリット部16aを3つ備えている。第1のスリット部16aは、処置具Fの直径よりも大きな長さ、例えば、該処置具Fの直径に対して100〜200%の範囲の長さを有するように形成されている。
【0039】
また、シート部材15aは、両シート部材15a,15bとの間まで連通して空気を導入するために厚さ方向に貫通する6個の第1の孔部19aを備えている。
【0040】
第1の孔部19aは、3つの第1のスリット部16aを夫々挟んで、該第1のスリット部16aから所定の間隔を存して、一対ずつ設けられている。該第1の孔部19aは、小径な針孔であり、伸張していない状態では自身の弾力で縮狭されて閉塞される直径であればよく、本実施形態では、0.5〜2.0mmに形成されている。
【0041】
同様にシート部材15bは、図2Bに示すように、第2のスリット部16bを3つ備えている。第2のスリット部16bは、第1のスリット部16aと同程度の直径を有している。
【0042】
また、シート部材15bは、両シート部材15a,15bとの間まで連通して空気を導入するために厚さ方向に貫通する6個の第2の孔部19bを備えている。第2の孔部19bは、3つの第2のスリット部16bを夫々挟んで、該第2のスリット部16bから所定の間隔を存して、一対ずつ設けられている。該第2の孔部19bは、小径な針孔であり、伸張していない状態では自身の弾力で縮狭されて閉塞される直径であればよく、本実施形態では、0.5〜2.0mmに形成されている。
【0043】
図2Cに示すように、シート部材15aの第1のスリット部16aとシート部材15bの第2のスリット部16bとは、平面視において直交するように形成されている。また、シート部材15aの第1の孔部19aとシート部材15bの第2の孔部19bとは、両スリット部16a,16bの交点から、いずれも同程度離れて設けられている。各孔部19a,19bは、両スリット部16a,16bの交点から、スリット部16の半分の長さ以下の距離に設けられるのが好ましく、本実施形態では該交点から1.0〜3.0mm程度離れた位置に設けられている。
【0044】
また、対向する第1の孔部19aを結んだ仮想線と対向する第2の孔部19bを結んだ仮想線とは直交する。そして、各シート部材15において、スリット部16と、前記対向する孔部19を結んだ仮想線とは、前記両スリット部16a,16bの交点上において、45度の角度をなして交差するように形成されている。
【0045】
また、第1の膜部材12の第1の円孔17及び第2の膜部材13の第2の円孔18の中心位置と、前記両スリット部16a,16bの交点とは、平面視において重なる位置に設けられている。
【0046】
図3に示すように、隣接する各シート部材15のスリット部16a,16bは互いに交差するように形成されているので、一のシート部材15aの第1のスリット部16aと処置具Fとの間に形成される間隙Saが他のシート部材15bによって閉塞され、他のシート部材15bの第2のスリット部16bと処置具Fとの間に形成される間隙Sbが他のシート部材15aによって閉塞される。
【0047】
次に、本実施形態のバルブキャップ1及びそれが装着される開創器2の使用方法について説明する。
【0048】
先ず、開創器2を装着する位置として、例えば、腹部の皮膚及び腹膜を切開し、切開創としての開創部Wを形成する。次に、開創部Wから、開創器2の内側固定リング4を撓めた状態で挿入し、腹腔内において展開する。このとき、開創器2の外側固定リング5は、腹腔外に位置する。
【0049】
次に、外側固定リング5を把持し、該外側固定リング5を径方向内側に倒しながら、該外側固定リング5を中心軸として拡張部材3を巻き上げることにより、開創部Wを径方向に拡張して所望の大きさの直径を有する開口部を形成するとともに、該拡張部材3の長さを体壁Bの厚さに対応させる。
【0050】
次に、装着リング14で外側固定リング5を被覆することにより、バルブキャップ1を開創器2に装着する。このようにして開創器2に装着されたバルブキャップ1は、処置具Fが未挿入の場合には、スリット部16a,16b及び孔部19a,19bが自身の弾力でスリット形成面が互いに気密に密着することにより、体腔内の気密性を維持することができる。
【0051】
次に、バルブキャップ1に処置具Fが挿入される場合について説明する。
【0052】
処置具Fは、天蓋部材11に対して略垂直となるように、第1の膜部材12の第1の円孔17と、各シート部材15のスリット部16と、第2の膜部材13の第2の円孔18とに順次挿入されて、体腔内に導入される。
【0053】
先ず、図4Aに示すように、第1の膜部材12は、伸縮性を有する第2の軟質樹脂からなることにより伸張するので、第1の円孔17が処置具Fの直径よりも小さい直径を有していても該第1の円孔17に該処置具Fを容易に挿入することができる。
【0054】
これにより、図4Aに示すように、第1の円孔17を通過した処置具Fの先端は、シート部材15aの第1のスリット部16aの中心位置と重なる位置に配置される。
【0055】
そして、処置具Fを押し込んでいくと、通常であれば、該処置具Fに押されて第1のスリット部16aのスリット形成面が互いに離間して変形し、次いで、第2のスリット部16bのスリット形成面が互いに離間して変形して、該処置具Fが挿入されていく。
【0056】
しかしながら、シート部材15a,15bが互いに密着して貼り付いて、シート部材15bにより第1のスリット部16aの変形が阻止され、シート部材15aにより第2のスリット部16bの変形が阻止される場合がある。
【0057】
このとき、処置具Fを押し込んでいくと、図4Bに示すように、シート部材15a,15bは次第に下方に伸張される。このとき、シート部材15bの第2の孔部19bも、次第に伸び拡げられて開口する。
【0058】
これにより、第2の孔部19bは、図4Cに示すように、隣接するシート部材15a,15bの間まで連通する通路を構成する。この結果、第2の孔部19bは、第2の円孔18側から、シート部材15a,15bの間に空気を導入することができる。なお、図示しないが、シート部材15aの第1の孔部19aも同様に開口し、第1の円孔17側からシート部材15a,15bの間に空気を導入する通路を構成する。
【0059】
シート部材15a,15bは間に空気を導入されることで、密着して貼り付いていた状態から剥がされて互いに離間し、相互にスリット部16の変形を阻止していた状態が解消される。
【0060】
これにより、前記処置具Fは、スリット部16を通過し、さらに第2の円孔18に挿入され、体腔内に導入される。そして、シート部材15a,15bは可撓性を有するので、孔部19a,19bは自身の弾力で前記各通路は縮狭されて元通り閉塞される。
【0061】
以上により、本実施形態のバルブキャップ1によれば、シート部材15a,15bが互いに密着して貼り付いている場合であっても、体腔内の気密性を維持しつつ、処置具Fを体腔内に容易に挿入することができる。
【0062】
なお、本実施形態のバルブキャップ1では、第1の膜部材12の第1の円孔17、第2の膜部材13の第2の円孔18、シート部材15aの第1のスリット部16a及びシート部材15bの第2のスリット部16bを3個備えるとしているが、1〜2個であってもよく、4個以上であってもよく、図5に示すように、一面に多数設けてもよい。
【0063】
また、本実施形態のバルブキャップ1では、第1の膜部材12の第1の円孔17及び第2の膜部材13の第2の円孔18と、シート部材15aの第1のスリット部16a及びシート部材15bの第2のスリット部16bとは、いずれも同一の大きさで形成されているが、本発明はこれに限られるものではなく、異なる大きさの処置具Fを挿入可能なように、異なる大きさで形成してもよい。
【0064】
また、本実施形態のバルブキャップ1では、シート部材15a,15bの両方にスリット部16a,16bをそれぞれ有するが、本発明はこれに限られるものではなく、いずれか一方だけにスリット部16を設けてもよい。
【0065】
また、本実施形態のバルブキャップ1では、スリット部16a,16bの夫々に、一対の孔部19が設けられたものを説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、孔部19は、スリット部16に対して1個設けられてもよく、さらには、3個以上設けられてもよい。
【0066】
また、本実施形態のバルブキャップ1では、シート部材15a,15bのスリット部16a,16bは直交しているが、本発明はこれに限られるものではなく、スリット部16a,16bが交差していればよい。
【0067】
また、本実施形態のバルブキャップ1では、各シート部材15において、スリット部16と、前記対向する孔部19を結んだ仮想線とは、前記両スリット部16a,16bの交点上において、45度の角度をなして交差するように形成されているが、本発明はこれに限られるものではなく、一方のシート部材15の孔部19が、他方のシート部材15のスリット部16以外の領域に接するように配置され、該領域まで通路を形成できるように配置されていればよい。
【符号の説明】
【0068】
1…開創器用バルブキャップ、 2…開創器、 11…天蓋部材、 14…装着部材、 15,15a,15b…シート部材、 16,16a,16b…スリット部、 19,19a,19b…孔部、 F…処置具、Sa,Sb…間隙、 W…開創部。
図1
図2
図3
図4
図5