(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1〜
図5を用いて、本発明における第1実施形態について説明を行う。
【0013】
(酸素シェルター1の外観斜視図)
まず、
図1を用いて、本発明における酸素シェルター1の構成について具体的に説明を行う。なお、
図1は、開口部3が開放された状態の酸素シェルター1の外観を示す図である。
【0014】
(酸素シェルター1)
本発明における酸素シェルター1は、収容部2と、気圧制御ユニット6と、濃縮酸素装置7により構成される。
【0015】
(収容部2)
収容部2は、
図2に示す通り、収容部2の底面に設けられている板状の底面板2aと、収容部2の正面視左側面に設けられている板状の左側面板2bと、収容部2の正面視右側面に設けられている板状の右側面板2cと、収容部2の正面側に設けられている板状の正面板2dと、収容部2の背面側に設けられている板状の背面板2eと、収容部2の天井側に設けられている板状の天井板2fとにより構成されており、溶接、ビス止め等により結合されることで箱形状に形成されている。また、収容部2は、酸素シェルター1を利用する利用者を収容可能な空間を内部に有している。
【0016】
また、収容部2の材質は、強度に優れた金属製(例えば、鋼、鉄)となっている。これにより、収容部2の耐重圧性、耐衝撃性が向上するので、収容部2の内部にいる利用者の安全性が向上する。なお、収容部2の材質は、強度に優れた材質であればどのような材質であってもよい。
【0017】
ここで、本実施形態において、天井板2fには、天井板2fを補強するための金属製の天井板補強柱が格子状に設けられている。これにより、例えば、地震等で鉄筋や鉄骨構造物が上方から衝突した際であっても、鉄筋や鉄骨構造物が天井板2fに衝突する前に、天井板補強柱に衝突することとなるので、酸素シェルター1の安全性が向上する。なお、天井板補強柱は、溶接、ビス止め等により天井板2fと結合される。
【0018】
同様に、正面板2dには、正面板2dを補強するための金属製の正面板補強柱が格子状に設けられており、底面板2aには、底面板2aを補強するための金属製の底面板補強柱が格子状に設けられている。
【0019】
また、本実施形態において、右側面板2cには、右側面板2cを補強するための金属製の右側面板補強柱が設けられている。これにより、例えば、地震等で鉄筋や鉄骨構造物が右側から衝突した際であっても、鉄筋や鉄骨構造物が右側面板2cに衝突する前に、右側面板補強柱に衝突することとなるので、酸素シェルター1の安全性が向上する。なお、右側面板補強柱は、溶接、ビス止め等により右側面板2cと結合される。
【0020】
同様に、左側面板2bには、左側面板2bを補強するための金属製の左側面板補強柱が設けられており、背面板2eには、背面板2eを補強するための金属製の背面板補強柱が設けられている。
【0021】
なお、天井板補強柱、正面板補強柱、底面板補強柱、右側面板補強柱、左側面板補強柱、及び背面板補強柱を総称して「補強柱」という。
【0022】
ここで、本実施形態において、収容部2は、奥行き(D)が120cm、幅(W)が260cm、高さ(H)が150cm程度の大きさとなっており、酸素シェルター1の利用者を複数人収容可能となっているが、収容部2の大きさは、少なくとも1人の利用者を収容可能な大きさであればどのような大きさであってもよい。なお、収容部2の内部には、気圧制御ユニット6に設けられている後述の受話器6bと通話可能な受話器(図示せず)が設けられている。
【0023】
(開口部3)
開口部3は、収容部2の正面板2dに設けられており、酸素シェルター1の利用者が収容部2の内部に出入り可能な大きさにより形成されている。ここで、開口部3の大きさは、利用者が出入り可能な大きさであれば、どのような大きさであってもよい。また、開口部3が設けられる位置は、正面板2dではなく、他の位置に設けられていてもよい。例えば、開口部が左側面板2bや、右側面板2c、背面板2e、天井板2fに設けられていてもよい。
【0024】
(扉部4)
扉部4は、収容部2の正面板2dに設けられており、開口部3を開放、及び閉塞可能に設けられている。ここで、扉部4の大きさは、開口部3を閉塞可能な大きさであれば、どのような大きさであってもよい。また、扉部4が設けられる位置は、開口部3が設けられている位置に合わせて、別の位置に設けられていてもよい。なお、本実施形態において、扉部4は、開き戸となっているが、これに限定されることはなく、例えば、引き戸や、折れ戸であってもよい。
【0025】
(窓部5)
窓部5は、収容部2の正面板2dに設けられており、収容部2の外部から収容部2の内部を視認可能とするために設けられている。また、窓部5を設けることにより、収容部2の内部にいる利用者の閉塞感を軽減することができる。ここで、窓部5は、正面板2d以外の位置(例えば、左側面板2b、右側面板2c、背面板2e)に設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。なお、窓部5の大きさは、どのような大きさであってもよい。
【0026】
(気圧制御ユニット6)
気圧制御ユニット6は、収容部2や、濃縮酸素装置7と接続されており、収容部2の内部の気圧を制御するために設けられている。また、気圧制御ユニット6は、気圧制御ユニット6に電力を供給するための気圧制御ユニット用電源ボタン6aと、収容部2の内部にいる利用者と通話可能な受話器6bと、収容部2の内部の気圧を制御するための操作を検出する制御パネル6cを有している。
【0027】
(濃縮酸素装置7)
濃縮酸素装置7は、気圧制御ユニット6と接続されており、濃縮酸素装置7に電力を供給するための濃縮酸素装置用電源ボタン7aと、濃縮酸素装置7の内部に設けられており、空気中の窒素、及び二酸化炭素を取り除くためのゼオライト(図示せず)を有している。
【0028】
(酸素シェルター1の利用方法)
ここで、酸素シェルター1の利用方法について説明を行う。まず、気圧制御ユニット用電源ボタン6aと、濃縮酸素装置用電源ボタン7aを操作することにより、気圧制御ユニット6と、濃縮酸素装置7の電源をONにする。次に、制御パネル6cを操作することにより、気圧制御ユニット6から濃縮酸素装置7に対して収容部2の内部の気圧を制御する制御信号が送信されることとなる。また、濃縮酸素装置7は、外気を取り込み、この取り込んだ外気から、ゼオライトにより窒素、及び二酸化炭素を取り除くことにより、濃度の濃い酸素を精製し、濃度の濃い酸素を気圧制御ユニット6に供給する。そして、気圧制御ユニット6は、濃縮酸素装置7から供給された濃度の濃い酸素を、収容部2の内部に供給する処理を行う。これらにより、収容部2の内部の気圧が制御されることとなる。なお、この後、利用者は、扉部4を開いて収容部2の内部に入り、扉部4を閉めることで酸素シェルター1を利用することとなる。
【0029】
(外側酸素排出弁8)
外側酸素排出弁8は、正面板2dに設けられており、収容部2の内部の酸素を排出するために設けられている。ここで、収容部2の外側から外側酸素排出弁8を操作することにより、収容部2の内部の酸素を排出することができる。
【0030】
(内側酸素排出弁9)
内側酸素排出弁9は、正面板2dに設けられており、外側酸素排出弁8と同様に、収容部2の内部の酸素を排出するために設けられている。ここで、利用者は、収容部2の内部から内側酸素排出弁9を操作することにより、収容部2の内部の酸素を排出することができる。
【0031】
(カバー部10を取り付けた酸素シェルター1)
次に
図3を用いて、本発明におけるカバー部10を取り付けた酸素シェルター1について説明を行う。
【0032】
(カバー部10)
カバー部10は、酸素シェルター1のデザインを変更するために設けられている。ここで、カバー部10は、柱部12と、壁部17により構成されている。
【0033】
(柱部12)
柱部12は、本体部13と、この本体部13に設けられ、壁部17を嵌装するための溝部14と、本体部13に設けられ、収容部2の補強柱に取り付けるためのビス穴15とが設けられている。
【0034】
(壁部17)
壁部17は、酸素シェルター1のデザインを変更するために設けられている。ここで、壁部17には、所定の色が着色されている。なお、本実施形態において、壁部17の材質は、石膏ボード、べニア、メラミン化粧板、ポリエステル化粧板、金属等を適用することができるが、これに限定されることはなく、どのような材質を適用することとしてもよい。
【0035】
(カバー部10の拡大図)
次に
図4を用いて、本発明におけるカバー部10の拡大図について説明を行う。なお、
図4(A)は、カバー部10の拡大図である。また、
図4(B)は、カバー部10の断面拡大図である。
【0036】
図4(A)や、
図4(B)に示す通り、柱部12は、本体部13に設けられたビス穴15にビス16が挿通され、収容部2の補強柱に取り付けられている。そして、壁部17は、柱部12に設けられた溝部14に嵌装されている。
【0037】
次に、
図4(B)に示す通り、柱部12に設けられた溝部14の幅(W)は、壁部17の厚み(D)よりも大きい。このため、溝部14に壁部17を嵌装すると、隙間G1と、隙間G2とからなる隙間Gが生じることとなる。
【0038】
また、本実施形態においては、柱部12と、溝部14との間には、隙間G3が生じることとなる。そして、具体的には、
図5を用いて詳述するが、この隙間G1、隙間G2、及び隙間G3により、収容部2の膨張を吸収することができる。
【0039】
(酸素シェルター1の利用時におけるカバー部10の態様)
次に、
図5を用いて、酸素シェルター1の利用時におけるカバー部10の態様について説明を行う。
【0040】
本実施形態において、気圧制御ユニット6は、濃縮酸素装置7が精製した濃度の濃い酸素を収容部2の内部に供給することとなる。そうすると、収容部2の内部の気圧が高くなるため、収容部2が膨張することとなる。
【0041】
このため、収容部2に対して、単に壁部17を取り付けた場合には、収容部2が膨張することにより壁部17が押圧されることとなる。そうすると、取り付けた壁部17が取れてしまうおそれや、壁部17が破損してしまうおそれがある。
【0042】
これに対して、本実施形態における酸素シェルター1は、
図4に示す通り、柱部12に設けられた溝部14の幅(W)が、壁部17の厚み(D)よりも大きくなっているので、溝部14に壁部17を嵌装すると、隙間Gが生じることとなる。そして、この隙間Gにより、収容部2の膨張を吸収することができるので、カバー部10が破損してしまうことを防止することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、溝部14の幅(W)から壁部17の厚み(D)を減算した分の隙間Gにより、収容部2の膨張を吸収することとしているが、これに限定されることはなく、収容部2の膨張を吸収することができれば、どのような態様であってもよい。例えば、カバー部10の素材を吸収素材により構成することにより、収容部2の膨張を吸収することとしてもよい。
【0044】
(カバー部10の取付方法)
次に、
図6を用いて、カバー部10の取付方法について説明を行う。
【0045】
まず、
図6(A)に示す通り、収容部2の補強柱に対して取付穴11を穿設することとなる。ここで、取付穴11は、柱部12を取り付ける際に、ビス穴15と重なる位置に穿設されることとなる。
【0046】
次に、
図6(B)に示す通り、収容部2の補強柱に対して柱部12を取り付けることとなる。具体的には、取付穴11と、ビス穴15との位置合わせを行い、ビス16を挿通することにより、補強柱に対して柱部12を取り付けることとなる。
【0047】
次に、
図6(C)に示す通り、柱部12に対して壁部17を取り付けることとなる。具体的には、柱部12の溝部14に沿って、壁部17を上方から嵌装することにより取り付けることとなる。
【0048】
次に、
図6(D)に示す通り、柱部12に対して壁部17を取り付けた後、天井板2fに対して壁部17を取り付けることとなる。
【0049】
(その他の実施形態)
以下にその他の実施形態について説明を行う。
【0050】
本実施形態では、
図3に示す通り、壁部17は、扉部4に対応する開口部と、外側酸素排出弁8や、内側酸素排出弁9に対応する開口部と、気圧制御ユニット6や、濃縮酸素装置7と接続するコネクタを挿入する挿入口に対応する開口部とが設けられているが、これらに限定されることはなく、例えば、窓部5に対応する開口部が設けられていてもよい。
【0051】
また、本実施形態において、柱部12と、補強柱とは、取付穴11と、ビス穴15に対してビス16を挿通することにより取り付けられるが、これに限定されることはない。例えば、溶接により取り付けられてもよい。
【0052】
また、本実施形態において、壁部17は、溝部14に嵌装することにより取り付けられるが、これに限定されることはない。例えば、柱部12に対してビス止めすることにより取り付けられてもよい。
【0053】
このように、本発明によれば、柱部12に設けられた溝部14の幅(W)が、壁部17の厚み(D)よりも大きくなっているので、溝部14に壁部17を嵌装すると、隙間Gが生じることとなる。そして、この隙間Gが、収容部2の膨張を吸収することにより、カバー部10が破損してしまうことを防止することが可能な酸素シェルター1を提供することができる。
【0054】
なお、本実施形態において、「収容部2」は、本発明の「収容部」を構成する。
【0055】
また、本実施形態において、「開口部3」は、本発明の「開口部」を構成する。
【0056】
また、本実施形態において、「扉部4」は、本発明の「扉部」を構成する。
【0057】
また、本実施形態において、「気圧制御ユニット6」は、本発明の「気圧制御部」を構成する。
【0058】
また、本実施形態において、「カバー部10」は、本発明の「カバー部」を構成する。
【0059】
また、本実施形態において、「柱部12」は、本発明の「柱部」を構成する。
【0060】
また、本実施形態において、「壁部17」は、本発明の「壁部」を構成する。
【0061】
また、本実施形態において、「隙間G」は、本発明の「吸収部」を構成する。
【0062】
なお、本実施形態において、「溝部14」は、本発明の「溝部」を構成する。
【0063】
なお、本発明の実施について図面を用いて説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。また、各図面で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図面の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図面を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【解決手段】本発明における酸素シェルター1は、柱部12に設けられた溝部14の幅(W)が、壁部17の厚み(D)よりも大きくなっているので、溝部14に壁部17を嵌装すると、隙間Gが生じることとなる。そして、この隙間Gが、収容部2の膨張を吸収する。これにより、収容部2が膨張したとしても、カバー部10が破損してしまうことを防止することが可能な酸素シェルター1を提供することができる。