(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6679079
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】工作機械の作動監視システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20200406BHJP
B23Q 11/12 20060101ALI20200406BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20200406BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20200406BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
B23Q17/00 D
B23Q17/00 A
B23Q11/12 Z
B23Q11/00 K
G05B19/418 Z
G08B25/00 510M
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-141876(P2019-141876)
(22)【出願日】2019年8月1日
【審査請求日】2019年8月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146087
【氏名又は名称】株式会社松浦機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】天谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】武澤 泰則
(72)【発明者】
【氏名】山内 和也
【審査官】
藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−169827(JP,A)
【文献】
特開2002−132324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18−19/416
19/42−19/46
G08B1/00−9/20
19/00−31/00
H04N7/18
B23Q11/00−13/00
17/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料に対する切削加工を行う工作機械の異常作動を検出するシステムであって、複数個の各工作機械において駆動モータにおけるトルク、又は速度が正常な作動による範囲内を超えた場合、及び/又は当該駆動モータによって作動する当該工作機械に対する構成部分及び前記材料の往復移動又は回転移動における移動位置が所定の正常な作動による領域の範囲を超えた場合に、各工作機械に備えている反射表示板を、工場内の照明光を反射し得る位置に移動することによって、当該反射光を、各工作機械を撮影しているカメラに投影し、当該投影に係る映像に対する監視によって、作動異常が発生している工作機械を特定している工作機械の作動監視システム。
【請求項2】
材料に対する切削加工を行う工作機械の異常作動を検出するシステムであって、複数個の各工作機械において駆動モータにおけるトルク、又は速度が正常な作動による範囲内を超えた場合、及び/又は当該駆動モータによって作動する当該工作機械に対する構成部分及び前記材料の往復移動又は回転移動における移動位置が所定の正常な作動による領域の範囲を超えた場合に、各工作機械に備えたランプの点灯光を、各ランプの点灯光を受理することができる位置にある光センサに投影し、かつ当該投影方向の相違に関する監視によって、作動異常が発生している工作機械を特定している工作機械の作動監視システム。
【請求項3】
前記トルク又は前記速度又は前記作動位置における正常な作動範囲を基準として、駆動モータに対する入力電圧又は入力電流を設定していることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項4】
各工作機械に番号を付し、作動異常の検出によって特定された工作機械を番号の映像表示による特定を加重していることを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項5】
各工作機械に番号を付し、かつ作動異常の検出によって特定された工作機械を番号のアナウンスを伴う音声による特定を加重していることを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項6】
各工作機械をコントロールする各制御装置において、全制御出力信号のうちの少なくとも一部が所定の期間継続していない場合に、制御装置の異常作動を、請求項2の点灯光及び請求項1の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプによって点灯し、かつ当該点灯光を、請求項1のカメラ又は請求項2の光センサに投影することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項7】
各工作機械における作動の潤滑及び/又は冷却を目的として工作機械内を循環する潤滑油及び/又は冷却油の流速を検出し、当該流速が下限値を下回った場合に、請求項2の点灯光及び請求項1の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプによって点灯し、かつ当該点灯光を、請求項1のカメラ又は請求項2の光センサに投影することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項8】
各工作機械において、往復移動又は回転移動を行う構成部分に、温度検査装置を設定し、かつ検出された温度が所定期間に上限値を超えた場合に、請求項2の点灯光及び請求項1の反射光と異なるカラーによる光を照射し、しかも前記構成部分に固着されているランプによって点灯し、かつ当該点灯光を、請求項1のカメラ又は請求項2の光センサに投影することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項9】
工作のために使用される工具の交換装置、及び当該工具の搬送装置、及び工作の対象となる材料の単位を形成しているワークを搭載するパレット、当該パレットを搬送する各装置において、各装置を駆動するモータに対する入力電圧又は入力電流が印加されているにも拘らず、当該各装置が作動しない場合に、各装置において、請求項2の点灯光及び請求項1の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプによって点灯し、かつ当該点灯光を、請求項1のカメラ又は請求項2の光センサに投影することを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項10】
各工作機械の作動によって発生する切削粉及び/又はヒュームを収集するフィルター付のコレクタに移動するために必要な送風における流速又は当該送風に基づく気圧を検出し、前記流速又は前記気圧が下限値を下回った場合に、請求項2の点灯光及び請求項1の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプによって点灯し、かつ当該点灯光を、請求項1のカメラ又は請求項2の光センサに投影することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6の何れか一項に記載の工作機械の作動監視システム。
【請求項11】
請求項4、5、6、7、8、9、10の各ランプが照射する光につき、相互に異なるカラーを選択し、請求項1のカメラ又は請求項2の光センサに投影することを特徴とする工作機械の作動監視システム。
【請求項12】
請求項2の各ランプにおいて、正常な作動範囲内の場合に対応するカラー、正常な作動範囲を超えた場合のカラー、及び作動を終了した場合のカラーをそれぞれ点灯し、各工作機械の作動監視を行う場所にて、各工作機械のカラーの変化状態を記録し、かつ各工作機械における異常の発生頻度を集計することを特徴とする工作機械の作動監視システム。
【請求項13】
請求項1の各反射表示板において、正常な作動の場合に対応する位置、正常な作動範囲を超えた場合に対応する位置、及び作動を終了した場合の位置をそれぞれ設定し、かつ各工作機械の作動監視を行う場所にて、各反射板の位置の変化状態を記録し、かつ各工作機械における異常の発生頻度を集計することを特徴とする工作機械の作動監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業場に配置されている複数個の工作機械が正常に作動しているか否かを監視する工作機械の作動監視システムを対象としている。
【背景技術】
【0002】
作業場に配置された複数個の加工装置によって所定の物を自動制御に基づいてオートマチックに加工する場合には、各加工装置の作動状態が正常であるか否かを判断する監視システムを必要不可欠とする。
【0003】
前記判断の必要性は、加工装置が工作機械である場合には特に顕著であるが、従来技術においては、機械の作動を検知した場合には、作動している個別の加工装置が発した異常を知らせる検知信号を、無線又は有線によって監視装置に伝達している。
【0004】
しかしながら、このような信号の伝達の場合には、監視装置において、何れの加工装置から信号が発生されたかを峻別する機構を必要不可欠とする。
【0005】
具体的には、各加工装置の所在場所によって各信号が採用している電圧、電流又は周波数(但し、交流信号の場合)や波形等によって峻別し、かつ監視装置において当該峻別する機構を備えることを必要不可欠とする。
【0006】
言うまでもなく、各加工装置に対応して異なる信号を伝達し、当該信号に対する峻別機構の設置は、相当煩雑である。
【0007】
各加工装置において異常が発生した場合に、ランプの点灯によって異常を知らせる場合には、上記信号の伝達は不要である。
【0008】
しかしながら、作業場に設置した工作機械が複数個存在する場合には、監視担当者がランプの点灯を見逃すというアクシデントを避けることは極めて困難であって、その結果、作業場の各加工装置における作動の異常を確実に監視することは、極めて困難とならざるを得ない。
【0009】
サーバ異常検出システムを開示している特許文献1においては、撮像デバイス11は、サーバ51の前面パネルに設けられた異常検出用のランプの画像を撮像し、制御管理部20が撮像デバイス11に撮像された画像におけるランプの輝度である第1の輝度と基準参照画像のランプの輝度である第2の輝度との差分を算出して、算出したその差分が予め設定されるしきい値以上である場合に、サーバ51が異常であると判定している(要約書の「解決手段」の項)。
【0010】
しかしながら、異常検出用のランプが点灯することによって、サーバ51の異常の可能性を察知し得る以上、前記のような差分の算出が必要であるか否かは極めて疑問である。
【0011】
しかも、複数個のサーバ51を作業場に配置した場合に、制御管理部20が前記しきい値以上であるか否かを判定するためには、制御管理部20内に各撮像デバイス11を峻別する機構を必要不可欠としている点において、従来技術と同様に信号を伝達する構成と変わりはない。
【0012】
プラントの監視診断システムを開示している特許文献2においては、プラントの状態の異常を監視診断しており(請求項3)、しかもプラントの状態をカラー表示する実施形態を採用し、当該実施形態の場合には、プラントの異常もまたカラー表示しているものと解される。
【0013】
しかしながら、特許文献2においては、作動しているプラントの複数の構成要素における異常な作動をシステムがどのようにして峻別するかについては具体的な説明が行われている訳ではない。
【0014】
出願人が検索した限り、作業場に配置された各工作機械の作動異常を統括して監視する場合に、複数の工作機械における異常を知らせる信号を峻別する機構を不要とした上で、異常が発生している工作機械を特定し得るような公知技術はこれまで見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2018−112920号公報
【特許文献2】特開平6−331507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、作業場において作動している複数個の工作機械における異常な作動を伝達する信号に対する峻別機構を要せずに、異常が発生した工作機械を速やかに特定し得る工作機械の作動監視システムの構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(
1)材料に対する切削加工を行う工作機械の異常作動を検出するシステムであって、複数個の各工作機械において駆動モータにおけるトルク、又は速度が正常な作動による範囲内を超えた場合、及び/又は当該駆動モータによって作動する当該工作機械に対する構成部分及び前記材料の往復移動又は回転移動における移動位置が所定の正常な作動による領域の範囲を超えた場合に、各工作機械に備えている反射表示板を、工場内の照明光を反射し得る位置に移動することによって、当該反射光を、各工作機械を撮影しているカメラに投影し、当該投影に係る映像に対する監視によって、作動異常が発生している工作機械を特定している工作機械の作動監視システム、
(
2)材料に対する切削加工を行う工作機械の異常作動を検出するシステムであって、複数個の各工作機械において駆動モータにおけるトルク、又は速度が正常な作動による範囲内を超えた場合、及び/又は当該駆動モータによって作動する当該工作機械に対する構成部分及び前記材料の往復移動又は回転移動における移動位置が所定の正常な作動による領域の範囲を超えた場合に、各工作機械に備えたランプの点灯光を、各ランプの点灯光を受理することができる位置にある光センサに投影し、かつ当該投影方向の相違に関する監視によって、作動異常が発生している工作機械を特定している工作機械の作動監視システム、
からなる。
【発明の効果】
【0018】
基本構成(1)、(2に立脚している本発明においては、複数個の工作機械を撮影しているカメラによって、照明光を反射している反射表示板の位置を特定するか(基本構成(
1)の場合)、又は各工作機械におけるランプの点滅に基づく光光信号を受理した光センサにおける光信号の方向を特定すること(基本構成(
2)の場合)を介して、異常な作動に至った工作機械を特定することができ、従来技術の場合のような異常な作動を知らせる信号を峻別し、かつ特定するための格別な機構を伴わずに監視機能を実現し、かつ達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】基本構成(1)を示す模式状の側面図である。
【
図2】基本構成(2)を示す模式状の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
作業場において作動している工作機械1が正常な作動から逸脱している異常な作動の典型例としては、
a 駆動モータにおけるトルク、又は速度が正常な作動による範囲内を超えること、
b 駆動モータによって作動する当該工作機械1に対する構成部分及び前記材料の往復移動又は回転移動における移動位置が所定の正常な作動による領域の範囲を超えること、
にある。
【0021】
基本構成(
1)においては、前記a及び/又は前記bの場合に、図
1に示すように、各工作機械1に備えている反射表示板22を、工場内の照明光5を反射し得る位置に移動することによって、当該反射光を、各工作機械1を撮影しているカメラ31に投影し、当該投影に係る映像に対する監視によって、作動異常が発生している工作機械1を特定している。
【0022】
基本構成(
2)においては、前記a及び/又は前記bの場合に、図
2に示すように、各工作機械1に備えたランプ21の点灯光を、各ランプ21の点灯光を受理することができる位置にある光センサ32に投影し、かつ当該投影方向の相違に関する監視によって、作動異常が発生している工作機械1を特定している。
【0023】
基本構成(1)においては、前記各映像を監視することによって、作動異常が発生している工作機械1を特定し得る以上、当該特定のために必要な峻別機構は不要であって、前記効果を達成することができる。
【0024】
基本構成(
2)においても、光センサ32に投影している点滅光の投影方向の相違に関する監視によって作動異常が発生している工作機械1を特定し得る以上、当該特定のための峻別機構は不要であって、前記効果を達成することができる。
【0025】
尚、前記各監視を行うために、本発明においては、
図1、2にそれぞれ示すように、基本構成(1)の映像に対する監視部位4、及び基本構成(
2)の方向の相違に関する監視部位4を設定している。
【0026】
更には、前記基本構成(1)、(2)においては、前記aに基づく異常な作動を判別するために、通常、前記トルク又は前記速度又は前記作動位置における正常な作動範囲を基準として、駆動モータに対する入力電圧又は入力電流を設定している。
【0027】
本発明は、前記基本構成(1)、(2)に立脚した上で、以下のような新たな実施形態を採用することができる。
【0028】
基本構成(1)の映像に対する監視及び基本構成(
2)の投影方向の相違に関する監視によって作動異常が発生している工作機械1を十分特定することができる。
【0029】
但し、各工作機械1に番号を付し、作動異常の検出によって特定された工作機械1を番号の映像表示による特定を加重していることを特徴とする実施形態(以下、「実施形態1」と称する。)を採用した場合には、番号を介して、作動異常が発生している工作機械1を速やかに特定することができる。
【0030】
前記番号を付すことによる特定は、前記のように映像のみに限定される訳ではない。
【0031】
各工作機械1に番号を付し、かつ作動異常の検出によって特定された工作機械1を番号のアナウンスを伴う音声による特定を加重していることを特徴とする実施形態(以下、「実施形態2」と称する。)を採用した場合には、基本構成(1)の映像及び基本構成(
2)の方向に関する監視部位4に、担当者が不在であっても、前記アナウンスによって作動異常が発生している工作機械1を特定することができる。
【0032】
各工作機械1においては、各構成部分及び材料の往復移動又は回転移動に対する継続的な制御が行われており、当該制御は、前記構成部分に対する継続的な信号によって実現されている。
【0033】
このような場合、各工作機械1をコントロールする各制御装置において、全制御出力信号のうちの少なくとも一部が所定の期間継続していない場合に、制御装置の異常作動を、基本構成(
2)の点灯光及び基本構成(
1)の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプ21によって点灯し、かつ当該点灯光を、基本構成(1)のカメラ31又は基本構成(
2)の光センサ32に投影することを特徴とする実施形態(以下、「実施形態3」と称する。)を採用した場合には、各工作機械1における制御装置の異常な作動を速やかに発見することが可能となり、制御異常の発生による重大なアクシデントを避けることができる。
【0034】
工作機械1における各構成部分においては、双方の接触による摩擦及び当該摩擦に基づく発熱を避けることができない。
【0035】
このような状況の下に、各工作機械1においては、接触による摩擦を軽減し、かつ緩和するための潤滑油による循環及び/又は前記発熱を緩和するための冷却油の循環による冷却が行われている。
【0036】
仮に、潤滑油及び/又は冷却油が正常に循環していない場合には、工作機械1は、摩擦及び発熱によって前記bのような異常作動に突入する可能性がある。
【0037】
このような場合、各工作機械1における作動の潤滑及び/又は冷却を目的として工作機械1内を循環する潤滑油及び/又は冷却油の流速を検出し、当該流速が下限値を下回った場合に、基本構成(
2)の点灯光及び基本構成(
1)の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプ21によって点灯し、かつ当該点灯光を、基本構成(1)のカメラ31又は基本構成(
2)の光センサ32に投影することを特徴とする実施形態(以下、「実施形態4」と称する。)を採用した場合には、事前に前記bの異常作動を避けることができる。
【0038】
実施形態4の場合のように、潤滑油及び/又は冷却油の循環によって、往復移動又は回転移動を行う部分に対する摩擦状態を緩和し、かつ発熱状態を緩和しているにも拘らず、当該構成部分において、局所的に異常発熱を行う場合がある。
【0039】
上記異常発熱は、大抵の場合、構成部分の変形が生じ、潤滑油及び/又は冷却油の循環が正常であっても発生し、当該循環によって対処し切れないことを原因としている。
【0040】
このような場合、各工作機械1において、往復移動又は回転移動を行う構成部分に、温度検査装置を設定し、かつ検出された温度が所定期間に上限値を超えた場合に、基本構成(
2)の点灯光及び基本構成(
1)の反射光と異なるカラーによる光を照射し、しかも前記構成部分に固着されているランプ21によって点灯し、かつ当該点灯光を、基本構成(1)のカメラ31又は基本構成(
2)の光センサ32に投影することを特徴とする実施形態(以下、「実施形態5」と称する。)を採用した場合には、異常な発熱状態に到った構成部分を速やかに検出し、かつ当該構成部分に対する修繕を速やかに実現することができる。
【0041】
各工作機械1が作動するためには、工作のために使用される工具の交換、及び当該工具の工作機械1への搬送、更には工具によって工作の対象となる材料の単位を形成しているワークをパレットに搭載した上で、各工作機械1への当該パレットの搬送を必要不可欠とする。
【0042】
然るに、工具の交換装置、及び工具の搬送装置、更にはパレットの搬送する装置においては、前記各装置を駆動する駆動モータが正常に作動しているにも拘らず、当該駆動部位と、前記各装置との接続関係が異常であるために、前記各装置が正常に作動しないというアクシデントが発生する場合がある。
【0043】
このような場合には、工作のために使用される工具の交換装置、及び当該工具の搬送装置、及び工作の対象となる材料の単位を形成しているワークを搭載するパレット、当該パレットを搬送する各装置において、各装置を駆動するモータに対する入力電圧又は入力電流が印加されているにも拘らず、当該各装置が作動しない場合に、各装置において、基本構成(
2)の点灯光及び基本構成(
1)の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプ21によって点灯し、かつ当該点灯光を、基本構成(1)のカメラ31又は基本構成(
2)の光センサ32に投影することを特徴とする実施形態(以下、「実施形態6」と称する。)を採用した場合には、前記各装置の異常状態を速やかに検出し、必要な修繕措置を速やかに講ずることができる。
【0044】
工作機械1が作動する場合には、必然的にワークを切削することを原因として、切削粉及び/又はヒュームが必然的に発生し、これらは、送風によって移動し、かつフィルター付のコレクタに収集されている。
【0045】
このような切削粉及び/又はヒュームを移動させる送風が所定のレベルに到らない場合には、工作機械1内部に切削粉及びヒュームが残留し、工作機械1の正常な作動に対する重大な支障が発生する。
【0046】
このような場合、各工作機械1の作動によって発生する切削粉及び/又はヒュームを収集するフィルター付のコレクタに移動するために必要な送風における流速又は当該送風に基づく気圧を検出し、前記流速又は前記気圧が下限値を下回った場合に、基本構成(
2)の点灯光及び基本構成(
1)の反射光と異なるカラーによる光を照射し得るランプ21によって点灯し、かつ当該点灯光を、基本構成(1)のカメラ31又は基本構成(
2)の光センサ32に投影することを特徴とする実施形態(以下、「実施形態7」と称する。)を採用した場合には、送風における流速又は送風による気圧が所定のレベルに到っていないことを速やかに検出し、切削粉及びヒュームの作業場における蓄積を速やかに避けることができる。
【0047】
前記の実施形態1、2、3、4、5、6、7は、何れも単独にて採用することが可能であると共に、併存した状態にて採用することも可能である。
【0048】
特に、実施形態1、2、3、4、5、6、7の全てを採用し、かつ当該各実施形態における各ランプ21が照射する光につき、相互に異なるカラーを選択し、基本構成(1)のカメラ31又は基本構成(2)のカメラ31又は基本構成(3)の光センサ32に投影することを特徴とする実施形態を採用した場合には、各実施形態が監視の対象としている異常状態を峻別した上で、前記7種類の異常状態の全てに対処することができる。
【実施例1】
【0050】
実施例1は、基本構成(
2)に立脚した上で、各ランプ21において、正常な作動範囲内の場合に対応するカラー、正常な作動範囲を超えた場合のカラー、及び作動を終了した場合のカラーをそれぞれ点灯し、各工作機械1の作動監視を行う場所、具体的には監視部位4にて、各工作機械1のカラーの変化状態を記録し、かつ各工作機械1における異常の発生頻度を集計することを特徴としている。
【0051】
このような各工作機械1における異常の発生頻度を集計することによって、各工作機械1の作動上の問題点及び欠陥を統計的に分析することができる。
【実施例2】
【0052】
実施例2は、基本構成(
1)に立脚した上で、各反射表示板22において、正常な作動の場合に対応する位置、正常な作動範囲を超えた場合に対応する位置、及び作動を終了した場合の位置をそれぞれ設定し、かつ各工作機械1の作動監視を行う場所、具体的には監視部位4にて、各反射板の位置の変化状態を記録し、かつ各工作機械1における異常の発生頻度を集計することを特徴としている。
【0053】
実施例2においても、実施例1と同様に、各工作機械1の作動上の問題点及び欠陥を統計的に分析することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、作業場に配置されている工作機械に作動異常が発生した場合に、カメラに投影された映像、又は光センサに投影された投影方向というシンプルな情報によって、速やかに作動異常が発生している工作機械を速やかに特定し得る点において画期的な意義が存在し、工作機械の分野における利用範囲は絶大である。
【符号の説明】
【0055】
1 工作機械
21 ランプ
22 反射表示板
31 カメラ
32 光センサ
4 監視部位
5 照明光
【要約】 (修正有)
【課題】作動異常が発生した工作機械を格別の峻別記号を要せずに特定する工作機械の作動監視システムの構成を提供する。
【解決手段】工作機械1の異常作動を検出するシステムであって、各工作機械の駆動モータの正常な作動による範囲内を超えた場合、及び/又は工作機械の構成部分及び材料の移動状況が正常な範囲を超えた場合に、a.各工作機械に備えたランプ21の点灯光のカメラ31への投影による映像の監視、b.各工作機械に備えた反射表示板からの反射光のカメラ31への投影による映像の監視、c.各工作機械に備えたランプ21の点灯光の光センサへの投影方向の相違の監視、の何れかによって、作動異常が発生している工作機械を特定する工作機械の作動監視システム。
【選択図】
図1