(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾力調節手段が、前記弾性手段の前記雄ネジ部材とは反対側において前記保持筒体の雌ネジ部にねじ込まれた調節円盤ネジであることを特徴とする、請求項4に記載の開閉装置。
前記保持筒体の外周に一端部を前記取付部材側に固定し、他端部を前記支持部材側に固定させたトーションスプリングを弾設したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
前記保持筒体における前記弾性手段が収容される部分の内径を、前記雄ネジ部材がねじ込まれる部分の内径よりも大きくし、大径の弾性手段を収容し得るよう構成したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような従来公知の開閉装置の多くは、開閉体の開閉時にフリクション機構が発生させるフリクショントルクは一定であり、連続的に増減はしない。そこで、カム機構を設けたり、トーションスプリングを併用したりして、フリクショントルクを開閉体の開閉時に変動させるようにして、開閉体の回転モーメントを制御している。例えば、開閉体を開閉角度の途中で自立保持させたり、開閉体のの閉成時に急激に当該開閉体が閉じないようにしている。
そうすると、部品点数が多くなって、コスト高になる上に、開閉時のフリクション機構の耐久性においても難点があり、実装時において例えば開閉操作10,000回の耐久テストに耐えることが困難であった。
【0005】
そこで本発明の目的は、構成が簡単であり、耐久性において優れた性能を示す開閉装置並びにこの開閉装置を用いた各種機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、被開閉体に対して開閉体を開閉可能に連結する開閉装置であって、前記被開閉体の側に取り付けられる取付部材と、前記開閉体の側へ取り付けられる支持部材と、前記取付部材へ前記支持部材を回転可能に連結するヒンジ部材と、前記開閉体の開閉時にフリクショントルクを創出させるフリクション機構とから成り、
前記支持部材は、前記開閉体に取り付けられる支持プレート部と、前記ヒンジ部材に取り付けられる回転アーム部とで構成され、前記支持プレート部と回転アーム部とは、互いに相対回転動作は不能な状態を維持しつつ、前記回転アーム部は前記ヒンジ部材の軸方向へ移動可能なように連結されると共に、前記ヒンジ部材を、前記取付部材か前記支持部材のいずれか一方へ取り付けられその中心部軸方向に雌ネジ部を設けた保持筒体と、前記取付部材と前記支持部材のいずれか他方に取り付けられ前記雌ネジ部に螺合させる雄ネジ部材とで構成し、前記フリクション機構を前記保持筒体と雄ネジ部材の螺合部分と、前記保持筒体と前記雄ネジ部材との間に設けた弾性手段とで構成したことを特徴とする。
【0007】
その場合において、好適には、前記支持部材は、前記開閉体に取り付けられる支持プレート部と、前記ヒンジ部材に取り付けられる回転アーム部とで構成され、
前記回転アーム部は、前記支持プレート部に設けた枠片間に嵌め込まれることにより、前記支持プレート部に対し相対回転動作は不能な状態を維持しつつ、前記回転アーム部は前記ヒンジ部材の軸方向へ移動可能なように取付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明はまた、好適には、前記支持部材は、前記開閉体に取り付けられる支持プレート部と、前記ヒンジ部材に取り付けられる回転アーム部とで構成され、前記支持プレート部と回転アーム部とが互いに固定されたことを特徴とする。
【0009】
本発明はさらに、前記弾性手段による前記雄ネジ部材に対する押圧力を調節する弾力調節手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明はさらに、前記弾力調節手段が、前記弾性手段の前記雄ネジ部材とは反対側において前記保持筒体の雌ネジ部にねじ込まれた調節円盤ネジであることを特徴とする。
【0011】
本発明はさらに、前記弾性手段が皿バネであることを特徴とする。
【0012】
本発明はまた、前記弾性手段が圧縮コイルバネであることを特徴とする。
【0013】
本発明はさらに、前記保持筒体の外周に一端部を前記取付部材側に固定し、他端部を前記支持部材側に固定させたトーションスプリングを弾設したことを特徴とする。
【0014】
本発明はさらに、前記弾性手段の少なくとも一方の側にスペーサーを設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明はさらに、前記保持筒体における前記弾性手段が収容される部分の内径を、前記雄ネジ部材がねじ込まれる部分の内径よりも大きくし、大径の弾性手段を収容し得るよう構成したことを特徴とする。
【0016】
本発明はさらに、前記スペーサーと前記保持筒体との間に回り止め手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
前記保持筒体から前記雄ネジ部材が露出した領域をキャップでカバーしたことを特徴とする。
【0018】
本発明はさらに、前記ヒンジ部材の保持筒体に、前記取付部材へ取り付ける取付片を一体的に形成したことを特徴とする。
【0019】
本発明はさらに、前記ヒンジ部材の雄ネジ部材に前記支持部
材を一体的に形成したことを特徴とする。
【0020】
本発明はさらに、上記の開閉装置を設けたことを特徴とする各種機器を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成したので、ヒンジ部材を構成する保持筒体に設けた雌ネジ部と、この雌ネジ部に螺合させた同じくヒンジ部材を構成する雄ネジ部材の雄ネジ部との螺合部分にフリクショントルクを発生させる構成なので、フリクショントルク発生の面積が増大することから、小型でもより強力なフリクショントルクを創出でき、かつフリクション発生部が密閉構造となることから、螺合部分に充填させたグリスの持ちが良く、耐久性が向上する。その上雄ネジ部材のねじ込み量に応じてフリクショントルクを連続的に変化させることが可能であり、簡単な構成で部品点数が少なく、コスト安であると共に、トーションスプリングとの組み合わせによる相性が良く、相乗効果によって小型でも強いフリクショントルクを発生させることができる開閉装置並びにこの開閉装置を用いた各種機器を提供し得るという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る開閉装置の実施例1を用いた電子機器としてのノート型パソコンの斜視図である。
【
図2】本発明に係る開閉装置の実施例1の斜視図であり、その(a)図と(b)図は、同じ開閉装置をそれぞれ異なった方向から見た斜視図である。
【
図3】本発明に係る開閉装置の実施例1の要部断面図であり、その(a)図は縦方向断面斜視図、(b)図は縦方向側断面図である。
【
図4】本発明に係る開閉装置の実施例1の分解斜視図である。
【
図5】
図4とは別の方向から見た実施例1の分解斜視図である。
【
図6】本発明に係る開閉装置の実施例1における保持筒体の(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)A−A断面図である。
【
図7】本発明に係る各種機器の他の実施例である複写機に本発明に係る開閉装置を用いた場合の斜視図である。
【
図8】本発明に係る各種機器の他の実施例である洋式便器に本発明に係る開閉装置を用いた場合の斜視図である。
【
図9】本発明に係る各種機器の他の実施例であるキャビネットに本発明に係る開閉装置を用いた場合の斜視図である。
【
図10】本発明係る開閉装置の他の実施例の要部を示す斜視図である。
【
図11】本発明に係る各種機器の他の実施例である折り畳み式の携帯電話機に本発明に係る開閉装置を用いた場合の斜視図である。
【
図12】本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【
図13】本発明係る開閉装置のヒンジ部材の他の実施例を説明する説明図である。
【
図14】
図13に示した開閉装置のヒンジ部材における保持筒体の他の実施例を示し(a)はその正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)は(a)におけるB−B断面図である。
【
図15】本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を説明する説明図である。
【
図17】
図15に示した開閉装置の保持筒体を示し、はその(a)正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)は(a)のC−C断面図である。
【
図18】本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示し、(a)はその斜視図、(b)はその分解斜視図である。
【
図19】本発明に係る開閉装置の他の実施例を示す分解斜視図である。
【
図21】本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示し、(a)はその第1形態、(b)はその第2形態を示す斜視図である。
【
図22】本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【
図23】本発明に係る開閉装置の開成操作時と閉成操作時の初回開閉操作時と100回開閉操作後の回転トルクの変化を示すグラフである。
【
図24】ねじ締込み式の本発明に係る開閉装置の一実施例におけるカバーモーメント(CM)と、トーションスプリングトルク(TSPトルク)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルクを減算した値(CM−TSP)と、ヒンジトルク(CW)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルク及びヒンジトルクを減算した値(CM−TSP−CW)との関係を、開成角度と回転トルクの関係において示すグラフである。
【
図25】ねじ緩め式の本発明に係る開閉装置の一実施例におけるカバーモーメント(CM)と、トーションスプリングトルク(TSPトルク)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルクを減算した値(CM−TSP)と、ヒンジトルク(CCW)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルク及びヒンジトルクを減算した値(CM−TSP−CCW)との関係を、開成角度と回転トルクの関係において示すグラフである。
【
図26】本発明に係る開閉装置の2種類の実施例の耐久性を調べるための開閉回数に対する回転トルク値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の態様を、まず、添付した
図1〜6により、ノート型パソコンに実施した場合について説明するが、本発明に係る開閉装置は、ノート型パソコンに限らず、複写機、複合機、印刷機、洋式便器、家具の扉など各種機器に広く実施することができるものである。それ故に、本願明細書では、各種機器のディスプレイ装置、第2筐体、蓋体、原稿圧着板、及び便蓋等を開閉体といい、これらの開閉体を取り付ける側を被開閉体ということにする。
【実施例1】
【0024】
図1には、本発明の実施例1に係る開閉装置4A、4Bを用いたノート型パソコン(電子機器)1Aが示されている。このノート型パソコンは、キーボード2aやタッチパッド2bをその上面に設けた第2筐体から成る被開閉体2と、ディスプレイ装置3aを設けた第1筐体から成る開閉体3を有し、被開閉体2と開閉体3が本発明に係る開閉装置4A、4Bを介して上下方向へ相対的に開閉可能なように連結されている。開閉装置4A、4Bは原則として一対用いられるが、両者の構成は同じであるので、以下その一方についてのみ説明する。但し、一対の開閉装置4A、4Bのうち、一方のみについて本発明に係る開閉装置を用い、他方には別の構成の開閉装置を用いる場合もある。
【0025】
本発明に係る実施例1の開閉装置4Aは、
図1〜6に示したように、前記第2筐体から成る被開閉体2へ取り付けられる取付部材401と、第1筐体から成る開閉体3へ取り付けられる支持部材402と、この支持部材402を取付部材401へ回転可能に取り付けるところの、その中心部軸方向に雌ネジ部406aを設けた保持筒体406とこの雌ネジ部406aに螺合させる雄ネジ部材405から成るヒンジ部材403と、開閉体3の被開閉体2に対する開閉時にフリクショントルクを創出させるフリクション機構404と、で構成されている。このフリクション機構404は、前記保持筒体406の内周面に形成した雌ネジ部406aと前記雄ネジ部材405との螺合部分404aと、前記保持筒体406と前記雄ネジ部材405との間に設けた弾性手段407とで構成される。以下、これらの構成について、より具体的に説明する。
【0026】
取付部材401は、例えばSUSのような金属プレートをプレス加工によって製造したもので、平面矩形状を呈した底板401aと、この底板401aの一端より上方へ立ち上げた側板401bとから成り、底板401aには複数の取付孔401c、401cが設けられ、側板401bには、後述する保持筒体406の回り止め部材413を取り付けるための切欠き401d、401dが設けられると共に、取付ネジ414の雌ネジ孔401eが設けられている。この取付部材401は、図では省略した取付ネジを前記複数の取付孔401c、401cにねじ込んで、電子機器1の装置本体を構成する第2筐体から成る被開閉体2の後端部側に取り付けられる。尚、側板401bは、実施例では底板401aから一体的に上方へ折り曲げられてはいるが、底板401aに対して溶着やネジ着などの手段で取り付けても良い。
【0027】
支持部材402は、この実施例1では、支持プレート部402Aと、この支持プレート部402Aに重ね合わせられた回転アーム部402Bとで構成され、これらは同じくSUS製の金属板をプレス加工することによって形成される。そのうち、支持プレート部402Aは、長方形状のプレート402aからなり、図では省略した複数の取付ネジを複数の取付孔402c、402cにそれぞれねじ込んで、電子機器1の開閉体3のフレームの側部に取り付けられるようになっている。一方、回転アーム部402Bも長方形状のプレート402eからなり、その下端の異形孔402fに、前記雄ネジ部材405のカシメ突部405cを挿入してカシメ付けることにより、雄ネジ部材405と回転アーム部402Bが固定され、両者が一緒に回転するようになっている。その際、雄ネジ部材405のカシメ突部405cにはキャップ410も一緒に装着され、
図3に示すように、雄ネジ部材405の胴部405aの外周面の雄ネジ部405bがキャップ410によってカバーされ、外部に露出することのないようになっている。このように構成することにより、外観上の見映えを良くし、グリスの保存性も良くなり、開閉装置の耐久性が向上する。尚、支持プレート部402Aの下端近くには、前記カシメ突部405cが出入り可能な異形孔402dが設けられている。尚、この支持部材402の構成は、上記のものに限定されない。
【0028】
ここで、前記支持プレート部402Aと回転アーム部402Bとは、相対回転動作は不能な状態を維持しつつ、前記ヒンジ部材403の雄ネジ部材405の軸方向には所定の範囲内で相対移動可能なように連結され、これによって、電子機器1の開閉体3を開閉操作すると、開閉体3に取り付けられた支持プレート部402Aと共に回転アーム部402Bも回転し、その際、回転アーム部402Bの下端に取り付けられた前記雄ネジ部材405も一緒に回転して、雄ネジ部材405は前記保持筒体406の雌ネジ部406aにねじ込まれたり、緩められたりし、その際の雄ネジ部材405の軸方向に沿った移動がなされる。即ち、
図2(b)や
図3(b)に図示する如く、前記支持プレート部402Aは、前記回転アーム部402Bと僅かな間隙402g[特に
図3の(b)図を参照]を隔てて対向するよう配置されると共に、支持プレート部402Aの両長辺の両端近くの領域には、回転アーム部402Bの両長辺の辺縁と対向する枠片402b、402bが設けられ、回転アーム部402Bはこれらの枠片402b、402bの間に嵌まり込んだ状態に保持され、支持プレート部402Aを回転させるとそれと一緒に回転アーム部402Bも回転するようになっている。
【0029】
前記支持部材402を前記取付部材401に対して回転可能に連結するヒンジ部材403は、前記取付部材401に回転不能なように取り付けられた保持筒体406と、その内周面に形成された雌ネジ部406aに螺合される雄ネジ部材405とから構成される。雄ネジ部材405は、前記の如く、前記回転アーム部402Bと共に回転可能なように回転アーム部402Bにカシメ付けられる。電子機器1の被開閉体2を開閉すると、支持部材402が回転し、これによって前記雄ネジ部材405が保持筒体406の雌ネジ部406aにねじ込まれたり緩められたりする。
【0030】
尚、図示した実施例においては、前記ヒンジ部材403の保持筒体406を取付部材401側に取り付け、雄ネジ部材405を支持部材402の回転アーム部402Bに取り付けたが、これとは逆に、ヒンジ部材403の保持筒体406を支持部材402の回転アーム部402Bに取り付け、雄ネジ部材405を取付部材401側に取り付けるようにすることも可能である。
【0031】
前記支持部材402の回転動作に対してフリクショントルクを付与するフリクション機構404は、前記保持筒体406と雄ネジ部材405との螺合部分404a(即ち、保持筒体406の内周面の雌ネジ部406aと、雄ネジ部材405の雄ネジ部405bとの螺合部分404a)と、前記保持筒体406と前記雄ネジ部材405との間に設けた弾性手段407とによって構成される。この弾性手段407は、図示した実施例1の場合、前記保持筒体406内に軸方向に重ねるように設けられた複数枚の皿バネ407a、407a(
図3参照)から成り、前記雄ネジ部材405の回転操作に応じて応力を蓄積または放出するように構成される。尚、この弾性手段407としては、圧縮コイルバネを用いることもできる。また、この弾性手段407には、前記雄ネジ部材405に対する押圧力を調節する弾力調節手段408を備えることが好ましい。図示した実施例において、弾力調節手段408としては、保持筒体の雌眼時部に螺合させた調節円盤ネジ409で構成され、この調節円盤ネジ409の先端側は、スペーサー412を介して弾性手段407に圧接している。
【0032】
ここで、取付部材401に対する前記保持筒体406及び前記調節円盤ネジ409の取付方法について説明する。前記被開閉体2に取り付けられた取付部材401の前記側板401bには、その雌ネジ孔401eに挿通される取付ネジ414によって、調節円盤ネジ409と、保持筒体406に対する回り止め部材413とが取り付けられる。即ち、取付ネジ414のネジ部414aは、回り止め部材413の取付孔413aと側板401bの雌ネジ孔401eに挿通されたのち、調節円盤ネジ409のネジ孔409aにねじ込まれている。調節円盤ネジ409は、
図3〜
図5に示すように、その外周面に形成された雄ネジ409bによって前記保持筒体406内の雌ネジ部406aへねじ込まれる。調節円盤ネジ409の外端面に形成された工具溝409cは、ドライバー等の工具を用いて調節円盤ネジ409を保持筒体406の雌ネジ406aにねじ込むものである。尚、この調節円盤ネジ409を工具を用いて前後いずれかの方向へ回転させることにより、弾性手段407の変形量を変化させ、その弾力を調節することができる。
図4、
図5に示す如く、回り止め部材413は、その両端に突片413b、413bを有し、これらの突片413b、413bは取付部材401の前記側板401bの両側辺に形成した切欠き401d、401dに嵌合すると共に、前記保持筒体406の外周面に形成した回り止め切欠き406b、406bに当接して、保持筒体406の回転を阻止するようになっている。尚、前記回り止め部材413を設ける代わりに、取付部材401の前記側板401b自体に前記突片413b、413bに相当する一対の突片を設けるようにしてもよい。
【0033】
更に、前記雄ネジ部材405と前記弾性手段407との間に表面摩擦抵抗の少ないスペーサー411を設け、同様に前記調節円盤ネジ409と前記弾性手段407との間に表面摩擦抵抗の少ないスペーサー412を介在させてある。スペーサー411は雄ネジ部材405の回転動作を円滑にし、スペーサー412は調節円盤ネジ409のネジ込み時に弾性手段407の皿バネ407aの回転を防止する。
【0034】
次に、以上の構成を有する上記開閉装置4Aの作動について説明する。電子機器1の被開閉体2に対して開閉体3を開閉操作すると、前記支持部材402の支持プレート部402A及び回転アーム部402Bを介してヒンジ部材403の雄ネジ部材405が回転する。その際、ヒンジ部材403の保持筒体406は回転することなく取付部材401に対して静止状態を保つ。そのため、保持筒体406の雌ネジ部406aに螺合した雄ネジ部材405の雄ネジ部405bの当該螺合部分404aにおいて、互いに接触する両方のネジの回転摩擦抵抗によるフリクショントルクが発生する。その場合、螺合部分404aにおける両ネジのネジ山の表面同士は、前記弾性手段407による押圧力によって互いに圧接され、両者間の摩擦抵抗は弾性手段407による押圧力に依存して決定される。ここで、例えば開閉体2を閉じるときには雄ネジ部材405が保持筒体406にねじ込まれて弾性手段407が圧縮され、その押圧力が連続的に増加することにより前記螺合部分404aの回転摩擦抵抗が連続的に増大し、逆に、開くときには雄ネジ部材405が緩められ、螺合部分404aの回転摩擦抵抗が連続的に減少することになり、開閉体2の開閉角度に応じてフリクショントルクを連続的に変化することが可能になる。したがって、開閉体3を閉じているときは開閉装置4Aのフリクショントルクが最も大きく、開閉体3が不用意に開くことがなく、ユーザーが開閉体3を開いてゆくにしたがってフリクショントルクは次第に減少して開きやすくなる。閉じるときは、開成角度が小さくなるにしたがってフリクショントルクが連続的に増大するため、開閉体3が急激に降下して被開閉体2に衝突するというような不具合を解消でき、操作感も滑らかで良好となる。
【0035】
以上説明したところから明らかなように、本発明によるときは、簡単な構成でフリクショントルクを連続的に変化させることが可能であり、部品点数が少なく、コスト安であると共に、フリクション機構の耐久性においても優れた開閉装置を提供し得るものである。
【実施例2】
【0036】
次に、
図7は本発明の各種機器の他の実施例を示す斜視図である。図面によれば、この実施例2に係る各種機器は、複写機(或いは複合機、以下同じ。)1Bである。この複写機1Bに、前記
図1〜
図6に示した開閉装置4A、4Bと同様の構成を有する開閉装置5A、5Bが、上面に操作盤5aやコンタクトガラス2bを設けた装置本体から成る被開閉体201と、原稿圧着板から成る開閉体301との間に取り付けられている。開閉装置5A、5Bは実施例1のものと同じように、原則として同じ構成のものが一対用いられるが、その一方のみについて本発明に係る開閉装置を用い、他方には別の構成の開閉装置を用いる場合もある。図示した開閉装置5A、5Bは、上記のように前記
図1〜
図6に示したものと同様であるので詳しい説明は省略するが、後述する
図10以降の実施例に係る開閉装置を用いることも可能である。
図7に示した例について、より具体的に説明すると、前記開閉装置5A、5Bの取付部材401、401を複写機の装置本体から成る前記被開閉体201の後端部両側に取り付け、支持部材402、402の支持プレート部402A、402Aを開閉体301の両側壁内面に取り付けると共に、ヒンジ部材403、403及び回転アーム部402B、402Bを介して前記取付部材401、401と回転アーム部402B、402Bを連結することによって、開閉体301を被開閉体201に対して開閉可能に保持するようになっている。尚、この複写機の開閉体301は原稿自動送り装置を有さない比較的軽量の原稿圧着板であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。この例においても、開閉体301を開閉操作する際には、開閉装置5A、5Bにおけるフリクショントルクが連続的に増減するため、滑らかで良好な操作感が得られる。また、開閉体301を閉じる方向へ回転させるときに開閉装置5A、5Bの前記雄ネジ部材405がねじ込まれて、フリクショントルクが増大することにより、開閉体301の急激な落下が防止される。
【実施例3】
【0037】
次に、
図8は本発明の各種機器の他の実施例である洋式便器を示し、洋式便器1Cの便器本体(被開閉体)501に便蓋(開閉体)502を、前記
図1〜
図6に示した開閉装置4A、4Bと同じの構成の開閉装置6A、6Bを介して開閉可能に連結した例が示されている。より具体的には、便器本体501の後背部に基板503を取り付け、この基板503に便座504をその軸支部504aにおいて開閉可能に軸支する。さらに、前記開閉装置6A、6Bの取付部材401、401を前記基板503に取り付け、支持部材402、402の支持プレート部402A、402Aを便蓋502の側壁内面に取り付けると共に、ヒンジ部材403、403及び回転アーム部402B、402Bを介して前記取付部材401、401と回転アーム部402B、402Bを連結することによって、便蓋502を便器本体501に対して開閉可能なように保持するようになっている。この場合においても、便蓋502を開閉操作する際には、開閉装置6A、6Bにおけるフリクショントルクが連続的に増減するため、滑らかで良好な操作感が得られる。また、便蓋502を閉じる方向へ回転させるときに開閉装置6A、6Bの前記雄ネジ部材405がねじ込まれて、フリクショントルクが増大することにより、便蓋502の急激な落下が防止される。
【実施例4】
【0038】
次に、
図9は本発明に係る各種機器のさらに他の実施例であるキャビネットを示し、このキャビネット1Dのフレーム(被開閉体)601に扉(開閉体)602を、前記
図1〜
図6に示したものと同様の構成の開閉装置7A、7Bを縦方向に用いて開閉可能に連結した例が示されている。より具体的には、フレーム601の収容部603の内壁面に前記開閉装置7A、7Bの取付部材401、401を取り付け、支持部材402、402の支持プレート部402A、402Aを扉602の側壁内面に取り付けると共に、ヒンジ部材403、403及び回転アーム部402B、402Bを介して前記取付部材401、401と回転アーム部402B、402Bを連結することによって、扉602をフレーム601に対して開閉可能なように保持するようになっている。尚、扉602には、把手602aや施錠フック602b等が取り付けられている。この場合においても、扉602を開閉操作する際には、開閉装置7A、7Bにおけるフリクショントルクが連続的に増減するため、扉602を閉じる際や開く際にブレーキをかけることができ、滑らかで良好な操作感が得られる。
尚、この実施例4の場合には、支持プレート部402A、402Aを省略して、回転アーム部402B、402Bを直に扉602へ取り付けることにより、雄ネジ部材が上方向へ移動することにより扉602も上方向へ移動するように構成することができ、例えば毛足の長い絨毯が敷設してある場合に、扉602の下端部側がその開成時に絨毯へ当たることを防止して、円滑な開閉操作をすることが可能となる。
【実施例5】
【0039】
図10には、本発明に係る開閉装置の他の実施例が示されている。図中、前記実施例1と同一の指示記号を付したものは、実施例1におけるものと同一の構成要素を示している(以下、同様)。尚、
図10に示した開閉装置8Aは、
図2〜
図6に示した前記実施例1における支持部材402と同様の支持部材を有するが、図では省略してある。この開閉装置8Aも実施例1と同様にヒンジ部材403を有するが、その保持筒体415は、筒状胴部415aに対して固定片415bが一体的に形成されている点が実施例1と相違する。即ち、実施例1においては、前記の如く、保持筒体406は回り止め部材413よって取付部材401に固定され、保持筒体406にねじ込まれた調節円盤ネジ409のネジ孔409aにねじ込まれる取付ネジ414を用いて、取付部材401に取り付けられるようになっていた。これに対して、実施例5の保持筒体415は、筒状胴部415aに取付片415bが一体的に設けられ、この取付片415bに取付部材415cが重ね合わされ、両者に明けたネジ孔415d、415dと415e、415eを利用して被開閉体に一緒に取り付けられるようになっている。調節円盤ネジ409には、
図10には図示してないが、実施例1のものと同じように、ネジ孔409a、工具溝409c等が形成されており、実施例1と同じように、弾力調節手段が設けられている。保持筒体415の筒状胴部415aに内蔵されるフリクション機構の構成は、前記実施例1のフリクション機構404と同様である。この実施例5においては、前記のように保持筒体415に対して取付片415bを一体的に設けることにより部品点数の低減等が可能となり、製造コストを引き下げることができる。
【実施例6】
【0040】
次に、
図11は、本発明に係る各種機器の他の実施例である携帯電話機に、他の実施例である開閉装置9Aと9Bを用いた場合を示している。この携帯電話機1Eは、模式的に描いたように、多数の操作ボタンを有する操作盤(被開閉体)701と、ディスプレイ画面を有するディスプレイ体(開閉体)702とを備え、これらが一対の開閉装置9A、9Bによって開閉可能なように連結されている。開閉装置9Aと9Bの構成は同一であるので、ここでは一方の開閉装置9Aについて説明する。開閉装置9Aは、前記操作盤(被開閉体)701に取り付けられる取付部材416と、前記ディスプレイ体(開閉体)702に取り付けられる支持部材417と、これらの取付部材416と支持部材417とを回転可能に連結するヒンジ部材418と、このヒンジ部材418内に収容されたフリクション機構(前記実施例1のフリクション機構404の構成と同じ)と、図示はしてないが、実施例1と同じような構造の弾力調節手段から構成される。前記支持部材417は、前記ディスプレイ体(開閉体)702に取り付けられる支持プレート部417aと、前記ヒンジ部材418に取り付けられる回転アーム部417bとから成り、この支持プレート部417aと回転アーム部417bとは固定ネジ417c、417cによって互いに固定される。
即ち、
図11に示した開閉装置9Aが、前記実施例1の開閉装置4Aと相違する主要な点は、前記実施例1の開閉装置4Aにおいては、その支持プレート部402Aと回転アーム部402Bを所定の間隙402gを隔てて設けるようにしたが、
図11に示した開閉装置9Aでは、前記支持プレート部417aと回転アーム部417bとを互いに固定するようにした点である。そのため、この開閉装置9Aにおいては、前記ディスプレイ体(開閉体)702を開閉することにより前記ヒンジ部材418内に収容されたフリクション機構の雄ネジ部材が前記保持筒体に対して軸方向にネジのピッチに応じて変移する際に、前記ディスプレイ体702も一緒に同一方向へ移動するものである。
図11に示した開閉装置9Aが、前記実施例1の開閉装置4Aと相違するもう1つの点は、実施例1においては、そのヒンジ部材403の保持筒体406の回り止め手段として、回り止め部材413を取り付けたのに対して、
図11の実施例6においては、そのヒンジ部材418の保持筒体418aの回り止め手段として、前記取付部材416自体に回り止め突片416a、416aを設けた点である。この実施例6においても、ディスプレイ体702を開閉操作する際には、開閉装置9A、9Bにおけるフリクショントルクが連続的に増減するため、滑らかで良好な操作感が得られる。
【実施例7】
【0041】
次に、
図12には、本発明に係る開閉装置の他の実施例を示している。この実施例7に係る開閉装置10は、
図11に示した前記開閉装置9Aに対して、弾性手段としてのトーションスプリング419を追加したものである。即ち、この開閉装置10は、
図11の前記開閉装置9Aと同様に、被開閉体に取り付けられる取付部材416と、開閉体に取り付けられる支持部材417と、これらの取付部材416と支持部材417とを回転可能に連結するヒンジ部材418と、このヒンジ部材418の保持筒体418a内に収容されたフリクション機構(図では省略)とから構成される。前記ヒンジ部材418の保持筒体418a内に収容されるフリクション機構は、前記実施例1のフリクション機構404の構成と同様であり、
図3〜
図5に示したような複数枚の皿バネ407a、407aから成る弾性手段407を有している。しかしながら、支持部材417によって開閉可能に支承される開閉体が、例えばノート型パソコンのディスプレイ体を有する第2筐体のような場合、比較的に重量があるので、前記フリクション機構404にもその重量に耐えられる弾性手段が必要とされる。そのため、
図12に示した開閉装置10においては、
図3〜
図5に示したような複数枚の皿バネ407a、407aから成る弾性手段407をさらに補助するため、保持筒体418aの外周に、トーションスプリング419を追加して環巻きさせ、その一端部419aを取付部材416側に係止し、他端部419bを支持部材417側に係止させることにより、取付部材416と支持部材417の間に作用するようにしたものである。他の構成要素は
図11に示した開閉装置9A、9Bと同様であり、
図11と同一の参照符号を付して示してある。
このように構成すると、図示してない雄ネジ部材の回転に伴って変動するフリクショントルクと、トーションスプリング419が巻き込まれる際に変動するフリクショントルクの相乗効果によって、大きなフリクショントルクを創出できることから、開閉装置をより小型にすることができた上で、支持部材417側に取り付けた図示してない開閉体の自然落下をより確実に防止することができるものである。また、開閉体をその所定の開成角度から、自動的に開くことが可能となるものである。
【実施例8】
【0042】
次に、
図13、
図14には、本発明に係る開閉装置におけるヒンジ部材420の他の実施例が示されている。即ち、
図13は当該ヒンジ部材420の(a)縦断面斜視図と、(b)内部収容部品の外観斜視図とから成る説明図であり、
図14は、そのヒンジ部材における保持筒体423の(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)B−B断面図である。この実施例8におけるヒンジ部材420が、
図3に示した実施例1におけるヒンジ部材403と相違する点は、保持筒体423の内周面に第1雌ネジ部423aと第2雌ネジ部423bとを形成し、弾性手段424や調節円盤ネジ426が収容される前記第1雌ネジ部423aの内径を、雄ネジ部材422がねじ込まれる前記第2雌ネジ部423bの内径よりも大きくして、前記第1雌ネジ部423aの内部に実施例1の弾性手段407(皿バネ407a、407a)よりも大径の弾性手段424(皿バネ424a、424a)を収容できるようにし、これによって比較的に重量のある被開閉体にも対応可能なように構成した点である。他の点は、前記実施例1のヒンジ部材403と同様の構成を有するものである。即ち、このヒンジ部材420は、保持筒体423と、雄ネジ部材422と、弾性手段424と、弾力調節手段425とを有し、前記雄ネジ部材422は胴部422aと雄ネジ部422bとカシメ突部422cとを有し、前記保持筒体423の外周面には回り止め切欠き423c、423cが形成され、前記弾性手段424は皿バネ424a、424aから成り、前記弾力調節手段425はネジ孔426aと雄ネジ426bと工具溝426cとを有する調節円盤ネジ426により構成され、前記弾性手段424の両側にはスペーサー427、428が設けられ、前記フリクション機構421は、前記保持筒体423の第2雌ネジ部423bと雄ネジ部材422の螺合部分421aと、前記保持筒体423と前記雄ネジ部材422との間に設けた弾性手段424とで構成されるようになっている。これらの機能は、前記実施例1のフリクション機構と同様であるので、その説明は省略する。
【実施例9】
【0043】
次に、
図15〜
図17には、本発明に係る開閉装置におけるヒンジ部材430の他の実施例が示されている。即ち、
図15において、(a)はヒンジ部材430の(a)縦断面斜視図、(b)はその内部収容部品の外観斜視図であり、
図16はその分解斜視図である。さらに、
図17の(a)は、ヒンジ部材における保持筒体433の正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)は(a)のC−C断面図である。この実施例9におけるヒンジ部材430が、
図13、
図14に示した実施例8におけるヒンジ部材420と比べて相違する最も主要な点は、2個のスペーサー437と438のうち、一方のスペーサー438の外周に回り止め手段438a、438bを設けると共に、これに対応するように保持筒体433の内周面にキー溝433a、433b(
図16、
図17参照)を形成した点である。このスペーサー438の回り止め手段438a、438bが保持筒体433のキー溝433a、433bに嵌まり合い、保持筒体433に対して雄ネジ部材432が回転する際においても、スペーサー438の回転が阻止されるようにしたことにより、弾性手段434の皿バネ434a、434a等の回転も抑制され、前記開閉体の開閉操作時に異音が発生する等の不具合を解消することができる。尚、図示した前記実施例8においては、一方のスペーサー438にだけ回り止め手段438a、438bを設けたが、もう一方のスペーサー437にも同様の回り止めキーを設けるようにしてもよく、少なくとも一方のスペーサーに設けるようにすればよい。それ以外に、この実施例9におけるヒンジ部材430が、
図13、
図14に示した実施例8におけるヒンジ部材420と相違する点は、弾性手段434の外径が雄ネジ部材432の外径よりも大きくはないこと、皿バネ434a、434aの枚数が実施例8のものより少ないこと、スペーサー437、438の厚さが厚いこと、などである。他の多く点は、前記実施例8のヒンジ部材420と同様の構成を有するものである。即ち、この実施例9のヒンジ部材430は、保持筒体433と、雄ネジ部材432と、弾性手段434と、弾力調節手段435とを有する。前記雄ネジ部材432は胴部432aと雄ネジ部432bとカシメ突部432cとを有し、前記保持筒体433の外周面には回り止め切欠き433d、433dが形成されている。前記弾性手段434は皿バネ434a、434aから成り、前記弾力調節手段435はネジ孔436aと雄ネジ436bと工具溝436cとを有する調節円盤ネジ436により構成されている。前記弾性手段434の両側にはスペーサー437、438が設けられ、前記フリクション機構431は、前記保持筒体433の雌ネジ部433cと雄ネジ部材432との螺合部分431aと、前記保持筒体433と前記雄ネジ部材432との間に設けた前記弾性手段434とで構成されている。以上の構成部材の機能は、前記実施例1や実施例8の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0044】
本発明に係る開閉装置における前記取付部材、支持部材、保持筒体等の外形、寸法、互いの取付形態、等々は、その開閉装置の使用対象、使用位置、使用環境等に応じて適宜設計変更することが可能である。以下の実施例10〜13において、それらの幾つかを例示的に説明する。
【実施例10】
【0045】
図18は、本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示しており、(a)はその底部側から見た斜視図、(b)は平面側から見た分解斜視図である。この実施例に係る開閉装置11は、ヒンジ部材801の保持筒体802aに、前記被開閉体に取り付けられる取付部材802bが一体的に形成され、また、保持筒体802aの内周面の雌ネジ部802cに螺合される雄ネジ部材803aに、前記開閉体に取り付けられる支持部材803bが一体的に形成されている。換言すれば、保持筒体802aが取付部材を兼ね、雄ネジ部材803aが支持部材を兼ねるように構成されている。取付部材802bにはネジ孔802d、802dが設けられ、被開閉体としての例えばノート型パソコンのキーボード側筐体がネジ止めされ、また、前記支持部材803bにはネジ孔803c、803cが設けられ、開閉体としての例えばノート型パソコンのディスプレイ側筐体が取付ネジ810、810によってネジ止めされる。尚、取付部材802bに開閉体を取り付け、支持部材803bに被開閉体を取り付けるようにしてもよい。保持筒体802aの内部には複数枚の皿バネ804a、804aから成る弾性手段804と、その両側に配置されるスペーサー805、806とが収容され、保持筒体802aの片方の開口部には雄ネジ部材803aが螺合され、その螺合部分と前記弾性手段804とによってフリクション機構807が構成されると共に、保持筒体802aのもう一方の開口部には、弾力調節手段808としての調節円盤ネジ809が螺合される。調節円盤ネジ809の外周面には雄ネジ809aが形成され、その外端面には工具溝809bが形成される。前記支持部材803bに取り付けられた開閉体を開閉操作することにより前記フリクション機構807が作動し、その際、連続的に増減するフリクショントルクが得られる機能については、これまでの実施例と同様であるので、その説明は省略する。尚、図示した例においては、保持筒体802aに被開閉体への取付部材802bを一体的に形成し、雄ネジ部材803aに、開閉体に取り付けるべき支持部材803bを一体的に形成したが、これとは逆に、保持筒体802aに、開閉体に取り付けるべき支持部材を一体的に形成し、雄ネジ部材803aに被開閉体への取付部材802bを一体的に形成するようにすることも可能である。また、支持部材803bに別の支持部材を取り付け、この別の支持部材を介して開閉体へ取り付けられるように構成しても良い。
【実施例11】
【0046】
図19は、本発明に係る開閉装置の他の実施例の分解斜視図を示し、
図20は、
図19とは別の方向から見た分解斜視図を示しており、その取付部材、支持部材、保持筒体等の外形等がこれまでの実施例とは異なったものを示している。この実施例11に係る開閉装置12は、例えばノート型パソコンのキーボード側筐体のような被開閉体の側に取り付けられるアングル状の取付部材901と、ディスプレイ側筐体のような開閉体の側へ取り付けられるアングル状の支持部材902と、前記取付部材へ前記支持部材を回転可能に連結するヒンジ部材903と、前記開閉体の開閉時にフリクショントルクを創出させるフリクション機構904とから構成される。前記ヒンジ部材903は、前記取付部材901に取り付けられその中心部軸方向に雌ネジ部906aを設けた保持筒体906と、前記支持部材に取り付けられ前記雌ネジ部906aに螺合させる雄ネジ部材905とで構成され、保持筒体906の外周面の一部は平坦部906c、906cとして形成され、前記取付部材901を安定して取り付けられるようになっている。前記フリクション機構904は、前記保持筒体906の雌ネジ部906aと雄ネジ部材905の雄ネジ部905bとの螺合部分904aと、前記保持筒体と前記雄ネジ部材との間に設けた弾性手段907とで構成したものである。908a及び908bはスペーサーであり、909は調節円盤ネジである。前記取付部材901はそのネジ孔901a、901aと保持筒体906のネジ孔906b、906bに取付ネジ901b、901bをねじ付けることにより取り付けられ、前記支持部材902はそのネジ孔902a、902aと雄ネジ部材905のネジ孔905a、905aに取付ネジ902b、902bをねじ付けることにより取り付けられる。前記支持部材902に取り付けられた開閉体を開閉操作することにより前記フリクション機構904が作動し、その際、連続的に増減するフリクショントルクが得られる機能については、これまでの実施例と同様であるので、その説明は省略する。
【実施例12】
【0047】
図21は、本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示し、
図21の(a)はその第1形態の斜視図、(b)はその第2形態の斜視図を示している。この実施例12に係る開閉装置13は、そのヒンジ部材1001の保持筒体1002の一端近くの外周面に取付部材が取り付けられるようになっており、(a)の第1形態においては、2個の取付部材1003、1004がそれぞれ取付ネジ1005、1005によって保持筒体1002の外周面に取り付けられ、(b)の第2形態においては、1個の取付部材1003が(a)の場合とは向きを変えて、取付ネジ1005、1005によって保持筒体1002の外周面に取り付けられている。取付ネジ1005、1005のネジ先は、保持筒体1002の内面側に設けたネジ受け部材1006に形成した雌ネジにねじ込まれるようになっている。取付部材1003、1004は、そのネジ孔1003a、1004aを利用して、例えばノート型パソコンのキーボード側筐体のような被開閉体に固定される。一方、保持筒体1002の他端側からは雄ネジ部材1007がねじ込まれ、この雄ネジ部材1007の露出部分1007aには、例えばノート型パソコンのディスプレイ側筐体のような開閉体が取付ネジ1008、1008によって取り付けられるようになっている。即ち、この実施例12においては、雄ネジ部材1007の前記露出部分1007aが、開閉体を取り付けるための支持部材を兼ねるようになっている。尚、これとは逆に、取付部材1003、1004側に開閉体を取り付け、雄ネジ部材1007側に被開閉体を取り付けるようにしてもよい。また、雄ネジ部材1007に図示してない支持部材を取り付け、この支持部材を開閉体の側に取り付けるようにしても良い。保持筒体1002の内部には、これまでの実施例と同様に、弾性手段やスペーサーが収容され、前記ネジ受け部材1006の奥には弾力調節手段の調節円盤ネジ1009が装着されて、フリクション機構が形成されるが、その機能はこれまでの実施例と同様であるので、その説明は省略する。
【実施例13】
【0048】
図22は、本発明に係る開閉装置のさらに他の実施例を示す。この実施例13に係る開閉装置14は、
図18に示した前記実施例10に係る開閉装置11の雄ネジ部材803aの露出軸部(実施例10では支持部材803bと称した。)に、別部材としての支持部材811を取付ネジ810、810によって取り付けたものである。したがって、
図22に示したこの開閉装置14は、前記露出軸部803dに取り付けられた支持部材811を除くと、
図18に示した実施例10に係る開閉装置11と同様の構成を有する開閉装置であり、指示記号も
図18のものと同一の記号を付してある。また、各部材の機能も、
図18の前記開閉装置11と同様であるので、説明を省略する。この開閉装置14を、図示したように縦向きにした状態で、例えば
図9に示した如く、キャビネット1Dのフレーム601に、この開閉装置14の保持筒体802aと一体的に設けた取付部材802bを取り付け、扉602に、支持部材811を取り付けて使用することができる。その場合、次のような利点を有する。即ち、(1)扉602の重量が支持部材811を介して雄ネジ部材803aの軸方向に直接かかるので、前記弾性手段の弾力調節を、扉602の重量に適合するように直接行うことができる。(2)扉602の重量が、雄ネジ部材803aのメジ面全体で支えられ、その面積は単純な蝶番に比べて格段に広いので、扉の開閉時に異音が発生することがない。(3)扉602を開くときに、支持部材811を介して雄ネジ部材803aが押し上げられる方向へ回転するようなネジの選定をしておくことにより、扉602の閉時には扉が下がった状態で前記キャビネットの収容部603を密閉し、扉602の開時には扉が持ち上げられた状態となり、前記のように、毛足の長い絨毯等が床に敷いてある場合でも扉の開閉操作に支障がない。
【0049】
以下、
図23〜
図26のグラフを参照して、本発明に係る開閉装置における開閉角度等と回転トルクの関係について説明する。
図23は、本発明に係る開閉装置の一実施例における開成操作時と閉成操作時の開閉角度と回転トルクの関係を対比して示すグラフである。上側の2本の曲線は、0°から90°まで開いてゆく過程におけるトルクの変化(2.2〜3.3Nm)を、スタート時(最初の使用時)と100回目の操作時のものとで示している。下側の2本の曲線は、90°から0°まで閉じてゆく過程におけるトルクの変化(2.7〜1.7Nm)を、スタート時(最初の使用時)と100回目の操作時のものとで示している。
【0050】
図24は、ねじ締込み式の本発明に係る開閉装置で、
図12に示した実施例7に係る開閉装置9Aのカバーモーメント(CM)と、トーションスプリングトルク(TSPトルク)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルクを減算した値(CM−TSP)と、ヒンジトルク(CW)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルク及びヒンジトルクを減算した値(CM−TSP−CW)との関係を、開成角度と回転トルクの関係において示すグラフである。カバーモーメントからトーションスプリングトルクを減算した値(CM−TSP)がヒンジトルク(CW)よりも大きい領域では、開閉体が落下し、ヒンジトルク(CW)よりも小さい領域では、開閉体が一定位置に保持される。
【0051】
図25は、ねじ緩め式の本発明に係る開閉装置であって、
図12に示した実施例7の開閉装置におけるカバーモーメント(CM)と、トーションスプリングトルク(TSPトルク)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルクを減算した値(CM−TSP)と、ヒンジトルク(CCW)と、カバーモーメントからトーションスプリングトルク及びヒンジトルクを減算した値(CM−TSP−CCW)との関係を、開成角度と回転トルクの関係において示すグラフである。カバーモーメントからトーションスプリングトルクを減算した値(CM−TSP)がヒンジトルク(CW)よりも大きい領域では、開閉体が落下し、ヒンジトルク(CW)よりも小さい領域では、開閉体が一定位置に保持される。
【0052】
図26は、本発明に係る開閉装置の耐久テストの結果を示すグラフである。図示したところから解るように、初動時には回転トルク値に若干の変化がみられるが、しかる後は比較的に安定し、100,000回の耐久テストにおいても大きな変化が見られず、耐久性に優れていることが解る。