特許第6679260号(P6679260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三洋電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6679260-電池パック 図000002
  • 特許6679260-電池パック 図000003
  • 特許6679260-電池パック 図000004
  • 特許6679260-電池パック 図000005
  • 特許6679260-電池パック 図000006
  • 特許6679260-電池パック 図000007
  • 特許6679260-電池パック 図000008
  • 特許6679260-電池パック 図000009
  • 特許6679260-電池パック 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6679260
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 G
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-191494(P2015-191494)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-68972(P2017-68972A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】山上 康博
(72)【発明者】
【氏名】松田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鷲田 健
(72)【発明者】
【氏名】中尾 賢郎
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−089560(JP,A)
【文献】 特開2011−192592(JP,A)
【文献】 特開2008−287991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電できる電池と、前記電池を収納してなる外装ケースとを備える電池パックであって、
前記外装ケースは、内部に収納される前記電池の軸方向における中間部を保持する保持面を該外装ケースの内面に有し、前記保持面において該電池を保持すると共に、該電池の端面と側面の境界部分である周縁コーナー部と対向する前記外装ケースの隅部の内側に形成され、かつ前記隅部における前記外装ケースの厚みが、前記保持面における前記外装ケースの厚みより薄く、前記周縁コーナー部を当接させない非接触凹部を形成してなる電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載される電池パックであって、
前記電池が外装缶の開口部を封口板で閉塞してなる円筒形電池または角型電池で、前記外装ケースが、該電池の封口板側の前記周縁コーナー部と対向する隅部に前記非接触凹部を備える電池パック。
【請求項3】
請求項1または2に記載される電池パックであって、
前記外装ケースは、前記電池を収納するプラスチック製の本体ケースと、前記本体ケースの開口部を閉塞するプラスチック製の蓋ケースからなり、
前記本体ケースは、方形状の底板の周囲に周壁を連結してなる箱形であって、前記周壁が、前記電池の側面と対向する一対の側面壁と、前記電池の端面と対向する一対の端面壁とを連結して横断面形状を方形状としており、
前記方形状の周壁の隅部の内面に前記非接触凹部を形成してなる電池パック。
【請求項4】
請求項3に記載される電池パックであって、
前記電池を複数備えると共に、前記複数の電池を互いに平行な姿勢で積み重ねて電池ブロックを構成しており、
前記周壁は、前記側面壁の内面に前記保持面を備えており、
前記電池ブロックは、各電池の端面が同一平面上に位置して配置されると共に、両側面において、複数段に積み重ねられる電池の中間部を、前記保持面に当接させてなる電池パ
ック。
【請求項5】
請求項4に記載される電池パックであって、
前記電池が円筒形電池で、前記電池ブロックが前記複数の円筒形電池を縦横に並べて定位置に配置する電池ホルダを備えており、
前記電池ホルダが、前記複数の円筒形電池を、横方向に2列に並べて、縦方向に複数段に配置してなる電池パック。
【請求項6】
請求項4または5に記載される電池パックであって、
前記電池ブロックは、前記複数の電池の両端面の電極がリード板を介して接続されており、前記電池の端面が前記リード板を介して前記周壁の端面壁の内面に保持されてなる電池パック。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかに記載される電池パックであって、
前記非接触凹部が、前記周壁の隅部において、前記側面壁と前記端面壁とに跨がって断面視L字状に形成されてなる電池パック。
【請求項8】
請求項3ないし7のいずれかに記載される電池パックであって、
前記非接触凹部が、前記周壁の隅部において、前記本体ケースの深さ方向に延長して溝状に形成されてなる電池パック。
【請求項9】
請求項3ないし8のいずれかに記載される電池パックであって、
前記非接触凹部が、前記方形状の周壁の四隅部に形成されてなる電池パック。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載される電池パックであって、
前記非接触凹部の深さが0.1mm〜0.5mmである電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装ケースに充放電できる電池を収納してなる電池パックに関し、とくに落下衝撃に対して優れた耐久性を有する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやビデオカメラ等の電気機器の普及に伴い、これ等の電気機器用の電源として、充放電できる電池を内蔵してなる電池パックが使用されている。この電池パックは、内蔵する電池を繰り返し充電することで便利に使用できる。また、この電池パックは、電気機器本体に脱着自在にセットされる構造としており、電気機器本体から取り外して便利の持ち運びでき、あるいは予備の電池パックとして便利に携帯できるようにしている。とくに、この種の電池パックは、電気機器を長時間にわたって使用可能とするために、容量を大きくすることが求められている。このため、従来の電池パックは、複数の電池を複数段に積み重ねてなる電池ブロックを、プラスチック製の外装ケースに収納する構造としている。この電池パックは、複数の電池を直列に接続することで出力電圧を大きくし、複数の電池を並列に接続することで使用時間を長くできる。
【0003】
このように、複数の電池を内蔵する電池パックは、重量が大きくなるため、落下等の衝撃を受けた際に、内蔵する電池が損傷を受けることがある。とくに、複数の電池を箱形の外装ケースに収納してなる電池パックは、ケースの角の部分から落下すると、落下時の衝撃が一点に集中するため、外装ケースの隅部に配置された電池の端部が最も損傷を受けやすくなる。電池端部において外装缶の開口部を封口板で閉塞してなる電池は、この部分に衝撃が加わると、封口板や外装缶のカシメ部が変形して、封口板による密閉状態が低下して内部から電解液やガスが漏れる等の弊害が生じるおそれがある。また、内蔵される複数の電池は、両端面の電極においてリード板が溶接等により接続されているが、電池端部が強い衝撃を受けると、リード板と電極との接続部分が損傷を受けて、接触不良やショート等の弊害が発生するおそれもある。
【0004】
このような問題点を解消するために、プラスチックで成形される外装ケースの端部であって電池収納部の外側に、落下時の衝撃を吸収するための中空状のスペースを備える電池パックが開発されている(特許文献1)。この構造は、電池パックの落下時における衝撃を外装ケースの端部に設けた中空状のスペースで吸収することにより、衝撃を緩和できる特徴がある。
【0005】
また、外装ケースのコーナー部に形成されたスペースに、別部材からなる衝撃緩衝部を配置してなる電池パックも開発されている(特許文献2参照)。この電池パックは、コーナー部に配置されるプラスチック製の衝撃緩衝部で衝撃を吸収することにより、電池の端部が受ける衝撃を緩和できる特徴がある。
【0006】
さらにまた、外装ケースのコーナー部に、金属板や金属線からなる保護部材を配置してなる電池パックも開発されている(特許文献3参照)。この電池パックは、外装ケースのコーナー部に配置される金属製の保護部材により、外装ケースを機械的に補強して、外装ケースのコーナー部を外部からの衝撃に対して保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−327206号公報
【特許文献2】特開2014−164815号公報
【特許文献3】特開2011−198472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これ等の電池パックは、外装ケースにはたらく衝撃を吸収するために、外装ケースの端部に中空状のスペースを形成し、あるいは、衝撃緩衝部や保護部材を配置するスペースを形成する必要があるので、外装ケースの外形が大きくなる問題点がある。また、衝撃緩衝部や保護部材等の別部材を必要とする電池パックにおいては、部品点数が増えて製造コストが高くなると共に、これらの部材を外装ケースの定位置にセットするための工程も必要となり、製造に手間がかかる問題点がある。
【0009】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池パックの外形を大きくすることなく、また衝撃を緩和するための別部材を配置することなく、極めて簡単な構造で落下時に電池が受ける衝撃を緩和して、電池の損傷や接続不良が生じるのを有効に防止できる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の電池パックは、充放電できる電池1と、この電池1を収納してなる外装ケース2とを備え、外装ケース2は、内部に収納される電池1の軸方向における中間部を保持する保持面20を外装ケース2の内面に有し、保持面20において電池1を保持すると共に、電池1の端面1xと側面1yの境界部分である周縁コーナー部13と対向する外装ケースの隅部3の内側に形成され、かつ隅部における外装ケースの厚みが、保持面における外装ケースの厚みより薄く、周縁コーナー部13を当接させない非接触凹部4を形成している。
【0011】
本発明の電池パックは、極めて簡単な構造で、落下等で電池が受ける衝撃を緩和して、電池の損傷や接続不良が生じるのを有効に防止できる特徴がある。それは、この電池パックが、電池の軸方向における中間部を外装ケース内面の保持面で保持することで外装ケース内における保持面と交差する方向への電池の移動を抑制しながら、電池の端面と側面の境界部分である周縁コーナー部と対向する隅部の内面に形成された非接触凹部により、外装ケースの隅部の内面に電池の周縁コーナー部が当接するのを阻止しているからである。この構造の電池パックは、外装ケースの隅部に位置する電池の周縁コーナー部が、外装ケースの内面に対して非接触状態に保持されるので、落下等の衝撃により外装ケースの隅部が外部から強い力を受ける場合においても、この力がケース内面から直接に電池の周縁コーナー部に伝わるのを阻止できる。言い換えると、この非接触凹部の空隙がクッションとなって電池を衝撃力から保護できる。したがって、外装ケースに収納された電池は、落下時等において端部にはたらく衝撃力が緩和されて、損傷や接続不良が生じるのが有効に防止される。
【0012】
とくに、本発明の電池パックは、外装ケースの内面であって、電池の周縁コーナー部と対向する隅部の内面に非接触凹部を形成するので、外装ケースの外形を大きくすることなく、また衝撃を緩和するための別部材を配置することなく、極めて簡単な構造としながら、効果的に落下時の衝撃を緩和できる。
【0013】
本発明の電池パックは、電池1が外装缶11の開口部を封口板12で閉塞してなる円筒形電池1Aまたは角型電池で、外装ケース12が、電池1の封口板12側の周縁コーナー部13と対向する隅部3に非接触凹部13を備えることができる。
【0014】
この電池パックは、電池の封口板側の周縁コーナー部と対向する隅部に非接触凹部を設けているので、とくに電池が損傷を受けやすい外装缶の閉塞部である封口板側の端部を有効に保護できる。
【0015】
本発明の電池パックは、外装ケース2が、電池1を収納するプラスチック製の本体ケース21と、本体ケース21の開口部を閉塞するプラスチック製の蓋ケース25からなり、本体ケース21は、方形状の底板22の周囲に周壁23を連結してなる箱形であって、周壁23が、電池1の側面1yと対向する一対の側面壁23Yと、電池1の端面1xと対向する一対の端面壁23Xとを連結して横断面形状を方形状としており、方形状の周壁23の隅部3の内面に非接触凹部4を形成することができる。
【0016】
この電池パックは、電池を収納する本体ケースを、方形状の底板の周囲に周壁を連結してなる箱形とし、方形状の周壁の隅部の内面に非接触凹部を形成するので、周壁に沿って収納される電池の周縁コーナー部に非接触凹部を確実に対向させて電池を保護できる。
【0017】
本発明の電池パックは、電池1を複数備えると共に、複数の電池1を互いに平行な姿勢で積み重ねて電池ブロック10を構成することができる。周壁23は、側面壁23Yの内面に保持面20を備え、電池ブロック10は、各電池1の端面1xが同一平面上に位置して配置されると共に、両側面1yにおいて、複数段に積み重ねられる電池1の中間部を保持面20に当接させることができる。
【0018】
この電池パックは、複数の電池を互いに平行な姿勢で積み重ねて電池ブロックとして本体ケースに収納するので、複数の電池を簡単かつ容易に本体ケースに収納できる。また、電池ブロックは、両側面において、複数段に積み重ねられる電池の中間部を、本体ケースの側面壁の保持面に当接させることで、複数の電池を位置決めしながら本体ケースに収納できる。
【0019】
本発明の電池パックは、電池1を円筒形電池1Aとすると共に、電池ブロック10が複数の円筒形電池1Aを縦横に並べて定位置に配置する電池ホルダ5を備えて、電池ホルダ5が、複数の円筒形電池1Aを、横方向に2列に並べて、縦方向に複数段に配置することができる。
本明細書において、縦横の方向は、図において特定するものとする。すなわち、横方向は、図4における左右方向であって、縦方向は、図4における上下方向を意味するものとする。
【0020】
この電池パックは、複数の円筒形電池を、電池ホルダを介して簡単かつ正確に縦横に並べて定位置に配置できる。とくに、複数の円筒形電池を、横方向に2列に並べて、縦方向に複数段に配置しながら、外装ケースに容易に収納できる。
【0021】
本発明の電池パックは、電池ブロック10が、複数の電池1の両端面1xの電極をリード板6を介して接続しており、電池1の端面1xを、リード板6を介して周壁23の端面壁23Xの内面で保持することができる。
【0022】
上記構成により、電池の端面をリード板を介して周壁の端面壁の内面で保持することで、電池が軸方向に移動するのを端面壁で抑制して、電池パックの落下時の衝撃等によって電池の端面が受ける損傷、例えば、リード板の接触不良等の弊害を低減できる。
【0023】
本発明の電池パックは、非接触凹部4を、周壁23の隅部3において、側面壁23Yと端面壁23Xとに跨がって断面視L字状に形成することができる。
【0024】
この電池パックは、方形状の周壁の隅部に、断面視L字状の非接触凹部を側面壁と端面壁とに跨がって形成するので、電池の周縁コーナー部の側面側と端面側の両方を周壁に対して非接触状態として、この部分を効果的に保護できる。
【0025】
本発明の電池パックは、非接触凹部4を、周壁23の隅部3において、本体ケース21の深さ方向に延長して溝状に形成することができる。
【0026】
この電池パックは、周壁の隅部に形成される非接触凹部を、本体ケースの深さ方向に延長して溝状に形成するので、簡単な構造の金型を使用しながら、電池の周縁コーナー部に対向する非接触凹部を確実に形成できる。
【0027】
また、複数の電池を複数段に積み重ねてなる電池ブロックを収納する構造においては、非接触凹部を本体ケースの深さ方向に延長して溝状に形成することで、複数段に積み重ねられた電池の周縁コーナー部に対向する非接触凹部を簡単かつ確実に形成できる。
【0028】
本発明の電池パックは、非接触凹部4を、方形状の周壁23の四隅部に形成することができる。
【0029】
この電池パックは、周壁の四隅部に非接触凹部を形成するので、収納される電池の数や向き、配列等に左右されることなく、本体ケースの隅部に配置される電池の周縁コーナー部に対して確実に非接触凹部を配置できる。言い換えると、本体ケースに対して電池を方向性なく収納できる。
【0030】
また、複数の電池を複数段に積み重ねてなる電池ブロックを収納する構造においては、高さのある電池ブロックを収納するために本体ケースを深く形成する必要があるが、この場合、深さのある本体ケースは、周壁が高くなるため、図8の鎖線で示すように、開口部付近において、長辺側の周壁が内側に反りやすくなる。このため、従来の電池パックでは、本体ケースに電池ブロックを収納する際には、内側に反った長辺側の周壁を外側に押し広げながら電池ブロックを挿入する必要があり、この作業に手間がかかる問題点があった。これに対して、周壁23の四隅部に非接触凹部4を形成してなる本体ケース21は、長辺側の周壁3の両側部に非接触凹部4が形成されて、この部分が薄く成形されているので、内側に反った長辺側の周壁23を、図8の矢印で示すように、外側に押し広げやすくでき、電池ブロックを楽に挿入できる。
【0031】
本発明の電池パックは、非接触凹部4の深さtを0.1mm〜0.5mmとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施の形態に係る電池パックを示す斜視図である。
図2図1の電池パックの分解斜視図である。
図3図1の電池パックを下側から見た分解斜視図である。
図4図1の電池パックの垂直縦断面図であって図1のIV−IV線断面図である。
図5図1の電池パックの水平断面図であって図1のV−V線断面図である。
図6図5の電池パックの要部拡大断面図である。
図7】非接触凹部の他の一例を示す要部拡大断面図である。
図8図2に示す本体ケースの底面図である。
図9】本発明の他の実施の形態に係る電池パックを下側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。具体的には、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0034】
(実施形態1)
図1図6に、本発明の一実施の形態に係る電池パックとして、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電気機器にセットして使用されて、これらの電気機器に駆動電力を供給する電池パックを示す。ただ、本発明の電池パックは、その使用用途をビデオカメラやデジタルカメラ等の電気機器に限定するものでなく、他の電気機器、例えば電動工具等にも適宜利用可能であることはいうまでもない。
【0035】
図1図6において、図1は電池パックを示す斜視図、図2図1の電池パックの分解斜視図、図3図1の電池パックを下側から見た分解斜視図、図4図1の電池パックの垂直縦断面図、図5図1の電池パックの水平断面図、図6図5の電池パックの要部拡大断面図をそれぞれ示している。図1ないし図6に示す電池パック100は、充放電できる電池1と、この電池1を収納してなる外装ケース2とを備えている。
【0036】
(電池1)
電池1は、充放電できる二次電池である。二次電池である電池1には、リチウムイオン二次電池を使用している。リチウムイオン二次電池は、体積あたりの電気容量が高く、小型化に適しており携行可能な電池パックとして好ましい。ただ、電池は、リチウムイオン二次電池に限定されず、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の充電できる電池とすることもできる。
【0037】
電池1は、有底の外装缶11の開口部を封口板12で閉塞しており、軸方向の両端である端面1xを正負の電極としている。電池1は、図5に示すように、外装缶11の底面である端面1xと外装缶11を閉塞する封口板12の中央部である端面1xとを正負の電極としている。電池1は、外装缶11と封口板12を金属製として、これ等を絶縁する状態で外装缶11の開口部を封口板12で閉塞している。電池1は、両端の電極に接続されるリード板5が、他の電池1の外装缶11や封口板12に対して意図しない接触を起こすのを防止するために、外装缶11の周囲を絶縁チューブ(図示せず)で被覆している。
【0038】
図2図4の電池パック100は、複数の電池1を備えており、これ等の電池1を複数段に積み重ねて電池ブロック10として外装ケース2に収納している。複数の電池1は互いに平行な姿勢で配列されて複数段に積み重ねられている。図に示す電池パック100は、電池1を円筒形電池1Aとしており、複数の円筒形電池1Aを縦横に配列して積み重ねて、全体を略直方体形状としている。
【0039】
本発明の電池パックは、落下等により外部から強い衝撃力を受けた際に、外装ケースに収納された電池に作用する衝撃を緩和して収納される電池を保護することを特徴とする。とくに、本発明は、電池を収納する外装ケースの外形を大きくすることなく、また、衝撃を緩和するための別部材を使用することなく、落下等によって電池パックが受ける衝撃を緩和する。このことを実現するために、本発明では、電池を収納する外装ケースを独特の構造としている。したがって、本発明の電池パックは、外装ケースに収納される電池や、複数の電池を集合して構成される電池ブロックについては、現在既に使用され、あるいは今後使用される全てのものを採用することができる。以下、外装ケースの構造について詳述する。
【0040】
(外装ケース2)
外装ケース2は、図1図6に示すように、外観を直方体の箱形とする形状に形成されている。外装ケース2は、内部に収納空間を形成しており、この収納空間を複数の電池1を備える電池ブロック10を収納できる大きさとしている。外装ケース2は、内部に収納される電池1の軸方向における中間部を保持する保持面20を外装ケース2の内面に有している。図4図5に示す外装ケース2は、この保持面20に電池1の側面1yを当接させて電池1を保持している。図4に示す保持面20は、電池1の軸方向の中間部であって、両端部を除く領域に当接して保持している。ここで、電池1の中間部とは、電池1の両端部を除く中間部分であって、電池1の全長(L)を1とすると、両端部の2〜20%、好ましくは3〜10%の領域を除く部分を意味するものとする。
【0041】
なお、本明細書において、「外装ケースの保持面が電池の中間部を保持する」とは、必ずしも外装ケースの保持面を電池の側面に常に当接させて保持する状態には限定しない。例えば、外装ケースの保持面と電池の側面との間にわずかな隙間がある状態であっても、外装ケースに収納された電池の移動を保持面で抑制して、実質的に電池を保持する状態を含む広い意味で使用する。すなわち、外装ケースの保持面は、電池の中間部が常に当接した状態に保持される必要はなく、多少のクリアランスがあっても、落下等の衝撃を受ける状態において、電池の中間部に当接して電池を保持する状態を含む広い意味で使用する。ただ、外装ケースは、保持面を電池の側面に当接させることで、より確実に電池を保持できる。したがって、外装ケースは、好ましくは保持面を電池の側面に当接させて電池を保持する。
【0042】
さらに、外装ケース2は、落下等により外装ケース2の隅部にかかる衝撃力が直に電池1の端部にはたらくのを防止するために、電池1の端面1xと側面1yの境界部分である周縁コーナー部13と対向する隅部3の内面に、周縁コーナー部13を当接させない非接触凹部4を形成している。この外装ケース2は、電池1の中間部を外装ケース2の保持面20で保持することで、保持面20と交差する方向への電池1の移動を抑制しながら、電池1の周縁コーナー部13と対向する隅部3に非接触凹部4を形成することで、外装ケース2の隅部3の内面に電池1の周縁コーナー部13が当接するのを阻止している。このため、外装ケース2の隅部3が外部から強い力を受ける場合においても、この力が外装ケース2の内面から直接に電池1の周縁コーナー部13に伝わるのを阻止して電池1の端部を保護できる。
【0043】
外装ケース2は、好ましくは、電池1の封口板12側の周縁コーナー部13と対向する隅部3に非接触凹部4を設けることができる。外装缶11の開口部を封口板12で閉塞してなる電池1は、この部分に強い衝撃力が加わると封口板12による密閉状態が低下して内部から電解液やガスが漏れるおそれがある。このため、電池1の封口板12側の周縁コーナー部13と対向する隅部3に非接触凹部4を設けることで、とくに電池1が損傷を受けやすい封口板12側の端部を有効に保護できる。ただ、外装ケース2は、外装缶11の缶底側の周縁コーナー部13と対向する隅部3にも非接触凹部4を設けることができる。この構造は、電池1の両端部を衝撃から保護できる。
【0044】
図1図6に示す外装ケース2は、一方を開口して、電池1を収納する箱形に成形している本体ケース21と、この本体ケース21の開口部を閉塞する蓋ケース25からなる。本体ケース21及び蓋ケース25は、絶縁性に優れたプラスチック製、例えばポリカーボネート製とすることができる。
【0045】
(本体ケース21)
本体ケース21は、方形状の底板22の周囲に周壁23を連結してなる箱形であって、電池ブロック10を収納できる内形としている。方形状の底板22は、略直方体の電池ブロック10の上面10Cに沿う形状と大きさとしている。周壁23は、電池1の側面1yと対向する一対の側面壁23Yと、電池1の端面1xと対向する一対の端面壁23Xとを連結して横断面形状を方形状としている。この周壁23は、電池1の中間部を保持する保持面20を側面壁23Yの内面に設けている。この本体ケース21は、内部に電池ブロック10を収納する状態で、電池ブロック10の両側面10Aである電池1の側面1yを側面壁23Yの保持面20に当接させる状態で電池1を保持する。
【0046】
さらに、本体ケース21は、内部に電池ブロック10を収納する状態で、電池ブロック10の両端面10Bを、周壁23の端面壁23Xの内面で保持している。図2図3に示す電池ブロック10は、複数の電池1の両端面1xの電極をリード板6を介して接続しており、電池1の端面1xがリード板6を介して端面壁23Xの内面に保持されている。図5に示す本体ケース21は、電池ブロック10の両端面10Bを端面壁23Xの内面に当接させる状態で電池1を保持している。ただ、本体ケース21は、必ずしも端面壁の内面を電池ブロック10の端面10Bに常に当接させて保持する状態には限定しない。前述のように、端面壁23Xの内面と電池ブロック10の端面10Bとの間にわずかな隙間がある状態であっても、本体ケース21に収納された電池1の移動を端面壁23Xで抑制して、実質的に電池1を保持することができるからである。
【0047】
(非接触凹部4)
さらに、本体ケース21は、方形状の周壁23の隅部3の内面、すなわち、側面壁23Yと端面壁23Xとの境界部分の内面に非接触凹部4を形成している。図5図6に示す非接触凹部4は、周壁23の隅部3において、側面壁23Yと端面壁23Xとに跨がって断面視L字状に形成されている。横断面形状をL字状とする非接触凹部4は、端面壁23Xに形成される端面部4Xと、側面壁23Yに形成される側面部4Yとで構成されている。この形状の非接触凹部4は、周縁コーナー部13の端面側に端面部4Xを、側面側に側面部4Yを対向させて、電池1の周縁コーナー部13を隅部3の内面に対して非接触状態に配置している。この構造は、電池1の周縁コーナー部13の端面側と側面側の両方を周壁23に対して非接触状態として、この部分を効果的に保護できる。
【0048】
断面視をL字状とする非接触凹部4は、端面部4Xの幅(h1)と側面部4Yの幅(h2)が最適な幅となり、非接触凹部4の深さ(t)が最適な深さとなるように形成される。端面部4Xの幅(h1)は、端面壁23Xの幅(H1)に対して、3〜15%、好ましくは5〜12%とすることができる。端面部4Xの幅(h1)は、電池1の端面1xに接続されたリード板6に対して、端面壁23Xの内面を対向して配置できる幅とすることが好ましい。また、側面部4Yの幅(h2)は、側面壁23Yの幅(H2)に対して、2〜15%、好ましくは3〜10%とすることができる。側面部4Yの幅(h2)は、とくに電池1の封口板12側において、封口板12や封口板12を定位置に保持するカシメ部14が配置された領域をカバーできる幅とすることが好ましい。
【0049】
さらに、非接触凹部3は、その深さ(t)を0.1mm〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.4mmとすることができる。ただ、非接触凹部3の深さ(t)は、周壁の肉厚(d)に対して特定することもできる。例えば、本体ケース21は、周壁23の肉厚(d)を1mm〜3mm、好ましくは1.5〜2mmとして、非接触凹部3の深さ(t)を前述の範囲とすることができる。本体ケース21は、周壁23の肉厚(d)を大きくすると、ケースの強度が強くなるが、全体の重量が重くなってコストが高くなる。また、非接触凹部4は、深さ(t)を深くすると、周縁コーナー部13が周壁23の内面に接触するのを効果的に防止できるが、ケース自体の強度が低下する。したがって、本体ケース21は、これ等のことを考慮して、周壁23の肉厚(d)と、非接触凹部4の深さ(t)を最適となるように決定する。
【0050】
図6の拡大断面図に示す非接触凹部4は、端面部4Xの先端を段差部4aとして側面部4Yの先端部をテーパー面4bとしている。図に示すテーパー面4bは、側面壁23Yの保護面20から隅部3に向かって次第に深くなる形状としている。ただ、非接触凹部4は、図7に示すように、端面部4Xと側面部4Yの先端を共に段差部4aとすることも、図示しないが、端面部の先端部にテーパー面を設けることもできる。
【0051】
さらに、図3に示す非接触凹部4は、本体ケース21の深さ方向に延長された溝状に形成されている。この非接触凹部4は、深さ方向に延びる溝状に形成されるので、簡単な構造の金型を使用しながら、電池1の周縁コーナー部13に対向する位置に確実に配置できる。とくに、電池ブロック10を収納する状態で、複数段に積み重ねられた複数の電池1の周縁コーナー部13に対向する非接触凹部4を簡単かつ確実に形成できる。
【0052】
図5に示す本体ケース21は、方形状の周壁23の四隅部に非接触凹部4を形成している。この本体ケース21は、収納される電池の数や向き、配列等に左右されることなく、周壁23の隅部3に配置される電池1の周縁コーナー部13に対して確実に非接触凹部4を配置できる。
【0053】
また、複数の電池1を複数段に積み重ねてなる電池ブロック10を収納する本体ケース21は、高さのある電池ブロック10を収納するために深く形成されるが、深さのある本体ケース21は周壁23が高くなるため、図8の鎖線で示すように、開口部付近において、長辺側の周壁23である側面壁23Yが内側に反りやすくなる。このため、従来の電池パックでは、本体ケースに電池ブロックを収納する際には、内側に反った長辺側の周壁を外側に押し広げながら電池ブロックを挿入する必要があり、この作業に手間がかかる問題点があった。
【0054】
これに対して、本発明の電池パックでは、周壁23の隅部3に非接触凹部4を形成するので、この非接触凹部4を計画的に形成することで、長辺側の周壁を外側に押し広げやすくできる。例えば、本体ケース21は、長辺側である側面壁23Yの両側に位置する隅部3に、深さ方向に延びる非接触凹部4を形成することで、この側面壁23Yの両側縁部を薄く成形でき、この側面壁23Yを外側に広げやすくできる。このため、本体ケース21に対して、電池ブロック10を楽に挿入できる。さらに、図8に示すように、方形状の周壁23の四隅部に非接触凹部4を形成してなる本体ケース21は、図の矢印で示すように、対向する側面壁23Yを両外側に変形させやすくでき、電池ブロック10を楽に挿入できる。したがって、この電池パックは、深さのある本体ケース21に対して、簡単かつ容易に電池ブロック10を挿入して作業効率を向上できる。
【0055】
(蓋ケース25)
蓋ケース25は、本体ケース21の開口縁に沿う形状であって、方形状の底面プレート26の周囲に低い周壁27を設けた浅い箱形に成形している。この蓋ケース25は、電池ブロック10の底面10Dに配置される回路基板7を収納できる深さを有するが、最下段に配置された円筒形電池1Aの側面1yが当接しない高さとしている。本体ケース21は、内部に電池ブロック10を収納した状態で、開口部に位置する電池ブロック10の底面側に回路基板7が配置される。蓋ケース25は、電池ブロック10の最下段に位置する電池1の一部と、電池ブロック10の底面10Dに配置された回路基板7とを内側に案内しながら本体ケース21に連結されて、本体ケース21の開口部を閉塞する。
【0056】
蓋ケース25は、回路基板7をカバーする底面プレート26の周囲に周壁27を設けて、この周壁27の先端縁を本体ケース21の開口縁に連結して固定している。蓋ケース25は、回路基板7に固定された接続端子33を外部に表出させる端子窓34を開口している。図3に示す蓋ケース25は、一方の端部にスリット状に切り欠いて端子窓34を開口している。この蓋ケース25は、本体ケース21の開口部を閉塞する状態で、内蔵される回路基板7に固定された接続端子33を端子窓34から外部に表出させる。
【0057】
本体ケース21と蓋ケース25は、互いの周壁23、27を超音波溶着して固定されて、内部に電池ブロック10と回路基板7を内蔵する。図2図4に示す本体ケース21と蓋ケース25は、対向する周壁23、27を位置ずれなく超音波溶着するために、超音波溶着する連結部に係止爪30と係止部31とを設けている。本体ケース21は、周壁23の下端縁に沿って、下方に延びる溶着リブ24を設けている。溶着リブ24は、先端部の内側に、複数の係止爪30を突出するように設けている。蓋ケース25は、周壁27の先端部の内側に係合爪30を案内する連結片28を設けて、この連結片28に係合爪30を係止させる係止部31を形成している。この構造の外装ケース2は、係止爪30を係止部31に案内する状態で、本体ケース21と蓋ケース25の連結部を超音波振動させて超音波溶着される。ただ、本体ケースと蓋ケースは、接着して固定し、あるいは係止構造で連結することもできる。
【0058】
(装着ガイド35)
さらに、外装ケース2は、電池パックを電気機器に連結する際に、電気機器の装着部に対して、正しい姿勢でスライドさせながら着脱できるように、装着ガイド35を備えている。図1図4に示す外装ケース2は、電気機器の装着部に設けた装着凹部(図示せず)に案内される複数の装着凸部35Aを、蓋ケース25の両側面から突出して設けている。この装着凸部35Aが電気機器の装着部に設けた装着凹部(図示せず)に案内されて、電池パックは電気機器の定位置にセットされる。さらに、電池パックが電気機器の定位置にセットされた状態で、端子窓34から表出する接続端子33が、電気機器の機器側接続端子(図示せず)に電気接続される。
【0059】
(電池ブロック10)
図2図4に示す電池パック100は、8本の円筒形電池1Aを備えており、8本の円筒形電池1Aを2列4段に積み重ねて、外形を略直方体状とする電池ブロック10としている。なお、電池ブロックを構成する電池の本数は、8本に限らず、7本以下とすることも、9本以上とすることもできる。ここで、偶数本の円筒形電池1Aは、2列に並べて複数段に積み重ねることができる。例えば、図9に示す電池パック200のように、4本の円筒形電池1Aを2列2段に積み重ねて配置することができる。あるいは、図示しないが、6本の円筒形電池1Aを2列3段に積み重ねて配置することもできる。なお、本発明は収納する電池を円筒形電池には特定しない。電池には、角型電池も使用できる。角型電池は、複数個を厚さ方向に積層して電池ブロックを構成することができる。
【0060】
(電池ホルダ5)
電池ブロック10は、複数の電池1を縦横に並べて定位置に配置する電池ホルダ5を備えている。電池ホルダ5は、複数の円筒形電池1Aを絶縁しながら定位置に配置できるように、プラスチックで成形されている。電池ホルダ5は、互いに隣接する電池1の間に配置されて、隣接する電池1同士を絶縁する絶縁壁50を備えている。図4に示す電池ブロック10は、8本の円筒形電池1Aを、横2列、縦4段に並べて配置している。したがって、電池ホルダ5の絶縁壁50は、左右に位置する電池1の間に配置される縦絶縁部51と、上下に位置する電池1の間に配置される横絶縁部52とを備えている。
【0061】
縦絶縁部51は、片側面を対向する円筒形電池1Aの湾曲面に沿う曲面状とする湾曲プレート部51Aと、反対側面に対向する円筒形電池1Aに交差する姿勢で配置された複数の縦リブ51Bとを備えている。複数の縦リブ51Bは、電池1の軸方向に離間して配置されると共に対応する円筒形電池1Aの湾曲面に沿う形状の湾曲凹部を有している。この縦絶縁部51は、左右の一方の電池1を湾曲プレート部51Aの片側の湾曲面に沿って配置し、他方の電池1を縦リブ51Bの湾曲凹部に沿って配置して定位置に配置できる構造としている。図に示す電池ホルダ5は、横絶縁部52の間に位置して上下に配置される縦絶縁部51を交互に左右反転する形状として、左右に配置される電池1を定位置に配置している。
【0062】
横絶縁部52は平板状で、その先端が、最も外側に位置する電池1の側面1yから突出しない長さとしている。さらに、横絶縁部52は、その先端部であって電池1の両端部と対向する位置に、電池1の湾曲面に沿うY字状保持部53を設けている。このY字状保持部53は、上下の両面に電池1の湾曲面に沿う湾曲部を形成しており、一方の湾曲部を下段に配置される電池1の上面に当接させて位置決めし、他方の湾曲部を上段に配置される電池1の上面に当接させて位置決めしている。
【0063】
さらに、電池ホルダ5は、最下段に配置される電池1の下面を位置決めしながら保持する底面絶縁部54を備えている。この底面絶縁部54は、上面に湾曲部を形成して、最下段に配置される電池1の下面を位置決めしながら定位置に保持している。
【0064】
さらに、電池ブロック2は、図4図7に示すように、電池ホルダ5を介して縦横に配列される複数の電池1を、両端面1xに連結されるリード板6を介して所定の配列で電気接続している。図2図3の電池ブロック2は、上下に隣接する2本ずつの電池1を同方向に並べて積層すると共に、これ等の電池1の対向する電極をリード板6で連結して、互いに並列に接続している。さらに、互いに並列に接続された電池1の接続体同士を互いに直列に接続して、8本の電池1を4直2並に接続している。ただ、本発明は、電池ブロックを構成する電池の個数とその接続状態を特定しない。例えば、図9に示す電池パック200においては、4本の電池1を直列に接続している。
【0065】
(リード板6)
リード板6は、導電性に優れた平板状の金属板で、電池1の端面1xに接続されている。図2図3に示すリード板6は、直列に接続される複数の電池1の両端に配置されて電池ブロック10の出力が取り出される出力リード板6Aと、互いに4本の電池1を並列と直列に接続する中間リード板6Bとを備えている。中間リード板6Bは、中間電位を取り出すための検出リード部6aを回路基板7まで延長している。図に示すリード板6は、電池1の電極にスポット溶接して接続すると共に、出力リード板6Aと検出リード部6aを回路基板7まで延長して、回路基板7に接続している。
【0066】
(回路基板7)
回路基板7は、絶縁基板で、図3に示すように、電池ブロック2の底面10Dに対向して配置されている。回路基板7は、電池ブロック10から引き出されたリード板6が接続されている。さらに、回路基板7は、電池1の保護回路を実現する電子部品を実装している。保護回路は、電池1の電圧、残容量、温度があらかじめ設定している範囲となるように充放電電流をコントロールする。さらに、回路基板7は、電池1の残容量を検出する残容量検出回路(図示せず)を備えている。この残容量検出回路は、電池1の電圧や電流から残容量を演算して、電池パックの残容量を表示部16に表示する。
【0067】
(サブ回路基板15、表示部16)
図2図4に示す電池パック100は、表示部16を実現するサブ回路基板15を電池ブロック10の上面に配置している。サブ回路基板15は、表示部16として、電池1の残容量等を表示する複数のLED16Aを上面に実装している。図2に示すサブ回路基板5は、本体ケース21の底板22に設けた複数の表示窓36に対向して、複数のLED16Aを配置している。図2に示すサブ回路基板15は、4個のLEDを実装しており、点灯状態を制御して電池1の残容量を表示するようにしている。このサブ回路基板15は、折曲可能なハーネス18を介して回路基板7に接続されている。
【0068】
(操作スイッチ17)
さらに、図2に示すサブ回路基板15は、操作スイッチ17も実装している。この操作スイッチ17は、表示部16に電池1の状態表示を実行させるためのスイッチである。表示部16は、通常はOFF状態となっており、操作スイッチ17を押下すると、一定時間表示が実行され、一定時間経過後は表示がOFF状態に戻るようにしている。また、外装ケース2の表面であって、本体ケース21の底板22の外側面には、操作ボタン37が配置されている。操作ボタン37は、LED16Aの表示窓に隣接して配置されている。操作ボタン37は、サブ回路基板15上に実装された操作スイッチ17を押下するよう、これと連結されている。
【0069】
(接続端子33)
さらに、電池パック100は、外部接続される電気機器と電気的に接続するための電気接続部として複数の接続端子33を備えている。この接続端子33は、回路基板7に固定されている。複数の接続端子33は、電池パック100に内蔵された電池1の出力側に接続された正負の出力端子33Aと、保護回路の情報、たとえば、電池温度や電池情報等を出力する信号端子33Bとからなる。接続端子33は、図3に示すように、外装ケース2の蓋ケース25に開口された端子窓34を通じて外部に表出される。接続端子33は、図示しないが、電気機器の装着部に設けられた機器側接続端子と電気的に接続される。
【0070】
(クッション材19)
さらに、図2図4に示す電池ブロック10は、本体ケース21の底板22と対向する上面10Cにクッション材19を固定している。このクッション材19は、クッション性に優れたウレタン樹脂またはシリコン樹脂である。図に示す電池ブロック10は、上面10Cに2列のクッション材19を配置している。クッション材19は、電池1の軸方向に延びる帯状で、左右に配置された電池1のそれぞれに固定されている。このクッション材19は、電池ブロック10の上面10Cと本体ケース21の底板22とのクリアランスを吸収して電池ブロック10を本体ケース21の定位置に保持すると共に、外部から働く衝撃や振動を吸収して電池ブロック10を保護できる。
【0071】
以上の電池パック100は、図示しないが、デジタルカメラやビデオカメラ等の電気機器に接続されて、内蔵された電池1から電気機器に電力を供給する。また、電池パック100は、充電アダプタが接続された電気機器を介して供給される電力で、あるいは充電台に載置されて充電台から供給される電力で、内蔵された電池1が充電される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る電池パックは、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電気機器にセットされて、これらの電気機器に電力を供給する携帯用の電池パックとして好適に使用される。
【符号の説明】
【0073】
100、200…電池パック
1…電池
1A…円筒形電池
1x…端面
1y…側面
2…外装ケース
3…隅部
4…非接触凹部
4X…端面部
4Y…側面部
4a…段差部
4b…テーパー面
5…電池ホルダ
6…リード板
6A…出力リード板
6B…中間リード板
6a…検出リード部
7…回路基板
10…電池ブロック
10A…側面
10B…端面
10C…上面
10D…底面
11…外装缶
12…封口板
13…周縁コーナー部
14…カシメ部
15…サブ回路基板
16…表示部
16A…LED
17…操作スイッチ
18…ハーネス
19…クッション材
20…保持面
21…本体ケース
22…底板
23…周壁
23X…端面壁
23Y…側面壁
24…溶着リブ
25…蓋ケース
26…底面プレート
27…周壁
28…連結片
30…係止爪
31…係止部
33…接続端子
33A…出力端子
33B…信号端子
34…端子窓
35…装着ガイド
35A…装着凸部
36…表示窓
37…操作ボタン
50…絶縁壁
51…縦絶縁部
51A…湾曲プレート部
51B…縦リブ
52…横絶縁部
53…Y字状保持部
54…底面絶縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9