特許第6679390号(P6679390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6679390
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】発泡性スチレン系樹脂粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20200406BHJP
   C08F 2/18 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   C08J9/16CET
   C08F2/18
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-75215(P2016-75215)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2017-186422(P2017-186422A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】落越 忍
(72)【発明者】
【氏名】逸見 龍哉
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−246606(JP,A)
【文献】 特開2005−008670(JP,A)
【文献】 特開平09−221563(JP,A)
【文献】 特開2008−201989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
C08F 2/00−2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昜揮発性発泡剤を含む発泡性スチレン系樹脂粒子であって、該発泡性スチレン系樹脂粒子のスチレン系樹脂が、ジビニルベンゼンをスチレン単量体100重量部に対して0.010〜0.020重量部含み、該発泡性スチレン系樹脂粒子のキシレン不溶分が1.5%未満であり、該発泡性スチレン系樹脂粒子の表層部のZ平均分子量(Mz1)が60万〜100万であり、全体のZ平均分子量(Mz2)が70万〜115万であり、かつMz1とMz2との比率(Mz1/Mz2)が0.85〜0.95であることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項2】
昜揮発性発泡剤が、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタンからなる群の少なくとも1種であり、スチレン系樹脂100重量部に対して、2〜7重量部含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られる予備発泡粒子。
【請求項4】
請求項3に記載の予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡成形体。
【請求項5】
発泡成形体の密度が0.05〜0.2g/cm3であることを特徴とする請求項4に記載の発泡成形体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
スチレン系樹脂種粒子とスチレン系単量体の総量100重量部に対して、一般式(1)に示される化合物0.040重量部〜0.180重量部を重合開始剤として使用することを特徴とする請求項6に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【化1】
(式中のR1は分岐アルキル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。)
【請求項8】
ジビニルベンゼンを添加後、115〜130℃、2時間〜7時間、加熱処理することを特徴とする請求項6または7に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
スチレン系単量体の全量の90%〜100%が添加された時点で、ジビニルベンゼンを添加することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡性スチレン系樹脂粒子、及びその製造方法に関する。さらには、発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られる予備発泡粒子、及び予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体は、軽量性、断熱性、強度、衛生性に優れ、食品容器、緩衝材、断熱材、住宅用建材などに広く利用されている。例えば、住宅用建材分野では床暖房用途で使用されている。この床暖房用途では、パイプを埋め込む箇所があり、この箇所にいたっては数mmの厚みにする必要があるため、高い強度が求められている。
【0003】
一方、最近では環境問題への関心の高まりから、より省エネルギーへの要望が高まっており、型内成形時の温度を低温にすることにより、少ない蒸気使用量で発泡可能な樹脂が求められている。
【0004】
しかしながら、発泡時の温度を低温にすると、加熱時に発生した蒸気のドレンの溜りにより発泡が抑制され、得られた成形体は予備発泡粒子同士が充分に融着しないものとなる。この場合、曲げ強度や圧縮強度などの強度が悪化傾向にある。更には、金型壁面付近の予備発泡粒子の充填状態が悪い為に空隙率が高く、この部分のドレンの発生も多くなり、成形体の表面には粒子間隙が発生するなどの問題がある。
【0005】
特許文献1では、強度改善のため、架橋剤添加により樹脂粒子表層部と樹脂粒子全体の比率(Mz1/Mz2=1.05〜1.5)を調整した方法が開示されている。しかし、樹脂粒子表層部の分子量(Mz=130〜200万)を樹脂粒子全体(Mz=120〜190万)の分子量より高くしているため成形時の蒸気温度が低いと、融着が悪化し、十分な強度を確保することが難しくなることが問題であった。
【0006】
特許文献2では、耐熱性改善のため、架橋剤添加による樹脂粒子表層部と樹脂粒子全体の比率調整(Mz1/Mz2=1.05〜2.9)及び平均気泡径150〜300μmと最外壁の粒界壁の厚さが2.0〜10.0μmを調整した方法が開示されている。この方法においても強度は上がるが、樹脂粒子表層部の分子量(Mz=115〜250万)が樹脂粒子全体(Mz=85〜110万)の分子量より高く、更に最外壁の粒界が厚いため、成形時の蒸気温度が低いと、融着が悪化し、十分な強度を確保することが難しくなることが問題であった。
【0007】
特許文献3では、油分や色素の滲みだしを抑制するため、架橋剤を添加し、ゲル分10〜50質量%となる樹脂粒子の調整方法が開示されている。この方法では、文献で規定したゲル分:溶剤不溶分(10〜50質量%)では、成形時の蒸気温度が低いと、融着が悪化するため、十分な強度を確保することが難しくなることが問題であった。
【0008】
特許文献4では、粒子径:200〜600μm、残存スチレン量:1000ppm以下、発泡剤量:2〜6重量%、発泡倍率3〜30倍となる調整方法が開示されている。この方法では、低圧での成形性は良好であるものの、十分な強度が得られないため、改善の余地があった。
【0009】
特許文献1〜4のように低圧の成形条件における融着性、表面性及び強度すべてを満たすものは見出せていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−159683号公報
【特許文献2】特開2015−214641号公報
【特許文献3】特開2007−31641号公報
【特許文献4】特開2004−155870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、低圧の成形条件において、良好な融着性、表面性、強度を有する発泡性スチレン系樹脂粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のキシレン不溶分、表層と全体の分子量比を採用することで、低圧の成形条件において良好な融着性、表面性、強度を有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることがが出来ることを見出し本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0013】
[1]昜揮発性発泡剤を含む発泡性スチレン系樹脂粒子であって、該発泡性スチレン系樹脂粒子のスチレン系樹脂が、ジビニルベンゼンをスチレン単量体100重量部に対して0.010〜0.020重量部含み、該発泡性スチレン系樹脂粒子のキシレン不溶分が1.5%未満であり、該発泡性スチレン系樹脂粒子の表層部のZ平均分子量(Mz1)が60万〜100万であり、全体のZ平均分子量(Mz2)が70万〜115万であり、かつMz1とMz2との比率(Mz1/Mz2)が0.85〜0.95であることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0014】
[2]昜揮発性発泡剤が、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタンからなる群の少なくとも1種であり、スチレン系樹脂粒子100重量部に対して、2〜7重量部含むことを特徴とする[1]の発明に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0015】
[3][1]又は[2]の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られる予備発泡粒子。
【0016】
[4][3]の発明に記載の予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡成形体。
【0017】
[5]発泡成形体の密度が0.05〜0.2g/cm3であることを特徴とする[4]の発明に記載の発泡成形体。
【0018】
[6][1]又は[2]の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【0019】
[7]スチレン系樹脂種粒子とスチレン系単量体の総量100重量部に対して、一般式(1)に示される化合物0.040重量部〜0.180重量部を重合開始剤として使用することを特徴とする[6]の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【0020】
【化1】
【0021】
(式中のR1は分岐アルキル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。)
[8]ジビニルベンゼンを添加後、115〜130℃、2時間〜7時間、加熱処理することを特徴とする[6]または[7]の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【0022】
[9]スチレン系単量体の全量の90%〜100%が添加された時点で、ジビニルベンゼンを添加することを特徴とする[6]〜[8]のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
低圧の成形条件において、良好な融着性、表面性、強度を有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下,本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
【0025】
本発明は、昜揮発性発泡剤を含む発泡性スチレン系樹脂粒子であって、該発泡性スチレン系樹脂粒子のスチレン系樹脂が、ジビニルベンゼンをスチレン単量体100重量部に対して0.010〜0.020重量部含み、該発泡性スチレン系樹脂粒子のキシレン不溶分が1.5%未満であり、該発泡性スチレン系樹脂粒子の表層部のZ平均分子量(Mz1)が60万〜100万であり、全体のZ平均分子量(Mz2)が70万〜115万であり、かつMz1とMz2との比率(Mz1/Mz2)が0.85〜0.95であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子である。
【0026】
本発明に用いるスチレン系樹脂粒子は、一般的に知られているスチレン系樹脂の粒状物で、スチレン、及び、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体が挙げられ、さらにスチレンと共重合が可能な成分、例えばメチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体も包含する。これら共重合が可能な成分を1種又は2種以上使用し共重合に供しても良い。
【0027】
スチレン中のフェニルアセチレン量は0〜250ppmが好ましい。フェニルアセチレン量が250ppmを超える場合には、開始剤の使用量を増やす必要があるが、その反面、得られた発泡性スチレン系樹脂粒子の分子量が大きく低下する傾向にある。その結果、強度や成形性が低下することが問題となる。
【0028】
本発明におけるスチレン系樹脂粒子は、水性懸濁液中に分散したスチレン系樹脂種粒子にスチレン系単量体を添加して該種粒子に含浸させながら重合せしめる、いわゆる懸濁シード重合法によって製造されたものを使用することができる。
【0029】
懸濁シード重合法に用いる樹脂種粒子は、(1)通常の懸濁重合法、(2)重合性単量体を規則的な振動下にノズルを通すことにより液滴群として水性媒体中に分散させ、合着および付加的な分散を生じせしめることなく重合させる方法、などによって得ることができる。
【0030】
スチレン系樹脂種粒子の量は、目的とするスチレン系樹脂粒子の量に対して5〜60重量%であることが好ましい。5重量%未満になる場合、水性懸濁液に添加する重合性単量体が樹脂種粒子内で重合せずに、単独で重合する割合が増える傾向にあり、60重量%を超える場合は、一回の重合工程でより多くのモノマーを重合させることが出来ずに、不経済である。
【0031】
発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径は200〜600μmであることが好ましい。粒子径が200μmを下回ると、重合時の収率が極端に悪化しコストアップが避けられないのに加え、発泡剤の保持性が低下してビーズライフが短くなる傾向を有するため好ましくなく、600μmを越えると、床下地材を成形する際、金型への充填性が悪くなる傾向を有するため好ましくない。発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径を200〜600μmとするために、スチレン系樹脂種粒子の粒径は200〜300μmが好ましい。
【0032】
本発明で使用する分散剤としては、一般的に懸濁重合に用いられている分散剤、例えば、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩が挙げられる。これら、難水溶性無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダなどのアニオン性界面活性剤を併用すると、分散安定性が増すので効果的である。また、難溶性無機塩は得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径を調節するために、重合中に1回以上追加することもある。
【0033】
発泡性スチレン系樹脂粒子の製造において、一般的には、主に樹脂を形成するための開始剤と主に残存スチレン量を低下させるための開始剤を併用させることが通常行われている。ここに、樹脂を形成するための重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、イソプロピル−t−ブチルパーオキシカーボネート、過安息香酸ブチルのような有機化酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが例示される。これら重合開始剤を1種或いは2種以上併用することにより、重合温度、重合時間、樹脂の分子量等の選択幅をより広げた上で、残存スチレン量を低減した良好な製品を得ることができるので、併用することは極めて好ましい実施態様である。
【0034】
残存スチレンを低下させるための重合開始剤は、一般式(1)で示される化合物であり、R1は分岐アルキル基であり、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基構造をもつものである。
【0035】
【化2】
【0036】
(式中のR1は分岐アルキル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。)
一般式(1)のR1構造がt−ブチル基あるいはt−アミル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基、あるいはイソプロピル基であることが、残存スチレン量低減の点で好ましい。
【0037】
具体的には、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等があげられる。
【0038】
特に、一般式(1)の化合物の中で、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度99℃)が、最終製品である発泡性スチレン系樹脂粒子の残存スチレン量を低減でき、更に安価であるため好ましい。
【0039】
前記重合開始剤の使用量は、スチレン系樹脂種粒子とスチレン系単量体の総量100重量部に対して、0.040重量部以上0.180重量部以下である。重合開始剤の使用量が、当該範囲内であると、適度な分子量の樹脂が得られ、かつ、残存スチレン量を低減させることが出来る。0.040重量部未満では、残存スチレン量が多くなり、また残存スチレン量の可塑効果で耐熱性や強度が低下する傾向にある。0.180重量部を超える場合、残存スチレン系単量体量を低減させる効果は十分であるが、樹脂の分子量が低下する傾向があり、強度悪化や成形時の条件幅が狭くなるなどの問題が発生する。
【0040】
前記一般式(1)については10時間半減期温度が96℃以上110℃以下である事が好ましい。この範囲であれば重合中の開裂量を極力抑制し、115〜130℃で加熱処理する熱処理あるいは発泡剤含浸工程中に効率よく残存スチレン量を減少させる事ができる。10時間半減期温度が96℃未満の場合、重合中の開裂量が増加し、樹脂の分子量を低下させるため好ましくない。この問題の解決方法として、重合温度を下げることも可能であるが、その場合重合時間が延びるため、工業生産上好ましくない。また、逆に10時間半減期温度が110℃を超える場合、熱処理、あるいは発泡剤含浸中に開裂する開始剤の量が不足し、十分に残存スチレン量を減少させることができない。
【0041】
また、一般式(1)の化合物を使用する場合は、ジビニルベンゼンを添加後に115℃以上130℃以下で加熱処理を実施することが好ましい。
【0042】
熱処理や発泡剤含浸工程中の加熱温度は115℃以上130℃以下の場合、特に、前記一般式(1)の10時間半減期温度が96℃以上110℃以下である化合物を使用する為、効率よく、スチレン系単量体を低減できる。しかし、115℃未満の場合、一般式(1)の化合物のラジカル発生が少なくなり、生産性が低下する。130℃を超えると、重合機の内圧が高くなり、重装備の耐圧を有する重合機が必要となる。更に、分子量の低下量が大きくなり、その結果、強度悪化や成形時の条件幅が狭くなるなどの問題が発生する。
【0043】
また、加熱時間は2〜7時間が好ましい。この範囲であれば、効率よく、スチレン系単量体を低減できる。しかし、加熱時間が2時間未満の場合、一般式(1)の化合物のラジカル発生が少なくなり、残存スチレン量が高くなる傾向にある。加熱時間が7時間を超える場合は、分子量の低下量が大きくなり、その結果、強度悪化や成形時の条件幅が狭くなるなどの問題が発生する。
【0044】
残存スチレンを低下させるための一般式(1)の化合物の追加方法は、種樹脂が水中に分散した状態なら、重合開始前に追加しても良いし、重合後半に追加しても良い。例えば、重合工程への昇温前に追加する場合、又は重合時間が6時間で終了する処方において重合5時間目に追加する場合においても十分に残存スチレン量が十分に低下する。但し、一般式(1)の化合物を追加する際には水中に燐酸カルシウムなどのような無機物系の分散剤を存在させる必要がある。無機物系分散剤がないと、重合開始剤が媒体となり、種樹脂同士が凝集する。又は、一般式(1)の化合物の分散が悪化し、粒子間での一般式(1)の化合物の含有バラツキが大きくなる。この場合、残存スチレン量が多くなる傾向にあり、好ましくない。
【0045】
得られた本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、残存スチレン系単量体量が300ppm以下であり、好ましくは250pm以下である。下限は、実用的には0ppmになり難いので敢えて表示するなら1ppm以上である。
【0046】
一般式(1)の化合物は115〜130℃の加熱中に多くラジカルを発生し、そのラジカル種は残存スチレン低減のほかに、ポリマーを切断し分子量の低下を起こす。そのため、熱処理と発泡剤含浸工程で樹脂粒子全体のZ平均分子量の低下量は5〜30の間で制御する必要がある。この低下量にするためには、前記記載の一般式(1)の追加量は、スチレン系樹脂種粒子とスチレン系単量体の総量100重量部に対して、0.040重量部以上0.180重量部以下である。分子量の低下量がMzで5未満の場合は、発泡性が低くなるため、成形時の蒸気温度が低いと、表面伸びと融着が悪化傾向にある。分子量の低下量がMzで30を超える場合は強度が低下する傾向にある。
【0047】
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子全体のZ平均分子量(Mz2)は70万〜115万である。70万未満は、強度が低下する傾向にある。また、成形時の蒸気圧が高くなると表面の樹脂が溶融を起こしやすくなり、表面外観を損なう傾向にある。115万を超える場合は、発泡性が低くなるため、成形時の蒸気温度が低いと、表面伸びと融着が悪化し、その結果十分な強度が得られない。
【0048】
発泡性スチレン系樹脂粒子の表層部のZ平均分子量(Mz1)は60万〜100万である。60万未満では強度が低下する傾向にある。また、成形時の蒸気圧が高くなると表面の樹脂が溶融を起こしやすくなり、表面外観を損なう傾向にある。100万を超える場合は、発泡性が低くなるため、成形時の蒸気温度が低いと、表面伸びと融着が悪化し、その結果十分な強度も得られない。
【0049】
尚、発泡性スチレン系樹脂粒子の表層部の分子量を粒子自体から測定することは難しいため、本明細書では、樹脂粒子を予備発泡させて、型内成形した発泡成形体(発泡倍率10倍)の表層部(0.3mm)を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表層部の分子量とする。
【0050】
樹脂粒子表層のZ平均分子量(Mz1)と全体のZ平均分子量(Mz2)の比Mz1/Mz2は、0.85〜0.95である。0.85未満では、成形する際に表面の樹脂が溶融を起こしやすくなり、表面外観を損なう傾向にある。0.95を超える場合は、発泡性が低くなるため、成形時の蒸気温度が低いと、表面伸びと融着が悪化し、その結果十分な強度も得られない。
【0051】
本発明の樹脂粒子のキシレン不溶分は架橋剤添加により調整される。架橋剤の種類としては、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート又はポリエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。この中でも、ジビニルベンゼンは安価であり、添加により強度を上がるため好ましい。架橋剤の追加方法としては、スチレン系単量体の全量の90%〜100%が添加された時点で、ジビニルベンゼンを添加することが好ましい。前記架橋剤が添加されるときにスチレン系単量体の全量の90%未満の場合、得られる発泡性スチレン系樹脂粒子において架橋剤によりポリマー分子が架橋される層が厚くなりすぎる傾向がある。この場合に、発泡力が低下し、低圧での成形性が悪化傾向にある。
【0052】
上記方法で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子のキシレン不溶分1.5%未満である。1.5%未満の場合、低圧の成形条件においても良好な融着性、表面性、強度を維持できる。特開2007−31641号公報に記載のように溶剤(キシレン)の不溶分1.5%以上の場合は、発泡性が低くなるため、低圧での成形性が悪化しやすくなる(成形時の蒸気温度が低いと、融着が悪化し、その結果十分な強度が得られない)。前記キシレン不要分を得るためには、架橋剤の添加量は0.010〜0.020重量部である。より好ましくは0.012〜0.016重量部である。0.010重量部未満の場合、良好な強度が得られない。0.020重量部を超える場合は、不溶分が1.5%以上となり、低圧での成形性が悪化しやすくなる。
【0053】
本発明において使用する昜揮発性発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタンなど炭素数3以上5以下の炭化水素等の脂肪族炭化水素類、およびジフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのオゾン破壊係数がゼロであるフッ化炭化水素類などの揮発性発泡剤が挙げられる。これらの発泡剤を併用することもできる。これらの昜揮発性発泡剤がイソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタンからなる群の少なくとも1種であることがスチレン系樹脂粒子内での保持性を高くし、長い間、高い発泡力を維持できる点で好ましい。
また、これら発泡剤のうちでも、ブタンが、安価で発泡力が良好である点から、好ましい。ブタンの比率はノルマルブタン:イソブタンが80:20〜40:60が好ましい。ノルマルブタン比率が高くなるほど平気気泡径が大きくなり、融着しにくい傾向となる。その結果、十分な強度が得づらくなる。ノルマルブタン比率が高くなるほど平均気泡径が小さくなり、成形する際に表面溶融を起こしやすくなり、表面外観を損なう傾向にある。また融着が悪化傾向にあり、その結果、強度も低下傾向にある。
【0054】
昜揮発性発泡剤の使用量としてはスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは2重量部以上7量部以下、更に好ましくは3重量部以上6重量部以下である。2重量部より少ないと、予備発泡時間が長くなるとともに成形時の融着率が低下する傾向を有するため好ましくなく、7重量部を越えると、0.05〜0.2g/cm3という比較的低倍率に発泡する際に、粒子間の倍率ばらつきが大きくなる傾向を有するため好ましくない。
【0055】
本発明において使用する添加剤としては、目的に応じて可塑剤、気泡調整剤、難燃剤、難燃助剤等が使用できる。可塑剤としては、例えば、ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の植物油、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート等の脂肪族エステル、流動パラフィン、シクロヘキサン等の有機炭化水素等があげられ、これらは併用しても何ら差し支えない。気泡調整剤としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪族ビスアマイド、ポリエチレンワックス等が挙げられる。難燃剤としては、臭素化スチレン、臭素化ブタジエン・ビニル芳香族共重合体、臭素化ノボラック樹脂アリルエーテル、臭素化ポリ(1,3?シクロアルカジエン)及び臭素化ポリ(4?ビニルフェノールアリルエーテル)などの臭素化ポリマーやポリグリセリンジブロモプロピルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)等々の低分子化合物が上げられる。難燃助剤としては、例えば、クメンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン等の高温分解型の有機物があげられる。
【0056】
本発明においては、成形時に融着促進効果のあるステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、硬化ひまし油、硬化大豆油等の高級脂肪酸グリセライド、予備発泡時の集塊化防止効果のあるステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩を使用することができる。これらの添加剤は、発泡性スチレン系樹脂粒子とともにヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ユニバーサルミキサーなどの混合機内で一定時間混合することにより、発泡性スチレン系樹脂粒子表面に被覆または付着させることができる。さらに、帯電防止剤として一般に使用されるグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、脂肪酸モノグリセライド、アルキルスルフォン酸ナトリウム、などの1種または2種以上の併用も可能である。
【0057】
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、公知の方法で発泡させて、スチレン系発泡成形体を得ることが出来る。例えば、一旦予備発泡粒子を作製し、その後型内に該予備発泡粒子を充填し成形する方法(型内成形)や、発泡性スチレン系樹脂粒子を直接型に充填し発泡成型する方法等が挙げられる。本発明のスチレン系発泡成形体は型内成形法にて作製している。つまり、発泡性スチレン系樹脂粒子を回転攪拌式予備発泡装置で、水蒸気を用いて80〜110℃程度で加熱することにより、嵩倍率がの予備発泡粒を得、得られた予備発泡粒子を所望の形状の金型内に充填し、従来より低い水蒸気圧0.05〜0.11MPa程度(従来の水蒸気圧力0.07〜0.1MPa)で加熱することによりスチレン系発泡成形体とすることができる。尚、スチレン系発泡成形体の平均気泡径は40〜70μが好ましい。この範囲であれば、融着性と表面美麗性が良好な発泡成形体が得られる。
【0058】
このようにして得られた本発明のスチレン系発泡成形体は残存スチレン量も少なく、かつ良好な強度を有するものとなる。
【0059】
本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡成形体とした時の密度が0.05〜0.2g/cm3である事が好ましい。密度が0.2g/cm3を超える場合は、単位体積当りの使用樹脂量が多くなりコストアップとなるだけでなく、粒子同士の融着率が低下する傾向を有するため好ましくなく、0.05g/cm3未満圧縮強度が低下するため好ましくない。
【実施例】
【0060】
以下に実施例、及び比較例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例、及び比較例中の分子量、キシレン不溶分、平均気泡径、成形(融着性、表面性)及び強度評価については以下の方法で測定した。なお、「部」「%」は特に断りのない限り重量基準である。
【0061】
(分子量測定法)
樹脂粒子表層部のMzは、発泡成形体(発泡倍率10倍)の表層部として算出する。即ち、発泡成形体は、樹脂粒子を予備発泡させて、型内成形したものであるから、樹脂粒子表層部は発泡成形体表層部に相当し、本発明では樹脂粒子表層部の平均分子量を発泡成形体表層部の平均分子量とする。発泡成形体を35℃で24時間乾燥後、バーティカルスライサーを用いて、発泡成形体の表層を0.3mmカットし、表層部用のサンプルとする。
【0062】
尚、樹脂粒子全体のMzは、発泡成形体の厚み方向にカットしたものを、全体用のサンプルとする。
【0063】
得られたサンプル0.02gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、GPC(東ソー(株)製HLC−8020、カラム:TSKgel Super HZM−H、カラム温度:40℃、流速:0.35ml/1min.)にて分子量を測定した。
【0064】
(キシレンに対する不溶分測定)
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子のキシレン不溶分の測定は、発泡性スチレン系樹脂粒子1gにつき80gのキシレンを使用し、沸騰キシレンによる抽出を行う。沸騰開始から2時間経過後、200メッシュの金網で濾過を行い、濾液を取り除き、濾物を再び沸騰キシレンによる抽出を沸騰開始から2時間行い、再び200メッシュの金網で濾過を行い、濾液を取り除き、残る濾物を再び沸騰キシレンによる抽出を沸騰開始から1時間行い、200メッシュの金網で濾過を行い、濾物を沸騰キシレンに抽出されないものを不溶分とし、得られた不溶分を150℃の乾燥機で1時間乾燥させ、計量する(W2とする)。もとの発泡性スチレン系樹脂粒子の重量W1に対する割合をキシレン不要分とする。
【0065】
キシレン不溶分(%)=100×W2/W1。
【0066】
(残存スチレン測定法)
発泡性スチレン系樹脂粒子を塩化メチレン(内部標準シクロペンタノール)に溶解し、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−2014(キャピラリーカラム:GLサイエンス製Rtx−1、カラム温度条件:50→80℃(3℃/min)後、80→180℃昇温(10℃/min)、キャリアガス:ヘリウム)を用いて、発泡性スチレン系樹脂粒子中に含まれる残存スチレン量(ppm)を定量した。
【0067】
(融着性評価)
低圧0.05MPaで成形して得られた発泡体成形体(発泡倍率10倍)を破断し、破断面を観察して、粒子界面ではなく、粒子が破断している割合を求めて、以下の基準にて、融着性を判定した。
◎:粒子破断の割合が90%以上。
○:粒子破断の割合が80%以上、90%未満。
△:粒子破断の割合が70%以上、80%未満。
×:粒子破断の割合が70%未満。
【0068】
(表面性評価)
低圧0.05MPaで成形して得られた発泡体成形体(発泡倍率10倍)の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
◎:表面の溶融、粒間が無く、非常に美麗。
○:表面の溶融、粒間が少なく、美麗。
△:表面の溶融、粒間があり、外観やや不良。
×:表面の溶融、粒間が多く、外観不良。
【0069】
(平均気泡径の測定)
発泡成形体の平均気泡径は、発泡成形体(発泡倍率10倍)の切断面をマイクロスコープで観察し、切断面の一直線上(60mm)にかかる気泡数から平均気泡径を測定した。また、この測定で得られた平均気泡径を平均弦長という。
【0070】
平均気泡径(t)=線長/(気泡数×写真の倍率)。
【0071】
(強度測定:曲げ強度)
低圧0.05MPaで成形して得られた発泡成形体(発泡倍率10倍)を300×750×20(t)mmに切り出したサンプル片を、恒温恒湿室に24時間保管した後、曲げ強度を測定した。。尚、成形時の水蒸気圧力:0.05MPaで得られた発泡成形体で評価をした。
◎:曲げ強度が3.0MPa以上
○:曲げ強度が2.5MPa以上3.0MPa未満
△:曲げ強度が2.0MPa以上2.5MPa未満
×:曲げ強度が2.0MPa未満。
【0072】
(実施例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
撹拌機付属の6Lのオートクレーブに、純水重量85重量部、第3リン酸カルシウム0.57重量部、α―オレフィンスルフォン酸ソーダ0.00476重量部、塩化ナトリウム0.1重量部、粒子径が0.2〜0.3mm、残存スチレン量70000〜90000ppm、重量平均分子量18万のスチレン系樹脂種粒子15重量部を仕込んだ後、攪拌を開始した。その後、開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.04重量部を仕込んだ。続いて、92℃まで昇温させた後、ベンゾイルパーオキサイド30%溶液0.257重量部を4時間50分、フェニルアセチレン濃度80ppmのスチレン単量体85重量部は5時間45分かけて反応器中に仕込みながら重合した。更にスチレン添加終了間際にジビニルベンゼン0.012重量部仕込んだ。その後、30分間92℃を保持した後、直ちに120℃に昇温して1時間保持した。95℃に冷却後、系内にノルマルブタン70%濃度(イソブタン30%濃度)5.7重量部を仕込み更に3時間120℃で保持した後、冷却した。懸濁液を取り出し脱水・乾燥・分級して、粒子径が400〜600μm後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを洗浄、脱水・乾燥することにより、残存スチレン量300ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
【0073】
<予備発泡粒子の製造>
これを回転攪拌式予備発泡装置に投入して、約95℃の水蒸気中で嵩密度が100g/L(発泡倍率:10倍)になるまで約2分間発泡して予備発泡粒子を得た。
【0074】
<発泡成形体の製造>
得られた予備発泡粒子を室温で約24時間養生乾燥した後、縦450mm×横300mm×厚さ20mmの平板状金型内に充填し、0.05MPaの水蒸気で30秒加熱・冷却して取り出した成形体を30℃均熱乾燥機中で24時間養生した後、恒温恒湿室に更に24時間保管し、平板状発泡成形体を得た。評価結果を表1に示す。
【0075】
(実施例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.08重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量250ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0076】
(実施例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.18重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量70ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0077】
(実施例4)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.08重量部、ジビニルベンゼン0.016重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量260ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0078】
(実施例5)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.08重量部、115℃の加熱を合計7時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量220ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0079】
(実施例6)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.18重量部、125℃の加熱を合計2時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量140ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0080】
(実施例7)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.18重量部、115℃の加熱を合計7時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量100ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0081】
(比較例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.22重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量50ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0082】
(比較例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.18重量部、ジビニルベンゼン0.016部、110℃の加熱を合計7時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量890ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0083】
(比較例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.18重量部、120℃の加熱を合計8時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量10ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0084】
(比較例4)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.08重量部、ジビニルベンゼン0.150重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量200ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0085】
(比較例5)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.16重量部、ジビニルベンゼン0.0160重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、残存スチレン量300ppmの発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0086】
(比較例6)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、特開2004−155870号公報の実施例1と同じ方法で、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
本発明の実施例では、通常条件で成形した成型体だけでなく、低圧の条件で成形した成形体においても、融着性、表面性だけでなく、強度にすぐれたものが得られる。