特許第6679413号(P6679413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6679413
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】気相成長装置用部品の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 7/00 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B08B7/00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-102219(P2016-102219)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-209596(P2017-209596A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509054005
【氏名又は名称】大陽日酸CSE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】有村 忠信
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃
(72)【発明者】
【氏名】山岡 優哉
(72)【発明者】
【氏名】内山 康右
【審査官】 村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−073132(JP,A)
【文献】 特開2001−185489(JP,A)
【文献】 実開平04−074422(JP,U)
【文献】 特開2006−351868(JP,A)
【文献】 特開2003−347397(JP,A)
【文献】 特開2013−251348(JP,A)
【文献】 特開2011−228404(JP,A)
【文献】 特開2010−245376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0051581(US,A1)
【文献】 特開2014−135412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方のみに開口部を有する洗浄炉本体と、該洗浄炉本体の下方に昇降可能に設けられた洗浄炉蓋部材と、該洗浄炉蓋部材の中央部を貫通して設けられた洗浄ガス供給経路及び洗浄排ガス排出経路と、前記洗浄炉蓋部材の上に着脱可能に載置される洗浄容器とを備え、該洗浄容器は、前記洗浄炉蓋部材の上に設けられた洗浄容器支持体に着脱可能に載置される円盤状の底板と、該底板の内周部に載置される小径リング状の内周側支持部材と、底板の外周部に積層される大径リング状の外周側支持部材と、内周側支持部材と外周側支持部材との間に設けられる部品支持具と、最上段に位置する外周側支持部材上に載置される洗浄容器天板とを備え、前記内周側支持部材の内周側下部及び内周側上部には、上下に隣接する内周側支持部材同士を位置決めする内周側凹凸係合部が設けられ、前記外周側支持部材の外周側下部及び外周側上部には、上下に隣接する外周側支持部材同士を位置決めする外周側凹凸係合部が設けられ、前記内周側支持部材の外周側及び前記外周側支持部材の内周側には、内周側支持部材と外周側支持部材との間、あるいは、内周側支持部材又は外周側支持部材と前記部品支持具との間で気相成長装置用部品を載置するための部品載置部を設け、前記内周側支持部材の内周側に、前記底板の中央部に設けられた開口を介して前記洗浄ガス供給経路に連通する洗浄ガス流路を設け、内周側支持部材の外周側の底板の内周部に、前記洗浄排ガス排出経路に連通する排気孔を設けるとともに、最上段に位置する内周側支持部材と洗浄容器天板との間、及び、前記部品載置部の上面と前記気相成長装置用部品の下面との間に、ガス流路をそれぞれ形成したことを特徴とする気相成長装置用部品の洗浄装置。
【請求項2】
下方のみに開口部を有する洗浄炉本体と、該洗浄炉本体の下方に昇降可能に設けられた洗浄炉蓋部材と、該洗浄炉蓋部材の中央部を貫通して設けられた洗浄ガス供給経路及び洗浄排ガス排出経路と、前記洗浄炉蓋部材の上に着脱可能に載置される洗浄容器とを備え、該洗浄容器は、前記洗浄炉蓋部材の上に設けられた洗浄容器支持体に着脱可能に載置される円盤状の底板と、該底板の内周部に載置される小径リング状の内周側支持部材と、底板の外周部に積層される大径リング状の外周側支持部材と、内周側支持部材と外周側支持部材との間に設けられる部品支持具と、最上段に位置する外周側支持部材上に載置される洗浄容器天板とを備え、前記内周側支持部材の内周側下部及び内周側上部には、上下に隣接する内周側支持部材同士を位置決めする内周側凹凸係合部が設けられ、前記外周側支持部材の外周側下部及び外周側上部には、上下に隣接する外周側支持部材同士を位置決めする外周側凹凸係合部が設けられ、前記内周側支持部材の外周側及び前記外周側支持部材の内周側には、内周側支持部材と外周側支持部材との間、あるいは、内周側支持部材又は外周側支持部材と前記部品支持具との間で気相成長装置用部品を載置するための部品載置部を設け、前記内周側支持部材の内周側に、前記底板の中央部に設けられた開口を介して前記洗浄ガス供給経路に連通する洗浄ガス流路を設け、内周側支持部材に、前記洗浄ガス流路と内周側支持部材の外周側とを流通させる洗浄ガス流路を設けるとともに、外周側支持部材に、該外周側支持部材の内周側と洗浄容器外部側とを流通させる洗浄排ガス流路を設け、前記洗浄排ガス排出経路は、洗浄容器外部側のガスを吸引して排出可能に設けられていることを特徴とする気相成長装置用部品の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄炉蓋部材を、前記洗浄炉本体の開口部を閉塞する上昇位置と、前記洗浄容器を洗浄炉本体の開口部より下方に位置させた下降位置とに昇降させる洗浄炉蓋部材昇降手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の気相成長装置用部品の洗浄装置。
【請求項4】
前記下降位置に下降した洗浄炉蓋部材の上に載置された前記洗浄容器を洗浄炉蓋部材から移載して洗浄炉蓋部材の側方位置に搬送する洗浄容器搬送手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の気相成長装置用部品の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相成長装置用部品の洗浄装置に関し、詳しくは、発光ダイオードやレーザダイオードの発光デバイスに用いられる化合物半導体などの薄膜を製造するための気相成長装置に用いられている部品を洗浄するための洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種化合物半導体の薄膜を製造するための装置として、気相成長装置が知られている。気相成長装置としては、フローチャンネル内に設けたサセプタ上に基板を載置し、該基板をサセプタを介して加熱するとともに、フローチャンネル内に原料ガスを供給し、基板の上方で原料ガスを反応させて基板上に薄膜を形成するものが一般的に用いられている。このような気相成長装置では、原料ガスが反応する部分の周辺に位置する部品に、反応生成物が付着するため、定期的に気相成長装置を分解して各部品を洗浄し、付着した反応生成物を除去するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−186311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の気相成長装置用部品の洗浄装置では、各部品の形状に対応した支持具や容器を用意しなければならず、一つの気相成長装置に対して一つの洗浄装置を対応させることが多く、サイズが異なる基板を処理するための各種形状の気相成長装置用部品を纏めて洗浄することが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、サイズが異なる基板を処理するための各種形状の気相成長装置用部品を纏めて洗浄することができる構造を備えた気相成長装置用部品の洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置は、第1の構成として、下方のみに開口部を有する洗浄炉本体と、該洗浄炉本体の下方に昇降可能に設けられた洗浄炉蓋部材と、該洗浄炉蓋部材の中央部を貫通して設けられた洗浄ガス供給経路及び洗浄排ガス排出経路と、前記洗浄炉蓋部材の上に着脱可能に載置される洗浄容器とを備え、該洗浄容器は、前記洗浄炉蓋部材の上に設けられた洗浄容器支持体に着脱可能に載置される円盤状の底板と、該底板の内周部に載置される小径リング状の内周側支持部材と、底板の外周部に積層される大径リング状の外周側支持部材と、内周側支持部材と外周側支持部材との間に設けられる部品支持具と、最上段に位置する外周側支持部材上に載置される洗浄容器天板とを備え、前記内周側支持部材の内周側下部及び内周側上部には、上下に隣接する内周側支持部材同士を位置決めする内周側凹凸係合部が設けられ、前記外周側支持部材の外周側下部及び外周側上部には、上下に隣接する外周側支持部材同士を位置決めする外周側凹凸係合部が設けられ、前記内周側支持部材の外周側及び前記外周側支持部材の内周側には、内周側支持部材と外周側支持部材との間、あるいは、内周側支持部材又は外周側支持部材と前記部品支持具との間で気相成長装置用部品を載置するための部品載置部を設け、前記内周側支持部材の内周側に、前記底板の中央部に設けられた開口を介して前記洗浄ガス供給経路に連通する洗浄ガス流路を設け、内周側支持部材の外周側の底板の内周部に、前記洗浄排ガス排出経路に連通する排気孔を設けるとともに、最上段に位置する内周側支持部材と洗浄容器天板との間、及び、前記部品載置部の上面と前記気相成長装置用部品の下面との間に、ガス流路をそれぞれ形成したことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置における第2の構成は、下方のみに開口部を有する洗浄炉本体と、該洗浄炉本体の下方に昇降可能に設けられた洗浄炉蓋部材と、該洗浄炉蓋部材の中央部を貫通して設けられた洗浄ガス供給経路及び洗浄排ガス排出経路と、前記洗浄炉蓋部材の上に着脱可能に載置される洗浄容器とを備え、該洗浄容器は、前記洗浄炉蓋部材の上に設けられた洗浄容器支持体に着脱可能に載置される円盤状の底板と、該底板の内周部に載置される小径リング状の内周側支持部材と、底板の外周部に積層される大径リング状の外周側支持部材と、内周側支持部材と外周側支持部材との間に設けられる部品支持具と、最上段に位置する外周側支持部材上に載置される洗浄容器天板とを備え、前記内周側支持部材の内周側下部及び内周側上部には、上下に隣接する内周側支持部材同士を位置決めする内周側凹凸係合部が設けられ、前記外周側支持部材の外周側下部及び外周側上部には、上下に隣接する外周側支持部材同士を位置決めする外周側凹凸係合部が設けられ、前記内周側支持部材の外周側及び前記外周側支持部材の内周側には、内周側支持部材と外周側支持部材との間、あるいは、内周側支持部材又は外周側支持部材と前記部品支持具との間で気相成長装置用部品を載置するための部品載置部を設け、前記内周側支持部材の内周側に、前記底板の中央部に設けられた開口を介して前記洗浄ガス供給経路に連通する洗浄ガス流路を設け、内周側支持部材に、前記洗浄ガス流路と内周側支持部材の外周側とを流通させる洗浄ガス流路を設けるとともに、外周側支持部材に、該外周側支持部材の内周側と洗浄容器外部側とを流通させる洗浄排ガス流路を設け、前記洗浄排ガス排出経路は、洗浄容器外部側のガスを吸引して排出可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
さらに、前記洗浄炉蓋部材を、前記洗浄炉本体の開口部を閉塞する上昇位置と、前記洗浄容器を洗浄炉本体の開口部より下方に位置させた下降位置とに昇降させる洗浄炉蓋部材昇降手段を備えていること、加えて、前記下降位置に下降した洗浄炉蓋部材の上に載置された前記洗浄容器を洗浄炉蓋部材から移載して洗浄炉蓋部材の側方位置に搬送する洗浄容器搬送手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置によれば、内周側支持部材、外周側支持部材及び部品支持具を使用して複数の気相成長装置用部品を支持して収納した洗浄容器を洗浄炉蓋部材の上に載置した状態で、洗浄炉蓋部材で洗浄炉本体の開口部を閉塞して洗浄容器内に洗浄ガスを供給することにより、複数の気相成長装置用部品を効率よく洗浄することができる。また、洗浄炉蓋部材を昇降させる洗浄炉蓋部材昇降手段や洗浄容器を洗浄炉蓋部材の側方位置に搬送する洗浄容器搬送手段を接地することにより、洗浄容器の洗浄炉内への出し入れを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置が洗浄する部品を備えた気相成長装置の一例を示す要部の断面正面図である。
図2】本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置の第1形態例を示す断面正面図である。
図3】洗浄炉本体と洗浄容器と洗浄炉蓋部材との関係を示す説明図である。
図4】洗浄炉本体と洗浄炉蓋部材との関係を示す要部の断面正面図である。
図5】洗浄炉蓋部材と洗浄容器との関係を示す要部の断面正面図である。
図6】洗浄容器内の気相成長装置用部品の配置状態の一例を示す説明図である。
図7】洗浄容器を載置した洗浄炉蓋部材を下降させた状態を示す断面正面図である。
図8】洗浄容器搬送手段の一例を示す平面図である。
図9】洗浄容器を洗浄容器搬送手段に移載した状態を示す断面正面図である。
図10】同じく断面側面図である。
図11】同じく平面図である。
図12】洗浄炉蓋部材を更に下降させて洗浄容器を洗浄炉蓋部材の側方位置に搬送した状態を示す断面正面図である。
図13】同じく平面図である。
図14】洗浄容器を運搬台車に移載した状態を示す断面正面図である。
図15】同じく平面図である。
図16】本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置の第2形態例を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本形態例に示す気相成長装置用部品の洗浄装置は、基板上に各種化合物半導体の薄膜を形成する気相成長装置に用いられている各種部品を洗浄するためのものである。図1は、気相成長装置の一例を示すもので、回転中心線から右側の要部を示している。この気相成長装置は、偏平円筒状のチャンバー内に、複数の基板11を保持した円盤状のサセプタ12を回転可能に設け、サセプタ12を回転させながら加熱手段13によって基板11を所定温度に加熱するとともに、サセプタ12の回転中心部に設けられたガス供給部14から放射状に、所定の原料ガスを供給するように形成されている。
【0012】
サセプタ12の上面には、基板設置部に円形の開口を有する円盤状のサセプタカバー15が設けられ、該サセプタカバー15の円形開口には、プレートリング16を介して前記基板11が配置される。また、サセプタ12の上方には、中央に円形開口を有する円盤状の天井板17が設けられている。
【0013】
薄膜形成時には、所定温度に加熱された基板11の上方で原料ガスが反応あるいは分解して基板11の上面に所定の薄膜を形成する。同時に、原料ガスの一部や反応生成物がサセプタカバー15、プレートリング16、天井板17にも付着する。
【0014】
図2乃至図6は、本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置の第1形態例を示している。この洗浄装置は、前記サセプタカバー15、プレートリング16、天井板17といった気相成長装置用部品を収容する部品収容部21aを有する洗浄容器21と、該洗浄容器21を収納する洗浄炉31とを備えており、洗浄炉31は、洗浄炉本体32と、該洗浄炉本体32の下方に昇降可能に設けられた洗浄炉蓋部材33とを備えている。
【0015】
洗浄炉本体32は、洗浄ガスや反応生成物に対する耐食性を有し、輻射熱を透過させる材料、例えば石英ガラスによって形成されたドーム部32aと、該ドーム部32aの下部開口縁に気密に装着された金属製の第1シール部材32bとにより、下方にのみ開口部32cを有する形状に形成されており、該洗浄炉本体32の周囲及び上方は、加熱手段34a及び断熱材34bを備えたケース部材34によって覆われている。また、第1シール部材32bには、外部からシールガス、例えば窒素ガスを供給するシールガス供給経路35が設けられるとともに、第1シール部材32bの内周には、ドーム部32aの内周に沿って立設した筒状の第2シール部材32dが設けられている。
【0016】
洗浄炉蓋部材33は、洗浄炉本体32の下部開口部を閉塞可能な円盤状の蓋本体33aと、該蓋本体33aの上部に設けられて洗浄炉本体32の内部に浸入する台座部33bとを有している。前記蓋本体33a及び台座部33bの中央には、鉛直方向の貫通孔からなるガス通路部36が設けられるとともに、該ガス通路部36の上端外周部には、前記洗浄容器21を支持するための洗浄容器支持体37が設けられている。
【0017】
前記ガス通路部36の中央には、前記洗浄容器21の内部に洗浄ガスを供給する洗浄ガス供給経路38が設けられており、該洗浄ガス供給経路38の周囲のガス通路部36内が、洗浄容器21の内部及び洗浄炉本体32の内部から洗浄排ガスやパージガスを吸引して排出する洗浄排ガス排出経路39となっている。この洗浄排ガス排出経路39の下部には、真空ポンプなどを備えた排気経路40が接続されている。
【0018】
洗浄容器支持体37は、ガス通路部36の上端部に連続する筒状部37aと、該筒状部37aの上部を覆う天板部37bとを有しており、天板部37bの中央には、前記洗浄ガス供給経路38の洗浄ガス吐出部38aが設けられている。さらに、筒状部37aの周壁には、前記洗浄排ガス排出経路39に連通する複数の炉内排気孔37cが設けられ、天板部37bの外周部に形成した周溝の底部に前記洗浄排ガス排出経路39に連通する複数の容器内排気孔37dが設けられている。
【0019】
前記蓋本体33aの外周部には、前記第1シール部材32bに設けられている第1シール材当接面41に当接する柔軟性を有するシール材として、内外一対のOリング42a,42bが設けられており、台座部33bの外周部上端角部には、前記第2シール部材32dの上端に設けられている当接部材43に当接する当接部33cが設けられている。
【0020】
また、洗浄炉蓋部材33は、該洗浄炉蓋部材33の周囲に設けられた複数の洗浄炉蓋部材昇降手段44によって鉛直方向に昇降可能に設けられており、洗浄炉蓋部材33を下降させたときには、洗浄容器21が第1シール部材32bの下端部より下方に位置するように形成され、上昇したときには、前記Oリング42a,42bが第1シール材当接面41に当接して第1シール部となり、当接部33cが当接部材43に当接して第2シール部となるように形成されている。この第2シール部は、金属、石英ガラス、グラファイトなどの固体からなる当接部材43と当接部33cとの固体同士の接触で形成されることから、Oリング42a,42bを使用した第1シール部に比べてシール性は低くなっている。
【0021】
前記シールガス供給経路35は、第1シール部材32bの内周と蓋本体33aの外周との間の第1ガス通路45にシールガスを供給する。第1ガス通路45に供給されたシールガスは、固体同士が当接している固体当接部45aに生じる僅かな隙間を通って第2ガス通路46の下端部に流入し、第2ガス通路46内の圧力を洗浄炉31内の運転圧力より高い圧力に保持する。
【0022】
前記洗浄容器21は、前記洗浄容器支持体37の上に載置される円盤状の底板22と、該底板22の内周部に積層される小径リング状の内周側支持部材23と、底板22の外周部に積層される大径リング状の外周側支持部材24と、内周側支持部材23と外周側支持部材24との間に設けられる部品支持具25と、最上部の外周側支持部材24に載置された洗浄容器天板26とを有している。部品支持具25は、洗浄する部品の形状や大きさに対応したものが適宜に用いられる。底板22の内周部には、前記容器内排気孔37dの周溝に連通する複数の排気孔22aが設けられている。また、底板22の底面には、洗浄容器支持体37の外径より大きな外径を有するリング状突出部22bが形成されており、該リング状突出部22bの内周には、天板部37bに係合して位置決めする係合段部22cが設けられている。
【0023】
最下段の部品収納部の底面を形成する底板22の上には、サセプタカバー15及びプレートリング16の形状にそれぞれ対応した形状を有する複数の部品支持具25が所定位置に配置され、該部品支持具25に設けられた支持部及び支持段部、内周側支持部材23の外周に設けられた支持段部、外周側支持部材24の内周に設けられた支持段部を適宜利用してサセプタカバー15及びプレートリング16が支持される。また、最も大きな部品である天井板17は、内周側支持部材23の上端部外周に設けられた支持段部と外周側支持部材24の上端部内周に設けられた支持段部とを利用して支持される。
【0024】
2段目から上の部品収納部には、下段の部品収納部に収納された状態となっている天井板17における洗浄が不要な上面に前記部品支持具25を載置し、この部品支持具25と内周側支持部材23、外周側支持部材24とによってサセプタカバー15やプレートリング16が前記同様にして支持される。また、最上部の外周側支持部材24に載置した洗浄容器天板26によって部品収納部21aの全体が覆われることにより、部品収容部21aが洗浄炉31内から区画された状態になる。さらに、内周側支持部材23、外周側支持部材24及び部品支持具25における部品当接面には、洗浄ガスを流通させるための溝状ガス流路がそれぞれ形成されており、この溝状ガス流路を通って洗浄ガスなどが流通できるように形成されている。また、最上部の外周側支持部材24に載置した洗浄容器天板26によって部品収納部21aの全体が覆われることにより、部品収容部21aが洗浄炉31内から区画された状態になる。このようにして各部品を収納することにより、複数種類の気相成長装置用部品を同時に洗浄することができる。
【0025】
洗浄ガス吐出部38aから吐出された洗浄ガスは、内周側支持部材23の内周側に形成されるガス流路を洗浄容器天板26の下面まで上昇し、部品当接面の前記溝状ガス流路を通って順次下方の部品収納部21aに流下しながら各部品の表面に付着した反応生成物などと接触し、各部品に付着した反応生成物などと反応してこれらを除去する。部品洗浄後の洗浄排ガスは、最下段の部品収容部21aから底板22に設けられた前記排気孔22a及び前記容器内排気孔37dを通って洗浄排ガス排出経路39に排出される。
【0026】
さらに、洗浄炉31内のガスは、前記炉内排気孔37cを通って洗浄排ガス排出経路39に排出される。これにより、洗浄炉31内の圧力は、洗浄排ガス排出経路39にガスが吸引されることによって減圧されるため、当接部材43と当接部33cとの固体同士の当接によって形成された第2シール部に生じる隙間を通って第2ガス通路46内のシールガスが洗浄炉31内に流れる状態になるので、部品収納部21a内の洗浄ガスや洗浄排ガスが洗浄炉31内に漏出しても、炉内排気孔37cからシールガスと共に排気することができる。また、第2シール部の隙間からシールガスが流出する状態になっているため、洗浄排ガスが第2シール部に接触することはほとんどなく、第2ガス通路46内に洗浄排ガスが流入することを防止できる。
【0027】
特に、部品収納部21a内の洗浄ガスを底板22の排気孔22aから排出するようにしているので、部品収納部21a内の洗浄ガスが洗浄炉31内に漏出することがほとんどなく、洗浄排ガスが第2シール部に接触することをより確実に回避することができる。また、部品収納部21a内に必要量の洗浄ガスを供給すればよいため、洗浄炉本体32の全体に洗浄ガスを供給する場合に比べて洗浄ガスの使用量を削減することができる。
【0028】
したがって、第2ガス通路46のガス流れ上流側に位置する第1シール部に洗浄排ガスが到達することを確実に防止することができ、合成樹脂などの柔軟性を有する材料で形成されたOリング42a,42bが洗浄排ガスによって損傷を受けることがなくなり、安定したシール性能を長期にわたって維持することができる。
【0029】
さらに、図7乃至図15に示すように、洗浄炉31の下方には、洗浄容器21を搬送するための洗浄容器搬送手段51が設けられている。この洗浄容器搬送手段51は、洗浄炉蓋部材33の最大径より大きな間隔で配置された一対のガイドレール52,52と、該ガイドレール52,52によって水平方向に移動可能にガイドされる洗浄容器横移動部材53と、該洗浄容器横移動部材53に設けられた洗浄容器支持部材54とを有している。洗浄容器横移動部材53は、図7及び図8に示すように、ガイドレール52,52の一端側で、洗浄炉蓋部材33の昇降に影響を与えない待機位置から、図9乃至図11に示すように、洗浄炉蓋部材33から洗浄容器21を洗浄容器支持部材54に移載可能な移載位置と、図12乃至図15に示すように、洗浄容器21を運搬台車55に移載可能な取出位置とに移動可能に形成されている。
【0030】
洗浄容器支持部材54は、洗浄炉蓋部材33の台座部33bの上面と、洗浄容器21の底板22の下面との間に侵入可能な厚さを有しており、洗浄容器支持部材54の中央部には、取出位置の方向が開口した平面視U字状の段付支持部56が設けられている。この段付支持部56の開口幅は、前記洗浄容器支持体37の外径より大きく形成されており、段付支持部56の上向き段部56aに、底板22の下面から突出したリング状突出部22bが位置決めされて載置されるように形成されている。また、運搬台車55の上部には、取出位置において、洗浄容器支持部材54に対して洗浄容器21を授受可能な形状のフォーク部57が設けられている。
【0031】
気相成長装置用部品の洗浄を終えた洗浄容器21は、まず、洗浄炉蓋部材昇降手段44を作動させて洗浄炉蓋部材33をあらかじめ設定された位置に下降させた後、洗浄容器横移動部材53を待機位置から移載位置に移動させ、段付支持部56内に洗浄容器支持体37を進入させる。この状態で洗浄炉蓋部材昇降手段44によって洗浄炉蓋部材33を更に下降させることにより、洗浄容器21が洗浄炉蓋部材33から洗浄容器支持部材54に移載される。洗浄炉蓋部材33を十分に下降させた後、洗浄容器横移動部材53を取出位置に移動させ、運搬台車55のフォーク部57を洗浄容器21の下方に挿入してフォーク部57で洗浄容器21を支持した状態にした後、洗浄容器横移動部材53を待機位置に移動させる。これにより、洗浄を終えた気相成長装置用部品を収容した状態の洗浄容器21を運搬台車55によって適宜な位置に移動させることができ、気相成長装置への組み付けを行うことができる。また、この手順を逆に行うことにより、気相成長装置から取り外して洗浄容器21内に収納した気相成長装置用部品を洗浄炉31内に搬入することができる。
【0032】
図16は、本発明の気相成長装置用部品の洗浄装置の第2形態例を示している。なお、以下の説明において、前記第1形態例に示した気相成長装置用部品の洗浄装置の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
本形態例に示す洗浄装置における洗浄容器71では、底板72の内周部に積層される内周側支持部材73に径方向の洗浄ガス導入孔73aを設けるとともに、底板72の外周部に積層される外周側支持部材74に洗浄排ガス導出孔74aを設けている。図7に矢印で示すように、洗浄ガス吐出部38aから内周側支持部材73の内周側に流入した洗浄ガスは、内周側支持部材73の洗浄ガス導入孔73aを通って部品収容部21aの各段にそれぞれ流入する。各部品に付着した反応生成物などと反応してこれらを除去した後の部品収容部21a内の洗浄排ガスは、外周側支持部材74の洗浄排ガス導出孔74aを通って洗浄容器71の外に流出し、前記シールガスと共に炉内排気孔37cを通って洗浄炉31から洗浄排ガス排出経路39に排出される。このように、洗浄容器71から洗浄炉本体32内に洗浄ガスを排出する構造の洗浄容器71を使用した場合でも、第1シール部から第2シール部に洗浄排ガスが到達することを確実に防止することができる。
【0034】
さらに、前記洗浄装置における各部品の設置位置は、気相成長装置内での配置に近く、ガスの流れも模している。そのため、付着物が多い箇所は、洗浄ガスも多く当たることになり、ムラなく効率的に洗浄できる。さらに、その時に洗浄する部品数に応じて、外周、内周支持部材を増減することにより、常に同じガス流れ条件下で洗浄できるため、ムラなく効率的に洗浄できる。さらに、処理の厄介な反応生成物、例えば塩化ガリウムの炉内周辺部への拡散を防ぎ、沸点以上の温度を維持したまま、後段の捕集器まで排出することが可能である。
【0035】
また、各部品に付着した反応生成物が窒化ガリウムで、これを塩素で洗浄する場合、洗浄反応生成物として塩化ガリウムが発生する。これは沸点201℃で、炉内などに温度の低い場所があると析出する。減圧すれば低温でも気化するが、潮解性を有しているため、付着したまま洗浄炉を開放すると、大気中の水分と反応して塩化水素を発生する。塩化水素は、さらに水分と反応して塩酸となり、洗浄炉の金属部品を腐食させる。さらに、一度潮解した付着物は、200℃に加熱しても気化しないため、炉内に残り続け、Oリングを傷つけたり、炉の密閉を妨げる。下流の捕集器まで、塩化ガリウムを大気にさらさないように誘導するには、ビーター機構等複雑な機構が必要である。このようなことから、洗浄炉内を前記沸点以上の温度に加熱することにより、洗浄時に発生した塩化ガリウムが析出することを防止できる。加えて、炉内のガスと接触する第2シール部を、金属、石英ガラス、グラファイトなど、特に、伝熱性の高いグラファイトで形成することにより、第2シール部を前記沸点以上にすることができ、第2シール部に塩化ガリウムのような蒸気圧が高い物質が析出することがなくなる。加えて、洗浄炉本体のドーム部を、輻射熱を透過させる石英ガラスで形成することにより、洗浄炉内を効果的に加熱することができ、下層の構成部材の温度が上昇するので、蒸気圧の高い物質を確実に除去することができる。
【符号の説明】
【0036】
11…基板、12…サセプタ、13…加熱手段、14…ガス供給部、15…サセプタカバー、16…プレートリング、17…天井板、21…洗浄容器、21a…部品収容部、22…底板、22a…排気孔、22b…リング状突出部、22c…係合段部、23…内周側支持部材、24…外周側支持部材、25…部品支持具、26…洗浄容器天板、31…洗浄炉、32…洗浄炉本体、32a…ドーム部、32b…第1シール部材、32c…開口部、32d…第2シール部材、33…洗浄炉蓋部材、33a…蓋本体、33b…台座部、33c…当接部、34…ケース部材、34a…加熱手段、34b…断熱材、35…シールガス供給経路、36…ガス通路部、37…洗浄容器支持体、37a…筒状部、37b…天板部、37c…炉内排気孔、37d…容器内排気孔、38…洗浄ガス供給経路、38a…洗浄ガス吐出部、39…洗浄排ガス排出経路、40…排気経路、41…第1シール材当接面、42a,42b…Oリング、43…当接部材、44…洗浄炉蓋部材昇降手段、45…第1ガス通路、45a…固体当接部、46…第2ガス通路、51…洗浄容器搬送手段、52…ガイドレール、53…洗浄容器横移動部材、54…洗浄容器支持部材、55…運搬台車、56…段付支持部、56a…上向き段部、57…フォーク部、71…洗浄容器、72…底板、73…内周側支持部材、73a…洗浄ガス導入孔、74…外周側支持部材、74a…洗浄排ガス導出孔
図1
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