(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ポンプには、非容積型、容積型ポンプがあり、高粘度流体をポンプするには、容積型ポンプを採用するのが一般である。容積型ポンプは、往復動型、スクリュー型、ロータリー型にさらに分類可能である。
【0003】
往復動型のポンプは特にプランジャー型と呼ばれ往復動するプランジャーに合わせ一方端部から入口弁を介して流入する流体を同側端部の出口弁から吐出する方式を特徴とする。高粘度流体であってもプランジャーによって押出すことは可能であるが、プランジャーの往復運動により1つの容器内の体積が変化しプランジャーの挿入した体積だけの流体を吐出する。1つの容器を利用するため、この往復運動に連動する吸入バルブと吐出バルブが必要である。ところが高粘度流体のポンピングでは、バルブの作動が完全に出来なくなり、通常のプランジャーポンプは高粘度流体には使用出来ない。弁を介する高粘度液の円滑な吸込み吐出に課題が生ずるのである。また、流体が弁を通過できても流体にせん断力が働き流体の性状へ悪影響を及ぼす場合もある。さらに、特許文献1記載の発明が課題とするように、高粘度になるほどプランジャーによる吐出圧力の脈動、不安定さも問題となり得る。
【0004】
スクリュー型は、スクリュー面と管内面との間の動粘性を利用して一方端から他端へ流体を移送排出するが、スクリュー端と管内壁にシール材を配するのが一般であり、その耐久性は移送流体の粘度が高くなるほど課題となり、さらに、高粘度流体の場合には、場合によってはスクリュー自体の回転も不可能になるか不安定となるという課題も発生し、静止後の始動時には静摩擦、粘着、固着によって大きな起動トルクを必要とする。また、スクリュー型ポンプは吸込み能力に欠くため、特許文献2記載のようにスクリュー型ポンプ入口部への高粘度流体の搬送部を別途工夫する、発明化する必要も個々の流体の性状に応じ必要となるという課題も生ずる。
【0005】
その他、歯車型のポンプもあるが、高粘度流体では歯車間のしゅう動により流体が損傷し性状に悪影響を及ぼす場合が多い。
【0006】
以上のように容積型ポンプで高粘度流体の移送に適するのは、その余のロータリー型ポンプであると考えられるが、ロータリー型ポンプであっても、特許文献3の
図1に記載の発明の一軸偏芯型のロータリーポンプは、ポンプ室内でのロータ転動(特許文献3、
図4参照)によりロータ回転中に常に移送流体にせん断力が加わりポンプ流体の性状に悪影響を与える恐れがある。
【0007】
高粘度流体用として、二軸のロータを使用するタイプも非特許文献1に開示されている。非特許文献1に開示のポンプは、回転する2個のロータによりポンプの吸込口に真空ができ、その空間に流体を吸引し、回転する2個のロータは、タイミングギアにより非接触で回転され、ポンプの流体は2個のロータが180度回転する毎に“連続的”(ここで、連続的とは非特許文献中の作動原理図の説明に記載の表現である)に押し出される構成である(非特許文献1、同ページ記載の作動原理図)。この構成では、二つのロータ間は凸面同士が対向し十分なシールが形成され難く吸込みにムラが発生し、脈動は抑えられず、ポンプ流体の吐出は連続的というより間欠的といえよう。
【0008】
そして、高粘度流体のポンピングでは、一旦ロータが静止してある程度の時間が経過すると高粘度流体と固体界面で吸着が発生したり、静止状態とポンピング時での高粘度流体の性状の差、変化によりロータがポンプハウジングに吸着又は固着したりする場合がある。この点も実質上、スクリュー型ポンプの問題点と同様であり、純粋なプランジャー型ポンプと異なり課題となる場合もある。特に吸着現象は発生条件が複雑であり、かつ、発生に確率的要素があって予測しづらいという問題がある。
【0009】
こうして、高粘度流体用のポンプであって、高粘度流体を押出しつつプランジャー利用の場合と異なり弁を廃し、吐出脈動を抑える高粘度流
体ポンプを低コストで提供することが本発明の目的と認識された。
【0010】
すなわち、本発明は、ポンプ駆動体とハウジング間の動粘性による高粘度流体の変質、損傷を回避し、一旦ポンプ移送が停止後の再起動時も高付加の静摩擦、吸着又は粘着が生じない構成を実現し、吸入弁、吐出弁という複雑な構成を不要とし、ポンプ室への高粘度流体の吸入吐出時の流体抵抗を減じつつ流体の変質を回避し、高粘度流体ポンプをより少ない部品点数で実現する低コストの高粘度流体ポンプを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の斜視模式図である。
【
図2】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の分解斜視模式図である。
【
図3】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の正面模式図で吸入口、吐出口中央の縦断面図であり、ハウジング6にはハッチングを施すが。ハウジング内部構成体である各ロータ20,30にはハッチングを施していないという変形的な高粘度流体ポンプ1の正面模式図である。
【
図4】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の背面模式図で背面カバーを外した場合のハウジング内部構成を示す高粘度流体ポンプ1の背面模式図である。
【
図5】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の組立て状態のロータ歯車構造を概念的に示す側面概念模式図であり、ロータ噛み合い部は縦断面図をタイミング機構部はハウジング内部を透視する側面概念模式図である。
【
図6】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のシャフト2,3が回転した場合の吸気口7近傍の高粘度流体のチャンバーへの吸引の動きを経時的に示す遷移図である。
【
図7】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のシャフト2,3が回転した場合の排気口8近傍の高粘度流体のチャンバーから吐出される動きを経時的に示す遷移図である。
【
図8】本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のポンプサイクルチャート図である。
【
図9】本発明に係る高粘度流体ポンプの他の形態である高粘度流体ポンプ701の側面概念模式図である。
【0021】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の斜視模式図を示し、
図2は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の分解斜視模式図を示し、
図3は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の正面模式図で正面カバー板を外した場合のハウジング部5の内部構成を示し、
図4は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の背面模式図で背面カバーを外した場合のハウジング内部構成を示し、
図5は、本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の組立て状態のロータ20,30の回転を制御するタイミング機構40のタイミングギア22,32の構造を概念的に示す側面概念模式図であり、
図6は、本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のシャフト2,3が回転した場合の吸気口7近傍の高粘度流体のチャンバーへの吸引の動きを経時的に示す正面からの模式透視図であり、
図7は本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のシャフト2,3が回転した場合の排気口8近傍の高粘度流体のチャンバーから吐出される動きを経時的に示す遷移図であり、
図8は本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のポンプサイクルチャート図であり、これらの模式図のうち、縦断面模式図を含む、
図5のロータ噛み合い部はハッチングを施し縦断面を明示し、
図3では、ハウジング部5にハッチングを施し縦断面模式図で示し、
図4、
図5のタイミングギアはハウジング内部を透視する側面概念模式図で示すものである。
【0022】
<本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態>
本発明に係る高粘度流体ポンプ1は、凸形曲面21を形成する断面を有する第一のロータ20と、; 凹形曲面31を形成する断面を有し前記ロータ20に軸方向AXに平行配置の第二のロータ30と、;
二つの前記ロータ20,30を互いに逆向きに回転駆動可能である各ロータ20,30に各タイミング制御部材22,32が同心に結合されて当該各ロータ20,30の回転を同期可能であるタイミング機構40と;そして、
前記第一のロータと軸方向同心円筒形に形成された第一ポンプ室23及び前記第一ポンプ室23と軸方向AXに並列されて前記第二の前記ロータ30と軸方向同心円筒形に形成された第二ポンプ室33を有し前記二つのロータ20,30に結合されたシャフト2,3を回転自在に支持可能な軸受部11,13を有するハウジング6、軸受部12,14を有するハウジング背面カバー9、ハウジング正面カバー10を含むハウジング部5;、
を有する高粘度流
体ポンプであって、前記二つのロータ20,30がその軸断面形状の外縁が互いに噛み合い可能な同数の凹凸面形である複数の凹凸曲面部21,31を含み、かつ、前記ハウジング6は前記二つの前記ロータ20,30の前記噛み合い部の中央部に軸方向垂直の一方側に高粘度流体の吸込口7及びもう一方に前記吸込口7へ対向して吐出口8を備える高粘度流
体ポンプ1である。 二つのロータ20,30はシャフト2,3にキーによって固定連結され、ロータ20,30は噛み合い連結され、タイミングギア22,32で同期回転制御されている。吸込口7に隣接し前記第二のポンプ室33と前記吸込口7を連接する窪み部18,19が前記第二のポンプ室内壁面33に設けてられている。ここで噛み合いは必ずしも接触しなくてもよく、僅かに離隔配置されてもよい。
【0023】
<同実施形態に示される本発明の作用効果>
本発明に係る高粘度流体ポンプ1によって二つのポンプ室23,33が連携し高粘度度流体を圧送するが、この高粘度流体ポンプ1の稼働状態での作用効果をポンプ運転の各段階の遷移
図6を参照しつつ説明する。
【0024】
概して、(1)〜(5)の行程の経時基準はロータに設けられている噛み合い部数分の一回転を1サイクルとして、1サイクルを説明の便宜上4等分し、各行程とする。
図8にポンプサイクルチャートを示す。ここで1ポンプサイクルの開始点はロータの一外縁境界がポンプ内面に内接しチャンバーの形成を開始するときと説明の便宜上定める。チャンバーの形成開始からチャンバー完成までを1サイクルとする。本実施形態に係る高粘度流体ポンプ1では、第一ポンプ室23側の最上流チャンバー26形成開始点と第二ポンプ室33側のチャンバー形成開始点は一致して吸込口7が形成されている。
(1)第一行程:S10 チャンバーの形成開始から1/4サイクル経過まで
(2)第二行程:S20 1/4サイクルから1/2サイクルまで
(3)第三行程:S30 1/2サイクルから3/4サイクルまで
(4)第四行程:S40 3/4サイクルからチャンバー完成まで
(5)第一行程の繰り返し
図6中の高粘度流体ポンプ1の上方から次サイクルの高粘度流体に対してサイクルを繰り返す。以下の(1)〜(5)は複数のチャンバーの一つ又は二つに着目し、吸引又は吐出の経時段階を説明する。ここで、段階とは高粘度流体を基準とするポンプ機能の経時変化を表現する切り口を指し、()内記載の行程とはロータ回転を基準とする回転の経時変化を表現する切り口を指す。なお、ロータ20,30は各々キーによってシャフト2,3に固定結合されており、さらにシャフト2のタイミングギア22側端部では(図示しない)モーター駆動機構の駆動軸に固定結合されている。
【0025】
i)吸引口からの高粘度流体の吸引
吸引口7付近の高粘度流体のポンプ吸引の段階を複数のチャンバー26,27,28,29,37,38,39の一つ又は二つに着目し、これらの経時行程に応じて吸引段階に分類説明すると以下となる。
(1)吸引前段階(第一行程:S10)
(2)吸引段階(初期)(第二行程:S20)
(3)吸引段階(中期)(第三行程:S30)
(4)吸引段階(後期)(第四行程:S40)
(5)搬送段階(第一行程S10に戻る。ロータ回転下流に位置する隣接凹凸部について吸引前段階に相当し、以下S10以降を繰返す)
【0026】
本発明に係る高粘度流体ポンプ1は、噛み合い部を各ロータ20,30に6個有するマルチチャンバー型のポンプであり、ロータ20には凸曲面21として円筒面を回転軸に対して外向きに6個等角に均等配置されており、ロータ30には凹曲面31として円筒面を回転軸に対して内向きに6個等角に均等配置されており、複数のチャンバー26,27,28(以下で26等という)及び29並びに37,38及び39(以下で37等という)がロータ外縁部21,31とポンプ内壁面23,33でハウジング6に内接して形成可能とされ、
図6の上部に位置する吸引口7付近では高粘度流体団201(以下、単に高粘度流体201という)が、ロータ20,30の互いの逆向きの回転につれてハウジング6内部に外部から真空吸引され、同時に、
図6中の下部に位置する吐出口8付近では、高粘度流体403,303がロータ回転速度で吐出口8付近にチャンバー29,39から解放され、その直前に吐出口8付近に滞留していた高粘度流体の流体団203(以下、単に高粘度流体203という)と合体され吐出口部8から圧縮吐出される。
【0027】
(1)の第一行程S10とは、本実施形態では二つのロータが最も噛み合っている状態のシャフト回転状態にも対応するが、この段階の特徴は、マルチチャンバー26、36に隣接する領域でシャフト2,3の回転に連れて新しいチャンバーが形成開始されようとする段階である。シャフトは連続回転されてよくステップ動作である必要はなく、その意味で、本段階で静的に吸引前段階というものが存在する意味として呼称しているものでなく、新しいチャンバーが形成される直前の段階という意味にタイムスライスを捉えている。
【0028】
(5)は、S10の次行程が順次進行したのちに次のチャンバーが形成開始される60°(本実施形態では噛み合い部が6個等角に配置されている)シャフトが回転した場合であり、このとき、ポンプサイクル的には第一行程と同じ状態となる。(1)→(5)を全行程とすれば、本実施形態ではこの間にシャフトは1/6回転する。
【0029】
(2)、(3)、(4)は(1)から(5)の間を時間軸上で等分した吸引段階であり、
第二行程S20とは、1/4行程であり、シャフトは1/24回転している
第三行程S30とは、2/4行程であり、S10よりシャフトは1/12回転している
第四行程S40とは、3/4行程であり、S10よりシャフトは1/8回転している
状態を、シャフト回転との関係で指す。
【0030】
(1)吸引前段階(第一行程:S10)は、高粘度流体201がロータ20の外縁に構成されている凸曲面21及びポンプ室内面23でこれから形成されようとする半円筒形チャンバー並びにロータ30の外縁に構成されている凹曲面31及びポンプ室内面33でこれから形成されようとする半円筒形チャンバーのそれぞれに吸引されんとする直前の段階である。
(2)吸引段階(初期)(第二行程:S20)は、シャフトは1/24回転後、ロータ20,30の回転により吸引口7近傍の体積が増加しこの部分の真空度が増し吸気口7外から新しい高粘度流体団400を吸引し、1/4行程の進展により新しいチャンバーが元の26,37のチャンバーが存在していた場所に形成されつつある段階である。
(3)吸引段階(中期)(第三行程:S30)では、シャフトは1/12回転しており、ロータ20,30の回転により1/2行程の進展により新しいチャンバーの半分程度形成が進んでおり、なお、高粘度流体201は吸引口7近傍から新しいチャンバー形成部へ取り込まれつつ高粘度流体202と変形し双方のチャンバーへ取り込まれる。
(4)吸引段階(後期)(第四行程:S40)では、シャフトは1/8回転しており、ロータ20,30の回転により新しいチャンバー形成が3/4程度まで進んでおり、なお、高粘度流体201は吸引口7近傍から新しいチャンバー形成部へ取り込まれつつある段階である。本発明は高粘度流体が対象のポンプであるからできるだけ吸引を促す観点で、吸込口に隣接し前記第二のポンプ室33と前記吸込口7を連接する窪み部18,19を前記第二のポンプ室内壁面33に設け、第二行程後もなおロータ30に設けられている凹曲面31と第二のポンプ室内面33で形成されようとしているチャンバー内への吸引を促進する構成を取る。吸込み口7近傍の高粘度流体201は第四行程完了までも連絡接続可能であり、吸引能力を増している。ロータ20に設けられている凸曲面21と第一のポンプ室内面23で形成されようとしているチャンバーは、同様の窪みを第一ポンプ側に設けなくとも第一のポンプ室内面、ロータ20に設けられている凸曲面21と回転下流側に隣接する噛み合い部の凸曲面及びポンプ室内面33で形成されようとしているチャンバー内と吸引口7近傍の高粘度流体201は第四行程完了まで接続可能であり、別途の前記窪みの手当てを要することもないが、設けても差し支えない設計も可能である。
【0031】
ii)吐出口への搬送
(5)搬送段階(第一行程S10に戻る)は、新たにチャンバー26,37が形成されこの部分に高粘度流体201は、各々高粘度流体203,303にチャンバー26,37空間領域内に拘束されている状態である。この段階で新たな高粘度流体400が元の高粘度流体201のように吸引口7近傍に噛み合い部が開くにつれて真空吸引され、高粘度流体が順次補給されている。爾後ロータ回転に伴いチャンバー内に拘束された高粘度流体203,303は吐出口8に向かい旋回される。
【0032】
iii) 吐出口からの高粘度流体吐出
吐出口8付近の高粘度流体のポンプ吐出の段階を複数のチャンバーの一つ又は二つに着目し、これらの経時段階で分類説明すると以下となる。
(1)吐出前段階(第一行程:S10)
(2)吐出段階(初期)(第二行程:S20)
(3)吐出段階(中期)(第三行程:S30)
(4)吐出段階(後期)(第四行程:S40)
(5)搬送段階(S50、隣接凸部についてS10に相当し、以下S10からの繰返し)
【0033】
図7中の下部に位置する吐出口8付近では高粘度流体303,403がロータ20,30回転につれてマルチチャンバー29,39から回転吐出されると同時に、
図7中の下部に位置する吐出口8付近では、高粘度流体403,303はその直前に吐出口8付近に滞留していた高粘度流体203と合体され吐出口部8から圧縮吐出される。再び噛み合い部が完全に噛みあうまでに対向する凸面24、凹面34に挟まれた高粘度流体は吐出口8に向かい圧搾されるので、高粘度流体が中心部に滞留する恐れもないという効果も得る。
【0034】
iii)上記、i)及びii)について(1)〜(5)の()内記載の行程、S10,S20,S30,S40は上述のようにロータ回転を基準とする回転機械の経時的にカテゴリ化したものであり、S10→S20→S30→S40→S10がポンプ機能の1サイクルに相当するのは既述のとおりである。
図1に示される一実施形態では、ロータ20,30は6個の噛み合い部を有し、ロータ1回転で前記サイクルは6サイクル繰り返される。したがって、通常の一プランジャーポンプ型に比し、6プランジャーを備えるポンプに相当するという新しいタイプのマルチ旋回チャンバー型高粘度流体ポンプ1である。ロータ1回転中に6回の吐出サイクルに1回転あたりの吐出量は分散され、1回転あたりの吐出量のポンプ能力を基準として6分散され、脈動も6つに分散されるだけでなく、1サイクルで吐出される量は、凸部凹部で構成される旋回領域で平均化平滑化され、第一ポンプ室の内面円弧半径をR、第二ポンプの内面円弧半径をrとすれば、回転周波数をfとして、ポンプ長あたり時間当たりの吐出量Hはほぼ次式(1)で与えられる。
【0035】
【数1】
【0036】
ポンプ長あたり時間当たりの吐出量Hは(1)式に平準化され、脈動はほとんどなくなる。ロータ噛み合い部の凹部と凸部の形状パラメータが時間当たりの吐出量のパラメータとなり、両者がほぼ密に補完する関係にあれば、両ポンプの内半径をパラメータとしてポンプ長あたり時間当たりの吐出量Hは、式(1)の関係にある。特に噛みあい部が本実施形態のように偶数個で構成されていると第一ポンプ室側のチャンバーと第二ポンプ室側のチャンバーの対応するチャンバー容量は常に一定となり、安定した吐出量を提供する効果を与える。噛みあい部二個で十分に補完可能な噛み合い形態の形成は困難であり、4個以上の噛み合い部数が好ましく、より円滑には6つの噛みあい部構成がより好ましく、さらにこれを増やすことも可能であるが、あまり増加させてもチャンバーの深さを浅くする結果を招くことに留意すべきであり、本実施形態は特に好適な条件として6の場合を開示している。
【0037】
円弧形状を利用する曲面構成であれば、凹部曲面31等を利用するチャンバー37,38,39ではその凹部底面への離隔により高粘度流体に流れせん断力は働きにくく、高粘度流体の損傷、変質を最小限にする。隣接する凸部間に挟まれるという凸部曲面を利用するチャンバー26,27,28,29では凸部曲面21等間に形成される底部に向かう離隔によって高粘度流体に流れせん断力は働きにくく高粘度流体の損傷、変質を最小限にする。特に高粘度流体では動粘性係数μが高く、これに比例するせん断力による損傷、変質を最小限にすることは重要な要素である。
【0038】
本実施形態では、凹部曲面31に軸方向の溝35を設けている。溝35により、噛み合い部の曲面間での離隔を保ち、高粘度流体のせん断力による損傷、変質を最小限にし、停止時の高粘度流体の噛み合い固体面への粘着を防止し、メニスカス形成により吸着を防止する効果を得ている。溝は、1mm程度が好適であり、その方向は軸方向に限らず、幅方向のものでもよく、例えば、本実施形態のように幅方向の溝36を加えてもよく、図示しないが軸に斜め方向でもヘリングボーン形に設けてもよい。
【0039】
本実施形態では、円弧形状を利用する曲面構成で凸部曲面21と凹部曲面31が噛み合う構成とする。当該噛み合い部は十分なシール性能を発揮し、シールが破断によるポンプ吸込みの脈動、吐出の脈動を抑えることが可能であり、溝35の付加により噛み合い部が離間していてもシール効果を高めることも可能である。
【0040】
なお、本実施形態では、吸込口7と吐出口8は相対的なもので、ポンプ回転方向を逆向きにすれば吸込口7は吐出口としても使用可能であり、その場合には、吐出口8は吸込口として使用される。
【0041】
図9は、本発明に係る高粘度流体ポンプの他の実施形態である高粘度流体ポンプ701の側面概念模式図である。本発明に係る高粘度流体ポンプの他の形態である高粘度流体ポンプ701は、凸形曲面721を形成する断面を有する第一のロータ720と、; 前記凸形曲面721に対となる同数の凹形曲面731を形成する断面を有し前記第一のロータ720に軸方向に平行配置の第二のロータ730と、;
二つの前記ロータ720,730を互いに逆向きに回転駆動可能である各ロータに各タイミング制御部材(図示しない)が同心に結合されて当該各ロータの回転を同期可能である(図示しない)タイミング機構740と;そして、
前記第一のロータ720と軸方向同心円筒形に形成された第一ポンプ室及び前記第一ポンプ室と軸方向に並列されて前記第二の前記ロータと軸方向同心円筒形に形成された第二ポンプ室を有し、これらポンプ室内面と前記ロータの前記凸形曲面721又は前記凹形曲面731に囲まれる複数のチャンバー728,729,739を形成可能であって前記二つのロータ720,730を回転自在に支持可能な軸受部(図示しない)を有するハウジング部705;、
を備え、前記凸形曲面721及び前記凹形曲面731は二つのロータ720,730の軸断面形状の外縁が互いに噛み合い可能な凹凸曲面部を含み、かつ、
前記ハウジング705は前記二つの前記ロータ720,730の前記噛み合い部の中央部に軸方向垂直の一方側に高粘度流体の吸込口707及びもう一方に前記吸込口707へ対向して吐出口708を備え、
前記チャンバー728,729,739は高粘度流体を前記吸込口から取込み前記吐出口へ向けて前記ロータ中心を旋回可能である高粘度流
体ポンプ705であり、マルチ旋回チャンバー型高粘度流体ポンプであり、4つのチャンバー構成はポンピングを平準化可能な最小構成である。
【0042】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、ここに記載された実施形態は、かなり詳細に記載されている。しかしながら、出願人は、添付する特許請求の範囲をこのような詳細な記載にいかようにも制限、限定する意図はない。また、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、一つの実施形態に記載に発現された発明の構成の部分は、他の実施形態にも採用可能であり、さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。そして、ここの取り上げた発明の課題を解決する各々の効果はすべてが同時に一つの実施形態に現れるものと限定されず、その一部が一つでも発現して発明の目的を達成すれば十分であり、当業者であれば、容易に判断できることであろう。したがって、発明は、広い面で、特定の詳細事項、ここに開示され、記載された各々の機器及び方法又はこれらの組み合わせ、実施例に限定はされず、出願人の一般的発明概念の精神とスコープから乖離しないで、これらの詳細から離れることもあり得る。